説明

フィリング

【課題】ふっくらとしてソフトな食感のフィリングを提供する。
【解決手段】卵白凝固物の破砕物とマヨネーズ類を混合し加熱処理したフィリングにおいて、前記卵白凝固物が、平均粒子径1〜30μmの乳化油脂と食用油脂を20:1〜1:2の割合で配合したpH4.5〜6の卵白スラリーを加熱凝固してあるフィリング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の卵白凝固物の破砕物を配合することで、マヨネーズ類と混合し加熱処理を施したとしても、ふっくらとしてソフトな食感を有するフィリングに関する。
【背景技術】
【0002】
卵白は、蛋白質特有のコク味に優れており、例えば、卵白凝固物とマヨネーズ類等の酸性食品を混合しpH4〜6に調整したタマゴサラダやタルタルソース等が、パン用のフィリングとして広く使用されている。一方、嗜好の多様化に伴い様々な食感のフィリングが要望されており、その一つとして日持ち延長等の目的で加熱処理を施したとしても、卵白凝固物が硬化せずふっくらとしてソフトな食感を有したフィリングが要望されている。
【0003】
しかしながら、卵白凝固物とマヨネーズ類等の酸性食品を混合し、さらに加熱処理を施した場合、卵白凝固物が酸や加熱による変性を受け硬化してしまい、ふっくらとしてソフトな食感のフィリングを得ることができない問題があった。
【0004】
ふっくらとしてソフトな食感の加熱処理フィリングの製造方法として、例えば、特開2005−73537号公報(特許文献1)には、卵白に澱粉を添加したスラリーを加熱してなる加熱凝固卵白において、前記スラリーに原料糖のデキストロースエキュイバレントが40以上の還元澱粉糖化物が添加されており、スラリーの水分が卵白固形分11.6部に対し100〜150部であり、スラリーのpHが8.0以下である加熱凝固卵白及び、pH7.5に調整した加熱凝固卵白を配合したpH4.0のタルタルソース及びpH5.5のタマゴスプレッドが記載されている。しかしながら、特許文献1で得られるタルタルソース及びタマゴスプレッドは、マヨネーズ類と混合し加熱処理を施した際に、卵白凝固物が硬化してしまう場合があり、さらにふっくらとしてソフトな食感のフィリングを求める消費者の意向を十分に満足するものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−73537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、特定の卵白凝固物を配合することで、マヨネーズ類と混合し加熱処理した際にふっくらとしてソフトな食感のフィリングを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、卵白凝固物の破砕物とマヨネーズ類を混合し加熱処理したフィリングにおいて、前記卵白凝固物が、特定の平均粒子径の乳化油脂と食用油脂を特定割合で配合し、特定のpHの卵白スラリーの加熱凝固物である場合、意外にもふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)卵白凝固物の破砕物とマヨネーズ類を混合し加熱処理したフィリングにおいて、前記卵白凝固物が、平均粒子径1〜30μmの乳化油脂と食用油脂を20:1〜1:2の割合で配合したpH4.5〜6の卵白スラリーを加熱凝固してあるフィリング、
(2)乳化油脂と食用油脂の合計配合量が、フィリングに対して1〜40%である(1)記載のフィリング、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ふっくらとしてソフトな食感の加熱処理フィリングを提供することができる。これにより、加熱処理フィリングを簡便かつ安定的に製することができるようになり、食品市場の更なる拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。
【0011】
本発明のフィリングは、サンドイッチ、パン、ハンバーガー等の間に挟んだり、パンの中に充填したり、パンの上にトッピングしたりするものであって、後述する卵白凝固物の破砕物及びマヨネーズ類をベースにしたものである。また、前記パン類に用いる以外に、サラダ、フライ、ハンバーグ等の調理食品のトッピング材等として用いるものも含まれる。
【0012】
本発明の卵白凝固物は、平均粒子径1〜30μmの乳化油脂と食用油脂を20:1〜1:2の割合で配合したpH4.5〜6の卵白スラリーを加熱凝固してあることを特徴とし、マヨネーズ類と混合し加熱処理を施したにも拘わらず、ふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られる。
【0013】
本発明の卵白凝固物に用いる乳化油脂は、例えば、清水とポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を配合し均一に混合した水相原料をミキサー等で攪拌しながら、油相原料を注加して粗乳化し、次に高圧ホモゲナイザー等のせん断力に優れた均質化処理機等で処理することにより平均粒子径を1〜30μm(品温20℃)に均質化したものであり、1〜10μmがより好ましい(品温20℃)。平均粒子径が前記範囲より小さい場合、製造工程の煩雑さに応じて本発明の効果が増し難く経済的でない場合があり、前記範囲より大きい場合、ふっくらとしてソフトな食感の加熱処理フィリングが得られ難い。
【0014】
また、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、商品名「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いて、試料をセットしてから超音波をかけることなく1.5分後に測定開始し、2.5分後に測定終了して得られた値である。
【0015】
乳化油脂に用いる乳化剤は、食用であればいずれのものでも良い。例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、テトラグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライド、乳酸モノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、リンゴ酸モノグリセライド、酢酸モノグリセライド等の有機酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸化澱粉等を用いることができる。
【0016】
本発明の卵白凝固物及び乳化油脂に用いる食用油脂は、食用であればいずれのものでも良い。例えば、菜種油、大豆油、パーム油、綿実油、コーン油、ひまわり油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、亜麻仁油、米油、椿油、荏胡麻油、グレープシードオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、魚油、牛脂、豚脂、鶏脂、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等を用いることができる。
【0017】
本発明の卵白凝固物に用いる乳化油脂と食用油脂の配合割合は、20:1〜1:2であり、10:1〜1:1が好ましい。乳化油脂に対する食用油脂の配合割合が前記範囲より低い場合、本発明のふっくらとソフトな食感のフィリングが得られ難い。一方、前記範囲より高い場合、加熱処理した際に油脂の口溶けが悪く本発明のふっくらとソフトな食感が得られ難い。
【0018】
本発明の卵白凝固物に用いる乳化油脂と食用油脂の合計配合量は、特に限定されないが、本発明のフィリングに対して1〜40%が好ましく、5〜25%がより好ましい。合計配合量が前記範囲より少ない場合、本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られない場合がある。前記範囲より多い場合、油脂の分離等が生じ、フィリングの外観を損ね好ましくない場合がある。
【0019】
本発明の卵白凝固物に用いる卵白スラリーのpHは、4.5〜6であり、4.5〜5.5が好ましい。pHが前記範囲より低い場合、卵白凝固物が十分に加熱凝固せずフィリングを成形できない。前記範囲より高い場合、本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られ難い。
【0020】
本発明の卵白凝固物に用いる原料の卵白は、特に限定されないが、例えば、鶏卵を割卵して得られる生卵白をはじめ、当該生卵白にストレーナー等によるろ過処理、加熱等による殺菌処理、冷凍処理、乾燥処理、プロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、イオン交換樹脂等による脱塩処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもののうち、1種又は2種以上を混合したものを挙げることができる。
【0021】
本発明の卵白凝固物の卵白配合量は、特に限定されないが、生卵白換算で卵白凝固物に対して60〜100%が好ましく、70〜100%がより好ましい。卵白配合量が前記範囲より少ない場合、卵白凝固物が十分に加熱凝固せずフィリングを成形できない場合がある。前記範囲より多い場合、本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られない場合がある。
【0022】
本発明の卵白凝固物及び卵白凝固物に用いる乳化油脂は、前述した原料以外に、本発明の効果を損わない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、砂糖、醤油、みりん、食塩、味噌、ケチャップ、ソース、ブイヨン、カレー粉、豆板醤、コチュジャン等の調味料、グルコース、ショ糖、麦芽糖、オリゴ糖、ぶどう糖果糖液糖等の糖類、牛乳、バター、生クリーム等の乳製品、パセリ、バジル、大蒜、ごま、とうがらし、胡椒等の香辛料、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム等の増粘剤、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉、クエン酸、酢酸、乳酸等の酸剤、クエン酸塩、酢酸塩、カルシウム塩、リン酸塩等の塩類、アスコルビン酸、ビタミンEの酸化防止剤、色素、香料等を配合することができる。
【0023】
本発明の卵白凝固物に用いる卵白スラリーの加熱処理方法は、概均一に加熱処理を施せるように適宜調整すればよく、ケーシング袋等に充填密封し湯浴中に浸漬する方法や、ケーシング袋等に充填密封せずにニーダーのジャケット加熱する方法、その他蒸煮、通電加熱、マイクロ波加熱等が挙げられ、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜100℃で加熱処理するとよい。前記温度より低い場合、卵白凝固物が十分に加熱凝固せずフィリングを成形できない場合がある。前記温度より高い場合、卵白蛋白質の過度の変性により、本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られない場合がある。
【0024】
本発明の卵白凝固物の破砕処理方法は、特に限定されないが、例えば、チョッパー、ダイサー、テンダーライザー、ホイッパー式のミキサー等を用いて行えばよい。特に、穴径1〜10mmのチョッパーで破砕処理を行った場合、破砕物の大きさが概均一になるため、口溶けが良く本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られ好ましい。
【0025】
本発明のフィリングに対する卵白凝固物の配合量は、本発明のふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られるように適宜配合量を調整すればよく、具体的には10〜80%が好ましく、15〜60%がより好ましい。
【0026】
本発明に用いるマヨネーズ類とは、食用油脂が油滴として水相中に略均一に分散し水中油型に乳化され、常温流通を可能ならしめるためにpH4.6以下に調整され、BH型粘度計を用いて、品温20℃、ローターNo.6、2rpmの測定条件で1分後の示度により算出した粘度が30Pa・s以上のものを指す。このようなマヨネーズ類は、マヨネーズ、マヨネーズ類あるいは半固体状乳化ドレッシング等と称されており、本発明は、これらの市販品を用いればよい。
【0027】
本発明のフィリングは、ベースとなる卵白凝固物の破砕物及びマヨネーズ類以外に、本発明の効果を損わない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、砂糖、醤油、みりん、食塩、味噌、ケチャップ、ソース、ブイヨン、カレー粉、豆板醤、コチュジャン等の調味料、牛乳、バター、生クリーム等の乳製品、玉葱、人参、胡瓜、レタス、セロリ、キャベツ、コーン、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、アスパラガス、ネギ、舞茸、シメジ、あさつき、水菜、大根、ほうれん草等の野菜、ベーコン、ソーセージ等の肉類、パセリ、バジル、大蒜、ごま、とうがらし、胡椒等の香辛料、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム等の増粘剤、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉、クエン酸、酢酸、乳酸等の酸剤、クエン酸塩、酢酸塩、カルシウム塩、リン酸塩等の塩類、アスコルビン酸、ビタミンEの酸化防止剤、色素、香料等を配合することができる。
【0028】
本発明のフィリングの加熱処理温度は、加熱殺菌の効果を損なわない範囲で適宜調整することができ、ケーシング袋等に充填密封し湯浴中に浸漬する方法や、ニーダーのジャケット加熱で間接加熱する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明のフィリングを実施例及び試験例に基づき詳述する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0030】
〔実施例1〕
まず、清水49.5%、リゾレシチン0.5%、大豆液状油50%を高圧ホモゲナイザーで均質化し、平均粒子径7μm(品温10℃)の乳化油脂を調製した。次に、ニーダーで生卵白60%、前記乳化油脂20%、パーム液状油5%、キサンタンガム1%、乳酸0.2%、清水13.8%を撹拌混合し卵白スラリー(pH5.8)を調製後、得られた卵白スラリーを500mL容ポリエチレン製パウチに480gずつ充填密封し、95℃で加熱処理することで本発明の卵白凝固物を得た。続いて、得られた卵白凝固物を穴径10mmのチョッパーで破砕処理したもの40%、マヨネーズ(キユーピー株式会社製)30%、玉葱(5mmダイス)10%、バジル3%、大蒜2%、食塩1%、清水14%をミキサーで攪拌混合後、500mL容ポリエチレン製パウチに480gずつ充填密封し、続いて80℃で加熱し本発明のフィリング(pH5.3)を得た。得られたフィリングは、意外にも卵白凝固物部分が硬くならず、非常にふっくらとしてソフトな食感であった。
【0031】
〔製造例1〕
まず、清水49.7%、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.3%、大豆液状油50.0%を高圧ホモゲナイザーで均質化し、平均粒子径8μm(品温10℃)の乳化油脂を調製した。次に、ニーダーで生卵白80%、前記乳化油脂4.5%、大豆液状油4.5%、α化澱粉2%、乳酸0.3%、清水8.7%を撹拌混合し卵白スラリー(pH5.0)を調製後、得られた卵白スラリーを500mL容ポリエチレン製パウチに480gずつ充填密封し、95℃で加熱処理することで本発明の卵白凝固物を得た。
【0032】
〔製造例2〕
実施例1の乳化油脂4.5%を大豆液状油に置換えた以外は、実施例1に準じて卵白凝固物を得た。
【0033】
〔製造例3〕
大豆液状油4.5%を実施例1の乳化油脂に置換えた以外は、実施例1に準じて卵白凝固物を得た。
【0034】
〔製造例4〕
清水0.1%を乳酸に置き換え、乳酸を0.4%に増量した以外は、実施例1に準じて卵白凝固物(卵白スラリーのpH4.2)を得た。
【0035】
〔製造例5〕
乳酸0.3%を清水に置換えた以外は、実施例1に準じて卵白凝固物(卵白スラリーのpH8.2)を得た。
【0036】
〔製造例6〕
95℃の加熱処理を行わなかった以外は、実施例1に準じて卵白スラリー(pH5.0)を得た。
【0037】
〔試験例1〕
製造例1〜6で得られた卵白凝固物又は卵白スラリーを穴径5mmのチョッパーで破砕処理したもの55%、マヨネーズ(キユーピー株式会社製)15%、玉葱(5mmダイス)10%、砂糖2%、キサンタンガム0.1%、清水17.9%をミキサーで攪拌混合後、500mL容ポリエチレン製パウチに480gずつ充填密封し、続いて80℃で加熱しフィリングを製した。得られたフィリングについて下記の評価基準に沿って官能評価を行った。
<評価基準>
○:非常にふっくらとしてソフトな食感
△:やや食感に硬さを感じるが、ふっくらとしてソフトな食感
×:食感に硬さを感じ適性を損ねる
【0038】
【表1】

【0039】
表1の結果、卵白凝固物が、平均粒子径1〜30μmの乳化油脂と食用油脂を20:1〜1:2の割合で配合したpH4.5〜6の卵白スラリーの加熱凝固物である場合、前記卵白凝固物の破砕物とマヨネーズ類を混合し加熱処理したフィリングは、非常にふっくらとしてソフトな食感であった(実施例2)。一方、卵白凝固物に平均粒子径1〜30μmの乳化油脂又は食用油脂を配合しない場合、卵白スラリーのpHが4.5未満又は6より大きい場合、卵白スラリーを加熱凝固しない場合は、食感に硬さを感じ適性を損ねた(比較例1〜5)。
【0040】
〔試験例2〕
卵白凝固物に配合する乳化油脂の平均粒子径が本発明のフィリングに及ぼす影響を調べるため、乳化油脂の平均粒子径を変更した以外は実施例1に準じてフィリングを調製した。得られたフィリングについて試験例1と同様の評価基準に沿って官能評価を行った。
【0041】
【表2】

【0042】
表2の結果、卵白凝固物に配合する乳化油脂の平均粒子径が1〜30μmの場合、ふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られた(No.1、2)。特に、平均粒子径が1〜10μmの場合、非常にふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られ優れたものであった(No.1)。一方、平均粒子径が30μmより大きい場合、食感に硬さを感じ適性を損ねた(No.3)。
【0043】
〔試験例3〕
卵白凝固物に配合する乳化油脂と食用油脂の配合割合が本発明のフィリングに及ぼす影響を調べるため、乳化油脂と食用油脂の配合割合を変更した以外は実施例1に準じてフィリングを調製した。得られたフィリングについて試験例1と同様の評価基準に沿って官能評価を行った。
【0044】
【表3】

【0045】
表3の結果、卵白凝固物に配合する乳化油脂と食用油脂の割合が20:1〜1:2の場合、ふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られた(No.5〜8)。特に、10:1〜1:1の場合、非常にふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られ優れたものであった(No.6、7)。一方、乳化油脂に対する食用油脂の比率が20:1未満又は1:2より大きい場合、食感に硬さを感じ適性を損ねた(No.4、9)。
【0046】
〔試験例4〕
卵白凝固物に用いる卵白スラリーのpHが本発明のフィリングに及ぼす影響を調べるため、乳酸の配合量を調整し卵白スラリーのpHを変更した以外は実施例1に準じてフィリングを調製した。得られたフィリングについて試験例1と同様の評価基準に沿って官能評価を行った。
【0047】
【表4】

【0048】
表4の結果、卵白スラリーのpHが4.5〜6の場合、ふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られた(No.11〜14)。特に、pHが4.5〜5.5の場合、非常にふっくらとしてソフトな食感のフィリングが得られ優れたものであった(No.12、13)。一方、pHが4.5未満又は6より大きい場合、食感に硬さを感じ適性を損ねた(No.10、15)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵白凝固物の破砕物とマヨネーズ類を混合し加熱処理したフィリングにおいて、前記卵白凝固物が、平均粒子径1〜30μmの乳化油脂と食用油脂を20:1〜1:2の割合で配合したpH4.5〜6の卵白スラリーを加熱凝固してあることを特徴とするフィリング。
【請求項2】
乳化油脂と食用油脂の合計配合量が、フィリングに対して1〜40%である請求項1記載のフィリング。

【公開番号】特開2010−220500(P2010−220500A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69072(P2009−69072)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】