説明

ファブリー病のマーカー及び治療薬としてのテトラヒドロビオプテリンの使用

テトラヒドロビオプテリン(BH4)、BH4の前駆体及び代謝産物並びに他の関連補因子を含むファブリー病の動物モデル及び患者における治療有効性を追跡するためのバイオマーカーとしての、ファブリー病患者の代謝状態及び健康上の合併症のリスクの血液及び組織マーカーを本明細書に開示している。本発明はさらに、ファブリー病の、血管、心臓及び腎臓の症候を予防し、遅らせ又は改善する、ファブリー病の治療選択肢としてのBH4療法の使用を記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に新規バイオマーカー及び治療薬の分野に、より詳細にはファブリー病のバイオマーカー及び治療薬としての補因子テトラヒドロビオプテリン(BH4,tetrahydrobiopterin)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を制限するものではないが、本発明の背景は、(i)ファブリー病の診断及び重症度の新規バイオマーカーとして、(ii)種々の治療法の代謝補正を追跡するためのマーカーとして及び(iii)ファブリー病の補充療法としての、ファブリー病へのテトラヒドロビオプテリン(BH4)の使用に関連して記載する。
【0003】
米国特許出願公開第2002/0052374号明細書(Rabelink, et al., 2002)は、一酸化窒素(NO,nitric oxide)レベルに影響を与えるのに好適な医薬製剤の形態で一酸化窒素シンターゼ(NOS,nitric oxide synthase)の活性を調節することによって、詳細にはスーパーオキシド(O)の産生を減少させ且つ一酸化窒素(NO)の合成を亢進することによる一酸化窒素シンターゼ(NOS)活性の調節によって心血管障害又は神経障害を治療又は予防するための、少なくとも葉酸又は葉酸塩及びテトラヒドロビオプテリン(BH)又はその誘導体の使用を記載している。
【0004】
国際公開第2008/075959号パンフレット及び国際公開第2008/075957号パンフレット(Aerts, 2008)は、ファブリー病の診断を可能にする病原因子を開示している。詳細には、リソ−セラミドトリヘキソサミド(lyso−CTH,lyso-ceramide trihexosamide)が、血漿中の病原因子の同定に基づく、ファブリー病の診断マーカー及び改善されたファブリー病治療法として機能することが発見されている。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0197341号明細書(Woolf et al., 2005)は、テトラヒドロビオプテリン(BH4)の生物活性を低下させる組成物を、BH4の過剰産生による末梢神経病変の疼痛及び増悪を治療、軽減又は予防するのに充分な量で投与することによる、哺乳類の末梢神経病変の疼痛又は影響若しくは発現の治療、軽減又は予防方法を教示している。
【0006】
米国特許第4,774,244号明細書(Curtius et al., 1988)は、L−エリスロ−5,6,7,8−テトラヒドロビオプテリン、L−セピアプテリン、1’,2’−ジアセチル−5,6,7,8−テトラヒドロビオプテリン及び6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロプテリンの使用が、パーキンソン病患者及び鬱病患者の治療に採用され得ることを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0052374号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/075959号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/075957号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0197341号明細書
【特許文献5】米国特許第4,774,244号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明は、血液及び組織中のBH4レベルの測定を記載する。測定レベルは、ファブリー病の重症度及び合併症リスクのマーカーとして、さらには、ファブリー病の種々の治療法の代謝補正を追跡するためのマーカーとして役立つ。本発明はさらに、ファブリー病の有用な治療法としてのBH4補充を記載する。
【0009】
第1の実施形態において、本発明は、(i)ファブリー病の疑いがある対象から試料を採取するステップと、(ii)ファブリー病の疑いがある対象からの試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを、ファブリー病にかかっていない健常対象のレベルと比較するステップと、(iii)試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の、対象と健常対象との間での統計的に有意な減少に基づいて、対象がファブリー病にかかっているか否かを判定するステップとを含むファブリー病の診断方法である。テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを測定するための試料は、体液試料であり、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルの測定に用いる分析法は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC,high pressure liquid chromatography)法である。
【0010】
本発明の一態様において、関連補因子は、有機補因子、フラビン含有補因子、ヘム含有補因子、無機補因子、金属イオン含有補因子、鉄硫黄クラスター又はそれらのいかなる組合せをも含む。別の態様において、ファブリー病の疑いがある対象のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルは、健常対象と比較して、20%、30%、40%、50%、60%、80%、90%及び100%低い。
【0011】
本発明の別の実施形態は、ファブリー病にかかっている対象に対する治療的介入の有効性を監視する方法を対象とする。この方法は、ファブリー病に対する1種又は2種以上の治療薬を含む1種又は2種以上の医薬組成物を1又は2以上の所定の間隔で対象に投与するステップと、対象から試料を採取するステップと、ファブリー病の疑いのある対象の試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを、治療的介入の開始前の同一対象のレベルと比較するステップと、治療的介入の開始前後における対象からの試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、治療的介入が有効か否かを判定するステップとを含む。
【0012】
対象から採取する試料は、体液試料である。関連する態様において、この方法は、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、治療的介入を終了又は継続させるステップを含む。さらなる態様において、この方法は、治療的介入の開始前後におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、治療的介入を変更するステップを含み、前記変更は1種又は2種以上の医薬組成物の用量、投与回数又は両者の増加又は減少を含む。
【0013】
一態様において、治療的介入は、酵素補充療法、鎮痛薬、透析、臓器移植、食事の変更又はそれらのいかなる組合せをも含む。別の態様において、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて定量する。さらに別の態様において、関連補因子は、有機補因子、フラビン含有補因子、ヘム含有補因子、無機補因子、金属イオン含有補因子、鉄硫黄クラスター又はそれらのいかなる組合せをも含む。さらなる態様において、治療的介入を受けている対象のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルは、治療開始前の同一対象のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルより高い。
【0014】
重要な一実施形態において、本発明は、水性又は非水性溶媒中に溶解、分散又は懸濁された、ファブリー病を治療するのに十分な治療有効量のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、誘導体又はそれらの塩のうち少なくとも1種と、水性又は非水性溶媒中に溶解、分散又は懸濁された、1種又は2種以上の任意選択の関連補因子、タンパク質、抗体、鎮痛薬及び他の医薬活性剤と、1種又は2種以上の任意選択の賦形剤、充填剤、希釈剤、持続放出又は制御放出作用剤、増量剤、粘着防止剤、結合剤、滑沢剤、保存剤又はそれらのいかなる組合せとをも含む、ファブリー病罹患対象のファブリー病を治療するための医薬組成物を記載する。
【0015】
関連する態様において、医薬組成物は、注入、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与、経口投与及び筋肉内投与する。一態様において、医薬組成物は、その医薬組成物の投与を受けている対象の試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルを、その医薬組成物の投与を受けていない対象の試料と比較して増加させる。
【0016】
さらに別の実施形態において、本発明は、(i)ファブリー病の治療の必要がある1又は2以上の対象を特定するステップと、(ii)ファブリー病を治療するのに十分な治療有効量のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、誘導体又はそれらの塩及び1種又は2種以上の関連補因子のうち少なくとも1種を含む1種又は2種以上の医薬組成物を投与するステップとを含む、1又は2以上の対象のファブリー病の治療方法を記載する。
【0017】
前記実施形態のさらなる延長において、この方法は、前記医薬組成物の投与後のファブリー病の進行を監視するステップをさらに含み、前記監視は、治療後にテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを測定するサブステップと、前記測定レベルを治療前の測定レベルと比較するサブステップとを含む。関連する態様において、この方法は、治療の開始前後における、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、治療を終了又は継続させるステップをさらに含む。
【0018】
さらに別の態様において、この方法は、治療の開始前後における、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、治療を変更するステップをさらに含み、前記変更は、1種又は2種以上の医薬組成物の用量、投与回数又は両者の増加又は減少を含む。
【0019】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、次に、添付図面と共に発明の詳細な説明に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】BH4の標準溶液中のBH4ピークを示すHPLCクロマトグラムである。
【図1B】マウス血漿試料中のBH4ピークを示すHPLCクロマトグラムである。
【図2】WT及びKOマウスの血漿試料中のBH4レベルの統計分析及び散布図である。
【図3】WT及びKOマウスの心臓組織試料中のBH4レベルの統計分析及び散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の種々の実施形態の作製及び使用について以下に詳述するが、本発明は、幅広い具体的状況で具体化され得る、多くの適用可能な発明概念を提供することを理解すべきである。本明細書中に記載する具体的な実施形態は、本発明を作製及び使用するための具体的なやり方を単に例示するものであり、本発明の範囲の限界を定めるものではない。
【0022】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。ここで定義する用語は、本発明に関連する領域における通常の技術を有する者(当業者)によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを意味することを意図せず、実例として具体例を使用できる一般的な種類も包含する。本明細書の専門用語は、本発明の具体的な実施形態を記載するために使用するのであって、それらの使用は、特許請求の範囲に概説されている場合を除いて、本発明の範囲の限界を定めるものではない。
【0023】
本明細書中で使用する用語「X連鎖障害」は、X染色体上の遺伝子の突然変異によって引き起こされる障害を意味する。X連鎖障害は、優性(例えば、レッツ症候群、色素失調症タイプII、アイカルディ症候群、クラインフェルター症候群など)又は劣性(例えば、血友病A、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、レッシュ−ナイハン症候群、男性型脱毛症、赤緑色盲など)のいずれの場合もある。
【0024】
用語「スフィンゴ糖脂質」は、スフィンゴイド又はセラミドの糖質含有誘導体を意味し、糖質残基は、グリコシド連結によってスフィンゴイドのO−1に付着している。用語「スフィンゴイド」は、長鎖脂肪族アミノアルコールを意味する。スフィンゴイドの不飽和誘導体は、各オレフィン中心の位置及び配置によって定義される。
【0025】
本明細書中で使用する用語「α−ガラクトシダーゼ」は、糖脂質及び糖タンパク質から末端α−ガラクトシル部分を加水分解させるグリコシドヒドロラーゼ酵素を意味する。本明細書中で使用する用語「酵素」は一般に、生化学的反応を触媒するタンパク質を意味する。これらの「生体高分子」は、アミド連結したアミノ酸を包含し、典型的には5,000以上の分子量を有する。特定の酵素によって反応が触媒される化合物を、典型的には酵素の「基質」と称する。一般に、6つのクラス又は型の酵素(触媒される反応の型によって分類される)が認められている。酸化還元反応、即ちレドックス反応を触媒する酵素を、一般にEC1(酵素クラス1)オキシドレダクターゼと称する。特異的なラジカル又は基の転移を触媒する酵素を、一般にEC2トランスフェラーゼと称する。加水分解を触媒する酵素を、一般にEC3ヒドロラーゼと称する。基質からの特異的化学基の脱離又は基質への特異的化学基の付加を触媒する酵素を、一般にEC4リアーゼと称する。異性化を触媒する酵素を、一般にEC5イソメラーゼと称する。基質単位の結び付き又は結合を触媒する酵素を、一般にEC6リガーゼと称する。
【0026】
用語「酵素補充療法」(ERT,enzyme replacement therapy)は、特定の酵素が欠損している、即ち、欠けている対象又は患者において酵素を補充する内科療法を意味する。通常、酵素補充療法は、酵素を含有する静脈内(IV)輸液を患者(例えば、ゴーシェ病、ファブリー病、MPS I、MPS VI及び糖原病II型のような何らかのリソソーム病にかかっている患者)に投与することによって行われる。ERTは、基礎疾患ではなく症状のみを「治療」する。
【0027】
本明細書中で使用する用語「バイオマーカー」は、疾患の進行又は治療の効果の診断及び測定に有用な特定の分子的な特徴を有する、体内の特異的生化学物質を意味する。例えば、ヒトの呼気中に見られる通常の代謝産物又はバイオマーカー及びこのような代謝産物を産生するヒトの各診断状態としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:アセトアルデヒド(発生源:エタノール、X−スレオニン;診断:中毒)、アセトン(発生源:アセトアセテート;診断:食事/糖尿病)、アンモニア(発生源:アミノ酸の脱アミノ化;診断:尿毒症及び肝疾患)、CO(一酸化炭素)(発生源:CHCl、%COHbの上昇;診断:屋内空気汚染)、クロロホルム(発生源:ハロゲン化化合物)、ジクロロベンゼン(発生源:ハロゲン化化合物)、ジエチルアミン(発生源:コリン;診断:腸内細菌の異常増殖)、H(水素)(発生源:腸;診断:乳糖不耐症)、イソプレン(発生源:脂肪酸;診断:代謝ストレス)、メタンチオール(発生源:メチオニン;診断:腸内細菌の異常増殖)、メチルエチルケトン(発生源:脂肪酸;診断:屋内空気汚染/食事)、O−トルイジン(発生源:癌腫代謝産物;診断:気管支癌)、硫化ペンタン及び硫化物(発生源:脂質過酸化反応;診断:心筋梗塞)、HS(発生源:代謝;診断:歯周疾患/排卵)、MeS(発生源:代謝;診断:肝硬変)、及びMeS(発生源:感染;診断:塹壕口内炎)。
【0028】
用語「テトラヒドロビオプテリン(BH4)又はその誘導体」は、全ての天然及び非天然立体異性体の形態のテトラヒドロビオプテリン、その薬学的に適合性の塩並びに異性体及び塩の全ての混合物を意味する。用語「テトラヒドロビオプテリン」はまた、テトラヒドロビオプテリンの全ての前駆体、特に7,8−ジヒドロビオプテリンを包含する。(6R)−テトラヒドロビオプテリンは、芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼの天然に存在する補因子であり、3種の多く見られる芳香族アミノ酸、チロシン、フェニルアラニン及びトリプトファン並びに神経伝達物質、ドーパミン及びセロトニンの合成に関与する。これはまた、L−アルギニンのL−シトルリン及び一酸化窒素への一酸化窒素シンターゼ触媒酸化にも必須である。テトラヒドロビオプテリンはまた、多くの他の生化学的機能に関与する。
【0029】
本明細書中に使用する用語「治療」又は「治療する」は、本発明の化合物のいかなる投与をも意味し、(1)疾患の病態若しくは総体症状を経験しているか若しくは示している動物においてその疾患を阻害する(即ち、病態及び若しくは総体症状のさらなる発現を阻止する)か、又は(2)疾患の病態若しくは総体症状を経験しているか若しくは示している動物においてその疾患を寛解させる(即ち、病態及び/若しくは総体症状を改善する)ことを包含する。
【0030】
本明細書中で使用する用語「血漿」は、赤血球細胞、白血球細胞及び血小板が懸濁しているタンパク液を意味する。血漿は、全血液量の約55%を構成する。血漿は、細胞外液の血管内液部分であり、そのほとんどは水(90容量%)であり、溶解しているタンパク質、グルコース、凝固因子、無機イオン、ホルモン及び二酸化炭素を含有している(血漿は排泄物を運搬するための主な媒体である)。
【0031】
本明細書中で使用する用語「高速液体クロマトグラフィー」(HPLC,high performance liquid chromatography)は、マトリックス(3〜50ミクロン)が充填されたカラム中における高圧下(約500〜3500psi)での分子の分離を意味する。分子は、大きさ、形状、電荷、疎水性及び他の分子に対する親和力などの物理的性質に従って分離される。一般に、被分離成分は、固定相の床及び固定床をパーコレートする移動相の2相間に分配される。種々の成分の混合物がクロマトグラフィープロセスに入り、異なる成分は異なる速度でシステムを通ってフラッシュされる。混合物が吸着物質上を移動する際のこのような移動速度差によって分離が行われる。試料が固定床上を移動する間に起こる収着/脱着反復動作が速度を決定する。固定相に対する分子の親和力が小さいほど、カラム中の滞留時間が短い。
【0032】
ファブリー病は、α−ガラクトシダーゼAの欠損によって引き起こされるスフィンゴ糖脂質のX連鎖障害である。ファブリー病は、全身性血管障害、進行性腎疾患、多くの心合併症及び虚血性脳卒中の発現危険因子である。ファブリー病は数十年にも及ぶ慢性障害であり、良好なバイオマーカーはない。
【0033】
本発明者らは、以前の研究で、特に血管壁及び血管内皮細胞中において非一酸化窒素(NO)反応性種(例えば、スーパーオキシド)の産生が増大し、それが内皮一酸化窒素シンターゼ(eNOS,endothelial nitric oxide synthase)の機能障害によって起こり得ることを示している。BH4は、正常なeNOS活性に必須な因子である。BH4欠損の場合には、eNOSは、NO産生から酸素フリーラジカルの発生に転じ、血管中の酸化ストレスを増大させて血管損傷をもたらす。
【0034】
BH4はまた、慢性的な圧負荷が加わっている心臓及び心臓に慢性的な圧負荷が加わっているマウスモデルでは欠損していることが判明した。BH4の補充は、同じモデルで心臓の異常を改善した。酵素補充療法は、ファブリー病に利用可能な唯一の特異的療法である。しかし、特に心臓の発現症状に関してはBH4の有効性が限られており、脳卒中を予防しない。疾患の進行の評価に有用であるバイオマーカーも、治療的介入の有効性評価の代替マーカーとなり得るバイオマーカーもない。
【0035】
本発明において実施した試験において、本発明者らは、GLA(α−ガラクトシダーゼAをコードする遺伝子)を完全にノックアウトしたファブリー病マウスモデルで、顕著なBH4欠損を血液(34%減少)及び心臓(48%減少)に認めた。
【0036】
動物モデルを用いた血漿及び組織中BH4検出のための分析方法:文献によく記載されているマウスモデルを、血漿及び組織中BH4検出に用いた(参考文献)。マウスは、National Institute of Neurological Disorders and Strokeにおいて作出された最初のコロニーの子孫であり、C57/b16 X 129/SVJの遺伝的背景を有するものであった。5月齢の雄マウスを使用した。同じ遺伝的背景を有する、年齢及び性別の一致した対照マウスを使用した。
【0037】
原理:分析方法は、電気化学的検出を用いるBH4の逆相HPLC分離による。還元セルで発生した電流を監視し、それを使用して、外部標準によるシステムの較正に基づいて生体試料中のBH4濃度を決定する。
【0038】
装置:HPLCポンプ及び冷却機能付きオートサンプラーは、Shimadzu社から入手した(LC-10AT VP series, SIL-10A)。電気化学的検出器、分析セル及びコンディショニングセル(conditioning cell)はESA社から入手した(それぞれ、ESA Coulochem II EC Detector、ESA Model 5011A Analytical Cell 及びESA Model 5021 Conditioning Cell)。HPLCカラム及びガードカラムは、Phenomenex社から入手した(それぞれ、Synergi Hydro-RP 250×3.0mm 4μ及びSynergi Hydro-RP 4×3.0mm 4μ)。HPLCは、Shimadzu社製のソフトウェア、Class VP Version 7.4によって制御した。
【0039】
化学薬品及び試薬:分析に使用する化学薬品及び試薬は全て、Sigma/Aldrich Chemical Co.社から購入した。テトラヒドロビオプテリン((6R)−5,6,7,8−テトラヒドロL−ビオプテリンジヒドロクロリド)、0.4M過塩素酸、ジチオエリスリトール、ジエチレントリアミン五酢酸(DETAPAC,diethylenetriamine pentaacetic acid)、酢酸ナトリウム三水和物、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA,ethylenediaminetetraacetic acid,2HO)。
【0040】
運転条件:流速を0.5ml/分に設定し、注入容量を5μlとした。カラムを周囲室温に保持した。クロマトグラフの運転時間を15分とした。
【0041】
試薬及び標準品の調製:移動相は、1リットルガラス容器中のMilli-Q水800ml中に溶解させた酢酸ナトリウム6.8g、クエン酸1.05g、EDTA 20mg及びジチオエリスリトール100mgからなる。溶液を、1000mlメスフラスコに移し、容量を1リットルに調整して、移動相を調製する。移動相を、ヘリウムを用いて10分間脱ガスし、容器上部をアルミ箔でしっかりと覆った。溶液を、HPLC移動相容器に移した。
【0042】
除タンパク溶液Aの調製は、DTE 20mg及びDETAPAC 20mgをPCA(0.4M)10ml中に溶解後、完全に溶解させるために10分間超音波処理することによって行う。
【0043】
希釈溶液Bの調製は、DTE 20mg及びDETAPAC 20mgをMilli-Q水 10ml中に溶解後、完全に溶解させるために10分間超音波処理することによって行う。
【0044】
BH4較正標準品は、使用日毎に新たに調製した。1:2(V/V)の試料希釈溶液/除タンパク溶液を、最終的に0.266M PCAとなるように加えた(希釈A)。BH4の原液を以下のようにして希釈した。250μMのBH4 100μlを、新鮮な0.266M PCA DTE/DETAPAC溶液900μlに加え、ボルテックスによってよく混合した(標準品B)。新鮮な0.266M PCA DTE/DETAPAC溶液900μlに標準品B 100μlを加え、ボルテックスによってよく混合した。新鮮な0.266M PCA DTE/DETAPAC溶液900μlに2.5μM BH4標準品100μlを加えることによって、(83.3nM BH4)の検量線用標準溶液を調製し、ボルテックスによってよく混合した。希釈溶液B 100μlに250nM標準品 50μlを加え、ボルテックスでよく混合した。検量線用標準品は、冷蔵庫中で4℃において最大8時間保存できる。
【0045】
血漿試料の調製:血液は、EDTA 5mgを含むツベルクリン注射器を用いて心臓穿刺によって得た後、直ちに採取管に移す。この血液はDTE 2mg及びDETAPAC 2mgを含んでいる。血液を4℃において8000rpmで5分間遠心分離することによって処理して、血漿を得る。50μLの血漿又は検量線用標準溶液(250nm)に、除タンパク溶液A 100μLを加え、ボルテックスによってよく混合し、続いて4℃において14,800rpmで5分間遠心分離する。血漿上清50μlを希釈溶液B 100μlに加え、ボルテックスによってよく混合する。血漿試料5μlをHPLCシステムに注入する。
【0046】
肝臓、腎臓及び心臓組織の調製:一酸化炭素による窒息によって安楽死させたマウスから得た組織を直ちに、ドライアイス上で凍結させ、分析時まで−80℃で保存した。分析日に、組織を、除タンパク溶液Aを用いて1:5希釈でホモジナイズし、4℃において14,800rpmで5分間遠心分離した。透明な上清100μLを取り出し、試料希釈溶液B 100μlに加え、ボルテックスによってよく混合し、続いて5μlをHPLCシステムに注入した。
【0047】
BH4濃度の計算:システムを83.3nM BH4の外部標準品で較正した。血漿濃度を算出するために、読み取り値に9を乗じて、最終値をnmol/Lで得る。組織中の濃度を算出するため、読み取り値に10を乗じて得た値(nmol/L)を1000で除して、値をnmol/gで得る。
【0048】
図1A及び1Bは、BH4標準溶液中のBH4ピーク及びマウス血漿試料中のBH4ピークを示すHPLCクロマトグラフである。図2及び3はそれぞれ、WT及びKOマウスの血漿試料及び心臓組織試料のBH4レベルの統計分析及び散布図を示す。
【0049】
本明細書中に記載した全ての実施形態は、本発明の全ての方法、キット、試薬又は組成物に関して実施可能であり、逆の場合も同じであることを企図する。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法の実施に使用可能である。
【0050】
本明細書中に記載した個々の実施形態は、実例として示すのであって、本発明の制限として示すのではないことは、理解されるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱しなければ、種々の実施形態において使用可能である。当業者ならば、本明細書中に記載した特定の手法と均等な多くの手法を、認識するか又はルーチン実験を用いるだけで確認できるであろう。このような均等物は、本発明の範囲内とみなし、「特許請求の範囲」に含める。
【0051】
本明細書中に記載した出版物及び特許出願は全て、本発明が関連する技術分野の当業者の技術レベルを示す。出版物及び特許出願は全て、それぞれの個々の出版物及び特許出願が参照によって具体的に且つ個別に組み入れられることが示された場合と同程度に、参照することによって本明細書中に組み入れる。
【0052】
用語「a」又は「an」は、特許請求の範囲及び/又は明細書中において「含む(comprising)」と共に使用する場合には、「1つ(種)(one)」の意味に使用できるが、「1つ(種)又は2つ(種)以上(one or more)」、「少なくとも1つ(種)(at least one)」及び「1つ(種)又は1つ(種)を超える(one or more than one)」の意味とも一致する。特許請求の範囲中における用語「又は」は、選択肢のみを意味することが明白に示されていない限り又は選択肢が相互排他的でない限り、開示が選択肢のみと「及び/又は」とを意味する定義を裏付けているとしても、「及び/又は」を意味するのに使用する。本出願全体を通じて、用語「約」は、値が、その値の決定に使用されるデバイス、方法に固有の誤差の変動又は、試験の対象間に存在する変動を包含することを示すのに用いる。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲において使用する用語「含む(comprising)」(及び「comprise」及び「comprises」などのその全ての形態)、用語「有する(having)」(及び「have」及び「has」などのその全ての形態)、用語「包含する(including)」(及び「includes」及び「include」などのその全ての形態)又は用語「含有する(containing)」(及び「contains」及び「contain」などのその全ての形態)は、包括的であるか又はオープンエンドであり、列挙されていないその他の要素又は方法のステップを除外しない。
【0054】
本明細書中で使用する用語「又はそれらの組合せ」は、この用語の直前に列挙した項目の、全ての順列及び組合せを意味する。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの少なくとも1つを包含することを意図するものであり、個々の状況で順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを包含することも意図する。この例を続けると、1つ又は2つ以上の項目又は用語の繰り返し、例えば、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどを含む組合せも明確に包含される。当業者ならば、典型的には、前後関係から特に明白でない限り、組合せ中の項目又は用語の数に制限がないことがわかるであろう。
【0055】
本明細書中に開示し且つ特許請求の範囲に記載した組成物及び/又は方法は全て、本開示に鑑みて、必要以上の実験を行うことなく、生成及び実施が可能である。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態に着目して記載したが、発明の概念、精神及び範囲から逸脱しなければ、本明細書中に記載した組成物及び/又は方法並びに方法のステップ又はステップの順序を変動できることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなこのような同様な置換形態及び変更形態は全て、添付した「特許請求の範囲」によって規定される、本発明の精神、範囲及び概念に含まれると考えられる。
【0056】
(参考文献)
米国特許出願公開第2002/0052374号明細書:一酸化窒素シンターゼ(nos)活性の調節によって心血管障害又は神経障害を治療又は予防するために使用される、少なくとも葉酸又は葉酸塩及びテトラヒドロビオプテリン(bh4)又はその誘導体を含む医薬製剤。
国際公開第2008/075959号パンフレット:ファブリー病の診断マーカー。
国際公開第2008/075957号パンフレット:ファブリー病の治療
米国特許出願公開第2005/0197341号明細書:疼痛の治療方法。
米国特許第4,774,244号明細書:プテリン誘導体の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファブリー病の疑いがある対象から試料を採取するステップと、
ファブリー病の疑いがある前記対象からの前記試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを、ファブリー病にかかっていない健常対象のレベルと比較するステップと、
前記試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の、前記対象と前記健常対象との間での統計的に有意な減少に基づいて、前記対象がファブリー病にかかっているか否かを判定するステップと
を含むファブリー病の診断方法。
【請求項2】
試料が体液試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて定量する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
関連補因子が、有機補因子、フラビン含有補因子、ヘム含有補因子、無機補因子、金属イオン含有補因子、鉄硫黄クラスター又はそれらの任意の組合せをも含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ファブリー病の疑いがある対象のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルが、健常対象と比較して、20%、30%、40%、50%、60%、80%、90%及び100%低い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ファブリー病に対する1種又は2種以上の治療薬を含む1種又は2種以上の医薬組成物を1又は2以上の所定の間隔で対象に投与するステップと、
前記対象から試料を採取するステップと、
ファブリー病の疑いのある前記対象からの前記試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを、治療的介入の開始前の前記同一対象のレベルと比較するステップと、
前記治療的介入の開始前後における前記対象からの前記試料中の前記の、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の前記測定レベルの前記比較に基づいて、前記治療的介入が有効か否かを判定するステップと
を含む、ファブリー病にかかっている対象に対する治療的介入の有効性を監視する方法。
【請求項7】
試料が体液試料である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療的介入の開始前後におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療的介入を終了させるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
治療的介入の開始前後におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療的介入を継続させるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
治療的介入の開始前後におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療的介入を変更するステップをさらに含み、前記変更が1種又は2種以上の医薬組成物の用量、投与回数又は両者の増加又は減少を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
治療的介入が、酵素補充療法、鎮痛薬、透析、臓器移植、食事の変更又はそれらの任意の組合せをも含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて定量する、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
関連補因子が、有機補因子、フラビン含有補因子、ヘム含有補因子、無機補因子、金属イオン含有補因子、鉄硫黄クラスター又はそれらの任意の組合せをも含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
治療的介入を受けている対象のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルが、治療開始前の前記同一対象の、前記テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルより高い、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
水性又は非水性溶媒中に溶解、分散又は懸濁された、ファブリー病を治療するのに十分な治療有効量のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、誘導体又はそれらの塩のうち少なくとも1種と、
水性又は非水性溶媒中に溶解、分散又は懸濁された、1種又は2種以上の任意選択の関連補因子、タンパク質、抗体、鎮痛薬及び他の医薬活性剤と、
1種又は2種以上の任意選択の賦形剤、充填剤、希釈剤、持続放出又は制御放出作用剤、増量剤、粘着防止剤、結合剤、滑沢剤、保存剤又はそれらの任意の組合せと
を含む、ファブリー病罹患対象のファブリー病を治療するための医薬組成物。
【請求項16】
注入、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与、経口投与及び筋肉内投与される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
医薬組成物の投与を受けている対象の試料中のテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルを、前記医薬組成物の投与を受けていない対象の試料と比較して増加させる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
ファブリー病の治療の必要がある1又は2以上の対象を特定するステップと、
テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体、誘導体又はそれらの塩及び1種又は2種以上の関連補因子のうち少なくとも1種を治療有効量で含む1種又は2種以上の医薬組成物を、ファブリー病を治療するのに十分な治療有効量で投与するステップと
を含む、1又は2以上の対象のファブリー病の治療方法。
【請求項19】
医薬組成物の投与後のファブリー病の進行を監視するステップをさらに含み、前記監視が、治療後にテトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種のレベルを測定するサブステップと、前記測定レベルを前記治療前の測定レベルと比較するサブステップとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療の開始前後における、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療を終了させるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
治療の開始前後における、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療を継続させるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
治療の開始前後における、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、前駆体又は代謝産物及び関連補因子のうち少なくとも1種の測定レベルの比較に基づいて、前記治療を変更するステップをさらに含み、前記変更が、1種又は2種以上の医薬組成物の用量、投与回数又は両者の増加又は減少を含む、請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−523570(P2012−523570A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504889(P2012−504889)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/030552
【国際公開番号】WO2010/118330
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】