説明

フィラメントランプ

【課題】発光管の両端の封止部内に埋設された金属箔に、発光管内部に配置されたフィラメントの端部に接続された内部リードと、発光管外に導出される外部リードとが接続されてなるフィラメントランプにおいて、封止部のガラスと金属箔の密着の長さを十分に確保できて、ランプの短尺化が図れる構造を提供すること。
【解決手段】前記封止部内において、前記内部リードと、前記外部リードが、それぞれ前記金属箔の異なる側の側面に接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィラメントランプに関するものであり、特に、発光管の封止部内の金属箔とリードの接続構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタなどの画像固定装置のトナー定着用加熱光源として用いられるフィラメントランプにおいては、その両端の封止部内の金属箔に、フィラメントの両端の内部リードと、発光管外に導出される外部リードとを接続してピンチシールするものが一般に多用されていた。
特許文献1(特開平11−31481号公報)などがこの従来例であり、図4、図5にかかる従来技術が示されている。
【0003】
図4において、石英ガラスからなる長尺な発光管11の両端には封止部12が形成されており、その発光管11の内部にはフィラメント14が管軸と一致するように配置されている。そして、前記発光管11の両端の封止部12内には、金属箔13が埋設されていて、前記フィラメント14の両端に接続された内部リード15と、発光管外部に導出された外部リード16とが、それぞれ前記金属箔13に溶接等により接続されている。
上記封止部12内に、上記金属箔13、内部リード15、外部リード16が配置された状態で該封止部12を加熱溶融し、外部から圧力を加えて潰す、いわゆるピンチシールによって封止構造が形成される。
この構造により、外部リード16に通電された電気は金属箔13を介して内部リード15に伝わり、これにより外部から発光管11内のフィラメント14への給電が可能となる。
当該従来技術においては、図5に示すように、内部リード15と外部リード16は所定の距離だけ間隔をもって金属箔13に溶接されており、この部分で封止部12の石英ガラスと金属箔13が密着し、その密着部12aによって発光管11内部の気密性が保たれているものである。
なお、内部リード15、外部リード16の周囲には、ガラスとの間に少なからず空隙が生じてしまうため、この部分は封止部として有効に機能しているわけではない。
【0004】
しかして、上記従来技術においては、内部リード15と外部リード16とは金属箔13の同じ側面に間隔をもって溶接されており、上記のように、発光管11の気密性は、この封止部12の石英ガラスと金属箔13との密着部12aによって保たれているので、十分な気密性を得ようとするには、該密着部12aの長さL1を大きなものとすることが必要になってくる。
ところが一方で、フィラメントランプが搭載される複写機等の装置では、一層の小型化が進められており、そのために必然的にフィラメントランプの短尺化が求められている。
複写機に適用される原稿サイズはA3、A4等に固定されているために、フィラメントランプのフィラメント14は当該原稿サイズに対応したものとするので、その長さは短くすることはできず、そのため、フィラメントランプを短尺化するには、封止部12の短尺化を図る必要がある。
【0005】
ところが、上記従来技術においては、この封止部12を短尺化しようとすれば、ガラスと金属箔13の密着部12aの長さL1が短くなってしまい、十分な気密性が担保できなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−31481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、発光管の両端に封止部が形成され、該封止部内に埋設された金属箔に、発光管内部に配置されたフィラメントの端部に接続された内部リードと、発光管外に導出される外部リードとが接続されてなるフィラメントランプにおいて、前記封止部を短尺化しても十分な気密性が得られるような構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明では、発光管両端の封止部において、金属箔の異なる側の側面に内部リードと外部リードがそれぞれ接続されていることを特徴とする。
また、前記フィラメントの両端の内部リードは、両端の封止部内の金属箔の同じ側の側面に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封止部内の金属箔に対して、内部リードと外部リードが異なる側面に接続されているので、実際に気密性をもたらすガラスと金属箔との密着部の長さを長くすることができて、十分な気密性が得られる。このため、従来と同等もしくはそれ以上の気密性を保ったままで、封止部の長さを短くすることができるという効果を奏するものである。
また、フィラメントの両端の内部リードを、両端封止部内の金属箔の同じ側の側面に接続したので、その接続作業がいたずらに煩雑になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のフィラメントランプの断面図。
【図2】図1の部分拡大断面図。
【図3】図2の封止部の拡大横断面図。
【図4】従来技術の断面図。
【図5】従来技術の封止部拡大横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明のフィラメントランプの断面図であり、図2はその封止部拡大断面図、図3は更に封止部の拡大横断面図である。
図1において、石英ガラスよりなる発光管1の内部には、フィラメント4が配置されており、その両端には内部リード5、5が接続されている。そして、該発光管1内には、例えば窒素ガスを含む不活性ガス、及びハロゲン化合物が封入されている。
図2に示されるように、前記発光管1の端部の封止部2内には金属箔3が埋設されており、前記内部リード5は該金属箔3の一方の側面3aに溶接等により接続されている。そして、該金属箔3の前記一方の側面3aとは反対側の他方の側面3bには、外部リード6が溶接等により接続されていて、発光管1の外部に導出されている。
【0012】
再び図1を参照して、フィラメント4の両端の内部リード5、5は、それぞれ両端封止部2、2における金属箔3、3に対して、同じ側の側面に溶接接続されている。そして、外部リード6、6はそれぞれその反対側の異なる側面に接続されている。
なお、金属箔と内部リード、外部リードとの接続は溶接以外に、カシメ等の手段を採用することができる。
【0013】
図3に示されるように、このような構造においては、封止部2のガラスと金属箔3が密着する密着部2aは、内部リード5が接続される一方の側面3aでは、該内部リード5の後端直後から金属箔3の後端までとなる。一方、前記側面3aの反対側面である外部リード6が接続される側面3bでの密着部2bは、該外部リード6の先端直前から金属箔3の先端までとなる。
なお、ここで、先端、後端とは、それぞれ発光管側の端、発光管とは反対側の端という意味である。
このように、封止部2のガラスと金属箔3の密着長さ、即ち、一方の側面3aでの密着部2aの長さL2、及び他方の側面3bでの密着部2bの長さL3は、従来例との比較において十分に長くなり、当該部分での気密性が十分に確保できる。
【0014】
また、フィラメント4の両端の内部リード5、5が、両端の封止部2内の金属箔3の同じ側の側面に溶接されているので、前記両端の内部リード5、5に金属箔3、3を接続する作業の際に、長尺のフィラメント4を裏返したりせずに作業できるという利点がある。
【0015】
上記のように、本発明においては、封止部内の金属箔に対して、内部リードと外部リードをそれぞれ異なる側面に接続する構造としたことにより、封止部のガラスと金属箔との密着部の長さを十分に取れて、その密着性が十分なものとなるので、封止部の長さを短尺化しても十分な気密性が保たれ、フィラメントランプ全体の短尺化を図ることができるという効果を奏するものである。
また、フィラメント両端の内部リードを両端封止部内の金属箔の同じ側の側面に接続したことにより、溶接等の接続作業がいたずらに煩雑化することがない。
【符号の説明】
【0016】
1 発光管
2 封止部
2a、2b 密着部
3 金属箔
5 内部リード
6 外部リード




【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の両端に封止部が形成され、該封止部内に埋設された金属箔に、発光管内部に配置されたフィラメントの端部に接続された内部リードと、発光管外に導出される外部リードとが接続されてなるフィラメントランプにおいて、
前記内部リードと、前記外部リードが、それぞれ前記金属箔の異なる側の側面に接続されていることを特徴とするフィラメントランプ。
【請求項2】
前記フィラメントの両端における内部リードが、両端の封止部内のそれぞれの金属箔の同じ側の側面に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントランプ。
【請求項3】
前記フィラメントランプは、トナー定着用加熱光源であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメントランプ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−146205(P2011−146205A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5192(P2010−5192)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)