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フィラグリン産生促進剤
説明

フィラグリン産生促進剤

【課題】表皮におけるフィラグリンの発現量を顕著に増加させるフィラグリン産生促進剤を提供する。
【解決手段】スフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、フィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物から選択される化合物からなるフィラグリン産生促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定スフィンゴイド類からなるフィラグリン産生促進剤、及びそれを含む飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮は下層から基底層、有棘層、顆粒層、透明層、角質層に分けられ、基底層で分裂・増殖した細胞(角化細胞)は、上層に移動しながら基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞へと分化し、最終的に角質層から脱離する角化(ターンオーバー)とよばれるサイクルを経る。
有棘細胞が分化した顆粒細胞は、ケラトヒアリン顆粒を産生し、その細胞内に有することを特徴とする。ケラトヒアリン顆粒には、塩基性蛋白質の一種であるフィラグリンの前駆体であるプロフィラグリンが含まれており、このプロフィラグリンは、顆粒細胞が角化する際に脱リン酸化とプロテアーゼの作用を受けてフィラグリンに分解される。遊離されたフィラグリンは、角質細胞の細胞質内においてケラチン線維を凝集させることにより、内部の水分を保持し、且つ外部からの有害物質の侵入を防ぐケラチンパターンなる規則的な構造を形成する。
前記フィラグリンは、角質細胞が上層する過程において、さらにプロテアーゼの作用を受けアミノ酸に分解される。ここで生成される遊離アミノ酸は、保水機能や紫外線吸収能をもつ天然保湿因子(NMF)として機能し、セラミドなどと共に肌に対し多大なる保湿効果をもたらすことが知られている。
【0003】
フィラグリンは、上記メカニズムにおいて皮膚のバリア機能に多大な役目を果たす他にも、その遺伝子の異常がアトピー性皮膚炎の一因であることが示唆されており、該疾患との関連性においても高い関心を集めている。
なお、フィラグリン遺伝子の変異における影響は、アトピー性皮膚炎以外の疾患についても報告されている。例えば、非特許文献1には、フィラグリンのヌル変異が、小児及び初期成人期におけるぜんそく重症度の増大に関連していることが明らかにされ、非特許文献2においては、フィラグリン遺伝子における機能喪失突然変異が、早期関節リウマチにおけるシトルリン化ペプチドに対する自己抗体の形成に寄与するとされている。また、最近の知見として、フィラグリン遺伝子における機能喪失変異が、ピーナツアレルギーの重大な危険因子であることや、花粉症の発症に関係していることが報告されている(非特許文献3、非特許文献4)。すなわち、フィラグリンの機能低下は、アレルゲンなどの侵入を許し、上記様々な疾患の発症リスクを高めることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−261568号公報
【特許文献2】特開2002−302444号公報
【特許文献3】特開2002−363054号公報
【特許文献4】特開2003−146886号公報
【特許文献5】特開2005−15347号公報
【特許文献6】特開2006−16337号公報
【特許文献7】特開2006−241095号公報
【特許文献8】特開2008−88075号公報
【特許文献9】特開2009−256269号公報
【特許文献10】特開2010−90037号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TheJournal of Allergy and Clinical Immunology, Volume 120, Issue 1, Pages 64-68,July 2007
【非特許文献2】AnnRheum Dis 2008;67:131-133
【非特許文献3】TheJournal of Allergy and Clinical Immunology, Volume 127, Issue 3, Pages 661-667,March 2011
【非特許文献4】TheJournal of Allergy and Clinical Immunology, Volume 121, Issue 5, Pages1203-1209, April 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、体内におけるフィラグリンの産生を促進することにより、フィラグリンの機能低下によって起こり得る上記フィラグリンの機能に関連する様々なリスクを回避し、さらには、フィラグリンの機能に基づく効果を一層顕著に享受することができると考えられる。
一方、フィラグリンの産生を促進する製剤は、これまでに多数提案されており、それらは例えば、Citrus属に属する植物のエキス又は酵母エキス(特許文献1);エクトイン(特許文献2);カンゾウ抽出物(特許文献3);リクイリチン(特許文献4);ポリ−γ−グルタミン酸(特許文献5);ワイルドタイム抽出物、チョウジ抽出物、サルビア抽出物、ローヤルゼリー抽出物、イタケ抽出物、ジオウ抽出物、カミツレ抽出物、アルニカ抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、オウバク抽出物(特許文献6);1,2−ジパルミトイル−ホスファチジルヘキシルβラクトシド等の糖脂質(特許文献7);ヒトリシズカ抽出物(特許文献8);ミロバランの果実抽出物(ケブラニン類)(特許文献9);ロズマリン酸及び/又はエリオジクチオール 7−O−ルチノシド(特許文献10)を有効成分としている。
しかし、これらの製剤は、いずれも皮膚外用化粧料へ配合して使用することが意図されており、高い保湿効果を発揮する皮膚外用化粧料として局所的な効果を狙った使用には適するものの、全身的にフィラグリンの産生を促進させるに適したものとはいえなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、表皮におけるフィラグリンの発現量を顕著に増加させるフィラグリン産生促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意研究を行った結果、特定のスフィンゴイド塩基類が、表皮におけるフィラグリン発現量の増加に関与することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るフィラグリン産生促進剤は、下記一般式(I)で表されるスフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、下記一般式(II)で表されるフィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、下記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、下記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物から選択される化合物からなることを特徴とする。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

(上記一般式(I)〜(IV)において、Rは水素又は炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rは水素、単糖残基、オリゴ糖残基、リン酸基、ホスホコリン残基又はホスホエタノールアミン残基を表す。)
【0009】
また、前記フィラグリン産生促進剤においては、上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物を含むことが好適である。
また、前記フィラグリン産生促進剤においては、上記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物からなり、その重量比が1:1〜5:1であることが好適である。
【0010】
また、前記フィラグリン産生促進剤においては、上記一般式(I)で表されるスフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、上記一般式(II)で表されるフィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、上記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物からなり、その重量比が1〜10:1〜10:40〜70:15〜40であることが好適である。
また、前記フィラグリン産生促進剤は、1〜50μg/kg/dayの摂取量で、経口摂取されるものであることが好適である。
さらに、本発明にかかる飲食品は、前記フィラグリン産生促進剤を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表皮におけるフィラグリンの発現量を顕著に増加させることができる。それにより、フィラグリンの低下によって起こり得るフィラグリンの機能に関連したトラブルの改善すること、又は、フィラグリンの機能による好ましい効果をより高く享受することが可能となる。また、本発明のフィラグリン産生促進剤は、飲食物として経口摂取することができるため、全身的にフィラグリンの産生を促進させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スフィンゴイド塩基によるフィラグリンmRNA発現促進効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
スフィンゴ脂質の一種であるセラミドは、近年、保湿等の皮膚バリア効果に優れた成分として皮膚外用剤に用いられている。一方、その経口摂取による作用については、皮膚の水分保持機能の改善に有効であることが報告されている(Fragrance Journal, 23(1), 81(1995))が、経口摂取されたセラミドやその分解物についての詳細な代謝経路や、それらの体内における機能については不明な部分が多い。一般に、経口摂取されたセラミドは、分解酵素の働きにより体内においてスフィンゴイド塩基と脂質に分解されることが知られてはいるものの、
摂取されたセラミドの分解で生じたスフィンゴイド塩基が、再びセラミド合成の材料として利用され、合成されたセラミドとして水分保持機能に寄与するのか、
酵素分解を受けずに皮膚組織に至ったセラミドが、体内由来のセラミドと同様に水分保持機能に寄与するのか、あるいは、
摂取されたセラミド又はその分解によるスフィンゴイド塩基が、水分保持機能に影響を及ぼす細胞シグナル伝達に関与しているのか、
については明らかでない。
【0014】
そこで、本発明者らが、上記特定スフィンゴイド塩基の外部添加による皮膚細胞への影響を調査したところ、驚くべきことに、特定スフィンゴイド塩基の添加により、細胞内におけるフィラグリン発現量が上昇することが分かった。さらに、フィラグリンの分解に関与するプロテアーゼの一種であるカスパーゼ14の発現量にも、フィラグリン発現量の上昇に伴う増加が認められた。したがって、特定スフィンゴイド塩基の添加により合成が促進されたフィラグリンは、カスパーゼ14の上昇によってその分解も促されることになるため、結果、フィラグリン分解産物であるアミノ酸の量が増えると考えられる。このアミノ酸が天然保湿因子(NMF)として働くことを考慮すると、従来知られていたセラミドの摂取による水分保持機能の改善の一因は、セラミド分解物であるスフィンゴイド塩基が、前記過程の末にNMFをもたらしたことにあると推察される。
【0015】
特定スフィンゴイド塩基がフィラグリンの発現を促進させるに至る詳細な過程は明らかではないが、フィラグリンmRNAの発現は、転写因子として機能する核内受容体の一種であるperoxisome-proliferator-activated receptor (PPAR)-gammaの活性化に関連していることが報告されている(例えば、J Invest Dermatol.
2004 Aug; 123(2):305-12)ことから、特定スフィンゴイド塩基の外部添加(増加)が、PPAR−γの活性化に至るシグナル伝達経路に影響を与えた可能性が考えられる。
スフィンゴイド塩基を含むセラミドと、フィラグリンとは、いずれも顆粒細胞に由来し、共に皮膚バリア機能に寄与する成分ではあるが、両者の発現における関連性は従来知られていない。本願において特定スフィンゴイド塩基によるフィラグリン産生促進が明らかとなったことにより、水分保持機能改善のためだけでなく、例えば、ケラチンパターン形成等による皮膚バリア機能向上や、フィラグリンの機能低下により発症リスクが高まると考えられる疾患の改善を考慮したフィラグリン産生促進用として、特定スフィンゴイド塩基を経口摂取により全身的に使用することが可能となるのである。
【0016】
なお、上記過程において、フィラグリン発現のシグナルとなり得る特定スフィンゴイド塩基は、スフィンゴシン(SS)、フィトスフィンゴシン(PS)、スフィンガジエニン(SD)、4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)である。したがって、前記4種のスフィンゴイド塩基は、1種以上をそのまま本発明のフィラグリン産生促進剤の構成成分として使用することができる。さらに、本発明のフィラグリン産生促進剤としては、経口摂取後に体内で消化されることによって前記特定スフィンゴイド塩基を生じ得る化合物であってもよい。すなわち、本発明に係るフィラグリン産生促進剤は、体内において特定スフィンゴイド塩基として存在し得る化合物、具体的には、特定のスフィンゴイド骨格を有する化合物からなり、それらを有効成分とする。
【0017】
本発明に適するスフィンゴイド骨格を有する化合物は、特に、下記一般式(I)で表されるスフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、下記一般式(II)で表されるフィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、下記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、下記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物であり、本発明のフィラグリン産生促進剤はこれらの1種以上からなる。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0018】
上記一般式(I)〜(IV)において、Rは水素又は炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rは水素、単糖残基、オリゴ糖残基、リン酸基、ホスホコリン残基又はホスホエタノールアミン残基を表す。
における炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基は、飽和あるいは不飽和の、特に炭素数16以上のものが好ましい。このようなアシル基としては、例えば、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、アラキドイル基、ベヘノイル基、トリコサノイル基、リグノセロイル基、セロトイル基、モンタノイル基などが挙げられる。
また、Rにおける単糖残基としては、グルコース残基、マンノース残基、ガラクトース残基、フルクトース残基、ラムノース残基などが挙げられる。特に、グルコース残基、ガラクトース残基が好ましい。
オリゴ糖残基としては、例えば、スクロース残基、ラクトース残基、トレハロース残基、マルトース残基、ラフィノース残基、パノース残基、マルトトリオース残基、メレジトース残基、ゲンチアノース残基、スタキオース残基などが挙げられる。
【0019】
本発明においては、製剤の構成成分として、上記一般式(I)〜(IV)で表される各化合物の1種以上が選択される限りその組み合わせに制限はないが、特に、
(A)R及びRが水素基である、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンゲニン、
(B)Rが炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rが水素である、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンゲニンを骨格とするセラミド、又は
(C)Rが炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rが単糖残基である、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンゲニンを骨格とするグルコシルセラミド、
(D)Rが炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rがホスホコリン残基である、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンゲニンを骨格とするスフィンゴミエリン、
から構成成分を選択することが好ましい。
【0020】
なお、上記(B)に含まれるセラミドとしては、例えば、N−(27−オクタデカノイルオキシ−ヘプタコサノイル−)−フィトスフィンゴシン(セラミドI)、N−ステアロイルジヒドロスフィンゴシン(セラミドII)、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミドIII)、N−リノレイルフィトスフィンゴシン(セラミドIIIA)、N−オレオイルフィトスフィンゴシン(セラミドIIIB)、N−2’−ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミドVI)、N−2’−ヒドロキシステアロイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−パルミトイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−ヒドロキシアラキドイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−ヒドロキシベヘノイル4−ヒドロキシスフィンゲニン、N−2’−ヒドロキシリグノセノイル4−ヒドロキシスフィンゲニン等が挙げられ、天然セラミド・合成セラミドを問わず使用することができる。特に、N−2’−ヒドロキシステアロイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−パルミトイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−ヒドロキシアラキドイル4,8−スフィンガジエニン、N−2’−ヒドロキシベヘノイル4−ヒドロキシスフィンゲニン、N−2’−ヒドロキシリグノセノイル4−ヒドロキシスフィンゲニンが好ましい。なお、ここに挙げた本発明に好適なセラミドの構造は、(C)のグルコシルセラミド及び(D)のスフィンゴミエリンのセラミド部分に対しても適用し得る。
【0021】
さらに、本発明のフィラグリン産生促進剤は、フィラグリン産生促進能をより高める観点から、上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物を含むことが特に好ましい。これはすなわち、フィラグリン産生促進剤として4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物を単独で用いても、4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物と、他の3種のスフィンゴイド骨格を有する化合物を任意に組み合わせて用いてもよいことを意味する。このような組み合わせのフィラグリン産生促進剤としては、とりわけ、「スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物及び4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物」からなる製剤、又は、「スフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、フィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物」からなる製剤が好ましい。
【0022】
また、「スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物」からなる製剤として本発明を得る場合、その成分の構成比は、重量比で1:1〜5:1(スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物:4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物)であることが好ましい。
また、「スフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、フィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物」からなる製剤として本発明を得る場合、その成分の構成比は、重量比で1〜10:1〜10:40〜70:15〜40(スフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物:フィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物:スフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物:4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物)であることが好ましい。
【0023】
上記した本発明に係るフィラグリン産生促進剤を構成する成分は、通常、食品に使用可能なものであれば、合成物であっても天然物であってもよく、天然物の場合、植物由来であっても動物由来であってもよい。また、市販物として、例えば、スフィンゴシン(Avanti Polar Lipids社製)やフィトスフィンゴシン(Avanti Polar Lipids社製)等を好適に使用することができる。
また、本発明のフィラグリン産生促進剤は、製剤をそのまま又は飲食品等に配合し、経口摂取にて対象の体内に取り込まれることが好ましい。本発明の使用対象は特に限定されないが、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。
【0024】
本発明のフィラグリン産生促進剤の摂取量は、所望するフィラグリン産生促進効果の程度や、投与対象にもよるが、製剤として概ね1〜50μg/kg/day、好ましくは5〜15μg/kg/dayである。したがって、前記製剤を飲食品に配合する場合は、該飲食品の摂取形態等を考慮し、前記摂取量が満たされるように製剤の配合量を設定することが好ましい。
製剤の形態は、経口摂取が可能な形態、例えば、粉末、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤等の剤型とすることができ、また、常法に従い、例えば、清涼飲料水等の飲料、菓子等の食品など、様々な飲食品に配合することができる。
【0025】
本発明のフィラグリン産生促進剤を配合する飲食品には、必須成分である該製剤のほか、通常飲食品に用いられる成分、例えば、賦形剤、増量剤、甘味剤、香味剤、着色剤等の添加物や、ビタミン、ミネラル、各種植物抽出物等の有効成分を、本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%で示す。
<試験方法>
6ウェルプレートに表皮角化細胞増殖用培地(EpiLife−KG2、クラボウ社製)を添加し、各ウェルの培地へ正常ヒト表皮角化細胞を播種して、コンフルエント状態に達するまで37℃下で培養した。培養後、スフィンゴシン(SS)、スフィンガジエニン(SD)、4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)を、それぞれ最終濃度5μMとなるように各ウェルへ添加し、さらに24時間培養を継続した。24時間後、回収した細胞からRNAを抽出し、RT−PCRによりフィラグリンのmRNA発現量を測定した。RT−PCRのプライマーには、フィラグリン(シグマ アルドリッチ社製)を用い、また、内部標準としてβ−アクチン(シグマ アルドリッチ社製)を使用して発現量を標準化した。
プライマー配列(フィラグリン)
tcagacgactccgagaggtt、tgctcccgagaagatccat
プライマー配列(β−アクチン)
ccaaccgcgagaagatga、ccagaggcgtacagggatag
なお、陽性対象として、エピガロカテキンガレートについても同様に試験を行った。結果を図1に示す。
【0027】
図1に示すように、スフィンゴシン骨格を有するスフィンゴシン、スフィンガジエニン骨格を有するスフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンゲニン骨格を有する4−ヒドロキシスフィンゲニンを添加した細胞全てにおいて、フィラグリンmRNAの発現が認められた。特に、スフィンガジエニン骨格を有するスフィンガジエニンと、4−ヒドロキシスフィンゲニン骨格を有する4−ヒドロキシスフィンゲニンのフィラグリンmRNA発現促進効果が高く、中でも4−ヒドロキシスフィンゲニンの効果が顕著であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるスフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、下記一般式(II)で表されるフィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、下記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、下記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物から選択される化合物からなるフィラグリン産生促進剤。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

(上記一般式(I)〜(IV)において、Rは水素又は炭素数12〜28の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基(脂肪酸基)であり、Rは水素、単糖残基、オリゴ糖残基、リン酸基、ホスホコリン残基又はホスホエタノールアミン残基を表す。)
【請求項2】
上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィラグリン産生促進剤。
【請求項3】
上記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物からなり、その重量比が1:1〜5:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィラグリン産生促進剤。
【請求項4】
上記一般式(I)で表されるスフィンゴシン(SS)骨格を有する化合物、上記一般式(II)で表されるフィトスフィンゴシン(PS)骨格を有する化合物、上記一般式(III)で表されるスフィンガジエニン(SD)骨格を有する化合物、及び上記一般式(IV)で表される4−ヒドロキシスフィンゲニン(4HS)骨格を有する化合物からなり、その重量比が1〜10:1〜10:40〜70:15〜40であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィラグリン産生促進剤。
【請求項5】
1〜50μg/kg/dayの摂取量で、経口摂取されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィラグリン産生促進剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のフィラグリン産生促進剤を含むことを特徴とする飲食品。

【図1】
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【公開番号】特開2013−71918(P2013−71918A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212919(P2011−212919)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】