説明

フィラー材料を有する透明導電性コーティング

少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている導電性配線のネットワーク状パターンを含む物品が、開示される。ここで、この導電性配線は、光に略透明で且つ透明フィラー材料を含む不規則形状のセルを画定している。一つの実施態様において、フィラー材料は、導電性であり、例えば金属酸化物又は導電性ポリマーである。他の一つの実施態様において、フィラー材料は接着剤であり、これを用いて、ある基材から他の一つの基材に、そのネットワークを移転することができる。その物品の製造方法も開示される。これは、溶媒相中にナノ粒子を含み、且つ水相中にフィラー材料を含むエマルションを、基材にコーティングする。そのエマルションを乾燥すると、そのナノ粒子は自己組織化して配線を形成し、そしてそのフィラー材料はセル中に堆積する。エレクトロルミネセントデバイスも開示される。ここでは、これは本発明の物品が、そのデバイスの透明電極を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性コーティングに関する。ここで、この透明導電性コーティングは、少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている導電性配線のパターンを有し、且つその導電性配線が、光に透明な不規則形状のセルを画定している。より詳しくは、本発明は、コーティングしたエマルションから導電性配線へのナノ粒子の自己組織化により形成した透明導電性コーティングに関するものであり、ここでこの導電性配線は、光に透明である不規則形状のセルを画定する。そのような透明導電性コーティングを透明電極として含むエレクトロルミネセントデバイスも、本発明の範囲内に含まれる。透明導電性コーティングの形成のためのコーティング組成物及びコーティング方法も記載する。
【背景技術】
【0002】
透明導電性コーティングは、様々な電子デバイスで有用である。これらのコーティングは、多くの機能、例えば電磁(EMI)遮蔽及び静電気散逸を提供し、そしてそれらは、光を透過する導電性の層及び電極として、幅広い様々な用途に使用される。そのような用途としては、限定するものではないが、タッチスクリーンディスプレイ、ワイヤレス電子掲示板、光起電性デバイス、導電性布地及び導電性線維、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネセントデバイス、並びに電気泳動ディスプレイ、例えば電子ペーパーが挙げられる。
【0003】
透明導電性コーティング、例えば米国特許出願公開第20050214480及び国際公開WO2006/135735号に記載されたものは、基材上にエマルションからコーティングして、そして乾燥させた導電性ナノ粒子の自己組織化から形成される。そのナノ粒子は、光に透明で且つ光学顕微鏡で観測可能な不規則形状のセルの、ネットワーク状の導電性パターンに自己組織化する。そのようなコーティングは、そのコーティングをさらなる処理又は特定の製品用途に適合するために、追加の特性、例えばコーティングのセル内の導電性、構造補強性、反射防止特性等をたびたび必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コーティングのセル中へのある種の透明フィラー材料の配置によって、強化した又は追加の機能性を上述の透明コーティングに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている導電性配線のネットワーク状のパターンを含み、且つその導電性配線が光に略透明な不規則形状のセルを画定している物品に関する。ここでは、少なくともそのセルの一部は、少なくとも部分的に透明フィラー材料で充填されている。そのフィラー材料は、導電性、半導体性又は非導電性であってよい。
【0006】
導電性フィラー材料は、10〜10ohm/sqの範囲の抵抗を一般的には有するであろう。導電性フィラー材料の例としては、金属酸化物(例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)及びアンチモン−スズ酸化物(ATO))、及び導電性高分子(例えば、PEDOT、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、又はこれらの誘導体若しくはこれらの混合物)が挙げられる。導電性フィラー材料は、金属ナノ粒子又は金属ナノワイヤーの低密度のマトリクス又は配置を含む場合もある。導電性フィラー材料は、ある種の電子デバイス、例えばエレクトロルミネセントデバイス、OLEDディスプレイ及び薄膜光起電デバイスにおいて、透明導電性コーティングの導電性を解決し、且つ電荷をセルの中心に輸送するのに有用である。
【0007】
半導体材料、例えば量子ドット、シリコン、ゲルマニウム、化合物無機半導体又は有機半導体も、いくつかのデバイス、例えば太陽電池及びOLEDディスプレイで有用なフィラー材料である。いくつかの材料、例えばカーボンナノチューブを、その材料に応じて導電性及び半導体性の両方の目的のために、フィラー材料として用いることができる。
【0008】
非導電性又は絶縁性のフィラー材料を用いて、ある種の物理的特性を物品に与えてもよく、又はさらなる処理及び加工、例えば一つの基材から他の一つの基材への物品の移転を補助してもよい。物理的特性を物品に与えるのに有用な非導電性材料の例としては、反射防止材料、例えばガラスフリット、ガラス球、窒化シリコン、一酸化シリコン若しくは二酸化シリコン、又は二酸化チタンが挙げられる。他の反射防止フィラーとしては、低屈折率ポリマー、及び/又は重合して低屈折率ポリマーを形成できるモノマー及びオリゴマーが挙げられる。他のフィラー材料を、耐摩擦性又は耐引掻き性、耐水性、耐酸素性又はUV防護性を与えるのに使用することができる。エポキシ等の接着剤として機能するフィラー材料を用いて、デバイスの他の基材又は層への物品の積層を補助することができる。
【0009】
この物品は、典型的には、その物品の少なくとも一つの表面上に基材を有する。この基材は、透明導電性コーティングが元々形成されている基材、又はそのコーティングを形成後に移転した基材であってもよい。物品それ自体はフレキシブルなので、フレキシブルな基材で支持する場合には、それを用いて、フレキシブルデバイス、例えばフレキシブル光起電デバイス及びフレキシブルエレクトロルミネセントデバイスを形成することができる。
【0010】
一実施態様において、フィラー材料は、完全にセルを充填し、そしてセルの上方に広がる。これは、酸素、水分又は磨耗に対するバリア保護を物品に与えるために設計したフィラー材料に関して有用である。平坦な又は滑らかな物品の表面を与えるフィラー材料も、望ましい。他の用途において、一つの基材から他の一つに物品を移転するために使用する接着性フィラー材料に関して望ましく、又は物品の表面を平滑化ようにフィラー材料を設計する場合に望ましい。
【0011】
他の一実施態様において、フィラー材料は、セルの上部又はそれ未満の水準までセルを充填する。これは、導電性フィラー材料、又は反射防止特性のために用いるフィラーに関して有用となる場合がある。
【0012】
本発明の他の一実施態様は、エレクトロルミネセントデバイスであり、これは本発明の物品を透明電極として、蛍光体層、誘電体層及び対電極等のエレクトロルミネセントデバイスで典型的に用いられる他の層と共に含む。ここで、対電極は、典型的には、不透明又は部分的に不透明となっている。
【0013】
本発明の他の一態様は、導電性ナノ粒子を含有する連続相、及びフィラー材料を含有する不連続相を有するエマルションを含む、液体コーティング組成物に関する。このエマルションは、基材上にコーティングしたとき、透明導電性コーティングを形成し、これはネットワーク状の配線パターンを有する。この配線は、少なくとも部分的に結合されたナノ粒子で形成され、光に略透明な不規則形状のセルを画定しており、少なくともそのセルの一部はフィラー材料で充填されている。好ましい実施態様において、その連続相は、水と相溶しない溶媒を含み、且つその不連続相は、水又は水と相溶する溶媒を含む。そのエマルションでの使用に好ましいナノ粒子としては、銀、銅、炭素、グラファイト又はこれらの混合物若しくはアロイが挙げられる。好ましいフィラー材料としては、導電性ポリマー、例えばPEDOT、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、又はこれらの誘導体若しくは混合物が挙げられる。
【0014】
本発明の他の一態様は、本発明の物品の製造方法に関し、これはエマルションの不連続相中にフィラー材料を含有する上記の液体コーティング組成物を、基材の表面に適用するステップ、及びそのコーティング組成物を乾燥するステップを含む。好ましくは、その物品を、焼結によりさらに処理して、ナノ粒子をさらに結合し、そして導電性を向上する。その物品を、基材から除去し、そしてそれを生成品の他の一つの基材又は要素に移転することにより、さらに処理してもよい。
【0015】
本物品の製造方法の他の一実施態様は、以下のステップを有する:(a)導電性ナノ粒子を含有する連続相を含む液体エマルションを、基材の表面に適用するステップ;(b)そのエマルションを乾燥し、続いて、少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている配線のネットワーク状パターンを有し、且つその配線が光に略透明な不規則形状のセルを画定している透明導電性コーティングを形成するステップ;及び(c)透明なフィラー材料をそのコーティングの少なくともいくつかのセルに適用するステップ。本方法の好ましい実施態様において、フィラー材料は接着剤であり、これを透明コーティングにウェットコーティングで適用する。その接着剤を、その後、さらなる処理で用いて、コーティングを第二の基材に接着することができる。これは、第一の基材を剥がして、元々露出されていた物品の表面輪郭のない平坦な表面を有する物品を露出させるのに、特に有用である。
【0016】
本発明の他の態様は、以下の図及び詳細な説明により記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の物品を示し、ここではコーティングのセルを、フィラー材料で充填している。
【図2】セル中のフィラー材料が、コーティングの配線の上を超えて広がっている、物品を示す。
【図3】単純な光起電セルの形態での、本発明の物品の製造プロセスの略図である。
【図4】透明電極を形成している本発明の物品を有する、単純なエレクトロルミネセントデバイスを示す。
【図5】実施例1のエレクトロルミネセントデバイスの写真である。
【図6】実施例3のエレクトロルミネセントデバイスの写真である。
【図7】実施例4のエレクトロルミネセントデバイスの写真である。
【図8】実施例5のエレクトロルミネセントデバイスの写真である。
【図9】接着性フィラーを有する透明導電性コーティングの走査電子顕微鏡写真であり、これは生成した平坦化/平滑化された表面を有する第二の基材に移転した後のものである。これは、サンプルを、そのサンプルの平面に平行に接近した角度から撮影した場合に観察できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では図1に言及する。これは、基材上に形成されている本発明の物品の簡単化した図であり、これは光起電デバイスで透明な前面電極として使用するために、その物品を適合している。基材100は、その下側表面102に電極104を形成させた半導体層100である。
【0019】
基材100の表面106上に、透明導電性コーティング(「TCC」)層108を形成する。ここで、このTCC層は、少なくとも部分的に結合したナノ粒子の集まりで形成した導電性配線112のパターン110を含んでいる。そのような配線は、セル114を画定し、このセルには一般的にナノ粒子が存在せず、このようなセルは光に略透明である。本明細書で用いる「ナノ粒子」という単語は、コーティングすることができ且つ均一なコーティングを形成することができる範囲で、液体中に分散するのに十分に小さな微粒子を言う。これには、約3μm未満の平均粒子サイズを有する粒子が一般的に挙げられる。好ましくは、この平均粒子サイズは1μm未満であり、最も好ましくは、その粒子は少なくとも一つの寸法で0.1μm未満の範囲の、いわゆる「ナノ」サイズである。
【0020】
図3に関して、以下により詳細に説明するように、ナノ粒子を連続相中に含有する液体エマルションを使用して、TCC層108を形成する。好ましい実施態様において、その連続相は、不連続相より早く気化し、不連続相セルの発達を、制御した方法でエマルション液滴合体により起こすようにする。エマルションの乾燥は、パターン110を生じ、これは、光透過性セルよりも顕著により少ない光を透過する配線112により囲まれた、はっきりと光を透過するセル114を含む。セル114及び周囲の配線112により作られるパターンは、ネットワーク状の特性を有し、これは光学顕微鏡により観測可能である。
【0021】
好ましい実施態様において、パターン110を、油中水型エマルションの堆積後に形成するが、そのエマルションの連続相は、分散したナノ粒子を有する有機溶媒を含み、且つ不連続相は、水又は水と相溶する溶媒を含む。エマルションの有機層中に溶解する材料を、エマルション乾燥時に配線112に組み込むことができ、例えばガラス前駆体を組み込んで接触抵抗を増加することができる。また、エマルションの界面(エマルションの水相と油相との間の遷移層を画定する領域)に対して親和性を持つ材料も、エマルションの乾燥時に配線112に組み込むことができる。エマルションの水相中に溶解又は分散できる材料、例えば以下に記載されているあるフィラー材料を、セル114内に堆積することができる。
【0022】
そのナノ粒子は、好ましくは導電性金属又は金属合金を含む金属の混合物から作られていてもよい。これらの金属合金は、これらに限定されないが、銀、金、プラチナ、パラジウム、ニッケル、コバルト、銅又はこれらの任意の組み合わせの群から選択される。適切な金属ナノ粒子としては、銀、銀−銅合金、銀パラジウム合金若しくは他の銀合金、又は米国特許第5,476,535号(「Method of Producing High Purity Ultra−Fine Metal Powder」)及び国際出願WO2004/000491号(「A Method for the Production of Highly pure Metallic Nano−Powders and Nano−Powders Produced Thereby」)に記載されている、金属学的化学プロセス(metallurgical chemical process)(MCP)として知られる方法により作られる金属若しくは金属合金が挙げられる。そのナノ粒子は、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよく、凝集していても、凝集していなくてもよい。
【0023】
その導電性ナノ粒子は、金属酸化物、金属塩、導電性ポリマー、炭素誘導体(例えばカーボンブラック、グラファイト、フラーレン、又は他の炭素同素体)を含んでもよい。上記粒子の前駆体又は組み合わせを使用してもよい
【0024】
導電性ナノ粒子は、必ずしも排他的ではないが、大部分が、導電性ネットワークの配線112の一部になる。上述の導電性粒子に加えて、配線112が、他の追加の導電性材料、例えば金属酸化物(例えばATO又はITO)若しくは導電性ポリマー又はこれらの混合物を有してもよい。これらの追加の導電性材料を、様々な形態で、例えば、これらに限定されないが、粒子、溶液又はゲル粒子で提供してもよい。
【0025】
以上に記載したタイプのエマルション及び導電性配線112を作るためのこれらの使用法は、出願人/譲受人の米国特許出願20050215689及び国際公開WO2006135735(その開示は参照として本明細書に組み込まれているものとする)に記載されている。典型的には、配線112の幅は40μm未満であり、その高さは20μm未満であり、且つ平均のセル径は1000μm未満であり、そしていくつかの場合にはずっと小さく、例えば5μmのオーダーである。一般的に、配線112による遮りが原因で入射光を受けない基材100の全表面106の割合は、多くの用途に関して、好ましくは15%未満であるが、他の用途では50%以上となる場合がある。さらに、配線112がテクスチャ特性及び反射防止特性を与えてもよい。
【0026】
TCC層108のセル114は、光透過性のフィラー材料115で充填されている。フィラー材料115は、配線112の上部以下の水準までセルを充填し、図1に示すようにセルを形成することができ、又は完全にセルを充填し、図2に示すようにセル上部まで広がることができる。その選択は、選択したフィラー材料、フィラー材料の所望の機能性及びセル中にフィラー材料を形成する方法に依存する。
【0027】
フィラー材料115は、導電性であってもよく、それにより全体のコーティングの導電性に比較的大きな均質性又は均一性を与えて、且つ電荷のセル中央へのより容易な輸送をしてもよい。導電性フィラーは、一般的に10〜10ohm/sqの範囲の抵抗を有することができる。適切な導電性フィラー材料は、典型的には連続フィルムを形成する材料、例えば透明金属酸化物(例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)若しくはアンチモン−スズ酸化物(ATO))又は導電性高分子若しくはこれらの混合体である。その導電性フィラー材料は、他の導電性の種、例えば、これに限定されないが、カーボンナノチューブも含んでもよい。あるいは、少量の導電性ナノ粒子又はナノロッドを用いてもよく、例えば銀ナノ粒子又は銀ナノワイヤーがある。一つの好ましい実施態様において、導電性フィラー材料は、導電性ポリマー、例えば、PEDOT、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、並びにこれらの誘導体及びこれらの混合物である。
【0028】
単独で層として存在する場合、導電性フィラー材料、例えばPEDOT:PSS、又は適切な導電性酸化物は、基材に堆積したときに約10ohm/sq超の比較的高い表面抵抗を与えることが分かっている。導電性ポリマーを、セル114内に配置することによって、その組み合わせたフィルムのシート抵抗は、透明導電性ポリマーのみを用いて透明導電性層を形成した場合よりも、顕著に低くなる。エレクトロルミネセントデバイスの場合について以下に説明するように、フィラー材料、例えばTCCのセル中のATOを含むことによって、そのデバイスの全体の明るさは、フィラー材料を持たないデバイスより劇的に向上する。
【0029】
フィラー115を用いて、導電性の代わりに又は導電性に追加して、他の機能性、例えば、機械的防護性(特に耐摩擦性若しくは耐引掻き性)を、耐水性、耐酸素性、耐紫外線性又は他の環境変化耐性と共に提供してもよい。フィラー材料を用いて、反射防止特性を与えてもよく、これらの例としては、ガラス原料、ガラス球、窒化シリコン、一酸化シリコン若しくは二酸化シリコン、二酸化チタン又は酸化亜鉛が挙げられる。例として、噴霧又は化学気相成長等の単純な技術を用いて、又は水溶性TiOナノ粒子、ナノロッド、若しくはナノワイヤーをエマルションの水相に添加することによって、TiOの反射防止コーティングを数百nmの厚みの層に堆積してもよい。そのような反射防止コーティングを形成する他の一方法は、エマルションの水相に前駆体、例えば酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、チタンイソプロポキシドを加え、反射防止層を熱処理後に直接的に形成するようにする。これら機能性を与えるフィラー材料は、導電性である必要はなく、また一般的に導電性ではない。
【0030】
フィラー材料115は、半導体材料、例えば、シリコン、ゲルマニウム、無機半導体化合物、有機半導体化合物又は量子ドットであってもよい。これらフィラー材料は、いくつかのデバイス、例えば太陽電池での使用を与える。
【0031】
フィラー材料115は、高誘電率材料、例えば通常の高誘電率用途で用いるものであってもよい。これら材料は、印加電場/印加電流の比較的高い均一性を、そのセル及びネットワーク構造全体を通じて与える。
【0032】
導電性及び非導電性のフィラー材料の両方を用いて、平滑な全体の表面116を、配線112の高さで作ることができる。例えば、導電性又は非導電性透明材料、例えば導電性ポリマーを適用して、セル114を充填し且つ平滑化してもよく、そして電荷をデバイス内に及びデバイスに/デバイスから伝導するのを促進してもよい。好ましい実施態様において、TCC層の粗度は5μm以下であり、好ましくは2.5μm未満であり、より好ましくは0.5μm未満、そして最も好ましくは0.15μm(150nm)未満である。TCC層の平滑度は、ある種のデバイス、例えば高品質OLEDディスプレイの製造時に重要となる場合がある。
【0033】
フィラー115は、「のり」又は感圧接着剤(PSA)若しくは感熱接着剤であってもよく、これらは追加の層(ポリマー、基材等)をTCC層の上部に接着又は積層するであろう。これは、TCC層を形成している元々の基材の除去をして、それによりTCC層の平滑側を暴露する。これは、その後のデバイスの構築、又は特定の製品用途のためにより望ましい基材への移転を促進するのに望ましい場合がある。エポキシ接着剤又はUV硬化性アクリル性接着剤が、接着性フィラー材料の例である。
【0034】
フィラー115は、「ハードコーティング」若しくは「アンチグレア(anti glare)」コーティング又はディスプレイフィルムで用いられているものと同様の他のコーティングであってもよい。それは偏光子であってもよい。それは静電気防止材料又は汚れ防止材料であってもよい。光を選択的に吸収する材料及び放射する材料又は上述の組み合わせも、使用できる。
【0035】
図1の物品は独立していてもよく、又はフレキシブルな若しくは硬い基材上に形成若しくは配置されていてもよい。その基材は、硬くても又はフレキシブルでもよく、また材料、例えば、これらに限定されないが、ポリマー、紙、セラミック、ガラス、シリコン、酸化物、半導体又は積層材料から構築してもよい。多くの製品用途に対して好ましい基材は、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(PET)に基づくポリエステルフィルムである。
【0036】
導電性配線112により形成されるパターン110は、一般的に焼結後にシート抵抗が、0.005ohm/sq〜20ohm/sq、好ましくは、50ohm/sq未満、より好ましくは20ohm/sq未満、そして最も好ましくは10ohm/sq以下を有する。シート抵抗を、そのパターン後の電気めっきにより低下させることができる。
【0037】
TCC層108は、電磁スペクトルの可視光、NIR、IR及び/又はUVの領域で透過性を必要とするデバイスで、特に有用である。「光透過性」という単語は、「透明」という単語と相互に取替え可能に本明細書で用いられており、少なくとも30%、好ましくは50%、さらに好ましくは70%の光透過率を言う。可視光の透過性が必要な用途に関して、透過率を、400nm〜700nmの波長範囲で測定し、より特別には550nmで測定することができる。
【0038】
以下では図2に言及する。これは、フィラー材料215が配線212の上部を越えて広がっていることを除いて、図1に示した物品と類似した、本発明による他の一物品の簡単化した図である。フィラー材料215は、配線の粗度を平滑化し、且つ上述したように接着性材料であってよく、これは配線212を、デバイスの層の他の一基材に接着するであろう。
【0039】
図1のデバイスの場合と同様に、図2に示したデバイスを、独立していてもよく又はフレキシブルな基材若しくは硬い基材上に形成していても若しくは配置されていてもよい。そのデバイスを、平坦な表面又は湾曲した表面を有して形成してもよい。その基材は、粗い表面及び/又は平坦ではない表面を有することができる。
【0040】
以下では図3に言及する。これは物品、例えば図1及び図2に示したものの製造プロセスの簡単化した略図である。図3にみられるように、基材アセンブリ又複数の基材アセンブリ302を与える。
【0041】
基材アセンブリ302は、フレキシブルであってもよく、硬くてもよい(例えば、ガラス、紙、セラミック及び布)。そのような基材としては、ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、コポリマー、又はこれらの混合物が挙げられる。基材302は、平坦な表面又は湾曲した表面を有しても良く、そしてその表面は平滑でも粗くてもよい。
【0042】
ある種の特性を改良するために、その基材を前処理していてもよく且つ/又はTCC形成のためのコーティングの前に適用した予備のコーティング層を有してもよい。例えば、その基材は、下塗層を有してTCCコーティングの接着を改良してもよい、又はその基材は、引掻き及び損傷に対する機械的抵抗を与えるために適用したハードコート層を有してもよい。
【0043】
前処理を行って、例えばその表面を洗浄してもよく、又は物理的手段若しくは化学的手段により表面を変性してもよい。そのような手段としては、これらに限定されないが、コロナ、プラズマ、UV暴露、レーザー、グロー放電、マイクロ波、火炎処理、化学的エッチング、機械的エッチング又は印刷が挙げられる。そのような処理を、整った基材、又はフィルム供給者がすでに下塗、予備コーティングを配置した基材若しくは基材の表面に他の前処理した基材に、適用することがある。
【0044】
前処理ステップを、次のコーティング、印刷、及び堆積ステップの直前に、オフライン又はオンラインで行うことができる。基材のそのような物理的処理を、バッチプロセス装置又は連続コーティング装置により、小さな実験室スケールで又は大きな産業的スケールで、ロール−トゥ−ロール(roll−to−roll)プロセス等で、行うことができる。
【0045】
基材アセンブリ302を、エマルションコーティング工程306に供給する。エマルションコーティング工程306で、エマルション307を、基材アセンブリ302の表面310に適用する。
【0046】
エマルション307は、上述のとおり、好ましくは油中水型エマルションであり、これには、そのエマルションの有機相中に分散した導電性ナノ粒子、及び水相にフィラー材料、例えばPEDOT:PSSを有する。その粒子と形成に所望な溶媒とを混合して、その分散を、機械的攪拌、ボールミル混合、及びホモジナイザー又は超音波混合により得ることができる。
【0047】
そのエマルション307を、エマルションコーティング工程306で、任意の適切な技術、例えばダイコーティング(die−coating)、バーコーティング(bar−coating)、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、グラビア印刷、ロールコーティング及びブレードコーティングにより適用できる。エマルション307を、基材アセンブリ302のその表面310に適用して、1〜200μmの厚みの、好ましくは5〜200μmの厚みのウェットのエマルションを得るはずである。
【0048】
エマルションを表面に適用するステップが、コーティング器具による表面の直接接触なしで実行できることは、本発明の特別の特徴である。例えば、ナイフギャップコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、スロットダイコ―ター又はカーテンコーターを用いたコーティングは、そのコーティング器具による基材表面310に直接的な接触を必要としない。これは、典型的には基材との直接的な接触を伴うスクリーン印刷、グラビア印刷、及びバーコーティングとは対照的である。非接触印刷技術を使用する場合、基材310上に存在する繊細な又は微妙な特徴が、比較的少ない損傷又はひずみとなる傾向がある。
【0049】
エマルション307を表面310に適用した後、参照番号312に示すように、周囲より高い温度の適用を用いて又は用いないで、その溶媒をエマルション307から気化する。好ましくは、参照番号314に示すように、残留コーティングを、約室温から約850℃の範囲内の温度で焼結して、それによりTCC層320をその表面310上に与える。焼結は、好ましくは大気圧で行う。
【0050】
あるいは又はこれに加えて、参照番号314で示す全て又は一部の焼結プロセスは、焼結プロセスを誘導する化学物質の存在下で行うことが出来る。適切な化学物質の例としては、ホルムアルデヒド又は酸、例えば、蟻酸、酢酸及び塩酸が挙げられる。その化学物質は、堆積した粒子が露出されるする蒸気又は液体の形態であってもよい。あるいは、そのような化学物質を、堆積の前にナノ粒子を含む組成物に組み込んでも良く、又は基材上に粒子を堆積した後で、そのナノ粒子の上に堆積しても良い。
【0051】
本方法は、参照番号316で示すように、焼結後処理ステップを有してもよい。ここで、その電極層920を、さらに焼結し、アニールし、又は熱、レーザー、UV、酸若しくは他の処理、及び/若しくは化学物質(たとえば金属塩、塩基、イオン性液体)への露出を用いた他の後処理をしてもよい。その処理したTCC層320を、水又は他の化学洗浄溶液、例えば、酸溶液、アセトン、又は他の適切な液体で洗浄しても良い。コーティングの後処理を、バッチプロセス装置又は連続コーティング装置により、小さな実験室スケールで又は大きな産業スケールで、ロール−トゥ−ロールプロセス等で、行うことがある。
【0052】
TCC層320を、0.005Ω/square〜5KΩ/square、好ましくは50ohm/sq未満、より好ましくは20ohm/sq未満、そして最も好ましくは10ohm/sq以下の焼結後シート抵抗により特徴付ける。シート抵抗を、TCC層320の電気めっきのような技術を用いて、さらに低下させても良い。
【0053】
TCC層320の形成が、約350℃までの温度での低温堆積及び処理手順を使用してもよいことも、本方法の特別の特徴である。低温液相プロセスは、特にTCC層を大きなスケールの表面上に形成している場合に比較的低いコストで実行でき、また感熱基材、例えばある種のポリマーの基材の使用を可能にする。
【0054】
異なるセルサイズを得るため、且つセルサイズを調節して特定のデバイスに対する最適化した性能を得るために、TCC層320の形成を制御してもよいことも、本発明の方法の特別の特徴である。基材上に下塗りを使用した後、TCCを形成してセルサイズを制御することの説明を、以下の例1〜5に示す。
【0055】
図3に示したように、単一ステッププロセスでエマルション配合物中のフィラー材料を適用することの代替手段では、コーティングの形成後に、そのフィラー材料を、通常の方法、例えば、溶液からの堆積、上記の任意の方法によるコーティング、及び直接印刷(例えば、インクジェット印刷又はロール−トゥ−ロール印刷)により適用することができる。他の堆積及び特徴形成の方法、例えば、蒸着、リソグラフィー、光学リソグラフィー、エッチング、可溶化、減圧昇華、減圧気化による金属堆積、スパッタリング、イオン照射、電気めっき、無電気めっき、レーザーパターニング、レーザーアブレーション又はこれらの組み合わせを、適用するフィラー材料に応じて用いることができる。
【0056】
TCC除去工程322で、TCC層320を、基材アセンブリ302から分離して、分離した又は自立性のTCC層326を形成する。TCC層320の基材アセンブリ302からの分離を、物理的な方法、例えば、剥離、ピーリング、ナイフ分離若しくは浮遊、又は化学的方法、例えば、離型剤の溶解若しくは加熱により行っても良い。離型剤若しくは離型層の存在又は接着剤の不在を用いて、電極層320の除去をすることもできる。
【0057】
本発明の方法は、参照番号328で示すように、変形ステップを含んでもよい。ここでは、導電性配線のパターン内の光透過域の形状を変更するように、TCC層326を引き伸ばし又は変形させる。例えば、引き伸ばしは、パターン340によって示すように、パターン中のセルのアスペクト比を配向及び増加することができる。
【0058】
パターン320又は340を有する分離したTCC層326を、他の一つの基材330、例えば光起電デバイスとして後に使用するための半導体アセンブリに移転してもよい。その半導体基材アセンブリ330は、半導体基材331を含み、これはTCC層333をそこに形成させた図1及び図2に示す半導体基材と類似している。参照番号316と関連して上述したように、追加の処理ステップを、参照番号336で示すように実行することができる。
【0059】
例1〜5と共に残りの記載は、エレクトロルミネセントデバイス中で透明電極として用いる本発明の物品をさらに説明し且つ示すだろう。
【0060】
エレクトロルミネセントデバイスは、通常はAC電圧による電源を使用して、蛍光層内で変化する電場を与え、これが蛍光体を発光させる。蛍光体は、典型的には、固有の波長で蛍光を発し、それにより特定の色の光を発する粉体である。蛍光体の粒子サイズを、典型的には選択して、高効率の発光を得る(参照:DuPont出版 L−1233,06/00,”Processing Guide for DuPont LuxPrint Electroluminescent Inks”)。
【0061】
本発明の物品を、様々なエレクトロルミネセントデバイス及び、これに限定されないが、発光ダイオード(OLED及びPoly−LEDを含む)、電子ペーパー、外部照明及び車内照明を含む様々な用途に用いても良い。そのようなデバイスは、フレキシブルでも硬くても良い。
【0062】
エレクトロルミネセントデバイスは、多くの層を含み、例えば、そのようなデバイスは、これらに限定されないが、次の層を含んでもよい:基材、透明導電性電極層、蛍光体層、誘電体層(又は「絶縁」層)、及び典型的には、必ずしもそうではないが、少なくとも部分的に不透明な対電極。あるいは、そのデバイスを、基材が対電極に隣接するように組み立てても良い。
【0063】
エレクトロルミネセントデバイスの一部として適当であり、且つ光透過導電性電極として本明細書に記載したタイプの透明導電性コーティングを含む構造の実施態様を、図4に示す。図4において、TCC層を、基材の上に配置しており、そして蛍光体層をTCC層の上部に配置しており、続いて蛍光体層の上に誘電体層、そして対電極を誘電体層の上部に配置している。カプセル化防護層を、対電極上に配置していても良い。TCC層と蛍光体層との間の誘電体層を、そのような構造中に含んでいても良い。誘電体層の典型的な機能としては、電場を安定させること、ショートからデバイスを防ぐこと、蛍光体層への物質の拡散を防ぐこと、より効率的に印加電場を伝えること、及び光を反射することが挙げられる。
【0064】
エレクトロルミネセントデバイスでの使用に関して好ましいフィラー材料は、透明導電性材料である。特に好ましいものは、透明な金属酸化物(例えば、インジウム−スズ酸化物及びアンチモン−スズ酸化物)及び導電性ポリマー(例えば、PEDOT、PEDOT/PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール並びにこれらの混合物及びこれらの誘導体)である。これらフィラー材料を、様々な形態、例えば、限定されないが、粒子、溶液又はゲル粒子で与えてもよい。それらを、任意の様々な公知の方法、例えば、限定されないが、スパッタリング又は溶液からの堆積により適用してもよい。フィラー材料を適用する最も好ましい方法は、導電性ポリマーの場合には特に、エマルションの水相中に材料を含ませて、そしてTCC層及びフィラーを、単一のステッププロセスでコーティングすることである。あるいは、ポリマー前駆体、例えば、モノマー、オリゴマー、及びポリマーブロックを、その配合中に組み込んでもよく、そしてその後のステップ中で、コーティングした後にその場で(in−situ)重合させてもよい。
【0065】
追加の誘電体層が、透明導電性電極層と蛍光体層との間に存在してもよい。任意的に、追加の透明導電性層が、第一の透明導電性電極層の上部に堆積又は存在してもよい。そのような層は、その下にある層に平滑化機能を与える。機能して機械的又は環境的な防護を与える追加の層も、そのデバイスに、特にそのデバイスの最外部層に、存在してもよい。それは例えば、基材の反対側のデバイスの側のカプセル化材料を含む層である。
【0066】
エレクトロルミネセントデバイスに関して、透明導電性電極層に関するシート抵抗は、典型的には400ohm/sq未満、好ましくは250ohm/sq未満、より好ましくは100ohm/sq未満である。この層の光透過率(「透明度」)は、典型的には75%超である。導電性パターン線により分離されている光透過セルを有する、ネットワーク状のパターンを持つ透明導電性電極を用いる本明細書に記載した技術では、シート抵抗は、典型的には50ohm/sq未満、好ましくは10ohm/sq未満、そして5ohm/sq未満のシート抵抗の層についての値でさえも普通に得られる。透明電極上に銀母線を印刷する必要性が、それにより排除される場合がある。これらシート抵抗の値は、典型的には60ohm/sq超であるITOのそれに匹敵するものとなることができる。
【0067】
好ましい実施態様において、TCC電極のネットワーク状パターン内の光透過セルの平均サイズは、蛍光体層中の蛍光体粒子のサイズのオーダーであり、すなわち、そのセルサイズは、好ましくは蛍光体粒子の平均サイズの約3倍以下であり、そしてより好ましくは蛍光体粒子のサイズの2倍以下である。このサイズの比率は、電極間により生成する電場によって蛍光体粒子を励起させるために有利である。そのセルサイズの効果は、TCCセルを透明導電性フィラー材料で充填する場合に、不明確になると思われる。
【0068】
本発明に従って作るエレクトロルミネセントデバイスは、さらに誘電体層を含む。この層は、商用のスクリーンプリントした厚膜ペースト、例えば、デュポン(Dupont)のLuxprint8153から形成してもよい。適切な誘電体としては、これに限定されないが、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、又はニオブ酸鉛が挙げられる。
【0069】
ELデバイスの蛍光体層は、蛍光体粒子を含み、これは高強度の交流電場を与えた場合に蛍光性となり、そして白、青緑、黄緑、又は他の色を与える。そのような粒子は、サプライヤー及び製造者、例えば、これらに限定されないが、デュポン、アチソン(Acheson)、東芝、又はシルバニア(Sylvania)により提供される。それらを、多数の材料、例えば酸化物、硫化物、セレン化物、ハロゲン化物、若しくは亜鉛、カドミウム、マンガン、アルミニウム、シリコンのケイ酸塩、若しくは様々な希土類金属若しくは遷移金属の化合物、又はこれらの組み合わせから作る場合がある。その材料としては、これらに限定されないが、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属カルコゲニド、又はこれらの組み合わせ、例えば、金属オキソハライド、金属ケイ酸塩、金属ホウ酸塩、金属リン酸塩、金属アルミン酸塩、金属硫化物が挙げられるであろう。活性剤を、同じリストから選択してもよく、またホスト材料に添加して放射時間を延ばす場合がある。あるいは、消失材料、例えばニッケルを用いて残光を消光することができ、また減衰時間を短縮することができる。蛍光体材料の特定の例としては、これらに限定しないが、硫化亜鉛、硫化亜鉛銀、硫化カドミウム、ユウロピウムで活性化した酸化硫化イットリウム、アルミン酸ストロンチウムが挙げられる。蛍光体粒子をカプセル化して、環境要因、例えば水分から防護してもよく、又はそれらをカプセル化しなくてもよい。蛍光体粒子は、約0.05μm〜約50μmの平均公称寸法を典型的には有し、好ましくは約10μm〜約40μmの平均公称寸法を有する。他の発光材料、例えば発光ポリマーも、上述の蛍光体粒子タイプの代わりに又は上述の蛍光体粒子タイプと組み合わせて用いられてもよい。米国特許第7,361,413号で述べられているように(参照して本明細書の記載に含める)、薄膜発光材料及び発光ポリマー等の蛍光体粒子及び発光材料を、本発明の蛍光体層中で用いてもよい。
【0070】
一般的に、電場は、印加電圧に比例し、電極分離距離に反比例する。それゆえ、明るさを、電圧を上げることにより又は電極間の層の合計の厚みを最小化することにより、向上させることができる。
【0071】
ELデバイスの第二の電極は、典型的には不透明又は部分的に不透明である。それは、層の領域を完全に被覆していてもよく又は部分的に被覆していてもよい。第二の電極を、任意の知られた方法、例えば、限定されないが、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スパッタリング又はコーティングによって、導電性インクを堆積させて形成してもよい。そのインクは、導電性カーボン若しくは銀、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。スクリーン印刷された銀母線は、本技術分野では周知であり、典型的には第二電極のためにカーボンコーティングと併用する。好ましい実施態様において、導電性インクはナノ銀粒子を含み、例えばシーマナノテク(Cima Nanotech)製の商用に得られるIJ242−54インクがある。
【0072】
カプセル化層をELデバイス中に与えて、水分又はガスの浸入を防護してもよく、又は安全のために若しくは絶縁目的のために、それを与えてもよい。フレキシブルデバイスの透明側にあるカプセル化層を、材料、例えば、限定されないが、バリアフィルム又はポリマー材料によって与えてもよい。ガラス及び他の硬い透明なバリア材料と共に、これらの材料を、非フレキシブルデバイスに対してバリアを与えるために用いてもよい。そのデバイスの不透明側に関して、その材料は、任意の適切なバリア材料になってもよい。カプセル化層に、UV硬化成分、例えば、UV活性化オリゴマー、モノマー、及び光開始剤を含ませてもよい。
【0073】
加えて、エレクトロルミネセントデバイスのためには、電源が必要とされる。電源は、直流(DC)又は交流(AC)であってもよい。好ましくは、電源は、30〜200V、50〜1000Hzの範囲内のACであり、例えば、80〜120V及び400HzのAC電圧源、又は標準の110V及び60Hzの電源である。
【0074】
本明細書に記載した任意のデバイスに関して、その複合のデバイスは、フレキシブルな場合又は硬い場合があり、且つ測定可能な特性、例えば、これらに限定されないが、照明の領域(例えば、寸法、形状、被覆割合)、輝度(又は「明度」若しくは「明るさ」、典型的にはフィートランバートfL又は単位平方メートル当たりのカンデラcd/mで測定する)、照度、時間の関数としての明るさ、電流、静電容量、消費電力、効率(例えば、ルーメン/ワットで表現する)、層接着、消費電力、発熱、振動及び衝撃の耐性の点から特徴付けてもよい。明るさの特性を、参照、例えばITO参照と比較して典型的には測定する。
【0075】
本発明の特定の特徴は、60cm超の面積、及びさらに1m若しくは2m超の面積を有する、比較的大きなELデバイスを作ってもよいことであり、これは特に上記の電極材料の低いシート抵抗に起因している。さらに、本発明の透明導電性電極では、このサイズのデバイスの幅及び長さにわたっておおよそ同じ明るさを、明確な母線のない状態で得ることがある。
【0076】
エレクトロルミネセントデバイスの電極を提供する目的のための透明導電性コーティングの堆積は、その配合の成分を選択するステップ、選択した分散成分を混合するステップ、分散体からエマルションを作るステップ、生成する配合物を、選択した基材上で選択したウェットの厚さにコーティングするステップ、そしてコーティングを乾燥して溶媒を除去するステップを含む。
【0077】
成分の混合を、任意の周知の方法、例えば、限定されないが、機械的攪拌、ボールミル混合、ホモジナイザー、又は超音波混合装置により行ってもよい。混合する順番、時間、及び温度を、各配合に対して最適化することができる。
【0078】
TCCの配合物を、様々な特性に関して、形成中及び形成後、保存中、コーティング前及びコーティング中に試験し、そして特徴付けてもよい。そのような試験としては、これらに限定されないが、粒子サイズ分布、粘度、金属負荷、表面張力、安定性及び沈降が挙げられる。その方法は、コーティング媒介体又は最終の配合物を使用するまで保存するプロセス、並びに、堆積前に加熱する且つ/又は混合するプロセスをさらに含んでもよい。分散体及びエマルションの平均粒子サイズは、好ましくは使用前の保存期間の間、安定である。
【0079】
エマルションを、選択した基材に、バッチコーティング装置及びプロセス又は連続コーティング装置及びプロセスの手段により、直接的にコーティングしてもよい。上述のように、そのコーティングする基材を、前処理してもよい。
【0080】
本発明のコーティング及びデバイス組立ての段階を、バッチプロセス装置又は連続コーティング装置により、小さな実験室スケールで又は大きな産業的スケールで、ロール−トゥ−ロールプロセス等で、実行してもよい。コーティングの堆積を、本分野に周知の、任意の様々な印刷技術又はコーティング技術、例えば、限定されないが、インクジェット印刷、スクリーン印刷、及びバー塗布(bar spreading)により実行してもよい。コーティングによる堆積を、接触又は非接触のコーティング、例えばハンドコーター、ディップコーター、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、押出コーター、カーテンコーター又は任意の他の周知のコーティング機器若しくは計測機器によるコーティングで行うことができる。コーティングは、シングルパスプロセス又はマルチパスプロセスを伴う場合がある。ウェットコーティングの厚みは、好ましくは100μm未満、より好ましくは60μm未満である。
【0081】
本発明の一実施態様において、本発明のコーティング方法は、単一層の電極の堆積を伴う。ここで、その電極は、透明導電性材料、例えば導電性ポリマー又は金属酸化物を、光透過性セル領域中に含む。好ましい実施態様において、コーティングのための材料を、ワンステップワンポットプロセス中(one−step one−pot process)で全て堆積して透明導電性層を与える。この層は、透明導電性材料を光透過セル領域中に有する。
【0082】
TCCコーティング配合物での基材又は下層のコーティング後、その溶媒を、気化により、例えば室内条件での乾燥又は熱処理により、除去する。UV硬化成分を、その配合物中で活用するならば、コーティングした配合物を、その後、重合、硬化、及び/又は固化のためにUV光源に暴露する。
【0083】
硬化、焼結、パターニング、接着又は他の特性の改善のためのコーティング後の処理ステップを、その後、例えば熱、レーザー、マイクロ波、紫外線若しくは化学暴露ステップ又はこれらの組み合わせにより、さらに適用することがある。コーティング後の洗浄ステップを、例えば水及び/又は他の化学洗浄溶液で洗浄することにより、適用してもよく、例えば、限定されないが、酸溶液、アセトン、又は他の有機溶媒の洗浄ステップがある。シート抵抗を、技術、例えばTCC層の電気めっきを用いて、低下させる場合もある。
【0084】
コーティングの後処理を、バッチプロセス装置又は連続コーティング装置により、小さなラボスケール又は大きな産業スケールで、ロール−トゥ−ロールプロセス等で、実行することができる。
【0085】
所望のELデバイスの基材又は他の一つの適した層上へのTCC配合物の堆積後、その生成する透明電極層を、様々な測定可能な特性、例えば、限定されないが、ドライフィルムの厚み、表面の均質性、電気的シート抵抗、体積抵抗、表面エネルギー、接着性、平均セルサイズ、セルサイズ分布、線高さ、線厚み、光透過率、ヘイズ、耐候性、伸張性、フレキシビリティ、ねじれ耐性、曲げ耐性、疲労耐性、及び引掻き耐性、摩擦耐性、圧延耐性、加圧耐性、又は他の機械的操作の耐性の点から特徴付けてもよい。
【0086】
デバイスの追加の層又は特徴、例えば蛍光体層、誘電体層、又は対電極の層等を、様々な技術により堆積してもよい。これらの技術としては、限定されないが、上述の任意の方法による印刷若しくはコーティング、又はスパッタリング、溶液からの堆積、蒸着、リソグラフィー、エッチング、可溶化、減圧昇華、減圧気化による堆積、イオン照射、電気めっき、無電気めっき、レーザーパターニング、レーザーアブレーション、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの方法は、与えた材料の単一又は複数のパスを伴ってもよい。その追加の層又は特徴を、バッチプロセス装置又は連続コーティング装置により、小さな実験室スケール又は大きな産業スケールで、ロール−トゥ−ロールプロセス等で、適用してもよい。一般的に、欠陥、例えばピンホールは、層を堆積する場合に、避けるべきである。
【実施例】
【0087】
本発明を、以下の限定しない実施例によりさらに説明する。実施例1〜5のエレクトロルミネセントデバイスに関して報告されている明るさの値を、80ohm/sqのITO標準対照サンプル(PET上のITO、Cat.#TMOx−80−ST504−7、SKC、韓国)との相対的なパーセントで与える。
【0088】
比較例1:フィラー材料のないELデバイス(41μmのセルサイズ)
【0089】
以下の配合を有する透明導電性コーティング層を、米国特許出願2005/0215689に記載された方法に従って用意した:
【表1】

その基材は、光学グレードのPET基材(Skyrol SH34、SKC、韓国)であった。フィルムのTCCコーティング側の上部に、蛍光体層(E80−01ELペースト、Mobichem、イスラエル)を配置し、続いて誘電体層(D80−01誘電体ペースト、Mobichem、イスラエル)及び対電極(EL16、Acheson)を配置するようにして、フレキシブルELデバイスを組み立てた。結果として得られるELデバイスを、図4に概略的に示しているが、但しTCC層はフィラー材料を含まなかった。
【0090】
AC100V及び400Hzの電源に接続したとき、そのデバイスは、図5に示したように点灯した。TCCコーティングしたフィルムの特性、及び結果として得られるELデバイスの選択した特性を、下に表1に与える。TCC電極層の平均セルサイズは、41μmであり、且つITO標準対照に対するそのデバイスの明るさは、41.3%だった。
【0091】
比較例2:フィラー材料のないELデバイス(202μmのセルサイズ)
【0092】
下記の配合を有する透明導電性コーティング層を、米国特許出願2005/0215689に記載された方法に従って用意した:
【表2】

その基材は、東レから入手した光学グレードのPET基材(Toray Lumirror U46)であり、これは、アセトン溶液中の0.28wt%のポリ[ジメチルシロキサン−co−[3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピル]メチルシロキサン](Aldrich Cat.No.480320)及び0.60wt%のSynpersonic NP30(Fluka Cat.No.86209)からなる下塗液でコーティングされていた。材料を手で振って混合した。約3mlの材料を、基材材料の8.5インチ×11インチのサンプルの一端にわたって堆積し、そしてワイヤーをまきつけた棒を用いてフィルムにわたって引きおろして、名目上12μmの厚みの(ウェット)コーティングを生成した。そのサンプルを、室温及び部屋の湿度条件で約1分間、乾燥させた。TCC層は、202μmの平均セルサイズを有していた。それを用いて、比較例1と同じ一般構造を有するELデバイスを作った。その明るさは、ITO標準対照と比較して20.3%であった。これは、比較例1のデバイスの明るさよりも顕著に低い。比較例1の比較的小さな平均セルサイズは、蛍光体とおおよそ同じサイズであるが、この例の比較的大きなセルサイズは、平均蛍光体サイズの4倍以上である。
【0093】
実施例3:ATOフィラー材料を有するELデバイス
【0094】
比較例2で用いられたTCCコーティング及び基材を用いて、他の一つのフレキシブルELデバイスを組み立てた。ここで、ATOペースト(AT80−01クリアな導電ペースト、Mobichem、イスラエル)を、25〜30μmのウェット厚みで、TCCコーティング上にコーティングした。それにより、その光透過セルをATOで充填する。乾燥後、蛍光体層を配置し、続いて誘電体層と対電極を配置する。結果として得られるELデバイスを、図4に概略的に示す。
【0095】
AC100V及び400Hzの電源に接続したとき、そのデバイスは、図6に示したように点灯した。TCCコーティングしたフィルムの特性、及び結果として得られるELデバイスの選択した特性を、表1の実施例3で与える。TCC電極層の平均セルサイズは、202μmであり、且つITO標準対照に対するそのデバイスの明るさは、71.7%だった。この明るさの値は、比較例1及び比較例2の両方のサンプルと比較して改善している。
【0096】
実施例4:ATOフィラー材料を有するELデバイス(204μmのセルサイズ)
【0097】
比較例2と同じ配合の透明導電性コーティング材料を、比較例2に記載されているように、下塗剤で最初に処理した光学グレードのPET基材上に用意した。フレキシブルELデバイスを、このコーティングしたフィルムを用いて組み立てた。ここでは、フィルムのTCCコーティング側上にATO溶液を15〜17μmのウェットの厚みでコーティングした。そのATO材料は、少なくとも部分的に、TCCパターンの光透過セル領域を充填した。乾燥後、蛍光体層を配置し、続いて誘電体層及び対電極を配置した。生成するELデバイスも、図4に概略的に示している。
【0098】
AC100V、400Hzの電源に接続したとき、そのデバイスは図7に示したように点灯した。TCCコーティングしたフィルムの特性、及び生成するELデバイスの選択した特性を、表1の実施例4で与える。TCC電極層の平均セルサイズは、204μmであり且つITO標準対照に対するそのデバイスの明るさは、87.7%だった。この明るさの値は、比較例1及び比較例2及び実施例3のサンプルと比較して改善している。
【0099】
実施例5:PEDOT:PSSフィラー材料を有するELデバイス(56μmのセルサイズ)
【0100】
以下のエマルション配合物を用意した:
【表3】

水、ドデシル硫酸ナトリウム及び水相中のBaytron成分を用意し、そしてPET基材(Skyrol SH34、SKC,韓国)上にコーティングして、単一のステップで、TCC電極層を形成した。ここで、その光透過セル領域は、PEDOT:PSS導電性ポリマーを含む。その後、TCCコーティング上に、蛍光層を配置し、続いて誘電体層及び対電極を配置するようにして、フレキシブルELデバイスを作った。結果として得られるエレクトロルミネセントデバイスを、図4に概略的に示している。
【0101】
AC100V及び400Hzの電源に繋げたとき、そのデバイスは、図9に示したように点灯した。TCCコーティングしたフィルムの特性、及び生成するELデバイスの選択した特性を、表1の実施例5で与える。本実施例のTCC電極層の平均セルサイズは、56μmであり、且つそのデバイスの明るさは、62.6%であり、比較例1及び比較例2より改善していた。
【表4】

【0102】
実施例6(TCCコーティングの移転)
【0103】
透明導電性コーティングを一つの基材上に形成し、絶縁性/接着性材料で充填し、そして他の一つの基材に移転し、次の方法に従って実質的に平坦な露出した表面を得た。
【0104】
4milの厚みのポリエチレンテレフタレート(Toray Lumirror U46)の基材を用いた。その基材上で下塗層を堆積した。その下塗剤は、0.28wt%のポリ[ジメチルシロキサン−co−[3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピル]メチルシロキサン](Aldrich Cat.No.480320)及び0.60wt%のSynpersonic NP30(Fluka Cat.No.86209)のアセトン溶液からなる。約3mlの材料を、基材材料のサンプルの8.5インチ×11インチの試料の一端にわたって堆積し、そしてワイヤーを巻き付けた棒を用いて、フィルムにわたって引きおろして、名目上12μmの厚みの(ウェットの)コーティングを生成した。そのサンプルを室温及び部屋の湿度条件で約1分間乾燥させた。
【0105】
エマルションを、超音波分散システムを用いて、以下の材料を完全に混合することにより作った。
【表5】

上の表のその水相系はそれ自身、BYK348の0.02wt%溶液を水中に含む。
【0106】
約3mlの材料を、下塗剤でコーティングしていた基材材料のサンプルの8.5インチ×11インチの一端にわたって堆積し、そしてワイヤーを巻き付けた棒を用いて、フィルムにわたって引きおろして、名目上30μmの厚みの(ウェットの)コーティングを生成した。そのサンプルを室温で及び部屋の湿度条件で約90秒間乾燥させた。次に、オーブンに150℃で2分間置いた。
【0107】
この段階で、PET基材上の透明導電性フィルムを生成した。一連のステップは、充填及びフィルムの移転を可能にする。
【0108】
LUV04の溶液(Today’s Suntech、台湾)(酢酸エチル中にアクリル性モノマー及び光開始剤からなる32.17%固形分−PET上にハードコートを作るための溶液)を、Mayer rod#10を用いたU46の第二基材上に適用した。このコーティングから溶液を実験室のフード中で乾燥したあと、このコーティングした基材を150℃で30秒間過熱した。
【0109】
LUV04をコーティングした基材及び透明導電性メッシュ基材を、Prolam Photo 6 Roller Laminatorを用いて、共に積層した。積層条件は、130℃及び積層装置スピード6であった。積層したサンプルを、次に254nmの波長のUV光源下で5分間硬化した。UV硬化後、フィルムを手動で引き剥がした。その透明導電性コーティングを、LUV04コーティング基材上に移転したが、そのパターンのセルは、接着性材料で充填された状態であった。この移転したフィルムを、UV光源下に再度追加の5分間置いて、LUV04成分の重合を完了した。そのサンプルを、その後1MのHCl溶液中に1〜2分間浸し、脱イオン水で洗浄し、そして150℃で2分間乾燥した。移転したサンプルのシート抵抗は、4〜10Ω/□であった。全てのサンプルが、テープテスト後及びペンによる引掻き後も、その抵抗に変化を示さなかった。
【0110】
異なる基材に移転した、接着剤からなるフィラーを有する、透明導電性材料の走査電子顕微鏡写真が、図9にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている導電性配線のネットワーク状パターンを含み、且つ前記導電性配線が光に略透明な不規則形状のセルを画定している物品であって、少なくとも前記セルの一部が少なくとも部分的に透明なフィラー材料で充填されている物品。
【請求項2】
前記フィラー材料が、導電性である、請求項1の物品。
【請求項3】
前記フィラー材料の抵抗が、10〜10ohm/sqの範囲内である、請求項2の物品。
【請求項4】
前記フィラー材料が、金属酸化物を含む、請求項2の物品。
【請求項5】
前記金属酸化物が、インジウム−スズ酸化物又はアンチモン−スズ酸化物である、請求項4の物品。
【請求項6】
前記フィラー材料が導電性ポリマーを含む、請求項2の物品。
【請求項7】
前記導電性ポリマーが、PEDOT、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、又はこれらの誘導体若しくは混合物である、請求項6の物品。
【請求項8】
前記フィラー材料が、カーボンナノチューブ、又は金属ナノ粒子若しくはナノワイヤーの低密度マトリクス若しくは配列を含む、請求項2の物品。
【請求項9】
前記フィラー材料が、非導電性又は半導体性である、請求項1の物品。
【請求項10】
前記フィラー材料が、高誘電率材料である、請求項1の物品。
【請求項11】
前記フィラー材料が、反射防止材料を含む、請求項9の物品。
【請求項12】
前記反射防止材料が、ガラスフリット、ガラス球、窒化シリコン、一酸化シリコン、二酸化チタン、又は酸化亜鉛を含む、請求項11の物品。
【請求項13】
前記フィラー材料が接着剤である、請求項1の物品。
【請求項14】
前記接着剤が、エポキシ又はUV硬化アクリレートを含む、請求項12の物品。
【請求項15】
前記フィラー材料が、摩擦耐性、引掻き耐性、耐水性又はこれらの任意の組み合わせである、請求項1の物品。
【請求項16】
前記物品の一つの表面を被覆する少なくとも一つの基材層をさらに有する、請求項1の物品。
【請求項17】
前記物品が、フレキシブルである、請求項16の物品。
【請求項18】
前記フィラー材料が、完全に前記セルを充填し、そして前記セルの上方に広がっている、請求項1の物品。
【請求項19】
前記フィラー材料が、前記セルの上部以下の水準まで充填している、請求項1の物品。
【請求項20】
請求項1の物品、蛍光体層、誘電体層、及び対電極を含む、エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項21】
導電性ナノ粒子を含有する連続体相及びフィラー材料を含有する不連続体相を有するエマルションを含む液体コーティング組成物であって、前記エマルションは、基材上にコーティングしたときに、透明導電性コーティングを形成し、前記透明導電性コーティングが、少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている配線のネットワーク状パターンを含み、且つ前記配線が、光に略透明な不規則形状のセルを画定しており、且つ前記セルの少なくとも一部が、前記フィラー材料により充填されている、液体コーティング組成物。
【請求項22】
前記連続相が、水に非混和性の溶媒を含み、且つ前記不連続相が、水又は水に混和性の溶媒を含む、請求項21の組成物。
【請求項23】
前記ナノ粒子が、銀、銅、カーボン、グラファイト、又はこれらの混合物若しくはアロイを含む、請求項22の組成物。
【請求項24】
前記フィラー材料が、導電性である、請求項22の組成物。
【請求項25】
前記フィラー材料が、導電性ポリマーを含む、請求項24の組成物。
【請求項26】
前記導電性ポリマーが、PEDOT、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、又はこれらの誘導体若しくは混合物である、請求項25の組成物。
【請求項27】
請求項20の液体コーティング組成物を、基材の表面に適用するステップ、及び前記コーティング組成物を乾燥するステップを含む、請求項1の物品の製造方法。
【請求項28】
さらに焼結ステップを含む、請求項27の方法。
【請求項29】
前記基材から前記物品を除去するステップをさらに含む、請求項28の方法。
【請求項30】
第二の基材に前記物品を適用するステップをさらに含む、請求項29の方法。
【請求項31】
次のステップを含む、請求項1の物品の製造方法:
a.導電性ナノ粒子を含有する連続相を含む液体エマルションを、基材の表面に適用するステップ;
b.前記エマルションを乾燥し、そして透明導電性コーティングを形成するステップであって、前記透明導電性コーティングが少なくとも部分的に結合したナノ粒子で形成されている配線のネットワーク状パターンを含み、前記配線が光に略透明な不規則形状のセルを画定しており、且つ少なくとも一部の前記セルが前記フィラー材料で充填されている、ステップ;及び
c.透明フィラー材料を適用して、前記コーティングの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するステップ。
【請求項32】
前記フィラー材料が、接着剤である、請求項31の方法。
【請求項33】
第二の基材を、前記第一の基材の反対側で、接着剤と接触させて、前記物品に接着させるステップをさらに含む、請求項32の方法。
【請求項34】
前記物品から前記第一の基材を除去するステップをさらに含む、請求項33の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−515003(P2011−515003A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539895(P2010−539895)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/087771
【国際公開番号】WO2009/086161
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507082699)シーマ ナノ テック イスラエル リミティド (7)
【Fターム(参考)】