説明

フィラー顔料

【課題】光沢がなく、よい皮膚感触と自然な外見を与える、小板状基材を基礎とした光安定性のフィラー顔料の提供。
は、特に化粧調合品のためのフィラー顔料に非常に適している。
【解決手段】硫酸バリウムと少なくとも2種の金属酸化物および/または金属水酸化物とで被覆された小板状基材を基礎としたフィラー顔料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸バリウムと少なくとも2種の金属酸化物および/または金属水酸化物とを含む層で被覆された小板状基材を基礎としたフィラー顔料に関する。これらのフィラー顔料は化粧品への使用に非常に適している。
【背景技術】
【0002】
特に化粧品に有用なフィラー粉末の製造のための出発原料として、薄片状の粉末、例えば、白雲母や絹雲母のような雲母、あるいはカオリンやタルクのような粘土物質を用いることは既知である。これらのフィラー粉末自体は、フェイスパウダー、メイクアップ等のようなさまざまな種類の化粧品に用いるために必要な特性、すなわち、粘着力および伸びを有していない。したがって、これらは従来、二酸化チタン、金属石鹸および/または炭酸カルシウムのような添加剤と混合されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
欧州特許公報EP0142695B1では、硫酸バリウムで被覆された雲母を基礎とした顔料が開示されている。これらの顔料は、その触覚および光学的特性のため、フェイスパウダーなどのようなファンデーションへの使用に適している。しかしながら、これらのフィラー顔料には光活性および白っぽい外観のような特有の不都合がある。
【0004】
本発明の目的は、光沢のない小板状基材を基礎とした光安定性のフィラー顔料を提供し、よい皮膚感触と自然な外見を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、光活性が低いかまたは全くないフィラー顔料が発見され、それは並外れた柔らかい皮膚感触に加えて、使用時の優れた進展性を有し、また、皮膚の自然な外観を支える隠蔽特性を示す。したがって本発明は、小板状基材が硫酸バリウムと少なくとも2種の金属酸化物および/または金属水酸化物とで被覆されていることを特徴とするフィラー顔料に関する。
【0006】
また、本発明は薄片状フィラー顔料の製造方法に関する。この有利な特性のため、本発明のフィラー顔料は、幾多の全く異なった用途に広く適している。したがって本発明は、化粧品、塗料、コーティング、プラスチック、フィルム、自由流動調合品および顆粒、ペレットなどのような乾燥調合品における、これらのフィラー顔料の使用方法にも関する。
【0007】
同様に本発明は、本発明によるフィラー顔料を含む化粧調合品、例えばメイクアップ、コンパクトパウダー、ルースパウダー、リップスティックなどに関する。このフィラー顔料は光拡散顔料として非常に適している。このことは、透明度、散乱および反射が均衡のとれた関係にあることを意味する。光を散乱させることでしわを極限まで見えにくくするため、フィラー顔料はメイクアップ、しわ取り製品および皮膚補正剤として非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のフィラー顔料は薄片状の基材を基礎とする。適切な基材は、天然もしくは合成雲母、フィロケイ酸塩、二酸化ケイ素、二酸化スズ、二酸化ジルコニウム、ガラス、酸化アルミニウム、二酸化チタン、フッ化マグネシウムおよび/または酸化鉄あるいはそれらの混合物の薄片である。本発明のフィラー顔料の基材は、好ましくは雲母(合成および天然)薄片、Al23薄片、ガラス薄片、タルク、カオリン、SiO2薄片、そして最も好ましくは雲母からなる。
【0009】
好ましいSiO2薄片は均一な層厚さを有し、好ましくは国際特許出願WO93/08237号公報に従って連続ベルト上での水ガラス溶液の凝固と加水分解により製造される。ここで「均一な層厚さ」とは、粒子の総乾燥層厚さに対して3〜10%、好ましくは3〜6%の層厚さの許容誤差であることを意味すると解される。この薄片状二酸化ケイ素粒子は一般に非晶形である。
【0010】
ベースとなる基材としては、滑らかな表面と高い透明さのためガラス薄片が好ましい。ベースとなる基材の大きさ自体は重要ではなく、個別の用途に合わせることができる。特に好ましいのは平均厚さ2μm未満のガラス薄片である。これより厚い薄片は概して、一般的な印刷工程および塗装仕上げ必要なときには用いることはできない。薄いガラス薄片は、厚さ1μmを超える厚い薄片に比べより良好な皮膚感触を与える。したがってガラス薄片の厚さは好ましくは1μm未満、特に0.9μm未満、特に非常に好ましくは0.7μm未満である。特に好ましいのは厚さが0.25〜0.7μmのガラス薄片である。ガラス薄片の直径は好ましくは20〜200μm、特に好ましくは10〜60μm、そして最も好ましくは40μm以下である。これらの寸法のガラス薄片は市販され、および/または既知の、例えばチューブブローイング(日本板硝子)、スピニング法(グラスフレーク社)のような製法で製造される。
【0011】
特に好ましいのはドープされたまたはドープされていないAl23薄片である。適切なAl23薄片としては、例えば日本国特許第3242561号公報(B)に開示されたものが挙げられる。
【0012】
基材の直径は通常100μm未満、好ましくは50未満そして最も好ましくは40μm以下である。厚みは50〜2000nm、好ましくは50〜1000nm、そして特に好ましくは50〜500nmである。
【0013】
薄片状基材の平均アスペクト比、すなわち平均長測定値(ここでは平均直径に相当する)の平均厚さ測定値に対する比は、通常2〜2000、好ましくは2〜1000、そして特に好ましくは2〜200である。
【0014】
基材上に硫酸バリウム層および/または金属酸化物層を塗布する前に、1.4<n<2.7(n=屈折率)である薄い誘電体層を任意に堆積させることもできる。この種の、例えばガラス薄片上の塗膜は、例えばSiO2層またはZnO層、好ましくは2〜20nmの厚さのSiO2層からなっていてもよい。
【0015】
本発明によるフィラー顔料は、基材を基準として硫酸バリウムを5〜200重量%、好ましくは5〜100重量%、そして最も好ましくは10〜50重量%含む。
【0016】
この硫酸バリウム層は少なくとも2種の金属酸化物と組み合わされる。硫酸バリウムと金属酸化物の重量比は、所望の特性、例えば隠蔽力およびフィラー粉末の色によって1:10〜5:1まで変化しうる。
【0017】
硫酸バリウム層が二酸化チタンを含む場合、二酸化チタンはアナターゼまたはルチル型でもよい。ルチルが好ましい形態である。このルチル層は欧州特許公報EP0271767号に記載の方法により製造することができる。
【0018】
好ましい金属酸化物/水酸化物はTiO2,SnO2,ZnO,Fe23,Fe34,SiO2,Al23,ZrO2および対応する水酸化物のほか、これらの組み合わせから選択される。
【0019】
さらに、硫酸バリウム層はカーボンブラックおよび/または有機もしくは無機着色剤でドープされていてもよく、その場合ドープ率はBaSO4層に対して10重量%を超えてはならない。
【0020】
好ましい実施形態では、さらにこのフィラー顔料は、カーミンレッド、プルシアンブルー、インダンスレンブリリアントローザ、1,4‐ジケト‐ピロロピロール誘導体、チオインディゴ‐、インディゴ‐、トリフェニルメタン‐、アゾ‐、アントラキノン‐、フタロシアニン‐もしくはインダンスレンの誘導体、Fe23,Cr23,BiVO4,CoAl24またはFe34の群から選択された着色剤で被覆されていてもよい。
【0021】
もしTiO2層が本質的にルチルからなる場合、好ましくはTiO2での被覆の前にSnO2核で全面もしくは部分被覆が行われる。この非常に薄いSnO2層は最大厚さが20nm、好ましくは10nm以下、最も好ましくは5nm以下である。このSnO2層は基材表面に単純な点として分布していてもよい。
【0022】
フィラー顔料の光安定性は、最終的なフィラー顔料の表面上のSiO2層によって向上させることができる。これらの顔料は、セルフ・タンニング化粧品でしばしば使用されるジヒドロキシアセトン(DHA)と全くあるいは少ししか反応しないというさらなる利点がある。
【0023】
ベースとなる基材は硫酸バリウムおよび少なくとも2種の金属酸化物を含む混合層で被覆されていてもよい。また、まず金属酸化物層をベースとなる基材上に、ついで硫酸バリウム層を、あるいは、まず硫酸バリウム層をベースとなる基材上に、ついで金属酸化物層を塗布することもできる。この金属酸化物層は少なくとも1種の金属酸化物からなる。金属酸化物層は少なくとも2種の異なる金属酸化物または異なる金属酸化物の2つの層からなる混合された金属酸化物層であってよい。一般的に、酸化物層と硫酸バリウムの順序はいかなるものでも可能である。
【0024】
好ましいフィラー顔料は以下の層構造を有する:
金属酸化物1と金属酸化物2は同一でもまた異なっていてもよい。好ましい実施形態では金属酸化物1と金属酸化物2とは異なる。
基材
第1層: BaSO4
第2層: 金属酸化物1
第3層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: BaSO4
第3層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: 金属酸化物2
第3層: BaSO4
または
基材
第1層: BaSO4+金属酸化物1の混合物
第2層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: BaSO4+金属酸化物2の混合物
または
基材
第1層: BaSO4+金属酸化物1+金属酸化物2の混合物
特に好ましいフィラー顔料は以下の層構造を有する:
基材+SnO2+TiO2+BaSO4
基材+SnO2の混合物+TiO2+BaSO4
基材+SnO2の混合物+TiO2+BaSO4+SiO2
基材+SiO2+TiO2+BaSO4
基材+SiO2+SnO2+BaSO4
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+カーミンレッド
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+プルシアンブルー
基材+SnO2+BaSO4/TiO2
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+SiO2
基材+BaSO4+SnO2+TiO2+SiO2
基材+Al23+BaSO4+SnO2+SiO2
基材+ZnO+Al23+BaSO4+SiO2
基材+Al23+BaSO4+SnO2
または
基材+ZnO+Al23+BaSO4
このフィラー顔料は基材粒子または基材粒子の混合物を水に懸濁させ、加水分解型のバリウム塩をそれぞれ少なくとも2種の異なる金属塩溶液または金属塩およびケイ酸塩溶液、好ましくはケイ酸ナトリウム溶液に加水分解に適したpHにおいて加え、硫酸バリウムおよび金属酸化物もしくは金属酸化物水酸化物が、基材上に直接沈殿し、2次的沈殿が起こらないように選択して製造される。pHは通常塩基および/または酸を定量加えながら同時に一定に保たれる。顔料を続いて分離し、洗浄し、一般的に50〜150℃で6〜18時間乾燥し、任意に5〜20分間されるが、ここで焼成温度は各々の場合に存在するコーティングに対して最適化することができる。一般的に、焼成温度は500℃と1000℃の間、好ましくは600℃と900℃の間である。所望により、顔料は硫酸バリウム塗膜の塗布後に分離し、乾燥および任意に焼成した上でさらに金属酸化物層を沈殿させるために再懸濁させることができる。
【0025】
硫酸バリウム層を製造するには、バリウムイオンを含む、例えば塩化バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウムのような水溶性のバリウム塩であればすべて用いることができる。価格の面の有利さ、入手しやすさおよび高い純度の点で塩化バリウムが好ましい。硫酸イオンを含む溶液を調製するには、すべての水溶性硫酸塩、例えばチタンオキシサルフェート、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、二硫酸ナトリウム、二硫酸カリウムだけでなく、硫酸自体をも用いることができる。
【0026】
用いる反応物質の量自体は特に重要ではない。特に、基材もしくは金属酸化物層上に沈殿する硫酸バリウムの量は、皮膚上での接着強度、伸びおよび透明度に関する所望の特性に依存して広範な限界内で変化させることが可能である。
【0027】
好ましくは、開始時の懸濁液は約5〜10重量%の薄片状基材を含み、硫酸イオン溶液およびバリウム塩溶液はそれぞれの塩を5〜25重量%含む水溶液として加えられる。好ましくは、バリウム塩は硫酸イオン1モルあたり0.8〜0.98 Ba2+モルの分量で用いられる。硫酸バリウムの被覆後、顔料を分離し、水で洗浄し、乾燥する。
【0028】
次の段階では硫酸バリウム層に加え金属酸化物または金属水酸化物も沈殿する。金属酸化物層は、好ましくは真珠光沢顔料の製造において開発されてきた湿式化学法により塗布される。この種の方法は、例えばドイツ特許DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE1522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354,DE3151355、DE3211602、DE3235017および他の特許文献、並びに他の当業者に公知の出版物に記載されている。
【0029】
上述した段階的な製造方法に代わるものとして、フィラー粉末は硫酸バリウムおよび金属塩を同時もしくは引き続いて沈殿させるワンポット法で行うことによって製造することも可能である。
【0030】
所望により、形成された顔料は着色剤により着色することもでき、また、フェイスパウダーおよび類似の調合品においてはこの目的のための従来からの添加剤とともに非常に有利に使用することができる。
【0031】
前記手順もしくは同等の手順を用いることにより、所望の強固に付着した被覆を得ることができる、すなわち、塗膜は顔料の通常の使用寿命を通じて基材上に残存する。少量の有色金属酸化物により顔料に特別な用途において魅力的な色の影を与えることができる。
【0032】
耐光性、耐水性、耐候性を向上させるために、出来上がったフィラー顔料を使用される分野によって後被覆もしくは後処理に付すことがしばしば推奨される。適切な後被覆もしくは後処理としては、ドイツ特許第2215191号、ドイツ特許公開公報DE−A3151354、DE−A3235017またはDE−A3334598に記載の方法が挙げられる。後被覆はさらに化学的および光化学的安定性を増し、あるいは顔料の取り扱い、特に様々な媒質中への混和を平易にする。ぬれ性、分散性および/または使用媒質との親和性を向上させるために、Al23もしくはZrO2あるいはそれらの混合物の機能コーティングを適用することが可能である。例えば欧州特許公報EP0090259、EP0634459、国際特許出願WO99/57204、WO96/32446、WO99/57204、米国特許US5,759,255、US5,571,851、あるいはJ.J.Ponjee、Philips Technical Review,Vol.44,No.3,81ff.およびP.H.Harding J.C.Berg,J.Adhesion Sci.Technol.Vol.11No.4,pp.471−493に記載されているような(有機)シラン類のような有機後被覆も可能である。
【0033】
本発明によるフィラー顔料は多目的のものであり、様々な分野で使用される。したがって、同様に本発明は化粧品、塗料、インク、印刷用インク、コーティング、プラスチック、フィルムと、自由流動顔料調合品および顆粒、ペレットなどの乾燥調合品の製造における本発明によるフィラー顔料の使用方法に関する。
【0034】
化粧品の場合、本発明によるフィラー顔料は特にスキンケア製品およびメイクアップ、パウダー、ルースパウダーなどのしわ取り製品に適している。
【0035】
着色される応用系におけるフィラー顔料の濃度は一般に0.5〜95重量%、好ましくは1〜80重量%そして特に5〜70重量%である。この値は個別の用途に依存するものであり、遊離粉末の場合90%にもなりうる。この調合品における本発明によるフィラー顔料の濃度には制限は設けられていない。好ましくは、調合品全体に対して本発明によるフィラー顔料を
‐ 乳液は0.1〜30重量%、特に1〜15重量%含有し、
‐ 顔料含有乳液は質感にもよるが0.1〜50重量%、特に1〜15重量%含有し、
‐ 練り歯磨きは0.1〜60重量%、特に1〜50%重量含有し、
‐ 水を含まない油/蝋ベース製品は0.1〜75重量%、特に0.5〜65重量%含有し、
‐ 粉末製品は0.1〜95重量%、特に1〜75重量%含有する。
【0036】
本発明によるフィラー顔料は装飾・ケア双方の化粧品に有利に使用することができる。
【0037】
このフィラー顔料はさらに市販の最先端のフィラーと混合することもできる。ここで言及されるフィラーとしては、例えば天然および合成雲母、ガラスビーズまたはガラス粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、純粋もしくは充填剤入りの樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛の酸化物もしくは水酸化物、BiOCl、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、窒化ホウ素並びにこれらの物質の物理的もしくは化学的組み合わせが挙げられる。フィラーの粒子の形については制限はない。これは要求により、例えば薄片状、球状、針状、結晶性もしくは非晶質とすることもできる。
【0038】
本発明によるフィラー顔料はもちろんいかなる種類の化粧品原料および助剤と調合品中で組み合わせることも可能である。これらにはとりわけ油、脂肪、蝋、塗膜形成要素、界面活性剤、例えばビタミンCやビタミンEのような抗酸化物質、安定剤、香料、シリコーン油、乳化剤、例えばエタノールまたは酢酸エチルもしくは酢酸ブチルのような溶媒、保存料、および助剤、これらは一般に使用時の特性を決定付けるもので、例えば増粘剤および例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ゼラチン、高分子炭水化物のような流動特性添加物、および/または界面活性助剤などが含まれる。
【0039】
本発明による顔料混合物を含む調合品は、親油性、親水性あるいは疎水性のタイプに属することができる。分離した水相および非水相を有する不均一調合品の場合、本発明による顔料混合物はそれぞれの場合において2相のうちの一方のみに存在していても、あるいは双方の相にまたがって分布していてもよい。
【0040】
この調合品のpHは1〜14、好ましくは2〜11、また特に好ましくは5〜8である。
【0041】
本発明による顔料はさらに化粧品活性成分と組み合わせることもできる。適切な活性成分としては、例えば、虫よけ、例えばTiO2のような無機UVフィルター、UVA/BC保護フィルター(例えばOMC、B3およびMBC)、またカプセル封入された形態で、抗加齢活性成分、ビタミンおよびその誘導体(例えばビタミンA、C、Eなど)、セルフ・タンニング剤(例えば DHA、とりわけエリスロース)、および例えばビサボロール、LPO、VTA、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、バイオフラボノイドおよびそれらの誘導体のような他の化粧品活性成分が挙げられる。
【0042】
有機UVフィルターは一般に化粧調合品中に0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%の分量で、および無機フィルターは0.1〜30重量%の分量で組み入れられる。
【0043】
加えて、本発明による調合品は従来からの皮膚保護もしくはスキンケア活性成分をさらに含んでもよい。これらは原則的には当業者に公知のいかなる活性成分であってもよい。特に好ましい活性成分はピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムの類である。
【0044】
化粧品への応用において、エクトインおよびエクトイン誘導体の、加齢、乾燥または炎症を起こした皮膚のケアへの使用は特に言及されるべきものである。したがって、欧州特許出願公報EP‐A‐0 671 161では特にエクトインおよびヒドロキシエクトインが、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、リップスティック、ルージュ、メーキャップ、ケアクリームおよびサンスクリーン組成物のような化粧用調合品に使用されていることが記載されている。
【0045】
言及されている化粧調合品の使用形態は、例えば:溶液、懸濁液、乳液、PIT乳液、ペースト、軟膏、ジェル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング組成物、油、エアロゾルおよびスプレーが挙げられる。他の使用形態の例としてはスティック、シャンプーおよびシャワー用調合品が挙げられる。所望の通例の賦形剤、助剤であればいかなるものをも、さらに所望により追加の活性成分を調製品に加えてもよい。
【0046】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、通例の賦形剤、例えば動物性および植物性の脂肪、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。パウダーおよびスプレーは、通例の賦形剤、例えば乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。スプレーはさらに通例の高圧ガス、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンもしくはジメチルエーテルを含んでいてよい。
【0047】
溶液および乳液は、通例の賦形剤、例えば溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3‐ブチルグリコール、油、特に綿実油、落花生油、小麦胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。
【0048】
懸濁液は通例の賦形剤、例えば水、エタノールまたはプロピレングリコールのような希釈液、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁化剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天およびトラガカント、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。
【0049】
石鹸は通例の賦形剤、例えば脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオン酸塩、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物エキス、グリセロール、糖類、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。
【0050】
界面活性剤含有クレンジング製品は通例の賦形剤、例えば脂肪アルコール硫酸エステルの塩、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオン酸塩、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物ならびに合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。
【0051】
フェイス&ボディーオイルは通例の賦形剤、例えば脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油のような合成油、植物油および油性植物エキス、パラフィン油、ラノリン油のような天然の油、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてよい。
【0052】
化粧用調合品は様々な形態で存在しうる。したがって、これらは、例えば溶液、水を含まない調製品、油中水(W/O)もしくは水中油(O/W)型の乳液もしくはマイクロエマルジョン、多重エマルジョン例えば水中油中水(W/O/W)型、ジェル、固体スティック、軟膏あるいはエアロゾルでありうる。
【0053】
エクトインを投与するには、カプセルに入れられた形態、例えばコラーゲン基質中および他の従来のカプセル封入材料、例えばセルロースカプセル封入として、ゼラチン、ワックス基質中またはリポソームのカプセルに入れられたものなども有利である。
【0054】
特に、ドイツ特許出願DE‐A4308282に記載されたワックス基質が好ましいことが立証されている。
【0055】
好ましいのは乳濁液である。
【0056】
O/W乳濁液が特に好ましい。
【0057】
乳濁液、W/O乳濁液およびO/W乳濁液は従来の方法で得られる。
【0058】
別の実施形態は天然または合成の油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル特に脂肪酸トリグリセリドをベースにした油性のローション、あるいは、エタノールのような低級アルコール、プロピレングリコールのようなグリコール、および/またはグリセロールのようなポリオール、ならびに油、ワックスおよび脂肪酸トリグリセリドのような脂肪酸エステルをベースにした油性‐アルコール性のローションである。
【0059】
固体スティックは天然のまたは合成のワックスおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の脂肪質の物質からなる。
【0060】
エアロゾル製品を調製する場合、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンのような通例の高圧ガスが使用される。
【0061】
光‐保護特性を有する化粧調合品は、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存料、気泡安定剤、電解液、有機溶剤、シリコーン誘導体、油、ワックス、アンチグリース剤、組成物自体もしくは毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいは化粧品分野で通常使用される他の原料などのような助剤を含んでもよい。
【0062】
本発明は、したがってさらに本発明によるフィラー顔料を、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化物質、制汗剤、消泡剤、ふけ予防の活性成分、静電防止剤、結合剤、生物学的作用物質、漂白剤、キレート剤、消臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、 塗膜形成要素、フィラー、香気物質、風味物質、虫よけ、保存料、防食剤、整髪油、溶媒、酸化剤、野菜成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、高圧ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、変性剤、粘性調節剤、香料およびビタミンの群から選択された少なくとも1種の成分と組み合わせて含む調合品にも関する。
【0063】
このフィラー顔料を塗料およびコーティング中で使用する場合、例えば、パウダーコーティング、グラビア、オフセット、スクリーンまたはフレキソ印刷のためのインク、トナーおよび戸外で使用されるコーティングのような、当業者に公知のすべての分野に使用可能である。
【0064】
ここに挙げる塗料およびコーティングは、例えば、放射線硬化、物理的乾燥または化学的硬化を行うことができる。多様なバインダーが印刷用インクや液体による表面コーティングのための調製品として適切であり、例えば”acreages”、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチレート、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、澱粉またはポリビニルアルコール、アミノ樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物、特に水溶性のグレードのものをベースにしたものが挙げられる。表面コーティングはパウダーコーティングまたは水もしくは溶剤ベースのコーティングでよいが、ここでコーティング成分の選択は、当業者の一般知識の一部である。
【0065】
パウダーコーティングのための一般的な重合体のバインダーは、例えば、ポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、アクリレートあるいはこれらの混合物である。
【0066】
さらに、本発明によるフィラー顔料は、フィルムおよびプラスチック、例えば農業用のシート、赤外線反射性のホイルおよびシート、贈答用ホイル、プラスチック容器および成形品において、当業者に公知のすべての用途のために用いられる。本発明によるフィラー顔料を混和するために適切なプラスチックは、すべての一般的なプラスチック、例えば熱硬化性または熱可塑性のものである。
【0067】
可能な用途および使用可能なプラスチック、製造方法および添加剤についての説明は、例えばRD472005、または、R.Glausch,M.Kieser,R.Maisch,G.Pfaff,J.Weitzel,「真珠光沢顔料」Curt R.Vincentz Verlag,1996,83ffにおいてなされており、ここで開示されている内容もここに組み込む。
【0068】
本発明によるフィラー顔料は前記で言及した用途分野において、有機および/または無機染料および/または顔料、例えば、透明なおよび不透明な、白色、有色および黒色顔料のような顔料と、また薄片状酸化鉄、BiOCl、有機顔料、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)および従来の金属酸化物で被覆された雲母、ガラス、Al23,Fe23,SiO2などをベースにした薄片ベースの透明、有色および黒色光沢顔料と混合して使用しても同様に適切である。本発明によるフィラー顔料は市販の顔料およびフィラーといかなる比率で混合してもよい。
【0069】
本発明によるフィラー顔料は、本発明による、1つまたはそれ以上の粒子、バインダー、および任意に1またはそれ以上の添加剤を含む、流動性の顔料組成物の調製品および、乾燥した調製品にとってもさらに適切である。
【0070】
乾燥した調製品は、0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%、特に3〜6重量%の水および/または溶剤または溶剤混合物を含む調製品をも意味する。乾燥した調製品は、好ましくは球状、顆粒、小片状、ソーセージ状もしくは豆炭状の形態であり、粒子のサイズは0.2ないし80mmである。乾燥した調製品は、特に、印刷用インクの調製や化粧品調合品で用いられる。
【0071】
これ以上詳述しなくても、当業者は先行する記述を用いて本発明を最大限に拡充して利用することが可能である。
【0072】
したがって下記の好ましい特定の実施形態は、単に説明のためのものであり、開示範囲の残余のいかなる部分をも限定するものではない。
【0073】
以下の実施例において、すべての温度は特に示さない限りセ氏であり、すべての「部」をおよび百分率は重量基準である。
【実施例】
【0074】
実施例:雲母+BaSO4+SnO2+TiO2
BaCl2 41.9gを、白雲母(<15μm)100gを脱イオン水1400gに懸濁させた液に溶解し、攪拌しながら75℃まで加熱する。続いて、硫酸ナトリウム溶液280g(Na2SO4を10重量%含む)をの投入速度5ml/分で加える。塩酸(HClを10重量%含む)を加えてpHを1.8に調整した後、塩酸溶液(HClを37重量%含む)11.7gと塩化スズ溶液(SnCl4を50重量%含む)18gを脱イオン水296gで希釈したものを60分(間)かけて加える。続いて、四塩化チタン溶液371g(TiCl4を32重量%含む)を投入速度1.5ml/分で加える。塩化スズおよび塩化チタン溶液を加える間、同時に水酸化ナトリウム溶液(NaOHを32重量%含む)を加えることでpHを一定に保つ。塩化チタン溶液を加えたのち、水酸化ナトリウム溶液によりpHを5.0にまで上昇させ、15分間以上攪拌する。できた製品を濾過し、脱イオン水10Lで洗浄し、110℃で12時間乾燥することで分離する。最後に製品を850℃で焼成し、40μmのふるいにかける。得られた化粧品用フィラーは輝く粉末色と優れた皮膚感触を示す。
【0075】
使用実施例:フェイスパウダー
【0076】
【表1】

【0077】
手順:
相Aの原料を混合が均一に行なわれるまですりつぶす。次に溶解前の相Bを加え相A/Bの全体が均一になるまで再びすりつぶす。全量を皿に入れ、所望の圧力で圧縮する。直径36mmの皿に対する圧力は約25バールである。得られたフェイスパウダーは明るく透明な調合品である。絹雲母は質感をよりなめらかにし、さらに実施例1によるフィラー顔料およびロナスフィア(登録商標)LDPがかすかなつや消しと光反射効果を有する。
【0078】
販売元:
(1) メルク社A/ロナ(登録商標)
(2) レスコロランツワックヘル
(3) フラグランスリゾース
(4) コグニス社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小板状基材が硫酸バリウムと少なくとも2種の金属酸化物および/または金属水酸化物とで被覆されていることを特徴とするフィラー顔料。
【請求項2】
前記基材が天然または合成の雲母、ドープされたまたはドープされていないAl23薄片、ドープされたまたはドープされていないSiO2薄片、タルク、カオリン、ドープされたまたはドープされていないガラス薄片あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のフィラー顔料。
【請求項3】
前記金属酸化物および/または金属水酸化物がTiO2,SnO2,ZnO,Fe23,Fe34,SiO2,Al23およびZrO2から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィラー顔料。
【請求項4】
前記基材が2〜2000のアスペクト比を有することを特徴とする請求項1〜3の少なくとも1項に記載のフィラー顔料。
【請求項5】
硫酸バリウムの量が基材ベースで5〜200重量%であることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1項に記載のフィラー顔料。
【請求項6】
前記基材が下記の層構造を有することを特徴とする請求項1〜5の少なくとも1項に記載のフィラー顔料:
基材
第1層: BaSO4
第2層: 金属酸化物1
第3層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: BaSO4
第3層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: 金属酸化物2
第3層: BaSO4
または
基材
第1層: BaSO4+金属酸化物1の混合物
第2層: 金属酸化物2
または
基材
第1層: 金属酸化物1
第2層: BaSO4+金属酸化物2の混合物
または
基材
層: BaSO4+金属酸化物1+金属酸化物2の混合物。
【請求項7】
前記フィラー顔料の表面がSiO2の層で被覆されていることを特徴とする請求項1〜6の少なくとも1項に記載のフィラー顔料。
【請求項8】
前記フィラー顔料が小板状基材の表面に下記のコーティングを有することを特徴とする請求項1〜7の少なくとも1項に記載のフィラー顔料:
基材+SnO2+TiO2+BaSO4
基材+SnO2の混合物+TiO2+BaSO4
基材+SnO2の混合物+TiO2+BaSO4+最上部にSiO2の層
基材+SiO2+TiO2+BaSO4
基材+SiO2+SnO2+BaSO4
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+カーミンレッド
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+プルシアンブルー
基材+SnO2+BaSO4/TiO2
基材+SnO2+TiO2+BaSO4+SiO2
基材+BaSO4+SnO2+TiO2+SiO2
基材+Al23+BaSO4+SnO2+SiO2
基材+ZnO+Al23+BaSO4+SiO2
基材+Al23+BaSO4+SnO2
または
基材+ZnO+Al23+BaSO4
【請求項9】
前記基材が水溶液中に懸濁し、バリウム塩および少なくとも2種の金属塩溶液を、加水分解に適していて、硫酸バリウムおよび金属酸化物および/または水酸化物が基材上に直接沈殿するように選択されたpHで加えることを特徴とする請求項1〜8の少なくとも1項に記載のフィラー顔料。
【請求項10】
塗料、ラッカー、インク、印刷用インク、プラスチックおよび化粧調合品における請求項1〜8の少なくとも1項に記載のフィラー顔料の使用。
【請求項11】
請求項1〜8の少なくとも1項に記載のフィラー顔料を95重量%以下含む化粧調合品。
【請求項12】
フィラー顔料に加えて、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化物質、制汗剤、消泡剤、ふけ予防の活性成分、静電防止剤、結合剤、生物学的作用物質、漂白剤、キレート剤、消臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、 塗膜形成要素、フィラー、香気物質、風味物質、虫よけ、保存料、防食剤、整髪油、溶媒、酸化剤、野菜成分、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、高圧ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、 変性剤、粘性調節剤、香料およびビタミンの群から選択された少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする請求項11に記載の化粧調合品。

【公開番号】特開2009−173883(P2009−173883A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−320601(P2008−320601)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】