説明

フィブラートの新規な使用

【課題】フィブラートの新規な使用の提供。
【解決手段】本発明は製薬産業に適用可能であり、睡眠時無呼吸、睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療のための薬剤を製造するための、とりわけ経口用固形組成物の形態でのフィブラート、特にフェノフィブラートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、フィブラート、特にフェノフィブラートの新規な治療的使用に関する。具体的には、本発明は、睡眠時無呼吸及び睡眠時無呼吸症候群の治療、特に閉塞性睡眠時無呼吸及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有用な薬剤を調製するためのフィブラートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸とは、少なくとも10秒間にわたって呼吸が停止することであり、一方、睡眠中の相当期間にわたって気流が50%〜80%減少するのは、低呼吸と呼ばれる。これらのイベントは、酸素(O)飽和度の減少、動脈圧の上昇、及び、心拍数の減少を伴う。無呼吸イベント及び低呼吸イベントは、睡眠1時間当たりの無呼吸/低呼吸イベントの合計回数である無呼吸/低呼吸指数(AHI)に合算される。睡眠時無呼吸では、AHIは通常10以上である。
【0003】
睡眠時無呼吸には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、及び、OSAとCSAの両方を併せ持つ混合性睡眠時無呼吸の3タイプがある。
【0004】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では、気道が閉塞することにより、睡眠中の呼吸努力が無駄なものとなる。多くの場合、OSAは肥満と関係している。その顕著な臨床症状は、激しいいびきであり、このいびきは、無呼吸発作中、及び、患者が覚醒している短い期間中に急に止まり、患者が再び寝入ると再開される。これにより、極度の日中過眠、延いては、ほぼすべての日中の活動が阻害される(睡眠時無呼吸症候群)までに至る可能性がある。
【0005】
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は奇病であり、中枢性睡眠時無呼吸では、通常、中枢神経系機能障害が原因であって、呼吸努力が見られない。
【0006】
重度の睡眠時無呼吸に罹患した患者に対する最も一般的な治療は、鼻用マスクを通常用いた睡眠中の持続的気道内陽圧(CPAP)である。大幅な減量又は禁酒以外では、生活様式の簡単で非侵略的な変化によって、睡眠時無呼吸又はそれによる結果が改善されるという証拠はない。
【0007】
一方、フィブラートは、血漿トリグリセリド濃度及びコレステロール濃度を低下させること、並びに、LDLコレステロール濃度が高い個体における虚血性心疾患の予防に有益であることが報告されている。さらに、フィブラートは上昇したフィブリノーゲン濃度及びPAI−1濃度をある程度低下させることができる。また、フィブラート化合物は、血漿HDLコレステロール濃度を上昇させることができる。
【0008】
本発明において、フィブラートとは、PPARαアゴニスト(α型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト)として定義され、フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブリン酸又はクロフィブリン酸)、並びに、そのようなフィブリン酸誘導体の薬学的に許容可能な塩及びエステルを含む。
【0009】
フィブラート化合物としては、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、クロフィブラート、シプロフィブラート、並びに、その類似体、誘導体及び薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
本発明によると、好ましいフィブラートとしては、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸(フェノフィブラートの活性代謝産物)及び/又はフェノフィブリン酸の塩、特に、特許文献1に記載のフェノフィブリン酸の光安定性の塩、とりわけフェノフィブリン酸の、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、カルシウム及びトロメタミンとの塩が挙げられる。
【0011】
フェノフィブラートは、ヨーロッパ(Lipanthyl(登録商標))では1975年より、アメリカ(TriCor(登録商標))では1998年より市販されている。
【0012】
フェノフィブラートは、原発性高コレステロール血症(Fredrickson IIa型)又は混合型脂質異常症(Fredrickson IIb型)の患者の治療食に対する補助療法として知られている。また、フェノフィブラートは、高トリグリセリド血症(Fredrickson IV型及びV型高脂血症)の成人患者の治療食に対する補助療法としても知られている。臨床で観察されたフェノフィブラートの効果は、インビボでは遺伝子組み換えマウスにおいて、インビトロでは培養ヒト肝細胞において、α型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARα)が活性化されることによって解明された。このメカニズムによって、フェノフィブラートは、リポタンパク質リパーゼを活性化すること、及び、アポリポタンパク質CIII(リポタンパク質リパーゼ活性の阻害剤)の生産を減少させることにより、脂肪分解及びトリグリセリドリッチ粒子の血漿からの除去を促進する。
【0013】
また、フェノフィブラートは、正脂血症患者及び脂質異常症患者において、血漿フィブリノーゲン濃度を減少させた。フェノフィブラートのフィブリノーゲン減少効果は、−7%〜−17%の範囲であることが示されている。このフィブリノーゲンの減少は、インターロイキン6やC反応性蛋白等の他の急性期タンパク質の減少を伴っていた。
【0014】
フェノフィブラートは、実質的に水に不溶性である。このため、食物とともに投与される場合、その吸収が制限され、曝露量の著しい増加を招く。ヨーロッパにおいて現在市販されているように(用量強度:錠剤160mg、微粉カプセル67mg、200mg及び267mg)、フェノフィブラートの吸収は、食物の影響をかなり受ける。160mgの錠剤が食物とともに投与される場合、フェノフィブラートの活性代謝産物であるフェノフィブリン酸への曝露量は、絶食条件での投与と比較して、35%増加する。患者にとっての利便性を改善するために、食物による影響を受けず、食事に配慮することなく摂取できるフェノフィブラート錠剤処方が開発されている。この新規な錠剤処方は、フェノフィブラートの粒子サイズがNanoCrystal(登録商標)技術を利用して一層減少したことによって得られたものであり、さらに強度が低下した錠剤(145mg)で、基準となる200mg微粉フェノフィブラートカプセル及び160mg錠剤と同等のフェノフィブリン酸への曝露量を得ることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7,259,186号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、フィブラート、特にフェノフィブラートによって、翌朝の注意試験で改善が見られることに加えて、大部分の睡眠時無呼吸指数が改善する、特に閉塞性無呼吸の回数の減少し、且つ、睡眠時の酸素飽和度が増加するという予期しない発見に基づく。
【0017】
より詳細には、睡眠時無呼吸症候群に関連した症状及び生物学的変化に対するフィブラートの有益な効果が、睡眠時無呼吸症候群患者に対するフェノフィブラート145mg錠剤の1カ月にわたる無作為化二重盲検プラセボ比較試験で証明された。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、第1の態様では、本発明は、睡眠時無呼吸、睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、並びに、覚醒度の改善に有用な薬剤の調製のための、フィブラート、特にフェノフィブラートの使用に関する。
【0019】
第2の態様では、本発明は、睡眠時無呼吸、睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療のための方法であって、必要とする対象にフィブラート、特にフェノフィブラートを投与することを含む方法を提供する。
【0020】
明細書の以下の記載及び特許請求の範囲を参照することによって、本発明の本質及び利点について、一層の理解が得られよう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特に定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての専門用語及び科学用語は、本発明に関連する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0022】
また、以下の定義は、読者が本発明を実行する際の一助となるよう提供するものである。
【0023】
上記「対象」としては、哺乳動物が好ましく、ヒトがより好ましい。
【0024】
明細書中、「治療のため」という用語は、上記特定の疾患の治療のために上記化合物を直接使用することを包含すると理解されるべきである。
【0025】
「フィブラート」という用語は、フィブリン酸、及び、この化合物の塩又はエステルの両方を表わすものとして使用される。
【0026】
同様に、「フェノフィブラート」という用語は、フェノフィブリン酸、及び、この化合物の塩又はエステルの両方を表わすものとして使用される。
【0027】
従って、本発明の範囲内において、有効物質は、フィブリン酸(例えば、フェノフィブン酸)、及び、このようなフィブリン酸の薬学的に許容可能な塩(例えば、フェノフィブリン酸の塩、特にコリンとの塩、若しくは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、カルシウム、トロメタミンとの塩等の光安定性の塩)又はエステル(例えば、フェノフィブリン酸エステル)であってもよい。
【0028】
当分野で知られた及び記載されたいかなるフィブラートも、本明細書に記載の本発明に係る使用及び方法を実行するために使用することができる。このようなフィブラート化合物としては、以下に限定されないが、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ベザフィブラート、クロフィブラート、シプロフィブラート、並びに、これらの類似体、誘導体及び薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
【0029】
上記フィブラートは、フェノフィブラート又はフェノフィブリン酸の塩であることが好ましく、特にコリン又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、カルシウム、トロメタミンとの塩等の光安定性の塩であることが好ましい。
【0030】
本発明に係るフィブラートは、治療対象に滅菌状態で直接投与することができる。また、上記フィブラートは、医薬組成物又は薬剤の有効成分として投与することもできる。
【0031】
通常、このような医薬組成物は、1種類以上の許容可能な基剤ともに、少なくとも1種類のフィブラートを含む。基剤は組成物を薬学的に増強又は安定させる。あるいは、基剤によって組成物の調製が薬学的に容易になる。薬学的に許容可能な基剤は、投与する特定の組成物、及び、該組成物を投与するための特定の方法によって、ある程度決められる。また、基剤は、他の成分と適合性があり、対象にとって有害でないという意味で、薬学的、且つ、生理学的に許容可能でなければならない。このような基剤は、例えば、経口投与、舌下投与、経鼻投与、非経口投与等の投与に必要な製剤の形態によって、様々な形態をとり得る。
【0032】
上記医薬組成物は、顆粒、錠剤、丸薬、カプセル、懸濁液等の様々な形態で調製することができる。製剤において、治療上有効な化合物の濃度は、約0.1〜100重量%と異なっていてもよい。これらの組成物は、薬学分野において周知の任意の方法によって調製することができる。これらは投与に関する説明書とともに容器、パック又はディスペンサーに入れることができる。
【0033】
本発明に係る、睡眠時無呼吸又は睡眠時無呼吸症候群、特に、閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療において、通常、フィブラートは、特に錠剤の形態で、経口投与される。
【0034】
従って、有利な実施形態によると、本発明の使用及び方法に使用される薬剤は、経口投与に適した形態である。
【0035】
145mgのNanoCrystal(登録商標)錠剤を投与することにより、睡眠時無呼吸症候群の治療において特に有益な結果が、本発明において得られた。
【0036】
この剤形及び製造方法は、TriCor(登録商標)145mg錠剤製品に関するFDA(米国食品医薬品局)ファイルに記載されており、NanoCrystal(登録商標)技術に関する情報は、米国特許第5,145,684号明細書、米国特許第7,276,249号明細書及び米国特許第6,277,405号明細書で確認できる。これらの文献を本明細書に引用して援用する。
【0037】
この剤形でのフェノフィブラートの使用は、多数の患者でその使用の安全性が証明されている範囲内で、とりわけ有効である。同様に、多数の患者でその使用の安全性が証明されている範囲内で、フェノフィブリン酸のコリン塩の使用が特に有効である(商品名TriLipix(登録商標)に関するFDA(米国食品医薬品局)ファイルを参照されたい)。
【0038】
本発明の薬剤は、他の治療薬と組み合わせて、又は、他の治療薬とともに使用することができる。例えば、他の従来の薬とともにフィブラート、特にフェノフィブラートを用いて対象を治療してもよい。このような公知の薬としては、例えば、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤又はスタチンが挙げられる。
【0039】
従って、本発明に係る使用は、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤、又は、例えばプラバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン若しくはフルバスタチン等のスタチンとともに使用することができる薬剤を提供する。
【0040】
睡眠時無呼吸又は睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群に罹患した対象は、通常、ある継続した期間(例えば、少なくとも30日、60日、90日又はそれ以上)、本発明の医薬組成物で治療される。
【0041】
上記医薬組成物は、薬学的に有効な量、又は、予防のために有効な量のフィブラート、特にフェノフィブラート又はフェノフィブリン酸のコリン塩を含む。
【0042】
好適な治療上投与量は、最大耐用量を決定するための哺乳類種に対する臨床調査や、安全な投与量を決定するための健常なヒト対象に対する臨床調査等の任意の周知の方法によって決定することができる。
【0043】
本明細書中に記載のすべての使用及び方法において、上記薬剤は、少なくとも30日間毎日投与するのが好ましい。上記薬剤を、少なくとも60日、90日又はそれ以上の期間にわたって投与してもよい。
【0044】
有効物質がフェノフィブラートである場合、毎日の投与量は、フェノフィブリン酸換算(145mgのフェノフィブラートは135mgのフェノフィブリン酸に相当する)で、45〜235mgであることが好ましく、135mgであることがより好ましい。言い換えると、上記薬剤は、フェノフィブラートの加水分解後のフェノフィブリン酸の質量で45〜235mg、より好ましくは135mgに相当するフェノフィブラートの量で毎日用いられる。
【0045】
有効物質がフィブラートである場合、上記薬剤は、フェノフィブリン酸45〜235mg、好ましくはフェノフィブリン酸135mgに相当する投与量で毎日使用される。以下、下記略語及び用語の定義を使用する:
【0046】
【表1】

【0047】
睡眠時無呼吸の治療におけるフィブラートの効果の証明
1.調査集団の特徴及び調査計画:
睡眠時無呼吸症候群の治療におけるフィブラートの有益な効果は、睡眠時無呼吸症候群患者に対するフェノフィブラート145mg錠剤の1カ月にわたる無作為化二重盲検プラセボ比較試験で証明された。
【0048】
この調査は2期間からなる:
・通常食での1〜5週間の準備期間
・少なくとも4週間(最長40日)の治療期間。
【0049】
調査計画は以下の図で表わすことができる:
【0050】
【表2】

【0051】
患者の選定
以下の基準を満たす患者が、本調査に含まれている:
・18〜70歳までの両性別;
・以前に睡眠時無呼吸症と診断され、CPAPで治療されていない、又は、以下のような睡眠時無呼吸の臨床症状を示すこと:
・家で、毎晩若しくはほとんど毎晩、いびきをかくと報告していること、又は、
・エプワース眠気尺度によって評価された日中過眠(この尺度による値が10を超えると日中過眠の臨床症状とみなした);
・ボディーマス指数(BMI)が25kg/m以上、且つ、40kg/m未満の過体重又は肥満;
・選定前3か月以内において、空腹時トリグリセリド(TG)濃度が2.0mmol/L以上、且つ、6.0mmol/L未満であることが選定実験室試験によって確認され、中程度の高トリグリセリド血症が判明していること。
【0052】
こうして、睡眠時無呼吸症候群に罹患した34人の患者を選定した。
【0053】
準備期間
1〜5週の準備期間中、患者は通常の食事を取ることとした。V1(選定)時にフェノフィブラートを服用しており、且つ、重度の高トリグリセリド血症又は膵炎の既往歴のない患者は、血液採取前の4週間にわたって治療を中止することとした。
【0054】
治療期間
治療期間は、少なくとも4週間(最長40日)続けることとした。
【0055】
以下の2治療群うちの1群に患者を無作為化した:
・145mgのNanoCrystal(登録商標)フェノフィブラート錠剤、
・フェノフィブラート対照プラセボ錠剤。
【0056】
調査における投与量の選択
本調査で選択したフェノフィブラートの投与量は、食物による影響のない145mgのNanoCrystal(登録商標)錠剤であった。この錠剤は、200mgのフェノフィブラートカプセル、及び、160mgのフェノフィブラート錠剤と生物学的に同等であることが示されている。
【0057】
この用量は、毎日1回摂取した場合、脂質異常症の治療に用いられる標準用量である。
【0058】
各患者の投与量の選択及びタイミング
4週間の治療期間中、145mgのNanoCrystal(登録商標)フェノフィブラート(有効又はプラセボ)を1錠、患者に朝、食事とともに、又は、食事をさせずに経口摂取させた。
【0059】
過去の治療及び併用した治療
調査期間中、患者が摂取する普段の薬剤は変更しないこととした。服用量が調査期間中変更されない限り、スタチンによる治療は許可した。
【0060】
健康アドバイス
調査を通して、通常の食事を変更しないように患者に依頼した。
【0061】
以下の変数を用いて治療の効果を評価した:
【0062】
第1変数:閉塞性無呼吸、中枢性無呼吸及び混合性無呼吸の回数、無呼吸の総数、睡眠1時間当たりの無呼吸指数、低呼吸の総数、睡眠1時間当たり低呼吸指数、睡眠1時間当たりの無呼吸/低呼吸指数、睡眠1時間当たりの飽和度低下(少なくとも3〜4%の変化)の総数、並びに、SpOが90%未満だった時間の割合。
【0063】
補足的分析として評価した変数:
無呼吸の積算持続時間、無呼吸の平均持続時間、最長無呼吸の持続時間、1時間当たりの呼吸イベントに関連した非大脳皮質性微小覚醒指標数、呼吸イベントに関連した非大脳皮質性微小覚醒指標数、覚醒状態においてパルス酸素測定法で測定した血液中の酸素飽和度(SpO)、睡眠記録時の平均SpO、SpOの最小値、SpOが80%未満だった時間の割合、SpOが85%未満だった時間の割合、頻脈の回数、頻脈の平均持続時間、徐脈の回数、徐脈の平均持続時間、平均脈拍数、脈拍数標準偏差、最小脈拍数、最大脈拍数、ESSで評価した日中過眠の減少、覚醒度試験(反射的視覚誘導性サッカード、アンチサッカード、及び、持続的注意試験)。
【0064】
第2変数:空腹時及び食後TG、総コレステロール(TC)、高比重リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、空腹時血漿グルコース(FPG)、フィブリノーゲン並びにインスリンのベースライン(V2)からの変化(%)。
【0065】
血漿治験薬濃度:
V2時は第一回睡眠調査後の朝の服用前に、V3時は第二回睡眠調査後の服用前(最後の治験薬摂取から24時間後)と、朝食とともに治験薬を摂取してから4時間後とに、血液を採取し、フェノフィブリン酸を測定した。
【0066】
安全性:
安全性の分析には、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンキナーゼ(CK)、クレアチニン、白血球(WBC)及び分画、赤血球(RBC)、ヘモグロビン、ヘマトクリット、並びに、血小板の変化が含まれる。治療期間中の治験薬に関係した、又は、治験薬と関係のない、深刻な又は深刻でない有害事象(AE)の発生率。
【0067】
上記の変数は下記手順を用いて評価した:
【0068】
無呼吸/低呼吸指数(AHI)の測定
気管に面する頸切痕に設置した音圧変換器、又は、胸部歪みゲージ(CID102型)によって呼吸を一晩中モニタリングした(Van Surell C,Lemaigre D,Leroy M,Foucher A,Hagenmuller MP,Raffestin B.閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断における歩行型装置CID102の評価,Eur Respir J.1995;8(5):795−800)。
【0069】
無呼吸とは、少なくとも10秒間の吸気流の欠如と定義する。
【0070】
低呼吸とは、3〜4%の酸素飽和度低下を伴う、気流の50%〜80%の減少と定義する。
【0071】
睡眠時無呼吸は、閉塞性又は中枢性に分類される。
【0072】
中枢性無呼吸とは、吸気流の完全な欠如、及び、吸気流の欠如期間における胸/腹部の動きの完全な欠如と定義する。
【0073】
閉塞性睡眠時無呼吸とは、胸郭と腹部の奇異な動きがある状態での80%を超えた気流の減少と定義する。AHIと同様に、閉塞性及び中枢性無呼吸は、3〜4%の飽和度低下と関連するイベントを必要とする定義に従った。
【0074】
飽和度90%未満の睡眠時間割合
飽和度低下発作を、呼吸障害の指標とした。指に取り付けた心肺パルス酸素飽和度計を用いて、一晩の動脈血酸素飽和度を記録した(SpO)。
【0075】
閉塞性睡眠時無呼吸の重症度は、SpOが睡眠1時間当たり3〜4%を超えて減少した回数によって測定した。上記装置によって、ベースラインSpO値に基づいて飽和度低下閾値(3又は4%)を自動的に選択した。さらにOSAの重症度を定義するために、最少SpO値及びSpOが90%未満だった時間の割合を計測した。
【0076】
心拍数の記録
頻脈と徐脈の回数及び平均持続時間を睡眠調査にわたって記録した。
【0077】
頻脈は、1分間当たりの拍動数が90(bpm)を超えることと定義し、徐脈は、1分間当たりの拍動数が50(bpm)未満であることと定義した。
【0078】
エプワース過眠尺度(ESS)
この尺度は、睡眠時無呼吸を主観的に評価するために最も広く用いられている尺度である。これは自己記入アンケートであって、0(居眠りする可能性はない)、1(居眠りする可能性がわずかにある)、2(居眠りする可能性が中程度である)、3(居眠りする可能性が高い)に分類された寝入る可能性を8種類の状況について患者に尋ねるものである。その数字を足し合わせて、0〜24の全体的なスコアを得る。10以下の値は、正常であるとみなす。
【0079】
コンピューターによる注意/覚醒度試験
3種類の試験すべてを、睡眠記録後の朝に完全な暗闇の中で行った。ヘッドレストによって頭をこめかみで固定し、スロープ(ramp)の1メートル前に患者を座らせた。眼球の動きは、両側頭部電極を用いた水平電気眼球図記録法により記録した。患者の前に設置したボタンを押すことにより、手動作の反応時間を得た。データは蓄積され、試験後に解析される。
【0080】
反射的視覚誘導性サッカード
反射的誘導性サッカードはギャップパラダイムで実現した。2.5〜3.5秒間照らされる中心ターゲットを最初に凝視し、この中心固定点が消滅した後、無作為に右か左に現れる25°側方ターゲットに向けて眼球を動かす(サッカード)ように患者に指示した。これを、12個のターゲット(右側の6個、左側の6個)のブロックで行った。分析した主なパラメーターは、ターゲットの出現からこのターゲットへのサッカードの開始までの反応時間であるサッカード潜時である。この試験は4回繰り返すこととした。すなわち、48の潜時値を得た。
【0081】
アンチサッカード
視覚誘導性サッカード課題と同様の刺激条件を用いたが、患者には、できるだけ早く、周辺ターゲットと反対の方向を見るように指示した。すなわち、サッカード振幅について教えることなく、アンチサッカードを行うように指示した。この試験は、患者の積極的な参加が必要であり、高レベルの集中力を要する。これを、12個のターゲット(右側の6個、左側の6個)のブロックで行うこととし、この試験を4回繰り返した。すなわち、48の潜時値を得た。測定したパラメーターは、アンチサッカード潜時、及び、エラー(ターゲットの方向への誤ったサッカード)の割合である。
【0082】
持続性注意試験
中心点を凝視するように患者に指示した。数組の側方ターゲットを、スロープ上に連続的に出現させた。各組のターゲットはどちらも、スロープの中央から等距離とした。ターゲットは、中央付近(1つは左側10°、もう1つは右側10°)に最も頻繁に出現させ、中央から遠い場所(1つは左側25°、もう1つは右側25°)には稀に出現させた。1組の遠く離れたターゲットを見たらすぐにボタンを押すように患者に指示した。
【0083】
測定したパラメーターは、手動作の反応時間、及び、エラー(近接したターゲットに対する反応、及び、遠く離れたターゲットに対する無反応)の割合である。患者が試験期間を通して高レベルの注意を持続できた場合、最良の反応が得られた。このパラダイムの各ブロックは、10組の遠く離れたターゲットを含んでいた。この試験を5回繰り返した。すなわち、反応時間を50値得た。
【0084】
訓練されたスタッフが、上記試験を全体にわたって監視した。これらの試験は、V2及びV3時に、朝に約30分間、可能な限り同じタイミングで行った。
【0085】
実験室試験
選定時、及び、2回の入院時において、脂質を多く含んだ朝食の前にTC、TG、HDL−C、グルコース、フィブリノーゲン及びインスリンを測定した。インスリンは、各睡眠調査の翌朝の脂質を多く含んだ朝食の前にも測定した。
【0086】
食後TGは、脂質を多く含んだ朝食の4時間後に測定した。
【0087】
薬剤濃度測定
V2時は朝、絶食状態(最後の治験薬摂取から24時間後)において、V3時は絶食状態及び食後状態(朝食の4時間後)において、血液サンプルを採取した。
【0088】
血漿中のフェノフィブリン酸(フェノフィブラートの活性代謝産物)濃度は、紫外線(UV)検知による高速液体クロマトグラフィーによって測定した。定量下限濃度(LLOQ)は0.030μg/mLであった。
【0089】
2.統計分析:
継続的に分析した変数について、ベースライン時及びV3時の未処理値と、ベースラインからの絶対変化及び%変化を得る。また、分類分析した尺度について、V3時の頻度を得る。
【0090】
データが正規分布しているかどうかに基づいて、行う統計的推測を決定した。
【0091】
ベースラインデータが正規分布している場合(シャピロ―ウィルク検定)、V3(治療終了時)データに対して、ベースライン値を共変量、治療効果を主要因とする共分散分析(ANCOVA)を行った。V3時のフェノフィブラート−プラセボ差の最小2乗平均(LS平均)を、それに関連する95%信頼区間(CI)とともに得た。
【0092】
ベースラインデータが正規分布していなかった場合(シャピロ―ウィルク検定)、データを対数変換した。それにより正規性が得られた場合、対数変換したV3データに対してANCOVAを行った。フェノフィブラート−プラセボ相対差を、それに関連する95%信頼区間(CI)とともに得た。
【0093】
もし対数変換したベースラインデータが正規分布してなかった場合(シャピロ―ウィルク検定)、ウィルコクソン検定により、2群をベースライン時及びV3時で比較した。多重性のための調整は行わなかった。
【0094】
補足的分析には、睡眠調査変数と、V3時値、又は、空腹時及び食後のTGの変化との間のパラメトリック(ピアソン)及びノンパラメトリック(スピアマン)相関が含まれる。
【0095】
3.結果:
人口統計学的特徴及び他のベースライン特徴
患者(女性12人、男性22人)の平均年齢は55.6歳であった。
【0096】
彼らの平均BMI値は33.8kg/mであった。また、彼らの平均ウエスト囲は111.4cmであった。
【0097】
ほとんどの患者が、閉塞性/中枢性/混合性睡眠時無呼吸、又は、閉塞性/混合性睡眠時無呼吸に罹患していた。
【0098】
全調査期間中に、16人の患者(47%)がスタチン治療を併用して受けた。
【0099】
V2(ベースライン)時の睡眠調査初日の夜を記録することによって、睡眠時無呼吸(10より高いAHI)の存在を確認した。
【0100】
ベースライン時の主な効果尺度の中央値を、下記表1に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
無呼吸持続時間の中央値は13秒であり、一晩にわたる睡眠調査中の積算持続時間の中央値は8分であった。
【0103】
無呼吸/低呼吸指数の中央値は、1時間当たり21.0発作であった。
【0104】
呼吸イベントに関連した非大脳皮質性微小覚醒指標数の中央値は、1時間当たり24であった。
【0105】
睡眠中に記録されたSpOは、93.0%(中央値)であり、最小値は76.0%であった。SpO90%未満の時間の割合は、0〜70%、SpO85%未満の時間の割合は、0.0〜14.0%(中央値:1.0%)、SpO80%未満の時間の割合は、0.0〜9.0%(中央値:0.0%)と様々であった。
【0106】
頻脈(>90bpm)発作の回数の中央値は3.0であり、徐脈(<50bpm)の回数の中央値は6.0であった。それらの持続時間(中央値)はそれぞれ、10.5秒及び9.0秒であった。
【0107】
平均脈拍数は64.0bpm(最小値:49.0bpm、最大値:95.0bpm)であった。
【0108】
ESSによるスコアの中央値は8.0であった。
【0109】
コンピューターによる注意・覚醒度試験は、正常又は正常に近いと見なされた。
【0110】
ベースライン時の実験室効果変数の平均値(SD)及び中央値を、表2に示す:
【0111】
【表4】

【0112】
空腹時及び食後のTG値は中程度から重度に高い範囲であった。TC値の平均値及び中央値は、NCEP−ATPIIIの分類で高値の範囲にあった。HDL−Cはほとんどの患者で標準に近かった。FPG、フィブリノーゲン及びインスリンの平均値及び中央値は、正常範囲であった。
【0113】
効果結果:
第1効果尺度の主効果分析
すべての第1効果変数は、ベースライン時、正規分布していなかった。SpO90%未満の時間の割合以外は、対数変換によって正規性が得られた。その後、対数変換した治療終了時(V3)の値に対するANCOVAによって、群間比較を行った。
【0114】
結果を表3に示す。
【0115】
【表5】

【0116】
治療終了時、プラセボ群と比較して、フェノフィブラート群では無呼吸発作及び低呼吸発作の回数が低下する傾向が見られた。特に、閉塞性無呼吸は有意に減少した(p=0.048)。
【0117】
これ伴い、SpO90%未満の睡眠時間の割合がフェノフィブラートによって有意に減少していた(p=0.007)。
【0118】
睡眠時無呼吸指数及び酸素飽和度指数における改善は、スタチンを摂取している患者及び摂取していない患者の両方に見られた。
【0119】
第1効果尺度の補足的分析
結果を表4に示す。
【0120】
【表6】

【0121】
呼吸イベントに関連した非大脳皮質性微小覚醒指標数は、プラセボと比較して、フェノフィブラートでは治療終了時に有意に減少していた(p=0.005)。
【0122】
また、群間の差異は、睡眠記録時の平均SpO(p=0.019)、及び、SpO85%未満の時間の割合(p=0.042)において統計的に有意であった。他の変数では、2群間に有意差は見られなかった。
【0123】
エプワース過眠尺度(ESS)
ESSの中央値は、フェノフィブラート群では、ベースライン時及び治療終了時において8.5であった。プラセボ群では、両計測とも7.5であった。
【0124】
コンピューターによる注意/覚醒度試験
反射的視覚誘導性サッカード及びアンチサッカード
反射的視覚誘導性サッカード、及び、反射的視覚誘導性アンチサッカードでは、2群に大きな変化は見られなかった。計測したパラメーターのいずれにおいても、フェノフィブラートとプラセボとの間に統計的に有意な差異は見られなかった。
【0125】
反射的視覚誘導性持続的注意試験
5つの一連の試験(sarter)を行った。
【0126】
この5つの試験の平均値の結果を表5に示す。
【0127】
【表7】

【0128】
患者の少なくとも半数において試験に対する反応に欠落がなかったにもかかわらず、フェノフィブラートによって欠落に統計的に有意な減少が見られた。本調査で採用した最も判別力のある覚醒度試験であると考えられるこの持続性注意試験での欠落の減少は、フェノフィブラートで治療された患者において覚醒度が改善することを支持するものである。
【0129】
実験室効果変数
結果を表6にまとめる。
【0130】
【表8】

【0131】
プラセボと比較して、フェノフィブラートによって、空腹時TG、食後TG、TC及びフィブリノーゲンが有意に減少した。フェノフィブラートは空腹時血漿グルコース(FPG)には効果がなかった。フェノフィブラートにおいて、HDL−Cの変化は、ベースライン時の値が正常に近かった患者では小さかった。インスリンの変化は非常に様々であり;2群間に統計的に有意な差異は見られなかった。
【0132】
補足的効果分析:TGの変化と無呼吸変数との相関
ピアソンの検定によって、治療終了時の、食後TGの変化(%)と、無呼吸の回数(r=0.507、p=0.004)、中枢性無呼吸の回数(r=0.422、p=0.040)、混合性無呼吸の回数(r=0.364、p=0.034)、無呼吸指数(r=0.348、p=0.044)、及び、飽和度低下の全回数(r=0.423、p=0.013)との間に、統計的に有意な相関が見られた。
【0133】
しかしながら、スピアマンの検定では統計的に有意ではなかった。
【0134】
血漿治験薬濃度
V3(治療終了)時のフェノフィブラート群において、服用前の血漿フェノフィブリン酸濃度の平均(SD)は6.2(3.8)μg/mLであり、服用4時間後では9.3(4.0)μg/mLであった。
【0135】
安全性結果:
調査期間中に死亡例はなかった。
【0136】
準備期間中に、著しい有害事象(SAE)(肺塞栓症によるもの)が1例報告された。その患者は無作為化しなかった。
【0137】
治療期間中にSAEが1例報告された。フェノフィブラート群のその患者は、代謝症候群の検査のために入院した。このSAEは、本調査治療とは関係がないと考えられた。
【0138】
有害事象(AE)のために期間終了前に調査を終了した患者はいなかった。
【0139】
プラセボ群においてAEが1例報告され、フェノフィブラート群の3人の患者でAEが6例報告された。プラセボ群で報告されたAEは腰痛で、本調査治療とは関係がないと考えられた。フェノフィブラート群で報告されたAEは、膨満感(n=1)、発疹(n=1)、アレルギー性鼻炎(n=1)、代謝症候群(SAE、n=1)、2型糖尿病(n=1)及び膀胱炎(n=1)であった。
【0140】
治療期間中に報告されたいずれのAEも、本調査治療とは関係がないと考えられた。
【0141】
プラセボ群及びフェノフィブラート群の、治療終了時のベースライン時からの中央値の変化(%)は、それぞれ、RBC:−4.5%及び−2.7%、ヘモグロビン:−4.7%及び−3.8%、ヘマトクリット:−3.9%及び−3.2%、WBC:−12.7%及び−11.6%、血小板:−8.3%及び+4.7%(p=0.007)、クレアチニン:−9.1%及び+5.9%(p=0.015)であった。他の安全性の生物学的変数(ALT、AST、CK)では、2群間に差異は見られなかった。
【0142】
いずれの治療群でも、ベースライン時と治療終了時との間で、脈拍数、拡張期血圧(DBP)又は収縮期血圧(SBP)の平均値に大きな変化は見られなかった。体重及びボディーマス指数(BMI)の平均値では、治療終了時に、ベースライン時と比較してほぼ変化はなかった。
【0143】
4.結論:
CPAP治療を必要としない、睡眠障害を有する高トリグリセリド血症肥満患者に対する、1日1回145mgのフェノフィブラートによる4週間の治療の無作為化プラセボ比較調査によって、ほとんどの睡眠時無呼吸指数がプラセボよりもフェノフィブラートで改善され、特に閉塞性無呼吸の回数が減少し、睡眠中の酸素飽和度が増加することが示された。同時に、翌朝の注意試験においても改善が見られた。フェノフィブラート治療は、忍容性が良好であった。
【0144】
フィブラート、特にフェノフィブラート(又は、フェノフィブリン酸の塩等、体内でフェノフィブリン酸に代謝される同等の物質)は、睡眠時無呼吸及び睡眠時無呼吸症候群の治療、特に閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有用な有効物質であることが、本調査によって明らかである。
【0145】
本明細書中に示した実施例及び実施形態は、説明するためだけのものであり、それらに基づいた様々な修正や変更が当業者には想到されるであろう。これら修正や変更は本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれるべきものである。本発明を実施又はテストする場合、本明細書中に記載された方法及び材料に類似した又は同等の方法及び材料が使用できるが、好ましい方法及び材料を記載した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時無呼吸又は睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有用な薬剤の調製のための、フィブラート、特に、フェノフィブラートの使用。
【請求項2】
閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に有用な薬剤の前記調製のための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤は覚醒度を改善するために使用される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記フィブラートはフェノフィブラートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記フィブラートはフェノフィブリン酸のコリン塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記薬剤は経口投与に適した形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記薬剤は少なくとも30日間毎日使用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記薬剤はフェノフィブラートであり、フェノフィブリン酸換算で、45〜235mg、より好ましくは135mgの量で毎日使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記薬剤は、公知のヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤又はスタチンとともに使用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記公知のヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤又はスタチンは、プラバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びフルバスタチンから成る群から選択される、請求項9に記載の使用。

【公表番号】特表2012−514584(P2012−514584A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544048(P2011−544048)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/068046
【国際公開番号】WO2010/076333
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505199382)フルニエ ラボラトリーズ アイルランド リミテッド (8)
【Fターム(参考)】