説明

フィラチャンバーの温度保持方法および装置

【課題】フィラチャンバー内の液体の温度を保持する。
【解決手段】フィラチャンバー2の壁を密閉状の空間2vを有する二重構造とする。この空間2vを所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって、フィラチャンバー2を加温保持することにより、フィラチャンバー2内の液体Lを所定温度に加温保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETびん、缶等の容器に飲料等の液体を充填するフィラに関し、特に、そのフィラチャンバーの温度保持方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、容器に液体を高温で充填するフィラでは、フィラチャンバー内の高温(例えば85℃)の液体を充填バルブで容器に充填して、充填された容器が一定時間高温の液体に接触されることによって殺菌されるように、或いは、特に缶の場合には充填、缶蓋巻き締め後の缶内圧を一定にするために温度を一定とするようにしている。
【0003】
フィラ以降の後工程でトラブルが発生した時等において、所定時間以上フィラが運転停止する際には、フィラチャンバー内の液体温度が低下して所定温度以下になってしまうことがあり、このような場合には、フィラチャンバー内の液体を回収または廃棄して、運転再開時に高温の液体を再供給するようにしている。
【0004】
このため、液体を回収または廃棄、再供給するのに長時間(例えば1時間)が必要となり、生産効率が悪くなっている。また、高価な液体を廃棄する場合には廃棄量が大量になるため損失が多大になるとともに、環境保護を考慮した廃棄処理にも多大な費用がかかってしまう等の問題がある。
このようなことから、容器に液体を高温で充填するフィラが所定時間以上停止した場合に、フィラチャンバー内の液体の回収等に対する工夫がなされている。(特許文献1、2)
【0005】
前記特許文献1によれば、高温の充填液(液体)を容器に充填するフィラと、該フィラに充填液を供給する充填液貯蔵タンクとの間の送液経路の途中から分岐して、充填液を前記フィラから前記充填液貯蔵タンクに循環させる循環経路と、前記送液経路と前記循環経路の分岐点から前記フィラのタンク(チャンバー)までの充填液経路内およびフィラタンク(フィラチャンバー)内に存在する充填液を流入させるための循環受タンクと、前記循環受タンクと前記循環経路を連結する経路を設けて、前記フィラの運転停止によってフィラタンク内の充填液が所定温度以下になった時、充填液を前記循環受タンクに流入させ、その後前記充填液貯蔵タンクへ送るとしている。
【0006】
また、前記特許文献2によれば、高温の製品液(液体)を容器に充填する充填機と該充填機に製品液を供給するクッションタンクとの間に設けた加圧タンクと、前記充填機との間に(第2)切換バルブ(本節では以下単に切換バルブと称する)を設けて、該切換バルブと前記クッションタンクとを接続する戻り通路を設けて、充填機が所定時間以上停止した時に、切換バルブを戻り通路側に切換えるとともに、運転再開時に前記切換バルブ以降の充填機側に滞留していた製品液を充填バルブより製品液受け樋に廃棄してから、クッションタンクに戻されていた製品液を加熱殺菌手段によって加熱して再び充填機に供給するとしている。
【0007】
近年、飲料等の資源の無駄使いの排除、液体廃棄処理のためのエネルギーの無駄使いの排除等の社会的な要求が高まっており、更なる工夫が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−210402号公報(図1)
【特許文献2】特許第4366779号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、フィラタンク内の充填液が所定温度以下になった時の充填液循環等の対処についての工夫はなされているが、フィラタンク内の充填液が所定温度以下にならないようにするという技術は開示されておらず、また、前記フィラと前記充填液貯蔵タンクとの間の複雑な経路と設備を設けるため多大な設備費用がかかってしまうという恐れがある。
【0010】
また、前記特許文献2の技術では、充填機が所定時間以上停止した際には、運転再開時に前記切換バルブ以降の充填機側に滞留していた製品液を充填バルブより廃棄しているために、多大な製品液ロスが発生してしまうとともに、廃棄した製品液の処理に多大な費用が発生するという恐れがある。
【0011】
本発明は、PETびん、缶等の容器に液体を充填するフィラにおいて、フィラが所定時間以上運転停止する場合が発生しても、フィラチャンバー内或いは液体供給配管内の液体の温度を変化させず(低下させず)にすむように、フィラチャンバー等の温度保持をする方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1) 第1の手段のフィラチャンバーの温度保持方法は、容器に液体を充填するフィラの充填液体貯留用フィラチャンバーの温度保持方法において、該フィラチャンバーの壁を密閉状の空間を有する二重構造として、該空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記フィラチャンバーを加温保持することにより、前記フィラチャンバー内の液体を所定温度に加温保持するようにしたことを特徴とする。
【0013】
(2)第2の手段のフィラチャンバーの温度保持方法は、前記第1の手段のフィラチャンバーの温度保持方法において、上流の液処理装置から前記フィラチャンバー内に液体を供給する液体供給配管の壁を密閉状の空間を有する二重構造として、前記液体供給配管の前記空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記液体供給配管を加温保持することにより、前記液体供給配管内の液体も所定温度に加温保持するようにしたことを特徴とする。
【0014】
(3)第3の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、容器に液体を充填するフィラの充填液体貯留用フィラチャンバーにおいて、前記フィラチャンバーの壁を密閉状の空間を有する二重構造として、蒸気発生源から飽和蒸気を供給する配管を前記空間に接続し、かつ、真空発生ユニットにより前記空間内を所定の真空圧力に減圧するとともに前記空間内で発生した凝縮水を吸引する配管を前記空間に接続して、所定の真空圧力にした前記空間内に飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記フィラチャンバーを加温保持することにより、前記フィラチャンバー内の液体を所定温度に加温保持するように構成したことを特徴とする。
【0015】
(4)第4の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、前記第3の手段のフィラチャンバーの温度保持装置において、上流の液処理装置から前記フィラチャンバー内に液体を供給する液体供給配管の壁を密閉状の空間を有する二重構造として、蒸気発生源から飽和蒸気を供給する配管を前記液体供給配管の前記空間に接続し、かつ、真空発生ユニットにより前記液体供給配管の前記空間内を所定の真空圧力に減圧するとともに前記液体供給配管の前記空間内で発生した凝縮水を吸引する配管を前記液体供給配管の前記空間に接続して、所定の真空圧力にした前記液体供給配管の前記空間内に飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記液体供給配管を加温保持することにより、前記液体供給配管内の液体も所定温度に加温保持するように構成したことを特徴とする。
【0016】
(5)第5の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、前記第3および第4の手段のフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段で計測した圧力値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0017】
(6)第6の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、前記第3および第4の手段のフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー内又は前記液体供給配管内の液体温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段で計測した温度値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0018】
(7)第7の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、前記第3から第6の手段のフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に蒸気発生源から正圧蒸気を供給できる配管系統を設けて、前記空間内を正圧蒸気で殺菌できるように構成したことを特徴とする。
【0019】
(8)第8の手段のフィラチャンバーの温度保持装置は、前記第3から第7の手段のフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に上流のCIP液供給装置からCIP洗浄液を供給できる配管系統を設けて、前記空間内をCIP洗浄できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1および3に係わる本発明は、容器に液体を充填するフィラの充填液体貯留用フィラチャンバーの温度保持方法または装置において、該フィラチャンバーの壁を密閉状の空間を有する二重構造として、該空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記フィラチャンバーを加温保持することにより、前記フィラチャンバー内の液体を所定温度に加温保持するようにしたことにより、蒸気の凝縮潜熱を利用してフィラチャンバーが加温され、しかも真空圧力を所定値にすることによって該空間が所定温度となり、速やかにフィラチャンバーが所定温度まで加温されるために、フィラが所定時間以上停止した場合でも、安価な装置で、フィラチャンバー内の液体の温度を低下させずに、所定の温度に保持できるという効果を有する。
【0021】
これにより、従来フィラが所定時間以上停止した際に、フィラチャンバー内に貯留されていた液体を大量に廃棄するという無駄、或いは、多大な廃棄処理の無駄を省けるとともに、フィラ運転再開時にフィラチャンバー内に所定温度の液体を再投入するというプロセスを削減して大幅に改善できるという効果を有する。
【0022】
請求項2および4に係わる本発明は、前記請求項1又は前記請求項3に記載するフィラチャンバーの温度保持方法または装置において、上流の液処理装置から前記フィラチャンバー内に液体を供給する液体供給配管の壁を密閉状の空間を有する二重構造として、前記液体供給配管の前記空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記液体供給配管を加温保持することにより、前記液体供給配管内の液体も所定温度に加温保持するようにしたことにより、フィラが長時間停止してもフィラチャンバー内と液体供給配管内の液体の温度を所定温度に加温保持できるので、フィラチャンバーの温度保持がさらに有効となるという効果を有する。
【0023】
請求項5に係わる本発明は、前記請求項3および4に記載するフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段で計測した圧力値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことにより、前記空間と前記真空発生ユニットとの間の蒸気配管の長さが長い場合に、配管抵抗が大きくなって蒸気圧力が低下し、前記空間内の温度が所定温度より低くなってしまうという問題を解消できるという効果を有する。
【0024】
請求項6に係わる本発明は、前記請求項3および4に記載するフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー内又は前記液体供給配管内の液体温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段で計測した温度値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことにより、前記フィラチャンバー内又は前記液体供給配管内の液体温度を直接計測して温度保持制御を行うことができるという効果を有する。
【0025】
請求項7に係わる本発明は、前記請求項3から6に記載するフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に蒸気発生源から正圧蒸気を供給できる配管系統として、前記空間内を正圧蒸気で殺菌できるように構成したことにより、前記空間が休日等において長時間運転が停止していると、湿った状態に放置されて雑菌が繁殖する場合があっても、前記空間内を正圧蒸気で耐熱菌も殺菌してしまい、フィラチャンバー又は液体供給配管を衛生的に維持することができるという効果を有する。
【0026】
請求項8に係わる本発明は、前記請求項3から7に記載するフィラチャンバーの温度保持装置において、前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に上流のCIP液供給装置からCIP洗浄液を供給できる配管系統を設けて、前記空間内をCIP洗浄できるように構成したことにより、前記空間が休日等において長時間運転が停止していると、湿った状態に放置されて異物、雑菌等が付着する場合があっても、前記空間内をCIP洗浄液で洗浄してフィラチャンバー又は液体供給配管を衛生的に維持することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラを含む充填ラインの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてある。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2に相当する図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2、図3に相当する図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラチャンバーへの液体供給配管の部分断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2から図4に相当する図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2から図4、図6に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0029】
(発明の第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラを含む充填ラインの概略図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてある。
図1において、容器Pへ充填バルブ4によって液体を充填するフィラ01は、液体が、矢印U方向に液体供給される液体貯蔵タンク011から、配管013の途中に設けられたポンプ012によって加熱殺菌装置016へ送られて加熱殺菌され、加熱殺菌装置016から配管15sと配管15sの途中の切換バルブ017、ヘッドタンク018、ポンプ019、切換バルブ020を経由し、さらにロータリージョイント17内の図示しない配管経路と配管15を経由して供給されるようになっている。
【0031】
なお、前記切換バルブ017は、前記ヘッドタンク018内に液体が満杯となった場合に、図示しない戻り配管経路に切換えて、液体を上流へ戻すようになっており、前記切換バルブ020は、フィラ01から液体を戻す場合に、図示しない戻り配管経路に切換えて、液体を上流へ戻すようになっているが、詳細な説明は省略する。
【0032】
図2において、前記フィラ01のフィラチャンバーの温度保持装置1は、後述するフィラチャンバー2、蒸気圧力制御ユニット9、蒸気減温ユニット10、真空発生ユニット12とこれらを結ぶ真空配管経路、蒸気配管経路によって主に構成されている。
【0033】
前記フィラチャンバー2は、中心線C―Cの周りに回転する円盤2rを底壁として、外側壁2o、内側壁2i、天面壁2c、内底壁2bから成る二重構造壁の密閉状の空間2vが構成されており、前記内側壁2iと前記内底壁2bで形成されたドーナッツ状の液チャンバー2fに高温の液体Lが貯留されるようになっている。
前記フィラチャンバー2の上面には、前記液チャンバー2fを覆うフィラチャンバーカバー3が前記天面壁2cに取付けられるようになっている。
【0034】
なお、前記説明では、液チャンバー2fをドーナッツ形状にした場合について説明したが、液チャンバー2fはタライ状のセンタータンク形状の場合でもよく、ここでは液チャンバーの形状についての詳細な説明は省略する。
【0035】
中心線C−C部には、ロータリージョイント17および固定ジョイント18が設けられており、矢印15f方向の加熱殺菌装置016から切換バルブ017、ヘッドタンク018、ポンプ019、切換バルブ020を経由して、配管15s、前記固定ジョイント18内の図示しない配管経路とそれに連結した前記ロータリージョイント17内の図示しない配管経路、配管15を経て、高温の液体Lが前記液チャンバー2f内へ供給されるようになっている。
【0036】
また、前記フィラチャンバー2には、円周等分に充填バルブ4が配管6、配管6の途中に設けられた流量計5を介して設けられており、前記円盤2rの回転中に前記液チャンバー2f内の高温の液体Lが、前記流量計5の流量制御により、充填バルブ4から容器Pへ所定量充填されるようになっている。
なお、前記説明では、流量計5によって充填量を制御する場合を示したが、ロードセルによる重量計測によって充填量を制御する場合等でもよく、詳細な説明は省略する。
【0037】
なお、前記フィラチャンバーカバー3には、前記液チャンバー2f内の高温の液体Lの液面上部の空間と通じる配管16が取付けられており、配管16の途中に設けた切換バルブ16v、前記ロータリージョイント17内の図示しない配管経路とそれに連結した前記固定ジョイント18内の図示しない配管経路、配管16sを経て、矢印16fの方向の図示しない流体回路と通じるようになっているとともに、切換バルブ16vは配管16aを経由して大気と通じるようにもなっている。
【0038】
前記空間2vは、配管11、ロータリージョイント8t、配管11aを経由して、真空発生ユニット12によって減圧されるようになっている。
また、前記空間2vには、図示しない蒸気供給源から矢印S方向へ配管8aで供給される正圧蒸気が、蒸気圧力制御ユニット9、配管8b、蒸気減温ユニット10、配管8c、ロータリージョイント8r、配管8を経て矢印S2方向へ供給されるようになっている。即ち、フィラチャンバー2は空間2vを有する二重構造のスチームジャケット方式となっている。
【0039】
前記蒸気減温ユニット10は、前記蒸気圧力制御ユニット9で圧力制御された過熱蒸気中へ、真空発生ユニット12から配管10w、制御弁10y、配管10zを経て水を所要量注水することにより、過熱化した蒸気を飽和状態にする。さらに、注水された水の内余剰な分がドレンセパレータ10dで強制分離され、配管10pを経て、配管11aと合流されて真空発生ユニット12へ戻されるように構成されている。
【0040】
また、前記空間2v内に供給された蒸気は、凝縮して凝縮水へ相変化する際に放出する潜熱で前記フィラチャンバー2を加熱するようになっており、前記発生した凝縮水がドレンとなり、配管11、ロータリージョイント8t、配管11aを経て矢印D1方向の真空発生ユニット12によって吸引されるようになっている。
なお、図2では、ロータリージョイント8rとロータリージョイント8tを上下に分離して設けた場合を示したが、分離せずに両者を例えば下側に配置するというようにしてもよいことはもちろんである。
【0041】
次に、本発明の第1の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1の作用を説明する。
【0042】
一般に、フィラ01のような高温の液体Lを容器Pに充填するフィラは、容器Pに高温(例えば85℃)の液体を充填して、容器Pが高温液体と接触することによって、容器Pの内部を高温殺菌している。また、容器Pが缶の場合には充填、缶蓋巻き締め後の缶内圧を一定にするために温度を一定とするようにしている。
【0043】
しかしながら、前記フィラが長時間停止した際には、フィラチャンバー2内の液体Lの温度が時間とともに低下して、所定温度を下回ってしまうことがあり、このような場合には、前記フィラチャンバー2内の液体Lを、矢印16fの方向の図示しない流体回路から配管16s、前記固定ジョイント18内の図示しない配管経路とそれに連結した前記ロータリージョイント17内の図示しない配管経路、切換バルブ16v、配管16を経て圧力気体を前記液チャンバー2fの液面上部に供給することにより、配管15、前記ロータリージョイント17内の図示しない配管経路とそれに連結した前記固定ジョイント18の図示しない配管経路、配管15s、切換バルブ020を経由して図示しない配管経路で液体貯蔵タンク011に強制的に戻すか、或いは、液チャンバー2fの上部を、配管16の途中に設けた切換バルブ16vを矢印16a側の配管に切換えて大気開放にすることにより、液チャンバー2f内の液体Lを配管6(流量計5を含む)と充填バルブ4経由で図示しないドレン液受け樋へ重力によりドレン廃棄して、運転再開時に加熱殺菌装置016で液体Lを加熱の上再供給するようにしている。
【0044】
このような場合には、液体Lの再加熱に要する多大な時間ロス或いはエネルギーロス、または、液体Lの多大な廃棄ロスが生じてしまう。
【0045】
前記フィラチャンバーの温度保持装置1の作用を説明すると、二重構造のスチームジャケット方式としてある前記フィラチャンバー2の前記空間2v内が前記真空発生ユニット12によって所定の真空圧力にされて、該空間2v内に蒸気減温ユニット10を経由した蒸気を送り込まれると真空蒸気(100℃以下の飽和蒸気)が生成される。
【0046】
ここで、前記真空圧力が予め蒸気圧力と温度線図に基づいた所定の圧力とされているため、前記空間2v内の真空蒸気温度が一義的に決まり、蒸気の凝縮潜熱による熱伝達のため迅速で均一に前記フィラチャンバー2内の液体Lの温度を所定の温度(例えば85℃)として保持することができる。
また、前記説明のように、前記フィラチャンバー2の加熱が飽和蒸気の潜熱加熱であるため、蒸気は凝縮しても飽和温度のままであり、前記フィラチャンバー2の加熱に温度ムラがなく、従って、液チャンバー2f内に貯留している液体Lに温度ムラが生じない。
【0047】
さらに、前記真空発生ユニット12で真空圧力を制御することによって前記フィラチャンバー2の加熱温度を制御できるため、前記真空発生ユニット12での真空圧力設定の変更により、前記空間2vの圧力設定を変更すれば、それに応じて前記真空蒸気温度が変更されるので、容易に前記フィラチャンバー2内の液体Lの温度を目的とする温度にすることができ、コンパクトな装置で前記フィラチャンバー2内の液体Lを目的とする温度に加温保持することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。
【0049】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2に相当する図である。図3において、図2と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0050】
フィラチャンバーの温度保持装置1aは、フィラ02のフィラチャンバー2aに空間2v内の圧力を計測する圧力計測手段7pが取付けられており、該圧力計測手段7pで計測した圧力値を制御装置13に送り込むようになっている。
また、真空発生装置12aは、制御装置13からの指令に基づいた真空圧力設定で制御されるように構成されている。
即ち、前記空間2v内の圧力は、前記圧力計測手段7pで計測された圧力値を基に制御装置13で予め設定してある圧力になるように、前記真空発生ユニット12aによって所定の真空度に自動的に調整されるようになっている。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1aの作用を説明する。
【0052】
一般に、蒸気配管が長くなると、配管抵抗が大きくなり、圧力低下を伴って、蒸気温度が低下してしまう。
【0053】
図2に示した前記第1の実施の形態では、前記フィラチャンバー2の加熱温度制御を、前記真空発生ユニット12の真空圧力設定により行っているが、前記フィラチャンバー2の空間2vと前記真空発生ユニット12との間の配管11および配管11aの長さが長い場合には、前記空間2v内の真空圧力は前記真空発生ユニット12で設定した真空圧力よりも低下して、前記空間2v内の蒸気温度が前記真空発生ユニット12で設定した真空圧力による蒸気温度よりも低下してしまう恐れがある。
【0054】
本発明の第2の実施の形態では、図3に示す圧力計測手段7pによって空間2v内の圧力を計測して、計測した圧力値を制御装置13に送り込み、制御装置13からの指令に基づいて、真空発生ユニット12aを目的とする真空圧力に設定するように制御しているので、前記空間2v内を目的とする真空蒸気温度に設定でき、これに伴って前記フィラチャンバー2aの加熱保持温度が制御される。
即ち、圧力計測手段7pにより前記空間2vの圧力を計測して、制御装置13で設定してある圧力値になっていない場合には、制御装置13の指令により前記真空発生ユニット12aによって所定の真空圧力になるようにすると、前記空間2v内の真空蒸気温度が一義的に決まり、蒸気の凝縮潜熱による熱伝達のため迅速で均一に前記フィラチャンバー2a内の液体Lの温度を所定の温度(例えば85℃)として保持することができる。
【0055】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図4に基づいて説明する。
【0056】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2又は図3に相当する図である。図4において、図2、図3と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0057】
フィラチャンバーの温度保持装置1bは、フィラ03のフィラチャンバー2t内の液体Lの温度を計測する温度計測手段7tが取付けられており、該温度計測手段7tで計測した温度値を制御装置13tに送り込むようになっている。
また、真空発生装置12tは、制御装置13tからの指令に基づいた真空圧力設定で制御されるように構成されている。
即ち、前記空間2v内の圧力は、前記温度計測手段7tで計測された温度値を基に制御装置13tで予め設定してある圧力になるように、前記真空発生ユニット12tによって所定の真空度に自動的に調整されるようになっている。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1bの作用を説明する。
【0059】
温度計測手段7tによってフィラチャンバー2tの液チャンバー2f内の液体Lの温度を計測して、計測した温度値を制御装置13tに送り込み、制御装置13tからの指令に基づいて、予め制御装置13tに設定してある蒸気圧力と温度の関係から真空発生ユニット12tを目的とする真空圧力に設定するように制御しているので、前記空間2v内を目的とする蒸気温度に設定でき、これに伴って前記フィラチャンバー2tの加熱保持温度が制御される。
【0060】
即ち、温度計測手段7tにより前記フィラチャンバー2f内の液体Lの温度を計測して、制御装置13tで設定してある温度値になっていない場合には、制御装置13tの指令により前記真空発生ユニット12tによって所定の真空圧力になるようにすると、前記空間2v内の真空蒸気温度が一義的に決まり、蒸気の凝縮潜熱による熱伝達のため迅速で均一に前記フィラチャンバー2t内の液体Lの温度を所定の温度(例えば85℃)として保持することができる。
【0061】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を図5に基づいて説明する。
【0062】
図5は、本発明の第4の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラチャンバーへの液体供給配管の部分断面図である。図5において、フィラチャンバー2又はフィラチャンバー2a或いはフィラチャンバー2t等図2から図4と重複する部分は図示を省略している箇所があり、図2から図4と同じ構造のものは同じ記号を付して、重複する図示と説明は省略する。
【0063】
図5において、フィラチャンバーの温度保持装置1cの配管15は、外側管15o、内側管15iから成る二重構造管の密閉状の空間15vが構成されており、前記内側管15iの内部は液体Lが送られるようになっている。
【0064】
前記空間15vは、配管21を経由して、真空発生ユニット22によって減圧されるようになっている。
また、前記空間15vには、図示しない蒸気供給源から矢印S1方向へ配管18aで供給される正圧蒸気が、蒸気圧力制御ユニット19、配管18b、蒸気減温ユニット20、配管18sを経て矢印F2方向へ供給されるようになっているとともに、前記空間15v内に供給された蒸気が、凝縮水へ相変化する際に放出する潜熱で前記配管15を加熱するようになっており、前記発生した凝縮水はドレンとなって、配管21を経て矢印F1方向の真空発生ユニット22によって吸引されるようになっている。
【0065】
なお、前記蒸気減温ユニット20は、前記蒸気圧力制御ユニット19で圧力制御された過熱蒸気中へ、真空発生ユニット22から配管20w、制御弁20y、配管20zを経て水を所要量注水することにより、過熱化した蒸気を飽和状態にする。さらに、注水された水の内余剰な分がドレンセパレータ20dで強制分離され、配管20pを経て、配管21と合流されて真空発生ユニット22へ戻されるように構成されている。
【0066】
前記説明では、配管15を二重構造管にした場合を説明したが、配管15sも同様に二重構造管にしてあり、その構造は同様であるので、重複する説明は省略する。
【0067】
次に、本発明の第4の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1cの作用を説明する。
【0068】
二重構造管方式としてある前記配管15又は配管15sの前記空間15v内が前記真空発生ユニット22によって所定の真空圧力にされて、該空間15v内に蒸気減温ユニット20を経由した蒸気を送り込まれると真空蒸気が生成される。
【0069】
ここで、前記真空圧力が予め蒸気圧力と温度線図に基づいた所定の圧力とされているため、前記空間15v内の真空蒸気温度が一義的に決まり、蒸気の凝縮潜熱による熱伝達のため迅速で均一に前記配管15又は配管15s内の液体Lの温度を所定の温度(例えば85℃)として保持することができる。
【0070】
また、前記説明のように、飽和蒸気の潜熱加熱であるため、蒸気は凝縮しても飽和温度のままであり、前記配管15又は配管15sの加熱に温度ムラがなく、従って、前記配管15又は配管15s内に貯留している液体Lに温度ムラが生じない。
【0071】
さらに、前記真空発生ユニット22で真空圧力を制御することによって前記配管15又は配管15sの加熱温度を制御できるため、前記真空発生ユニット22での真空圧力設定の変更により、前記空間15vの圧力設定を変更すれば、それに応じて前記真空蒸気温度が変更されるので、容易に前記配管15又は配管15s内の液体Lの温度を目的とする温度にすることができ、コンパクトな装置で前記配管15又は配管15s内の液体Lを目的とする温度に加温保持することができる。
【0072】
前記説明のように、フィラチャンバー2の温度保持装置に、フィラチャンバー2へ液体を供給する配管15または配管15sの温度保持装置を付加した温度保持装置1cとすることにより、フィラ01又はフィラ02或いはフィラ03が長時間停止しても加熱殺菌装置016以降の装置内の液体Lの温度を所定温度に加温保持できるので、液体Lの温度保持が有効に作用する。
【0073】
また、前記ロータリージョイント17および前記固定ジョイント18の図示しない液体配管も同様に所定温度に加温保持することができるが、重複説明となるので、説明は省略する。
【0074】
なお、前記説明では、配管15又は配管15sを、前記フィラチャンバー2の場合と別途の配管系統で蒸気供給および真空引きをする場合で説明し、この場合には前記フィラチャンバー2と前記配管15又は配管15sの温度保持を別途に木目細かく制御できるという作用はあるが、前記フィラチャンバー2と前記配管15又は配管15sを、共通の蒸気圧力制御ユニット、蒸気減温ユニット、真空発生ユニットと配管接続する方式としてもよいことはもちろんであり、この場合には、前記フィラチャンバー2と前記配管15又は配管15sを一元的に温度制御できるとともに、装置コストを節約することができる。
【0075】
また、図示を省略しているが、前記配管15又は配管15sの空間15vに圧力計測手段を設けて、計測した圧力値を制御装置に送り込み、制御装置で設定してある圧力値になっていない場合には、制御装置の指令により真空発生ユニットによって前記配管15又は配管15sの空間15vが所定の真空圧力になるようにすることもできるが、前記第2の実施の形態での説明と類似し、重複するので、詳細な説明は省略する。
【0076】
さらに、図示を省略しているが、前記内側管15iの内部の液体Lの温度を計測する温度計測手段を設けて、計測した温度値を制御装置に送り込み、制御装置で設定してある温度値になっていない場合には、制御装置の指令により真空発生ユニットによって前記配管15又は配管15sの空間15vが所定の真空圧力になるようにすることもできるが、前記第3の実施の形態での説明と類似し、重複するので、これも詳細な説明は省略する。
【0077】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態を図6に基づいて説明する。
【0078】
図6は、本発明の第5の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2から図4に相当する図である。図6において、図2から図4と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0079】
図6において、フィラ05のフィラチャンバーの温度保持装置1dは、配管8aの途中に切換バルブ8v1を設け、配管8cの途中に切換バルブ8v2を設けて、図示のように、切換バルブ8v1と切換バルブ8v2を接続するバイパス配管8dを配置し、配管11aの途中に切換バルブ11v1を設け、切換バルブ11v1から矢印D2方向へ配管11bを追加配置した構成となっている。
なお、切換バルブ8v1と切換バルブ8v2、および、切換バルブ11v1はそれぞれが制御装置13cと信号接続されるようになっている。
【0080】
次に、本発明の第5の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1dの作用を説明する。
【0081】
正圧蒸気の圧力、温度を耐熱菌も殺菌できる圧力、温度の条件に設定して、制御装置13cからの指令で、切換バルブ8v1と切換バルブ8v2を配管8d側にバイバス切換えをするとともに、切換バルブ11v1を配管11b側に切換えて、正圧蒸気を切換バルブ8v1、配管8d、切換バルブ8v2、配管8c、ロータリージョイント8r、配管8を経由して、前記空間2v内に供給し、配管11、ロータリージョイント8t、配管11a、切換バルブ11v1、配管11bを経由して通過させることにより、前記空間2v内は正圧蒸気によって耐熱菌も殺菌される。
【0082】
なお、前記説明では、空間2vへ正圧蒸気を配管8cから供給する場合について説明したが、正圧蒸気を配管8cとは別の配管で供給してもよく、詳細な説明は省略する。
【0083】
前記空間2vは、運転時には飽和蒸気に接触しているが、休日等において長時間運転が停止していると、湿った状態に放置されて雑菌が繁殖することがある。このような場合に、前記空間2v内を前記説明のように正圧蒸気で耐熱菌も殺菌してしまうと、フィラチャンバー2を衛生的に維持することができる。
【0084】
また、前記説明では、フィラチャンバー2の前記空間2v内を蒸気殺菌する場合を説明したが、上流の液体処理装置から前記フィラチャンバー2に液体を供給する液体供給配管15s又は配管15の空間15v内を蒸気殺菌する場合も勿論あるが、類似した内容となるので、詳細な説明は省略する。
【0085】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態を図7に基づいて説明する。
【0086】
図7は、本発明の第6の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置を組み込んだフィラの正面図で、一部断面図としてあり、図2から図4、図6に相当する図である。
図7において、図2から図4、図6と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0087】
図7において、フィラ06のフィラチャンバーの温度保持装置1eは、配管8cの途中に切換バルブ8v3を設け、矢印S3方向に配管8eから図示しないCIP洗浄液供給装置からのCIP洗浄液が供給できるように、また、配管11aの途中に切換バルブ11v2を設け、矢印D3方向に向けて配管11cへ洗浄後のCIP洗浄液を排出できるような構成となっている。
なお、切換バルブ8v3と切換バルブ11v2は、それぞれが制御装置13dと信号接続されるようになっている。
【0088】
次に、本発明の第6の実施の形態に係わるフィラチャンバーの温度保持装置1eの作用を説明する。
【0089】
制御装置13dからの指令で、切換バルブ8v3を配管8e側に切換えるとともに切換バルブ11v2を配管11c側に切換えて、図示しないCIP洗浄液供給装置からのCIP洗浄液を矢印S3方向へ切換バルブ8v3、配管8c、ロータリージョイント8r、配管8を経由して、前記空間2v内に供給し、配管11、ロータリージョイント8t、配管11a、切換バルブ11v2、配管11cを経由して通過させると、前記空間2v内はCIP洗浄液によって洗浄される。
【0090】
なお、前記説明では、前記空間2vへCIP洗浄液を配管8cから供給する場合について説明したが、CIP洗浄液を配管8cとは別の配管で供給してもよく、詳細な説明は省略する。
【0091】
前記空間2vは、運転時には飽和蒸気に接触しているが、休日等において長時間運転が停止していると、湿った状態に放置されて異物、雑菌等が付着することがある。このような場合に、前記空間2v内を前記説明のようにCIP洗浄液で洗浄すると、フィラチャンバー2を衛生的に維持することができる。
【0092】
また、前記説明では、フィラチャンバー2の前記空間2v内をCIP洗浄する場合を説明したが、上流の液体処理装置から前記フィラチャンバー2に液体を供給する液体供給配管15s又は配管15の空間15v内をCIP洗浄する場合も勿論あるが、類似した内容となるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0093】
01、02、03、05、06 フィラ
1、1a、1b、1c、1d、1e フィラチャンバーの温度保持装置
2、2a、2t フィラチャンバー
2b 内底壁
2f 液チャンバー
2i 内側壁
2o 外側壁
2v (密閉状の)空間
7p 圧力計測手段
7t 温度計測手段
8、8a、8b、8c、8d (蒸気)配管
8e、11c (CIP洗浄液)配管
8r、8t ロータリージョイント
9、19 蒸気圧力制御ユニット
10、20 蒸気減温ユニット
11、11a、11b、21 (真空および凝縮水)配管
12、12a、12t、22 真空発生ユニット
13、13t、13c、13d 制御装置
15、15s (液体供給)配管
15i 内側管
15o 外側管
15v (密閉状の)空間
L 液体
P 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に液体を充填するフィラの充填液体貯留用フィラチャンバーの温度保持方法において、
前記フィラチャンバーの壁を密閉状の空間を有する二重構造として、該空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記フィラチャンバーを加温保持することにより、前記フィラチャンバー内の液体を所定温度に加温保持するようにしたことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持方法。
【請求項2】
請求項1に記載のフィラチャンバーの温度保持方法において、
上流の液処理装置から前記フィラチャンバー内に液体を供給する液体供給配管の壁を密閉状の空間を有する二重構造として、前記液体供給配管の前記空間を所定の真空圧力にし、ここに飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記液体供給配管を加温保持することにより、前記液体供給配管内の液体も所定温度に加温保持するようにしたことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持方法。
【請求項3】
容器に液体を充填するフィラの充填液体貯留用フィラチャンバーの温度保持装置において、
前記フィラチャンバーの壁を密閉状の空間を有する二重構造として、蒸気発生源から飽和蒸気を供給する配管を前記空間に接続し、かつ、真空発生ユニットにより前記空間内を所定の真空圧力に減圧するとともに前記空間内で発生した凝縮水を吸引する配管を前記空間に接続して、所定の真空圧力にした前記空間内に飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記フィラチャンバーを加温保持することにより、前記フィラチャンバー内の液体を所定温度に加温保持するように構成したことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィラチャンバーの温度保持装置において、
上流の液処理装置から前記フィラチャンバー内に液体を供給する液体供給配管の壁を密閉状の空間を有する二重構造として、蒸気発生源から飽和蒸気を供給する配管を前記液体供給配管の前記空間に接続し、かつ、真空発生ユニットにより前記液体供給配管の前記空間内を所定の真空圧力に減圧するとともに前記液体供給配管の前記空間内で発生した凝縮水を吸引する配管を前記液体供給配管の前記空間に接続して、所定の真空圧力にした前記液体供給配管の前記空間内に飽和蒸気を供給して真空蒸気を生成させることによる凝縮潜熱によって前記液体供給配管を加温保持することにより、前記液体供給配管内の液体も所定温度に加温保持するように構成したことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のフィラチャンバーの温度保持装置において、
前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を計測する圧力計測手段と、該圧力計測手段で計測した圧力値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のフィラチャンバーの温度保持装置において、
前記フィラチャンバー内又は前記液体供給配管内の液体温度を計測する温度計測手段と、該温度計測手段で計測した温度値を取り込んで、前記真空発生ユニットが前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間内の圧力を所定の真空圧力にするように圧力制御する制御装置とを設けたことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載のフィラチャンバーの温度保持装置において、
前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に蒸気発生源から正圧蒸気を供給できる配管系統を設けて、前記空間内を正圧蒸気で殺菌できるように構成したことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載のフィラチャンバーの温度保持装置において、
前記フィラチャンバー又は前記液体供給配管の前記空間に上流のCIP液供給装置からCIP洗浄液を供給できる配管系統を設けて、前記空間内をCIP洗浄できるように構成したことを特徴とするフィラチャンバーの温度保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116547(P2012−116547A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269672(P2010−269672)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】