説明

フィット性の優れた矩形マスク

【課題】 本発明は、フィット性の優れると共に、マスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減が図れるガーゼマスクを提供することにある。
【解決手段】 矩形のマスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤーを設置してなる、フィット性の優れた矩形マスクである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィット性の優れた矩形マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる花粉症の最も有効な予防方法はマスクの装着であるといわれている。しかし花粉症罹患患者数に比べマスクを装着している人は少なく、マスクを用いた予防意欲減退の原因は装着時における不快感、息苦しさにあると思われた。近年快適性を重視した物が多く販売されているなか、マスクにおいては形状もさることながら快適性を考慮されたものは殆どなく今日に至っている。
本発明者の調査によると、健常者22人に対して86.4%(19人)の人がマスク装着時の不快感、息苦しさを感じている事が判明した。
【0003】
また、従来よりマスク上部に自由に曲げることのできる帯状やワイヤー状の、凹部のマスク上辺部のスキマを押える固定式金属基材を水平方向に内蔵して設けたマスクは知られていた(特開平3−24460号、同10−85493号など)。しかし、これらはマスク上辺部のスキマをふさぐという作用は達しても、マスクの横部および下部のスキマをふさぐことができず、フィット性、密着性が不十分であり、なによりもマスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減が図れないと言う欠点があった。
【特許文献1】 特開平3−24460
【特許文献2】 特開平10−85493
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フィット性の優れると共に、マスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減が図れるガーゼマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、口と鼻を覆うマスクのフィット性およびマスク装着時における苦痛の軽減について鋭意検討を重ねた結果、マスク本体のほぼ中央付近に縦にノーズワイヤーを設置することによって、フィット性を改善し、かつマスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、矩形のマスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤーを設置してなる、フィット性の優れた矩形マスクに関する。
【0006】
本発明におけるマスクとは、形状が長方形、正方形等のような基本的には矩形である口と鼻を覆うことができる顔面用マスクをいい、通常の方法によって製造されたものであればよい。フィルターメディアには粉塵、花粉、ミストあるいは悪臭や化学物質を捕集するもの、バクテリアなどを吸着殺菌するものなどが使用される。また、エレクトレット加工されたメルトブローン不織布や活性炭が担持されたシートなどを挙げることが出来る。これらのフィルターメディアは最も単純で安価であるガーゼのみから構成されているガーゼマスクが使用される。
【0007】
なお、ガーゼの他、編織布、不織布あるいは紙などで覆われて縫製あるいは熱接着によりマスクに仕上げられたものであっても差し支えない。本発明のマスクは正方形、または長方形をしているが、四角(よすみ)が縁どりされているような形状をしていてもよい。
【0008】
マスク本体のほぼ中央付近に設置されるノーズワイヤーは、鉄、アルミニウム等の金属製またはポリエチレンモノフィラメントなどのプラスチックス製または金属製ワイヤーをプラスチックによって被膜されたものなどであればよく、とくに柔軟性と形状記憶性を有する物質であればさらに好ましい。ノーズワイヤーは、その基材から厚さ0.05〜2mm、巾0.1〜10mm、長さ30〜100mm程度とする。
【0009】
本発明においては、当該ノーズワイヤーの設置位置がとくに重要であり、それは、マスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦に設置することであって、それによって上記した本発明の目的を達成することができる。
【0010】
本発明における矩形のマスク本体は多層体よりなり、ノーズワイヤーは多層体の中間部に介在させてなるものであることが好ましい。さらに好ましくは、ノーズワイヤーを顔面の最も近い層で、顔面に直接接触しないように装着するのが望ましい。
【0011】
なお、予めノーズワイヤー片を別途用意し、通常のガーゼマスク等の中間部等に当該ノーズワイヤー片を接着剤や両面接着テープ等により付着せしめるようにしたものであってもよい。
【0012】
本発明のマスクは、矩形のマスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤーを設置してなるものであるので、使用者が適宜該ノーズワイヤーにふくらみを持たせるように形成させることにより、鼻穴、唇周辺に空間を生じ、マスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減が図れると共に口紅等がマスク本体に付着せずにすむという利点が生ずることができる。
【0013】
本発明のマスクを図面により具体的に説明すると、図1は、本発明における代表的実施態様に係るマスクの平面図である。すなわち、本発明のマスクは、マスク本体1のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤー2を設置したマスクである。図1にはマスクを顔面に密着させる耳かけ3が示されている。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明において、矩形のマスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤーを設置してなるものであることから、格段にフィット性の優れると共に、マスク装着時の不快感、息苦しさ等の苦痛の軽減が図れるガーゼマスクを提供することができる。
【0015】
以下図面を参照しつつ本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1のように、4層(16枚)のガーゼよりなるマスク1(縦95mm、横135mm、中央厚さ3.5mm、全重量10.3g)のほぼ中央付近の鼻筋から下顎に相当する部分に縦にノーズワイヤー2を設置した。ノーズワイヤーは直径1mmの鉄線をポリエチレンシート(巾4mm)で被覆したものを用いた。ノーズワイヤーの長さは12cmである。このノーズワイヤーを4層のガーゼの第1層と第2層の間の所定の箇所に両面接着テープにて接着した。
【0017】
このようにして作成されたノーズワイヤー設置マスクを25名の対象者に、第1層が顔面側にくるように着用してもらい、それぞれ鼻の高さ、不快さ息苦しさ等の程度に応じてふくらみを持たせるように形状を調整して使用した。
【0018】
本発明のガーゼマスク装着時の使用感は次のとおりであった。すなわち、装着後、不快感、息苦しさは100%の改善率であった。本発明のガーゼマスクは、市販のノーズワイヤーを設置しないガーゼマスク(比較例)に比べ、間隙を作る事により不快感が軽減し会話も楽であり、また何より形状を個人の鼻の高さに合わせ、密着具合を自由に変えられることが良いとの意見が得られた。さらに花粉症治療者においては不快感、息苦しさの改善から症状発症の予防として積極的に使用するとの意見も得ることができた。長さは12cmである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明における代表的実施態様に係るマスクの平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 マスク
2 ノーズワイヤー
3 耳かけ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のマスク本体のほぼ中央付近の鼻筋から下顎にかけて縦にノーズワイヤーを設置してなる、フィット性の優れた矩形マスク。
【請求項2】
矩形のマスク本体は多層体よりなり、ノーズワイヤーが多層体の中間部に介在させてなる、請求項1に記載のフィット性の優れた矩形マスク。
【請求項3】
ノーズワイヤーによって、ふくらみを持たせるように形成させてなる、請求項1または請求項2に記載のフィット性の優れた矩形マスク。

【図1】
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