説明

ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害に有用な三環式化合物

【発明の詳細な説明】
背景 1992年7月9日に刊行された国際公開番号WO92/11034号は、抗腫瘍剤と以下の式で表される増強剤とを同時に投与することにより、抗腫瘍剤に対して耐性である腫瘍の抗腫瘍剤に対する感受性を増大させる方法を開示している:

ここで、Y′は、水素、置換カルボキシレートまたは置換スルホニルである。このような増強剤の具体例としては、ロラタジンのような11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジンが挙げられる。
形質転換ポテンシャルを得るために、Ras癌タンパク質の前駆体は、カルボキシル末端テトラペプチドに位置するシステイン残基のファルネシル化(farnesylation)に供されなければならない。そのため、この改変を触媒する酵素であるファルネシル(farnesyl)タンパク質トランスフェラーゼのインヒビターは、Rasが形質転換に寄与する腫瘍に対する抗ガン剤として提案されている。変異した、発癌性形態のrasは、多くのヒトの癌においてしばしば見出され、最も顕著には、50%を超える結腸および膵臓癌において見出される(Kohlら、Science,第260巻、1834−1837,1993)。
ファルネシルタンパン質トランスフェラーゼの阻害に有用な化合物が、当該分野で望まれている。本発明により、このような寄与が提供される。
発明の要旨 本発明の三環式化合物によるファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害は、以前には報告されていない。従って、本発明は、本発明の三環式化合物を用いてファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害する方法を提供する。この化合物は、(i)インビトロで、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを潜在的に阻害するが、ゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼIは阻害しない;(ii)ファルネシル受容体であるトランスフォーミングRasの形態により誘導される表現型変化をブロックするが、ゲラニルゲラニル受容体に設計されたトランスフォーミングRasの形態によるものはブロックしない;(iii)ファルネシル受容体であるRasの細胞内プロセッシングをブロックするが、ゲラニルゲラニル受容体に設計されたRasはブロックしない;そして(iv)トランスフォーミングRasにより誘導される培地中での異常な細胞増殖をブロックする。
本発明は、有効量の本発明の化合物を投与することにより、細胞(形質転換細胞を含む)の異常な増殖を阻害する方法を提供する。細胞の異常な増殖とは、正常の調節メカニズムとは独立した細胞増殖(例えば、接触阻害の損失)を意味する。これは、以下の異常な増殖を含む:(1)活性化Rasオンコジーンを発現する腫瘍細胞(腫瘍);(2)他の遺伝子における発癌性変異の結果としてRasタンパク質が活性化されている腫瘍細胞;および(3)異常Ras活性化が起こる他の増殖性疾患の良性および悪性細胞。
クレームされた方法に有用な化合物は、式1.0で表される新規な化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である:

ここで、(1)R1は、以下から選択される基である:



R2は以下から選択される:(1)H、(2)C1〜C8アルキル、(3)C2〜C8アルケニル、(4)C2〜C8アルキニル、

ここで、上記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、必要に応じて、以下から独立して選択される1つ以上の基で置換される:(a)アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクロアルキル;上記アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、以下から独立して選択される1つ以上の基で置換される: (1)C1〜C4アルキル、 (2)tが1〜4である(CH2tOR8、 (3)tが1〜4である(CH2tNR8R9、または (4)ハロゲン、(b)C3〜C6シクロアルキル、(c)−OR8、(d)−SR8、(e)−S(O)R8、(f)−SO2R8、(g)−NR8R9

R3はH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(例えば、メチル)から選択され;
R4はH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(例えば、メチル)から選択され;
R5は、H、

から選択され;
R6はHまたはC1〜C6アルキル(好ましくは、メチルまたはエチル)から選択され;
R7はH、C1〜C6アルキル、ハロアルキルまたは−C(O)R11から選択され、ここで、R11はC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシまたは−NHR12(ここで、R12はC1〜C6アルキルまたはHである)でから選択され、あるいは、R7は天然アミノ酸のアシル基であり;
R8、R9およびR10は、独立して、H、C1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルは、必要に応じて、C1〜C4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロプロピル、ハロゲン、−OH、−C(O)R13、−SO2R13または−NR14R15(ここで、R13は、C1〜C4アルキルまたはアラルキルから選択され、かつR14およびR15は独立してH、C1〜C4アルキルまたはアラルキルから選択される)で置換され;ただし、置換基(e)、(f)または(k)においてR8はHでなく、そして置換基(h)または(n)においてR9はHでなく、そしてR8、R9またはR10が直接ヘテロ原子(例えば、O、SまたはN)に結合する場合、R8、R9またはR10はいずれも−CH2OHまたは−CH2NR14R15のいずれでもない。
R8およびR9が同一の窒素に結合する場合、必要に応じて、R8およびR9は、それらが結合する窒素と共に、5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
R9およびR10が同一の窒素に結合する場合、必要に応じて、R9およびR10は、それらが結合する窒素と共に、5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
−−−は任意の結合を表し;
Wは、CH(任意の結合が存在する場合)あるいはO、SまたはCH2(任意の結合が存在しない場合)から選択され;
XはCHまたはNから選択され;そして YはNまたはCHから選択される。
本発明はまた、本明細書中に記載される有効量の三環式化合物を、このような治療が必要とされる哺乳類(例えば、ヒト)に投与することにより腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。特に、本発明は、有効量の上記の化合物を投与することにより、活性化Rasオンコジーンを発現する腫瘍の増殖を阻害するための方法を提供する。阻害され得る腫瘍の例は、肺ガン(例えば、肺アデノカルシノーマ)、膵臓ガン(例えば、膵臓外分泌カルシノーマのような膵臓カルシノーマ)、結腸ガン(例えば、結腸アデノカルシノーマおよび結腸アデノーマのような結腸直腸カルシノーマ)、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、甲状腺濾胞ガン、骨髄形成異常症候群(MDS)、膀胱カルシノーマおよび表皮カルシノーマ包含するが、これらには限定されない。
本発明はまた、良性および悪性の両方の増殖性疾患(ここで、他の遺伝子中の発癌性変異の結果としてRasタンパク質が異常に活性化されている−すなわち、Ras遺伝子自身は発癌性形態への変異によって活性化されない−)を阻害する方法を提供し、この阻害は、有効量の本明細書中に記載されている三環式化合物を、このような治療が必要とされる哺乳類(例えば、ヒト)に投与することにより達成されると考えられる。例えば、良性の増殖性疾患である神経線維腫症、またはRasがチロシンキナーゼオンコジーン(例えば、neu、src、abl、lckおよびfyn)の変異または過剰発現によって活性化される腫瘍が、本明細書中に記載されている三環式化合物によって阻害され得る。
本発明の化合物は、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼおよびオンコジーンタンパク質Rasのファルネシル化を阻害する。本発明はさらに、有効量の上記の三環式化合物を投与することにより、哺乳類(特にヒト)のrasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害する方法を提供する。本発明の化合物の患者への投与は、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害して、上記のガンの治療に有用である。
本発明の方法に有用な三環式化合物は、異常な細胞の増殖を阻害する。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの化合物は、G−タンパク質(例えば、ras p21)機能のG−タンパク質のイソプレニル化のブロックによる阻害を介して機能し得、従って、増殖性疾患(例えば、腫瘍の増殖および癌)の処置に有用になり得ると考えられる。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの化合物は、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼを阻害し、従って、ras形質転換細胞に対して抗増殖活性を示すと考えられる。
発明の詳細な説明 本発明書で用いられるように、他に明記しなければ、以下の用語は以下のように定義されるように使用される: Acはアセチルを表し;
天然アミノ酸のアシル基は、式−C(O)C(NH2)R26R28の基(すなわち、以下の基)を意味する:

ここで、R26およびR28は、α炭素に結合するアミノ酸置換基を表す。例えば、R26およびR28は、H、アルキル、またはR30基で置換されたアルキルから独立して選択され得る。ここで、R30は、例えば、−OH、−SH、−SCH3、−NH2、フェニル、p−ヒドロキシフェニル、インドリルまたはイミダゾリルであり得る。従って、HO−C(O)C(NH2)R26R28は、例えば、アラニン、システイン、シスチン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシンまたはバリンから選択されるアミノ酸である。
アルキル(アルコキシ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノのアルキル部分を含む)は、直鎖状および分枝鎖状の炭素鎖を表し、そして1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を含み;
アルケニルは、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子、そして最も好ましくは3〜6個の炭素原子を含む、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖状および分枝鎖状の炭素鎖を表し;
アルキニルは、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を含む、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖状および分枝鎖状の炭素鎖を表し;
アラルキルは、上記定義したようなアルキル基を表し、ここで、1個以上の水素原子は、以下のように定義されるアリール基(例えば、ベンジル)で置換されている;
アリール(アリールオキシおよびアラルキルのアリール部分を含む)は、6〜15個の炭素原子を含み、少なくとも1つの芳香族環(例えば、アリールはフェニル環である)を有する炭素環式基を表し、炭素環式基の利用可能で置換可能な炭素原子の全ては、可能な結合点として意図され、この炭素環式基は、1つ以上のハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、CF3、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−COOR16(ここで、R16は、H、アルキル、アリールまたはアラルキル(例えば、ベンジル)を表す)、あるいは−NO2で、必要に応じて置換され(例えば、1〜3);そして Buは、ブチルを表し、 シクロアルキルは、3〜20個の炭素原子、好ましくは、3〜7個の炭素原子を有する、分枝鎖状または非分枝鎖状の飽和炭素環式環を表し;
Etは、エチルを表し、 ハロゲン(ハロ)は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを表し;
ハロアルキルは、1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されている、上記で定義されたアルキル基を表し;
ヘテロシクロアルキルは、飽和で、分枝鎖状または非分枝鎖状の炭素環式環であって、3〜15個の炭素原子、好ましくは、4〜6個の炭素原子を含む炭素環式環を表し、ここで、炭素環式環には−O−、−S−または−N−から選択される1〜3個のヘテロ基が介在し(適切なヘテロシクロアルキル基として、2−または3−テトラヒドロフラニル、2−または3−テトラヒドロチエニル、2−3−または4−ピペリジニル、2−または3−ピロリジニル、2−または3−ピペリジニル、2−または4−ジオキサニルなどが挙げられる);
ヘテロアリールは、必要に応じてR3およびR4で置換され、O、SまたはNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子(このヘテロ原子は、炭素環式環構造を介在し)を有し、かつ、芳香族性を提供するのに十分な数の非局在化π電子を有する環式基を表し、この芳香族ヘテロ環式基は、好ましくは、2〜14の炭素原子を含み、例えば、トリアゾリル、2−、3−または4−ピリジルまたはピリジルN−オキシドであり(必要に応じてR3およびR4で置換される)、ここで、ピリジルN−オキシドは、以下のように表され得る:

ヘテロアリールアルキルは、1個以上の水素原子がヘテロアリール基(上記で定義された通り)で置換されているアルキル基(上記で定義された通り)を表し;そして Phは、フェニルを表す。
本発明の代表的な化合物は、以下を包含する:

本発明の化合物に関して、好ましくは、Wは、CHまたはCH2であり、CH2が最も好ましく;好ましくは、YはNであり;好ましくは、XはNであり;好ましくは、R3はハロゲンであり、Br、ClまたはIが最も好ましく、Clがさらにより好ましく;そして、好ましくは、R4はハロゲンであり、Br、ClまたはIが最も好ましく、さらにBrがより好ましい。
本発明の代表的な化合物は、R1が以下から選択されるものを包含する:

本発明の代表的な化合物はまた、R1が以下から選択されるものを包含する:

本発明の代表的な化合物は、R1が以下から選択されるものを包含する:

本発明の代表的な化合物はさらに、R1が以下から選択されるものを包含する:

本発明の代表的な化合物はまた、R1が以下から選択されるものを包含する:

一般に、R1は、

であり、そして通常、R1は、R5が水素である場合の上記式(e)または(f)によって表される。
当業者は、R1置換基(e)、(f)、(g)および(h)が、それぞれ、ジスルフィド置換基(w)、(x)、(y)および(z)として存在し得ると理解する。
好ましくは、R2は以下から選択される:H、−C4H9、−CH2C6H5、−CH2CH2OCH3、−CH2CH2SCH3、−CH2CH2O−n−C3H7、−CH2CH2CH2OCH3

環系内に引かれた線は、示された結合が置換可能な環の炭素原子のいずれにも結合し得ることを示している。
本発明の特定の化合物は、異なる異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステレオ異性体)の形態で存在し得る。本発明は、純粋な形態および混合物(ラセミ混合物を含む)の両方でのこのような異性体すべてを意図している。エノール形もまた含まれる。
特定の三環式化合物は、本来、酸性である(例えば、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する化合物)。これらの化合物は、薬学的に受容可能な塩を形成し得る。このような塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、金および銀塩を包含し得る。薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミンなど)で形成される塩もまた意図される。
特定の塩基性三環式化合物はまた、薬学的に受容可能な塩(例えば、酸付加塩)を形成する。例えば、ピリド窒素原子は強酸と共に塩を形成し得、一方、塩基性置換基(例えば、アミノ基)を有する化合物はまた弱酸と塩を形成する。塩を形成するに適切な酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸が挙げられる。塩は、通常の方法で、遊離塩基形態と、塩を生成するに十分な量の所望の酸とを接触させることにより調製される。遊離塩基形態は、適切な希釈塩基水溶液(例えば、希NaOH水溶液、炭酸カリウム、アンモニアおよび重炭酸ナトリウム)で塩を処理することにより再生され得る。遊離塩基形態は、それぞれの塩形態と特定の物理的特性(例えば、極性溶媒中の溶解性)において幾分異なるが、その他の点では、酸および塩基の塩は、本発明の目的においてそれぞれの遊離塩基形態と同等である。
すべてのこのような酸および塩基の塩は、本発明の範囲内で薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして、すべての酸および塩基の塩は、本発明の目的に関して、対応する化合物の遊離形態と同等であると考えられる。
本発明の化合物を生成するために、以下のプロセスが使用され得る。以下に記載されるプロセス中の種々の中間体は、当業者に公知の方法によって製造され得る(例えば、米国特許第3,409,621号、米国特許第5,089,496号、WO89/10369、WO92/20681、WO93/02081およびWO95/00497(各々の開示は、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
本発明の化合物は、以下に記載されるように、式3.0のケトンから生成され得る:

式3.0の化合物は、公知であるか、または米国特許第5,089,496号、WO89/10369号、WO92/20681およびWO93/02081に記載される手順によって調製され得る。例えば、強酸(例えば、CF3SO3H)を用いて、約−15℃〜約100℃の温度で、以下のニトリル(式4.0)の分子内環化により、イミン中間体を形成する:

このイミン中間体を、水または酸水溶液を用いて加水分解し、式3.0のケトンを形成する。
あるいは、以下の酸クロライド(式5.0)の分子内フリーデル−クラフツアシル化によってもまた、所望される式3.0のケトンが得られ得る:

この反応は、通常のフリーデル−クラフツ条件下において、不活性溶媒中でルイス酸(例えば、塩化アルミニウム)の存在下で行われ得る。式5.0の酸クロライドは、式4.0の化合物の対応するカルボン酸への加水分解によって得られ得る。代表的には、これは、酸水溶液(例えば、HCl水溶液)を用いて加熱し、次いで、当業者に周知の標準的な条件下で、酸から式5.0の酸クロライドへ転換することによって行われ得る(例えば、SOCl2またはオキサリルクロライドで処理することにより)。
式3.2のケトン(すなわち、WがCHである式3.0の化合物)は、式3.1の化合物(すなわち、WがCH2である式3.0の化合物)を、酢酸中で、SeO2と共に加熱することによって調製され得る。


式3.0のケトンは、米国特許第3,409,621号に記載される手順に類似の手順により、以下の式6.0化合物に転換される:

ここで、LはClである。例えば、式3.0のケトンを水素化ホウ素ナトリウムのような試薬を用いて対応するアルコールに還元し、次いでヒドロキシ基を、ベンゼン(溶媒として)中、塩化チオニルのような試薬を用いてClに転換する。当業者は、上記ヒドロキシ基を他の脱離基(例えば、Br、I、メシルオキシまたはトシルオキシ)に転換し得る。
約25℃〜約100℃の温度において、適切な有機溶媒(ピリジンまたはベンゼン)中で、式6.0の化合物(ここで、LはCl)をシアン化物塩(例えば、CuCN、AgCNまたはNaCN)と反応させ、式7.0のニトリルを生成する。


式7.0のニトリルは、酸(R20がHである式8.0)またはエステル(R20が−CH3である式8.0)に加水分解され得る。酸水溶液(例えば、HCl)または酸(例えば、p−トルエンスルホン酸またはH2SO4)およびアルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)を用いて、加水分解は達成され得る。加水分解は、約25℃〜約80℃の温度で行われ得る。


あるいは、式6.0の化合物は、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)および溶媒(例えば、エタノール)を用いて還元され、式6.1の化合物を得る。この還元は約25℃の温度で行われる。式6.0の化合物はまた、約25℃〜約100℃(一般的には約80℃)の温度で、亜鉛および酢酸を用いて、式6.1の化合物をに還元され得る。


式6.1の化合物は、n−ブチルリチウムのような塩基、次いで二酸化炭素で処理して、式8.0のカルボン酸に直接転換され得る。
次いで、式8.0の化合物と式9.0の化合物とを反応させ、式10.0の化合物を得る。式8.0の化合物が酸(すなわち、R20がH)である場合、この反応は、カップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミド)を用いて、室温で、適切な溶媒(例えば、DMF(すなわち、N,N−ジメチルホルムアミド))中で行われる。式8.0の化合物がエステル(すなわち、R20が−CH3)である場合、この反応は、高温(例えば、約100℃)で、適切な溶媒(例えば、DMF)中で塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で行われる。


BOCは、t−ブトキシカルボニル(t−butyloxycalbonyl)である。
当業者は、式9.0の化合物が以下の2種の異性体として存在し得ることを理解し、そして好ましくは、本発明の化合物を製造するために式9.1の異性体が使用される:

式9.1の化合物が使用される場合、式1.1の化合物が得られる。
式10.0の化合物は、酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはHCl−ジオキサン)で処理することによって、脱保護(すなわち、BOC保護基が脱離する)され得、式10.1の化合物を生成し得る:

式10.1の化合物は、アシル化または還元的アルキル化によって、式1.1(ここで、XはNである)の化合物に転換され得る。
あるいは、約0℃で、塩化メチレンを用いて、式9.0の化合物とカルボニルジイミダゾールとを反応させ、式11.0の化合物を生成し得る:

式6.1の化合物を、ブチルリチウムで処理し、次いで、式11.0の化合物と反応させ、式10.0の化合物を生成し得る。次いで、式10.0の化合物は、上記のように脱保護され、式10.1の化合物を生成し得る。


スキーム1は、2−置換ピペラジンの合成を記載する。ここで、R2は、H、アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。スキーム1はまた、2−置換ピペラジンの合成を記載する。ここで、R2は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、これは、R8およびR9が−C(O)R13または−SO2R13のいずれでも置換される基であり得ないことを除いて、上記で定義された置換基(a)、(b)、(c)、(d)および(g)で置換される。スキーム1において、BOC−保護されたアミノ酸(12.0)は市販されているか、または当業者に周知の手順で製造され得る。これらのアミノ酸は、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、または塩化メチレン)中で、適切なカップリング剤(例えば、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)またはDEC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)を用いて、市販のN−ベンジルグリシンエチルエステルにカップリング(工程1)されて、式13.0の化合物を生成し得る。一般に、この反応は室温(すなわち、約25℃で行われる。BOC保護基は、クロロホルムまたはジオキサン中で、適切な試薬(例えば、トリフルオロ酢酸または塩化水素)で室温にて除去(工程2)される。脱保護されたジペプチドは、塩基性条件下で環化(工程3)されて式14.0の化合物を生成する。次いで式14.0の化合物は、還流エーテル(ジエチルエーテル)またはTHF中のLiAlH4を用いて還元(工程4)されて式15.0のピペラジンを得る。式15.0のピペラジンの無置換窒素は、当該分野で周知の手順によりBOC基で保護(工程5)されて式16.0の化合物を得る。N−ベンジル基は、接触水素化(例えば、約60psiの圧力下でPd/Cおよび水素ガスを用いて)により除去(工程6)されて式9.0の化合物を得る。


式9.0の化合物(ここで、R2は、(a)、(c)、(d)または(g)基で置換されるアルキル、アルケニル、またはアルキニルを表わし、ここで、R8またはR9が−C(O)R13または−S(O)2R13で置換される)は、スキーム2のプロセスに従い製造される。式9.0の化合物(ここで、R2は、−C(O)NR8R9または−C(O)OR8を表すか、またはR2は、基(e)、(f)、または(h)〜(o)で置換されるアルキル、アルケニル、またはアルキニルを表す)はまた、スキーム2のプロセスに従って製造される。式17.0の化合物(ここで、R22は、−OH基、−COOH基、または対応するそのエステルのいずれかを含むアルキル、アルケニル、またはアルキニル基である)は、市販されるか、または当該分野で公知の工程の手順により製造され得る。スキーム2において、式17.0の化合物は、スキーム1に記載の手順(工程1〜4)に従って反応し、式19,0の化合物(ここで、R23は、ヒドロキシ、置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である)を生成する。次いで式19.0の化合物は、BOC基で保護され、次いでスキーム1の手順(工程5および6)に従い脱ベンジル化されて式9.3の化合物を生成する。式9.3の化合物の無置換窒素は、当該分野に公知の手順によりCBZ基(ベンジルオキシカルボニル)で保護(工程7)されて式9.4の化合物を生成する。
R23が−CH2OHである場合、ヒドロキシ基は酸化されて対応するカルボキシル基−(COOH)が生成し得る。このカルボキシル基は、エステル化され、R2が−C(O)OR8である化合物を生成し得るか、またはカルボキシル基は、当該分野に周知の手順によりアミドに変換されて、R2が−C(O)NR8R9である化合物を生成し得る。
スキーム2の式9.0の化合物(ここで、R2は−C(O)OR8または−C(O)NR8R9以外の置換基(すなわち、置換基(5)および(6)である)を生成するために、R23のヒドロキシ基は、当該分野に周知の技術により脱離基(例えば、クロロ、メシルオキシ、またはトシルオキシ)に変換され得る。次いで脱離基は、以下のような種々の求核剤によって置換され得る:有機金属(置換基(a)を有するR2を生成する)、チオール(置換基(d)を有するR2を生成する)、スルフェニル(置換基(e)を有するR2を生成する)、スルフィニル(置換基(f)または(m)を有するR2を生成する)、アミン(置換基(g)を有するR2を生成する)およびアルコール(置換基(c)を有するR2を生成する)。R23のヒドロキシ基はまた、アシル化され得るか(置換基(j)または(k)を有するR2を生成する)、またはアルキル化され得る(置換基(c)を有するR2を生成する)。R23は、1つより多い炭素原子を有するアルキル、あるいはアルケニルまたはアルキニルである場合、そしてヒドロキシ基は上記のように酸化されて、対応するカルボキシル基(すなわち、R8がHである置換基(o))を生成し得る。このカルボキシル基は、エステル化されて、置換基(o)が−C(O)OR8(R8はH以外である)である化合物を生成し得るか、または当業者に周知の手順によりアミドに変換されて置換基(1)を有するR2を生成し得る。脱離基がアミン(例えば、−NR8R9)により置換される場合、次いでアミンは、当業者に周知の手順により以下のものと反応することによりR2置換基(h)、(i)または(n)に変換され得る:アシルハライド(置換基(h)を有するR2を生成する)、カルバミルハライド(置換基(i)を有するR2を生成する)、またはスルホニルハライド(置換基(n)を有するR2を生成する)。
式9.0の化合物の調製は、WO95/00497(1995年1月5日公開)に記載されている。この開示は既に本明細書中に参考として援用されている。
式1.0の化合物(ここで、XがCHであり、そしてR2がアルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか、あるいはR2が置換基(a)、(b)、(c)、(d)または(g)(ただし、置換基R8またはR9のいずれも、ハロゲン、−OH、−C(O)R13または−SO2R13置換基のいずれでもない)で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニルである)は、以下の式22.0の化合物から製造され得る:

化合物22.0は、以下のプロセスに従って製造され得る:

置換された式22.0のピペリジンは、D.L.CominsおよびJ.D.Brown、Tetrahedron Letters、第27巻、第38号、4549〜4552頁(1986)に記載の方法と本質的に同一の方法で、ラセミ混合物として調製され得る。従って、種々のアルキルグリニャール試薬(ここで、R2は以下に示す通りである)およびベンジルクロロホルメートを用いて、4−メトキシピリジン(23.0)が、所望の不飽和ケトピペリジン(24.0)に転換され得る。接触水素化による二重結合の還元に伴うベンジルカルバモイル基の除去により、置換ケトピペリジン(25.0)を得る。あるいは、ベンジルカルバモイル基は、塩基または酸のいずれかを用いて除去され、次いで、二重結合の金属水素化物による還元により、式25.0の化合物を生成し得る。水素化ナトリウムの存在下での、適切なヨウ化アルキル(例えば、ヨウ化メチル)を用いた、式25.0の化合物のアルキル化により、n−アルキルケトピペリジン(26.0)を得る。水素化ホウ素ナトリウムを用いた、式26.0の化合物の還元により、式27.0のヒドロキシピペリジンを得る。式27.0の化合物と適切な塩素化剤(例えば、塩化チオニル)とを反応させ、式28.0の4−クロロピペリジンを得る。これは、次いで、マグネシウムとの反応によって式22.0の化合物を転換され得る。
式22.0の化合物を、適切な溶媒(例えば、ジエチルエーテルまたはTHE)中で、上記の式7.0の化合物と反応させる。この反応は、室温(約25.0℃)〜約50℃で行われる。次いで、この反応は酸水溶液によって加水分解され、以下の式のケトンを生じる:

ピペリジン環上のN−メチル基は、トリエチルアミンを含有する乾燥トルエン中、約80℃の温度で、過剰のエチルクロロホルメートと反応させることによって、カルボエトキシ基(−COOC2H5)に転換され得る。この手順は、米国特許第4,282,233号および同第4,335,036号に記載の手順と同様である。このカルボエトキシ基は、酸または塩基加水分解のいずれかによって除去され、以下の式30.0の化合物が得られ得る:

式30.0の化合物は、ジアステレオマー混合物として調製される。好ましくは、ジアステレオマーは、古典的な分割方法またはキラルHPLCにより単一の異性体に分けられ、以下を得る:

式30.0の化合物(好ましくは、30.1)は、アシル化または還元的アルキル化によって、式1.0(好ましくは1.1)の化合物(ここで、XはCHである)に転換され得る。
式10.1および30.0の化合物のアシル化は、カップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはDEC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)のようなカルボジイミド)を用いて、式10.0または30.0の化合物と、所望のR1基に対応するカルボン酸との反応によって行われ得る。このアシル化反応は、適切な有機溶媒(例えば、DMF、THFまたは塩化メチレン)中、約−10〜約100℃、好ましくは、約0℃〜約50℃、最も好ましくは、ほぼ室温で行われ得る。カップリング剤がDCCまたはDECである場合、この反応は、好ましくはHOBTの存在下で行われる。
R1が、置換基(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(g)、(i)、(j)、(k)、(l)、(z.1)、(z.2)または(Z.3)である式1.0の化合物は、式10.1または30.0の化合物と、R1−L(ここで、Lは、脱離基(例えば、Cl、Br、Iまたはカルボキシレート(無水物)である)との反応によって製造され得る。この反応は、塩基(好ましくは、トリエチルアミンまたはN−メチルモルホリンのような3級アミン)の存在下で行われ得る。
R1が置換基(m)〜(q)である式1.0の化合物は、式10.1または30.0の化合物と、置換基(m)〜(q)のピリジル、ピリジルN−オキシドまたはピペリジル部分にそれぞれ対応するピリジルイソシアネート、ピリジルN−オキシドイソシアネートまたはピペリジルイソシアネートとの反応によって製造され得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、DMF、THFまたはクロロホルム)中、当業者に周知の技法を用いて行われる。あるいは、これらの尿素は、式10.1または30.0の化合物とホスゲンとを反応させ、クロロホルメート中間体(R1が−C(O)Cl)を形成させることにより、調製され得る。一般的には、このクロロホルメートを単離せずに、置換基(m)〜(q)のピリジル、ピリジルN−オキシドまたはピペリジル部分にそれぞれ対応するピリジルアミン、ピリジルN−オキシドアミンまたはピペリジルアミンと当該分野で周知の技法で反応させる。
R1が置換基(r)〜(v)である式1.0の化合物は、式10.1または30.0の化合物と、ピリジルクロロホルメートまたはピペリジルクロロホルメートとを反応させることにより製造され得る;あるいは、これらは、式10.1または30.0の化合物と過剰のホスゲンと反応させ、次いで、得られたクロロホルメートと、ヒドロキシピリジルN−オキシドまたはヒドロキシピペリジルとを反応させることによって製造され得る。この反応は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、3級アミン(例えば、ピリジン)の存在下で、当業者に周知の技法で行われる。
式10.1または30.0の化合物の還元的アルキル化は、脱水剤(例えば、モレキュラーシーブ)を含むDMF中、室温(約25℃)で、式10.1または30.0の化合物とアルデヒドとを反応させることによって達成される。この反応に次いで、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)を用いて、イミン中間体を還元する。一般に、この反応は、適切な溶媒(例えば、DMF)中、室温で行われ得る。
式10.1(XはNである)または30.0(XはCHである)の化合物がアシル化されて、R1が置換基(e)または(g)である式1.0の化合物を製造する場合、それぞれ、式32.0および33.0の保護された化合物が形成される(CPh3はトリフェニルメチルを表す)。これらの保護化合物は、トリフルオロ酢酸およびトリエチルシランを用いて脱保護され、それぞれ、式1.2および1.3の化合物を得ることができる。式1.2および1.3の化合物は、WO95/00497の実施例1Eに記載される手順の後で、塩酸塩として単離される。


式10.1(XはNである)または30.0(XはCHである)の化合物を還元的にアルキル化し、R1が置換基(f)または(h)である式1.0の化合物を製造する場合、式34.0および35.0の保護された化合物がそれぞれ形成される。これらの保護化合物は、トリフルオロ酢酸およびトリエチルシランを用いることによって脱保護され得、それぞれ、式1.4および1.5の化合物を得る。


標準的な反応条件を用いて、特定の式(1.0)の化合物は、式(1.0)の他の化合物に転換され得る。例えば、R2が−CO2H(すなわち、−C(O)OR8(R8はHである))である式(1.0)の化合物は、R2がCH2=CH−である式(1.0)の化合物のオゾン分解に続いて、得られたアルデヒドの酸化よって調製され得る。
R2が−C(O)OR8(ここで、R8はH以外である)である式(1.0)の化合物は、R2が−CO2Hである式(1.0)の化合物から、SOCl2またはオキサリルクロライドで処理し、次いで式R8OH(R8は上記で定義した通りである)のアルコールで処理することによって調製され得る。同様に、R2が−C(O)NR8R9である式(1.0)の化合物は、R2が−CO2Hである式(1.0)の化合物から、アルコールR8OHを式R8R9NHのアミンに置き換えたこと以外は本質的に同じ方法で調製され得る。あるいは、R2が−C(O)NR8R9である式(1.0)の化合物は、R2が−CO2Hである式(1.0)の化合物とアミンR8R9NHとを、カップリング剤(例えば、DCCまたはDEC)の存在下で反応させることによって調製され得る。
類似の方法において、R2が式−C(O)OR8または−C(O)NR8R9の基で置換されたアルキルである式(1.0)の化合物は、上記と実質的に同じ手順によって調製され、R2がCH2=CH−である式(1.0)の化合物と、適切なアルケニル基(すなわち、式−(CH2−CH=CH2(ここで、pは、1、2、3、4などである)の基)とを取り換えることにより、Rが−CO2H、−C(O)OR8または−C(O)NR8R9である化合物を形成し得る。
R2が式−S(O)tR8(ここで、tは1または2である)の置換基を含む式(1.0)の化合物は、適切な酸化剤(例えば、過酸(好ましくは、MCPBA))を用いた、R2が式−S(O)tR8(ここで、tは0である)の置換基を含む式(1.0)の類似化合物の酸化によって調製され得る。
上記プロセスにおいて、反応の間、特定のR1、R2などの基を保護することが、時には望まれ、そして/または必要である。通常の保護基は、Greene,T.W.、「Protective Groups In Organic Synthesis」、John Wiley & Sons,New York,1981(この開示は、本明細書中で参考として援用される)に記載の通りに操作される。例えば、WO95/10516(1995年4月20日公開)の第60頁の表1を参照のこと。
本発明に有用な化合物は、WO95/10516に開示される方法および以下の実施例に記載される方法によって調製され得る。これらの実施例は、その開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲内の別の機構の経路および類似構造は、当業者に理解され得る。


10g(60.5mmol)の4−ピリジル酢酸エチルおよび120mlの乾燥CH2Cl2を、−20℃で合わせ、10.45g(60.5mmol)をMCPBAを添加し、そして−20℃で1時間撹拌し、次いで25℃で67時間撹拌する。さらに3.48g(20.2mmol)のMCPBAを添加し、そして25℃で24時間撹拌する。CH2Cl2で希釈し、そして飽和NaHCO3(水溶液)、次いで水で洗浄する。MgSO4で乾燥し、真空下で残渣まで濃縮し、そしてクロマドクラフ(シリカゲル、2%−5.5%(MeOH中の10%NH4OH)/CH2Cl2)を行い、8.12gの生成化合物(この式において、Etは−C2H5を表す)を得る。マススペクトル:MH+=182.15。


工程Aの生成物3.5g(19.3mmol)、17.5mLのエタノール、および96.6mLの10%NaOH(水溶液)を合わせ、そして混合物を67℃で2時間加熱する。2N HCl(水溶液)を添加してpH=2.37に調製し、そして真空下で残渣まで濃縮する。そして、200mlの乾燥エタノールを添加し、celiteを通して濾過し、そして乾燥EtOH(2×50ml)で濾過ケークを洗浄する。合わせた濾液を真空下で濃縮して2.43gの表題化合物を得る。


10g(65.7mmol)の3−メトキシカルボニルアミノピリジンおよび150mlのCH2Cl2を合わせ、0℃に冷却し、そしてCH2Cl2(120ml)中のMCPBA(13.61g(78.84mmol))の溶液を、0℃で1時間かけて徐々に添加(滴下)する。混合物を25℃で5日間撹拌し、次いで飽和NaHCO3(水溶液)で洗浄し、次いで水で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥する。真空下で残渣まで濃縮し、そしてクロマトグラフ(シリカゲル、2%−5%(MeOH中の10%NH4OH)/(CH2Cl2))を行い、生成化合物を得る。マススペクトル:MH+=169。


5g(36.0mmol)のイソニコチン酸1−N−オキシドおよび150mlの無水DMFを合わせ、5.5ml(39.6mmol)のトリエチルアミンを添加し、そして0℃で0.5時間撹拌する。8.5ml(39.6mmol)のジフェニルホスホリルアジドを、0℃で10分間かけて徐々に添加(滴下)し、0℃で1時間、次いで25℃で24時間撹拌する(Paviaら、Journal of Medicinal Chemistry,33,854−861(1990)に概略的に記載される)。真空下で残渣まで濃縮し、そしてクロマトグラフ(シリカゲル、0.5%−1%MeOH/CH2Cl2)を行い、5.9の生成化合物を得る。
ニコチン酸1−N−オキシドを用いて、そして調製例3の記載と実質的に同じ手順を用いて、以下の化合物を調製した:

WO95/10516の調製例17、工程Aに記載の手順を用いて、25g(144mmol)の3−ピリジル酢酸塩酸塩を144時間水素化して、20gの生成化合物を得る。マススペクトル:MH+=144。


WO95/10516の調製例17、工程Dに記載の手順を用いて、工程Bの生成物(12g(83.8mmol))を148時間反応させて、17.5gの生成化合物を得る。マススペクトル:MH+=244.25

25g(164.4mmol)のメチル3−ピリジルカルバメートおよび163.3mlの1N HCl(水溶液)を合わせ、全ての固体が溶解するまで撹拌し、次いで10%Pd/Cで25℃、55psiにて220時間水素化する。濾過し、固体を水で洗浄し、そして合わせた濾液を150mlのBioRad AG1X8イオン交換樹脂(OH−)で処理する。濾過し、樹脂を水で洗浄し、そして濾液を容積100mlまで濃縮する。37%ホルマリン16.43ml(197mmol)を添加し、そして10%Pd/Cで25℃55psiにて89時間水素化する。濾過し、固体を水で洗浄し、そして真空下で濃縮して24.3gの表題化合物を得る。マススペクトルMH+=173.2。


50.0g(20.5mmol)の8−クロロ−5,6−ジヒドロ−11H−ベンゾ[5,6]シクロペンタ[1,2−d]ピリジン−11−オンを0℃に冷却し、75ml(93.69mmol)の一塩化硫黄を20分間かけて徐々に添加し、次いで25ml(48.59mmol)のBr2を15分間かけて徐々に添加する。95℃で20時間加熱し、12.5ml(24.3mmol)のBr2を添加し、そしてさらに24時間加熱する。混合物を冷却し、そして0℃にて、CH2Cl2および1N NaOH(水溶液)の混合物に徐々に添加する。有機相を水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして真空下で残渣まで濃縮する。残渣をクロマトグラフ(シリカゲル、500mlのCH2Cl2、次いで0.2%−5%(MeOH中10%NH4OH/CH2Cl2))を行い、次いで再びクロマトグラフ(シリカゲル、3%−8.5%EtOAc/ヘキサン)を行い、8.66gの生成化合物を得る。マススペクトル:MH+=322。


10mlの乾燥CH2Cl2およびトルエン中のホスゲン1.93M溶液914.6ml(28.1mmol)を合わせ、0℃に冷却し、そして4−ヒドロキシ−1−N−メチルピペリジン(0.6484g(5.62mmol))、ピリジン(1.214ml(15mmol))、および乾燥CH2Cl2(10ml)の溶液を、10分かけて徐々に添加(滴下)し、次いで0℃〜25℃で2時間撹拌する。N2で過剰のホスゲンをパージし、次いで真空下で濃縮して表題化合物を得る。


Villaniら、J.Med.Chem.15.750(1972)の手順に従い、調製例2の生成物を酢酸中に溶解し、そして過剰の亜鉛を添加した。この混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物を濾過し、そして真空下で濃縮した。炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。濃縮した物質を、酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカゲルでクロマトグラフを行い生成物を得た。


BOC基で保護されたピペラジン(市販)を、塩化メチレン中に溶解し、1.2当量のカルボニルジイミダゾールを0℃で添加し、そして混合物を15分間撹拌した。塩化ナトリウム溶液を添加し、そして混合物を塩化メチレンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して生成物を得た。


工程Aの生成物をテトラヒドロフラン中に溶解し、そして−78℃に冷却した。1当量のブチルリチウムを添加し、そして混合物を10分間撹拌した。テトラヒドロフラン中の工程Bの生成物(1当量)を添加し、そして混合物を−78℃で1時間、次いで25℃で18時間撹拌した。水を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空下で濃縮した。濃縮した物質をシリカゲル上で酢酸エチル−ヘキサンを用いてクロマトグラフを行い、黄褐色の固体として生成物を得た。M+1=442。


工程Cの生成物をHCl−ジオキサン中に溶解し、そして反応が完了するまで(約1時間)撹拌した。真空下で濃縮して生成物を得た。


工程Dの生成物を、N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、そしてpHをトリエチルアミンで6に調整した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.25当量)および粉砕した4Aモレキュラーシーブを溶液に添加した。得られた混合物を窒素下で0℃に冷却し、そしてN,N−ジメチルホルムアミド中の反応物アルデヒド(1.5当量)(WO95/00497、45頁、実施例1を参照のこと)を滴下した。添加が完了した後、混合物を0℃で2.5時間撹拌した。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、そして炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。濃縮した物質をシリカゲル上で酢酸エチル−ヘキサンを用いてクロマトグラフを行い、白色固体を得た。M+1=772。


工程Eの生成物を酢酸中の1N HClで、室温で1/2時間、次いで47℃で15分間処理し、20℃まで冷却し、トリエチルシランで1/2時間処理した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、続いて遠心分離することにより、表題化合物の塩酸塩を白色粉末として単離した。M+1=431。


実施例1、工程Dの生成物を、N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、そして1当量の反応カルボン酸(市販)、1当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1当量の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(DEC)、および1当量のトリエチルアミンを添加する。反応が完了するまで(約18時間)撹拌する。真空下で濃縮する。酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカゲル上でクロマトグラフを行い、生成物を得る。


実施例1、工程Fの反応および精製により、生成物を得る。




実施例1、工程Aに示した手順に従い、調製例10の生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Bの手順に従い、実施例3の生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Cの手順に従い、実施例3、工程AおよびBの生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Dの手順に従い、実施例3、工程Cの生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Eの手順に従い、実施例3、工程Dの生成物およびアルデヒドを用いて生成物得る。


実施例1、工程Fの手順に従い、実施例3、工程Eの生成物を用いて生成物を得る。




実施例1、工程Aの手順に従い、調製例9の生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Bの手順に従い生成物を得る。


実施例1、工程Cの手順に従い、実施例4、工程AおよびBの生成物を用いて生成物を得る。


実施例1、工程Dの手順に従い、実施例4、工程Cの生成物を用いて生成物を得る。


実施例2、工程Aの手順には従い、実施例4、工程Dおよび調製例11の生成物を用いて生成物を得る。


ジベンゾスベランをテトラヒドロフラン中に溶解し、そして窒素下で0℃まで冷却した。1.5当量のn−ブチルリチウムを添加し、そして20℃まで加温し、そして20℃で1時間維持した。反応混合物を粉砕した固体の二酸化炭素に注いだ。0.5時間後、10%塩酸水溶液を添加し、そして混合物を塩化メチレンで抽出した。有機層を0.1M水酸化ナトリウムで抽出した。水層を冷却し、そしてpHを12M塩酸で2に調整した。沈殿生成物を濾過し、そして乾燥して白色固体を得た。


WO95/00497の実施例13の手順に従いピペラジン反応物を調製する。上記実施例2、工程Aの手順に従い生成物を得る。


工程Bの生成物を、乾燥脱気されたN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、そして0℃に冷却する。1.3当量の水素化ナトリウム、続いて1.4当量の3−クロロメチルピリジンを添加する。3時間後、反応を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチする。真空下で濃縮し、酢酸エチルと炭酸ナトリウム溶液との間で分配する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮する。シリカゲル上で酢酸エチル−ヘキサンを用いて残渣をクロマトグラフにかける。


実施例1、工程Dの手順に従って生成物を得る。


WO95/00497の実施例1に記載の手順と同様の手順により反応物アルデヒドを調製する。上記実施例1、工程Eの手順に従って生成物を得る。


実施例1、工程Fの手順に従って生成物を得る。


WO95/00497の実施例13Aの表題化合物を、当該分野で周知の標準的条件に従って、塩化ベンジルオキシカルボニルと反応させて、上記のN−Cbz(ベンジルオキシカルボニル)保護されたアルコールを得る。保護アルコールを当該分野で周知の手順に従って精製し、次いで保護アルコールの表1の欄1に記載の試薬と反応させて、表1の欄2に規定されるRを有する、対応のN−Cbz保護中間体を得る。当該分野で周知の技術に従い精製した後、保護中間体を、当該分野で周知である温和な接触水素化手順を用いて、選択的に脱保護(Cbz基を除去する)し得る。脱保護に続き、公知の技術により精製して、表1の欄2に示されるR基を有するBOC−保護中間体を得る。




WO95/00497の実施例27Dからの表題化合物を、上記のスキームにより当該分野で周知の手順を用いて、1−tert−ブトキシカルボニル−2(S)−(4−アセチルアミノブチル)ピペラジンに変換する。


WO89/10369の実施例4Cに記載の手順に従って出発物質を調製する。出発物質を、米国特許第3,409,621号に記載の方法によりクロロ生成物に変換する。


実施例1、工程Aの手順に従って、生成物を得る。


実施例1、工程Bの方法により、工程Aの生成物を実施例7の生成物と反応させて、生成物を得る。


実施例1、工程Cの手順に従って、生成物を得る。


実施例1、工程Dの手順に従って、生成物を得る。


実施例2、工程Aの手順に従って、実施例12、工程Eの生成物をBOC保護された4−ピペリジニル酢酸(調製例5D)と反応させて、生成物を得る。


HCl−ジオキサン中に工程Fの生成物を溶解し、そして1時間撹拌する。真空下で濃縮する、炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルとの間で分配する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮する。塩化メチレン中に残渣を溶液し、そして過剰のトリメチルシリルイソシアネートを添加する。窒素下で18時間撹拌する。さらにトリメチルシリルイソシアネートを添加し、そして反応が完了するまで撹拌する。炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮する。シリカゲル上でメタノール−塩化メチレンを用いて残渣をクロマトグラフし、生成物を得る。


D.L.Cominsら、Tet.Lett.、4549(1986)の手順に従って、4−メトキシピリジンをTHFに溶解し、そして−23℃に冷却する。ベンジルクロロホルメート(1当量)を滴下し、続いてTHF中の塩化ブチルマグネシウム(1当量)を滴下する。10%の塩酸中に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。MgSO4で乾燥し、そして濃縮する。(上記式のpHは、フェニルを表す。)


10%パラジウム(炭素担持)を含有するエタノール中に工程Aの生成物を溶解し、そして60psiで水素化する。濾過し、そして真空下で濃縮して生成物を得る。


テトラヒドロフラン中に工程Bの生成物を溶解し、窒素下で0℃に冷却し、そして1当量の水素化ナトリウムを添加する。15分間撹拌した後、1当量のヨウ化メチルを添加する。反応物を15分間撹拌し、真空下で濃縮し、そしてシリカゲル上でメタノール−塩化エチレンを用いてクロマトグラフを行う。


工程Cの生成物をエタノール中に溶解し、そして過剰の水素化ホウ素ナトリウムを添加する。真空下で濃縮する。水と酢酸エチルとの間で分配する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮する。


工程Dの生成物を過剰の塩化チオニルを含有するピリジン中に溶解する。18時間撹拌し、真空下で濃縮する。酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮して生成物を得る。


5−クロロジベンゾスベラン(48.18g(0.2mol))を、400mlのトルエン中に溶解した。シアン化銀(36.7g(0.27mol))を添加し、そして混合物を24時間還流した。混合物を冷却し、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を2−プロピルエーテルおよびヘキサンから再結晶して38.8gの生成物を得た。MP=94.2℃−94.9℃。


実施例12、工程Eの生成物をTHFに溶解し、そして1当量のマグネシウムを添加する。全てのマグネシウムが反応するまで撹拌する。この溶液を、THF中の工程Aの生成物(1当量)の溶液に滴下する。次いで、1時間撹拌し、次いで塩化アンモニウム水溶液でクエンチする。酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮する。シリカゲル上でメタノール−塩化エチレンを用いてクロマトグラフを行い、生成物を得る。


工程Bの生成物を、2当量のトリエチルアミンを含有する乾燥トルエン中に溶解する。80℃に加温し、そして9当量のエチルクロロホルメートを添加する。反応が完了するまで(約2時間)80℃で撹拌する。濾過し、真空下で濃縮する。シリカゲル上で酢酸エチル−ヘキサンを用いてクロマトグラフを行い、生成物を得る。


工程Cの生成物を12Mの塩酸中に溶解し、そして完了するまで(約6時間)還流する。固体水酸化ナトリウムでpHを8に調整し、沈殿物を濾過する。シリカゲル上でメタノール−塩化メチレンおよび水酸化アンモニウムを用いてクロマトクラフを行い、生成物を得る。


実施例1、工程Eの手順に従い、生成物を得る。


実施例1、工程Fの手順に従い、生成物を得る。


実施例1Dの生成物をDMF中に溶解し、そして窒素下で0℃に冷却する。この溶液に、2当量の4−ピリジル酢酸、6当量のトリエチルアミン、2当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、および2当量のDECを添加した。反応混合物を0℃で一晩撹拌した。次いで反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を真空下で濃縮し、そして残渣を、シリカゲル上で溶媒としてメタノール−塩化メチレンを用いてクロマトグラフを行い、表題化合物を白色発泡体として得た。M+1=461。


メタノール中のヨウ素の溶液を、メタノール中の実施例3、工程Fの生成物に、淡黄色が持続するようになるまで添加する。真空下で濃縮し、C18カラムおよび水−アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸の溶媒を用いてHPLCにより残渣をクロマトグラフし、生成物を得る。


実施例3Dの生成物を、ピリジンの存在下、25℃でジクロロメタン中の調製例7の生成物と20〜100時間反応させて、表題化合物を得る。


調製例3からの生成物(アシルアジン)を、無水トルエン中で加熱還流して、その場で対応するイソシアネートに変換する。混合物に無水トルエン中の実施例3Dの生成物を添加し、そしてこの混合物を25℃で20時間撹拌して表題化合物を得る。


実施例15の手順と同様に、実施例1、工程Dの化合物(0.1g)を1.5mLのDMF中に溶解し、そして得られた溶液を氷浴中で冷却した。以下の化合物(0.1g、2当量)を溶解するまで撹拌しながら添加した:

次いで、HOBT(80mg、2当量)、DEC(112mg、2当量)、およびN−メチルモルホリン(0.3mL、10当量)を添加した。所望の生成物を反応混合物から単離した。FABMSm/e497(M+1)。


実施例15の手順と同様に、実施例1、工程Dの化合物(0.1g)を、ピリジン(1.5mL)中に溶解し、そして得られた溶液を氷浴中で冷却した。以下の化合物(75mg、1.2当量)を添加し、次いで約0.1mLのジイソプロピルエチルアミンを添加した:

所望の化合物を反応混合物から単離した。MS:m/e522。
アッセイ FPT IC50(インビトロ酵素アッセイにおけるファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害)を、WO95/10516に開示された方法により測定した。GGPTIC50(インビトロ酵素アッセイにおけるゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼの阻害)、COS細胞(細胞に基づくアッセイ)、Cell Matアッセイ、およびインビボ抗腫瘍活性を、WO95/10516に開示された方法により測定し得た。
FPT IC50の結果:実施例1の化合物に関して、1−10μMの範囲内であり;実施例15の化合物に関して、10−100μMの範囲内であり;実施例19の化合物に関して、>40μMであり;そして実施例20の化合物に関して、10−100μMの範囲である。
本発明に記載の化合物からの薬学的組成物の調製について、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の製剤には、散財、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5%から約70%の活性成分を含み得る。適切な固体キャリアは当該分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤、およびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投与形態として用いられ得る。
坐剤の調製については、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物のような低融点ワックスを最初に溶かし、そして活性成分を撹拌しながらその中に均一に分散させる。次いで、溶けた均一混合物を都合のよいサイズの鋳型に注入し、冷却して固化させる。
液体形態の製剤には、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。例としては、非経口注射用の上記の水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。
液体形態の製剤には、鼻内投与用の溶液も挙げられ得る。
吸入に適切なエアロゾル製剤には、溶剤および粉末形態の固体が挙げられ得、不活性圧縮ガスのような薬学的に受容可能なキャリアとの組み合わせであり得る。
使用直前に、経口または非経口投与用のいずれかの液体形態の製剤に変換されることが意図される固体形態の製剤もまた含まれる。このような液体形態には、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮用組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳濁剤の形態をとり得、そしてこの目的のために当該分野で因習的であるようなマトリックスタイプまたは貯蔵タイプの経皮パッチに含有され得る。
好適には、化合物は経口投与される。
好適には、薬学的製剤は単位用量形態である。このような形態では、製剤は活性成分の適切な量(例えば、所望の目的をい達成するための有効量)を含む単位用量に分割される。
製剤の単位投与量中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約0.1mgから1000mgまで、より好適には約1mgから300mgまで変化または調整され得る。
用いられる実際の投与量は、患者の要求および処置される状態の重篤度によって変化し得る。特定の状況についての適切な投与量の決定は当該技術の範囲内である。一般に、処置は化合物の最適用量よりも低い、より少ない投与量で開始される。その後、投与量は、環境下で最適な効果が達成されるまで少しずつ増加される。便宜上、所望であれば1日投与量の合計は分割され、1日の間に数回で投与され得る。
本発明の化合物および薬学的に受容可能なその塩の投与量および投与頻度は、患者の年齢、状態、およびサイズ、ならびに処置される症状の重篤度のような因子を考慮して主治医の判断に従って調節される。代表的な推奨投与法は、腫瘍増殖をブロックするために2〜4回に分割した用量で、10mg〜2000mg/日、好適には10mg〜1000mg/日の経口投与である。化合物は、この投与量の範囲内で投与される場合は無毒性である。
以下は、本発明の化合物を含む薬学的用量形態の例である。その薬学的組成物の局面における本発明の範囲は、提供される実施例により限定されるべきではない。


製造方法 項目番号1および2を適切なミキサー中で10〜15分間混合する。この混合物を項目番号3とともに造粒する。必要に応じて粗スクリーン(例えば、1/4インチ、0.63cm)を通して湿顆粒を製粉する。この湿顆粒を乾燥させる。必要に応じてこの乾燥させた顆粒をスクリーンに通し、そして項目番号4と混合し、そして10〜15分間混合する。項目番号5を加え、そして1〜3分間混合する。この混合物を、適切な錠剤機で適切なサイズおよび重量に打錠する。


製造方法 項目番号1、2、および3を適切なブレンダー中で10〜15分間混合する。項目番号4を加え、そして1〜3分間混合する。この混合物を、適切なカプセル化機で適切な2個の硬ゼラチンカプセル中に充填する。
本発明は、上記の特定の実施態様とともに記載されているが、その多くの代替、改変、および変更は、当業者には明らかである。このような全ての代替、改変、および変更は、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】以下の式を有する化合物あるいは薬学的に受容可能なその塩または溶媒和物:

ここで、(1)R1は、以下から選択される基である:



R2は以下から選択される:(1)H、(2)C1〜C8アルキル、(3)C2〜C8アルケニル、(4)C2〜C8アルキニル、(5)


または(6)


ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、必要に応じて、1つ以上の以下から独立して選択される基で置換される:(a)アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクロアルキル;該アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、以下から独立して選択される1つ以上の基で置換される:(1)C1〜C4アルキル、(2)tが1〜4である(CH2tOR8、(3)tが1〜4である(CH2tNR8R9、または(4)ハロゲン、(b)C3〜C6シクロアルキル、(c)−OR8、(d)−SR8、(e)−S(O)R8、(f)−SO2R8、(g)−NR8R9

R3はH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルから選択され;
R4はH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルから選択され;
R5は、H、

から選択され;
R6はHまたはC1〜C6アルキルから選択され;
R7はH、C1〜C6アルキル、ハロアルキルまたは−C(O)R11から選択され、ここで、R11はC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシまたは−NHR12(ここで、R12はC1〜C6アルキルまたはHである)から選択され、あるいは、R7は天然アミノ酸のアシル基であり;
R8、R9およびR10は、独立して、H、C1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択され;該アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはアラルキルは、必要に応じて、C1〜C4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロプロピル、ハロゲン、−OH、−C(O)R13、−SO2R13または−NR14R15(ここで、R13は、C1〜C4アルキルまたはアラルキルから選択され、かつR14およびR15は独立してH、C1〜C4アルキルまたはアラルキルから選択される)で置換され;ただし、置換基(e)、(f)または(k)においてR8はHでなく、そして置換基(h)または(n)においてR9はHでなく、そしてR8、R9またはR10が直接ヘテロ原子に結合する場合、R8、R9またはR10はいずれも−CH2OHまたは−CH2NR14R15のいずれでもなく;
R8およびR9が同一の窒素に結合する場合、必要に応じて、R8およびR9は、それらが結合する窒素と共に、5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
R9およびR10が同一の窒素に結合する場合、必要に応じて、R9およびR10は、それらが結合する窒素と共に、5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し;
−−−は任意の結合を表し;
Wは、CH(任意の結合が存在する場合)あるいはO、SまたはCH2(任意の結合が存在しない場合)から選択され;
XはCHまたはNから選択され;そしてYはNまたはCHから選択される。
【請求項2】R2が以下から選択される、請求項1に記載の化合物:H、−C4H9、−CH2C6H5、−CH2CH2OCH3、−CH2CH2SCH3、−CH2CH2O−n−C3H7、−CH2CH2CH2OCH3

【請求項3】薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、有効量の請求項1の化合物を含有する、細胞の異常増殖を阻害するための薬学的組成物。

【特許番号】特許第2999556号(P2999556)
【登録日】平成11年11月5日(1999.11.5)
【発行日】平成12年1月17日(2000.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−530363
【出願日】平成8年4月3日(1996.4.3)
【公表番号】特表平10−511980
【公表日】平成10年11月17日(1998.11.17)
【国際出願番号】PCT/US96/04171
【国際公開番号】WO96/31477
【国際公開日】平成8年10月10日(1996.10.10)
【審査請求日】平成9年10月7日(1997.10.7)
【出願人】(999999999)シェーリング コーポレイション