説明

フィトステロールを含む食品

本発明は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含む食品であって、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%であることを特徴とする食品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィトステロールを含む、血中コレステロールの低減に適した食品に関する。本発明は、更に、血清中のトリグリセリドレベルの低減に適した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィトステロールは、良く知られた血中コレステロール低減剤である。心疾患のリスクを減ずるこれらの成分の利点は、何年間も定着している。
【0003】
植物ステロールまたは野菜ステロールとしても知られているフィトステロールは、3つのグループ(4-デスメチルステロール、4-モノメチルステロールおよび4,4’-ジメチルステロール)に分類することができる。油中には、これらは主に遊離ステロールおよび脂肪酸のステロールエステルとして存在しているが、ステロールグリコシドおよびアシル化ステロールグリコシドも存在している。3つの主要なフィトステロール、すなわちベータ-シトステロール、スティグマステロールおよびカンペステロールが存在する。その意味する構成の略図は、“Influence of Processing on Sterols of Edible Vegetable Oils”, S.P. Kochhar; Prog. Lipid Res. 22: pp. 161-188に記載されている。
【0004】
されぞれの(5α-)および他の飽和した誘導体、例えばシトスタノール、カンペスタノールおよびエルゴスタノールは、また、一日当たり数百ミリグラムから数グラムの範囲の日々の摂取で、ヒトにおいて、全コレステロールおよびLDLコレステロールレベルを低減する効果を有する(Hallikainen, M. A. et al; European Journal of Clinical Nutrition; 2000, Vol. 54, No. 9, p 715-725; Westrate J.A. et al; Journal of Clinical Nutrition 1999 Vol. 53, No. 4, p 319-327)。このコレステロール低減効果が、コレステロールと構造が類似しており、それゆえの腸でのコレステロール吸収を妨害することに基づくものであると仮定されているが、植物ステロールおよびスタノールもほとんど吸収されない。コレステロール(30-70%の範囲の吸収、平均50%)に対する吸収は、ステロールで約1から5%であり、スタノールで約0.1から2%である(Heinemann T. et al; European Journal of Clinical Investigation; 1993, Vol. 23, No. 12, p 827-831)。
【0005】
Mensink, R.P. et alは、Atherosclerosis Vol.160, issue 1, January 2002, p 205-213において、コレステロール標準化シトステロールおよびカンペステロール濃度の減少を示して、植物スタノールエステルを補充したヨーグルトは、腸のコレステロール吸収を低減することを開示している。
【0006】
WO-A-98/01759には、β-シトスタノールが、血流中のコレステロールだけでなくフィトステロールの吸収も阻害することが開示されている。シトスタノールの存在により、選択的に、カンペステロールに対するシトステロールの吸収またはシトステロールの除去を容易になることが記載されている。好ましくは10-25重量%のカンペステロール、10-15重量%のスティグマスタノール(β-シトスタノール)および45-75重量%のβ-シトステロールを含むコレステロール低減組成物が存在する。これらの組成物は、ヒトの健康の指標であるβ-シトステロールに対するカンペステロールの比率を増すのに最も適切であるとされる。高い比率の場合、健康の指標は陽性である。
【0007】
WO-A-00/61771には、種子に、上昇したレベルのシトスタノールおよび/またはシトスタノールエステルおよびα-トコフェロールを含む遺伝子組み換え植物が開示されている。実施例には、上昇したレベルのスティグマスタノールを含む種子が開示されている。
【0008】
Atta M. B. Journal of oleo science, Vol. 51, No. 7, 2002, p 457-461には、コーン油と比較した、ローゼソウの種子に由来する油粗抽出物のステロール組成物が開示されている。
【0009】
Venkatramech, M; Phytochemistry Vol. 62, 2003, p 39-46には、フィトステロールおよびフィトスタノールを含む、ナタネおよび大豆に由来する遺伝子組み換え油種子が開示されている。フィトスタノールは、フィトステロールに比べてコレステロール低減がより効率的であり、フィトスタノールの腸吸収は、フィトステロールよりも低いことが示唆されている。
【0010】
Sanders D. J. et al; Food and Chemical toxicology, Vol. 38, 2000, p 485-491には、フィトステロールエステルの安全な評価が開示されている。そこでは、フィトステロールの中で、カンペステロールは、カンペスタノールおよびβ-シトスタノールよりも僅かに吸収されやすいβ-シトステロールおよびスティグマステロールよも吸収されやすいと結論付けている。
【0011】
この技術分野において知られている食品組成物は、ダイエット製品に存在する総β-シトスタノールおよびβ-シトステロールに対して一般的に最低約16重量%という相対的に高いレベルのβ-シトスタノールに依存している。
【0012】
周知技術として、さらには、血清中のトリグリセリドのレベルを低減するのに適した組成物が開示されている。EP-A-1004594には、血清コレステロールの低減と同時に血清トリグリセリドの低減をも目的とした食品成分配合物の調製のための、C18-C22の多価不飽和脂肪酸と少なくとも3つの不飽和炭素-炭素結合を有するフィトステロール/スタノールエステルの組成物の使用が開示されている。これらの特定のエステルは、炭素-炭素二重結合の酸化が原因で、異臭が発生しやすいという欠点を有する。
【特許文献1】WO-A-98/01759
【特許文献2】WO-A-00/61771
【特許文献3】EP-A-1004594
【特許文献4】WO-A-98/19556
【特許文献5】WO-A-92/19640
【非特許文献1】“Influence of Processing on Sterols of Edible Vegetable Oils”, S.P. Kochhar; Prog. Lipid Res. 22: pp. 161-188
【非特許文献2】Hallikainen, M. A. et al; European Journal of Clinical Nutrition; 2000, Vol. 54, No. 9, p 715-725
【非特許文献3】Westrate J.A. et al; Journal of Clinical Nutrition 1999 Vol. 53, No. 4, p 319-327
【非特許文献4】Heinemann T. et al; European Journal of Clinical Investigation; 1993, Vol. 23, No. 12, p 827-831
【非特許文献5】Atta M. B. Journal of oleo science, Vol. 51, No. 7, 2002, p 457-461
【非特許文献6】Venkatramech, M; Phytochemistry Vol. 62, 2003, p 39-46
【非特許文献7】Sanders D. J. et al; Food and Chemical toxicology, Vol. 38, 2000, p 485-491
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
我々は、驚くべきことに、β-シトステロールに対するβ-シトスタノールの特定の比率によって、コレステロール低減効果の最適化および血中のβ-シトステロールの摂取の減少の最適化を達成することができることを見出した。この特に有益なβ-シトステロールとβ-シトスタノールの組み合わせは、消費者への製品として有益である。これは、シトステロール症に罹患した患者に特に有益である。
【0014】
更に、我々は、驚くべきことに、コレステロール低減効果を付与するβ-シトステロールに対するβ-シトスタノールの同じ特定の比率によって、血漿トリグリセリド低減効果の最適化を達成できることを見出した。この特に有益なβ-シトスタノールとβ-シトステロールの組み合わせは、消費者への製品として有益である。これは、高トリグリセリド血症に罹患した患者に特に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、水相を含む食品に関し、前記食品は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%、好ましくは5から10重量%である。
【0016】
本発明は、更に、血中のβ-シトステロールの摂取を低減する食品、および、血中のβ-シトステロールの摂取を低減するのに使用する配合物の製造方法に関する。これらにおいては、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する。
【0017】
本発明は、また、血中の総トリグリセリドのレベルを減少するのに使用する配合物の製造方法にも関する。この方法においては、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
パーセンテージを使用する場合、特に指示されない限り、重量%に関する。
【0019】
本発明においては、用語「油」および「脂肪」は相互変換可能に使用する。
【0020】
本発明による食品は、水相を含む。このことは、少なくとも幾らかの水が存在することを意味する。好ましい実施態様においては、食品は、製品の総重量に対して少なくとも10重量%の水を含む。
【0021】
本発明においては、用語「フィトステロール」は、ステロールおよびその飽和等価物である、スタノール、すなわちフィトスタノールを指す。用語「フィトステロール」は、また、フィトステロールエステル、特に、フィトステロールと脂肪酸のエステル(例えば、WO-A-98/19556に開示されているエステル)などの誘導体を含む。本発明においては、β-シトステロールとβ-シトスタノール(β-シトステロールの5-α飽和誘導体)の間を明確に区別する。
【0022】
本発明は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含む食品であって、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から10重量%である食品に関する。β-シトステロールおよびβ-シトスタノールのそれぞれの量は、遊離した、すなわち非修飾の化合物に基づく。それ故、ステロールまたはスタノールにエステル結合した脂肪酸基の重量は、考慮しない。
【0023】
好ましい実施態様においては、β-シトスタノールの量は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して、6から9重量%、好ましくは6.5から8.5重量%、より好ましくは7から8.5重量%である。これらの範囲において、血中のβ-シトステロールのレベルが最も効率的に減少する。
【0024】
好ましい実施態様においては、本発明は、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールが少なくとも部分的に脂肪酸とエステル化している食品に関する。エステル化は、一般的に、フィトステロールの脂肪溶解性を増す。Becel pro-activtmおよびBenecoltmなどの市販の製品は、それぞれ、ステロール脂肪酸エステルおよびスタノール脂肪酸エステルを含む。
【0025】
好ましくは、フィトステロール、特にβ-シトステロールおよびβ-シトスタノールは、1つまたは複数のC2-22脂肪酸によってエステル化されている。本発明の目的のために、用語「C2-22脂肪酸」は、C2-22のアルキル主鎖および少なくとも1つのカルボン酸基を含む任意の分子を指す。好ましくはないにしても、本発明においては、C2-22主鎖は部分的に置換されていても良く、または、側鎖が存在しても良い。好ましくは、しかしながら、C2-22脂肪酸は、末端基として1つまたは2つのカルボン酸基を含む直鎖分子である。
【0026】
最も好ましくは、自然界の油に存在する直鎖C8-22脂肪酸である。このような脂肪酸の適した例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸である。他の適した酸は、例えば、クエン酸、乳酸、シュウ酸およびマレイン酸がある。最も好ましくは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、エライジン酸、リノール酸およびリノレン酸である。
【0027】
望むならば、脂肪酸の混合物をステロールのエステル化に使用することができる。例えば、脂肪酸源として、天然に存在する脂肪または油を使用し、場合によっては溶媒として油を使用したエステル化反応を介して、エステル化を行うことができる。
【0028】
特定の実施態様においては、脂肪酸混合物は、高含量(>35%、好ましくは>45%、更に好ましくは>60%)の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む。このことは、良好な血中コレステロール低減作用を有するというPUFA自身の利点だけでなく、このような脂肪酸を用いて調製されたステロールエステルが、身体における血中コレステロール低減効果およびより高い溶解性を有すると考えられるという利点ももたらす。
【0029】
好ましくは、ヒマワリ、ベニバナ、ナタネ、アマニ、リノーラおよび/または大豆の脂肪酸混合物を使用する。これらは、一般的な高PUFAおよび/または低SAFA(飽和脂肪酸)の供給源である。適したエステル化の条件は、例えば、WO-A-92/19640に記載されている。エステル化に適した脂肪酸の選択においては、魚油に由来する高レベルの脂肪酸を避けることが好ましい。なぜならば、これらは、異臭が発生しやすいからである。
【0030】
フィトステロールの適した供給源は、例えば、大豆、木材パルプ、ナタネ油である。食品中のフィトステロール組成物は、ナタネ油および木材パルプの混合物に由来することが好ましい。
【0031】
前記したフィトステロール(β-シトスタノールおよびβ-シトステロール)に加えて、食品は、場合により、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、スティグマステロール、スティグマスタノールまたはこれらの組み合わせを含む群から選択されるような他のフィトステロールを含む。場合によっては、これらは、また、脂肪酸または他の化合物によってエステル化されている。食品中のフィトステロールの総重量に対して1重量%までのカンペスタノール、好ましくは0.7から1重量%のカンペスタノールを含む食品が好ましい。なぜならば、これらは低い総フィトステロール血清レベルをもたらすからである。
【0032】
特に、β-シトステロールの量が、食品中の全てのフィトステロールの総重量に対して45から90重量%、好ましくは50から90重量%、より好ましくは70から90重量%である食品が、非常に適したダイエット製品であることを見出した。
【0033】
適した食品の例には、エマルジョン、例えば牛乳、マーガリン、ヨーグルト、クリーマー;バーおよび飲料、例えばジュースが含まれる。定期的に毎日、多かれ少なかれ一日当たり一定量を消費する食品が、最も適切である。それゆえ、マーガリン、牛乳、ヨーグルトおよびジュースが、非常に適切であると考えられるが、例えばアイスクリーム、クリーマーおよびバーは、一般的に、本発明によるフィトステロール成分を導入するにはそれほど適していない。それゆえ、好ましい製品は、牛乳、ジュース、ヨーグルト、マーガリンまたは他のスプレッド可能なエマルジョンタイプの製品である。
【0034】
本発明においては、脂肪相およびフィトステロールを含み、場合によっては他の成分を含むが、水を含まない製品は、用語「食品」に含まれない。
【0035】
更に、β-シトスタノールとβ-シトステロールの請求項に記載の組み合わせによる血中コレステロール低減効果は、少なくとも幾つかの脂肪の存在によって改善されることが見出された。それゆえ、幾つかの脂肪が腸管に存在し、血中コレステロール低減効果を改善することが好ましい。1つの実施態様によれば、脂肪は、β-シトスタノールおよびβ-シトステロールを加えた食品の一部である。より好ましくは、食品は、各フィトステロール分子に対して少なくとも10分子の脂肪(トリグリセリド)を含む。場合によっては、食品は、0.1から80重量%、より更に好ましくは0.5から50重量%の脂肪を含む。
【0036】
他の実施態様によれば、β-シトスタノールおよびβ-シトステロールを含む食品は、本質的には脂肪を含まない。この実施態様においては、食品は、好ましくは、少なくとも幾つかの脂肪の同時摂取が好ましいという指示を付随する。このような指示は、食品のパッケージの一部とすることができ、または、別の説明書に含ませることができる。
【0037】
本発明においては、用語「脂肪」は、特にトリグリセリドを指す。脂肪は、好ましくは、バター脂肪および植物油、例えばヒマワリ油、コーン油、ナタネ油、オリーブ油、ベニバナ油、アマニ油、大豆油またはこれらの組み合わせを含む群から選択される
【0038】
食品中のフィトステロールの総量は、食品のタイプおよび食品の平均的な消費パターンに依存するであろうことは明らかである。
【0039】
好ましい量は、通常量の食品を摂る消費者の平均的な日々の総摂取が、一日当たり1.6から5gの遊離フィトステロール、好ましくは一日当たり2から3.5gの遊離フィトステロールであるようにする。それゆえ、食品に含まれる量は、想定する食品の供給サイズに依存するであろうことは明らかである。食品のフィトステロールの量は、遊離ステロールまたはスタノールに関して求められる。このことは、実質的に個々の分子の重量が増すこととなるエステル化などの化学的修飾を考慮に入れない、ステロールまたはスタノール組成物の量であることを意味する。それゆえ、好ましい食品は、フィトステロールの総重量が、食品の総重量に対して0.5から15重量%、好ましくは1から10重量%の遊離フィトステロールである食品である。
【0040】
味覚を改良し、栄養価値を付与するために、食品は、場合によってはタンパク質を含む。前記タンパク質は、植物由来または乳製品由来とすることができ、乳製品由来が好ましい。乳製品タンパク質は、牛乳タンパク質、ホエイタンパク質、脱脂粉乳、ホエイ粉末、スウィートホエイ(粉末)、バターミルクもしくはバターミルク粉末、またはこれらの組み合わせなどの供給源から選択することが適している。このようなタンパク質の量は、例えば、製品の総重量に対して0.2から3重量%、好ましくは0.5から2重量%である。
【0041】
更にその上、食品は、場合によっては、ビタミン、抗酸化剤などの他の有益な剤を含む。
【0042】
場合によっては、食品は、芳香成分、着色剤、増粘剤、ハーブなどの一般的な成分を含む。
【0043】
製品は、既知の方法で製造される。フィトステロール組成物は、製造方法の任意の段階で含むことができる。
【0044】
更なる態様においては、本発明は、血中のβ-シトステロールの吸収を減少するのに使用する、β-シトステロールおよび少量のβ-シトスタノールを含む食品に関する。少量とは、好ましくは、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である。
【0045】
好ましい態様においては、本発明は、血中のβ-シトステロールの摂取を低減するのに使用する配合物の製造方法であって、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する製造方法に関する。
【0046】
更なる態様においては、本発明は、血中の総トリグリセリドのレベルを減少するのに使用する配合物の製造方法であって、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する製造方法に関する。
【0047】
参照する配合物は、好ましくは、前記により詳細に記載した食品である。代替物としては、配合物は医薬である。
【0048】
本発明は、以下に記す非制限的な実施例において例示する。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
47%の脂肪(トリグリセリドのみ)を含むスプレッド状の油中水型エマルジョンを、以下の成分に従って調製した。
【0050】
【表1】

【0051】
モノグリセリド、フィトステロール組成物およびヒマワリ油を混合し、50℃まで加熱した。30℃まで冷却後、粉末形態の予め結晶化させた完全水素化高エルカ酸ナタネ油(8%w/w)を、穏やかに攪拌しながら脂肪相に加えた。均一なスラリーが得られた後、水相を、Ultra-Turrax homogenizerを用いて12,900rpmで10分間攪拌しながら脂肪相に加えた。全ての濃度は、総エマルジョン組成物に関する。得られたエマルジョンを小型容器に充填し、5℃で保存した。
【0052】
製品のフィトステロール組成物は以下のとおりである。
【0053】
【表2】

【0054】
この実施例においては、β-シトスタノールおよびβ-シトステロールの総重量に対するβ-シトスタノールの量は、6.4重量%である。
【0055】
植物ステロール/スタノールの組み合わせを含む、前記した食品を、通常から軽度の高コレステロール血症の患者(n=40)に、1600mg/day(エステルとして、ステロール+スタノールの合計)で3週間投与した。3週間の使用後、(コントロールに対して)血漿の総コレステロールの減少が-9.6%であり、血漿のLDL-コレステロールの減少が-11.4%であることが見出された。更に3週間3000mg/dayに投与を増すと、効果が増した;血漿の総コレステロールについてのデータは-11.2%であり、血漿のLDL-コレステロールについてのデータは-14.7%であった。これらのデータは、全て、コントロール食品を投与した一致させた患者と比較したものである。
【0056】
興味深いことに、この研究において、血漿のTGレベルにおいても顕著な減少効果が得られた;3週間後、その減少は-17.4%であり、より投与量を増した更なる3週間後には、-21.5%であった。コントロール群におけるTGは、ベースラインから顕著に変化しなかった。時間、投与量または処理群における肝臓機能試験には、如何なる変化も見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含む食品であって、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から10重量%であることを特徴とする食品。
【請求項2】
前記β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して、6から9重量%、好ましくは6.5から8.5重量%、より好ましくは7から8.5重量%である、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記β-シトステロールおよびβ-シトスタノールが、少なくとも部分的に脂肪酸とエステル化している、請求項1に記載の食品。
【請求項4】
食品中のフィトステロールの総重量に対して1重量%までのカンペスタノール、好ましくは0.7から1重量%のカンペスタノールを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
前記β-シトステロールの量が、食品中の全てのフィトステロールの総重量に対して45から90重量%、好ましくは50から90重量%、より好ましくは70から90重量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
フィトステロールの総重量が、食品の総重量に対して0.5から15重量%、好ましくは1から10重量%の遊離フィトステロールである、請求項1から5のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
牛乳、ヨーグルト、マーガリンおよびジュースを含む群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の食品。
【請求項8】
好ましくはフィトステロール分子当たり少なくとも10のトリグリセリド分子のレベルで脂肪を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の食品。
【請求項9】
血中のβ-シトステロールの吸収を減少するのに使用するための、β-シトステロールおよび少量のβ-シトスタノールを含む食品。
【請求項10】
血中のβ-シトステロールの摂取を低減するのに使用する配合物の製造方法であって、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する製造方法。
【請求項11】
血中の総トリグリセリドのレベルを減少するのに使用する配合物の製造方法であって、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールを含み、β-シトスタノールの量が、β-シトステロールおよびβ-シトスタノールの総重量に対して5から12重量%である組成物を使用する製造方法。

【公表番号】特表2007−500003(P2007−500003A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521415(P2006−521415)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007287
【国際公開番号】WO2005/013707
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】