説明

フィラーの分散度評価試験体の前処理方法、フィラーの分散度評価方法、フィラーの分散度評価装置

【課題】撮像によるフィラーの分散度評価を適切に行えるフィラー分散度の評価試験体の前処理方法、分散度評価方法、分散度評価装置を提供する。
【解決手段】未加硫ゴム又は加硫ゴムを主成分としフィラーを含有するゴム素材のフィラー分散度を測定する際に使用する評価試験体7の前処理方法として、冷却手段9によって評価用ゴム素材Sを所定温度で所定時間冷却する工程と、冷却されて硬化した前記評価用ゴム素材Sを切断手段10で切断し、得られた評価試験体7の切断面が前記フィラー分散度を評価する測定部8を形成できるようにする切断工程とを備えた前処理方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫ゴム又は加硫ゴムを主成分とする評価用ゴム素材のフィラー分散性を測定する際に用いるフィラー分散度の評価試験体の前処理方法、及びフィラー分散性の測定方法、及びフィラーの分散度評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
品質の良いゴムを得るためには、種々のフィラーを配合して均一に練り込む必要がある。ゴムの状態は、フィラーの分散度によって変化する。フィラーの分散度は、フィラーを練り込む時間やその時の発熱による温度あるいは装置の種類や構成更にポリマーの状態や添加するフィラーの状態、保管している温度や作業環境温度によって変化するので、所望の特性を持つゴムを得るためには、練り込む条件に配慮する必要がある。この混練された状態を評価するものとして、従来、フィラーを練り込んだゴム片を撮像し、所定の演算を用いてフィラーの分散度を算出する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3266878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ゴム片を撮像するには、評価用ゴム素材から切断したゴム片の切断面に、撮像のための測定部を形成する必要がある。しかし、従来は、切断時の刃物の加圧によって測定部が乱れてしまう。そのため、特許文献1によって測定部を撮像して演算した場合、良好な演算結果や評価結果が得られないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、撮像によるフィラーの分散度評価を適切に行えるフィラー分散度の評価試験体の前処理方法、フィラーの分散度評価方法、フィラーの分散度評価装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、第1発明のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法は、未加硫ゴム又は加硫ゴムを主成分としフィラーを含有するゴム素材のフィラー分散度を測定する際に使用する評価試験体の前処理方法であって、冷却手段によって評価用ゴム素材を所定温度で所定時間冷却する工程と、冷却されて硬化した前記評価用ゴム素材を切断手段で切断し、得られた評価試験体の切断面が前記フィラー分散度を評価する測定部を形成できるようにする切断工程とを備えたことを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、評価用ゴム素材を硬化させたのちに切断手段で評価用ゴム素材を切断し評価試験体を得ることができる。その結果、評価試験体の切断面に乱れが発生する事態を防止できて、撮像によるフィラーの分散度評価を適切に行うことができる。
【0008】
第2発明のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法は、第1発明において、前記所定温度は前記評価試験体のガラス転移点以下の温度であって、前記所定時間は15秒以上であることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、評価試験体を試験体の切断に適する硬さに形成し、試験体の切断面に乱れを生じない程度の剛性を持たせることができる。
【0010】
第3発明のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法は、第1発明または第2発明において、前記切断手段は片刃を有する刃物であることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、切断手段の刃には平坦部分が存在し、この平坦部分で評価試験体を切断することができて、撮像による評価に適した測定部を形成できる。
【0012】
第4発明のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法は、第1発明から第3発明のいずれか一つにおいて、前記フィラーは、カーボンブラックであることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、カーボンブラックをフィラーとして含有する評価試験体について、フィラーの分散度の評価試験体の前処理方法を行う際に、第1発明から第3発明までと同じ効果を発現させることができる。
【0014】
第5発明のフィラーの分散度評価方法は、第1発明乃至第4発明の何れか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって得た評価用画像と、前記評価試験体と同じフィラーが配合された基準試験体の測定部の撮像によって得た基準画像との視覚により対比し、前記評価用画像及び前記基準画像の類似性を視覚によって評価する画像評価工程とを備えたことを特徴とする。
【0015】
第5発明によれば、視覚評価を用いて微細な相違を的確に判定することが可能になり、高い精度でフィラーの分散度評価を行うことができる。
【0016】
第6発明のフィラーの分散度評価方法は、第1発明から第4発明のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る第1フィラー分散性指標取得工程と、前記第1フィラー分散性指標を用いて分散性を評価するフィラー分散性指標評価工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
第6発明によれば、第1フィラー分散性指標を、評価用画像におけるフィラーの大きさとフィラー同士の距離とについて所定の演算を行った結果に基づいて得ることにより、フィラーの分散の状態に伴って変動しうる評価試験体の特徴を評価用画像から定量的に把握可能となる。そして、評価用画像の評価結果を定数化することができる。また、フィラーの分散状態の管理幅を定めることが可能となり、利便性が向上する。ゆえに、画像の評価結果を定数化ができ、フィラーの分散状態の管理幅を定めることが可能となり、利便性が向上する。
【0018】
第7発明のフィラーの分散度評価方法は、第1発明から第4発明のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る第1フィラー分散性指標取得工程と、前記評価試験体に対して動的粘弾性試験を行い、前記動的粘弾性試験の結果に基づいて第2フィラー分散性指標を得る第2フィラー分散性指標取得工程と、前記第1フィラー分散性指標と前記第2フィラー分散性指標とを用いて分散性を評価するフィラー分散性指標評価工程とを備えたことを特徴とする。
【0019】
第7発明によれば、第1フィラー分散性指標を、評価用画像におけるフィラーの大きさとフィラー同士の距離とについて所定の演算を行った結果に基づいて得ることにより、フィラーの分散の状態に伴って変動しうる評価試験体の特徴を評価用画像から定量的に把握可能となる。そして、評価用画像の評価結果を定数化することができる。また、フィラーの分散状態の管理幅を定めることが可能となり、利便性が向上する。また、第2フィラー分散性指標を動的粘弾性試験に基づいて、評価試験体に所定の周波数でひずみを加えたときの、抵抗力の大きさと応答時間のずれによって評価試験体の弾性と粘性を得ることにより定量的に算出できる。すなわち、評価試験体に所定の周波数で加えるひずみを大きくしていくと、評価試験体の弾性が低下していく。その弾性の低下の度合いが、フィラーの分散の状態に依存したものとなる。従って、フィラーの分散を定量的に把握することが可能になる。従って、フィラーの分散性を更に高精度に定量評価することができる。ゆえに、画像による評価結果と物理現象としての評価結果を相互に用いて詳細な視点で分散性を確認することができるようになるため、客観性と信頼性の高い指標を複数用いた精度の高い評価を行うことができる。
【0020】
第8発明のフィラーの分散度評価方法は、第5発明から第7発明の何れか一つにおいて、前記評価用画像は、撮像した画像を2値化したものであることを特徴とする。
【0021】
第8発明によれば、画像から検出対象であるフィラーを抽出することが容易になり、また、評価処理を高速に実行できる。
【0022】
第9発明のフィラーの分散度評価装置は、第1発明乃至第4発明の何れか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得た評価用画像と、前記評価試験体と同じフィラーが配合された基準試験体の測定部の撮像によって得た基準画像とを視覚により対比して判断できるように表示させる表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
第9発明によれば、表示手段に評価試験体の評価用画像と基準画像とを比較可能に表示できる。そして、視覚評価を用いて微細な相違を的確に判定することが可能になり、高い精度でフィラーの分散度評価を行うことができる。
【0024】
第10発明のフィラーの分散度評価装置は、第1発明乃至第4発明の何れか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る演算手段と、前記第1フィラー分散性指標を用いて分散性を評価する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
第10発明によれば、第6発明と同じ効果を発現する。
【0026】
第11発明のフィラーの分散度評価装置は、第1発明乃至第4発明の何れか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る演算手段と、前記評価試験体に対して動的粘弾性試験を行い、前記動的粘弾性試験の結果に基づいてフィラー分散性指標を測定して第2フィラー分散性指標を取得し、前記第1フィラー分散性指標と前記第2フィラー分散性指標とを用いて分散性を評価する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
第11発明によれば、第7発明と同じ効果を発現する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のフィラーの分散度評価装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明のフィラーの分散度評価の工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の評価試験体の前処理方法の手順(評価試験体を準備する手順)を示す説明図であって、(a)は、冷却スプレーによって評価用ゴム素材を冷却している状態の説明図、(b)は、冷却されて硬化した評価用ゴム素材から評価試験体を切断手段で切断している状態の説明図、(c)は、切断工程で得られた評価試験体のフィラー分散度を測定する測定部の説明図である。
【図4】本発明の評価試験体の前処理方法において用いられる切断手段の説明図であって、(a)は全体構成図、(b)は、カッター部分のA−A断面の部分拡大図である。
【図5】本発明の実施形態における、表示手段に基準画像と評価用画像とを表示した状態の説明図である。
【図6】本発明の実施形態における、評価用画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から図6により本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
<1>フィラーの分散度評価装置の構成
図1は、本発明の実施の形態のフィラーの分散度評価装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す通り、フィラーの分散度評価装置(以下、分散度評価装置という)1は、撮像手段2、表示手段3、コンピュータ4を備えている。コンピュータは、演算手段5、評価手段6を備えている。
【0031】
撮像手段2は、CCDカメラ、CMOSカメラ等の撮像装置を備え、評価試験体7の測定部8を撮像して、後述する評価用画像を取得する。なお、評価試験体7の詳細、及び測定部8の形成方法については後述する。
【0032】
表示手段3は、LCD等のモニタ用ディスプレイである。表示手段3は、撮像手段2によって得た評価用画像と、評価試験体と同じフィラーが配合された基準評価用ゴム素材から本発明の評価用試験体の前処理方法と同一の方法により得られた基準試験体の測定部を撮像して得られた基準画像とを視覚により対比して判断できるように表示させる。なお、基準試験体については<3>で後述する。
【0033】
コンピュータ4は、パーソナルコンピュータ等であり、少なくとも1つのCPUとメモリーを備えている。このコンピュータは、数値の演算や画像データの処理を行い、そのメモリーには前記の基準画像が保存されている。基準画像については<4>の<S5>で詳細説明する。
【0034】
演算手段5は、コンピュータ4においてプログラム等に基づいて実現される。演算手段5は、撮像手段2によって得た評価用画像における、フィラーの大きさとフィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数を得る。この所定の演算と、評価用定数については後述する。
【0035】
評価手段6は、コンピュータ4においてプログラム等に基づいて実現される。評価手段6は、評価試験体7に対して動的粘弾性試験を行い、動的粘弾性試験の結果に基づいてフィラー分散性指標を測定し、演算手段5で得られた評価用定数と動的粘弾性試験で得られたフィラー分散性指標を用いて分散性を評価する。この動的粘弾性試験とフィラー分散性指標については後述する。
【0036】
図2は、本発明のフィラーの分散度評価の工程を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ、本発明のフィラーの分散度評価方法を説明する。
【0037】
<2>フィラー分散度評価試験体の前処理(ステップS1)
まず、本実施形態のフィラーの分散度評価を行う評価者は、評価試験体に対する前処理(準備)を行う。図2におけるステップS1に相当する。
【0038】
この本実施形態において分散度評価が行われる評価試験体は、未加硫ゴム又は加硫ゴムを主成分とし、更にフィラーを含有する。この主成分たる原料ゴムは、天然ゴムであってもよいし、NBR,EPDM、FKM,VMQ等の合成ゴムであってもよい。加硫ゴムにおける加硫剤は、硫黄、有機過酸化物、白金化合物等が用いられる。
【0039】
評価試験体には各種フィラーが充填されている。本実施形態においては、補強性のフィラーとしてカーボンブラックが用いられている、但しフィラーはカーボンブラックに限らず、どのようなものでもよい。例えば補強性のフィラーとしては、ケイ酸、ケイ酸塩類あるいは炭酸塩類などのホワイトカーボンやハイスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機系充填剤が用いられていてもよい。また、評価試験体には、硫化物、フィラー以外のどのような材質が混入されていてもよい。
【0040】
図3の(a)〜(c)は、本実施形態における評価試験体7を前処理(準備)する手順を示す説明図である。図3の(c)に図示する評価試験体7は、縦(H)約5mm、横(W)約30mm、厚さ(D)約2mmの板状である。
【0041】
本実施形態のフィラーの分散度評価の前処理工程においては、評価試験体7の測定部を形成すると共に、良好な測定部を形成するために必要な処理を行う。
【0042】
具体的には、評価者は、図3の(a)に示す通り、冷却スプレー(冷却手段)9によって評価用ゴム素材Sを所定温度で所定時間冷却する。これは、後工程で評価用ゴム素材Sを切断し得られた評価試験体の切断面(測定部)に乱れを生じさせないために行われるものである。なお、冷却手段は、評価用ゴム素材Sを的確に冷却できるものであれば、スプレー式以外の、例えば液体窒素にゴムを浸漬させて完全冷却することであっても構わない。
【0043】
即ち、評価用ゴム素材Sは基本的に弾性を有するため、ナイフ等で切断した場合、一般に、切断のために加えられた物理的な力で切断面に乱れが生じる。切断面に乱れが生じると、評価試験体7の切断面(測定部)を見てフィラーの分散状態を確認することが困難になる。本実施形態では、このような弊害を防ぐために冷却を行って評価試験体7に剛性を付与した後に切断するものである。
【0044】
冷却スプレー9のスプレー媒質には、冷媒として多く用いられる代替フロンガスを用いる。スプレーを吹き付けることによって、評価用ゴム素材Sをガラス転移点以下の温度とする。評価用ゴム素材Sの切断部分の温度がガラス転移点以下になれば、剛性が高くなり、カッター等で切断しても切断面に乱れが生ずることを防止できるからである。
【0045】
本実施形態では、評価用ゴム素材Sを構成するゴム原料のガラス転移点は約マイナス50度である。そのため、冷却スプレー9は、スプレーを吹き付けて評価用ゴム素材Sの温度がマイナス50度以下になるものを用いる。すなわち、ガラス転移温度以下であればゴムが結晶化するため、評価用ゴム素材Sの切断時に好都合となる。一方、評価用ゴム素材Sがガラス転移点に近い温度に設定できなければ、ゴムの柔軟性により、断面がゆがんでしまうことがあり、撮像に支障をきたす。
【0046】
冷却スプレー9の使用方法としては、評価用ゴム素材Sに対して、スプレーのノズル先端より5cm離した状態で吹きかけて冷却する。時間は、評価用ゴム素材Sの切断部分をガラス転移点以下にするために必要な時間である。本実施形態では、かかる目的を達成するのに必要な時間として、15秒以上を設定する。但し、この時間は、30秒以下とすることが望ましい。30秒を越えて冷却を行っても評価用ゴム素材Sの切断部分の温度は殆ど変わらず、非効率的である。
【0047】
次に、評価者は、図3の(b)に示す通り、冷却されて硬化した評価用ゴム素材Sを、切断手段10で切断する。これにより、図3の(c)に示す通り、評価試験体7を得ることができるとともに、その切断面に測定部8を形成する。
【0048】
図3の(b)に示す通り、切断手段10は、カッター10a、材料載置台10b、テーブル10cからなる。図4の(a)に示す通り、カッター10aの一端が材料載置台10bに旋回可能に固定されている。切断手段10のカッター10aは、一端が片刃(平坦部分11)を有する刃物である。例えば片刃のカッターを使用することができる。
【0049】
そして、図3の(b)に示す通り、材料載置台10bと同じ高さのテーブル10cを材料載置台10bとカッター10aに隣接して配置する。この状態で、テーブル10cから材料載置台10bにかけて評価用ゴム素材Sを載置し、図示しない固定手段で固定し、カッター10aで評価用ゴム素材Sを切断する。これにより、評価試験体7が得られる。評価試験体7のカッター10aの平坦部分11で切断された側は平坦面が形成される。図3の(c)に示す通り、この評価試験体7の平坦な切断面を測定部8とすれば、撮像によるフィラー分散度評価に適した測定部8を形成できる。この評価試験体7の測定部8を後述する分散度評価に使用する。
【0050】
なお、切断手段10は、平坦な測定部8が形成できるものであれば、刃の大きさ、形状等はどのようなものであってもよく、また、カッター以外であってもよい。更に、評価試験体7を切断して測定部8を形成することができるのであれば、切断手段10の刃が両刃であってもよい。
【0051】
また切断手段10は、図4に示すようにカッター10aの一端が固定され旋回下降して評価用ゴム素材Sを切断する形態であるが、カッターをガイド機構などによりガイドし、ハンドルなどを回転させてねじを昇降させカッターを下降させて切断する構成とすることもできる。
【0052】
<3>基準試験体
基準試験体とは、弾性や剛性等の物理的特性が理想的になるように形成された基準評価用ゴム素材である。本実施形態の基準試験体は、評価試験体7と同じ原料ゴムを主成分とし同じフィラーが混入されている。基準試験体は、評価試験体7と同様に、評価用ゴム素材を切断手段10等で切断して形成し、切断面は、評価試験体7の測定部8と同様の測定部(図示せず)を形成する。本発明のフィラー分散度評価方法において、評価試験体7と比較する基準となる基準試験体として使用する。
【0053】
以下本発明のフィラーの分散度評価方法1〜4について説明する。
【0054】
<4>フィラーの分散度評価方法1
引き続き図2を使用して説明する。ステップS1にて評価試験体7の前処理(準備)の後、ステップS2にて評価者が視覚による評価を行うか、定量評価をするか判断する。分散度評価方法1では、評価者は視覚により評価試験体7の分散度評価を行う。以下、以下ステップS3からステップS6までの工程を行う。
【0055】
<S3>撮像工程
撮像工程において、評価者は、評価試験体7の測定部8を撮像手段2で撮像し、測定部撮像データを得る。測定部撮像データは、評価用画像12の生成に用いられる。
【0056】
<S4>2値化工程
次に、2値化工程において、演算手段5は、測定部撮像データの画素ごとの色の濃淡を、特定の濃淡値を閾値として2値化し、白と黒との2階調に変換する。測定部撮像データが2値化されて得られた評価用画像12は、以後の処理に使用される。なお2値化の閾値は、評価が適切に行われるような値であればよく、適切な値に予め設定される。
【0057】
<S5>画像表示工程
次に、画像表示工程において、評価者は、撮像された評価試験体7の評価用画像12と、コンピュータ4に保存された基準試験体の基準画像13とを表示手段3に並べて表示させる。
【0058】
ここで、基準画像13について説明する。
【0059】
例えば、原料ゴムにフィラーを混入した後に混練する時間が短ければ、それぞれのフィラーの塊の大きさは大きくなり、また、フィラーの塊ごとの間隔も不均等になる傾向がある。一方、原料ゴムにフィラーを混入した後に混練する時間が長いほど、フィラーの塊の大きさは小さくなり、また、フィラーの塊ごとの間隔も均等になる。そして、フィラーの塊の大きさ、及びフィラーの塊同士の間隔の均等さの度合いと、ゴムの特性とは、略一致する関係となる。
【0060】
そのため、本実施形態においては、基準画像13として、所望の特性のゴムにおける原料ゴムの中のフィラーの塊の配置状態を示す代表的な表面状態を有する基準試験体を撮像する。撮像は、前述した、基準試験体の測定部(図示せず)に対して行う。そして、この撮像したデータの濃淡値を特定の濃淡値を基準に2値化し、白と黒との2階調に変換して、基準画像13を形成する。基準画像13は予めコンピュータ4に保存された状態となっており、この画像表示工程において表示手段3に表示される。
【0061】
図5は、画像表示工程において、表示手段3に基準画像13と評価用画像12とが表示手段3に並べて表示された状態の説明図である。図5の基準画像13と評価用画像12とにおいて、斜線部分が黒色に示されたゴム原料30であり、無地部分が白色に示されたフィラー31である。
【0062】
<S6>画像評価工程
そして、評価者は、この基準画像13と評価用画像12とを視覚的に対比して、両者の類似性を視覚によって評価する。
【0063】
具体的には、評価用画像12に写ったそれぞれのフィラーの大きさや、それらが画面上に均等に存在するか否か等を、基準画像13との類似性を対比で評価する。評価試験体7の測定部8が、<2>のとおり前処理(準備)されているので測定部8には乱れがなく、上記のとおり評価試験体7の評価用画像12と基準画像13を対比して、評価用ゴム素材Sのフィラー分散度を視覚により評価することができる。
【0064】
<5>フィラーの分散度評価方法2
引き続き図2を使用して説明する。ステップS1にて評価試験体7の前処理(準備)の後、ステップS2にて評価者が視覚による評価を行うか、定量評価をするか判断する。分散度評価方法2では、評価者は分散性指標により評価試験体7のフィラー分散度を定量評価する。具体的には、以下ステップS7からステップS13までの工程を行う。
【0065】
<S7>撮像工程
ステップS3と同様であり、評価試験体7の測定部8を撮像手段2で撮像し、測定部撮像データを得る。
【0066】
<S8>2値化工程
演算手段5は、ステップS4と同様の処理を行い、測定部撮像データが2値化されて得られた評価用画像12を得る。
【0067】
<S9>第1フィラー分散性指標取得工程
次に、第1フィラー分散性指標取得工程において、演算手段5は、評価用画像12における、フィラーの大きさとフィラー同士の距離とについて所定の演算を行う。そして、この演算により、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る工程を行う。
【0068】
前述したとおり、フィラーの塊の大きさ、及びフィラーの塊同士の間隔、の均等の度合いと、ゴムの特性とは、略一致する関係となる。そこで、演算手段5は、評価用画像12から、フィラーの塊の大きさ、及びフィラーの塊同士の間隔、の均等の度合いに関する数値を抽出し、この数値から第1フィラー分散性指標を演算する。
【0069】
図6(a)は、評価用画像12の説明図である。同図の評価用画像12において、斜線部分が黒色に示されたゴム原料30であり、無地部分が白色に示されたフィラー31である。図6(b)は、説明の便宜上、評価用画像12から黒色を示す斜線を除去した説明図である。以下、これらの説明図に基づいて、第1フィラー分散性指標の求め方の一例を説明する。
【0070】
例えば、図6(b)に示す評価用画像12において、フィラー31の塊のうち、最大の直径を有するものの直径をφ(A)とする。ここでは、例えば直径φ(A)=10μmとしている。また、各フィラー31の塊同士のうちで、最も距離が離れているフィラー同士の距離を(B)とする。ここでは、例えば距離(B)=100μmとしている。また、各フィラー31の塊同士のうちで、最も距離が接近しているフィラー同士の距離を(C)とする。ここでは、例えば距離(C)=5μmとしている。
【0071】
そして、演算手段5は、評価定数として、以下式(D)に定義する第1フィラー分散性指標を演算する。
(第1フィラー分散性指標)=[(最大のフィラー直径:A)×{(フィラー同士の最大距離:B)−(フィラー同士の最小距離:C)}]・・・(D)
【0072】
式(D)に上記の(A)、(B)および(C)の数値を代入し演算すると、(第1フィラー分散性指標)=[(10)×{(100)−(5)}]=950となる。なお、これは第1フィラー分散性指標の求め方の一例であり、他の求め方で第1フィラー分散性指標を求めてもよい。
【0073】
評価用画像12におけるフィラー31の大きさとフィラー31同士の距離とについて所定の演算を行った結果に基づいて得ることにより、フィラーの分散の状態に伴って変動しうる評価試験体の特徴を評価用画像から定量的に把握可能となる。そして、評価用画像の評価結果を定数化することができる。また、フィラーの分散状態の管理幅を定めることが可能となり、利便性が向上する。
【0074】
この第1フィラー分散性指標は、評価手段6において、後述する第2フィラー分散性指標と共に、後述する最終分散性指標を得るために用いられる。
【0075】
<S10>第2フィラー分散性指標取得工程
次に、評価手段6は、評価試験体7に対して別置の測定装置により動的粘弾性試験を行い、この動的粘弾性試験の結果に基づいて第2フィラー分散性指標を得る。
【0076】
以下、第2フィラー分散性指標の演算方法の一例を挙げる。具体的には、評価手段6は以下の手順を行う。
【0077】
例えば、評価試験体7の素材のゴム主原料をチレン・α−オレフィン系重合体ゴムを用いており、含有するフィラーがカーボンブラックである場合を考える。このとき、評価手段6は、下記式(E)に基づいて、評価試験体7の第2フィラー分散性指標を算出する。

N=(E(b)/E(a))×100・・・(E)

ここで、N,E(a),E(b)はそれぞれ以下の通りである。
N :第2フィラー分散性指標
(a):エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、カーボンブラックとを含有する評価用ゴム素材から成形した、厚さが均一な評価試験体7の、周波数10Hz、温度25℃、歪み0.03%における動的弾性率
(b):上記評価試験体7の、周波数10Hz、温度25℃、歪み1%での動的弾性率
【0078】
なお、E(a)、及びE(b)のを算出する際の周波数、温度、歪みの値は、評価試験体7を形成するゴム原料の種類によって適宜変更させる。E(a)、及びE(b)の値は、評価試験体7の第2フィラー分散性指標の算出時に動的粘弾性試験を行って求めてもよい。あるいは、予め求めておいてコンピュータ4に保存した、評価試験体7の第2フィラー分散性指標の値を用いてもよい。
【0079】
一方、評価手段6は、上記式(E)に基づいて求められた第2フィラー分散性指標Nが、下記式(F0)を満たしているか否かを確認する。なお、評価手段6は、第2のフィラー分散性指数Nが下記式(F1)を満たして居るか否かを確認すればより好ましい。更に、評価手段6は、第2フィラー分散性指数Nが下記式(F2)を満たして居るか否かを確認すれば一層好ましい。

0.85×(100−0.39X)<N・・・(F0)
0.85×(100−0.39X)<N≦100−0.39X・・・(F1)
0.90×(100−0.39X)<N≦100−0.39X・・・(F2)

ここで、N、Xは以下のとおりである。
N:第2フィラー分散性指標
X:エチレン・α−オレフィン系重合体ゴム100質量部に対するカーボンブラックの含有量(質量部)
【0080】
なお、式(F0),(F1),(F2)におけるそれぞれの数値は、評価試験体7を形成するゴム原料の種類によって適宜変更させる。また、Xの値は、評価試験体7の第2フィラー分散性指標の算出時に求めてもよい。あるいは、予め求めておいてコンピュータ4に保存した、Xの値を用いてもよい。
【0081】
第2フィラー分散性指標を得る際に動的粘弾性試験を用いると、評価試験体7に所定の周波数でひずみを加えたときの、抵抗力の大きさと応答時間のずれによって評価試験体7の弾性と粘性を定量的に算出できる。すなわち、評価試験体7に所定の周波数で加えるひずみを大きくしていくと、評価試験体7の弾性が低下していく。その弾性の低下の度合いが、フィラーの分散の状態に依存したものとなる。従って、フィラーの分散を定量的に把握することが可能になる。そして、フィラーの分散性を更に高精度に定量評価できる。
【0082】
この第2フィラー分散性指標は、評価手段6において、後述する最終分散性指標を得るために用いられる。
【0083】
<S11>最終分散性指標取得工程
そして、最終分散性指標取得工程において、評価手段6は、ステップS9で得られた第1フィラー分散性指標と、ステップS10で得られた第2フィラー分散性指標を用いて最終分散性指標を取得する。
【0084】
以下に最終分散性指標を取得方法の一例を示す。例えば、評価手段6は、ステップS9で得られた第1フィラー分散性指標と、ステップS10で得られた第2フィラー分散性指標と比を算出し、最終分散性指標とする。なお、最終分散性指標を得るための第1フィラー分散性指標と、ステップS10で得られた第2フィラー分散性指標との演算は、除算以外のいかなる演算であってもよい。
【0085】
<S12>フィラー分散性指標評価工程
そして、評価手段6は、フィラー分散性指標評価工程において、以下の判定方法1、判定方法2のいずれかに基づいて、最終分散性指標の評価を行う。
(判定方法1)ステップS11で得られた最終分散性指標と、予め定められた基準値とを比較する。最終分散性指標が基準値よりも大きい(又は小さい)場合、結果が良好と評価する。
(判定方法2)ステップS11で得られた最終分散性指標と、予め定められた基準値と比較し、最終分散性指標が基準値に対してどの程度離れているかを確認する。最終分散性指標と基準値との差が所定範囲内である場合、結果が良好と評価する。
【0086】
評価手段6は、第1フィラー分散性指数と第2フィラー分散性指標とを用いて得た最終分散性指標によって、分散性を定量的に評価することができる。よって、評価手段6は客観性と信頼性の高い指標を複数用いた精度の高い評価を行うことができる。
【0087】
<S13>結果表示工程
次に、画像表示工程において、評価手段6は、ステップS12における評価の結果を表示手段3に表示させる。単に最終分散性指標とその評価結果(判定結果)を表示させても良いし、また同時に図5のように評価試験体の評価用画像12と基準画像13を並べて表示させても良い。
【0088】
フィラー分散性評価方法2では、評価試験体を硬化させたのちに切断手段10により評価用ゴム素材Sから切断した評価試験体7を使用しており、評価試験体の測定部に乱れが無いため、その評価用画像は原料ゴムとフィラーが明確に識別できる状態である。また分散性評価工程において、第1フィラー分散性指標と第2フィラー分散性指標とを用い最終分散性指標を算出しているので、客観性と信頼性の高い分散性評価を行うことができる。
【0089】
<6>フィラーの分散度評価方法3
<5>のフィラーの分散度評価方法2では、ステップS9で得られた第1分散性指標とステップS10で得られた第2フィラー分散性指標によりステップS11で最終分散性指標を算出しステップS12で分散性指標評価を行うものとした。しかし、これに限らず、第1の分散性指標のみで評価する構成とすることができる。
【0090】
この場合、図2のようにステップS10及びステップS11の工程は行わない。ステップS9が終了した後、ステップS12の工程およびステップS13の工程を行う。またこの場合、評価手段6では第1フィラー分散性指標について判定方法3又は判定方法4によりフィラー分散性の評価を行う。
(判定方法3)ステップS9で得られた第1フィラー分散性指標と、予め定められた基準値とを比較する。第1フィラー分散性指標が基準値よりも大きい(又は小さい)場合、結果が良好と評価する。
(判定方法4)ステップS9で得られた第1フィラー分散性指標と、予め定められた基準値と比較し、第1フィラー分散性指標が基準値に対してどの程度離れているかを確認する。第1フィラー分散性指標と基準値との差が所定範囲内である場合、結果が良好と評価する。
【0091】
<7>フィラーの分散度評価方法4
フィラーの分散度評価方法1〜3は、ステップS3からステップS6までの工程と、ステップS7からステップS13までの工程とを選択的に行うものとした。しかし、これに限らず、ステップS3からステップS6までを行い、その後ステップS7からステップS13までを一連の工程とすることもできる。これにより、評価者は視覚評価の結果とフィラー分散性指標に基づく評価の結果とを同時に得ることができる。そして、評価者は、視覚評価の結果と、画像による評価結果と、物理現象としての評価結果と相互に用いて詳細な視点で分散性を確認することができるようになる。これにより、多様な評価結果に基づいて、一層高精度のフィラー分散性の評価を行うことができる。
【0092】
なお、本実施形態は本発明の例示であり、本発明が本実施形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0093】
1・・・分散度評価装置(フィラーの分散度評価装置)
2・・・撮像手段
3・・・表示手段
4・・・コンピュータ
5・・・演算手段
6・・・評価手段
7・・・評価試験体
8・・・測定部
9・・・冷却スプレー(冷却手段)
10・・・切断手段
12・・・評価用画像
13・・・基準画像
30・・・ゴム原料
31・・・フィラー
S・・・評価用ゴム素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム又は加硫ゴムを主成分としフィラーを含有するゴム素材のフィラー分散度を測定する際に使用する評価試験体の前処理方法であって、
冷却手段によって評価用ゴム素材を所定温度で所定時間冷却する工程と、
冷却されて硬化した前記評価用ゴム素材を切断手段で切断し、得られた評価試験体の切断面が前記フィラー分散度を評価する測定部を形成できるようにする切断工程と
を備えたことを特徴とするフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法。
【請求項2】
前記所定温度は前記評価試験体のガラス転移点以下の温度であって、前記所定時間は15秒以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法。
【請求項3】
前記切断手段は片刃を有する刃物であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法。
【請求項4】
前記フィラーは、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって得た評価用画像と、前記評価試験体と同じフィラーが配合された基準試験体の測定部の撮像によって得た基準画像との視覚により対比し、前記評価用画像及び前記基準画像の類似性を視覚によって評価する画像評価工程と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る第1フィラー分散性指標取得工程と、
前記第1フィラー分散性指標を用いて分散性を評価するフィラー分散性指標評価工程と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価方法であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像手段で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る第1フィラー分散性指標取得工程と、
前記評価試験体に対して動的粘弾性試験を行い、前記動的粘弾性試験の結果に基づいて第2フィラー分散性指標を得る第2フィラー分散性指標取得工程と、
前記第1フィラー分散性指標と前記第2フィラー分散性指標とを用いて分散性を評価するフィラー分散性指標評価工程と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価方法。
【請求項8】
前記評価用画像は、撮像した画像を2値化したものであることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一つに記載のフィラーの分散度評価方法。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって得た評価用画像と、前記評価試験体と同じフィラーが配合された基準試験体の測定部の撮像によって得た基準画像とを視覚により対比して判断できるように表示させる表示手段と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価装置。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る演算手段と、
前記第1フィラー分散性指標を用いて分散性を評価する評価手段と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価装置。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のフィラーの分散度の評価試験体の前処理方法により得られた前記評価試験体に対するフィラーの分散度評価装置であって、
前記評価試験体の前記測定部を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって得た評価用画像における、前記フィラーの大きさと前記フィラー同士の距離とについて所定の演算を行い、評価用定数としての第1フィラー分散性指標を得る演算手段と、
前記評価試験体に対して動的粘弾性試験を行い、前記動的粘弾性試験の結果に基づいてフィラー分散性指標を測定して第2フィラー分散性指標を取得し、前記第1フィラー分散性指標と前記第2フィラー分散性指標とを用いて分散性を評価する評価手段と
を備えたことを特徴とする、フィラーの分散度評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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