説明

フィラー固着糸及び織編物

【課題】繊維表面にフィラーを効率よく固着し、その脱落を防止するとともに、フィラーの比表面積の減少を抑制してフィラーの機能を十分に発揮することができる、フィラー固着糸及び織編物を提供する。
【解決手段】湿熱ゲル化樹脂を含む糸、又は湿熱ゲル化樹脂を含む糸を含有する織編物に、フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液を付与した後、湿熱処理することにより、前記フィラーが前記湿熱ゲル化樹脂のゲル化したゲル化物によって繊維表面に有効に固着されたフィラー固着糸及び織編物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラーを繊維表面に固着したフィラー固着繊維を含有する糸及び織編物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、糸及び織編物に様々な機能を有する機能性フィラーを固着させた製品が提案されている。例えば、特許文献1では、吸水性ポリマーを内包した多孔質無機粉末粒子、及びウレタン系,シリコーン系,アクリル系等のバインダー樹脂を含有する処理液中に繊維製品を浸漬して、次いで乾燥することにより、多孔質無機粉末粒子を繊維に把持させた繊維製品を得ることが提案されている。特許文献2では、シート状支持体に蓄熱材を内包するマイクロカプセルを塗工又は含浸した後、短冊状に裁断しそれらを撚り合わせた糸を用いた、蓄熱性を有する織物が提案されている。特許文献3では、熱可塑性繊維の繊維表面を構成する樹脂の融点より低い温度の繊維表面に、該樹脂の融点以上に加熱した撥水性粒子を接触させることにより、繊維表面に撥水性粒子を固着させた撥水性粒子担持繊維シートが提案されている。
【特許文献1】特開2002−235278号公報
【特許文献2】特開2003−268679号公報
【特許文献3】特開2003−268675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1及び特許文献2の方法では、機能性フィラーとバインダー樹脂を混合した溶液に織編物を含浸させるため、フィラーがバインダー樹脂の内部に埋没してしまい、フィラーの機能性を十分に発揮されないという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するため、特許文献3の方法では、熱可塑性繊維表面にその融点よりも高い温度に加熱した機能性フィラーを接触させることにより繊維表面にフィラーを固着しようと試みている。しかし、この方法では、フィラーが繊維表面に十分に固着することができず、フィラーが脱落しやすいという問題があった。さらに、フィラーを熱可塑性樹脂の融点以上まで加熱する必要があるので、フィラーが変質する恐れがあり、フィラーの機能が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、繊維表面にフィラーを効率よく固着し、その脱落を防止するとともに、フィラーの比表面積の減少を抑制してフィラーの機能を十分に発揮することができる、フィラー固着糸及び織編物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィラー固着糸は、水分存在下で加熱することによってゲル化する湿熱ゲル化樹脂を含む湿熱ゲル化繊維と、フィラーを含む糸であって、前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって繊維表面に固着されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の織編物は、水分存在下で加熱することによってゲル化する湿熱ゲル化樹脂を含む湿熱ゲル化繊維と、フィラーを含む糸を含有する織編物であって、前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって繊維表面に固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィラー固着糸及び織編物によれば、フィラーは糸を構成する湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化したゲル化物によって固着されるため、フィラーを繊維表面に露出した状態で強固に固着することができる。これにより、繊維表面に固着されたフィラーの脱落を防止することができる。また、フィラーがバインダー樹脂内に埋没することがないので、機能性フィラーの比表面積の減少が少なく、フィラーの機能を十分に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のフィラー固着糸は、繊維と、その表面の湿熱ゲル化樹脂と、フィラーとを含み、フィラーがゲル化物によって固着されてなるフィラー固着繊維を含有する糸である。本発明でいう糸とは、例えば、紡績糸,マルチフィラメント糸,スプリットヤーンなど繊維束状のもので、一般に「糸」と称されるもののすべてを含む概念である。また、本発明の織編物は、前記フィラー固着糸を含み、織機または編機を用いて織成または編成されたものをいう。
【0010】
本発明のフィラー固着糸において、湿熱ゲル化樹脂とは、水分存在下で、加熱することによってゲル化し得る樹脂のことをいう。ゲル化し得る樹脂とは、50℃以上の温度でゲル化膨潤しゲル化物となってフィラー及び/又は織編物を構成する繊維を固定可能な樹脂のことを示す。本発明でいうゲル化物とは、湿熱ゲル化樹脂が湿熱によってゲル化したのち固化した樹脂(固化物)のことを示し、本発明のフィラー固着糸は、ゲル化物によって、フィラーが固着されている。また、織編物においては、フィラー固着繊維同士及び/又は他の繊維とも接着している。
【0011】
前記湿熱ゲル化樹脂の好ましいゲル化温度は、60℃以上である。より好ましいゲル化温度は、80℃以上である。60℃未満でゲル化し得る樹脂を用いると、ゲル加工の際、ロール等への粘着が激しくなって繊維構造物の生産が難しくなるか、夏場や高温環境下での使用ができなくなる場合がある。なお、「ゲル加工」とは、湿熱ゲル化樹脂をゲル化させる加工のことをいう。
【0012】
前記湿熱ゲル化樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂であることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、湿熱によってゲル化でき、他の繊維及び/又は他の熱可塑性合成繊維成分を変質させないからである。
【0013】
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂とは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を鹸化することによって得られる樹脂であり、その鹸化度は95%以上が好ましい。より好ましい鹸化度は、98%以上である。また、好ましいエチレン含有率は、20モル%以上である。好ましいエチレン含有率は、50モル%以下である。より好ましいエチレン含有率は、25モル%以上である。より好ましいエチレン含有率は、45モル%以下である。鹸化度が95%未満ではゲル加工の際、ロール等への粘着によりフィラー固着糸又は織編物の生産が難しくなる場合がある。また、エチレン含有率が20モル%未満の場合も同様に、ゲル加工の際、ロール等への粘着によりフィラー固着糸又は織編物の生産が難しくなる場合がある。一方、エチレン含有率が50モル%を超えると、湿熱ゲル化温度が高くなり、加工温度を融点近傍まで上げざるを得なくなり、その結果、織編物の寸法安定性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0014】
本発明のフィラー固着糸は、湿熱ゲル化樹脂を含む湿熱ゲル化繊維を含有する。湿熱ゲル化繊維としては、湿熱ゲル化樹脂を含む繊維又は湿熱ゲル化樹脂繊維成分と他の熱可塑性合成繊維成分とを含む複合繊維(以下、「湿熱ゲル化複合繊維」という。)を用いることができる。これにより、他の繊維又は少なくとも他の熱可塑性合成繊維成分は、繊維の形態を保ち、かつ湿熱ゲル化樹脂がゲル化されてフィラーを固着させるバインダーとしての作用機能を発揮する。そして、フィラーは、湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化したゲル化物によって、他の熱可塑性合成繊維成分の表面又は他の繊維表面に固着されている。好ましくは、フィラーは露出して繊維表面に固着されている。また、湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化したゲル化物によって、湿熱ゲル化繊維同士及び/又は他の繊維は接着されている。
【0015】
前記湿熱ゲル化複合繊維は、湿熱ゲル化樹脂繊維成分が露出しているかまたは部分的に区分されている複合繊維であることが好ましい。その複合形状は、(同心円)鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、分割型、海島型等を指す。特に同心円鞘芯型は、フィラーが繊維表面に固着しやすいので好ましい。また、その断面形状は、円形、中空、異型、楕円形、星形、偏平形等いずれであってもよいが、繊維製造の容易さから円形であることが好ましい。分割型複合繊維はあらかじめ高圧水流等を噴射して部分的に分割しておくのが好ましい。このようにすると、分割された湿熱ゲル化樹脂繊維成分は、湿熱処理によりゲル化し、ゲル化物を形成して他の繊維の表面に付着し、フィラーを固着する。すなわち、バインダーとして機能する。
【0016】
前記湿熱ゲル化複合繊維に占める湿熱ゲル化樹脂繊維成分の割合は、10mass%以上90mass%以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量は、30mass%以上である。より好ましい湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量は、70mass%以下である。湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量が10mass%未満であると、フィラーが固着しにくくなる傾向にある。湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量が90mass%を超えると、複合繊維の繊維形成性が低下する傾向にある。
【0017】
前記湿熱ゲル化複合繊維における他の熱可塑性合成繊維成分は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等いかなるものであってもよいが、好ましくはポリオレフィンである。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン等がある。湿熱ゲル化樹脂繊維成分としてエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を使用した場合、溶融紡糸による複合繊維(コンジュゲート繊維)を形成しやすい。
【0018】
また、他の熱可塑性合成繊維成分として、湿熱ゲル化樹脂繊維成分をゲル化させる温度よりも高い融点を有する熱可塑性合成繊維成分を用いることが好ましい。他の熱可塑性合成繊維成分がゲル化物を形成させる温度よりも低い融点を有する熱可塑性合成繊維成分であると、他の熱可塑性合成繊維成分自体が溶融して硬くなる傾向にあり、例えば不織布にしたときに収縮を伴って不均一になることがある。
【0019】
前記湿熱ゲル化繊維は、湿熱ゲル化樹脂を鞘成分とし、他の熱可塑性合成繊維成分を芯成分とした、鞘芯型の湿熱ゲル化複合繊維であることが好ましい。かかる複合繊維であると、フィラーを繊維表面に最も有効に固着することができるからである。具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂/ポリプロピレン,エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂/ポリエステル,エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂/ナイロンなどの鞘芯型複合繊維が挙げられる。
【0020】
前記湿熱ゲル化複合繊維が糸に占める割合は、フィラーを固着することのできる量であれば特に限定されないが、ゲル化物によって他の繊維又は他の熱可塑性合成繊維成分を接着する及び/又はフィラーを有効に固着するのに要する複合繊維の割合は、10mass%以上であることが好ましい。より好ましい複合繊維の割合は、30mass%以上である。
【0021】
本発明のフィラー固着糸に用いられる前記他の繊維としては、レーヨン等の化学繊維、コットン、麻、ウール等の天然繊維等、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を単独又は複数成分とする合成繊維等、任意なものを選択して使用できる。例えば、前記糸は、前記湿熱ゲル化繊維と、他の繊維を含む紡績糸であることが好ましい。湿熱ゲル化樹脂単独の糸であると、織編物にしたときにゲル化物によって風合いが硬くなる傾向にあるため、他の繊維と混紡したり(混紡糸)、合わせたり(双糸など)することにより、織編物の風合いを維持しながら、フィラーの機能性を付与することができる。湿熱ゲル化繊維と他の繊維との含有率(湿熱ゲル化繊維:他の繊維の質量比)は、30:70〜70:30であることが好ましい。
【0022】
本発明でいうフィラーとは、粒子状、短繊維状など、糸内に保持することができる形状のものであれば特に限定されない。例えば、フィラーとしては、無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーであれば、研磨剤として用いた場合、研磨作用が大きいからである。前記無機フィラーとしては、アルミナ、シリカ、トリポリ、ダイヤモンド、コランダム、エメリー、ガーネット、フリント、合成ダイヤ、窒化硼素、炭化珪素、炭化硼素、酸化クロム、酸化セリウム、酸化鉄、ケイ酸コロイド、炭素、グラファイト、ゼオライト及び二酸化チタン、カオリン、クレイなどを挙げることができる。これらの粒子は適宜混合して使用することもできる。
【0023】
前記フィラーとしては、有機フィラーも用いることができる。有機フィラーとしては、例えば、スチレン系,アクリル系,メタクリル系,メラミン系,フェノール系,エポキシ系,フッ素系,シリコーン系,ポリエステル系,ポリオレフィン系などの樹脂が挙げられる。
【0024】
前記フィラーがガス吸着性フィラー及び/又は有機物吸着性フィラーの場合、空気中の気体物質を吸着する機能を有するものであれば特に限定されないが、活性炭粒子、ゼオライト、シリカゲル、活性白土、層状リン酸塩等の多孔質粒子、これらの多孔質粒子に化学吸着剤を担持させた多孔質粒子等が好ましい。多孔質粒子の中では、活性炭粒子が特に好ましい。
【0025】
前記フィラーが抗菌剤の場合、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライト、リン酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト等を用いることができる。
【0026】
さらに前記研磨剤、ガス吸着性フィラー、有機物吸着性フィラー、イオン交換性フィラー、及び抗菌剤以外にも、例えば、蓄熱剤や吸発熱剤などをマイクロカプセル化したフィラー,乾燥剤としてのシリカゲル,光触媒として二酸化チタン,ウイルス吸着/分解剤,消臭剤,導電剤,制電剤,調湿剤,防虫剤,防カビ剤,難燃剤等の機能性フィラーを1又は2以上用いることができる。
【0027】
前記フィラーが粒子状である場合、その平均粒子径は、0.01〜1000μmの範囲であることが好ましい。より好ましい平均粒子径は、0.1μm以上であり、さらにより好ましくは1μm以上である。より好ましい平均粒子径は、800μm以下であり、さらにより好ましくは、500μm以下である。特に、本発明では、平均粒子径が0.01〜100μmの微粒子フィラーを有効、かつ強固に繊維表面に固着することができる。平均粒子径が0.01μm未満では、繊維表面に十分な量のフィラーを固着することが困難な場合がある。一方、平均粒子径が1000μmを超える場合は、フィラーの比表面積が小さくなり、フィラーの機能性が十分に発揮できない場合がある。
【0028】
前記フィラーが短繊維状である場合、その繊維長または繊維断面長のうち大きい方の長さ(以下、短繊維長さという)は、0.1〜1000μmの範囲であることが好ましい。より好ましい短繊維長さは、10μm以上である。より好ましい短繊維長さは、500μm以下である。短繊維長さが0.1μm未満では、繊維表面に十分な量のフィラーを固着することが困難な場合がある。一方、短繊維長さが1000μmを超える場合は、フィラーの比表面積が小さくなり、フィラーの機能性が十分に発揮できない場合がある。
【0029】
本発明のフィラー固着糸を含む織編物は、フィラーの機能性を効率良く発揮させるために、前記フィラーの固着量が織編物1m2あたり2g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましい。
【0030】
本発明のフィラー固着糸を含む織編物は、他のシートと組み合わせてもよい。他のシートを積層することにより、他のシートの機能も付与することができる。例えば固着が不十分なフィラーの脱落を抑制したり、成型性や接着性を向上させたり、或いは用途によりフィラーの色を隠蔽する効果があるので好ましい。他のシートとしては、例えば、ニードルパンチ法,水流交絡法,エアレイド法,スパンボンド法,メルトブロー法,湿式法などから得られる不織布、フィルム、発泡体などが挙げられる。
【0031】
次に、本発明のフィラー固着糸及び織編物の製造方法について説明する。本発明における湿熱処理は、湿熱雰囲気で施される。ここでいう「湿熱雰囲気」とは、水分を含み、加熱された雰囲気のことをいう。前記湿熱処理とは、湿熱ゲル化樹脂を含む糸、または湿熱ゲル化樹脂を含む糸を含有する織編物(以下、両者を併せて「被処理物」ともいう)に、例えば、フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液を付与した後に加熱する処理、前記フィラー分散溶液を付与しながら加熱する処理のことを示す。加熱の方法は、加熱雰囲気中へ晒す方法、加熱空気中を貫通させる方法、及び加熱体へ接触させる方法等が挙げられる。また、別の方法としては、前記被処理物上にフィラーを付着させた後、被処理物に水分を付与した後に加熱する処理、予め水分を付与した被処理物上に、フィラーを付着させた後加熱する処理もある。前記フィラーの付着の方法については、特に限定されず、例えば散布する方法として、篩による方法、電気的に行う方法などがある。
【0032】
前記被処理物には、親水処理を施してもよい。親水処理を施すと、被処理物が疎水性繊維を含む場合、被処理物に略均一に水分を付与することができる。その結果、湿熱ゲル化樹脂の周囲に略均一に水分が存在して、略均一に湿熱ゲル化されて、フィラーが固着しやすくなる。親水処理としては、界面活性剤処理、コロナ放電法やグロー放電法、プラズマ処理法、電子線照射法、紫外線照射法、γ線照射法、フォトン法、フレーム法、フッ素処理法、グラフト処理法、及びスルホン化処理法等が挙げられる。
【0033】
前記湿熱処理として前記フィラー分散溶液を付与した後に加熱する場合、湿熱処理時に被処理物に付与する水分の割合(以下、「水分率」という)は、20〜1500mass%であることが好ましい。より好ましい水分率は、30mass%以上であり、さらにより好ましくは40mass%以上である。より好ましい水分率は、1000mass%以下であり、さらにより好ましくは、900mass%以下である。水分率が20mass%未満であると、湿熱ゲル化が充分に起こらないことがある。一方、水分率が1500mass%を超えると、湿熱処理が被処理物の表面と内部との間で均一に行われず、湿熱ゲル化の度合いが不均一となる傾向にある。なお、水分の付与方法としては、スプレー、水槽への浸漬等公知の方法で行うことができる。特に、フィラー分散溶液を被処理物に含浸させる方法は、被処理物内にフィラーを多く取り込みやすく、好ましい。水分が付与された被処理物は、絞りロール等で圧搾する等の方法で所定の水分率に調整することができる。
【0034】
前記フィラー分散溶液におけるフィラー濃度は、使用する繊維構造物の目付や固着量により適宜設定すればよいが、好ましい範囲は、0.1〜75mass%であり、より好ましくは、1〜50mass%である。フィラー濃度が0.1mass%未満であると、フィラーの固着量が少なくなる傾向にあり、フィラー濃度が75mass%を超えると、フィラー同士が凝集して分散性が悪くなり、フィラーの固着が不均一になることがある。
【0035】
前記湿熱処理時に被処理物に付与される水分及びフィラーのピックアップ率は、20〜1500mass%であることが好ましい。より好ましいピックアップ率は、30〜1000mass%であり、さらにより好ましくは40〜900mass%である。ピックアップ率が20mass%未満であると、フィラーの固着量が少なくなり、ピックアップ率が1500mass%を超えると、湿熱処理が被処理物の表面と内部との間で均一に行われず、湿熱ゲル化の度合いが不均一となる傾向にある。なお、ピックアップ率とは、被処理物の質量に対する水分量とフィラーの量との和に100を乗じた値である。
【0036】
前記湿熱処理における湿熱処理温度は、湿熱ゲル化樹脂又は湿熱ゲル化樹脂繊維成分(以下、両者を併せて「バインダー樹脂」ともいう。)のゲル化温度以上融点−20℃以下であることが好ましい。より好ましい湿熱処理温度は、80℃以上である。一方、より好ましい湿熱処理温度は、バインダー樹脂の融点−30℃以下である。さらにより好ましい湿熱処理温度は、バインダー樹脂の融点−40℃以下である。湿熱処理温度がバインダー樹脂のゲル化温度未満であると、フィラーを有効に固着することができない場合がある。湿熱処理温度がバインダー樹脂の融点−20℃を超えると、バインダー樹脂の融点に近くなるため、織編物としたときに収縮を引き起こすことがある。
【0037】
前記湿熱処理を施した糸または織編物(以下、「処理物」ともいう)は、そのまま乾燥処理を行ってもよいし、一旦水洗を行った後、乾燥処理を行っても良いし、一旦乾燥させた後水洗を行いその後で乾燥処理を行っても良い。一旦乾燥させた後、水洗を行いその後で乾燥処理を行う方が、フィラーの固着量が多くなるので都合がよい。
【0038】
前記湿熱処理の方法として具体的には、以下の方法があり、それぞれの製造方法について説明する。
(1)被処理物に、フィラー分散溶液を付与した後、スチーム処理する方法(以下、「スチーム処理法」という)
(2)被処理物に、フィラー分散溶液を付与した後、加熱体に接触させる方法(以下、「加熱体接触法」という)
(3)被処理物を、加熱したフィラー分散溶液に接触させる方法(以下、「加熱液接触法」という)
【0039】
前記スチーム処理法は、前記被処理物を、フィラー分散溶液を付与した後に、所定の水分率に調整後、スチーム処理することによって、湿熱ゲル化樹脂をゲル化したゲル化物を形成してフィラーを固着することができる。スチーム処理の方法としては、例えば、所定の水分率に調整した被処理物の上及び/又は下からスチームを吹き付ける方法、スチームを充満させたチャンバー内で被処理物を接触させる方法、オートクレーブ等でスチームに晒す方法などが挙げられる。かかる方法によれば、ゲル加工時に被処理物に対して必要以上に面圧が加わらない。その結果、織編物の場合、繊維形態を維持しながら、フィラーを繊維表面に露出させた状態で固着することができ、織編物本来の風合いに近いものを与えることができる。特にスチームを充満させたチャンバー内で被処理物を接触させる方法(以下、「パッドスチーマー法」という)は、蒸気吹き出し口より吐出された蒸気が直接繊維構造物に接触することなく、蒸気雰囲気中でスチーム処理できるので、均一に湿熱ゲル化樹脂を湿熱ゲル化することができる。また、連続運転をする上においても都合がよい。
【0040】
前記スチーム処理法におけるフィラー分散溶液の温度は、湿熱ゲル化樹脂がゲル化しない温度であっても、ゲル化を開始する温度であってもよい。フィラーの種類、熱安定性、大きさ、濃度等により、適宜設定すればよい。なお、湿熱ゲル化樹脂がゲル化を開始する温度以上であれば、後述する加熱液接触法と組み合わせることとなり、フィラーの固着をさらに強固にする場合に有効である。
【0041】
前記スチーム処理法におけるスチーム処理温度は、被処理物付近の温度が、バインダー樹脂のゲル化温度以上融点−20℃以下であれば、特に限定されるものではないが、好ましい温度範囲は、80〜120℃であり、より好ましい温度範囲は90〜110℃である。湿熱ゲル化樹脂が前記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂である場合、最も好ましい範囲は、95〜105℃である。
【0042】
スチーム処理法により処理された処理物は、前述した方法により、必要に応じて乾燥処理及び/又は水洗処理される。また、前記乾燥処理の後、必要に応じて処理物を、一対のプレスロール等でプレス加工を行っても良い。乾燥処理の後に直ちにプレス加工を行うことにより、処理物の柔軟性を維持したままで、フィラーを強固に固着することができる。
【0043】
次に、前記加熱体接触法は、前記被処理物を、フィラー分散溶液を付与した後に、所定の水分率に調整後、加熱体に接触させることによって、湿熱ゲル化樹脂をゲル化したゲル化物を形成してフィラーを固着することができる。加熱体に接触させる方法としては、例えば、熱ロールに接触させる方法、熱プレス板に接触させる方法などが挙げられる。かかる方法によれば、瞬時に湿熱ゲル化樹脂成分を湿熱ゲル化することができると同時にゲル化物を押し拡げることができるので、広面積にわたりフィラーを固着することができる。また、かかる方法によれば、湿熱ゲル化したときに、フィラーがゲル化物に押し込まれて、繊維表面にフィラーを更に強固に固着させることができる。
【0044】
前記加熱体接触法が熱プレス板のような面状のものである場合、面圧が0.01〜3MPaであることが好ましい。より好ましい面圧は、0.05〜2.5MPaである。面圧が0.01MPa未満であると、フィラーの固着が不十分となり、フィラーが脱落することがある。面圧が3MPaを超えると、フィラーがゲル化物に埋もれてしまい、有効表面積が低くなる傾向にある。
【0045】
前記加熱体接触法が熱ロールによる圧縮成形処理である場合、熱ロールの線圧は、10〜400N/cmであることが好ましい。より好ましい熱ロールの線圧は、50N/cmである。より好ましい熱ロールの線圧の上限は、200N/cmである。線圧が10N/cm未満であると、フィラーの固着が不十分となり、フィラーが脱落することがある。線圧が400N/cmを超えると、フィラーがゲル化物に埋もれてしまい、有効表面積が低くなる傾向にある。
【0046】
前記加熱体の設定温度は、バインダー樹脂のゲル化温度以上融点−20℃以下であることが好ましい。好ましい設定温度の範囲は、60〜140℃であり、より好ましい温度範囲は80〜130℃である。なお、加熱体の場合にゲル加工の温度を設定温度としたのは、以下の理由からである。水分を含んだ被処理物をゲル加工するために設定温度を100℃以上にすると、まず被処理物内の水分が蒸発する。そのとき、湿熱ゲル化樹脂のゲル化が進行するので、ゲル加工の実温度は設定温度よりも低くなる傾向にある。そのため、厳密にゲル加工温度を特定するのが困難な場合があるからである。したがって、他の繊維又は樹脂の融点が熱処理機の設定温度よりも低い場合でも、実質的に溶融しないか、あるいは実質的に収縮しないことがあり、ゲル加工温度は他の繊維又は他の熱可塑性合成繊維成分が実質的に収縮しない温度で処理することが好ましい。
【0047】
次に、前記加熱液接触法は、被処理物を、加熱したフィラー分散溶液に接触させることにより、湿熱ゲル化樹脂をゲル化したゲル化物を形成してフィラーを固着することができる。被処理物を加熱液に接触させる方法としては、例えば、加熱したフィラー分散溶液中に浸漬する方法、加熱したフィラー分散溶液を被処理物に噴霧する方法などが挙げられる。かかる方法によれば、ゲル加工時に被処理物に対して必要以上に面圧が加わらず、ゲル化した湿熱ゲル化樹脂の流動性が少ない。そのため、被処理物が織編物の場合は、繊維形態を維持しつつ、繊維同士の交点においてゲル化物が膜状に拡げられることなく接着しており、かつフィラーを繊維表面に露出させた状態で固着することができ、織編物に本来の風合いに近いものを与えることができる。また、水分の付与と同時に湿熱ゲル化繊維のゲル化が進行するので、前記フィラー分散溶液中のフィラーの濃度と、前記フィラー分散溶液の温度を調整して、フィラーの固着量を調整すればよい。具体的には、フィラーを含む熱水中(85℃以上)に被処理物を含浸することにより、フィラーを繊維表面に固着することができる。特に、加熱したフィラー分散溶液中に浸漬する方法は、湿熱ゲル化樹脂を均一にゲル化することができ、好ましい。前記加熱液接触法におけるフィラー分散溶液のフィラー濃度は、上述したスチーム処理法、加熱体接触法と同じであり、説明を省略する。
【0048】
前記加熱液接触法のゲル加工温度は、バインダー樹脂のゲル化温度以上融点−20℃以下であることが好ましい。より好ましいゲル加工温度の範囲は、85〜120℃であり、さらにより好ましくは85〜100℃である。ゲル加工温度がバインダー樹脂のゲル化温度よりも低いと、フィラーが十分に固着されず、ゲル加工温度がバインダーの融点−20℃を超えると、ゲル加工時に収縮を伴うことがある。
【0049】
次に、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例で得られた紡績糸にフィラーが固着している状態を示す走査電子顕微鏡写真(倍率200)である。図2は、同写真(倍率2000)である。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(加熱液接触法)の一例工程図である。被処理物31を、槽32内のフィラーを含む加熱されたフィラー分散溶液33に含浸して湿熱処理し、必要に応じて水洗・脱水(図示せず)したのち、乾燥機41で乾燥させて巻き取り機39で巻き取る。なお、フィラー分散溶液33の加熱は、例えばヒーター(図示せず)等の加熱手段により行えばよい。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(スチーム処理法)の一例工程図である。被処理物31を、槽32内のフィラーを含むフィラー分散溶液33に含浸し、絞りロール34で絞り、チャンバー内の下部からスチームを導入してスチームをチャンバー内に均一に充満させたパッドスチーマー35でスチーム処理し、必要に応じて水洗・脱水(図示せず)したのち、乾燥機41で乾燥させて巻き取り機39で巻き取る。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(加熱体接触法)の一例工程図である。被処理物31を、槽32内のフィラーを含むフィラー分散溶液33に含浸し、絞りロール34で絞り、スチーマー35とサクション36の間で湿熱処理し、そのまま巻き取るか、又は一対の加熱ロール37,37にかけたパターニング用キャンバスロール38,38により圧縮成形し、樹脂表面に所定のパターン模様を付与し、その後、巻き取り機39に巻き取る。スチーマー35とサクション36に代えて、上下の熱板を用いて例えば温度150℃、5分間の加圧処理を行ってもよい。他の実施形態としては、スチーマー35なしに一対の加熱ロールのみで圧縮成形する方法、スチーマー35なしに一対の加熱ロール37,37にかけたパターニングキャンバスロール38,38のみで圧縮成形する方法もある。
【実施例】
【0053】
[実施例1]
本発明のフィラー固着糸及び織編物として、以下のものを準備した。
(糸の作製)
鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH、エチレン含有量38モル%、融点176℃)であり、芯成分がポリプロピレン(PP、融点161℃)であり、EVOH:PPが50:50の割合(容積比)である、鞘芯型の湿熱ゲル化複合繊維(繊度2.8dtex、繊維長51mm)を準備した。次に、前記湿熱ゲル化複合繊維100mass%を、常套の方法で紡績して30番手の紡績糸を作製した。
【0054】
(ニットの作製)
上記で得られた紡績糸を、一口編機を用いて、編み密度20ループ/インチで編成して目付が103g/m2のニットを作製した。
【0055】
(フィラーの準備)
フィラーとしては、活性炭粒子「クラレコール PL−D」(クラレケミカル製、ヤシガラ炭、平均粒子径40〜50μm)を使用した。
【0056】
(フィラー固着糸を含有するニットの作製)
前記ニット原反を、前記フィラーを15mass%濃度で含む水分散液(20℃)に浸漬し、マングルロールの絞り圧力でピックアップ率が400mass%となるように調整した。次いで、フィラー分散溶液が含浸したニット原反を、ニット原反付近の温度が約100℃になるように調整された、スチームが充満したチャンバー(パッドスチーマー)内で、30秒間湿熱処理(パッドスチーマー法)を行った。次に、水洗槽で水洗を行った後、温度140℃に調整したテンター方式の乾燥機内で乾燥させて、本発明のフィラー固着糸を含有するニットを得た。得られたニットは、繊維表面にフィラーが略均一に固着した糸で構成されており、ニットの単位面積あたりにフィラーが約6g/m2固着していた。
【0057】
[実施例2]
(糸及びニットの作製)
実施例1の湿熱ゲル化複合繊維以外に、他の繊維としてポリエステル繊維(帝人テトロン、1.7dtex、繊維長51mm)を準備した。次に、湿熱ゲル化複合繊維50mass%と、ポリエステル繊維50mass%を混合して、常套の方法で紡績して30番手の紡績糸を作製した。得られた紡績糸を、一口編機を用いて、編み密度20ループ/インチで編成して目付が138g/m2のニットを作製した。
【0058】
(フィラー固着糸を含有するニットの作製)
前記ニット原反を、実施例1と同様の方法で湿熱処理(パッドスチーマー法)し、水洗、乾燥して、本発明のフィラー固着糸を含有するニットを得た。得られたニットを構成する糸は、湿熱ゲル化複合繊維とポリエステル繊維が混在しており、湿熱ゲル化複合繊維の繊維表面においてフィラーがゲル化物により略均一に固着していた。ニットの単位面積あたりにフィラーが約8g/m2固着していた。
【0059】
[実施例3]
(糸及びニットの作製)
実施例1の湿熱ゲル化複合繊維以外に、他の繊維としてレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン製コロナ、1.7dtex、繊維長51mm)を準備した。次に、湿熱ゲル化複合繊維50mass%と、レーヨン繊維50mass%を混合して、常套の方法で紡績して30番手の紡績糸を作製した。得られた紡績糸を、一口編機を用いて、編み密度20ループ/インチで編成して目付が107g/m2のニットを作製した。
【0060】
(フィラー固着糸を含有するニットの作製)
前記ニット原反を、実施例1と同様の方法で湿熱処理(パッドスチーマー法)し、水洗、乾燥して、本発明のフィラー固着糸を含有するニットを得た。得られたニットを構成する糸は、湿熱ゲル化複合繊維とレーヨン繊維が混在しており、湿熱ゲル化複合繊維の繊維表面においてフィラーがゲル化物により略均一に固着していた。ニットの単位面積あたりにフィラーが約6g/m2固着していた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のフィラー固着糸及び織編物は、歯間を磨くマルチフィラメント糸(デンタルフロス)、工業用研磨材として、レンズ、半導体、金属、プラスチック、セラミック、ガラスなど様々な分野の研磨材、家庭用又は業務用キッチンなどで使用する研磨材、有害ガスなどを吸着するガス吸着材、抗菌材、消臭材、イオン交換材、汚水処理用材、吸油材、金属吸着材、電池セパレータ用不織材、導電性材、制電性(帯電防止)材、調湿,除湿(結露防止)材、吸音,防音材、防虫,防カビ材、抗ウイルス材、育苗材、芳香材、磁性材、遠赤外線材、蓄熱材、吸発熱材などに有用である。例えば、ガス吸着材、抗ウイルス材は、家庭用,車両用等の内装材、建材の養生シート、壁紙、カーテン、マット、カーペット、医療用などのガウン、衣料、マスク、ワイパー、空調用などのフィルター等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例におけるフィラー固着糸の走査電子顕微鏡写真(倍率200)である。
【図2】本発明の一実施例におけるフィラー固着糸の走査電子顕微鏡写真(倍率2000)である。
【図3】本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(加熱液接触法)の一例工程図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(スチーム処理法)の一例工程図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るフィラー固着糸及び織編物の製造方法(加熱体接触法)の一例工程図である。
【符号の説明】
【0063】
31 被処理樹脂成型物
32 槽
33 フィラー分散溶液
34 絞りロール
35 スチーマー
36 サクション
37 加熱ロール
38 キャンバスロール
39 巻き取り機
41 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分存在下で加熱することによってゲル化する湿熱ゲル化樹脂を含む湿熱ゲル化繊維と、フィラーを含む糸であって、前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって繊維表面に固着されていることを特徴とするフィラー固着糸。
【請求項2】
前記湿熱ゲル化樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂である、請求項1に記載のフィラー固着糸。
【請求項3】
前記フィラーは粒子であり、その平均粒子径は0.01〜1000μmの範囲である、請求項1または2に記載のフィラー固着糸。
【請求項4】
前記湿熱ゲル化繊維は、湿熱ゲル化樹脂を鞘成分とし、他の熱可塑性合成繊維成分を芯成分とした、鞘芯型の湿熱ゲル化複合繊維である、請求項1に記載のフィラー固着糸。
【請求項5】
前記糸は、前記湿熱ゲル化繊維と、他の繊維を含む紡績糸である、請求項1〜4のいずれかに記載のフィラー固着糸。
【請求項6】
水分存在下で加熱することによってゲル化する湿熱ゲル化樹脂を含む湿熱ゲル化繊維と、フィラーを含む糸を含有する織編物であって、前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって繊維表面に固着されていることを特徴とする織編物。
【請求項7】
前記織編物は、湿熱ゲル化繊維を含む糸を30mass%以上含んで成る、請求項6に記載の織編物。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−214050(P2006−214050A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29819(P2005−29819)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000002923)大和紡績株式会社 (173)
【出願人】(300049578)ダイワボウポリテック株式会社 (120)
【Fターム(参考)】