説明

ファスナー

【解決手段】 ファスナー装置であって、第1のファスナー軌道に取着され、第1の磁石と、少なくとも第1の係合要素とを有するものである、前記蝶棒と、第2のファスナー軌道に取着され、第2の磁石と、前記蝶棒の第1の係合要素を補完する少なくとも第2の係合要素とを有する箱であって、前記蝶棒および当該箱は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を形成し、前記蝶棒の第1の係合要素は当該箱の第2の係合要素と可逆的に相互作用するものである、前記箱と、前記蝶棒の第1の係合要素を前記箱の前記第2の係合要素から可逆的に係脱させる少なくとも1つの解放要素を有する第1のスライダー本体部とを有する。前記ファスナー装置はまた、第2の磁石と、少なくとも1つの溝要素が形成された第2のスライダー本体構成要素を含むことができ、前記第1および第2のスライダー本体構成要素は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一スライダー本体を形成し、前記第1のスライダー本体構成要素の隆起要素は前記第2のスライダー本体構成要素の溝要素に装入されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式ファスナー装置に関し、より具体的には改善された蝶棒および箱アセンブリ、ならびに改善されたスライダー本体に関する。
【背景技術】
【0002】
これら発明から何年もの間、ファスナーは至る所に存在するようになった。ファスナーは、あらゆるタイプの衣服例えばズボン、ドレス、およびジャケットなど、運ぶための道具(キャリア)例えばバックおよび手荷物など、ならびに用具一式例えば寝袋およびテントなんどで見ることができる。装飾として役に立つことに加えて、ファスナーは、例えばドレスの操作において衣類の2つの側を結合することができ、また例えばジャケットの着脱自在なフードの付着などの2つの布地を着脱自在に取り付ける手段として機能することができる。
【0003】
例えばファスナーなどのファスナー装置は、分離または非分離であり、および一方向または二方向装置であり得る。分離ファスナーでは、2つのファスナー軌道(テープおよび務歯を有する)の各々は、互いに噛み合う務歯によってのみ主として結合される異なるエレメントに接続されている。非分離ファスナーでは、両方のファスナー軌道が単一エレメントに結合されており、これにより務歯を噛み合わせたり離したりして、そのエレメントを開口する。二方向ファスナーは、一緒にまたは離れて動作して務歯を噛み合わせたり離したりする2つのスライダー本体を有する。一方向ファスナーは、蝶棒および箱アセンブリと共に、前記ファスナー軌道の少なくとも1つに含まれる務歯を整列させる単一スライダー本体とを有する。
【0004】
一方向分離ファスナーの最も単純な形状は比較的少ない部品から成っており、各務歯列の下端にある蝶棒および保持器本体とを有する起点アセンブリと、2つのテープであって片側に布地が取り付けられ、別の側には務歯を含むものである前記2つのテープと、プルタブを有するスライダー本体と、各務歯列の上端にある2つの上止とを含む。
【0005】
2つの布地を一緒に閉じるとき、操作者は、蝶棒を1つの務歯列の下端から別の務歯列の適合する下端の保持器本体の中に差し込む。位置合わせされると、操作者はスライダー本体と呼ばれるラッチ機構を務歯軌道に沿って引く。前記スライダー本体内部の楔部は、各軌道の務歯が相互作用するようにさせる。務歯が整列される場合、各務歯のフックは対向する務歯のくぼみの中に納まる。操作者は、前記スライダーが各務歯列の上端に配置された上止で終了するまでスライダー本体を引き続けて務歯を噛み合わせる。
【0006】
前記2つの布地を外すとき、操作者はスライダー本体を前記閉じた軌道に沿って引き戻す。スライダー本体内部の楔部は、前記互いに噛み合った務歯を離して、閉じたファスナーを分ける。
【0007】
スライド式ファスナーを閉じる操作は簡単であるが、多数の人は前記蝶棒と本体を連結することに困難さを感じている。他には、小さなスライダー本体を掴むことまたはそれを務歯に沿って引っ張ることに困難を感じている。これらの困難にたびたび遭遇する個人は、例えば小さい子供、保護のための手袋を着用している人々、および視力低下、黄斑変性、または白内障を患っている人々が含まれる。さらに身体の不自由な方々で、例えば関節炎、多発性硬化症、脳性まひ、広汎性発達障害、ダウン症候群、運動失調症、神経障害を伴う糖尿病、脳卒中(CVA)、対麻痺の(患者)、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、および同類のものを患っている人々もまた、ファスナーの操作に困難さを感じている可能性がある。
【0008】
従って、本発明の主要な目的および利点は、ファスナーの蝶棒および箱のより容易な位置合わせの装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的および利点は、ファスナーのスライダー本体のより簡単な操作のための装置を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的および利点は、限られた器用さの個人でも使用できる改善されたファスナーを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的および利点は、ある程度明らかで、以下である程度伝達されるあろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的および利点に従って、本発明はファスナー装置を提供し、このファスナー装置は、(1)第1のファスナー軌道に取着され、第1の磁石と少なくとも第1の係合(または連結する)要素とを有するものである、前記蝶棒と、(2)第2のファスナー軌道に取着され、第2の磁石と、前記蝶棒の第1の連結要素を補完する少なくとも第2の係合(または連結)要素とを有する箱であって、前記蝶棒および当該箱は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を形成し、前記蝶棒の第1の連結要素は当該箱の第2の連結要素と可逆的に相互作用するものである、前記箱と、(3)前記蝶棒の第1の連結要素を前記箱の前記第2の連結要素から可逆的に係脱させる少なくとも1つの解放要素を有する第1のスライダー本体とを有する。前記係合要素または連結要素は好ましくは互いに組み合う形態で合致するが、実際に互いに組み合う関係を必要としない他の従来の形態で互いに係合することも可能である。
【0013】
本発明はさらにファスナー装置を提供し、このファスナー装置は、(1)第1のファスナー軌道に取着され、第1の磁石と、少なくとも第1の連結要素とを有する蝶棒と、(2)第2のファスナー軌道に取着され、第2の磁石と、前記蝶棒の第1の連結要素を補完する少なくとも第2の連結要素とを有する箱であって、前記蝶棒および当該箱は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を形成し、前記蝶棒の第1の連結要素は前記箱の第2の連結要素と可逆的に相互作用するものである、前記箱と、(3)前記蝶棒の第1の連結要素を当該箱の前記第2の連結要素から可逆的に係脱させる少なくとも1つの解放要素を有する第1のスライダー本体部であって、さらに、第3の磁石を有し、且つ少なくとも1つの隆起要素が形成されているものである、前記第1のスライダー本体と、(4)第4の磁石を有し、且つ少なくとも1つの溝要素が形成されている第2のスライダー本体構成要素であって、前記第1および第2のスライダー本体構成要素は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一スライダー本体を形成し、前記第1のスライダー本体構成要素の隆起要素は前記第2のスライダー本体構成要素の溝要素に着脱自在に装入されるものである、前記第2のスライダー本体構成要素とを有する。
【0014】
本発明はさらにファスナー装置を提供し、このファスナー装置は、(1)第1のファスナー軌道にスライド自在に結合されたスライダー本体と、(2)前記第1のファスナー軌道に取着された第1のロッキング本体部であって、第1の磁石を含む第1のハウジング要素を有し、さらに、前記スライダー本体部と可逆的に相互作用する第1の垂直要素を有するものである、前記第1のロッキング本体部と、(3)第2のファスナー軌道に取着された第2のロッキング本体であって、第2の磁石を含む第2のハウジング要素を有し、さらに、第2の垂直要素を有するものであり、前記第1および第2のロッキング本体部は、前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を可逆的に形成するものである、前記第2のロッキング本体部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面とともに以下の発明の詳細を読むことによってさらに十分に理解される。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従った、アセンブリされていない状態のアセンブリの右側部分および左側部分を有し、箱部分の内部を示す一方向分離ファスナーアセンブリの側立面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従った、アセンブリされていない状態のアセンブリの右側部分および左側部分を有し、蝶棒部分の内部を示す一方向分離ファスナーアセンブリの側立面図である。
【図3】図3は、アセンブリされていない状態の右側部分および左側部分のファスナーアセンブリを有する本発明の正面図である。
【図4】図4は、組み立てられた蝶棒および箱と、組み立てられていないスライダー本体とを有する本発明の側立面図である。
【図5】図5は、組み立てられた蝶棒および箱から引き離れた、組み立てられたスライダー本体を有する本発明の側立面図である。
【図6】図6は、アセンブリされていない状態のアセンブリの右側部分および左側部分を有する本発明の第2の実施形態の正面図である。
【図7】図7は、アセンブリされていない状態のアセンブリの右側部分および左側部分を有する本発明の第2の実施形態の正面図である。
【図8】図8は、組み立てられた構成のアセンブリの右側部分および左側部分を有する第2の実施形態の正面図である。
【図9】図9は、スライダー本体が蝶棒および箱アセンブリから引き離れた、組み立てられた構成の蝶棒および箱アセンブリの右側部分および左側部分を有する第2の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、図面(同様の参照番号が幾つかの図面にわたって同一のまたは対応する部品に指定されている)を参照すると、図1〜3において、アセンブリされる前のファスナー装置の立面図が示されている。前記ファスナー装置は4つの独立した連動構成要素を含み、すなわち箱12と、蝶棒14と、スライダー本体の一方の半分部分である第1のスライダー本体構成要素16と、前記スライダー本体のもう一方の半分部分である第2のスライダー本体構成要素18とを含む。
【0017】
箱12は、第1のファスナー軌道の下端に固着される。箱12には、アセンブリの際、蝶棒14を着脱自在に取付けるための空洞20がある。空胴20の内部には磁石24の周囲に延在するスリーブ22があり、前記ファスナー軌道(図示せず)の位置合わせを容易にするのと同時に前記箱および蝶棒のアセンブリを促進する。前記箱の上唇部26と下唇部28中にそれぞれ穴部30および32が形成され、これら穴部はアセンブリの際、蝶棒14のペグ34および36を受け入れる。
【0018】
第1のスライダー本体構成要素16は、箱12に着脱自在に取着されており、且つ前記第1のファスナー軌道に永久的に取り付けられている。ただし、当該軌道の全長に沿って移動自在である。スライダー本体構成要素16は3つの永久的に結合された部分、すなわち、主本体部38と、上腕部40と、下腕部42とから構成されている。前記第1のスライダー本体構成要素の主本体部には前記スライダー本体の全長に沿って空洞44が形成されており、前記スライダー本体がアセンブリされて務歯とアクティブに噛合および噛合解除されるときこの空洞を介して前記第1のファスナー軌道が移動する。上腕部40および下腕部42は、主本体部38の上面41および下面43から外側に前記第1のファスナー軌道と反対方向に延出している。上面41から突出し、上腕部40で終端する隆起部45と、下面43から突出し、下腕部42で終端する隆起部47とがある。第2のスライダー本体構成要素18とのアセンブリを促進するため、上腕部40は埋め込まれ且つ一部露出している磁石46を含み、この磁石が前記第2のスライダー本体の上腕部50に同様に埋め込まれ且つ一部露出している磁石48を引きつける。前記第1のスライダー本体の下腕部42は同様の磁石52を含み、これは前記第2のスライダー本体の下腕部56内の磁石54を引きつけ、ファスナーが開いた状態に前記スライダー本体がスライドしている間当該スライダー本体を1つにして保持する。
【0019】
蝶棒14は第2のファスナー軌道の下端に固着されており、且つ第2のスライダー本体構成要素18に着脱自在に取り付けられている。非可撓性壁部58は、前記蝶棒の主本体部58から外側へ延出する。壁部58の上部および下部にはそれぞれ可撓的に取着された上腕部60および下腕部62がある。腕部60および62は、お互いから離れる方向に付勢されている。上腕部60の外面にはペグ34が取着されており、前記ファスナー構成要素がアセンブリされたとき、前記箱の上唇部26に形成された穴部30の中に装入される。同様に、下腕部62の外面は、前記箱の下唇部28に形成された穴部32に装入されるペグ36を含む。腕部60および62には、前記蝶棒の主本体部に埋め込まれ且つ一部露出している磁石66を含む空洞64が形成されている。
【0020】
第2のスライダー本体構成要素18は、着脱自在に蝶棒14に取着されており、且つ前記第2のファスナー軌道に永久的に取り付けられている。ただし、当該軌道の全長に沿って移動自在である。スライダー本体構成要素18は4つの固着された部分から構成されており、すなわち主本体部68と、上腕部50と、下腕部56と、プルタブ57とから構成されている。前記第2のスライダー本体構成要素の主本体部には前記スライダー本体の全長に沿って空洞70が形成されており、前記スライダー本体がアセンブリされて務歯とアクティブに噛合および噛合解除されるときにこの空洞を介して前記第1のファスナー軌道が移動する。上腕部50および下腕部56は、主本体部68の上面72および下面74から側面方向に、且つ前記第2のファスナー軌道を挟んで反対方向に突出している。上腕部50の下面76には、その表面76の全長にわたる溝部78が形成されている。同様に、下腕部56の上面80にはその表面80の全長にわたる溝部82が形成され、これにより溝部78および溝部82は、前記ファスナーがアセンブリされていない状態のとき相互に向き合う。前記第1のスライダー本体構成要素16とのアセンブリを促進するため、上腕部50は埋め込まれ且つ一部露出している磁石48を含み、この磁石が前記第1のスライダー本体の上腕部40の磁石46を引きつける。前記第2のスライダー本体の下腕部56は、前記第1のスライダー本体の下腕部42の磁石を引きつける同様の磁石54を含む。
【0021】
蝶棒14および第2のスライダー本体構成要素18がアセンブリされるとき、前記スライダー本体構成要素の上腕部50および下腕部56は、前記蝶棒の腕部60および62をそれらの付勢に逆らって相互に接近する方向に押動する。これにより、前記蝶棒の腕部60および62は空洞20に容易に装入され、且つ前記蝶棒および前記箱が早期にロックされるのを防ぐ。
【0022】
図4は、前記アセンブリされた蝶棒および箱と前記アセンブリされていないスライダー本体とを有する本発明の側立面図である。前記蝶棒および箱がアセンブリされると、箱12のスリーブ22は蝶棒14の空洞14にぴったりと装入される。前記箱の磁石24と前記蝶棒の磁石66との間の引力により、2つの構成要素が整列され密着することが助長される。選択的に、磁石24または磁石66のいずれかの1つを強磁性材料と置き換えることができ、これにより前記2つの構成要素はさらなる引力を形成するようになる。前記強磁性材料は、磁力に強力な相互作用を示すあらゆる材料または部材である。例えば、この材料は天然元素若しくは鉱物、希土類金属、または合金である。
【0023】
一旦箱12および蝶棒14が着脱自在に取着されると、前記第2の本体構成要素の上腕部50に形成された溝部78は前記第1の本体構成要素の隆起部45に沿って自由にスライドすることができる。同様に、前記第2の本体構成要素の下腕部56に形成された溝部82は隆起部47に沿って自由にスライドできる。第2のスライダー本体構成要素18が前記隆起部に沿って前記第1のスライダー本体構成要素の上腕部40および下腕部42に向かってスライドする際、スライダー本体構成要素18の磁石48および54は、スライダー本体構成要素16の磁石46および52を引きつける。
【0024】
さらに、前記第2のスライダー本体構成要素が前記第1のスライダー本体構成要素とともに蝶棒14から離れるようにスライドすると、箱12の空洞20内に現在位置している前記蝶棒の可撓性の腕部60および62は付勢された状態に戻る。前記箱の穴部30および32が図5に示すように前記蝶棒の腕部にあるペグ34および36を受け入れることによって、蝶棒14および箱12が着脱自在に連結される。前記スライダーアセンブリが前記箱および蝶棒アセンブリのある位置に戻ると、腕部60および62には再びそれらの付勢に対抗する力が加えられる。この状態になると、前記ペグは加えられた力によって前記穴部から外れて前記腕部は空洞20からスライド自在になる。
【0025】
上述した弾性連結要素に加えて、蝶棒14および箱12は、蝶棒14および箱12を可逆的に相互作用するのを可能にするあらゆる機構を有するように設計することもできる。例えば、前記可逆的な相互作用は、前記箱の磁石24および前記蝶棒の磁石66のみを使用して任意の追加のロッキング要素なしで達成することができる。
【0026】
前記箱の磁石24と前記蝶棒の磁石66との間の引力により、前記2つの構成要素が整列され密着することが助長される
【0027】
前記スライダー本体が完全にアセンブリされると、図5に示すように、前記第1のスライダー本体構成要素の腕部は、前記第2のスライダー本体構成要素の腕部と同一平面となる。前記アセンブリスライダー本体(概略的に84として言及する)は、前記ファスナー軌道の全長にわたって移動自在である。前記第1および第2のロックされていないファスナー軌道が前記スライダー本体を通って移動するとこれらに強制的ば相互作用が起こり、前記スライダー本体から外側に移動するとき単一連結要素となる。
【0028】
前記務歯のロックを外す場合、前記アセンブリスライダー本体は前記軌道に沿って引き戻されて、前記連結務歯が再度前記スライダー本体に入る。前記スライダー本体内の楔部は、前記連結務歯を強制的に離して前記軌道を相互に分離する。
【0029】
図6は、本発明の第2の実施形態の正面図である。前記ファスナー装置は3つに分かれた連結構成要素を有し、すなわちスライダー本体102、第1の下部本体104、および第2の下部本体106を有する。この実施形態において、下部本体104および106は、前記従来の蝶棒および箱アセンブリと置き換えることができる。第1の下部本体104は、前記第1のファスナー軌道108の下端に固着されている。好ましい実施形態において、第1の下部本体104は丸みを帯び、且つ埋め込まれ一部露出する磁石83(図7に示す)を含み、この磁石は第2の下部本体106に同様に埋め込まれ一部露出する磁石112を引きつける。
【0030】
スライダー本体102は、着脱自在に第1の下部本体104に取着されており、且つ第1のファスナー軌道108に永久的に取り付けられている、ただし、前記軌道の全長にそって移動自在である。スライダー本体102は、選択的に、ループ状のものまたは前記スライダー本体を前記ファスナー軌道に上下に引っ張るのに使用される同様の構成要素を留めるまたはつなぐための構造84を有する。スライダー本体102の主本体部には、当該スライダー本体の両側の全長に沿って空洞86(図7に示す)が形成されており、前記スライダー本体が前記務歯とアクティブに噛合および噛合解除されるときにこの空洞を介して第1のファスナー軌道108および第2のファスナー軌道100が移動する。
【0031】
第2の下部本体106は、第2のファスナー軌道110の下端に永久的に取り付けられている。好ましい実施形態において、第2の下部本体106は、下部本体104の磁石83を引きつける磁石112を含む。選択的に、磁石112または下部本体106の前記磁石のいずれか1つが強磁性材料と置き換えることができ、これにより前記2つの構成要素はさらなる引力を形成するようになる。下部本体106はまた、ファスナー軌道110の両側に延長部90を有する。アセンブリの間、延長部90がファスナー軌道110の適切な配列にスライダー本体102を導くことにより、前記ファスナー軌道は前記スライダー本体の空洞86に入る。
【0032】
1つの実施形態において、下部本体106は、延長案内要素92を有する。前記案内要素は、下部本体106と一列に並ぶように下部本体104を促しかつ導くことにより、スライダー本体102を適切な配向になるようにする。前記案内要素は、図8に示すように下部本体104の上部部分を受け入れる開口部で下部本体104を覆って適合するように設計することができる。この開口部は、下部本体104の補完的な、平面を受け入れる面に沿てぴったりと合う平面端部を両側に有する。図6は、下部104の裏側の補完的な、平面を受け入れる面(図示せず)を超えてスライドする、案内要素92の開口部の1つの平面端部94を示す。また、図6は、案内要素92の開口部の向かい側の平面端部(図示せず)を受け入れる補完的な平面96を示す。これら面部の対合は、前記機構の2つの下部本体が一緒になる際に適切に配列されるように当該2つの下部本体を回転させ、これによりスライダー本体102の前記ファスナー軌道との適切な配列を促進する。
【0033】
案内要素92は、さらに前記2つの下部本体の整列を促進し、そして結果として前記スライダー本体の整列も促進するように円錐形状にすることができる。例えば、前記案内要素の壁は底部で比較的厚く、最上部で比較的薄くすることができ、前記反対側の下部本体が前記案内要素に挿入される際に前記壁の狭窄は前記下部本体を適切に配列させる。
【0034】
前記案内要素はまた、図6に示すように前記要素の領域の前記ファスナー軌道の反対側に開口部を形成することもできる。これにより使用者は、従来の蝶棒および箱ファスナーアセンブリのように下から下部本体104を引いて案内要素92の中に入れることができる。
【0035】
好ましい実施形態において、下部本体104の磁石83と下部本体106磁石112は、強い磁石相互作用を形成するがお互いに物理的に接触しない近さに近づけられる。これは磁気相互作用を最大限に発揮させるが、使用者は前記下部本体を簡単に引き離すことができる。
【0036】
図7は、本発明の、非アセンブリ構造の前記アセンブリの右部分と左部分とを有する第2の実施形態の正面図である。この図面では、下部本体104の磁石83が見えており、スライダー本体の102の空洞86も見えている。
【0037】
図8は、本発明の、アセンブリ構造の第2の実施形態の正面図である。第1の下部本体104および第2の下部本体106が近接近すると、当該本体に含まれる前記磁石はお互いに引きつけ合って、アセンブリ構造に引き入れられる。前記アセンブリ構造において、第2の下部本体106の延長部90は、ファスナー軌道110の適切な方向にスライダー本体102を導く。結果として、軌道108および1100の前記務歯は近接近に近づけられ、スライダー本体102は前記ファスナー軌道の全長をにわたって自由に移動する。前記第1および第2のロックされていないファスナー軌道が前記スライダー本体を通って移動する際、これらは強制的に相互作用されて前記スライダー本体から単一連結要素として出る。前記務歯のロックを外すとき、スライダー本体102は前記軌道に沿って引き戻されて、前記連結務歯が再び前記スライダー本体に入る。前記スライダー本体内の楔部は、前記連結務歯を強制的に離して前記軌道を相互に分離する。
【0038】
図9は、スライダー本体102が引かれて前記蝶棒および箱アセンブリから離れている、前記アセンブリ構造の前記蝶棒および箱アセンブリの前記右部分および左部分を有する第2の実施形態の正面図である。下部本体106は、選択的に、前記下部本体からファスナー軌道108に沿って延出する延長部88を具備することができる。前記延長部は、スライダー本体102の内部に適合するように設計することができる。延長部88はまた、下部本体104とファスナー軌道108の第1の務歯との間に剛性および/または整列を保持するように設計することができる。この剛性および整列は、前記スライダー本体が適切に機能するのを補助する。延長部88はスライダー本体102のエレメント(図示せず)と可逆的に係合するエレメント98を具備し、前記スライダー本体が引かれるまで当該スライダーを定位置に保持することができる。スライダー本体102を下部本体104および106の結合によって形成される基底構造と容易に係合できるようにするため、延長部88は引込みエレメント100を具備するように設計できる。引込みエレメント100は延長部88から水平に延出して、前記ファスナー機構の反対側と可逆的に相互作用することができる。好ましい実施形態において、引込みエレメント100の上端部は、スライダー本体102を前記基底構造上に案内するように先細りしている。
【0039】
スライダー本体102が適切に機能するのを助長する別の機構は、ファスナー軌道108に先細りまたは狭窄した第1の務歯を使用することである。前記先細りは、前記スライダーが前記務歯により容易に係合するのを可能にする。また、スライダー本体102は、前記第1の務歯が前記スライダーと係合するのを促進する引込みエレメント(図示せず)を具備するように修正することも可能であり、或いは前記反対側のファスナー軌道と相互作用する前記上端部により幅広い開口部を有するように修正することも可能である。
【0040】
本発明の更に別の実施形態において、前記2つの下部本体は、隣り合わせになるのではなく1つのものが他のものの上部に組み合わされて前記ファスナー軌道を整列させる。この構成において、前記最上部の下部本体は、前記最下部の下部本体の磁石または補完的な要素と相互作用するように配置された磁石または他の要素を含む。ひとたび前記下部本体が適切に一直線に並べられると、前記スライダー本体も適切に一直線に並べられ、当該スライダー本体が前記ファスナー軌道を噛み合わせるのに使用できる。
【0041】
本発明を好ましい実施形態と関連させて説明してきたが、特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲を逸脱しない範囲で本発明に修正、変更、および追加を加えることができることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナー装置であって、
第1のファスナー軌道に取着され、第1の磁石と、少なくとも第1の係合要素とを有する蝶棒と、
第2のファスナー軌道に取着され、第2の磁石と、前記第1の係合要素を補完する少なくとも第2の係合要素とを有する箱であって、前記蝶棒および箱は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を形成し、前記蝶棒の第1の係合要素は前記箱の第2の係合要素と可逆的に相互作用するものである、前記箱と、
前記第1の係合要素を前記第2の係合要素から可逆的に係脱させる少なくとも1つの解放要素を有する第1のスライダー本体部と
を有するファスナー装置。
【請求項2】
請求項1記載のファスナー装置において、前記第1の係合要素は弾性部材であり、前記第2の係合要素は当該弾性部材を可逆的に受け入れるものであるファスナー装置。
【請求項3】
請求項1記載のファスナー装置において、前記第1または第2の磁石は少なくとも部分的に強磁性材料を有するものであるファスナー装置。
【請求項4】
請求項1記載のファスナー装置において、前記第1のスライダー本体部は、さらに第3の磁石を有し、且つ少なくとも1つの隆起要素が形成されているものであり、
このファスナー装置は、さらに、
第4の磁石を有し、且つ少なくとも1つの溝要素が形成されている第2のスライダー本体構成要素であって、前記第1および第2のスライダー本体構成要素は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一スライダー本体部を形成し、前記第1の構成要素の隆起要素は前記第2のスライダー本体構成要素の溝要素に着脱自在に装入されるものである、前記第2のスライダー本体構成要素を有するものである
ファスナー装置。
【請求項5】
請求項4記載のファスナー装置において、前記第1、第2、第3、および第4の磁石は、強磁性材料と置き換えられるものであるファスナー装置。
【請求項6】
請求項1記載のファスナー装置において、前記第1および第2の係合要素は、互いに連結されるようになっているものであるファスナー装置。
【請求項7】
ファスナー装置であって、
第1のファスナー軌道にスライド自在に結合されたスライダー本体部と、
前記第1のファスナー軌道に取着された第1のロッキング本体部であって、第1の磁石を含む第1のハウジング要素を有し、さらに、前記スライダー本体部と可逆的に相互作用する第1の垂直要素を有するものである、前記第1のロッキング本体部と、
第2のファスナー軌道に取着された第2のロッキング本体部であって、第2の磁石を含む第2のハウジング要素を有し、さらに、第2の垂直要素を有するものであり、前記第1および第2のロッキング本体部は前記第1および第2の磁石の解放自在な相互作用を介して単一要素を可逆的に形成するものである、前記第2のロッキング本体部と
を有するファスナー装置。
【請求項8】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1および第2の磁石は強磁性材料であるファスナー装置。
【請求項9】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1および第2のロッキング本体部は、さらに、突出案内要素を有するものであるファスナー装置。
【請求項10】
請求項9記載のファスナー装置において、前記突出案内要素は、前記第1および第2のロッキング本体の少なくとも一部を可逆的に受け入れる空洞を有するものであるファスナー装置。
【請求項11】
請求項10記載のファスナー装置において、前記空洞は、基部から遠端部に向かって徐々に狭くなる壁によって少なくとも部分的に形成されているものであるファスナー装置。
【請求項12】
請求項10記載のファスナー装置において、前記空洞は開口部を有する壁によって少なくとも部分的に形成され、この壁はさらに開口部を有し、これにより当該壁は当該空洞を完全に包囲しないものであるファスナー装置。
【請求項13】
請求項12記載のファスナー装置において、前記空洞はさらに、前記開口部の各側部に平面を有し、前記第1または第2のロッキング本体部の補完的な平面上に可逆的にスライドするものであるファスナー装置。
【請求項14】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1および第2のハウジング要素は、前記第1および第2の磁石間の物理的接触を妨ぐが、当該前記第1および第2の磁石の間の磁気相互作用を許容するものであるファスナー装置。
【請求項15】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1のファスナー軌道の第1の務歯は、前記スライダー本体と当該第1の務歯の間に相互作用を促進するように修正されるものであるファスナー装置。
【請求項16】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1の垂直エレメントは、前記スライダー本体部と可逆的に相互作用するロック機構を有するものであるファスナー装置。
【請求項17】
請求項7記載のファスナー装置において、前記第1の垂直エレメントは、前記第2のファスナー軌道に向かって延出する突出水平エレメントを有するものであるファスナー装置。
【請求項18】
請求項17記載のファスナー装置において、前記突出水平エレメントの上端部は先細りしているものであるファスナー装置。
【請求項19】
請求項7記載のファスナー装置において、前記スライダー本体部は、前記第1のファスナー軌道の第1の務歯が当該スライダー本体と係合するのを促進するように修正されるものであるファスナー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−529973(P2012−529973A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516174(P2012−516174)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038538
【国際公開番号】WO2010/147906
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511304224)ディーエヌエス デザインズ、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】