ファン装置
【課題】 第1,第2のファンからなるファン装置を用いることにより、ファン装置を搭載する機器の送風構造等を簡略化する。
【解決手段】 冷却ファン装置21を、従動プーリ22、軸流ファン23及び遠心ファン24によって構成する。そして、圧縮機1の運転時には、モータ7により従動プーリ22等を介して圧縮機本体4を駆動する。このとき、冷却ファン装置21の軸流ファン23によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を冷却し、遠心ファン24によってアフタクーラ11を冷却する。これにより、1つの冷却ファン装置21によって複数の対象物を効率よく冷却することができ、圧縮機1の冷却構造を簡略化しつつ、その冷却性能を向上させることができる。
【解決手段】 冷却ファン装置21を、従動プーリ22、軸流ファン23及び遠心ファン24によって構成する。そして、圧縮機1の運転時には、モータ7により従動プーリ22等を介して圧縮機本体4を駆動する。このとき、冷却ファン装置21の軸流ファン23によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を冷却し、遠心ファン24によってアフタクーラ11を冷却する。これにより、1つの冷却ファン装置21によって複数の対象物を効率よく冷却することができ、圧縮機1の冷却構造を簡略化しつつ、その冷却性能を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷却ファン装置等として好適に用いられ、圧縮機、発電機、エンジン、プロジェクタ等の機器に搭載されるファン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファン装置は、発熱部を有する各種の機器に冷却ファン装置として搭載されており、その一例としては、パッケージ型圧縮機に搭載された冷却ファン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−103145号公報
【0004】
この種の従来技術によるパッケージ型圧縮機は、防音構造を有する箱状体(防音箱)を有し、この防音箱内には、例えば圧縮機本体、モータ、タンク、冷凍式除湿装置等からなる各種の装置が収容されている。
【0005】
ここで、圧縮機の運転時には、その本体から防音箱内の空間に圧縮熱が放出され、また冷凍式除湿装置の凝縮器等からも熱が放出される。このため、圧縮機本体の近くに除湿装置を配置していると、これらの装置の温度が上昇して運転効率が低下し易い。
【0006】
このため、従来技術では、防音箱内に隔壁を設け、この隔壁によって圧縮機本体、モータ、タンク等が収容される空間と、除湿装置の凝縮器、蒸発器等が収容される空間とを個別に画成する構成としている。また、従来技術では、圧縮機本体側の空間内に冷却風を吸込む吸気ファンと、この空間内の冷却風を外部に排出する排気ファンとを設けるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、例えばパッケージ型圧縮機において、防音箱内に配置された各種の装置を効率よく冷却するために、防音箱内に2つの空間を画成する隔壁を設け、一方の空間には吸気ファンと排気ファンを設ける構成としている。
【0008】
しかし、この構成では、複数個のファンや隔壁等の部品を設けることによって部品点数が増加し、防音箱内の構造が複雑化する。このため、従来技術では、仮りに冷却効率を向上できたとしても、部品点数及び加工工数の増加によってコストアップが生じたり、組立時の作業性が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、機器に搭載した状態で複数の空気流を効率よく発生することができ、搭載機器の送風構造を簡略化できると共に、部品点数を削減してコストダウンや組立時の作業性向上を実現できるようにしたファン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、環状に形成された回転体と、該回転体の中央部に設けられ該回転体と一緒に回転することにより空気を吸込んで吹出す第1のファンと、該第1のファンの外周側に設けられ前記回転体と一緒に回転することにより前記第1のファンに流入する空気の一部のみを吸込んで該第1のファンと異なる方向に吹出す第2のファンとからなる構成を採用している。
【0011】
また、請求項2の発明によると、前記第1のファンは、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出す軸流ファンにより構成している。
【0012】
また、請求項3の発明によると、前記第2のファンは、内周側から吸込んだ空気を外周側から吹出す遠心ファンにより構成している。
【0013】
また、請求項4の発明によると、前記遠心ファンの外周側には、前記遠心ファンから吹出す空気流を案内するダクトを設ける構成としている。
【0014】
また、請求項5の発明によると、前記第2のファンは、軸方向他側から吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンにより構成している。
【0015】
さらに、請求項6の発明によると、前記回転体は、駆動源によって回転駆動されるプーリにより構成している。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、例えば回転体を駆動することにより、第1,第2のファンを構成する複数個のファンを一緒に作動させることができ、各ファンの駆動構造を一つにまとめて簡略化することができる。そして、第1,第2のファンは、例えば回転体の内周側に流入する空気を分流させてそれぞれ異なる方向に空気流を発生することができる。これにより、例えば複数個所への送風動作を1個のファン装置によって効率よく行うことができ、ファン装置を搭載した機器全体の送風構造を簡略化することができる。従って、機器全体の部品点数を削減することができ、そのコストダウンを促進できると共に、機器の組立を効率よく行うことができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、第1のファンを軸流ファンによって構成することができる。これにより、軸流ファンは、その外周側に位置する第2のファンに影響を与えることなく、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出すことができる。このため、個々のファンによる送風動作が互いに干渉するのを防止でき、第1,第2のファンを組合わせたファン装置の構造を容易に実現することができる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、第2のファンを遠心ファンによって構成することができる。これにより、遠心ファンは、例えば第1のファンに流入する空気の一部を内周側から吸込むことができ、この空気を外周側から吹出すことによって径方向の送風動作を行うことができる。
【0019】
従って、第1のファンと遠心ファンとを軸方向に対して互いに近付けることができ、ファン装置全体をコンパクトに形成することができる。特に、第1のファンを軸流ファンによって構成した場合には、装置全体の小型化をより促進できる上に、第1,第2のファンの送風方向を大きく異ならしめることができ、複数方向への送風能力が高い小型のファン装置を実現することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、例えば遠心ファンの外周側をダクトによって取囲むことができるので、遠心ファンの外周側から放射状に吹出す空気流をダクトによって所望の位置または方向に案内することができる。これにより、遠心ファンによって発生する空気流を容易に整流することができ、この空気流を冷却風等として容易に用いることができる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、前記第2のファンは、第1のファンに流入する空気の一部のみを軸方向他側から吸込み、吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンとして構成することができる。これにより、第2のファンは、第1のファンと軸方向の逆向きに空気を流通させることができるから、1つのファン装置によって空気を吸込んだり、吹出したりすることができ、送風機構、冷却機構等の構造を簡略化することができる。
【0022】
さらに、請求項6の発明によれば、ファン装置を各種の機器に搭載するときには、例えば機器の駆動系統を構成するプーリと、第1,第2のファンとを一体化することによってファン装置を形成することができる。即ち、機器の駆動系統を構成するプーリと、第1,第2のファンを駆動する回転体とを共通部品として形成することができる。これにより、機器全体の部品点数を削減することができ、その小型、軽量化を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態によるファン装置として、冷却ファン装置を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0024】
ここで、図1ないし図9は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、冷却ファン装置をパッケージ型圧縮機に適用した場合を例に挙げて述べる。
【0025】
図中、1は後述の冷却ファン装置21を搭載する搭載機器としてのパッケージ型圧縮機で、このパッケージ型圧縮機1は、図2に示す如く、後述の防音箱2と、該防音箱2内に設けられた後述の圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11、仕切板12、ダクト15とによって大略構成されている。
【0026】
2はパッケージ型圧縮機1の外郭を構成する防音箱で、該防音箱2は、防音構造を有する箱体からなり、図2ないし図5に示す如く、前面板2A、後面板2B、左側面板2C、右側面板2D、天面板2E及び底面板2Fによって構成されている。そして、防音箱2内には枠状の支持台3が設けられている。
【0027】
4は防音箱2内に位置して支持台3の上部側に設けられた圧縮機本体で、該圧縮機本体4は、例えば2気筒1段式の往復動型空気圧縮機からなり、図2に示す如く、支持台3に取付られたクランクケース4Aと、該クランクケース4Aに回転可能に設けられたクランク軸4Bと、クランクケース4A上に設けられ、それぞれシリンダ内にピストン(図示せず)が往復動可能に挿嵌された例えば2個の気筒4C,4Dとによって大略構成されている。
【0028】
ここで、クランク軸4Bには、各気筒4C,4Dのピストンがそれぞれ連接棒等を介して連結されている。また、クランク軸4Bは、図4に示す如く、クランクケース4Aから後側に突出し、この突出端側には冷却ファン装置21が設けられている。また、各気筒4C,4Dの吸込側には吸込フィルタ5がそれぞれ設けられ、各気筒4C,4Dの吐出側は、吐出配管6によって後述のタンク10に接続されている。
【0029】
そして、圧縮機本体4は、後述のモータ7によってクランク軸4Bが回転駆動されることにより、各気筒4C,4Dのシリンダ内でピストンがそれぞれ往復動する。これにより、各気筒4C,4Dは、吸込フィルタ5から空気を吸込んで圧縮し、吐出配管6内に圧縮空気をそれぞれ吐出する。そして、これらの圧縮空気は、吐出配管6を経由してタンク10に貯留される。
【0030】
7は支持台3の下部側に設けられた駆動源としてのモータで、該モータ7の出力軸7Aには、図4、図5に示すように駆動プーリ8が設けられ、この駆動プーリ8は、ベルト9によって後述の従動プーリ22と連結されている。そして、モータ7は、プーリ8,22、ベルト9等を介して圧縮機本体4を駆動すると共に、後述の冷却ファン装置21を回転駆動するものである。
【0031】
10はモータ7と共に支持台3の下部側に設けられた円筒形状のタンクで、該タンク10は、吐出配管6によって圧縮機本体4の各気筒4C,4Dの吐出側に接続されている。そして、タンク10は、各気筒4C,4Dから吐出される圧縮空気を貯留し、この圧縮空気は、タンク10に接続されたエア供給口10Aから外部の空圧機器(図示せず)等に供給される。
【0032】
11は吐出配管6の途中に設けられたアフタクーラで、該アフタクーラ11は、吐出配管6内を流れる圧縮空気を冷却するものである。そして、アフタクーラ11は、例えば防音箱2の右側面板2Dの内側面に取付けられたケーシング11Aと、該ケーシング11A内に位置して吐出配管6の途中に接続された冷却配管11Bとによって構成されている。
【0033】
ここで、ケーシング11Aは、例えば四角形の枠状体として形成され、後述するダクト15の流出口15Aに面した左側面部と、後述の排気口18に面した右側面部とがそれぞれ開口している。また、冷却配管11Bは、例えば蛇腹状に屈曲した配管等によって形成されている。
【0034】
そして、圧縮機の運転時には、図2に示すように、後述の遠心ファン24が作動することによってダクト15の流出口15Aからアフタクーラ11のケーシング11A内に冷却風が流入し、この冷却風は、冷却配管11Bと接触することによって当該冷却配管11B内を流れる圧縮空気を冷却する。
【0035】
12は防音箱2内に設けられた仕切板で、該仕切板12は、図4、図5に示す如く、防音箱2の後面板2Bと対向する位置で上,下方向及び左,右方向に延びる縦板12Aと、該縦板12Aの上端部から後面板2Bに向けて水平方向に延びた横板12Bとによって構成されている。
【0036】
そして、仕切板12は、防音箱2内を前,後2つの空間に画成している。この場合、前側の空間は、例えば圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11等が収容された機器収容空間13となり、後側の空間は、後述の吸気口16から機器収容空間13内に冷却風を吸込む吸込通路14となっている。また、縦板12Aには、機器収容空間13と吸込通路14とを連通する円形状の開口部12Cが設けられている。
【0037】
15は例えば機器収容空間13内に位置して仕切板12の開口部12Cに設けられたダクトを示している。このダクト15は、図3、図4に示す如く、例えば短尺な略円筒状に形成され、圧縮機本体4の軸線O−Oを中心として軸方向に延びると共に、圧縮機本体4の背面側に開口している。そして、ダクト15は、その内周側に配置された冷却ファン装置21を径方向外側から取囲んでいる。
【0038】
また、ダクト15の外周側には、例えばアフタクーラ11と対面する位置で径方向外向きに突出する流出口15Aが設けられている。そして、ダクト15は、遠心ファン24の外周側から吹出す空気流(冷却風)をアフタクーラ11に向けて案内するものである。
【0039】
一方、16は防音箱2の後面板2Bに設けられた吸気口で、該吸気口16は、図4に示す如く、冷却ファン装置21の背面側となる位置で吸込通路14に開口している。そして、冷却ファン装置21の作動時には、外部の空気が吸気口16から吸込通路14に流入し、この空気は仕切板12の開口部12Cから後述の軸流ファン23内に吸込まれる。
【0040】
17は例えば防音箱2の天面板2Eに設けられた排気口で、該排気口17は、図4に示す如く、機器収容空間13内を冷却した後の冷却風を防音箱2の上方に排出するものである。また、18は例えば防音箱2の右側面板2Dに設けられた他の排気口で、該排気口18は、図3に示す如く、アフタクーラ11を冷却した後の冷却風を外部に排出するものである。
【0041】
次に、図6ないし図9を参照しつつ、パッケージ型圧縮機1に搭載されたファン装置としての冷却ファン装置21について説明する。
【0042】
この冷却ファン装置21は、後述の従動プーリ22、軸流ファン23、遠心ファン24等によって構成されている。即ち、冷却ファン装置21は、複数個のファン(本実施の形態では、軸流ファン23と遠心ファン24とからなる2個のファンを例示)と、これらのファン23,24を回転駆動するためのプーリ22とを、軸線O−Oを中心として同軸に一体化したものである。
【0043】
そして、冷却ファン装置21は、防音箱2のダクト15内に配置された状態で、従動プーリ22が軸線O−Oを中心として回転駆動されることにより、各ファン23,24が一緒に回転し、これらのファン23,24によってそれぞれ異なる方向の冷却風を発生する。この場合、各ファン23,24は、互いに協働して従動プーリ22の内周側に空気を吸込み、この空気を2つの方向(例えば、軸方向と径方向)に分岐、分流させるものである。
【0044】
22はモータ7により回転駆動される回転体としての従動プーリを示し、該従動プーリ22は、図7、図9に示す如く、軸線O−Oを中心として環状に形成され、その中心部には略筒状のクランク軸連結部22Aが設けられている。また、従動プーリ22の外周側には、ベルト9が巻装される環状溝22Bが設けられている。
【0045】
また、従動プーリ22は、図3、図4に示すように、クランク軸連結部22Aが圧縮機本体4のクランク軸4Bに回転を規制した状態で連結され、ベルト9によって駆動プーリ8と連結されている。そして、圧縮機1の運転時には、モータ7が作動することにより、駆動プーリ8とベルト9とを介して従動プーリ22が回転駆動されると、従動プーリ22は、この回転をクランク軸4Bと各ファン23,24とに伝達する構成となっている。
【0046】
23は従動プーリ22の中央部に設けられた第1のファンとしての軸流ファンで、該軸流ファン23は、図7に示す如く、例えば従動プーリ22と一体形成されており、従動プーリ22のクランク軸連結部22Aから放射状に延びる複数枚の羽根板23Aによって構成されている。
【0047】
そして、軸流ファン23は、図4に示す如く、その軸方向一側に位置する吸気口16から外気を吸込み、この空気を軸方向他側(圧縮機本体4側)に向けて吹出すことにより、機器収容空間13内に軸方向の冷却風を発生し、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を冷却するものである。
【0048】
24は軸流ファン23の外周側に設けられた第2のファンとしての遠心ファン(シロッコファン)を示している。この遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部のみを内周側から吸込み、この空気を外周側から吹出すことにより、図3に示すように径方向の冷却風を発生し、ダクト15と協働してアフタクーラ11を冷却するものである。
【0049】
ここで、遠心ファン24は、図8、図9に示す如く、互いに軸方向で対向する2枚の環状板24A,24Bと、これらの環状板24A,24Bの間に設けられ、周方向に間隔をもって略放射状に配置された複数枚の羽根板24Cとによって構成されている。
【0050】
そして、遠心ファン24は、例えば複数の固定ねじ25等を用いて従動プーリ22の端面に固定されている。また、遠心ファン24は、軸流ファン23によって発生される空気の流れ方向(図4中の矢示A,B方向)に対して、軸流ファン23とほぼ同じ位置(軸方向位置)に配置されるか、または軸流ファン23よりも少し下流側に配置されている。
【0051】
これにより、遠心ファン24は、例えば軸流ファン23に流入した空気の一部のみを吸込むことができ、遠心ファン24に吸込まれなかった残りの空気は、軸流ファン23によって機器収容空間13内に吹出される。なお、遠心ファン24は、例えば軸流ファン23の上流側に配置し、軸流ファン23に流入しようとする空気の一部のみを遠心ファン24に吸込む構成としてもよい。
【0052】
また、冷却ファン装置21を圧縮機1に搭載した状態では、遠心ファン24の外周側をダクト15によって取囲む構成としているので、遠心ファン24から吹出す径方向の冷却風を一箇所に集めてアフタクーラ11へと流通させることができる。
【0053】
本実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0054】
まず、モータ7が作動すると、その回転が駆動プーリ8、ベルト9及び従動プーリ22を介して圧縮機本体4のクランク軸4Bに伝達され、クランク軸4Bが回転する。この結果、各気筒4C,4Dでは、シリンダ内でピストンが往復動することにより、吸込フィルタ5からシリンダ内に空気が吸込まれ、この空気は圧縮されて吐出配管6に吐出される。そして、吐出配管6を流通する圧縮空気は、アフタクーラ11によって冷却された後にタンク10に貯留され、必要に応じてエア供給口10Aから外部の空圧機器等に供給される。
【0055】
一方、モータ7の作動時には、冷却ファン装置21を構成する従動プーリ22が軸線O−Oを中心として回転することにより、この従動プーリ22によって軸流ファン23と遠心ファン24とが回転駆動される。
【0056】
これにより、防音箱2内には、図4中の矢示Aに示すように、外部の空気が吸気口16から流入し、この空気は仕切板12の開口部12Cを通じて軸流ファン23の軸方向一側に吸込まれる。そして、軸流ファン23は、矢示Bに示すように、吸込んだ空気を軸方向他側から吹出すことにより、機器収容空間13内に冷却風を発生する。
【0057】
この結果、軸流ファン23は、機器収容空間13内に配置された圧縮機本体4、モータ7、タンク10等の機器を効率よく冷却することができる。そして、各機器を冷却した後の冷却風は、これらの機器等によって温められることにより、防音箱2の天面板2Eに向けて上昇し、矢示Cに示すように排気口17から防音箱2の外部に排出される。
【0058】
一方、軸流ファン23に流入する空気の一部は、これと一緒に回転する遠心ファン24の内周側に吸込まれる。そして、遠心ファン24は、図3中の矢示Dに示すように、吸込んだ空気を外周側から放射状に吹出すことにより、ダクト15内に冷却風を発生する。
【0059】
この冷却風は、矢示Eに示すように、ダクト15に案内されて流出口15Aに集められ、流出口15Aからアフタクーラ11に向けて流出する。そして、この冷却風は、アフタクーラ11のケーシング11A内を通過することにより、冷却配管11B内を流れる圧縮空気を冷却した後に、矢示Fに示すように排気口18から防音箱2の外部に排出される。
【0060】
かくして、本実施の形態によれば、冷却ファン装置21を、従動プーリ22、軸流ファン23、遠心ファン24等によって構成したので、圧縮機1の運転時には、モータ7によって従動プーリ22を回転駆動することにより、軸流ファン23と遠心ファン24とを一緒に作動させることができ、各ファン23,24の駆動構造を一つにまとめて簡略化することができる。
【0061】
また、軸流ファン23によって軸方向の冷却風を発生することができ、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を効率よく冷却することができる。一方、遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部のみを分流させて径方向の冷却風を発生させることができ、この冷却風によってアフタクーラ11を効率よく冷却することができる。
【0062】
このように、軸流ファン23と遠心ファン24とによってそれぞれ異なる方向に冷却風を発生できるから、例えば複数の冷却対象物への送風動作を1個の冷却ファン装置21によって容易に行うことができる。従って、パッケージ型圧縮機1の部品点数を削減することができ、その冷却構造を全体的に簡略化することができる。これにより、圧縮機1のコストダウンや小型化を促進することができ、また防音箱2等の組立を効率よく行うことができる。
【0063】
この場合、パッケージ型圧縮機1は、例えば圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11等からなる複数の冷却対象物を、熱が滞留し易い防音箱2内に収容する構成としている。従って、冷却ファン装置21をパッケージ型圧縮機1に適用することにより、その性能を特に効果的に発揮することができる。
【0064】
また、冷却ファン装置21の中央部には、第1のファンとして軸流ファン23を配置し、その外周側には第2のファンとして遠心ファン24を配置したので、軸流ファン23は、遠心ファン24に影響を与えることなく、軸方向の冷却風を発生することができ、遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部を吸込むことにより、径方向の冷却風を発生することができる。
【0065】
このため、個々のファン23,24による送風動作が互いに干渉するのを防止でき、2個のファン23,24を容易に組合わせて配置することができる。特に、軸流ファン23の外周側に遠心ファン24を配置することにより、装置全体の小型化をより促進できる上に、個々のファン23,24による送風方向を大きく異ならしめることができ、複数方向への送風能力が高い小型の冷却ファン装置21を実現することができる。
【0066】
また、遠心ファン24の外周側にはダクト15を設けているので、遠心ファン24から放射状に吹出す冷却風をダクト15によって容易に案内、整流することができ、この冷却風を流出口15Aの位置に集めることができる。これにより、遠心ファン24による冷却風をアフタクーラ11に向けてスムーズに流通させることができる。
【0067】
さらに、冷却ファン装置21の回転体を従動プーリ22として形成したので、圧縮機1の駆動系統を構成するプーリと、ファン23,24を駆動する回転体とを、共通部品である従動プーリ22として形成することができる。これにより、圧縮機1全体の部品点数をより削減することができ、その小型、軽量化を促進することができる。
【0068】
次に、図10ないし図15は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1,第2のファンをそれぞれ軸流ファンによって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
31はパッケージ型圧縮機で、該パッケージ型圧縮機31は、図10ないし図13に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、防音箱2、圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11と、後述の仕切板32とを有しているものの、第1の実施の形態のダクト15が廃止されている。
【0070】
32は防音箱2内に設けられた仕切板で、該仕切板32は、第1の実施の形態とほぼ同様に、縦板32Aと横板32Bとによって構成され、縦板32Aには円形状の開口部32Cが設けられている。
【0071】
しかし、防音箱2の後面板2Bと縦板32Aとの間には、図12、図13に示す如く、縦板32Aの開口部32Cと吸気口16とを取囲む位置に円筒状の筒体33が設けられている。そして、後面板2Bと縦板32Aとの間の空間は、筒体33の内周側に位置する吸込通路34と、筒体33の外側に位置する排気通路35とに画成されている。
【0072】
また、仕切板32の縦板32Aには、図13に示す如く、例えば開口部32Cの下部側を取囲む位置に機器収容空間13と排気通路35とを連通する排気孔32Dが設けられ、横板32Bには、排気通路35を排気口17に向けて開口させる他の排気孔32Eが設けられている。
【0073】
41はパッケージ型圧縮機31に搭載された冷却ファン装置で、該冷却ファン装置41は、図14、図15に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、従動プーリ22と、吸気用の軸流ファン23(以下、吸気用軸流ファン23という)とを有している。しかし、本実施の形態において、冷却ファン装置41を構成する第2のファンは、後述の排気用軸流ファン42によって構成されている。
【0074】
42は吸気用軸流ファン23の外周側に設けられた第2のファンとしての排気用軸流ファンで、該排気用軸流ファン42は、例えば複数の固定ねじ25等を用いて従動プーリ22の端面に固定される環状部42Aと、該環状部42Aの外周側から径方向外側に向けて放射状に突出する複数の羽根板42Bとによって構成されている。
【0075】
ここで、排気用軸流ファン42の各羽根板42Bは、軸方向に対する傾斜状態が吸気用軸流ファン23の各羽根板23Aと逆向きに形成され、その作動時には、軸方向他側(防音箱2内)から吸込んだ空気を軸方向一側(外部)に吹出すことにより、吸気用軸流ファン23と軸方向の逆向きに空気流を発生させる。
【0076】
このため、冷却ファン装置41が所定の方向に回転するときには、図12中の矢示A,Bに示す如く、外部の空気が吸気用軸流ファン23によって機器収容空間13内に吸込まれ、この空気の一部は、矢示Cに示すように排気口17から直接排出される。また、残りの空気は、矢示G,H,Jに示すように、排気用軸流ファン42によって外部に排出される。
【0077】
このように、排気用軸流ファン42は、吸気用軸流ファン23を通じて機器収容空間13内に流入した空気の一部のみを吸込み、この吸込んだ空気を分流させて外部に排出するものである。
【0078】
本実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次に、冷却ファン装置41による冷却風の流れについて説明する。
【0079】
まず、モータ7の作動時には、冷却ファン装置41の従動プーリ22によって吸気用軸流ファン23と排気用軸流ファン42とが回転駆動される。これにより、吸気用軸流ファン23は、図12中の矢示A,B,Cに示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、機器収容空間13内に冷却風を発生し、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等の機器を冷却する。
【0080】
一方、排気用軸流ファン42は、吸気用軸流ファン23により発生する矢示A,B方向の冷却風に対して、これと軸方向の逆向き(矢示G方向)に流れる空気流を機器収容空間13内に発生する。
【0081】
この空気流は、排気用軸流ファン42から仕切板32に向けて流れることにより、矢示Hに示すように、縦板32Aの排気孔32Dから排気通路35内に流入する。さらに、この冷却風は、横板32Bの排気孔32Eから防音箱2の排気口17に向けて流通した後に、矢示Jに示すように排気口17から防音箱2の外部に排出される。
【0082】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態では、冷却ファン装置41を、従動プーリ22、吸気用軸流ファン23及び排気用軸流ファン42によって構成したので、例えば1つの冷却ファン装置41によって防音箱2内に空気を吸込んだり、この空気を防音箱2の外部に吹出したりすることができる。このため、吸気用と排気用のファンを一つにまとめることができ、その構造を簡略化することができる。
【0083】
なお、前記各実施の形態では、冷却ファン装置21,41の第1のファンを1個の軸流ファン23によって構成し、第2のファンを1個の遠心ファン24または軸流ファン42によって構成するものとした。しかし、本発明のファン装置はこれに限らず、例えば第1のファンを遠心ファンによって構成し、第2のファンを軸流ファンによって構成してもよく、また第1,第2のファンを両方とも遠心ファンによって構成してもよい。
【0084】
また、本発明では、第1,第2のファンを必ずしも1個のファンによって構成する必要はない。即ち、例えば第1のファンを2個以上の軸流ファンまたは遠心ファンによって構成してもよく、また第2のファンを2個以上の軸流ファンまたは遠心ファンによって構成してもよい。
【0085】
また、実施の形態では、冷却ファン装置21,41を構成する回転体として、従動プーリ22を例に挙げて述べた。しかし、本発明はこれに限らず、例えば駆動プーリ8を回転体として用いることにより、モータ7側に冷却ファン装置を設ける構成としてもよい。
【0086】
さらに、第1の実施の形態では、遠心ファン24によってアフタクーラ11を冷却する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、第2のファンによってアフタクーラ11以外の機器(例えば吐出配管6、モータ7等)を冷却する構成としてもよい。
【0087】
一方、実施の形態では、冷却ファン装置21,41を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、冷却以外の目的で送風動作を行う各種のファン装置に適用してもよい。
【0088】
また、実施の形態では、冷却ファン装置21,41をパッケージ型圧縮機1,31に搭載するものとした。しかし、本発明のファン装置は、パッケージ型以外の圧縮機、真空ポンプ、冷媒圧縮機等に適用してもよく、さらには、例えば発電機、エンジン、プロジェクタ等のように、圧縮機以外の機器にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機を示す斜視図である。
【図2】パッケージ型圧縮機を前面板を取外した状態で示す正面図である。
【図3】図2中の圧縮機本体を取外した状態を示す正面図である。
【図4】防音箱、ダクト等を図2中の矢示IV−IV方向から破断してみた縦断面図である。
【図5】パッケージ型圧縮機を図4中の矢示V−V方向からみた縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による冷却ファン装置を示す正面図である。
【図7】プーリと軸流ファンとを示す正面図である。
【図8】遠心ファンを示す正面図である。
【図9】プーリ、軸流ファン及び遠心ファンを組立てる前の状態で示す右側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機を前面板を取外した状態で示す正面図である。
【図11】図10中の圧縮機本体を取外した状態を示す正面図である。
【図12】パッケージ型圧縮機の防音箱等を図10中の矢示XII−XII方向から破断してみた縦断面図である。
【図13】パッケージ型圧縮機を図12中の矢示XIII−XIII方向からみた縦断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態による冷却ファン装置を示す正面図である。
【図15】プーリ、吸気用軸流ファン及び排気用軸流ファンを組立てる前の状態で示す右側面図である。
【符号の説明】
【0090】
1,31 パッケージ型圧縮機
2 防音箱
4 圧縮機本体
6 吐出配管
7 モータ(駆動源)
8 駆動プーリ
9 ベルト
10 タンク
11 アフタクーラ
12,32 仕切板
15 ダクト
15A 流出口
16 吸気口
17,18 排気口
21,41 冷却ファン装置(ファン装置)
22 従動プーリ(回転体)
23 吸気用軸流ファン(第1のファン)
24 遠心ファン(第2のファン)
25 固定ねじ
42 排気用軸流ファン(第2のファン)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷却ファン装置等として好適に用いられ、圧縮機、発電機、エンジン、プロジェクタ等の機器に搭載されるファン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファン装置は、発熱部を有する各種の機器に冷却ファン装置として搭載されており、その一例としては、パッケージ型圧縮機に搭載された冷却ファン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−103145号公報
【0004】
この種の従来技術によるパッケージ型圧縮機は、防音構造を有する箱状体(防音箱)を有し、この防音箱内には、例えば圧縮機本体、モータ、タンク、冷凍式除湿装置等からなる各種の装置が収容されている。
【0005】
ここで、圧縮機の運転時には、その本体から防音箱内の空間に圧縮熱が放出され、また冷凍式除湿装置の凝縮器等からも熱が放出される。このため、圧縮機本体の近くに除湿装置を配置していると、これらの装置の温度が上昇して運転効率が低下し易い。
【0006】
このため、従来技術では、防音箱内に隔壁を設け、この隔壁によって圧縮機本体、モータ、タンク等が収容される空間と、除湿装置の凝縮器、蒸発器等が収容される空間とを個別に画成する構成としている。また、従来技術では、圧縮機本体側の空間内に冷却風を吸込む吸気ファンと、この空間内の冷却風を外部に排出する排気ファンとを設けるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、例えばパッケージ型圧縮機において、防音箱内に配置された各種の装置を効率よく冷却するために、防音箱内に2つの空間を画成する隔壁を設け、一方の空間には吸気ファンと排気ファンを設ける構成としている。
【0008】
しかし、この構成では、複数個のファンや隔壁等の部品を設けることによって部品点数が増加し、防音箱内の構造が複雑化する。このため、従来技術では、仮りに冷却効率を向上できたとしても、部品点数及び加工工数の増加によってコストアップが生じたり、組立時の作業性が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、機器に搭載した状態で複数の空気流を効率よく発生することができ、搭載機器の送風構造を簡略化できると共に、部品点数を削減してコストダウンや組立時の作業性向上を実現できるようにしたファン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、環状に形成された回転体と、該回転体の中央部に設けられ該回転体と一緒に回転することにより空気を吸込んで吹出す第1のファンと、該第1のファンの外周側に設けられ前記回転体と一緒に回転することにより前記第1のファンに流入する空気の一部のみを吸込んで該第1のファンと異なる方向に吹出す第2のファンとからなる構成を採用している。
【0011】
また、請求項2の発明によると、前記第1のファンは、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出す軸流ファンにより構成している。
【0012】
また、請求項3の発明によると、前記第2のファンは、内周側から吸込んだ空気を外周側から吹出す遠心ファンにより構成している。
【0013】
また、請求項4の発明によると、前記遠心ファンの外周側には、前記遠心ファンから吹出す空気流を案内するダクトを設ける構成としている。
【0014】
また、請求項5の発明によると、前記第2のファンは、軸方向他側から吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンにより構成している。
【0015】
さらに、請求項6の発明によると、前記回転体は、駆動源によって回転駆動されるプーリにより構成している。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、例えば回転体を駆動することにより、第1,第2のファンを構成する複数個のファンを一緒に作動させることができ、各ファンの駆動構造を一つにまとめて簡略化することができる。そして、第1,第2のファンは、例えば回転体の内周側に流入する空気を分流させてそれぞれ異なる方向に空気流を発生することができる。これにより、例えば複数個所への送風動作を1個のファン装置によって効率よく行うことができ、ファン装置を搭載した機器全体の送風構造を簡略化することができる。従って、機器全体の部品点数を削減することができ、そのコストダウンを促進できると共に、機器の組立を効率よく行うことができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、第1のファンを軸流ファンによって構成することができる。これにより、軸流ファンは、その外周側に位置する第2のファンに影響を与えることなく、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出すことができる。このため、個々のファンによる送風動作が互いに干渉するのを防止でき、第1,第2のファンを組合わせたファン装置の構造を容易に実現することができる。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、第2のファンを遠心ファンによって構成することができる。これにより、遠心ファンは、例えば第1のファンに流入する空気の一部を内周側から吸込むことができ、この空気を外周側から吹出すことによって径方向の送風動作を行うことができる。
【0019】
従って、第1のファンと遠心ファンとを軸方向に対して互いに近付けることができ、ファン装置全体をコンパクトに形成することができる。特に、第1のファンを軸流ファンによって構成した場合には、装置全体の小型化をより促進できる上に、第1,第2のファンの送風方向を大きく異ならしめることができ、複数方向への送風能力が高い小型のファン装置を実現することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、例えば遠心ファンの外周側をダクトによって取囲むことができるので、遠心ファンの外周側から放射状に吹出す空気流をダクトによって所望の位置または方向に案内することができる。これにより、遠心ファンによって発生する空気流を容易に整流することができ、この空気流を冷却風等として容易に用いることができる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、前記第2のファンは、第1のファンに流入する空気の一部のみを軸方向他側から吸込み、吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンとして構成することができる。これにより、第2のファンは、第1のファンと軸方向の逆向きに空気を流通させることができるから、1つのファン装置によって空気を吸込んだり、吹出したりすることができ、送風機構、冷却機構等の構造を簡略化することができる。
【0022】
さらに、請求項6の発明によれば、ファン装置を各種の機器に搭載するときには、例えば機器の駆動系統を構成するプーリと、第1,第2のファンとを一体化することによってファン装置を形成することができる。即ち、機器の駆動系統を構成するプーリと、第1,第2のファンを駆動する回転体とを共通部品として形成することができる。これにより、機器全体の部品点数を削減することができ、その小型、軽量化を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態によるファン装置として、冷却ファン装置を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0024】
ここで、図1ないし図9は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、冷却ファン装置をパッケージ型圧縮機に適用した場合を例に挙げて述べる。
【0025】
図中、1は後述の冷却ファン装置21を搭載する搭載機器としてのパッケージ型圧縮機で、このパッケージ型圧縮機1は、図2に示す如く、後述の防音箱2と、該防音箱2内に設けられた後述の圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11、仕切板12、ダクト15とによって大略構成されている。
【0026】
2はパッケージ型圧縮機1の外郭を構成する防音箱で、該防音箱2は、防音構造を有する箱体からなり、図2ないし図5に示す如く、前面板2A、後面板2B、左側面板2C、右側面板2D、天面板2E及び底面板2Fによって構成されている。そして、防音箱2内には枠状の支持台3が設けられている。
【0027】
4は防音箱2内に位置して支持台3の上部側に設けられた圧縮機本体で、該圧縮機本体4は、例えば2気筒1段式の往復動型空気圧縮機からなり、図2に示す如く、支持台3に取付られたクランクケース4Aと、該クランクケース4Aに回転可能に設けられたクランク軸4Bと、クランクケース4A上に設けられ、それぞれシリンダ内にピストン(図示せず)が往復動可能に挿嵌された例えば2個の気筒4C,4Dとによって大略構成されている。
【0028】
ここで、クランク軸4Bには、各気筒4C,4Dのピストンがそれぞれ連接棒等を介して連結されている。また、クランク軸4Bは、図4に示す如く、クランクケース4Aから後側に突出し、この突出端側には冷却ファン装置21が設けられている。また、各気筒4C,4Dの吸込側には吸込フィルタ5がそれぞれ設けられ、各気筒4C,4Dの吐出側は、吐出配管6によって後述のタンク10に接続されている。
【0029】
そして、圧縮機本体4は、後述のモータ7によってクランク軸4Bが回転駆動されることにより、各気筒4C,4Dのシリンダ内でピストンがそれぞれ往復動する。これにより、各気筒4C,4Dは、吸込フィルタ5から空気を吸込んで圧縮し、吐出配管6内に圧縮空気をそれぞれ吐出する。そして、これらの圧縮空気は、吐出配管6を経由してタンク10に貯留される。
【0030】
7は支持台3の下部側に設けられた駆動源としてのモータで、該モータ7の出力軸7Aには、図4、図5に示すように駆動プーリ8が設けられ、この駆動プーリ8は、ベルト9によって後述の従動プーリ22と連結されている。そして、モータ7は、プーリ8,22、ベルト9等を介して圧縮機本体4を駆動すると共に、後述の冷却ファン装置21を回転駆動するものである。
【0031】
10はモータ7と共に支持台3の下部側に設けられた円筒形状のタンクで、該タンク10は、吐出配管6によって圧縮機本体4の各気筒4C,4Dの吐出側に接続されている。そして、タンク10は、各気筒4C,4Dから吐出される圧縮空気を貯留し、この圧縮空気は、タンク10に接続されたエア供給口10Aから外部の空圧機器(図示せず)等に供給される。
【0032】
11は吐出配管6の途中に設けられたアフタクーラで、該アフタクーラ11は、吐出配管6内を流れる圧縮空気を冷却するものである。そして、アフタクーラ11は、例えば防音箱2の右側面板2Dの内側面に取付けられたケーシング11Aと、該ケーシング11A内に位置して吐出配管6の途中に接続された冷却配管11Bとによって構成されている。
【0033】
ここで、ケーシング11Aは、例えば四角形の枠状体として形成され、後述するダクト15の流出口15Aに面した左側面部と、後述の排気口18に面した右側面部とがそれぞれ開口している。また、冷却配管11Bは、例えば蛇腹状に屈曲した配管等によって形成されている。
【0034】
そして、圧縮機の運転時には、図2に示すように、後述の遠心ファン24が作動することによってダクト15の流出口15Aからアフタクーラ11のケーシング11A内に冷却風が流入し、この冷却風は、冷却配管11Bと接触することによって当該冷却配管11B内を流れる圧縮空気を冷却する。
【0035】
12は防音箱2内に設けられた仕切板で、該仕切板12は、図4、図5に示す如く、防音箱2の後面板2Bと対向する位置で上,下方向及び左,右方向に延びる縦板12Aと、該縦板12Aの上端部から後面板2Bに向けて水平方向に延びた横板12Bとによって構成されている。
【0036】
そして、仕切板12は、防音箱2内を前,後2つの空間に画成している。この場合、前側の空間は、例えば圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11等が収容された機器収容空間13となり、後側の空間は、後述の吸気口16から機器収容空間13内に冷却風を吸込む吸込通路14となっている。また、縦板12Aには、機器収容空間13と吸込通路14とを連通する円形状の開口部12Cが設けられている。
【0037】
15は例えば機器収容空間13内に位置して仕切板12の開口部12Cに設けられたダクトを示している。このダクト15は、図3、図4に示す如く、例えば短尺な略円筒状に形成され、圧縮機本体4の軸線O−Oを中心として軸方向に延びると共に、圧縮機本体4の背面側に開口している。そして、ダクト15は、その内周側に配置された冷却ファン装置21を径方向外側から取囲んでいる。
【0038】
また、ダクト15の外周側には、例えばアフタクーラ11と対面する位置で径方向外向きに突出する流出口15Aが設けられている。そして、ダクト15は、遠心ファン24の外周側から吹出す空気流(冷却風)をアフタクーラ11に向けて案内するものである。
【0039】
一方、16は防音箱2の後面板2Bに設けられた吸気口で、該吸気口16は、図4に示す如く、冷却ファン装置21の背面側となる位置で吸込通路14に開口している。そして、冷却ファン装置21の作動時には、外部の空気が吸気口16から吸込通路14に流入し、この空気は仕切板12の開口部12Cから後述の軸流ファン23内に吸込まれる。
【0040】
17は例えば防音箱2の天面板2Eに設けられた排気口で、該排気口17は、図4に示す如く、機器収容空間13内を冷却した後の冷却風を防音箱2の上方に排出するものである。また、18は例えば防音箱2の右側面板2Dに設けられた他の排気口で、該排気口18は、図3に示す如く、アフタクーラ11を冷却した後の冷却風を外部に排出するものである。
【0041】
次に、図6ないし図9を参照しつつ、パッケージ型圧縮機1に搭載されたファン装置としての冷却ファン装置21について説明する。
【0042】
この冷却ファン装置21は、後述の従動プーリ22、軸流ファン23、遠心ファン24等によって構成されている。即ち、冷却ファン装置21は、複数個のファン(本実施の形態では、軸流ファン23と遠心ファン24とからなる2個のファンを例示)と、これらのファン23,24を回転駆動するためのプーリ22とを、軸線O−Oを中心として同軸に一体化したものである。
【0043】
そして、冷却ファン装置21は、防音箱2のダクト15内に配置された状態で、従動プーリ22が軸線O−Oを中心として回転駆動されることにより、各ファン23,24が一緒に回転し、これらのファン23,24によってそれぞれ異なる方向の冷却風を発生する。この場合、各ファン23,24は、互いに協働して従動プーリ22の内周側に空気を吸込み、この空気を2つの方向(例えば、軸方向と径方向)に分岐、分流させるものである。
【0044】
22はモータ7により回転駆動される回転体としての従動プーリを示し、該従動プーリ22は、図7、図9に示す如く、軸線O−Oを中心として環状に形成され、その中心部には略筒状のクランク軸連結部22Aが設けられている。また、従動プーリ22の外周側には、ベルト9が巻装される環状溝22Bが設けられている。
【0045】
また、従動プーリ22は、図3、図4に示すように、クランク軸連結部22Aが圧縮機本体4のクランク軸4Bに回転を規制した状態で連結され、ベルト9によって駆動プーリ8と連結されている。そして、圧縮機1の運転時には、モータ7が作動することにより、駆動プーリ8とベルト9とを介して従動プーリ22が回転駆動されると、従動プーリ22は、この回転をクランク軸4Bと各ファン23,24とに伝達する構成となっている。
【0046】
23は従動プーリ22の中央部に設けられた第1のファンとしての軸流ファンで、該軸流ファン23は、図7に示す如く、例えば従動プーリ22と一体形成されており、従動プーリ22のクランク軸連結部22Aから放射状に延びる複数枚の羽根板23Aによって構成されている。
【0047】
そして、軸流ファン23は、図4に示す如く、その軸方向一側に位置する吸気口16から外気を吸込み、この空気を軸方向他側(圧縮機本体4側)に向けて吹出すことにより、機器収容空間13内に軸方向の冷却風を発生し、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を冷却するものである。
【0048】
24は軸流ファン23の外周側に設けられた第2のファンとしての遠心ファン(シロッコファン)を示している。この遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部のみを内周側から吸込み、この空気を外周側から吹出すことにより、図3に示すように径方向の冷却風を発生し、ダクト15と協働してアフタクーラ11を冷却するものである。
【0049】
ここで、遠心ファン24は、図8、図9に示す如く、互いに軸方向で対向する2枚の環状板24A,24Bと、これらの環状板24A,24Bの間に設けられ、周方向に間隔をもって略放射状に配置された複数枚の羽根板24Cとによって構成されている。
【0050】
そして、遠心ファン24は、例えば複数の固定ねじ25等を用いて従動プーリ22の端面に固定されている。また、遠心ファン24は、軸流ファン23によって発生される空気の流れ方向(図4中の矢示A,B方向)に対して、軸流ファン23とほぼ同じ位置(軸方向位置)に配置されるか、または軸流ファン23よりも少し下流側に配置されている。
【0051】
これにより、遠心ファン24は、例えば軸流ファン23に流入した空気の一部のみを吸込むことができ、遠心ファン24に吸込まれなかった残りの空気は、軸流ファン23によって機器収容空間13内に吹出される。なお、遠心ファン24は、例えば軸流ファン23の上流側に配置し、軸流ファン23に流入しようとする空気の一部のみを遠心ファン24に吸込む構成としてもよい。
【0052】
また、冷却ファン装置21を圧縮機1に搭載した状態では、遠心ファン24の外周側をダクト15によって取囲む構成としているので、遠心ファン24から吹出す径方向の冷却風を一箇所に集めてアフタクーラ11へと流通させることができる。
【0053】
本実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0054】
まず、モータ7が作動すると、その回転が駆動プーリ8、ベルト9及び従動プーリ22を介して圧縮機本体4のクランク軸4Bに伝達され、クランク軸4Bが回転する。この結果、各気筒4C,4Dでは、シリンダ内でピストンが往復動することにより、吸込フィルタ5からシリンダ内に空気が吸込まれ、この空気は圧縮されて吐出配管6に吐出される。そして、吐出配管6を流通する圧縮空気は、アフタクーラ11によって冷却された後にタンク10に貯留され、必要に応じてエア供給口10Aから外部の空圧機器等に供給される。
【0055】
一方、モータ7の作動時には、冷却ファン装置21を構成する従動プーリ22が軸線O−Oを中心として回転することにより、この従動プーリ22によって軸流ファン23と遠心ファン24とが回転駆動される。
【0056】
これにより、防音箱2内には、図4中の矢示Aに示すように、外部の空気が吸気口16から流入し、この空気は仕切板12の開口部12Cを通じて軸流ファン23の軸方向一側に吸込まれる。そして、軸流ファン23は、矢示Bに示すように、吸込んだ空気を軸方向他側から吹出すことにより、機器収容空間13内に冷却風を発生する。
【0057】
この結果、軸流ファン23は、機器収容空間13内に配置された圧縮機本体4、モータ7、タンク10等の機器を効率よく冷却することができる。そして、各機器を冷却した後の冷却風は、これらの機器等によって温められることにより、防音箱2の天面板2Eに向けて上昇し、矢示Cに示すように排気口17から防音箱2の外部に排出される。
【0058】
一方、軸流ファン23に流入する空気の一部は、これと一緒に回転する遠心ファン24の内周側に吸込まれる。そして、遠心ファン24は、図3中の矢示Dに示すように、吸込んだ空気を外周側から放射状に吹出すことにより、ダクト15内に冷却風を発生する。
【0059】
この冷却風は、矢示Eに示すように、ダクト15に案内されて流出口15Aに集められ、流出口15Aからアフタクーラ11に向けて流出する。そして、この冷却風は、アフタクーラ11のケーシング11A内を通過することにより、冷却配管11B内を流れる圧縮空気を冷却した後に、矢示Fに示すように排気口18から防音箱2の外部に排出される。
【0060】
かくして、本実施の形態によれば、冷却ファン装置21を、従動プーリ22、軸流ファン23、遠心ファン24等によって構成したので、圧縮機1の運転時には、モータ7によって従動プーリ22を回転駆動することにより、軸流ファン23と遠心ファン24とを一緒に作動させることができ、各ファン23,24の駆動構造を一つにまとめて簡略化することができる。
【0061】
また、軸流ファン23によって軸方向の冷却風を発生することができ、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等を効率よく冷却することができる。一方、遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部のみを分流させて径方向の冷却風を発生させることができ、この冷却風によってアフタクーラ11を効率よく冷却することができる。
【0062】
このように、軸流ファン23と遠心ファン24とによってそれぞれ異なる方向に冷却風を発生できるから、例えば複数の冷却対象物への送風動作を1個の冷却ファン装置21によって容易に行うことができる。従って、パッケージ型圧縮機1の部品点数を削減することができ、その冷却構造を全体的に簡略化することができる。これにより、圧縮機1のコストダウンや小型化を促進することができ、また防音箱2等の組立を効率よく行うことができる。
【0063】
この場合、パッケージ型圧縮機1は、例えば圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11等からなる複数の冷却対象物を、熱が滞留し易い防音箱2内に収容する構成としている。従って、冷却ファン装置21をパッケージ型圧縮機1に適用することにより、その性能を特に効果的に発揮することができる。
【0064】
また、冷却ファン装置21の中央部には、第1のファンとして軸流ファン23を配置し、その外周側には第2のファンとして遠心ファン24を配置したので、軸流ファン23は、遠心ファン24に影響を与えることなく、軸方向の冷却風を発生することができ、遠心ファン24は、軸流ファン23に流入する空気の一部を吸込むことにより、径方向の冷却風を発生することができる。
【0065】
このため、個々のファン23,24による送風動作が互いに干渉するのを防止でき、2個のファン23,24を容易に組合わせて配置することができる。特に、軸流ファン23の外周側に遠心ファン24を配置することにより、装置全体の小型化をより促進できる上に、個々のファン23,24による送風方向を大きく異ならしめることができ、複数方向への送風能力が高い小型の冷却ファン装置21を実現することができる。
【0066】
また、遠心ファン24の外周側にはダクト15を設けているので、遠心ファン24から放射状に吹出す冷却風をダクト15によって容易に案内、整流することができ、この冷却風を流出口15Aの位置に集めることができる。これにより、遠心ファン24による冷却風をアフタクーラ11に向けてスムーズに流通させることができる。
【0067】
さらに、冷却ファン装置21の回転体を従動プーリ22として形成したので、圧縮機1の駆動系統を構成するプーリと、ファン23,24を駆動する回転体とを、共通部品である従動プーリ22として形成することができる。これにより、圧縮機1全体の部品点数をより削減することができ、その小型、軽量化を促進することができる。
【0068】
次に、図10ないし図15は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1,第2のファンをそれぞれ軸流ファンによって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
31はパッケージ型圧縮機で、該パッケージ型圧縮機31は、図10ないし図13に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、防音箱2、圧縮機本体4、モータ7、タンク10、アフタクーラ11と、後述の仕切板32とを有しているものの、第1の実施の形態のダクト15が廃止されている。
【0070】
32は防音箱2内に設けられた仕切板で、該仕切板32は、第1の実施の形態とほぼ同様に、縦板32Aと横板32Bとによって構成され、縦板32Aには円形状の開口部32Cが設けられている。
【0071】
しかし、防音箱2の後面板2Bと縦板32Aとの間には、図12、図13に示す如く、縦板32Aの開口部32Cと吸気口16とを取囲む位置に円筒状の筒体33が設けられている。そして、後面板2Bと縦板32Aとの間の空間は、筒体33の内周側に位置する吸込通路34と、筒体33の外側に位置する排気通路35とに画成されている。
【0072】
また、仕切板32の縦板32Aには、図13に示す如く、例えば開口部32Cの下部側を取囲む位置に機器収容空間13と排気通路35とを連通する排気孔32Dが設けられ、横板32Bには、排気通路35を排気口17に向けて開口させる他の排気孔32Eが設けられている。
【0073】
41はパッケージ型圧縮機31に搭載された冷却ファン装置で、該冷却ファン装置41は、図14、図15に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、従動プーリ22と、吸気用の軸流ファン23(以下、吸気用軸流ファン23という)とを有している。しかし、本実施の形態において、冷却ファン装置41を構成する第2のファンは、後述の排気用軸流ファン42によって構成されている。
【0074】
42は吸気用軸流ファン23の外周側に設けられた第2のファンとしての排気用軸流ファンで、該排気用軸流ファン42は、例えば複数の固定ねじ25等を用いて従動プーリ22の端面に固定される環状部42Aと、該環状部42Aの外周側から径方向外側に向けて放射状に突出する複数の羽根板42Bとによって構成されている。
【0075】
ここで、排気用軸流ファン42の各羽根板42Bは、軸方向に対する傾斜状態が吸気用軸流ファン23の各羽根板23Aと逆向きに形成され、その作動時には、軸方向他側(防音箱2内)から吸込んだ空気を軸方向一側(外部)に吹出すことにより、吸気用軸流ファン23と軸方向の逆向きに空気流を発生させる。
【0076】
このため、冷却ファン装置41が所定の方向に回転するときには、図12中の矢示A,Bに示す如く、外部の空気が吸気用軸流ファン23によって機器収容空間13内に吸込まれ、この空気の一部は、矢示Cに示すように排気口17から直接排出される。また、残りの空気は、矢示G,H,Jに示すように、排気用軸流ファン42によって外部に排出される。
【0077】
このように、排気用軸流ファン42は、吸気用軸流ファン23を通じて機器収容空間13内に流入した空気の一部のみを吸込み、この吸込んだ空気を分流させて外部に排出するものである。
【0078】
本実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次に、冷却ファン装置41による冷却風の流れについて説明する。
【0079】
まず、モータ7の作動時には、冷却ファン装置41の従動プーリ22によって吸気用軸流ファン23と排気用軸流ファン42とが回転駆動される。これにより、吸気用軸流ファン23は、図12中の矢示A,B,Cに示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、機器収容空間13内に冷却風を発生し、この冷却風によって圧縮機本体4、モータ7、タンク10等の機器を冷却する。
【0080】
一方、排気用軸流ファン42は、吸気用軸流ファン23により発生する矢示A,B方向の冷却風に対して、これと軸方向の逆向き(矢示G方向)に流れる空気流を機器収容空間13内に発生する。
【0081】
この空気流は、排気用軸流ファン42から仕切板32に向けて流れることにより、矢示Hに示すように、縦板32Aの排気孔32Dから排気通路35内に流入する。さらに、この冷却風は、横板32Bの排気孔32Eから防音箱2の排気口17に向けて流通した後に、矢示Jに示すように排気口17から防音箱2の外部に排出される。
【0082】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態では、冷却ファン装置41を、従動プーリ22、吸気用軸流ファン23及び排気用軸流ファン42によって構成したので、例えば1つの冷却ファン装置41によって防音箱2内に空気を吸込んだり、この空気を防音箱2の外部に吹出したりすることができる。このため、吸気用と排気用のファンを一つにまとめることができ、その構造を簡略化することができる。
【0083】
なお、前記各実施の形態では、冷却ファン装置21,41の第1のファンを1個の軸流ファン23によって構成し、第2のファンを1個の遠心ファン24または軸流ファン42によって構成するものとした。しかし、本発明のファン装置はこれに限らず、例えば第1のファンを遠心ファンによって構成し、第2のファンを軸流ファンによって構成してもよく、また第1,第2のファンを両方とも遠心ファンによって構成してもよい。
【0084】
また、本発明では、第1,第2のファンを必ずしも1個のファンによって構成する必要はない。即ち、例えば第1のファンを2個以上の軸流ファンまたは遠心ファンによって構成してもよく、また第2のファンを2個以上の軸流ファンまたは遠心ファンによって構成してもよい。
【0085】
また、実施の形態では、冷却ファン装置21,41を構成する回転体として、従動プーリ22を例に挙げて述べた。しかし、本発明はこれに限らず、例えば駆動プーリ8を回転体として用いることにより、モータ7側に冷却ファン装置を設ける構成としてもよい。
【0086】
さらに、第1の実施の形態では、遠心ファン24によってアフタクーラ11を冷却する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、第2のファンによってアフタクーラ11以外の機器(例えば吐出配管6、モータ7等)を冷却する構成としてもよい。
【0087】
一方、実施の形態では、冷却ファン装置21,41を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、冷却以外の目的で送風動作を行う各種のファン装置に適用してもよい。
【0088】
また、実施の形態では、冷却ファン装置21,41をパッケージ型圧縮機1,31に搭載するものとした。しかし、本発明のファン装置は、パッケージ型以外の圧縮機、真空ポンプ、冷媒圧縮機等に適用してもよく、さらには、例えば発電機、エンジン、プロジェクタ等のように、圧縮機以外の機器にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機を示す斜視図である。
【図2】パッケージ型圧縮機を前面板を取外した状態で示す正面図である。
【図3】図2中の圧縮機本体を取外した状態を示す正面図である。
【図4】防音箱、ダクト等を図2中の矢示IV−IV方向から破断してみた縦断面図である。
【図5】パッケージ型圧縮機を図4中の矢示V−V方向からみた縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による冷却ファン装置を示す正面図である。
【図7】プーリと軸流ファンとを示す正面図である。
【図8】遠心ファンを示す正面図である。
【図9】プーリ、軸流ファン及び遠心ファンを組立てる前の状態で示す右側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に適用されるパッケージ型圧縮機を前面板を取外した状態で示す正面図である。
【図11】図10中の圧縮機本体を取外した状態を示す正面図である。
【図12】パッケージ型圧縮機の防音箱等を図10中の矢示XII−XII方向から破断してみた縦断面図である。
【図13】パッケージ型圧縮機を図12中の矢示XIII−XIII方向からみた縦断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態による冷却ファン装置を示す正面図である。
【図15】プーリ、吸気用軸流ファン及び排気用軸流ファンを組立てる前の状態で示す右側面図である。
【符号の説明】
【0090】
1,31 パッケージ型圧縮機
2 防音箱
4 圧縮機本体
6 吐出配管
7 モータ(駆動源)
8 駆動プーリ
9 ベルト
10 タンク
11 アフタクーラ
12,32 仕切板
15 ダクト
15A 流出口
16 吸気口
17,18 排気口
21,41 冷却ファン装置(ファン装置)
22 従動プーリ(回転体)
23 吸気用軸流ファン(第1のファン)
24 遠心ファン(第2のファン)
25 固定ねじ
42 排気用軸流ファン(第2のファン)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成された回転体と、該回転体の中央部に設けられ該回転体と一緒に回転することにより空気を吸込んで吹出す第1のファンと、該第1のファンの外周側に設けられ前記回転体と一緒に回転することにより前記第1のファンに流入する空気の一部のみを吸込んで該第1のファンと異なる方向に吹出す第2のファンとにより構成してなるファン装置。
【請求項2】
前記第1のファンは、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出す軸流ファンである請求項1に記載のファン装置。
【請求項3】
前記第2のファンは、内周側から吸込んだ空気を外周側から吹出す遠心ファンである請求項1または2に記載のファン装置。
【請求項4】
前記遠心ファンの外周側には、前記遠心ファンから吹出す空気流を案内するダクトを設けてなる請求項3に記載のファン装置。
【請求項5】
前記第2のファンは、軸方向他側から吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンである請求項2に記載のファン装置。
【請求項6】
前記回転体は、駆動源によって回転駆動されるプーリである請求項1,2,3,4または5に記載のファン装置。
【請求項1】
環状に形成された回転体と、該回転体の中央部に設けられ該回転体と一緒に回転することにより空気を吸込んで吹出す第1のファンと、該第1のファンの外周側に設けられ前記回転体と一緒に回転することにより前記第1のファンに流入する空気の一部のみを吸込んで該第1のファンと異なる方向に吹出す第2のファンとにより構成してなるファン装置。
【請求項2】
前記第1のファンは、軸方向一側から吸込んだ空気を軸方向他側から吹出す軸流ファンである請求項1に記載のファン装置。
【請求項3】
前記第2のファンは、内周側から吸込んだ空気を外周側から吹出す遠心ファンである請求項1または2に記載のファン装置。
【請求項4】
前記遠心ファンの外周側には、前記遠心ファンから吹出す空気流を案内するダクトを設けてなる請求項3に記載のファン装置。
【請求項5】
前記第2のファンは、軸方向他側から吸込んだ空気を軸方向一側から吹出す軸流ファンである請求項2に記載のファン装置。
【請求項6】
前記回転体は、駆動源によって回転駆動されるプーリである請求項1,2,3,4または5に記載のファン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−31956(P2008−31956A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208478(P2006−208478)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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