説明

フィラメントワインディング自動化システム

【課題】生産効率の向上及び低コスト化を可能とする。
【解決手段】ヘッド部12,13から繰り出される繊維束RをマンドレルM1に巻き付ける巻付け装置と、巻付け前のマンドレルM1を巻付け位置に設置する設置装置5と、巻付け後のマンドレルを巻付け位置から排出する排出装置5と、繊維束Rを保持して、巻付け後のマンドレルから巻付け前のマンドレルM1に受け渡す受渡装置3と、繊維束Rを切断する切断装置とを備え、巻付け終了後、受渡装置3がヘッド部12,13から繰り出される繊維束Rを保持し、切断装置が繊維束Rを巻付け後のマンドレルから切断して分離し、排出装置5が巻付け後のマンドレルを排出し、設置装置が巻付け前のマンドレルM1を設置し、巻付け装置が受渡装置3で保持した繊維束Rを巻付け前のマンドレルM1に巻付け開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントワインディング法による製造ラインを自動化したフィラメントワインディング自動化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィラメントワインディング装置は、フィラメントワインディング法によって、圧力タンク等の中空容器やパイプ等を製造する装置である(例えば、特許文献1及び特許文献2)。フィラメントワインディング法は、繊維束をマンドレル(ライナ)に巻き付けて製造物(圧力タンク等)を製造する。繊維束は、例えば、ガラス繊維等の繊維材料と合成樹脂とを用いた繊維材料からなる。
【0003】
フィラメントワインディング装置は、ヘッド部から繰り出される繊維束をマンドレルに巻き付ける。ヘッド部は、フープ巻で巻き付けるフープ巻ヘッドや、ヘリカル巻で巻き付けるヘリカル巻ヘッドからなる。フープ巻は、マンドレルの軸方向に対して略直角に繊維束を巻き付ける(図5(a))。ヘリカル巻は、マンドレルの軸方向に対して所定の角度で繊維束を巻き付ける(図5(b)・(c))。
【0004】
フィラメントワインディング装置は、巻付け位置に設置されたマンドレルに対して、繊維束を巻き付ける。そのため、マンドレルを巻付け位置に設置して巻付け開始し、巻付け完了後に、マンドレルを巻付け位置から排出する。このマンドレルを設置及び排出する工程は、作業者が手作業で行う。さらに、作業者は、巻付け開始時に、繊維束の始端をマンドレルに固定し、巻付け終了時に、繊維束をマンドレルから切断する。
【0005】
このように、巻付け開始及び終了の際に、作業者は、種々の作業を行う必要がある。作業者による作業時間や作業数が多くなると、全体的な生産効率が低下し、コストアップの原因となる問題がある。
【特許文献1】特願2007−34723号
【特許文献2】特開平10−119138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記した問題点に鑑みて、生産効率の向上及び低コスト化を可能とするフィラメントワインディング自動化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のフィラメントワインディング自動化システムは、ヘッド部から繰り出される繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付け装置と、巻付け前のマンドレルを巻付け位置に設置する設置装置と、巻付け後のマンドレルを巻付け位置から排出する排出装置と、繊維束を保持して、巻付け後のマンドレルから巻付け前のマンドレルに受け渡す受渡装置と、繊維束を切断する切断装置とを備える。
さらに、本発明のフィラメントワインディング自動化システムは、巻付け終了後、受渡装置がヘッド部から繰り出される繊維束を保持し、切断装置が繊維束を巻付け後のマンドレルから切断して分離し、排出装置が巻付け後のマンドレルを排出し、設置装置が巻付け前のマンドレルを設置し、巻付け装置が受渡装置で保持した繊維束を巻付け前のマンドレルに巻付け開始する。
【0008】
好ましくは、ヘッド部は、フープ巻で巻き付けるためのフープ巻ヘッドを備え、フープ巻ヘッドは、マンドレルに繊維束を繰り出すボビンと、ボビンをマンドレルの周方向に旋回する旋回機構とを備え、マンドレルの軸方向に相対的に往復移動する。
【0009】
好ましくは、ヘッド部は、ヘリカル巻で巻き付けるためのヘリカル巻ヘッドを備え、マンドレルの軸方向に相対的に往復移動する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィラメントワインディング自動化システムは、設置装置と排出装置とを備える。設置装置は、巻付け前のマンドレルを巻付け位置に設置する。排出装置は、巻付け後のマンドレルを巻付け位置から排出する。従って、作業者は、マンドレルを巻付け位置に設置したり、巻付け位置から排出する必要がない。
【0011】
さらに、本発明のフィラメントワインディング自動化システムは、受渡装置と切断装置とを備える。受渡装置は、繊維束を保持して、巻付け後のマンドレルから巻付け前のマンドレルに受け渡す。切断装置は繊維束を切断する。これにより、作業者は、巻付け開始時に、繊維束の始端をマンドレルに取り付けたり、巻付け終了時に、繊維束をマンドレルから切断して分離する必要がない。
【0012】
従って、本発明のフィラメントワインディング自動化システムは、従来のフィラメントワインディング装置に比べて、製造ラインのほぼ全てを自動化して、作業者の作業数及び作業時間を大幅に削減し、生産効率の向上、省力化・低コスト化を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明に係るフィラメントワインディング自動化システムについて詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態について説明する。
【0015】
[全体構成]
図1は、第1実施形態のフィラメントワインディング自動化システムを示す一部省略斜視図である。フィラメントワインディング自動化システムは、巻付け装置1と供給部2とを備える。
【0016】
巻付け装置1は、マンドレルMに繊維束Rを巻き付ける。供給部2は、クリール支持部21,21に複数のクリール20を備える。クリール20は、繊維束Rを巻き取って収納している。
【0017】
繊維束Rは、例えば、ガラス繊維等の繊維材料や合成樹脂とを用いた繊維材料からなる。供給部2は、各クリール20から引き出された繊維束Rを巻付け装置1へ供給する。
【0018】
繊維束Rは、予め熱硬化性の合成樹脂材が含浸されている。なお、繊維束Rは、樹脂が含浸されていない場合もある。その場合は、巻付け装置1と供給部2との間に、樹脂含浸装置(図示略)が設けられており、樹脂含浸装置が、クリール20から引き出された繊維束Rに樹脂を塗布して、巻付け装置1へ供給する。
【0019】
巻付け装置1の両側(図手前及び奥)には、複数のマンドレルM(M1,M2)が並べれらている。巻付け装置1の前方側(図手前)には、巻付け前のマンドレルM1が、後方側(図奥)には、巻付け装置1により繊維束Rを巻付けた後のマンドレルM2が並べられる。そして、巻付け装置1の一端側(図左)に、マンドレルM1,M2が配置される。
【0020】
[巻付け装置]
図2は、図1の巻付け装置を示す拡大斜視図である。巻付け装置1は、機台10を備える。機台10は、長手方向1aに延設された一対の平行な第一ガイドレール部10a,10aを備える。巻付け装置1は、機台10にマンドレル移動台11を備える。マンドレル移動台11は、第一ガイドレール10a,10aに沿って長手方向1aに往復移動する。
【0021】
マンドレルMは、マンドレル軸方向Mcに延設されたマンドレル用スピンドルSを備える。マンドレル移動台11は、両側のマンドレル回転軸11a,11aでスピンドルSを回転支持する。マンドレル回転軸11a,11aは、スピンドルSと共にマンドレルMを中心軸周りに回転する。
【0022】
圧力タンクを製造する場合、マンドレルMは、高強度アルミニウム製、金属製、樹脂製等で形成され、円筒部Maとその両側のドーム部Mbとを有する形状である(図5)。スピンドルSは、マンドレルMに着脱可能に固定される。機台10の長手方向1aは、マンドレル軸方向Mcとなる。なお、マンドレルMは、製造物に応じて材料や形状等を変更可能である。
【0023】
巻付け装置1は、1つのフープ巻ヘッド12と、1つのヘリカル巻ヘッド13とを備える。フープ巻ヘッド12は、マンドレルMに対して繊維束Rをフープ巻で巻き付ける。ヘリカル巻ヘッド13は、マンドレルMに対して繊維束Rをヘリカル巻で巻き付ける。
【0024】
巻付け装置1は、制御部6によって駆動制御される。制御部6は、マンドレル移動台11の往復移動、マンドレル回転軸11a,11aによるマンドレルMの回転を制御する。制御部6は、フープ巻ヘッド12の往復移動、ボビン12bの旋回等を制御する。また、制御部6は、後述するマンドレル移動台11の側壁部11b,11bの駆動を制御する。
【0025】
フープ巻ヘッド12は、本体部12aを備える。本体部12aは、中央に開口する挿通部12dを備える。フープ巻ヘッド12は、挿通部12dを通じてマンドレルMを挿通する。
【0026】
機台10は、長手方向1aに延設された一対の第二ガイドレール10b,10bを平行に備える。フープ巻用ヘッド12は、移動ベース12fを備え、第二ガイドレール10b,10bに沿って長手方向1aに往復移動する。これにより、フープ巻用ヘッド12は、挿通部12dにマンドレルMを挿通した状態で往復移動する。
【0027】
フープ巻ヘッド12は、繊維束Rを巻き取り収納する複数(本実施形態では2つ)のボビン12b,12bを備える。フープ巻ヘッド12は、旋回機構を備える。旋回機構は、挿通部12dの周囲にマンドレル周方向Mdに沿うガイド溝12cと、モータ等の駆動部12eとを備える。ボビン12b,12bは、駆動部12eの動力によって、ガイド溝12cに沿って旋回する。旋回するボビン12b,12bから繰り出される繊維束Rは、マンドレルMに巻き付けられる。
【0028】
ヘリカル巻ヘッド13は、本体部13aを備える。本体部13aは、中央に開口する挿通部13dを備える。ヘリカル巻ヘッド13は、挿通部13dを通じてマンドレルMを挿通する。ヘリカル巻ヘッド13は、機台10の長手方向1aの中央部に位置固定されている。
【0029】
ヘリカル巻ヘッド13は、挿通部13dにマンドレルMを挿通した状態で、マンドレル移動台11が往復移動する。これにより、ヘリカル巻ヘッド13は、マンドレルMに対して長手方向1aに相対的に往復移動する。
【0030】
ヘリカル巻ヘッド13は、供給部2から引き出される繊維束RをマンドレルMに巻き付ける。ヘリカル巻ヘッド13は、挿通部13dの周囲に、マンドレル周方向Mdに沿って延設された環状のガイドリング部15を備える。本体部13aは、ガイドリング部15の両側にテンション部13b,13bを備える。さらに、ヘリカル巻ヘッド13は、本体部13aの両側にガイドローラ13c,13cを備える。
【0031】
ヘリカル巻ヘッド13は、クリール20から引き出された繊維束Rをガイドローラ13c,13cでガイドして、テンション部13b,13bへ導く。テンション部13b,13bは、繊維束Rに所定の樹脂と張力を付与する。テンション部13b,13bが繊維束Rに所定の張力を与えることにより、繊維束RをしっかりとマンドレルMに巻き付けることができる。
【0032】
[ヘリカル巻ヘッド]
図3は、ヘリカル巻ヘッド13を示す正面図である。ヘリカル巻ヘッド13は、リング状の複数の補助ガイド13eを備えている。補助ガイド13eは、ガイドリング部15の外側に沿って配置されている。
【0033】
クリール20から引き出される繊維束Rは、ヘリカル巻ヘッド13の両側からガイドローラ13cを通じてテンション部13bへ供給される。複数の繊維束Rは、テンション部13bから各補助ガイド13eを経て、ガイドリング部15へ案内される。さらに、複数の繊維束Rは、ガイドリング部15に沿って設けられた複数のガイド孔15aを経て、マンドレルMに案内される。
【0034】
[開繊ガイド]
図4は、開繊ガイドを示す斜視図である。開繊ガイド16は、ヘリカル巻ヘッド13のガイドリング部15の内側に、ガイド孔15a毎に設けられている。開繊ガイド16は、一対の回転自在な開繊ローラ16a,16aを備える。
【0035】
開繊ローラ16a,16aは、ガイド孔15aの径方向に平行に設けられる。開繊ガイド16は、ガイド孔15aの中心周りに回転自在な回転ベース16bを備えている。回転ベース16bは、開繊ローラ16a,16aを支持する。
【0036】
開繊ガイド16は、一対の開繊ローラ16a,16aの間に繊維束Rが挿通する。これにより、開繊ガイド16は、マンドレルMへの繊維束Rの巻付け角度θが変わっても自在に回転して、開繊ローラ16a,16aで繊維束Rを開繊状態(幅を広げた状態)にしてマンドレルMに巻き付けることができる。
【0037】
[フープ巻・ヘリカル巻]
図5は、フープ巻及びヘリカル巻を示す側面図である。図5(a)に示すように、フープ巻は、マンドレル軸方向Mcに対して略直角に繊維束Rを巻き付ける。図5(b)・(c)に示すように、ヘリカル巻は、マンドレル軸方向Mcに対して所定の角度θ(θ1,θ2)で繊維束Rを巻き付ける。前述の通り、フープ巻ヘッド12により、フープ巻が行われ、ヘリカル巻ヘッド13により、ヘリカル巻が行われる。
【0038】
図6〜図13は、第1実施形態のフィラメントワインディング自動化システムの製造工程を示す側面図である。第1実施形態では、機台10の一端側(図左)でのみ、マンドレルMを設置・排出する。
【0039】
[設置動作]
図6(a)に示すように、フィラメントワインディング自動化システムは、受渡装置3を備える。受渡装置3は、受渡ハンド部30を備える。受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cを着脱自在に把持して保持する。受渡ハンド部30は、垂直方向に伸縮自在な伸縮アーム30aを備える。
【0040】
さらに、受渡ハンド部30は、天井部Tに設けられたガイドレール(図示略)に沿って、水平方向に移動自在な移動ベース30bを備える。受渡ハンド部30は、制御部6によって駆動制御される。
【0041】
受渡スピンドル30cは、第1受渡リング31及び第2受渡リング32を保持する。各受渡リング31,32は、スプライン結合等によって、受渡スピンドル30cに対して軸方向に移動可能で周方向に規制されている。
【0042】
各受渡リング31,32は、永久磁石の磁力等を利用した着脱機構(図示略)によって、互いに結合し、受渡スピンドル30cに位置固定される。各受渡リング31,32は、後述の工程で、互いに分離したり、受渡スピンドル30cから離れる。
【0043】
マンドレル移動台11は、両側壁部11b,11bにマンドレル回転軸11a,11aを備える。側壁部11b,11bは、巻付け時には垂直方向に立設しており、マンドレルMを設置・排出する時に、水平方向に倒すことができる。
【0044】
マンドレル移動台11は、両側壁部11b,11bが倒れた状態で待機する。受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cを把持・保持して、機台10の他端側(図右)から一端側(図左)へ移動する。
【0045】
図6(b)に示すように、受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cをフープ巻ヘッド12及びヘリカル巻ヘッド13の挿通部12d,13dに挿通した状態で、位置決めする。
【0046】
各受渡リング31,32は、ヘッド部12,13に設けられたチャック機構(図示略)によって、位置固定される。第1受渡リング31に、テープ等によって、ヘッド部12,13から繰り出される繊維束Rの始端が固着される。
【0047】
図7(a)に示すように、フィラメントワインディング自動化システムは、設置・排出装置5を備える。設置・排出装置5は、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52を備える。第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、マンドレル用スピンドルSを着脱自在に把持して、巻取り前及び巻取り後のマンドレルM1,M2を保持し、移動する。
【0048】
第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、受渡ハンド部30と同様に、伸縮アーム51a,52a及び移動ベース51b,52bを備える。第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、制御部6によって駆動制御される。
【0049】
第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、巻取り前のマンドレルM1の両側で、そのスピンドルSを把持して、移動する。第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、マンドレル用スピンドルSの他端(図右)を受渡スピンドル30cの一端(図左)に当接するように、配置する。
【0050】
図7(b)に示すように、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、マンドレルM1を機台10の他端側(図右)に移動する。それと同期して、受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cを機台10の他端側(図右)に移動する。これにより、各スピンドルS,30cは、互いに当接したままとなる。
【0051】
前述の通り、各受渡リング31,32は、ヘッド部12,13のチャック機構(図示略)によって、位置固定されているので、受渡スピンドル30cからマンドレル用スピンドルSに嵌め込まれて(受け渡されて)、保持される。
【0052】
なお、各受渡リング31,32を受渡スピンドル30cに位置固定する着脱機構(図示略)の結合力は、チャック機構(図示略)のそれよりも小さいので、上記工程によって、各受渡リング31,32は受渡スピンドル30cから離れる。
【0053】
設置・排出装置5は、第3設置・排出ハンド部53を備える。第3設置・排出ハンド部53は、第1設置・排出ハンド部51等と同一構成で、伸縮アーム53a及び移動ベース53bを備える。第3設置・排出ハンド部53は、制御部6によって駆動制御される。
【0054】
第3設置・排出ハンド部53は、マンドレル用スピンドルSを他端側(図右)で保持する。これにより、第2及び第3設置・排出ハンド部52,53が、ヘッド部12,13の両側でマンドレル用スピンドルSを保持する。
【0055】
図8(a)に示すように、受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cを退避する。第2設置・排出ハンド部52は、マンドレル用スピンドルSを離して、伸縮アーム52aで上方へ退避する。
【0056】
そして、第1及び第3設置・排出ハンド部51,53が、マンドレルM1を機台10の他端側(図右)へ少し移動する。これにより、受渡用リング31が、マンドレルM1と接合する。
【0057】
そして、マンドレル移動台の側壁部11b,11bが起立する。マンドレル用スピンドルSの両端は、マンドレル回転軸11a,11aに連結し、支持される。マンドレル移動台11はマンドレルM1を回転支持する。
【0058】
これにより、巻取り前のマンドレルM1が、巻取り位置に設置される。第1及び第3設置・排出ハンド部51,53は、マンドレル用スピンドルSを離して、伸縮アーム51a,53aで上方へ退避する。そして、各設置・排出ハンド部51〜53が退避する。
【0059】
[巻付け動作]
図8(b)に示すように、フープ巻を行う際、制御部6によって、フープ巻ヘッド12が次のように動作する。フープ巻ヘッド12は、マンドレルMの他端(図右)から一端(図左)へ移動しながら、ボビン12b,12bが旋回する。なお、マンドレル移動台11は停止しているので、マンドレルMは移動及び回転しない。
【0060】
これにより、各ボビン12b,12bから繊維束Rが繰り出される。繊維束Rは、マンドレル軸方向Mc(図5)に対して略直交(若干傾斜)に、それぞれが重ならないように隙間なく平行に巻き付けられる。このように巻付くよう、フープ巻ヘッド12の移動速度及びボビン12b,12bの旋回速度が決定される。
【0061】
フープ巻ヘッド12が、マンドレル円筒部Ma(図5)の他端(図右)から一端(図左)へ移動することにより、マンドレル円筒部Maに一層の繊維束Rが積層される。そして、必要層の繊維束Rが積層されるまで、フープ巻ヘッド12は、マンドレル円筒部Maの一端(図左)と他端(図右)とを往復移動する。
【0062】
フープ巻完了後、図9(a)に示すように、フープ巻ヘッド12は、マンドレル移動台11の一端側(図左)へ退避する。フープ巻ヘッド12は、マンドレルMから所定距離Wを置いて、マンドレル用スピンドルS上に配置される。
【0063】
図9(b)に示すように、ヘリカル巻を行う際、制御部6によって、マンドレル移動台11が次のように動作する。マンドレル移動台11は、ヘリカル巻ヘッド13がマンドレルMの他端(図右)から一端(図左)へ相対的に移動するよう、移動する。この移動と共に、マンドレル回転軸11a,11aがマンドレルMを回転する。
【0064】
ヘリカル巻ヘッド13から繰り出される複数の繊維束Rは、マンドレル平行部でマンドレル軸方向Mc(図5)に対して巻付け角度θ1に、それぞれが重ならないように隙間なく平行に巻き付けられる。このように巻付くよう、マンドレル移動台11(ヘリカル巻ヘッド13)の移動速度及びマンドレル回転軸11a(マンドレルM)の回転速度が決定される。
【0065】
ヘリカル巻ヘッド13が、マンドレルMの他端(図右)から一端(図左)へ移動することにより、マンドレルMに、一層の繊維束Rが積層される。そして、必要層の繊維束Rが積層されるまで、ヘリカル巻ヘッド13は、マンドレルMの一端(図左)と他端(図右)とを往復移動する。
【0066】
さらに、フープ巻ヘッド12は、マンドレルMからの所定距離Wを保つように、マンドレル移動台11と同期して移動する。また、マンドレルMの回転により、ボビン12b,12bから余分な繊維束Rが繰り出されてスピンドルSに巻き付かないように、ボビン12b,12bは、マンドレルMの回転と同期してマンドレルと同方向に回転する。
【0067】
図10(a)に示すように、巻付け角度θ2(>θ1)のヘリカル巻を行う際や、図10(b)に示すように、その後、再度巻付け角度θ1のヘリカル巻を行う際、上記と同様に、マンドレル移動台11及びフープ巻ヘッド12が動作する。
【0068】
図11(a)に示すように、必要層のヘリカル巻を行った後、マンドレル移動台11が機台10の一端側(図左)へ移動して、ヘリカル巻ヘッド13がマンドレル移動台11の他端側(図右)に配置される。これにより、ヘリカル巻ヘッド13から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング31,32に巻き付く。
【0069】
図11(b)に示すように、必要層のフープ巻を行った後、フープ巻ヘッド12が、マンドレルM2の他端側(図右)に移動する。これにより、ボビン12bから繰り出される繊維束Rが、各受渡リング31,32に巻き付く。
【0070】
従って、ヘッド部12,13から繰り出される繊維束Rは、各受渡リング31,32に巻き付き、保持される。
【0071】
なお、上記の通り、マンドレルM2に巻き付いた繊維束Rは、第1受渡リング(マンドレルM側の受渡リング)31が始端となって、第2受渡リング(マンドレルMと反対側の受渡リング)32が終端となっている。
【0072】
[切断動作]
図12(a)に示すように、フィラメントワインディング自動化システムは、切断装置4を備える。切断装置4は、カッター部40を備える。カッター部40は、伸縮アーム40a及び移動ベース40bを備える。カッター部40は、制御部6によって駆動制御される。
【0073】
カッター部40は、その刃先を各受渡リング31,32の間に配置する。そして、マンドレル回転軸11a,11aによって、マンドレルM2と共に各受渡リング31,32を回転する。これにより、各受渡リング31,32に巻き付けられた繊維束Rは、各受渡リング31,32の間で切断されて分離する。
【0074】
[排出動作]
図12(b)に示すように、第1及び第3設置・排出ハンド部51,53が、マンドレル用スピンドルSの両側を把持してマンドレルM2を保持する。その状態で、巻付け後のマンドレルM2を巻付け位置から排出したり、巻付け前のマンドレルM1を巻付け位置から設置可能なよう、マンドレル移動台の側壁部11b,11bが倒れる。
【0075】
そして、受渡ハンド部30が、受渡スピンドル30cを移動する。受渡スピンドル30cは、第3受渡リング33を保持する。受渡ハンド部30は、受渡スピンドル30cの一端(図左)をマンドレル用スピンドルSの他端(図右)に当接する。
【0076】
図13(a)に示すように、各スピンドルS,30cを当接した状態で、第1及び第3設置・排出ハンド部51,53並びに受渡ハンド部30が、マンドレルM2(スピンドルS)及び受渡スピンドル30cを機台10の一端側(図左)へ若干移動する。
【0077】
このとき、ヘッド部12,13に設けられたチャック機構(図示略)は、第1受渡リング31を離している(第2受渡リング32は位置固定する)。従って、第1受渡リング31は、マンドレルM2と共に第2受渡リング32から離れる。
【0078】
そして、第2設置・排出ハンド部52が、各受渡リング31,32の間でマンドレル用スピンドルSを把持して保持する。これにより、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52が、マンドレルM2の両側を保持する。そして、第3設置・排出ハンド部53は退避する。
【0079】
さらに、各スピンドルS,30cを当接した状態で、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52並びに受渡ハンド部30が、マンドレル用スピンドルS及び受渡スピンドル30cを機台10の一端側(図左)へ移動する。
【0080】
図13(b)に示すように、第2受渡リング32は、マンドレル用スピンドルSから受渡スピンドル30cに嵌め込まれて(受け渡されて)、保持される。そして、第3受渡リング33は、着脱機構(図示略)によって、第2受渡リング32に結合する。受渡スピンドル30cは、第2及び第3受渡リング32,33を保持する。
【0081】
第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、巻取り後のマンドレルM2を巻取り位置から排出する。これまでの製造工程によって、1本の巻取りマンドレルM2(製造物)が完成する。
【0082】
なお、ヘッド部12,13から繰り出される繊維束Rは、第2受渡リング32に巻き付き、保持されている。図13(b)は、上記図6(b)に対応した状態となる。
【0083】
[受渡し動作]
その後、上述した[設置動作](図7(a)〜図8(a))及び[巻付け動作](図8(b)〜図11(b))を行う。ヘッド部12,13から繰り出される繊維束Rは、第2受渡リング32から次のマンドレルM1へと巻き付けられる。従って、第2受渡リング32が、繊維束Rを巻取り後のマンドレルM2からその次の巻取り前のマンドレルM1に受け渡す。
【0084】
そして、巻付け動作終了後、マンドレルM2に巻き付けられた繊維束Rは、第3受渡リング33に巻き付けられる。その後、[切断動作](図12(a))及び[排出動作](図12(a)〜図13(b))を行う。そして、第3受渡リング33が、繊維束Rを巻取り後のマンドレルM2からその次の巻取り前のマンドレルM1に受け渡す。
【0085】
[繰り返し動作]
上記の通り、[設置動作]、[巻付け動作]、[切断動作]、[排出動作]及び[受渡し動作](図7〜図13)を繰り返し行うことにより、作業者は殆ど作業することなく、製造ラインを自動化することができる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する(特に説明のない場合、第1実施形態と同一構成である)。
【0087】
[全体構成]
図14は、第2実施形態のフィラメントワインディング自動化システムを示す一部省略斜視図である。巻付け装置1の両側(図手前及び奥)には、複数のマンドレルM(M1,M2)が並べられている。第2実施形態では、巻付け装置1の一端側(図左)及び他端側(図右)に、マンドレルM(M1,M2)が配置される。
【0088】
[巻付け装置]
図15は、図14の巻付け装置を示す拡大斜視図である。巻付け装置1は、2つのフープ巻ヘッド12,12’と、1つのヘリカル巻ヘッド13とを備える。ヘリカル巻ヘッド13の一端側(図左)に第1フープ巻ヘッド12が、他端側(図右)に第2フープ巻ヘッド12’が配置される。
【0089】
図16〜図30は、第2実施形態のフィラメントワインディング自動化システムの製造工程を示す側面図である。第2実施形態では、機台10の一端側(図左)及び他端側(図右)の双方で、マンドレルMを設置・排出する。
【0090】
[設置動作]
図16(a)に示すように、制御部6によって、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52が、機台10の一端側(図左)の巻取り前のマンドレルM1を把持・保持して、マンドレル移動台11のほうへ移動する。
【0091】
マンドレルM1は、そのスピンドルSの他端側(図右)に第1及び第2受渡リング31,32を保持している。なお、各受渡リング31,32は、スプライン結合等によって、マンドレル用スピンドルSに対して周方向に回転規制されている。マンドレル移動台11は、マンドレルM1を巻付け位置に移動可能なよう、両側壁部11b,11bを倒す。
【0092】
図16(b)に示すように、マンドレル移動台11は、両側壁部11b,11bを起立する。そして、マンドレル用スピンドルSの両端が、マンドレル回転軸11a,11aに連結する。これにより、マンドレルM1は、巻取り位置に設置される。
【0093】
第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、マンドレルM1を離して退避する。ヘッド部12,12’,13から繰り出された繊維束Rの始端を、第1受渡リング(マンドレルM1側の受渡リング)31に固定する。
【0094】
各受渡リング31,32は、ヘッド部12,12’,13に設けられたチャック機構(図示略)によって、位置固定される。第1受渡リング31は、フック等の結合機構(図示略)によって、マンドレルM1に結合する。また、各受渡リング31,32は、永久磁石の磁力等を利用した着脱機構(図示略)によって、互いに結合している。
【0095】
[巻付け動作]
図17(a)に示すように、フープ巻を行う際、制御部6によって、第1フープ巻ヘッド12が動作する。必要層の繊維束Rが積層されるまで、第1フープ巻ヘッド12は、マンドレル円筒部Ma(図5)の一端(図左)と他端(図右)とを往復移動する。なお、マンドレル移動台11及び第2フープ巻ヘッド12’は停止している。
【0096】
フープ巻完了後、図17(b)に示すように、第1フープ巻ヘッド12は、マンドレル移動台11の一端側(図左)へ退避する。第1フープ巻ヘッド12は、マンドレルMから所定距離Wを置いて、マンドレル用スピンドルS上に配置される。
【0097】
図18(a)に示すように、ヘリカル巻を行う際、制御部6によって、マンドレル移動台11が動作する。必要層の繊維束Rが積層されるまで(巻付け角度θ1)、マンドレル移動台11は、ヘリカル巻ヘッド13が、相対的に、マンドレルMの一端(図左)と他端(図右)とを往復移動するように移動する。
【0098】
第1フープ巻ヘッド12は、マンドレルMからの所定距離Wを保つように、第2フープ巻ヘッド12’は、マンドレルMの他端(図右)の位置を保つように、マンドレル移動台11と同期して移動する。
【0099】
図18(b)に示すように、巻付け角度θ2(>θ1)のヘリカル巻を行う際や、図19(a)に示すように、その後、再度巻付け角度θ1のヘリカル巻を行う際、上記と同様に、マンドレル移動台11及び第1・第2フープ巻ヘッド12,12’が動作する。
【0100】
図19(b)に示すように、第2フープ巻ヘッド12’が、マンドレル移動台11の他端側(図右)へ移動する。これにより、フープ巻ヘッド12’から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング31,32に巻き付く。
【0101】
図20(a)に示すように、必要数のヘリカル巻を行った後、マンドレル移動台11が機台10の一端側(図左)へ移動して、ヘリカル巻ヘッド13がマンドレルM2の他端側(図右)に配置される。これにより、ヘリカル巻ヘッド13から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング31,32に巻き付く。
【0102】
図20(b)に示すように、必要層のフープ巻を行った後、第1フープ巻ヘッド12が、マンドレルM2の他端側(図右)に移動する。これにより、第1フープ巻ヘッド12から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング31,32に巻き付く。
【0103】
従って、ヘッド部12,12’,13から繰り出される繊維束Rは、各受渡リング31,32に巻き付き、保持される。
【0104】
[切断動作]
図21(a)に示すように、カッター部40が、その刃先を各受渡リング31,32の間に配置する。マンドレル回転軸11a,11aによって、マンドレルMと共に各受渡リング31,32を回転する。これにより、各受渡リング31,32に巻き付けられた繊維束Rは、各受渡リング31,32の間で切断されて分離する。
【0105】
[設置・排出動作]
図21(b)に示すように、第1及び第3設置・排出ハンド部51,53が、マンドレルM2を把持・保持する。設置・排出装置5は、第4及び第5設置・排出ハンド部54,55を備える。第4及び第5設置・排出ハンド部54,55は、第1ハンド部30等と同一構成で、制御部6によって駆動制御される。
【0106】
マンドレル移動台11は、マンドレルM2を巻付け位置から排出したり、マンドレルM1を巻付け位置に移動可能なよう、両側壁部11b,11bを倒す。制御部6によって、第4及び第5設置・排出ハンド部54,55が、機台10の他端側(図右)の巻取り前のマンドレルM1を把持・保持して移動する。マンドレルM1(図右)のスピンドルSの一端(図左)が、マンドレルM2(図左)のスピンドルSの他端(図右)に当接する。
【0107】
図22(a)に示すように、各スピンドルS,Sを当接した状態で、第1,第3,第4及び第5設置・排出ハンド部51,53,54,55が、マンドレルM2(スピンドルS)及びマンドレルM1(スピンドルS)を機台10の一端側(図左)へ若干移動する。
【0108】
このとき、ヘッド部12,12’,13に設けられたチャック機構(図示略)は、第1受渡リング31を離している(第2受渡リング32は位置固定する)。従って、第1受渡リング31は、マンドレルM2と共に第2受渡リング32から離れる。
【0109】
そして、第2設置・排出ハンド部52が、各受渡リング31,32の間でマンドレルM2(図左)のスピンドルSを把持して保持する。これにより、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52が、マンドレルM2の両側を保持する。そして、第3設置・排出ハンド部53は退避する。
【0110】
さらに、各スピンドルS,Sを当接した状態で、第1,第2,第4及び第5設置・排出ハンド部51,52,54,55が、マンドレルM2(スピンドルS)及びマンドレルM1(スピンドルS)を機台10の一端側(図左)へ移動する。
【0111】
これにより、第2受渡リング32は、マンドレルM2(図左)のスピンドルSからマンドレルM1(図右)のスピンドルSに嵌め込まれて(受け渡されて)、保持される。
【0112】
図22(b)に示すように、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52は、巻取り後のマンドレルM2を巻取り位置から排出する。これまでの製造工程によって、1本の巻取りマンドレルM2(製造物)が完成する。なお、ヘッド部12,12’,13から繰り出される繊維束Rは、第2受渡リング32に巻き付き、保持されている。
【0113】
図23(a)に示すように、制御部6によって、受渡ハンド部30は、第3受渡リング33を把持・保持して、機台10の一端側(図左)からマンドレルM1(図右)へ移動する。
【0114】
図23(b)に示すように、受渡ハンド部30は、第3受渡リング33をマンドレルM1のスピンドルSに嵌めこむ。第2及び第3受渡リング32,33は、永久磁石の磁力等を利用した着脱機構(図示略)により、互いに結合する。そして、受渡ハンド部30が退避する。
【0115】
図24(a)に示すように、マンドレル移動台11は、両側壁部11b,11bを起立する。そして、マンドレル用スピンドルSの両端が、マンドレル回転軸11a,11aに連結する。これにより、マンドレルM1は、巻取り位置に設置される。
【0116】
第3及び第5設置・排出ハンド部53,55は退避する。各受渡リング32,33は、ヘッド部12,12’,13に設けられたチャック機構(図示略)によって、位置固定される。第2受渡リング32は、結合機構(図示略)によってマンドレルM1に結合する。
【0117】
[受渡し・巻付け動作]
図24(b)に示すように、フープ巻を行う際、制御部6によって、第2フープ巻ヘッド12’が動作する。必要層の繊維束Rが積層されるまで、第2フープ巻ヘッド12’は、マンドレル円筒部Ma(図5)の一端(図左)と他端(図右)とを往復移動する。なお、マンドレル移動台11及び第1フープ巻ヘッド12は停止している。
【0118】
第2フープ巻ヘッド12’から繰り出される繊維束Rは、第2受渡リング32からマンドレルM1へと巻き付けられる。従って、第2受渡リング32が、繊維束Rを巻取り後のマンドレルM2から巻取り前のマンドレルM1に受け渡す。
【0119】
フープ巻完了後、図25(a)に示すように、第2フープ巻ヘッド12’は、マンドレル移動台11の他端側(図右)へ退避する。第2フープ巻ヘッド12’は、マンドレルMから所定距離Wを置いて、マンドレル用スピンドルS上に配置される。
【0120】
図25(b)に示すように、ヘリカル巻(巻付け角度θ1)を行う際、制御部6によって、マンドレル移動台11が動作する。必要層の繊維束Rが積層されるまで、マンドレル移動台11は、ヘリカル巻ヘッド13が、相対的に、マンドレルMの一端(図左)と他端(図右)とを往復移動するように往復移動する。
【0121】
なお、第2フープ巻ヘッド12’は、マンドレルMからの所定距離Wを保つように、第1フープ巻ヘッド12は、マンドレルMの一端(図左)の位置を保つように、マンドレル移動台11と同期して移動する。
【0122】
図26(a)に示すように、巻付け角度θ2(>θ1)のヘリカル巻を行う際や、図25(b)に示すように、その後、再度巻付け角度θ1のヘリカル巻を行う際、上記と同様に、マンドレル移動台11及び第1・第2フープ巻ヘッド12,12’が動作する。
【0123】
その後、図26(b)に示すように、第1フープ巻ヘッド12が、マンドレル移動台11の一端側(図左)へ移動する。これにより、フープ巻ヘッド12から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング32,33に巻き付く。
【0124】
図27(a)に示すように、マンドレル移動台11が機台10の他端側(図右)へ移動して、ヘリカル巻ヘッド13がマンドレルM2の一端側(図左)に配置される。これにより、ヘリカル巻ヘッド13から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング32,33に巻き付く。
【0125】
図27(b)に示すように、第2フープ巻ヘッド12’が、マンドレル移動台11の一端側(図左)に移動する。これにより、第2フープ巻ヘッド12’から繰り出される繊維束Rが、各受渡リング32,33に巻き付く。
【0126】
従って、ヘッド部12,12’,13から繰り出される繊維束Rは、各受渡リング32,33に巻き付き、保持される。
【0127】
[切断動作]
図28(a)に示すように、カッター部40が、その刃先を各受渡リング32,33の間に配置する。マンドレル回転軸11a,11aによって、マンドレルMと共に各受渡リング32,33を回転する。これにより、各受渡リング32,33に巻き付けられた繊維束Rは、各受渡リング32,33の間で切断されて分離する。
【0128】
[設置・排出動作]
図28(b)に示すように、第3及び第5設置・排出ハンド部53,55が、マンドレルM2を把持・保持する。マンドレル移動台11は、両側壁部11b,11bを倒す。制御部6によって、第1及び第2設置・排出ハンド部51,52が、機台10の一端側(図左)の巻取り前のマンドレルM1を把持・保持して移動する。マンドレルM1(図左)のスピンドルSの他端(図右)が、マンドレルM2(図右)のスピンドルSの一端(図左)に当接する。
【0129】
図29(a)に示すように、各スピンドルS,Sを当接した状態で、第1,第2,第3及び第5設置・排出ハンド部51,52,53,55が、マンドレルM2(スピンドルS)及びマンドレルM1(スピンドルS)を機台10の他端側(図右)へ若干移動する。
【0130】
このとき、ヘッド部12,12’,13に設けられたチャック機構(図示略)は、第2受渡リング32を離している(第3受渡リング33は位置固定する)。従って、第2受渡リング32は、マンドレルM2と共に第3受渡リング33から離れる。
【0131】
そして、第4設置・排出ハンド部54が、各受渡リング32,33の間でマンドレルM2(図右)のスピンドルSを把持して保持する。これにより、第4及び第5設置・排出ハンド部54,55が、マンドレルM2の両側を保持する。そして、第3設置・排出ハンド部53は退避する。
【0132】
さらに、各スピンドルS,Sを当接した状態で、第1,第2,第4及び第5設置・排出ハンド部51,52,54,55が、マンドレルM2(スピンドルS)及びマンドレルM1(スピンドルS)を機台10の他端側(図右)へ移動する。
【0133】
これにより、第3受渡リング33は、マンドレルM2(図右)のスピンドルSからマンドレルM1(図左)のスピンドルSに嵌め込まれて(受け渡されて)、保持される。
【0134】
図29(b)に示すように、第4及び第5設置・排出ハンド部54,55は、巻取り後のマンドレルM2を巻取り位置から排出する。これまでの製造工程によって、さらに1本の巻取りマンドレルM2(製造物)が完成する。なお、ヘッド部12,12’,13から繰り出される繊維束Rは、第3受渡リング33に巻き付き、保持されている。
【0135】
図30(a)に示すように、制御部6によって、受渡ハンド部30は、第4受渡リング34を把持・保持して、機台10の他端側(図右)からマンドレルM1(図左)へ移動する。
【0136】
図30(b)に示すように、受渡ハンド部30は、第4受渡リング34をマンドレルM1のスピンドルSに嵌めこむ。受渡ハンド部30が退避する。図30(b)は、図16(a)に対応した状態となる。
【0137】
[受渡し動作]
その後、上述した[設置動作](図16(b))及び[巻付け動作](図17〜図19(a))を行う。ヘッド部12,12’,13から繰り出される繊維束Rは、第3受渡リング33からマンドレルM1へと巻き付けられる。従って、第3受渡リング33が、繊維束Rを巻取り後のマンドレルM2から巻取り前のマンドレルM1に受け渡す。
【0138】
そして、巻付け動作終了後、マンドレルM2に巻き付けられた繊維束Rは、第4受渡リング34に巻き付けられる(図19(b)〜図20)。その後、[切断動作]、[設置・排出動作]等(図21〜図30)を行う。そして、第4受渡リング34が、繊維束Rを巻取り後のマンドレルM2から巻取り前のマンドレルM1に受け渡す。
【0139】
[繰り返し動作]
その後、[設置動作]、[巻付け動作]、[切断動作]、[排出動作]及び[受渡し動作](図16(b)〜図30)を繰り返し行うことにより、製造ラインを自動化することができる。
【0140】
第2実施形態では、機台10の一端側(図左)及び他端側(図右)において、巻取り前のマンドレルM1の設置動作、巻取り後のマンドレルM2の排出動作を行うことができ、設置・排出動作の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】第1実施形態のフィラメントワインディング自動化システムを示す一部省略斜視図である。
【図2】図1の巻付け装置を示す拡大斜視図である。
【図3】ヘリカル巻ヘッド13を示す正面図である。
【図4】開繊ガイドを示す斜視図である。
【図5】フープ巻及びヘリカル巻を示す側面図である。
【図6】第1実施形態のフィラメントワインディング自動化システムの製造工程を示す側面図である。
【図7】図6に続く側面図である。
【図8】図7に続く側面図である。
【図9】図8に続く側面図である。
【図10】図9に続く側面図である。
【図11】図10に続く側面図である。
【図12】図11に続く側面図である。
【図13】図12に続く側面図である。
【図14】第2実施形態のフィラメントワインディング自動化システムを示す一部省略斜視図である。
【図15】図14の巻付け装置を示す拡大斜視図である。
【図16】第2実施形態のフィラメントワインディング自動化システムの製造工程を示す側面図である。
【図17】図16に続く側面図である。
【図18】図17に続く側面図である。
【図19】図18に続く側面図である。
【図20】図19に続く側面図である。
【図21】図20に続く側面図である。
【図22】図21に続く側面図である。
【図23】図22に続く側面図である。
【図24】図23に続く側面図である。
【図25】図24に続く側面図である。
【図26】図25に続く側面図である。
【図27】図26に続く側面図である。
【図28】図27に続く側面図である。
【図29】図28に続く側面図である。
【図30】図29に続く側面図である。
【符号の説明】
【0142】
1 巻付け装置
10 機台
11 マンドレル移動台
12,12’,13 ヘッド部
12 (第1)フープ巻ヘッド
12’ 第2フープ巻ヘッド
13 ヘリカル巻ヘッド
3 受渡装置
30 受渡ハンド部
30c 受渡スピンドル
31,32,33,34 第1〜第4受渡リング
4 切断装置
40 カッター部
5 設置・排出装置
51,52,53,54,55 第1〜第5設置・排出ハンド部
6 制御部
M マンドレル
M1 巻付け前のマンドレル
M2 巻付け後のマンドレル
S マンドレル用スピンドル
R 繊維束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部から繰り出される繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付け装置と、巻付け前の前記マンドレルを巻付け位置に設置する設置装置と、巻付け後の前記マンドレルを前記巻付け位置から排出する排出装置と、前記繊維束を保持して、前記巻付け後のマンドレルから前記巻付け前のマンドレルに受け渡す受渡装置と、前記繊維束を切断する切断装置とを備え、
巻付け終了後、前記受渡装置が前記ヘッド部から繰り出される繊維束を保持し、前記切断装置が前記繊維束を前記巻付け後のマンドレルから切断して分離し、前記排出装置が前記巻付け後のマンドレルを排出し、前記設置装置が前記巻付け前のマンドレルを設置し、前記巻付け装置が前記受渡装置で保持した前記繊維束を前記巻付け前のマンドレルに巻付け開始することを特徴とするフィラメントワインディング自動化システム。
【請求項2】
前記ヘッド部は、フープ巻で巻き付けるためのフープ巻ヘッドを備え、前記フープ巻ヘッドは、前記マンドレルに繊維束を繰り出すボビンと、前記ボビンを前記マンドレルの周方向に旋回する旋回機構とを備え、前記マンドレルの軸方向に相対的に往復移動することを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング自動化システム。
【請求項3】
前記ヘッド部は、ヘリカル巻で巻き付けるためのヘリカル巻ヘッドを備え、前記マンドレルの軸方向に相対的に往復移動することを特徴とする請求項1又は2に記載のフィラメントワインディング自動化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−39951(P2009−39951A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207623(P2007−207623)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】