フィラメントミシン糸
【課題】ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ、均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸を提供する。
【解決手段】ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなるフィラメントミシン糸。
【解決手段】ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなるフィラメントミシン糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
フイラメントミシン糸は、紡績糸からなるミシン糸に比べて光沢があり、縫目が均一でかつミシン糸強度が高いことから、各種縫製に使用されているが、解撚が起こり易いバック縫いおよび千鳥縫いにおける可縫性は紡績糸ミシン糸に比べて劣ると言う欠点を有している。
【０００３】
その原因としては、フイラメントミシン糸の特長であるミシン糸強度を高く保つために、極限粘度が通常より高いポリマーを使用して高い熱履歴を加えながら延伸が行なわれるため、その後のミシン糸形成工程で加えられる下撚および上撚りのトルクがミシン糸の染色後も充分にセットされず、バック縫いおよび千鳥縫いの際、解撚が起こって縫目形成がうまく行かないためであると考えられる。
【０００４】
このような問題を解決するため、特許文献１（特開平５−１０６１３４号公報）には、２０％以上の伸度差を有する２種のフィラメント糸を複合させ、高伸度糸によりループまたはゆるみを形成させて可縫性に優れたミシン糸を得ることが開示されている。しかしながら、このミシン糸においては、２種のフィラメント糸の分離が起こり、縫目の形態に偏りが生じて均一性が劣ったり、染色した際に染着性の差が目立つという問題があった。
【０００５】
また、特許文献２（特開平９−７８３３５号公報）には、高複屈折率のフィラメント糸と低複屈折率のフィラメント糸とを紡糸混繊し、低複屈折率のフィラメント糸を鞘部に配したフィラメントミシン糸が開示されている。しかしながら、このミシン糸は、複屈折率の差のみを利用しているために、強度が低下したり、糸がボビンからズレ落ち、スムーズな糸送りができなくなって切断したりすることがあり、従来のフイラメントミシン糸と比べると、取扱い性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開平５−１０６１３４号公報
【特許文献２】特開平９−７８３３５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ、均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなるフィラメントミシン糸に関する。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、従来のミシン糸が有する、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸が提供される。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
本発明のフィラメントミシン糸は、ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとを同時に紡糸した後、引き揃えて同時に巻き取る、いわゆる紡糸混繊法によりフイラメントミシン糸を得る方法、もしくは、ポリエステルＡとポリエステルフィラメントＢを夫々別に紡糸した後、延伸で混繊して、フィラメントミシン糸を得る方法から得られる。
【００１１】
具体的には、一般的な複合紡糸機（コンジュゲート紡糸機など）を用いて、極限粘度を異にするポリエステルポリマーを同一口金に導き、混合することなく別々の吐出孔から紡糸して一緒に巻き取る方法、または、紡糸口金が個々に独立していて、各々のポリマーを単独に紡糸した後、引きそろえて巻き取る方法などが採用できる、要するに、紡糸後の巻取り完了または各々を紡糸し延伸後までに、両糸が一緒になっていればいずれでも構わない。
【００１２】
本発明で使用するポリエステルフィラメントＡを構成するポリエチレンナフタレートは、全繰返し単位中の少なくとも９０モル％がエチレン−２,６−ナフタレート単位であり、全繰返し単位中の１０モル％より少ない割合で適当な他の単位（第３成分）を含んでいても差支えない。かかる第３成分としては（ａ）２個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸；シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸；フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−２,７−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸；ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、３,５−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸；グリコール酸、ｐ−オキシ安息香酸、ｐ−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸；プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ｐ−キシレングリコール、１,４−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールＡ、ｐ,ｐ'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、１,４−ビス（β−ヒドロキシエトキシ）ベンゼン、２,２−ビス（ｐ−β−ヒドロキシエトキシフェニル）プロパン、ポリアルキレングリコールなどのオキシ化合物；それらの機能的誘導体；上記カルボン酸、オキシカルボン酸、オキシ化合物またはそれらの機能的誘導体から誘導される高重合度化合物や、（ｂ）１個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに、（ｃ）３個以上のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
【００１３】
本発明のフィラメントＡを形成するポリエチレンナフタレートは、その極限粘度が０．５ｄＬ／ｇ以上であることが必要である。さらに好ましくは、０．６〜１．０ｄＬ／ｇである。本発明でいう極限粘度は、繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒（容積比６：４）に溶解し、３５℃で測定した粘度から求めた値である。極限粘度が０．５ｄＬ／ｇ未満では、繊維の強度が出がたく、目標のミシン糸性能が十分でない。一方、極限粘度が１．０ｄＬ／ｇを超えるような繊維は、紡糸工程が不良となり易く、製造が難しくなる。なお、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤；リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよいことはいうまでもない。
【００１４】
一方、ポリエステルフィラメントＢは、ポリエチレンテレフタレート（以下「ＰＥＴ」と略す）、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられるが、ＰＥＴがもっとも好ましく例示される。なお、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤；リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよいことはいうまでもない。
【００１５】
また、上記のポリエステルフィラメントＢは、ポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きくすることが必要である。ここで、ポリエステルフィラメントＢを高伸度化する方法として、紡糸速度や溶融温度を変えること、また配向抑制剤を含有させる方法などが採用できる。
【００１６】
ここで、配向抑制剤とは、ポリエステルフィラメントＢの配向を抑制し、高伸度化する作用を有するものを言い、具体的には、ポリスチレン系ポリマー、ポリメタクリレート系ポリマー、あるいはポリメチルペンテン系ポリマーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【００１７】
上記の配向抑制剤を含有させる方法としては、任意の方法を採用することができ、例えばＰＥＴの重合過程で行ってもよく、また、ＰＥＴと上記ポリマーとを溶融混合して押し出し、冷却後、切断してチップ化しても良い。
さらには、両者をチップ状で混合した後、そのまま溶融紡糸してもよい。
【００１８】
配向抑制剤の含有量は、フィラメントＢ全重量に対して０．５〜８．０重量％であることが好ましい。上記含有量が０．５重量％未満では、高伸度化の効果が充分に発現せず、一方、８．０重量％を超えると、糸の強度が極端に低くなり、低速ミシン回転でも単糸切れが発生する場合がある。上記配向抑制剤の好ましい含有量は、０．５〜５．０重量％である。
【００１９】
上記ポリエステルフィラメントＢはポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きければ良いが、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが単繊維オーダで混ざるような方法をとる方が好ましい。混ざりの良い例として紡糸混繊方法を挙げることができるが、先に述べた、紡糸口金が同一であって、紡糸口金の吐出孔をランダムに分散させた口金や、外輪孔と内輪孔からなる口金、あるいは半分割型の口金から低伸度糸と高伸度糸を紡糸すれば良い。
【００２０】
口金温度は、同一口金で紡糸する場合は両ポリマーに適した温度に設定するが、別個の口金を使用する場合は、それぞれ口金温度を別個に設定すれば良い。なお、紡糸口金下から冷却ゾーンの間に３０〜１５０mmの加熱ゾーンを設け、所望とする物性に調整すれば良い。
【００２１】
紡糸速度については、紡速を高めるほうが延伸後の伸度差は拡大するものの、延伸後の糸強度は低紡速糸に比べ低くなる。
従って、糸強度よりも生産性の向上を求めるのであれば高紡速を選択すればよい。
さらには、紡糸と延伸が直結された方法で生産してもよく、高速紡糸のみで延伸を達成させる方法を採用してもよい。
【００２２】
かくして得られるポリエステルフィラメントＢは、ポリエチレンナフタレート系のポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きいことが必要である。フィラメントＢの伸度は、フィラメントＡのそれよりも、好ましくは２０〜１００％大きいことが望ましい。ポリエステルフィラメントＢの伸度がポリエステルフィラメントＡの伸度と同じか、それ以下であれば、可縫性に優れたミシン糸を得ることができないという不都合を生じる。
なお、ポリエステルフィラメントＡの伸度は、通常、１５〜５０％、また、ポリエステルフィラメントＢの伸度は、通常、２５〜８０％である。
【００２３】
また、本発明においては、ポリエステルフィラメントＡの糸強度は高い程好ましく、少なくとも５．４ｇ／ｄｔｅｘ以上、好ましくは６．０〜８．５ｇ／ｄｔｅｘである。
一方、ポリエステルフィラメントＢにおいても、ミシン掛け時の摩擦や引張応力に耐える１．３ｇ／ｄｔｅｘ以上、好ましくは２．０〜５．０ｇ／ｄｔｅｘ、ミシン糸全体としては４．０ｇ／ｄｔｅｘ以上在れば充分で、好ましくは４．５〜５．５ｇ／ｄｔｅｘである。
【００２４】
さらに、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとの混合割合は、重量比で７：３〜９：１程度が好ましい。ポリエステルフィラメントＡの混合割合が７：３未満ではミシン糸として必要な応力が不足し、一方、ポリエステルフィラメントＡの混合割合が９：１を超えると、熱セット性が不足してミシン糸のトルク発生を抑えることが難しくなりことがある。好ましい範囲は、８：２である。
【００２５】
さらに、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが充分混ざり合うためには、ポリエステルフィラメントＡのフィラメント数は８本以上、ポリエステルフィラメントＢのフィラメント数は３本以上が好ましく、これ以下の組合せ本数では混ざりの偏りが生じ、不均一な縫目となることがある。
【００２６】
好ましくは、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとのフィラメント数の合計が１５本〜４８本の範囲であり、これ以上多いと単繊維繊度が細くなり過ぎて糸強度が下がる欠点があるので好ましくなく、さらに光沢の面からもダル化の方向に向かうので好ましくない。
【００２７】
なお、ポリエステルフィラメントＡの単糸繊度は、通常、０．５〜３．３ｄｔｅｘ、ポリエステルフィラメントＢの単糸繊度は、通常、０．５〜３．３フィラメントミシン糸全体の総繊度は、通常、３３〜２５０ｄｔｅｘである。
【００２８】
本発明のミシン糸は、従来のミシン糸のようなループやゆるみによらず、構成するポリエステル成分を変更することと、伸度差を持たせることによる熱セット性の違いを利用して可縫性良好なミシン糸用の原糸を提供するものである。
【００２９】
そして、ミシン糸中のポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが適度にマイグレーションすることで充分な熱セット効果が発現し、縫製中のミシン針および基布に接するミシン糸中の単繊維部分がランダムに入れ替わるので、熱の伝達が防止され、可縫性が向上するものと推定される。
【００３０】
つまり、これにより、ミシン針と基布から受ける摩擦を一部の繊維が長く引きずることなく、絶えず入れ替わることになり、ダメージを受けるまえに通りすぎることができるので、高速縫製に耐えるミシン糸を得ることができる。
【００３１】
また、本発明においては、ループに起因する縫目の不均一性を極力軽減するため、ミシン糸の染色工程でミシン糸の収縮が起こらないよう、張力を掛けて染めることが好ましい。
【００３２】
具体的には、チーズ状に巻き上げたものを、染色釜の中で、押しつぶし、沢山のチーズを一度に染色する方法が採用できる。この方法であれば、チーズ全体に張力がかかり、繊維同士の密度が高いことから、自己伸長性の高い高伸度糸であってもループは形成されず、均一なフイラメントミシン糸とすることができる。
【００３３】
ただ、ミシン糸の外観をスパナイズ化させたい時は、弛緩状態でミシン糸を染めることでループ発現させる事は可能である。
ただし、この場合も、ループの形成はあくまで外観のスパナイズ化程度の小さいものに止めることが好ましい。
【実施例】
【００３４】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
なお、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
【００３５】
（１）本縫高速直線可縫性
本縫い１本針ミシンを用いて、４,０００ｒｐｍの速度、ミシン針♯１４でＴ／Ｒサージ４枚を１分間縫製し、ミシン糸の切断の有りもしくは単糸切れ多発で外観不合格の場合を（×）、単糸切れが発生するも極僅かで実用上問題ない場合を（○）、単糸切れが全く発生しない場合を（◎）として評価した。
【００３６】
（２）バック縫可縫性
本縫い１本針ミシンを用いて、２,０００ｒｐｍの速度、ミシン＃１１でバック方向にＴ／Ｒサージ１枚を３０ｃｍ縫製し、ミシン糸の切断の有りもしくは単糸切れ多発で外観不合格の場合を（×）、単糸切れが発生するも極僅かで実用上問題ない場合を（○）、単糸切れが全く発生しない場合を（◎）として評価した。
【００３７】
（３）ミシン糸のボビンからのずれ
本縫い１本針ミシンを用いて、４,０００ｒｐｍの速度、ミシン針＃１４でＴ／Ｒサージ４枚を５秒間縫製した後、５秒間停止する操作を２０回繰り返し、ずれの回数を目視により判定した。
【００３８】
［実施例１］
（原糸の製造）
ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーとして、二酸化チタンなどのつや消し剤を含まない、固有粘度０．６５ｄＬ／ｇのポリエチレンナフタレートを、また、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーとして、二酸化チタンなどのつや消し剤を含まない、固有粘度０．６５ｄＬ／ｇのＰＥＴを用意し、それぞれ１６０℃で４時間乾燥した。
次いで、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーに、配向抑制剤としてポリメチルメタクリレート（旭化成製、デルペット８０Ｎ）をチップ状にて２重量％の比率で混合した後、上記ポリマーを、スクリュー型溶融押し出し機にて、夫々、３１０℃、３００℃で溶融し、半分割型の口金を用いて、ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーを１５ホール、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーを５ホールから吐出させ、口金下の加熱ゾーンヒーター４００℃の条件で徐冷した後、紡糸口金下方に設けた横吹き紡糸筒内で室温の空気で冷却固化させて、両糸が混繊された状態で油剤を付与した後、１,２００ｍ／分で引き取って１８０ｄｔｅｘ／２０フイラメントの未延伸を得た。
この未延伸糸は、１４４ｄｔｅｘの低伸度糸と３６ｄｔｅｘの高伸度糸とで構成されたものであった。
【００３９】
次に、この未延伸糸を延伸機に掛けて、以下の条件で延伸を行った。
すなわち、直径９０ｍｍの余熱ローラの表面温度を１２０℃とし、速度２００ｍ／分で６ターンさせ、続いて直径１２０ｍｍの延伸セットローラの表面温度を１４０℃とし、速度６００ｍ／分で４ターンさせて延伸と熱セットを終え、続いて、直径１２０ｍｍの二次セットローラの表面温度を２００℃とし、速度５９５ｍ／分で４ターンさせて、熱セットを加えた後巻き取った。
得られた延伸糸の平均繊度は、５９ｄｔｅｘであった。
【００４０】
（ミシン糸の製造）
上記延伸糸に７００Ｔ／ＭのＳ撚りを施した後、３本あわせて、１,０５０Ｔ／ＭのＺ撚りを施しミシン糸とした後、チーズに巻き取り、１３０℃、４０分の染色処理を行なった。
染色方法としては、チーズを重ね合わせ、圧縮荷重を掛け延伸糸に張力が掛かった状態で処理した。
乾燥後、シリコン系油剤を３重量％塗布してミシン糸とした。
得られたミシン糸の本縫高速直線可縫性は◎、バック縫可縫性は◎で、ミシン糸のボビンからのずれは発生しなかった。また、ミシン糸外観も均一で且つ光沢に富むものであった。
【００４１】
［比較例１］
実施例１において、ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーとして、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーと同じポリマーを使用する以外は実施例１と同様に実施した。
得られたミシン糸の本縫高速直線可縫性は×、バック縫可縫性は×で、ミシン糸のボビンからのずれが１１回発生した。また、ミシン糸外観は不均一であった。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
本発明のミシン糸は、従来のミシン糸が有する、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、高速縫製用のフィラメントミシン糸として有用である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
フイラメントミシン糸は、紡績糸からなるミシン糸に比べて光沢があり、縫目が均一でかつミシン糸強度が高いことから、各種縫製に使用されているが、解撚が起こり易いバック縫いおよび千鳥縫いにおける可縫性は紡績糸ミシン糸に比べて劣ると言う欠点を有している。
【０００３】
その原因としては、フイラメントミシン糸の特長であるミシン糸強度を高く保つために、極限粘度が通常より高いポリマーを使用して高い熱履歴を加えながら延伸が行なわれるため、その後のミシン糸形成工程で加えられる下撚および上撚りのトルクがミシン糸の染色後も充分にセットされず、バック縫いおよび千鳥縫いの際、解撚が起こって縫目形成がうまく行かないためであると考えられる。
【０００４】
このような問題を解決するため、特許文献１（特開平５−１０６１３４号公報）には、２０％以上の伸度差を有する２種のフィラメント糸を複合させ、高伸度糸によりループまたはゆるみを形成させて可縫性に優れたミシン糸を得ることが開示されている。しかしながら、このミシン糸においては、２種のフィラメント糸の分離が起こり、縫目の形態に偏りが生じて均一性が劣ったり、染色した際に染着性の差が目立つという問題があった。
【０００５】
また、特許文献２（特開平９−７８３３５号公報）には、高複屈折率のフィラメント糸と低複屈折率のフィラメント糸とを紡糸混繊し、低複屈折率のフィラメント糸を鞘部に配したフィラメントミシン糸が開示されている。しかしながら、このミシン糸は、複屈折率の差のみを利用しているために、強度が低下したり、糸がボビンからズレ落ち、スムーズな糸送りができなくなって切断したりすることがあり、従来のフイラメントミシン糸と比べると、取扱い性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開平５−１０６１３４号公報
【特許文献２】特開平９−７８３３５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ、均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなるフィラメントミシン糸に関する。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、従来のミシン糸が有する、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、かつ高速縫製性の良好なフイラメントミシン糸が提供される。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
本発明のフィラメントミシン糸は、ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとを同時に紡糸した後、引き揃えて同時に巻き取る、いわゆる紡糸混繊法によりフイラメントミシン糸を得る方法、もしくは、ポリエステルＡとポリエステルフィラメントＢを夫々別に紡糸した後、延伸で混繊して、フィラメントミシン糸を得る方法から得られる。
【００１１】
具体的には、一般的な複合紡糸機（コンジュゲート紡糸機など）を用いて、極限粘度を異にするポリエステルポリマーを同一口金に導き、混合することなく別々の吐出孔から紡糸して一緒に巻き取る方法、または、紡糸口金が個々に独立していて、各々のポリマーを単独に紡糸した後、引きそろえて巻き取る方法などが採用できる、要するに、紡糸後の巻取り完了または各々を紡糸し延伸後までに、両糸が一緒になっていればいずれでも構わない。
【００１２】
本発明で使用するポリエステルフィラメントＡを構成するポリエチレンナフタレートは、全繰返し単位中の少なくとも９０モル％がエチレン−２,６−ナフタレート単位であり、全繰返し単位中の１０モル％より少ない割合で適当な他の単位（第３成分）を含んでいても差支えない。かかる第３成分としては（ａ）２個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸；シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸；フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−２,７−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸；ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、３,５−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸；グリコール酸、ｐ−オキシ安息香酸、ｐ−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸；プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ｐ−キシレングリコール、１,４−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールＡ、ｐ,ｐ'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、１,４−ビス（β−ヒドロキシエトキシ）ベンゼン、２,２−ビス（ｐ−β−ヒドロキシエトキシフェニル）プロパン、ポリアルキレングリコールなどのオキシ化合物；それらの機能的誘導体；上記カルボン酸、オキシカルボン酸、オキシ化合物またはそれらの機能的誘導体から誘導される高重合度化合物や、（ｂ）１個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに、（ｃ）３個以上のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
【００１３】
本発明のフィラメントＡを形成するポリエチレンナフタレートは、その極限粘度が０．５ｄＬ／ｇ以上であることが必要である。さらに好ましくは、０．６〜１．０ｄＬ／ｇである。本発明でいう極限粘度は、繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒（容積比６：４）に溶解し、３５℃で測定した粘度から求めた値である。極限粘度が０．５ｄＬ／ｇ未満では、繊維の強度が出がたく、目標のミシン糸性能が十分でない。一方、極限粘度が１．０ｄＬ／ｇを超えるような繊維は、紡糸工程が不良となり易く、製造が難しくなる。なお、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤；リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよいことはいうまでもない。
【００１４】
一方、ポリエステルフィラメントＢは、ポリエチレンテレフタレート（以下「ＰＥＴ」と略す）、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられるが、ＰＥＴがもっとも好ましく例示される。なお、これらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消剤；リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれてもよいことはいうまでもない。
【００１５】
また、上記のポリエステルフィラメントＢは、ポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きくすることが必要である。ここで、ポリエステルフィラメントＢを高伸度化する方法として、紡糸速度や溶融温度を変えること、また配向抑制剤を含有させる方法などが採用できる。
【００１６】
ここで、配向抑制剤とは、ポリエステルフィラメントＢの配向を抑制し、高伸度化する作用を有するものを言い、具体的には、ポリスチレン系ポリマー、ポリメタクリレート系ポリマー、あるいはポリメチルペンテン系ポリマーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【００１７】
上記の配向抑制剤を含有させる方法としては、任意の方法を採用することができ、例えばＰＥＴの重合過程で行ってもよく、また、ＰＥＴと上記ポリマーとを溶融混合して押し出し、冷却後、切断してチップ化しても良い。
さらには、両者をチップ状で混合した後、そのまま溶融紡糸してもよい。
【００１８】
配向抑制剤の含有量は、フィラメントＢ全重量に対して０．５〜８．０重量％であることが好ましい。上記含有量が０．５重量％未満では、高伸度化の効果が充分に発現せず、一方、８．０重量％を超えると、糸の強度が極端に低くなり、低速ミシン回転でも単糸切れが発生する場合がある。上記配向抑制剤の好ましい含有量は、０．５〜５．０重量％である。
【００１９】
上記ポリエステルフィラメントＢはポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きければ良いが、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが単繊維オーダで混ざるような方法をとる方が好ましい。混ざりの良い例として紡糸混繊方法を挙げることができるが、先に述べた、紡糸口金が同一であって、紡糸口金の吐出孔をランダムに分散させた口金や、外輪孔と内輪孔からなる口金、あるいは半分割型の口金から低伸度糸と高伸度糸を紡糸すれば良い。
【００２０】
口金温度は、同一口金で紡糸する場合は両ポリマーに適した温度に設定するが、別個の口金を使用する場合は、それぞれ口金温度を別個に設定すれば良い。なお、紡糸口金下から冷却ゾーンの間に３０〜１５０mmの加熱ゾーンを設け、所望とする物性に調整すれば良い。
【００２１】
紡糸速度については、紡速を高めるほうが延伸後の伸度差は拡大するものの、延伸後の糸強度は低紡速糸に比べ低くなる。
従って、糸強度よりも生産性の向上を求めるのであれば高紡速を選択すればよい。
さらには、紡糸と延伸が直結された方法で生産してもよく、高速紡糸のみで延伸を達成させる方法を採用してもよい。
【００２２】
かくして得られるポリエステルフィラメントＢは、ポリエチレンナフタレート系のポリエステルフィラメントＡよりも伸度が大きいことが必要である。フィラメントＢの伸度は、フィラメントＡのそれよりも、好ましくは２０〜１００％大きいことが望ましい。ポリエステルフィラメントＢの伸度がポリエステルフィラメントＡの伸度と同じか、それ以下であれば、可縫性に優れたミシン糸を得ることができないという不都合を生じる。
なお、ポリエステルフィラメントＡの伸度は、通常、１５〜５０％、また、ポリエステルフィラメントＢの伸度は、通常、２５〜８０％である。
【００２３】
また、本発明においては、ポリエステルフィラメントＡの糸強度は高い程好ましく、少なくとも５．４ｇ／ｄｔｅｘ以上、好ましくは６．０〜８．５ｇ／ｄｔｅｘである。
一方、ポリエステルフィラメントＢにおいても、ミシン掛け時の摩擦や引張応力に耐える１．３ｇ／ｄｔｅｘ以上、好ましくは２．０〜５．０ｇ／ｄｔｅｘ、ミシン糸全体としては４．０ｇ／ｄｔｅｘ以上在れば充分で、好ましくは４．５〜５．５ｇ／ｄｔｅｘである。
【００２４】
さらに、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとの混合割合は、重量比で７：３〜９：１程度が好ましい。ポリエステルフィラメントＡの混合割合が７：３未満ではミシン糸として必要な応力が不足し、一方、ポリエステルフィラメントＡの混合割合が９：１を超えると、熱セット性が不足してミシン糸のトルク発生を抑えることが難しくなりことがある。好ましい範囲は、８：２である。
【００２５】
さらに、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが充分混ざり合うためには、ポリエステルフィラメントＡのフィラメント数は８本以上、ポリエステルフィラメントＢのフィラメント数は３本以上が好ましく、これ以下の組合せ本数では混ざりの偏りが生じ、不均一な縫目となることがある。
【００２６】
好ましくは、ポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとのフィラメント数の合計が１５本〜４８本の範囲であり、これ以上多いと単繊維繊度が細くなり過ぎて糸強度が下がる欠点があるので好ましくなく、さらに光沢の面からもダル化の方向に向かうので好ましくない。
【００２７】
なお、ポリエステルフィラメントＡの単糸繊度は、通常、０．５〜３．３ｄｔｅｘ、ポリエステルフィラメントＢの単糸繊度は、通常、０．５〜３．３フィラメントミシン糸全体の総繊度は、通常、３３〜２５０ｄｔｅｘである。
【００２８】
本発明のミシン糸は、従来のミシン糸のようなループやゆるみによらず、構成するポリエステル成分を変更することと、伸度差を持たせることによる熱セット性の違いを利用して可縫性良好なミシン糸用の原糸を提供するものである。
【００２９】
そして、ミシン糸中のポリエステルフィラメントＡとポリエステルフィラメントＢとが適度にマイグレーションすることで充分な熱セット効果が発現し、縫製中のミシン針および基布に接するミシン糸中の単繊維部分がランダムに入れ替わるので、熱の伝達が防止され、可縫性が向上するものと推定される。
【００３０】
つまり、これにより、ミシン針と基布から受ける摩擦を一部の繊維が長く引きずることなく、絶えず入れ替わることになり、ダメージを受けるまえに通りすぎることができるので、高速縫製に耐えるミシン糸を得ることができる。
【００３１】
また、本発明においては、ループに起因する縫目の不均一性を極力軽減するため、ミシン糸の染色工程でミシン糸の収縮が起こらないよう、張力を掛けて染めることが好ましい。
【００３２】
具体的には、チーズ状に巻き上げたものを、染色釜の中で、押しつぶし、沢山のチーズを一度に染色する方法が採用できる。この方法であれば、チーズ全体に張力がかかり、繊維同士の密度が高いことから、自己伸長性の高い高伸度糸であってもループは形成されず、均一なフイラメントミシン糸とすることができる。
【００３３】
ただ、ミシン糸の外観をスパナイズ化させたい時は、弛緩状態でミシン糸を染めることでループ発現させる事は可能である。
ただし、この場合も、ループの形成はあくまで外観のスパナイズ化程度の小さいものに止めることが好ましい。
【実施例】
【００３４】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
なお、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
【００３５】
（１）本縫高速直線可縫性
本縫い１本針ミシンを用いて、４,０００ｒｐｍの速度、ミシン針♯１４でＴ／Ｒサージ４枚を１分間縫製し、ミシン糸の切断の有りもしくは単糸切れ多発で外観不合格の場合を（×）、単糸切れが発生するも極僅かで実用上問題ない場合を（○）、単糸切れが全く発生しない場合を（◎）として評価した。
【００３６】
（２）バック縫可縫性
本縫い１本針ミシンを用いて、２,０００ｒｐｍの速度、ミシン＃１１でバック方向にＴ／Ｒサージ１枚を３０ｃｍ縫製し、ミシン糸の切断の有りもしくは単糸切れ多発で外観不合格の場合を（×）、単糸切れが発生するも極僅かで実用上問題ない場合を（○）、単糸切れが全く発生しない場合を（◎）として評価した。
【００３７】
（３）ミシン糸のボビンからのずれ
本縫い１本針ミシンを用いて、４,０００ｒｐｍの速度、ミシン針＃１４でＴ／Ｒサージ４枚を５秒間縫製した後、５秒間停止する操作を２０回繰り返し、ずれの回数を目視により判定した。
【００３８】
［実施例１］
（原糸の製造）
ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーとして、二酸化チタンなどのつや消し剤を含まない、固有粘度０．６５ｄＬ／ｇのポリエチレンナフタレートを、また、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーとして、二酸化チタンなどのつや消し剤を含まない、固有粘度０．６５ｄＬ／ｇのＰＥＴを用意し、それぞれ１６０℃で４時間乾燥した。
次いで、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーに、配向抑制剤としてポリメチルメタクリレート（旭化成製、デルペット８０Ｎ）をチップ状にて２重量％の比率で混合した後、上記ポリマーを、スクリュー型溶融押し出し機にて、夫々、３１０℃、３００℃で溶融し、半分割型の口金を用いて、ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーを１５ホール、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーを５ホールから吐出させ、口金下の加熱ゾーンヒーター４００℃の条件で徐冷した後、紡糸口金下方に設けた横吹き紡糸筒内で室温の空気で冷却固化させて、両糸が混繊された状態で油剤を付与した後、１,２００ｍ／分で引き取って１８０ｄｔｅｘ／２０フイラメントの未延伸を得た。
この未延伸糸は、１４４ｄｔｅｘの低伸度糸と３６ｄｔｅｘの高伸度糸とで構成されたものであった。
【００３９】
次に、この未延伸糸を延伸機に掛けて、以下の条件で延伸を行った。
すなわち、直径９０ｍｍの余熱ローラの表面温度を１２０℃とし、速度２００ｍ／分で６ターンさせ、続いて直径１２０ｍｍの延伸セットローラの表面温度を１４０℃とし、速度６００ｍ／分で４ターンさせて延伸と熱セットを終え、続いて、直径１２０ｍｍの二次セットローラの表面温度を２００℃とし、速度５９５ｍ／分で４ターンさせて、熱セットを加えた後巻き取った。
得られた延伸糸の平均繊度は、５９ｄｔｅｘであった。
【００４０】
（ミシン糸の製造）
上記延伸糸に７００Ｔ／ＭのＳ撚りを施した後、３本あわせて、１,０５０Ｔ／ＭのＺ撚りを施しミシン糸とした後、チーズに巻き取り、１３０℃、４０分の染色処理を行なった。
染色方法としては、チーズを重ね合わせ、圧縮荷重を掛け延伸糸に張力が掛かった状態で処理した。
乾燥後、シリコン系油剤を３重量％塗布してミシン糸とした。
得られたミシン糸の本縫高速直線可縫性は◎、バック縫可縫性は◎で、ミシン糸のボビンからのずれは発生しなかった。また、ミシン糸外観も均一で且つ光沢に富むものであった。
【００４１】
［比較例１］
実施例１において、ポリエステルフィラメントＡ用のポリマーとして、ポリエステルフィラメントＢ用のポリマーと同じポリマーを使用する以外は実施例１と同様に実施した。
得られたミシン糸の本縫高速直線可縫性は×、バック縫可縫性は×で、ミシン糸のボビンからのずれが１１回発生した。また、ミシン糸外観は不均一であった。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
本発明のミシン糸は、従来のミシン糸が有する、ループやゆるみの形成に起因する欠点を改良し、フイラメントの光沢を残しつつ均一な縫目を形成することが可能で、高速縫製用のフィラメントミシン糸として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなることを特徴とするフィラメントミシン糸。
【請求項２】
ポリエステルフィラメントＢが、ポリエチレンテレフタレートからなる請求項１記載のフィラメントミシン糸。
【請求項１】
ポリエステルフィラメントＡと、該ポリエステルフィラメントＡよりも伸度の大きいポリエステルフィラメントＢとの混繊糸から構成されたフィラメントミシン糸であって、ポリエステルフィラメントＡが実質的にポリエチレンナフタレートからなることを特徴とするフィラメントミシン糸。
【請求項２】
ポリエステルフィラメントＢが、ポリエチレンテレフタレートからなる請求項１記載のフィラメントミシン糸。
【公開番号】特開２０１０−２３６１０３（Ｐ２０１０−２３６１０３Ａ）
【公開日】平成２２年１０月２１日（２０１０．１０．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−８２０６７（Ｐ２００９−８２０６７）
【出願日】平成２１年３月３０日（２００９．３．３０）
【出願人】（３０２０１１７１１）帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月２１日（２０１０．１０．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月３０日（２００９．３．３０）
【出願人】（３０２０１１７１１）帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Ｆターム（参考）】
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