説明

ファンデーション等の衣料及びその製造方法

【課題】ブラジャーのようなファンデーション等の衣料を、製造工程を簡略化して製造することができ、コストダウンが可能であるとともに、必要に応じて補正機能を備えた所望の三次元形状を有するファンデーション等の衣料を製造することを可能とする。
【解決手段】人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料であって、人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を備え、パネル部材として一体的に構成されたパネルには、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設けるとともに、人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラジャーやガードル、スリップやショーツ、肌着等のインナ ー、ブラスリップ、更には、ドレス等のアウター、水着、リゾートウエア、ホームウエア、アンダーウエア等、又はトップとボトムが一体化されたボディスーツ、レオタード、ワンピースタイプのファンデーション等の衣料に関し、特に接着方式で無縫製により製造されるファンデーション等の衣料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−60102号公報
【0003】
従来、この種のブラジャーやガードル、スリップなどのファンデーション等の衣料は、表地や裏地等を構成する生地を、所定の形状及びサイズに裁断し、これらの表地や裏地等を縫製するとともに、必要に応じてカップ体を挟持した状態でモールド成形したり、ボーン体を内蔵することにより製造されている。
【0004】
ところで、これら表地や裏地等を縫製することによって製造されるブラジャーやガードルなどのファンデーション等の衣料の場合には、表地や裏地等のエッジ部を位置合わせし、スパンテープ等の部材と一緒に縫製する必要があるため、製造工程が複雑であり、縫製等の作業を行なう作業者に、高い熟練度が要求され、製造コストが高くなるという問題点を有していた。
【0005】
また、上記表地や裏地等を縫製することによって製造されるブラジャーやガードル、スリップなどのファンデーション等の衣料の場合には、表地や裏地等のエッジ部を位置合わせし、スパンテープ等の部材と一緒に縫製する必要があるため、エッジ部に位置する縫製部分が肉厚になったり、縫着によって剛性が高まり、人体を圧迫して着用感を損ねるという問題点を有していた。
【0006】
特に、近年、若い女性などの間で、スリップなどのインナーに似たボディがリアルに判る薄地のトリコット地等の衣料を、アウターとして着用するが、このような場合ファンデーションのエッジが人体に段差を生み、逆にシルエットを悪くすると同時に、ファンデーションの着脱後当該エッジの痕跡を残すという問題点を有していた。
【0007】
そこで、かかる問題点を解決し得る技術として、ファンデーション等の衣料を構成する表地や裏地等を縫製せずに、当該ファンデーション等の衣料を構成する表裏二枚の基布の片面に、ストレッチ性の高い樹脂をコーティングした後、これらの基布をモールド成形可能な大きさにカットし、表裏粗裁ちした二枚の基布をモールド成形機にセットして、身頃全体の接着を兼ねて熱成形し、製品形状に成形された基布を、レーザーカッターにセットし、必要形状に製品エッジをデザイン的に切り落とすとともに、別途作成された付属を超音波ミシン等によって取り付けるように構成した無縫製方式のものがある。
【0008】
また、上述した問題点を解決し得る技術としては、ファンデーション等の衣料を構成する表地や裏地等を縫製せずに、当該ファンデーション等の衣料を構成する表裏二枚の基布の片面に、ストレッチ性の高い樹脂をコーティングした後、レーザーカッターにセットして、基布のエッジ部を最終的な製品の形状にカットし、その後にカップ部をモールド成形機にセットして、モールド成形するように構成したものがある。
【0009】
しかしながら、前者の無縫製方式によって製造されるファンデーション等の衣料の場合には、単に、ファンデーション等の衣料を構成する表裏二枚の基布の片面に、ストレッチ性の高い樹脂をコーティングした後、これらの基布をモールド成形及びカットすることによって製造されるものであるため、ブラジャーやガードルなどのファンデーション等の衣料に本来求められるバストアップ等の補正機能や、装飾的な機能を発揮させることができず、需要者層が若い女性に限定されたり、十分な補正機能を発揮しつつ、ファンデーションとしての本来の美的かつ装飾的な機能を満足させることができないという問題点を有していた。
【0010】
また、後者のファンデーション等の衣料の場合には、モールド成形機によってモールド成形する前に、基布のエッジ部を最終的な製品の形状にカットするものであるため、製品のエッジ部を波形状などの最終的な形状に形成できるものの、製品のエッジ部をカットした後に、モールド成形する必要があるため、カップ部と同一の工程で製造することができず、カップ部と身頃部を接着する工程が別に必要となったりして、製造工程が煩雑となり、コストアップを招くという問題点を有していた。
【0011】
そこで、本出願人は、かかる問題点を解決するため、特開2004−60102号公報に開示された技術を既に提案している。
【0012】
この特開2004−60102号公報に係るファンデーション等の衣料は、無縫製によって形成されるファンデーション等の衣料において、前記ファンデーション等の衣料の表地又は裏地の少なくとも一方を構成する素材であって予め製品の形状に裁断される基布と、前記基布に塗布硬化されて、当該基布の伸張率を一段階以上に設定する樹脂層とを有するように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2004−60102号公報に係るファンデーション等の衣料の場合には、当該ファンデーション等の衣料の表地又は裏地の少なくとも一方を構成する素材である基布を、予め製品の形状に裁断するように構成したものであるが、ブラジャー等の衣料を構成する基布として、表地及び裏地の双方を予め製品の形状に裁断したものを用い、当該予め製品の形状に裁断された基布を、モールド成形機によってモールド成形すると、成形時に予め製品の形状に裁断された基布のエッジ部が、モールド成形機の金型に巻き込まれるため、モールド成形によって最終的な製品形状に形成することができず、最後にエッジ部を製品形状にカットする裁断工程等が必要となり、製造工程を簡略化する上で限界があるという問題点を有していた。
【0014】
更に説明すると、上記モールド成型機によって予め製品の形状に裁断された基布をモールド成型する際には、モールド成型機の金型が三次元であり、身頃部と一体であることは、これまでの二次元の金型と異なり膨出部の周辺に押さえ代が無く、平面状の基布は膨出工程において、凸型の圧力がそのまま身頃全体に作用し、身頃を引き込んでしまうという問題点を有していた。
【0015】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ブラジャーのようなファンデーション等の衣料を、製造工程を簡略化して製造することができ、コストダウンが可能であるとともに、必要に応じて補正機能を備えた所望の三次元形状を有するファンデーション等の衣料を製造することが可能なファンデーション等の衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明は、人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料であって、
前記人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を備え、
前記パネル部材として一体的に構成されたパネルには、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設けるとともに、前記人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成したことを特徴とするファンデーション等の衣料である。
本発明によれば、人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を備えることによって、資材の歩留まりを高め且つ一枚ずつカットするのではなく、数十枚を一度にカットすることができる。よって、製品デザインも幅広く対応が可能となる。さらに、パネルの多彩な組み合わせができ、一部乃至全部についての製品としての仕上げを先行して行なうことが可能となる。また、従来では膨出成型を先行しなければならなかったものを、最終工程にて膨出成型が可能となる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、前記パネル部材は、その裏面側に裏当て部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のファンデーション等の衣料である。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記パネル部材は、その裏面側に芯体が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のファンデーション等の衣料である。
【0019】
又、請求項4に記載の発明は、前記パネル部材は、ファンデーション等の衣料を構成する基布と、前記ファンデーション等の衣料を構成する基布の表面側又は裏面側の少なくとも一方に積層される被覆層とを有し、熱成型プレス時に、前記基布は、所定のファンデーション等の衣料の製品形状に裁断されるとともに、前記被覆層は、三次元的な立体形状に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のファンデーション等の衣料である。
【0020】
更に、請求項5に記載の発明は、前記被覆層は、基布の表面側及び裏面側の双方に予め塗布硬化された状態で積層されていることを特徴とする請求項4に記載のファンデーション等の衣料である。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、前記基布は、レース地によって形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のファンデーション等の衣料である。
【0022】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記被覆層は、伸縮性を有する熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のファンデーション等の衣料である。
【0023】
又、請求項8に記載の発明は、前記ファンデーション等の衣料は、硬度の高い熱硬化性樹脂を部分的に塗布し、モールド成形時に硬化させることによって構成された補正機能部を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のファンデーション等の衣料である。
【0024】
更に、請求項9に記載の発明は、人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料の製造方法であって、
前記人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を形成する第1の工程と、
前記パネル部材として一体的に構成されたパネルに、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設ける第2の工程と、
前記人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成する第3の工程とを備えたことを特徴とするファンデーション等の衣料の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、これまでの二次元的なもの作りには創造されなかった体側部を含む人体の厚み(丸み)形状と体側部に視点を置いた三次元の力線の創造にあると共に、当該三次元的な膨出成型を、製品の略最終工程に置換する発想により、ブラジャー等の膨出部を形成するファンデーションや水着などを含むボディを強調する衣料のデザイン性を制約することがなく、且つ製造工程を簡略化して製造することができ、コストダウンが可能であるとともに、必要に応じて補正機能を備えた所望の三次元形状を有するファンデーション等の衣料を製造することが可能なファンデーション等の衣料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
実施の形態1
【0028】
図3及び図4はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示すものである。
【0029】
図3及び図4において、1はファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示すものであり、このブラジャー1は、女性のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部2、3と、当該左右のバストカップ部2、3の側方に設けられる身頃体4、5とを備えているが、これら左右のバストカップ部2、3及び身頃部4、5は、一体的に構成されている。上記左右のバストカップ部2、3は、人体の膨出部であるバストを覆う第一のパネルとして機能するものである。また、上記身頃部4、5は、人体の膨出部であるバストの一部と当該バストに隣接する領域を覆う第二のパネルと、バストに隣接する領域を覆う第三のパネルとして機能するものである。なお、上記左右のバストカップ部2、3の頂部近傍から人体の背面に位置する身頃体4、5にかけて、人体の肩に掛けるショルダーコード6、7が設けられている。
【0030】
また、この実施の形態1に係るブラジャー1は、左右の身頃部4、5の背面側に設けられた図示しないフックやアイ等からなる連結具によって互いに連結されるように構成されている。ただし、上記ブラジャー1としては、左右の身頃部4、5の背面側にフックやアイ等からなる連結具を設けずに、これら左右の身頃部4、5を互いに縫着し、所謂タンクトップのように、頭の上方から被る状態で着用するように構成しても良い。
【0031】
ところで、上記ブラジャー1は、人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料であって、前記人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を備え、前記パネル部材として一体的に構成されたパネルには、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設けるとともに、前記人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成したものである。
【0032】
すなわち、上記ブラジャー1は、図1に示すように、大別して、左右の主パネル部材8、9から構成されており、これら左右の主パネル部材8、9には、左右のバストカップ部2、3と身頃部4、5とが一体的に形成されている。なお、図1は、右側の主パネル部材9を示しており、左側の主パネル部材8は、右側の主パネル部材9と対称な形状に形成されている。つまり、左側の主パネル部材8には、左側のバストカップ部2と左側の身頃部4とが一体的に形成され、右側の主パネル部材9には、右側のバストカップ部3と右側の身頃部5とが一体的に形成されている。これら左右の主パネル部材8、9は、例えば、図2(a)に示すように、一枚の丸編等の素材10によって形成されている。
【0033】
上記左右の主パネル部材8、9は、図3に示すように、例えば、前面側の中央部の端縁8a、9aが互いに縫着されているとともに、図4に示すように、背面側の中央部の端部8b、9bにフックやアイ等の図示しない連結具が接着や縫着等の手段で取り付けられており、これら背面側中央部の端縁8b、9bに設けられたフックやアイ等の図示しない連結具を介して着脱されるように構成される。また、上記左右の主パネル部材8、9は、例えば、背面側の中央部が互いに縫着されるとともに、前面側の端部にフックやアイ等の図示しない連結具が接着や縫着等の手段で取り付けられ、これら前面側の端部に設けられたフックやアイ等の連結具を介して着脱される、所謂“フロントホック”タイプとして構成しても良いし、全く丸編状の筒型であっても良い。
【0034】
上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、1枚構成の素材が用いられるが、原則として、女性のバスト部分にフィットするストレッチ性を備え、且つモールド成形に順応できる素材であれば、編組織又は織組織、シングル編又はダブル編、リバーシブル編、無地の厚地や薄地、更にレース地等のテクニック素材など、種々の素材を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0035】
また、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(b)に示すように、表面層11及び裏面層12を繋ぐX字形状又はO字形状の中空糸を有する3
層構造のダブルラッセル等による中間層13を備えた表裏一体構成の素材が用いられ、当該表裏は機能面、衛生面等から、編組織や組成をデザインする。
【0036】
さらに、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(c)に示すように、表地14と裏地15を図示しない接着剤層などを介してコーティングした表裏一体構成の素材などを用いるように構成しても良い。
【0037】
又、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(d)に示すように、上述したダブルラッセル編み、又は発泡体製の薄いシート部材、あるいは不織布等からなる中間素材16に、当該製品の目的とする美的、人体衛生学、人体工学、ファッション学的観点からデザインする綿素材や樹脂素材など種々の表面素材17及び裏面素材18をコーティングした三層構成の素材を用いるように構成しても良い。
【0038】
更に、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(e)に示すように、水溶性の糸を通常の糸と交編し、当該水溶性糸をデザイン的に、人体の補整を必要とする部分19と必要としない部分20、又厚味を必要とする部分19と必要としない部分20、スキン性を必要とする部分19と必要としない部分20等をデザインしてパターン配置し、当該水溶性糸を溶解して、通常糸の部分19のみを残すように構成した素材を用いても良い。
【0039】
また、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(f)に示すように、最も伸張率の高い部分を構成するにふさわしい身頃部4、5を構成する生地21に、美的且つ人間工学的、補整機能をデザインする捺染型やインクジェットプリント方式等で、当該身頃地21の伸びを、伸びやすい領域22から、伸びずらい領域23から、全く伸びない領域24までを段階的にデザインした素材などを用いることもできる。
【0040】
さらに、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、例えば、図2(g)に示すように、成形編方式によって上述した美的且つ人間工学的補整機能をデザインする成形編地を身頃部4、5とする素材25を用いて良い。この成形編地25としては、例えば、左右のバストカップ部2、3の体側寄りに位置する領域でもありパーツでもある26に、成形可能な編地や織地のパーツ27を配置することにより、当該左右のバストカップ部2、3の体側寄りに位置する領域26を所定の形状に成形することによって、補正機能を高めることが可能となる。当然のことながら、当該パーツ26、27は、パネルの表裏何れに構成されても良い。
【0041】
また、この実施の形態では、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、全領域にわたって一枚構成とせずに、部分的に裏当て素材を配置して、所望の領域を2枚構成などの複数枚構成とするように構成しても良い。
【0042】
上記の如く構成されたブラジャー1は、最終工程で、人体の膨出部に対応したバスト部を含む体側部等の必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成される。
【0043】
この実施の形態にブラジャー1は、前述したように、バストカップ部2、3と身頃体4、5とを一体的に構成した左右の主パネル部材8、9を備えるが、これら左右の主パネル部材8、9には、図5に示すように、左右のバストカップ部2、3のバスト側部2a、3aを一体化するバストカップ裏当て構造とし、且つこのバストカップ裏当て部材28、29を一体化させるパターン構成とするように構成しても良い。そして、上記裏当て部材28、29の構成によって、ファンデーションとしての機能をアップさせることができるパターン構成となっている。
【0044】
上記裏当てパターンの構成は、デザイン意図により、ストレッチ性を前提とするか、又はアンストレッチ性を前提とするか、又はこれらを組み合せた複合性を前提とするか、何れのパターンであっても良い。
【0045】
また、上記裏当て部材28、29の構成は、モールド成型時に接着工程を同時に実施するように構成しても良いし、先に左右の主パネル部材8、9の裏面側に裏当て部材28、29を接着した後、モールド成型を施すように構成しても良い。
【0046】
上記ファンデーション機能を高める裏当て部材28、29の構成としては、図6(a)に示すように、バストカップ部2、3と身頃体4、5とを一体的に構成した左右の主パネル部材8、9を前提とするが、美的又はファッション性、乃至は総体的着用感等を前提に選定された何れかの主パネル部材8、9に、当該主パネル部材8、9を美的乃至は衛生学的且つ人間工学的不足を補完する、図6(b)乃至(h)等の何れかの構成を加える構成が採用される。
【0047】
上記裏当て部材28、29としては、図6(b)に示すように、芯体と30してファイバーフィル等の綿状体を使用し、表裏31、32をトリコット地等でカバーしたシート体からなる裏当て部材が用いられる。
【0048】
また、上記裏当て部材28、29としては、図6(c)に示すように、ダブルラッセル等による中空編組織33(中間連結糸はX字形状又はO字形状であることが好ましい)で、且つ表裏34、35は、当該製品デザインによって組成並びに組織を(異なる組成、異なる編組織であることが好ましいが、全く同一であっても良い)デザインするシート体からなる裏当て部材を用いるように構成しても良い。
【0049】
さらに、上記裏当て部材28、29としては、図6(d)に示すように、均一な厚さの発泡体製のシート体36からなる裏当て部材が用いられ、この発泡体製のシート体36としては、無黄変性、通気性、弾性及び保形性の高いものを用いることが望ましく、表裏又は裏面(人体に直接触れる側)に、必要とする基布をコーティングしたものを用いるように構成しても良い。
【0050】
又、上記裏当て部材28、29としては、図6(e)に示すように、不必要なパッド体37周辺の切断面37aや37bに段差や硬さを生まないように、発泡体をスライスしたパット体37を、表裏両面に図示しない基布をコーティングしたサンドイッチ構造、又は片面に基布をコーティングした上、一体化した裏当て部材を用いるように構成しても良い。
【0051】
更に、上記裏当て部材28、29としては、図6(f)に示すように、必要な厚味を持った発泡体38を、必要な形状、例えば、乳頭部38aを厚くするか、又は乳房下部を厚くする形状等のようにスライスしたパッド体を、その表裏両面に図示しない基布をコーティングしたサンドイッチ構造の裏当て部材を用いるように構成しても良い。なお、図6(f)等では、発泡体38の肉厚が極端に厚く図示されている。
【0052】
また、上記裏当て部材28、29としては、図6(g)に示すように、発泡体シート、又はダブルラッセル編製のシート、更には特性の異なる複数枚のシート39a、39b、39cの積層体39を必要形状に切断し、必要な厚味を形成させた構成の裏当て部材を用いても良い。
【0053】
さらに、上記裏当て部材28、29としては、図6(h)に示すように、必要な厚味を形成させたものを用い、当該厚み自体を活かすデザイン又は当該厚みを均一化させ弾性を内在化させても良い。この場合には、バストサイド部40aからバストを中央部に寄せる効果を発揮することができる。
【0054】
又、上記裏当て部材28、29に使用する発泡体の多くには、黄変の問題があり、出来れば黄変をしないシリコン等の発泡体を選ぶ乃至は、これをカバーする裏地を当該パッド体の露出自体をカバーできる大きさにデザインすることは必要である反面、当該カバーする裏地を構成する場合、ファイバーフィル等の綿状体に対するトリコット等のカバーは、不要とすることもでき、後述するように、体側部から乳房部のトップに向けて、パワー(伸張力)が徐々に弱くなるように構成した、所謂グラデーションのパワーを設定した裏当て素材を用いても良い。
【0055】
また、この実施の形態では、上記左右の主パネル部材を構成する素材として、表裏二枚構成の身頃体と人体側部から乳房までを含むオーバーバストカップ部に、本実施の形態の基本となる機能芯体をパッド体として挟持したサンドイッチ構造のものを用いても良い。
【0056】
上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、図7に示すように、図5に示す構成を基本とする表裏二枚構成の主パネル部材8、9に、本発明の基本となるバスト側面を一体的に構成するバストカップ体41を芯体構造としてパターン化した素材を用いるように構成しても良い。
【0057】
上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材の芯体41としては、体側部から乳頭部に向けたグラデーションパワーを一個の芯体に設けた編み組織、又は肉厚等によって内在させる構成としたものを用いることができる。
【0058】
上記芯体41の構成としては、例えば、図8(a)に示すように、望ましくは三つのパーツ42〜44を基本とし、圧着又は接着により一体化させたパターン構成のものを用いることができる。
【0059】
また、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材の芯体41としては、図8(a)に示すように、パターン領域42を補整力大、領域43を補整力中、領域44を補整力小に設定したものが用いられるが、当該補正力の意図は、バストを中央に寄せる、バストを寄せて上げる等の目的に応じて、その形状は自由にデザインされるものである。
【0060】
この実施の形態では、図8に示すように、矢印A方向に向けて乳房を押し上げる効果を高めるように、パターン領域42〜44が設定されている。
【0061】
また、機能性芯体41の構成としては、三つのパターン領域42〜44は、身頃体4、5との関係から、二つのパターン領域を選択するか、又は三つ以上のパターン領域を設定しても良い。また、上記パターン領域42〜44を構成する材質は、同一であっても良いし、異なるものを複数組み合わせても良い。
【0062】
さらに、上記芯体41の構成としては、図8(b)〜(e)に示すような裏当て部材28、29の構成を基本とし、これに上述した主パネル部材8、9と同一素材又は各々が異なる素材を複数組み合わせたものであっても良い。
【0063】
但し、裏当て部材28、29の場合と異なり、芯体41の内面には、裏地45が積層されることから、裏当て部材28、29のように、芯体41の肌側に基布をコーティングする必要はない。
【0064】
図9はこの発明の実施の形態に係る機能である図7の芯体41を転用したパターン構成をそれぞれ示したものである。
【0065】
図9は、図10に示すような製品形状のブラジャー1を形成するパターン構成を示すものである。主パネル部材8、9にパターン領域46〜48の機能芯体を構成するパーツ46〜49を重合させるように構成したものである。この実施の形態では、裏地としてのパーツ49をパット体とし、当該パーツ49の表面側に、レース地からなるパーツ48と、パーツ47と、パーツ46とを重合させるように積層し、接着して立体的に構成したものである。
【0066】
また、図11(a)は、パターン50を主パネル部材8、9とし、当該主パネル部材8、9にパターン50とエッジを同一とするパーツ51と、それよりも内側にエッジを有するパーツ52とを重合した状態で接着させるように構成したものである。なお、上記主パネル部材8、9及びパーツ51には、ショルダーコードを延設しても良い。
【0067】
さらに、上記パターン50には、ライン53に沿って平面状の合成樹脂製のボーン体54が、当該パターン50とパーツ52との間にサンドイッチ状に介在させた状態で内蔵されている。
【0068】
さらに、図11(b)は、パターン50を主パネル部材8、9とし、当該パターン50のエッジを同一とするパーツ51と、ライン53をエッジとするパーツ52を重合した状態で接着させるように構成し、重合時にライン53に沿ってボーン用ループ部材54を内蔵させたものである。
【0069】
又、図11(c)は、パターン50を主パネル部材8、9とし、当該主パネル部材8、9のバスト部側の端縁に沿ってボーンを挿入した玉縁式トリミングテープ体55を、パーツ51の重合接着時に、サンドイッチ状に接着するように構成したものである。なお、玉縁式トリミングテープ体55は、必ずしも接着に限らず、縫着によって固定しても良い。
【0070】
尚、上記図11(a)〜(c)では、主パネル部材8、9にパッド体を取り付けるように構成しても勿論良い。
【0071】
更に、図11(d)に示したものは、完全にショルダー機能を持たない変形パターン50を主パネル部材8、9とする芯体機能部のみに集約するように構成したもので、外衣や中衣内面に構成ができ、その用途によって、ライン53に沿ってボーン体を内蔵させるか、又は後述する図19に示すような芯体構造をデザインすることが好ましい。
【0072】
このように、上記実施の形態によれば、ブラジャー1のようなファンデーション等の衣料を、製造工程を簡略化して製造することができ、コストダウンが可能であるとともに、必要に応じて補正機能を備えた所望の三次元形状を有するファンデーション等の衣料を製造することが可能となる。
【0073】
実施の形態2
図12はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、表裏を一体のパターンとせずに、表面側のパターンを大きく設定することにより、製品にギャザー部を形成するように構成されている。
【0074】
すなわち、この実施の形態2では、図12に示すように、左右の主パネル部材8、9として、図5に示すものと異なり、表裏を一体のパターンとせずに、裏地28、29の原型パターンに対し、表地としての左右の主パネル部材8、9を大きく設定し、表地としての左右の主パネル部材8、9にギャザー60を意識的に寄せることによって、一体形状とすることによって、デザイン性を高めたものである。
【0075】
上記ギャザー60は、バストカップ部2、3に、通常のモールド方式では得られないソフトな感覚を表現することができ、身頃地が大きくソフト性を高める、バストカップつきキャミソール等のランジェリーとの組み合わせに適合するようにしたものである。そのため、上記左右の主パネル部材8、9を構成する素材としては、薄地の素材を用いるのが望ましい。
【0076】
図12(b)は、図12(a)の一部断面を示すものであり、表身頃体を構成する主パネル部材8、9は、バストポイントBに向けギャザー60が設けられ、概ね当該ギャザー60部分は盛り上がっている。また、主パネル部材8、9の裏面は、裏地45によって構成されている。当該テクニックは、膨出成型前に形成させるか、成型後に形成されるかは、当該部材の条件によって選択する。
【0077】
上記左右の主パネル部材8、9の表地身頃は、図13に示すように、二重構成であると共に、実線並びに細点線は、本実施の形態のブラジャー1を構成する基本体であり、太点線はこの基本に位置を同等とせず構成されたランジェリー59である。
【0078】
このように構成することのメリットは、乳頭部位置の異なる二つのパターンを同時に成形することが可能とする実施例であり、当該ランジェリー乳頭部が同一であっても良いことは当然である。
【0079】
また、図14は上記実施の形態2の変形例を示すものである。この図14は、左右の主パネル部材8、9の表裏何れか、又はパッド体に重合されるバックパーツ61、62を示す構成図である。このように構成する目的は、デザイン上、表地8、9のバストカップ部2、3がアンストレッチ性のレース地等で構成され、且つバックパーツ61、62にはストレッチ素材を使用する場合などのように、左右の主パネル部材8、9に切り替えしが必要な場合、又は裏側のパッド体の肌側に衛生等を考慮し、綿素材等の吸汗性素材を使用した場合などに、当該吸汗性素材などからなるバックパーツ61、62を後身頃まで配置することができるようにするためである。また、左右の主パネル部材8、9の表身頃地をメッシュ等の目荒な素材で構成した場合など、バックパーツ61、62を裏当て構造として機能させるためである。
【0080】
なお、生産性を考慮した場合には、当該パーツ61、62にホットメルト加工を施し、パッド体の裁断面のカバーを兼ねた接着方式をとることが望ましい。
【0081】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
実施の形態3
図15はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、図15に示すように、左右の主パネル部材8、9に、所定の幅を持って且つ両端が仕上げられた編みレースやエンブロイダリーレース等のレース地63や、プリントやジョーゼット状編地、更にはメッシュ地等の広幅地を接着するとともに、その両端を刺繍やレーザーカット等によって必要な丈に仕上げられた素材に、前述した実施の形態1を適用するように構成したものである。
【0083】
図16(a)は、上記所定の幅を持って仕上げられたレース地63等を主パネル部材8、9として用い、ブラジャー1を構成したものである。
【0084】
図16(b)は、更に応用実施例として、図16(d)に示すような付属部品64をもって、左右の主パネル部材8、9の中央部側の先端を、フロント中心に引き寄せることにより、バストを中心に引き寄せる機能を付加したものである。
【0085】
図16(c)は、更にファデーション等の衣料としてショーツに応用した例であり、図16(b)の機能をヒップ部に転用するものである。なお、ヒップ輪郭を波状に構成されたパターンをデザインした上、モールド成形を施すことによって、ヒップ部を立体的に加工したものである。
【0086】
更に説明すると、これらの図16(a)(b)に示した応用例では、人体のバストやヒップ部等の膨出部に対して、これらバストやヒップ部等の膨出部を中央部に寄せる効果やアップさせる効果などの三次元的なな効果を更に高めるために、人体の体側部から人体の中央部に引き寄せる力を作用させるように構成されている。
【0087】
そのため、図16(b)に示すブラジャー1では、左右の主パネル部材8、9の中央部に位置する部分を互いに縫着するのではなく、対向する部分に向けて長く形成し、当該左右の主パネル部材8、9の中央部に位置する延長部分を、図16(d)に示すような補助金具64を用いて、締結位置を調節可能なように互いに連結したものである。上記補助金具は、縦方向の連結部を介して互いに連結された二重の環状部材からなり、左右の主パネル部材8、9の延長部分を、二重環状部材の内側に位置する環状部材64に、内側から挿通するとともに、当該左右の主パネル部材8、9の延長部分を折り替えして、外側に位置する環状部材の下を挿通することにより、締結位置が調節可能となっており、左右の主パネル部材8、9の延長部分が中央部に引き寄せられるように締結することで、左右の主パネル部材8、9のバストカップ部2、3によって、バストを中央に引き寄せる効果を発揮している。
【0088】
また、図16(c)は、同様の原理をガードルに適用したものであり、女性のウエスト部に位置する左右の主パネル部材8、9の中央部に位置する部分を互いに縫着するのではなく、対向する部分に向けて長く形成し、当該左右の主パネル部材8、9の中央部に位置する延長部分を、図14(d)に示すような補助金具64を用いて、締結位置を調節可能なように互いに連結したものである。
【0089】
さらに、図17は、図15に示すレース地63等として丈の長いものを使用し、ファデーション等の衣料としてスリップ65に応用した例である。
【0090】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0091】
実施の形態4
図18はこの発明の実施の形態4を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、図18に示すように、左右の主パネル部材8、9の内面側に、立体的な補正機能を付加するパッド体70を配置し、更には、パッド体70に補正機能をより一層向上させるボーン体71を内蔵させるように構成したり、樹脂製の平面体ボーン71を、図18(c)に示すように、パッド体70の表側にセットして、主パネル部材8、9の内面側に接合するか、又はパッド体70を二重構造としてサンドイッチ状に構成し、最終工程である三次元モールド成形工程において、これらを一体的に三次元化させるように構成したものである。
【0092】
但し、事前に立体化させることが必要となる金属製のボーン体73を使用した場合には、図18(d)に示すように、金属製のボーン体73を収納するためのチューブ体72をパッド体70に内蔵させておき、三次元モールド成型した後に、収納用チューブ体72の内部に金属製の三次元ボーン体73を挿入することによって、一体的に三次元化される。
【0093】
上述した図18を基本形状を形成する左右の主パネル部材8、9に、パッド体70にボーン体71を内蔵させる既存の面構造の線状体に対し、三次元モールドの機能を最大限に生かすことができる新たな芯体ボーン73(パッド体70を構成する基布に最も同化する)を提供することができる。
【0094】
この基本的な構成は、図18に示すパッド体70を前提とし、図19(a)に示すように、当該パッド体70の内面に、パッド体70に極力同化する範囲内で、より保形性と弾性に富む、ポリエステルやポリプロピレン等からなる薄いフィルム体74を、例えば、乳房を手で持って支える形状にデザインするように内蔵させたものに応用することができる。
【0095】
また、図19(b)は、上記フィルム体74をより人体に対して違和感を与えずに機能を強化させるために、当該フィルム体74を3枚のフィルム体74a〜74cを重ねた三重構造方式、又は射出成型方式により外輪を弱く且つ中核はより剛性を高めて強くするように、鳥に羽のように構成したものである。
【0096】
さらに、図19(c)及び(d)は、熱硬化後に弾性を発揮する弾力性のある合成樹脂75を、本実施の形態の三次元機能を高めるように線状又はドット状に配置し、並びに実線から太い点線、あるいは高密度から低密度の部分のように、物理的に剛性をデザインし、捺染方式又はインクジェット方式で熱硬化性の樹脂75をプリントした後に、硬化させるように構成したものである。
【0097】
このような効果を発揮させるためには、パッド体70は、伸縮性のある素材であることが望ましいと同時に、熱硬化性樹脂75を人体の側面を押さえる形状に配置するのが望ましい。
【0098】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0099】
実施の形態5
図20はこの発明の実施の形態5を示すものである。
【0100】
図20はこの発明をファンデーション等の衣料としてのガードルに適用したものである。
【0101】
上記ガードル80などのファンデーション等の衣料は、モールド成型によって所定の立体形状に仕上げることを基本とし、しかもより自然なラインを創造させることが重要である。そのため、現状では、製品の仕上げ部をミシン加工による縫着から、接着プラス超音波やレーザーによるカット工程によって製造する技術が採用されてきており、製品のエッジ部をよりシンプルに構成する方向が指向されている。
【0102】
これに対して、従来のガードルなどのファンデーション等の衣料においては、重要な仕上げ部分であるエッジ部と、人体をホールドする部分との区別が全く考慮されていない。
【0103】
そこで、この実施の形態では、図21に示すように、フリーであるべきエッジ部分の仕上げを二つ折りとし、人体に対する抵抗をより少なくすると共に、エッジ部分に切断面が位置しないように構成することより、強度を維持するように構成したものである。
【0104】
この実施の形態では、図20に示すように、ガードル80の着用者の太腿に接触する製品エッジ部分である左右のサイ部81、82を二つ折り構成とし、この二つ折り構成の折り曲げ部83が、着用者の太腿に接触する位置にくるように配設されている。この製品エッジ部分であるサイ部81、82は、人体衛生上緊迫を与えることは好ましくなく、又、ファッション上は、アウターに極力響かないことが求められている部位である。
【0105】
上記の如く構成されたサイ部を、人体の腹部から股部を通り背面部に到る身頃部と一体的に縫着することによって、着用者の太腿に接触する製品エッジ部分には、二つ折り構成の折り曲げ部が位置することになる。
【0106】
二次元パターンによって得られる上記ガードル等は、当然、そのままでは三次元的「寄せるという力線」を付加することは出来ないのであって、図2(g)に示す構成を基本とする本発明の体側部を基本とするモールド方式を必要とするものである。但し、ガードル等の被モールド成型体は、フックとアイ等がなく原則筒形状であることから、当該モールド受動金型は、少なくとも被モールド成型体を受け入れられるよう筒状である必要性を有する。
【0107】
なお、その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
実施の形態6
図22乃至図26はこの発明の実施の形態6を示すものである。
【0109】
図22(a)に示したブラジャー1は、左右の主パネル部材8、9の上端縁の全長に沿って、ワイヤー状のボーン体85を逆V字状に配設したものであり、当該ボーン体85によって左右の主パネル部材8、9のバストカップ部2、3・チェスト部を歪めないよう制御することが可能となる。また、左右のショルダーコード6、7としては、幅の広いテープ状のものを用い、しかも当該幅広の左右のショルダーコード6、7を左右のバストカップ部2、3の表面側に、左右のバストカップ部2、3の下端縁まで延長したデザインであるが、従来このようなテープ体をデザインした場合、バストの形状は、通常犠牲にしてしまうが、このような構成においても本発明が基本とする機能を発揮することのできる実施の形態である。
【0110】
また、図22(b)に示したブラジャー1は、ブラジャー本体の周囲を構成する右バストカップ並びにその身頃体と、ブラジャー本体の周囲を構成する左カップ並びにその身頃体の独立二重構造からなるブラジャーであり、当該外囲と内囲はフロントスナップによって連動され、且つ当該スナップの移動によって乳間を調整可能とするものであるが、これに本発明図2(g)を基本に図7に示す芯体を構成し、左右の主パネル部材8、9の身頃部4、5からバストカップ部2、3に向けて、フィルム状のボーン体74を配設することによって、左右の主パネル部材8、9によってバストを寄せる機能を更に高めるように構成されている。
【0111】
また、上記フィルム状のボーン体74の代わりに、図22(c)に示すように、羽毛状のボーン体86を配設しても良い。
【0112】
さらに、図23(a)に示したブラジャー1は、左右の主パネル部材8、9の下端縁をチェスト部まで延長するとともに、左右の主パネル部材8、9のバストカップ部2、3及びチェスト部87、88の内側に、細長い平板状のボーン体89を縦方向に沿って配設し、バスト部を下方から支持してバストアップさせる効果と、チェスト部87、88を押えてより一層バスト部をアップさせる効果とを奏するように構成したものである。
【0113】
又、図23(b)は、乳房体側部を根とする超密度ポリエチレンフィルム等からなるバストトップ近傍までをサポートする細幅状のフィルムボーンであり、当該フィルムは体側部から乳頭近傍に近づけるほどソフト性と柔軟性を持たせ、図22(c)に示した羽毛状のボーンと同様の機能を持たせたものである。
【0114】
加えて、図23(c)に示したブラジャー1は、少なくとも本発明の三次元形状であるバストトップ位置を乳房基底の少なくとも三分の一前後以内とし、且つ当該トップ角度は乳房基底中心から当該トップを結ぶ、着用時の人体中心と並行する前面直線状であり、且つ乳房形状は、乳頭から人体中心側には乳房容積を受け入れ且つ美しさを損なわない球面状を形成させ、乳頭から体側部に沿う乳房形状は、直線的乃至は幾分凹面状に形成させ、且つこれを結ぶ乳房下部並びに上部形状は、人体中心側から扇状、球状、かまぼこ状、直線状、半凹状(半球体を体側部側から押した形)などに変化する基本外形を前提にして、乳頭をセンターとする同芯円状又は螺旋状に熱硬化性樹脂75を塗布することによってボーン体としての機能を果すように構成したものである。
【0115】
更に、図24(a)に示したブラジャー1は、左右の主パネル部材8、9のバストカップ部の表面側にストレッチ性を有するダブルラッセル編みによる編地90を配置し、当該ダブルラッセル編みのバストカップ部2、3のバスト輪郭端縁を含む仕上げ全体に、玉縁式のストレッチトリミングテープ91を配設して一体化した上、当該バスト輪郭端縁にワイヤーボーン乃至は弾性と形状記憶能力を持った樹脂等による線状ボーンを内蔵することのできる実施例である。
【0116】
上述した三次元による乳房形状は、原則として、三次元のヒップ形状にも当てはまる。ただし、日本人の臀部容積は、一般的にまだ体側部側が不足していることから、乳房ほど寄せる機能は必要が無く、寧ろ支え上げる機能が必要であり、臀部下辺を凹状にすることが望ましい。
【0117】
なお、上記左右の主パネル部材8、9のバストカップ部2、3の表面側に配設する生地90としては、図24(b)に示すように、ステッチレース等からなるアンシンメトリー模様の生地92を使用しても良い。
【0118】
さらに、図25(a)に示すように、左右のショルダーコード6、7と左右の主パネル部材8、9との連結部にリング状部材93を使用したり、図25(b)に示すように、バストカップ部2、3の体側寄りの部分を、パワーを伸張率が高い部分93と、中程度の部分94と、弱い部分95とに、三段階等の複数段階となるように設定しても良い。
【0119】
また、図26(a)(b)に示すボデイスーツ100のように、生地のパワーを伸張率が高い部分と、中程度の部分と、弱い部分のように、三段階等の複数段階となるように設定することによって、補正機能を更に高めることが可能となる。
【0120】
なお、図27乃至図30は本発明の更なる他の実施の形態をそれぞれ示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す正面構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部の異なった態様をそれぞれ示す断面構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示す正面構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示す背面構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部の異なった態様をそれぞれ示す断面構成図である。
【図7】図7はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図9】図9はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図12】図12はこの発明の実施の形態2に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態2に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図14】図14はこの発明の実施の形態2に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図15】図15はこの発明の実施の形態3に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図16】図16はこの発明の実施の形態3に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーをそれぞれ示す構成図である。
【図17】図17はこの発明の実施の形態3に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図18】図18はこの発明の実施の形態4に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態4に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの他の要部を示す構成図である。
【図20】図20はこの発明の実施の形態5に係るファンデーション等の衣料としてのガードルの要部を示す構成図である。
【図21】図21はこの発明の実施の形態5に係るファンデーション等の衣料としてのガードルの素材を示す構成図である。
【図22】図22はこの発明の実施の形態6に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図23】図23はこの発明の実施の形態6に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図24】図24はこの発明の実施の形態6に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーを示す構成図である。
【図25】図25はこの発明の実施の形態6に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの要部を示す構成図である。
【図26】図26はこの発明の実施の形態6に係るファンデーション等の衣料としてのボディスーツを示す構成図である。
【図27】図27はこの発明の他の実施の形態に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの製品例をそれぞれ示す構成図である。
【図28】図28はこの発明の他の実施の形態に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの製品例をそれぞれ示す構成図である。
【図29】図29はこの発明の他の実施の形態に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの製品例をそれぞれ示す構成図である。
【図30】図30はこの発明の他の実施の形態に係るファンデーション等の衣料としてのブラジャーの製品例をそれぞれ示す構成図である。
【符号の説明】
【0122】
1:ブラジャー(ファンデーション等の衣料)、2、3:左右のバストカップ部(第一のパネル)、4、5:左右の身頃部(第二、第三のパネル)、8、9:左右の主パネル部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料であって、
前記人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を備え、
前記パネル部材として一体的に構成されたパネルには、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設けるとともに、前記人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成したことを特徴とするファンデーション等の衣料。
【請求項2】
前記パネル部材は、その裏面側に裏当て部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のファンデーション等の衣料。
【請求項3】
前記パネル部材は、その裏面側に芯体が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のファンデーション等の衣料。
【請求項4】
前記パネル部材は、ファンデーション等の衣料を構成する基布と、前記ファンデーション等の衣料を構成する基布の表面側又は裏面側の少なくとも一方に積層される被覆層とを有し、熱成型プレス時に、前記基布は、所定のファンデーション等の衣料の製品形状に裁断されるとともに、前記被覆層は、三次元的な立体形状に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のファンデーション等の衣料。
【請求項5】
前記被覆層は、基布の表面側及び裏面側の双方に予め塗布硬化された状態で積層されていることを特徴とする請求項4に記載のファンデーション等の衣料。
【請求項6】
前記基布は、レース地によって形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のファンデーション等の衣料。
【請求項7】
前記被覆層は、伸縮性を有する熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のファンデーション等の衣料。
【請求項8】
前記ファンデーション等の衣料は、硬度の高い熱硬化性樹脂を部分的に塗布し、モールド成形時に硬化させることによって構成された補正機能部を有することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のファンデーション等の衣料。
【請求項9】
人体の膨出部を含む領域を覆うように着用されるファンデーション等の衣料の製造方法であって、
前記人体の膨出部を覆う第一のパネルと、前記人体膨出部の一部と当該膨出部に隣接する領域を覆う第二のパネルと、前記人体膨出部に隣接する領域を覆う第三のパネルを一体的に構成したパネル部材を形成する第1の工程と、
前記パネル部材として一体的に構成されたパネルに、製品としての仕上げ部を一部乃至全域に設ける第2の工程と、
前記人体の膨出部に対応した膨出部を含む必要領域を、同時に熱成型プレスによって三次元的な立体形状に形成する第3の工程とを備えたことを特徴とするファンデーション等の衣料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−121153(P2008−121153A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307073(P2006−307073)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(306040805)株式会社MIC (9)
【Fターム(参考)】