フィルタ、分波器、通信モジュール
【課題】送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現する。
【解決手段】少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、直列共振器及び並列共振器は励振電極と反射器とを備え、複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、励振電極のピッチより狭いピッチを有する反射器を備えている。
【解決手段】少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、直列共振器及び並列共振器は励振電極と反射器とを備え、複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、励振電極のピッチより狭いピッチを有する反射器を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、フィルタ、分波器、通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、分波器への需要は急速に拡大している。特に小型で高い急峻性を有する弾性波素子を用いた分波器への需要は旺盛である。
【0003】
近年、無線システムの高度化が急速に進展しており、それに伴い、高周波フィルタへの要求仕様は非常に複雑化している。例えば、分波器に含まれる送信フィルタおよび受信フィルタは、通過帯域において低損失であり、相手帯域(送信フィルタの帯域に対する受信フィルタの帯域、および受信フィルタの帯域に対する送信フィルタの帯域)において抑圧が高いことが好ましい。
【0004】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を広く確保するため、共振子を多段接続することが多い。例えば、特許文献1及び2には、ラダーフィルタの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3388475号公報
【特許文献2】特開平10−93375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1及び2が開示しているラダーフィルタでは、十分な急峻性を有する減衰点を確保することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示するフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている。
【0008】
本願に開示するフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい。
【0009】
本願に開示するフィルタは、複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている。
【0010】
本願に開示するフィルタは、複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示によれば、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路図
【図1B】入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路図
【図1C】共振子S及び共振子Pの周波数特性を示す特性図
【図2A】図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図
【図2B】図2Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図3A】ラダーフィルタの回路図
【図3B】ラダーフィルタの回路図
【図4A】弾性表面波共振器の平面図
【図4B】図4AにおけるA−A’部の断面図
【図5A】弾性境界波共振器の平面図
【図5B】図5AにおけるA−A’部の断面図
【図6A】ラブ波共振器の平面図
【図6B】図6AにおけるA−A’部の断面図
【図7A】ラダーフィルタの回路図
【図7B】直列共振器と並列共振器の極配置を同一にした場合の通過特性図
【図7C】並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせた場合の通過特性図
【図7D】直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせた場合の通過特性図
【図7E】分波器の通過特性図
【図8】分波器のブロック図
【図9A】共振器の通過特性図
【図9B】共振器の反射特性図
【図10A】共振器の通過特性図
【図10B】共振器の反射特性図
【図11A】共振器の通過特性図
【図11B】共振器の反射特性図
【図12A】並列共振器の反射器ピッチを狭くした場合の通過特性図
【図12B】並列共振器の反射器ピッチと励振電極ピッチとが同じ場合の通過特性図
【図13A】受信フィルタ及び並列共振器の周波数特性図
【図13B】受信フィルタ及び並列共振器の周波数特性図
【図14】通信モジュールのブロック図
【図15】分波器の具体回路構成を示す回路図
【図16A】送信フィルタの実施例を示す平面図
【図16B】受信フィルタの実施例を示す平面図
【図17】分波器の具体構成を示す斜視図
【図18】分波器の具体実装例を示す平面図
【図19】IPDの構成を示す模式図
【図20】IPDを備えた分波器の具体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
〔1.フィルタの構成〕
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、分波器への需要は急速に拡大している。特に小型で高い急峻性を有する弾性波素子を用いた分波器への需要は旺盛である。
【0014】
分波器は、送信用フィルタと受信用フィルタとを含むが、これらのフィルタを弾性波素子を用いて実現する手法として、ラダー型フィルタを用いることができる。ラダー型フィルタは、共振周波数の異なる二つの共振器を梯子状に結線している高周波フィルタである。
【0015】
図1Aは、直列共振器の回路図である。図1Bは、並列共振器の回路図である。図1Cは、直列共振器Sと並列共振器Pの通過帯域の特性図である。図1Cにおいて、共振周波数frsは、図1Aに示す直列共振器Sの共振周波数である。反共振周波数fasは、直列共振器Sの反共振周波数である。共振周波数frpは、並列共振器Pの共振周波数である。反共振周波数fapは、並列共振器Pの反共振周波数である。
【0016】
共振周波数frsと反共振周波数fasとを有する直列共振器Sと、共振周波数frpと反共振周波数fapとを有する並列共振器Pとにおいて、反共振周波数fapと共振周波数frsとがほぼ同じ値を有するとき、図2Aに示すように直列共振器Sを直列腕に接続して並列共振器Pを並列腕に接続することで、図2Bに示すようなフィルタ特性が実現できる。
【0017】
ラダーフィルタは、図2Aに示す一対の梯子型回路が多段に接続されている回路であるが、接続の際に各段間での反射を防ぐため、それぞれの梯子型回路は図3Aに示すようにミラー反転させた形で接続される。すなわち、ラダーフィルタの直列腕において、直列共振器と並列腕とを交互に接続するのではなく、図3Aに示すように、直列共振器、並列腕、並列腕、直列共振器の順で接続する。図3Aに示すように多段接続すると、直列腕において同種の共振器が直列接続されている箇所と、並列腕において同種の共振器が並列接続されている箇所とが存在する。しかし、実際のフィルタではラダーフィルタを小型化するために、これらの共振器は一つの共振器として容量的に合成される。図3Bは、図3Aにおける破線で囲んだ共振器を容量的に合成した場合のラダーフィルタを示す。図3Bにおいて、直列腕に接続された容量Csを有する共振器は、合成されてCs/2の容量を有する。また、並列腕に接続された容量Csを有する共振器は、合成されて2Csの容量を有する。
【0018】
ラダーフィルタに含まれる共振器は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave)共振器が広く用いられている。
【0019】
図4Aは、SAW共振器の平面図である。図4Bは、図4AにおけるA−A’部の断面図である。SAW共振器は、圧電基板1と、圧電基板1上に形成されている励振電極となる一対のIDT(InterDigitated Transducer)2及び3と、その両端に配置されるグレーティング反射器(以下、反射器)4及び5とを備えている。IDT2には入力端子6が接続されている。IDT3には出力端子7が接続されている。図4Bにおいて、プラス符号はIDT2の励振電極を示し、マイナス符号はIDT3の励振電極を示している。
【0020】
図5Aは、弾性境界波共振器の平面図である。図5Bは、図5AにおけるA−A’部の断面図である。弾性境界波共振器は、IDT2及び3と反射器4及び5とを誘電体膜8で覆っている。図6Aは、ラブ波共振器の平面図である。図6Bは、図6AにおけるA−A’部の断面図である。ラブ波共振器は、基板10と、基板10上に形成されている圧電膜11と、圧電膜11上に形成されているIDT2及び3と、反射器4及び5とを備えている。基板10において、IDT2及び3と反射器4及び5に重なる領域には空隙12が形成されている。以上のような弾性境界波共振器及びラブ波共振器は、いずれもSAW共振器と同様の励振電極構造を有し、共振点と反共振点を有するSAW共振器と同様の電気特性を示す。
【0021】
上記説明では、ラダーフィルタを構成する直列共振器および並列共振器の極配置はそれぞれ同一であることを示唆したが、各共振器の極配置は必ずしも同一である必要はない。
【0022】
図7A〜図7Eは、共振器の極配置を変化させた例を示す。図7Aは、ラダーフィルタの回路図である。図7Bは、直列共振器S1〜S3および並列共振器P1,P2のそれぞれの極配置を同一にした場合の通過特性の特性図である。図7Bに示すように、通過帯域の両端に、ラダーフィルタの特徴である強勢な引き込みが生成されている。
【0023】
図7Cは、適切な並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせた場合の特性図である。並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせることによって、図7Cの帯域R1に示すようにフィルタ通過帯域の低周波側に二つの引き込み点を生成することができる。ただし、引き込み点の減衰量は劣化する(十分な減衰量が得られにくい)。
【0024】
図7Dは、適切な直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせた場合の特性図である。直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせることによって、図7Dの帯域R2に示すように、フィルタ通過帯域の高周波側に二つの引き込み点を生成することができる。ただし、引き込み点の減衰量は劣化する(十分な減衰量が得られにくい)。
【0025】
図7C及び図7Dに示すように、並列共振器の共振点を低周波側にシフトまたは直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせる方法は、急峻な減衰点は得られないものの、帯域を持った減衰域を通過帯域近傍に生成することができる。したがって、複数のフィルタを組み合わせる分波器に採用することができる方法である。
【0026】
図7Eは、図7Cに示す通過特性を有するフィルタと図7Dに示す通過特性を有するフィルタとを組み合わせた分波器の通過特性を示す。図7Eにおいて、実線で示す特性は図7Dに示す特性を有する共振器の通過特性であり、破線で示す特性は図7Cに示す特性を有する共振器の通過特性である。
【0027】
分波器において十分な帯域幅を有する減衰帯域を確保するためには、フィルタに含まれる共振器の極配置を調整することは有効な手段の一つである。しかし、前述したように、共振器の極配置を調整すると、減衰極の減衰量は劣化し、フィルタの急峻性も劣化してしまう。また、分波器の仕様によっては、WCDMA_Band2(送信帯:1850〜1910MHz,受信帯:1930〜1990MHz)や、WCDMA_Band3(送信帯:1710〜1785MHz,受信帯:1805〜1880MHz)のように送受信フィルタの通過域が非常に近接する場合があり、急峻性の劣化は深刻な問題である(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)。
【0028】
本実施の形態は、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することを主な目的としている。以下、本実施の形態について幾つかの実施例を挙げて説明する。
【0029】
(実施例1)
図8は、分波器の一例であるWCDMA_Band2用分波器の回路図である。図8に示す分波器は、送信フィルタ21、受信フィルタ22、移相器23、バラン回路24を備えている。受信フィルタ22は、6段構成のラダー型フィルタである。移相器23は、直列共振器とインダクタンスを並列接続した回路である。バラン回路24は、1つの入力系統(シングル入力)を2つの出力系統(バランス出力)に変換する回路である。送信フィルタ21及び移相器23は、アンテナ端子ANTに接続されている。
【0030】
(表1)は、受信フィルタ22に含まれる並列共振器の共振周波数と反共振周波数とを示した表である。(表1)に示すように、並列共振器P1及びP2の共振点は、通過帯域(1930〜1990MHz)の下端周波数の近傍に位置している。並列共振器P3及びP4の共振点は、通過帯域より低周波側に離れた周波数帯域に位置している。並列共振器P1〜P4の共振周波数を異ならせることによって、受信フィルタ22の帯域(1850〜1910MHz)に減衰帯を生成することができる。
【0031】
【表1】
【0032】
ここで、励振電極のピッチと反射器のピッチとの関係性について説明する。
【0033】
図9Aは、励振電極のピッチPresと反射器のピッチPrefとが等しい場合の、共振器の通過特性を示す。図9Bは、励振電極のピッチPresと反射器のピッチPrefとが等しい場合の、反射器の反射特性を示す。図9A及び図9Bは、励振電極ピッチPresと反射器ピッチPrefとをいずれも2.03μmとしたときの特性である。図9Aにおいて、阻止域は、反射器からほぼ全反射する反射器の阻止域である。
【0034】
図10Aは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより広い場合の、共振器の通過特性を示す。図10Bは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより広い場合の、反射器の反射特性を示す。図10A及び図10Bは、励振電極ピッチPresを2.03μmとし、反射器ピッチPrefを2.06μmとしたときの特性である。図10Bに示すように、共振器の共振点frおよび反共振点faは、反射器の阻止域に包括されている。したがって、低損失フィルタの実現には、反射器のピッチは励振電極のピッチより大きいことが一般に望ましい。
【0035】
ここで、図10Aに示す通過特性に生成されるリップルBは、反射器の阻止域の下端周波数に位置する。また、リップルCは、反射器の阻止域の上端周波数に位置する。このリップルB及びCは、共振器の容量が小さいほど顕著に現れる。
【0036】
図11Aは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより狭い場合の、共振器の通過特性を示す。図11Bは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより狭い場合の、反射器の反射特性を示す。図11A及び図11Bは、励振電極ピッチPresを2.03μmとし、反射器ピッチPrefを2.00μmとしたときの特性である。反射器のピッチPrefを励振電極のピッチPresよりも狭くすることにより、図11Bに示すように、反射器の阻止域端部を示すリップルBが共振点frより高周波側に生成される。この手法では、共振点frが反射器の阻止域外に配置され、共振点frでの損失が増大してしまうため、フィルタ設計においては好ましくない。また、共振点frと反共振点faとの間にリップルBが生成される点からも好ましいとは言えない。
【0037】
なお、図9A〜図11Bに示す特性を有する共振器では、反射器及び励振電極において、電極部と無電極部との比(デューティ比)が同じであることを想定している。また、反射器と励振電極の電極膜厚が同じであることを想定している。しかしながら、実際のデバイスでは、デューティ比や電極膜厚を、反射器と励振電極とで異ならせている場合もあり、電極ピッチに基づく議論は、より本質的には平準化ピッチの大小関係で議論することが好ましい。「平準化ピッチ」とは、電極ピッチ(Pres、Pref)を、反射器および励振電極を伝搬する表面波の音速(Vares、Varef)で除算した値である。すなわち、図9A及び図9Bは、平準化ピッチが反射器と励振電極とで等しい場合の特性を示していると換言することができる。また、図10A及び図10Bは、反射器の平準化ピッチが励振電極の平準化ピッチより広い場合の特性を示していると換言することができる。また、図11A及び図11Bは、反射器の平準化ピッチが励振電極の平準化ピッチより狭い場合の特性を示していると換言することができる。
【0038】
また、(表1)に示す並列共振器P3及びP4は、相手帯域の減衰域を確保するため、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を配置する特性を有する。この共振器の極配置は、減衰域の幅を確保できるものの、通過帯域のエッジの引き込み点の減衰量を劣化させ、フィルタの急峻性を損なわせる。そこで、本実施の形態では、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を有する並列共振器の反射器ピッチを調整することを提案する。具体的には、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を有する並列共振器の反射器ピッチを、励振電極のピッチより狭ピッチとし、反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域の下端周波数に位置する引き込み点に一致させるものである。
【0039】
図12Aは、(表1)で示した並列共振器P4の反射器ピッチを(表2)に示すように狭窄させ、反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域の下端の引き込み点に一致させたときの通過特性である。図12Bは、並列共振器P4の反射器ピッチと励振電極ピッチとが等しい場合の通過特性である。
【0040】
【表2】
【0041】
並列共振器P4の反射器ピッチを狭窄させた場合、図12Aの符号A’で示す周波数において引き込み量が大きくなり、通過帯域の下端周波数近傍における急峻性を向上することができる。一方、並列共振器P4の反射器ピッチと励振電極ピッチとが等しい場合、図12Bの符号Aで示す周波数における引き込み量が少なく、通過帯域の下端周波数近傍における特性が鈍り、十分な急峻性が得られにくい。
【0042】
図13Aは、受信フィルタの特性に並列共振器P4の特性(図12A参照)を重ねた特性図である。図13Bは、受信フィルタの特性に図12Bに示す並列共振器P4の特性(図12B参照)を重ねた特性図である。図12A及び図12Bにおいて、スプリアスB及びCは反射器の阻止域端部を示すスプリアスである。並列共振器P4の反射器ピッチを狭窄させた場合、図13Aに示すように反射器阻止域の下端とフィルタの通過帯域下端の引き込み点とを一致させることができる。したがって、通過帯域下端の急峻性を、図13Bに示す特性に比べて改善することができる。
【0043】
上記に示すように、反射器の阻止域端部の周波数で生成されるリップルを急峻性改善に利用する場合、リップルの位置は、フィルタ通過帯域下端の引き込みを形成する共振器の共振点から反共振点の間に位置することが望ましい。
【0044】
ここで、フィルタ通過帯域下端の引き込み点を決定する共振器は、フィルタに含まれる並列共振器の中で最も高い共振周波数を有する共振器である。本実施例では、フィルタ通過帯域下端の引き込み点を決定する共振器は、並列共振器P2である。
【0045】
反射器の阻止域端部の周波数で生成されるリップルは、必ずしも急峻性改善に利用される必要は無く、相手帯域の減衰を改善するために用いられても良い。その場合は、狭窄される反射器の阻止域の下端周波数は、並列共振器P4の共振点から、最も高い共振周波数を有する共振器(P2)の共振点の間に位置されることが望ましい。
【0046】
なお、フィルタ通過帯域の下端の急峻性を改善する実施例について上記したが、同様の類推よりフィルタ通過帯域上端の急峻性を改善することも可能である。
【0047】
具体的には、適切な直列共振器の反射器ピッチを拡張し、反射器の阻止域上端の周波数をフィルタ通過帯域上端の引き込み点に一致させることである。これによって、図12A及び図12Bに示す特性と同様の効果をフィルタ通過帯域上端にて得ることが可能である。フィルタ通過帯域上端の引き込み点を定義する直列共振器は、回路を構成する直列共振器のなかで、最も低い反共振周波数を有する共振器である。したがって、急峻性改善を得るためには、反射器を拡張してシフトされる反射器阻止域の上端周波数は、最も低い反共振周波数を有する直列共振器の共振周波数と反共振周波数との間に位置されることが望ましい。
【0048】
さらに、フィルタの通過帯域より高周波側に相手帯域があると仮定した場合、相手帯域の減衰を改善するために該リップルを使用すると、拡張される反射器の阻止域の上端は、該直列共振器の反共振点から、最も低い反共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置されることが望ましい。
【0049】
図14は、本実施の形態にかかる分波器を備えたRFモジュールの一例である。図14に示すRFモジュールは、スイッチモジュール202(SW Module)、分波器バンクモジュール203(Duplexer Bank Module)、および増幅器モジュール204(AMP Module)を備えている。分波器バンクモジュール203は、複数の分波器203a〜203cを備えている。スイッチモジュール202は、アンテナ201a及び201bに接続されている。スイッチモジュール202は、分波器バンクモジュール203に含まれている複数の分波器203a〜203cを適宜選択して、送信信号や受信信号の交信を行う。図14において、分波器はフィルタバンクモジュール203の一部としているが、例えば、分波器を増幅器モジュール204やスイッチモジュール202と組み合わせてモジュール化することもできる。
【0050】
(実施例2)
図15は、本実施の形態にかかる分波器の具体的な回路図を示す。分波器は、アンテナ端子301、送信フィルタ302、受信フィルタ303、整合回路307、送信端子308、受信端子309a及び309bを備えている。アンテナ端子301は、アンテナに接続されている。送信フィルタ302は、ラダーフィルタで実現されている。受信フィルタ303は、ラダーフィルタ304、集中定数型バラン回路305、およびラティスフィルタ306を備えている。ラダーフィルタ304は、本実施の形態にかかる条件に設定された共振器を備えている。集中定数型バラン回路305は、ラダーフィルタ304の出力端子(シングル端子)をラティスフィルタ306の入力端子(バランス端子)に接続するために、シングル−バランス変換を行う回路である。
【0051】
図16Aは、本実施の形態にかかる分波器における送信フィルタのフィルタチップを一例を示す模式図である。フィルタチップは、42°Y板LiNbO3基板401上に、Al電極を櫛歯状にパターニングすることで形成される。基板401上には、アンテナ端子に接続された入力端子402、ラダーフィルタ403、送信端子に接続された出力端子404、グランド端子405及び406を備えている。ラダーフィルタ403は、直列共振器403a〜403dと並列共振器403e、403fを備えている。
【0052】
図16Bは、本実施の形態にかかる分波器における受信フィルタのフィルタチップを一例を示す模式図である。フィルタチップは、42°Y板LiNbO3基板501上に、Al電極を櫛歯状にパターニングすることで形成される。基板501上には、整合回路用共振器502a、ラダーフィルタ503、集中定数型バラン用共振器504a及び504b,ラティスフィルタ505、出力端子506a及び506b、バンプ507a及び507b、グランド端子508a〜508cを備えている。整合回路は、整合回路用共振器502aとインダクタL501とを含む。ラダーフィルタ503は、直列共振器503a、503bと、並列共振器503c〜503eを備えている。集中定数型バランは、キャパシタとして機能する共振器504a及び504bと、インダクタL502及びL503とを含む。ラティスフィルタ505は、共振器505a〜505dを備えている。バンプ507a及び507bは、アンテナ端子(不図示)に接続されている。
【0053】
なお、図16A及び図16Bでは、送信フィルタと受信フィルタとを別個のチップで図示しているが、同一基板上に形成することも容易である。
【0054】
図17および図18は、分波器の実装方法に関する概略図である。フィルタチップは機械的に駆動される部位を有するため、気密封止されることが望ましい。気密封止の一形態としては、キャビティを有するセラミックパッケージに平板状の金属リッドを溶接することで実現される。
【0055】
図17は、分波器のフィルタチップの分解斜視図である。図17に示すようにフィルタチップは、セラミックパッケージ94のキャビティ内に、受信フィルタ用チップ92と送信フィルタ用チップ93とが内蔵され、金属リッド91により気密封止される。これにより、分波器パッケージ96が完成する。
【0056】
図18は、分波器パッケージ96の実装例を示す平面図である。図18に示すように、基板95上には、分波器パッケージ96、整合回路用インダクタチップ98a、集中定数型バラン回路用インダクタチップ98b及び98cが実装されている。また、基板95上には、分波器パッケージ96、整合回路用インダクタチップ98a、集中定数型バラン回路用インダクタチップ98b及び98cを互いに接続、または外部と接続するための、導電パターン97a〜97eがパターニングされている。導電パターン97aは、アンテナに接続される。導電パターン97b及び97cは、受信回路に接続される。導電パターン97dは、送信回路に接続される。導電パターン97eは、グランドに接続される。
【0057】
本実施例では、バランもしくはアンテナとのインピーダンス整合のためにインダクタンスを必要とし、そのインダクタンスの実装形態としては、図18に示すように、インダクタチップを用いてモジュールボード上で集積する手法が挙げられる。
【0058】
インダクタンスの集積手法として、図18では、チップインダクタの使用例を挙げたが、インダクタンスは必ずしもチップ部品である必要は無く、図19に示すように、基板上に作成されるIPD(Integrated Passive Device)を用いても作製可能である。図19に示すインダクタチップは、基板61上に、整合回路用インダクタ62、集中定数型バラン回路用インダクタ63及び64、パッド65a〜65fが実装されている。整合回路用インダクタ62、集中定数型バラン回路用インダクタ63及び64は、いずれもスパイラルコイルである。パッド65a及び65bは、整合回路用インダクタ62の端部に接続されている。パッド65c及び65dは、集中定数型バラン回路用インダクタ63の端部に接続されている。パッド65e及び65fは、集中定数型バラン回路用インダクタ64の端部に接続されている。
【0059】
なお、IPDは、機械的強度を確保するために、パッケージ内部に収納されることが望ましい。図20に示すように、フィルタチップとともに気密封止される手法が一実装形態として望ましい。図20は、分波器のフィルタチップの分解斜視図である。図20に示すようにフィルタチップは、セラミックパッケージ94のキャビティ内に、受信フィルタ用チップ92、送信フィルタ用チップ93、およびIPD99が内蔵され、金属リッド91により気密封止されている。
【0060】
〔2.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態にかかるフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを梯子形に接続しているラダー型フィルタにおいて、並列共振器の共振周波数が同一でない場合、最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つにおいて、反射器のピッチを共振器の励振電極のピッチより狭くし、該反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域に近接させる構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、反射器を伝搬する音速Varefと反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、励振電極を伝搬する音速Varesと励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さくする構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0062】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0063】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、反射器を伝搬する音速Varefと反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が励振電極を伝搬する音速Varesと励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きくする構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0064】
本実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
【0065】
(付記1)
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている、フィルタ。
【0066】
(付記2)
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい、フィルタ。
【0067】
(付記3)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい共振器において、
その阻止帯域の下端周波数が該共振器の共振点と、最も高い共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置される、付記1または2記載のフィルタ。
【0068】
(付記4)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい並列共振器のうちの一つの並列共振器は、前記複数の並列共振器の中で最も静電容量が小さい、付記1または2記載のフィルタ。
【0069】
(付記5)
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている、フィルタ。
【0070】
(付記6)
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい、フィルタ。
【0071】
(付記7)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器において、
その阻止帯域の上端周波数が、該共振器の反共振点と最も低い反共振周波数を有する共振器の共振点の間に配置される、付記5または6に記載のフィルタ。
【0072】
(付記8)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器のうち一つの共振器は、前記複数の直列共振器の中で最も静電容量が小さい、付記5または6に記載のフィルタ。
【0073】
(付記9)
送信フィルタと受信フィルタとを備えた分波器であって、
前記送信フィルタまたは前記受信フィルタは、付記1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルタを備えた、分波器。
【0074】
(付記10)
付記1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルタ、または付記9に記載の分波器を備えた、通信モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本願は、フィルタ、分波器、通信モジュールに有用である。
【符号の説明】
【0076】
21 送信フィルタ
22 受信フィルタ
23 整合回路
24 バラン回路
P1,P2,P3,P4 並列共振器
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、フィルタ、分波器、通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、分波器への需要は急速に拡大している。特に小型で高い急峻性を有する弾性波素子を用いた分波器への需要は旺盛である。
【0003】
近年、無線システムの高度化が急速に進展しており、それに伴い、高周波フィルタへの要求仕様は非常に複雑化している。例えば、分波器に含まれる送信フィルタおよび受信フィルタは、通過帯域において低損失であり、相手帯域(送信フィルタの帯域に対する受信フィルタの帯域、および受信フィルタの帯域に対する送信フィルタの帯域)において抑圧が高いことが好ましい。
【0004】
一般に、携帯電話端末等に搭載されるフィルタは、通過帯域を広く確保するため、共振子を多段接続することが多い。例えば、特許文献1及び2には、ラダーフィルタの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3388475号公報
【特許文献2】特開平10−93375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1及び2が開示しているラダーフィルタでは、十分な急峻性を有する減衰点を確保することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示するフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている。
【0008】
本願に開示するフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい。
【0009】
本願に開示するフィルタは、複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている。
【0010】
本願に開示するフィルタは、複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示によれば、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】入力端子Tinと出力端子Toutとに直列に共振子Sを接続した回路図
【図1B】入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に共振子Pを接続した回路図
【図1C】共振子S及び共振子Pの周波数特性を示す特性図
【図2A】図1Aに示す共振子Sを直列腕に配し、図1Bに示す共振子Pを並列腕に配した回路図
【図2B】図2Aに示すフィルタの周波数特性を示す特性図
【図3A】ラダーフィルタの回路図
【図3B】ラダーフィルタの回路図
【図4A】弾性表面波共振器の平面図
【図4B】図4AにおけるA−A’部の断面図
【図5A】弾性境界波共振器の平面図
【図5B】図5AにおけるA−A’部の断面図
【図6A】ラブ波共振器の平面図
【図6B】図6AにおけるA−A’部の断面図
【図7A】ラダーフィルタの回路図
【図7B】直列共振器と並列共振器の極配置を同一にした場合の通過特性図
【図7C】並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせた場合の通過特性図
【図7D】直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせた場合の通過特性図
【図7E】分波器の通過特性図
【図8】分波器のブロック図
【図9A】共振器の通過特性図
【図9B】共振器の反射特性図
【図10A】共振器の通過特性図
【図10B】共振器の反射特性図
【図11A】共振器の通過特性図
【図11B】共振器の反射特性図
【図12A】並列共振器の反射器ピッチを狭くした場合の通過特性図
【図12B】並列共振器の反射器ピッチと励振電極ピッチとが同じ場合の通過特性図
【図13A】受信フィルタ及び並列共振器の周波数特性図
【図13B】受信フィルタ及び並列共振器の周波数特性図
【図14】通信モジュールのブロック図
【図15】分波器の具体回路構成を示す回路図
【図16A】送信フィルタの実施例を示す平面図
【図16B】受信フィルタの実施例を示す平面図
【図17】分波器の具体構成を示す斜視図
【図18】分波器の具体実装例を示す平面図
【図19】IPDの構成を示す模式図
【図20】IPDを備えた分波器の具体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
〔1.フィルタの構成〕
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、分波器への需要は急速に拡大している。特に小型で高い急峻性を有する弾性波素子を用いた分波器への需要は旺盛である。
【0014】
分波器は、送信用フィルタと受信用フィルタとを含むが、これらのフィルタを弾性波素子を用いて実現する手法として、ラダー型フィルタを用いることができる。ラダー型フィルタは、共振周波数の異なる二つの共振器を梯子状に結線している高周波フィルタである。
【0015】
図1Aは、直列共振器の回路図である。図1Bは、並列共振器の回路図である。図1Cは、直列共振器Sと並列共振器Pの通過帯域の特性図である。図1Cにおいて、共振周波数frsは、図1Aに示す直列共振器Sの共振周波数である。反共振周波数fasは、直列共振器Sの反共振周波数である。共振周波数frpは、並列共振器Pの共振周波数である。反共振周波数fapは、並列共振器Pの反共振周波数である。
【0016】
共振周波数frsと反共振周波数fasとを有する直列共振器Sと、共振周波数frpと反共振周波数fapとを有する並列共振器Pとにおいて、反共振周波数fapと共振周波数frsとがほぼ同じ値を有するとき、図2Aに示すように直列共振器Sを直列腕に接続して並列共振器Pを並列腕に接続することで、図2Bに示すようなフィルタ特性が実現できる。
【0017】
ラダーフィルタは、図2Aに示す一対の梯子型回路が多段に接続されている回路であるが、接続の際に各段間での反射を防ぐため、それぞれの梯子型回路は図3Aに示すようにミラー反転させた形で接続される。すなわち、ラダーフィルタの直列腕において、直列共振器と並列腕とを交互に接続するのではなく、図3Aに示すように、直列共振器、並列腕、並列腕、直列共振器の順で接続する。図3Aに示すように多段接続すると、直列腕において同種の共振器が直列接続されている箇所と、並列腕において同種の共振器が並列接続されている箇所とが存在する。しかし、実際のフィルタではラダーフィルタを小型化するために、これらの共振器は一つの共振器として容量的に合成される。図3Bは、図3Aにおける破線で囲んだ共振器を容量的に合成した場合のラダーフィルタを示す。図3Bにおいて、直列腕に接続された容量Csを有する共振器は、合成されてCs/2の容量を有する。また、並列腕に接続された容量Csを有する共振器は、合成されて2Csの容量を有する。
【0018】
ラダーフィルタに含まれる共振器は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave)共振器が広く用いられている。
【0019】
図4Aは、SAW共振器の平面図である。図4Bは、図4AにおけるA−A’部の断面図である。SAW共振器は、圧電基板1と、圧電基板1上に形成されている励振電極となる一対のIDT(InterDigitated Transducer)2及び3と、その両端に配置されるグレーティング反射器(以下、反射器)4及び5とを備えている。IDT2には入力端子6が接続されている。IDT3には出力端子7が接続されている。図4Bにおいて、プラス符号はIDT2の励振電極を示し、マイナス符号はIDT3の励振電極を示している。
【0020】
図5Aは、弾性境界波共振器の平面図である。図5Bは、図5AにおけるA−A’部の断面図である。弾性境界波共振器は、IDT2及び3と反射器4及び5とを誘電体膜8で覆っている。図6Aは、ラブ波共振器の平面図である。図6Bは、図6AにおけるA−A’部の断面図である。ラブ波共振器は、基板10と、基板10上に形成されている圧電膜11と、圧電膜11上に形成されているIDT2及び3と、反射器4及び5とを備えている。基板10において、IDT2及び3と反射器4及び5に重なる領域には空隙12が形成されている。以上のような弾性境界波共振器及びラブ波共振器は、いずれもSAW共振器と同様の励振電極構造を有し、共振点と反共振点を有するSAW共振器と同様の電気特性を示す。
【0021】
上記説明では、ラダーフィルタを構成する直列共振器および並列共振器の極配置はそれぞれ同一であることを示唆したが、各共振器の極配置は必ずしも同一である必要はない。
【0022】
図7A〜図7Eは、共振器の極配置を変化させた例を示す。図7Aは、ラダーフィルタの回路図である。図7Bは、直列共振器S1〜S3および並列共振器P1,P2のそれぞれの極配置を同一にした場合の通過特性の特性図である。図7Bに示すように、通過帯域の両端に、ラダーフィルタの特徴である強勢な引き込みが生成されている。
【0023】
図7Cは、適切な並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせた場合の特性図である。並列共振器の共振点を低周波側にシフトさせることによって、図7Cの帯域R1に示すようにフィルタ通過帯域の低周波側に二つの引き込み点を生成することができる。ただし、引き込み点の減衰量は劣化する(十分な減衰量が得られにくい)。
【0024】
図7Dは、適切な直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせた場合の特性図である。直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせることによって、図7Dの帯域R2に示すように、フィルタ通過帯域の高周波側に二つの引き込み点を生成することができる。ただし、引き込み点の減衰量は劣化する(十分な減衰量が得られにくい)。
【0025】
図7C及び図7Dに示すように、並列共振器の共振点を低周波側にシフトまたは直列共振器の反共振点を高周波側にシフトさせる方法は、急峻な減衰点は得られないものの、帯域を持った減衰域を通過帯域近傍に生成することができる。したがって、複数のフィルタを組み合わせる分波器に採用することができる方法である。
【0026】
図7Eは、図7Cに示す通過特性を有するフィルタと図7Dに示す通過特性を有するフィルタとを組み合わせた分波器の通過特性を示す。図7Eにおいて、実線で示す特性は図7Dに示す特性を有する共振器の通過特性であり、破線で示す特性は図7Cに示す特性を有する共振器の通過特性である。
【0027】
分波器において十分な帯域幅を有する減衰帯域を確保するためには、フィルタに含まれる共振器の極配置を調整することは有効な手段の一つである。しかし、前述したように、共振器の極配置を調整すると、減衰極の減衰量は劣化し、フィルタの急峻性も劣化してしまう。また、分波器の仕様によっては、WCDMA_Band2(送信帯:1850〜1910MHz,受信帯:1930〜1990MHz)や、WCDMA_Band3(送信帯:1710〜1785MHz,受信帯:1805〜1880MHz)のように送受信フィルタの通過域が非常に近接する場合があり、急峻性の劣化は深刻な問題である(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)。
【0028】
本実施の形態は、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することを主な目的としている。以下、本実施の形態について幾つかの実施例を挙げて説明する。
【0029】
(実施例1)
図8は、分波器の一例であるWCDMA_Band2用分波器の回路図である。図8に示す分波器は、送信フィルタ21、受信フィルタ22、移相器23、バラン回路24を備えている。受信フィルタ22は、6段構成のラダー型フィルタである。移相器23は、直列共振器とインダクタンスを並列接続した回路である。バラン回路24は、1つの入力系統(シングル入力)を2つの出力系統(バランス出力)に変換する回路である。送信フィルタ21及び移相器23は、アンテナ端子ANTに接続されている。
【0030】
(表1)は、受信フィルタ22に含まれる並列共振器の共振周波数と反共振周波数とを示した表である。(表1)に示すように、並列共振器P1及びP2の共振点は、通過帯域(1930〜1990MHz)の下端周波数の近傍に位置している。並列共振器P3及びP4の共振点は、通過帯域より低周波側に離れた周波数帯域に位置している。並列共振器P1〜P4の共振周波数を異ならせることによって、受信フィルタ22の帯域(1850〜1910MHz)に減衰帯を生成することができる。
【0031】
【表1】
【0032】
ここで、励振電極のピッチと反射器のピッチとの関係性について説明する。
【0033】
図9Aは、励振電極のピッチPresと反射器のピッチPrefとが等しい場合の、共振器の通過特性を示す。図9Bは、励振電極のピッチPresと反射器のピッチPrefとが等しい場合の、反射器の反射特性を示す。図9A及び図9Bは、励振電極ピッチPresと反射器ピッチPrefとをいずれも2.03μmとしたときの特性である。図9Aにおいて、阻止域は、反射器からほぼ全反射する反射器の阻止域である。
【0034】
図10Aは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより広い場合の、共振器の通過特性を示す。図10Bは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより広い場合の、反射器の反射特性を示す。図10A及び図10Bは、励振電極ピッチPresを2.03μmとし、反射器ピッチPrefを2.06μmとしたときの特性である。図10Bに示すように、共振器の共振点frおよび反共振点faは、反射器の阻止域に包括されている。したがって、低損失フィルタの実現には、反射器のピッチは励振電極のピッチより大きいことが一般に望ましい。
【0035】
ここで、図10Aに示す通過特性に生成されるリップルBは、反射器の阻止域の下端周波数に位置する。また、リップルCは、反射器の阻止域の上端周波数に位置する。このリップルB及びCは、共振器の容量が小さいほど顕著に現れる。
【0036】
図11Aは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより狭い場合の、共振器の通過特性を示す。図11Bは、反射器のピッチPrefが励振電極のピッチPresより狭い場合の、反射器の反射特性を示す。図11A及び図11Bは、励振電極ピッチPresを2.03μmとし、反射器ピッチPrefを2.00μmとしたときの特性である。反射器のピッチPrefを励振電極のピッチPresよりも狭くすることにより、図11Bに示すように、反射器の阻止域端部を示すリップルBが共振点frより高周波側に生成される。この手法では、共振点frが反射器の阻止域外に配置され、共振点frでの損失が増大してしまうため、フィルタ設計においては好ましくない。また、共振点frと反共振点faとの間にリップルBが生成される点からも好ましいとは言えない。
【0037】
なお、図9A〜図11Bに示す特性を有する共振器では、反射器及び励振電極において、電極部と無電極部との比(デューティ比)が同じであることを想定している。また、反射器と励振電極の電極膜厚が同じであることを想定している。しかしながら、実際のデバイスでは、デューティ比や電極膜厚を、反射器と励振電極とで異ならせている場合もあり、電極ピッチに基づく議論は、より本質的には平準化ピッチの大小関係で議論することが好ましい。「平準化ピッチ」とは、電極ピッチ(Pres、Pref)を、反射器および励振電極を伝搬する表面波の音速(Vares、Varef)で除算した値である。すなわち、図9A及び図9Bは、平準化ピッチが反射器と励振電極とで等しい場合の特性を示していると換言することができる。また、図10A及び図10Bは、反射器の平準化ピッチが励振電極の平準化ピッチより広い場合の特性を示していると換言することができる。また、図11A及び図11Bは、反射器の平準化ピッチが励振電極の平準化ピッチより狭い場合の特性を示していると換言することができる。
【0038】
また、(表1)に示す並列共振器P3及びP4は、相手帯域の減衰域を確保するため、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を配置する特性を有する。この共振器の極配置は、減衰域の幅を確保できるものの、通過帯域のエッジの引き込み点の減衰量を劣化させ、フィルタの急峻性を損なわせる。そこで、本実施の形態では、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を有する並列共振器の反射器ピッチを調整することを提案する。具体的には、通過帯域から低周波側に離れた点に共振点を有する並列共振器の反射器ピッチを、励振電極のピッチより狭ピッチとし、反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域の下端周波数に位置する引き込み点に一致させるものである。
【0039】
図12Aは、(表1)で示した並列共振器P4の反射器ピッチを(表2)に示すように狭窄させ、反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域の下端の引き込み点に一致させたときの通過特性である。図12Bは、並列共振器P4の反射器ピッチと励振電極ピッチとが等しい場合の通過特性である。
【0040】
【表2】
【0041】
並列共振器P4の反射器ピッチを狭窄させた場合、図12Aの符号A’で示す周波数において引き込み量が大きくなり、通過帯域の下端周波数近傍における急峻性を向上することができる。一方、並列共振器P4の反射器ピッチと励振電極ピッチとが等しい場合、図12Bの符号Aで示す周波数における引き込み量が少なく、通過帯域の下端周波数近傍における特性が鈍り、十分な急峻性が得られにくい。
【0042】
図13Aは、受信フィルタの特性に並列共振器P4の特性(図12A参照)を重ねた特性図である。図13Bは、受信フィルタの特性に図12Bに示す並列共振器P4の特性(図12B参照)を重ねた特性図である。図12A及び図12Bにおいて、スプリアスB及びCは反射器の阻止域端部を示すスプリアスである。並列共振器P4の反射器ピッチを狭窄させた場合、図13Aに示すように反射器阻止域の下端とフィルタの通過帯域下端の引き込み点とを一致させることができる。したがって、通過帯域下端の急峻性を、図13Bに示す特性に比べて改善することができる。
【0043】
上記に示すように、反射器の阻止域端部の周波数で生成されるリップルを急峻性改善に利用する場合、リップルの位置は、フィルタ通過帯域下端の引き込みを形成する共振器の共振点から反共振点の間に位置することが望ましい。
【0044】
ここで、フィルタ通過帯域下端の引き込み点を決定する共振器は、フィルタに含まれる並列共振器の中で最も高い共振周波数を有する共振器である。本実施例では、フィルタ通過帯域下端の引き込み点を決定する共振器は、並列共振器P2である。
【0045】
反射器の阻止域端部の周波数で生成されるリップルは、必ずしも急峻性改善に利用される必要は無く、相手帯域の減衰を改善するために用いられても良い。その場合は、狭窄される反射器の阻止域の下端周波数は、並列共振器P4の共振点から、最も高い共振周波数を有する共振器(P2)の共振点の間に位置されることが望ましい。
【0046】
なお、フィルタ通過帯域の下端の急峻性を改善する実施例について上記したが、同様の類推よりフィルタ通過帯域上端の急峻性を改善することも可能である。
【0047】
具体的には、適切な直列共振器の反射器ピッチを拡張し、反射器の阻止域上端の周波数をフィルタ通過帯域上端の引き込み点に一致させることである。これによって、図12A及び図12Bに示す特性と同様の効果をフィルタ通過帯域上端にて得ることが可能である。フィルタ通過帯域上端の引き込み点を定義する直列共振器は、回路を構成する直列共振器のなかで、最も低い反共振周波数を有する共振器である。したがって、急峻性改善を得るためには、反射器を拡張してシフトされる反射器阻止域の上端周波数は、最も低い反共振周波数を有する直列共振器の共振周波数と反共振周波数との間に位置されることが望ましい。
【0048】
さらに、フィルタの通過帯域より高周波側に相手帯域があると仮定した場合、相手帯域の減衰を改善するために該リップルを使用すると、拡張される反射器の阻止域の上端は、該直列共振器の反共振点から、最も低い反共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置されることが望ましい。
【0049】
図14は、本実施の形態にかかる分波器を備えたRFモジュールの一例である。図14に示すRFモジュールは、スイッチモジュール202(SW Module)、分波器バンクモジュール203(Duplexer Bank Module)、および増幅器モジュール204(AMP Module)を備えている。分波器バンクモジュール203は、複数の分波器203a〜203cを備えている。スイッチモジュール202は、アンテナ201a及び201bに接続されている。スイッチモジュール202は、分波器バンクモジュール203に含まれている複数の分波器203a〜203cを適宜選択して、送信信号や受信信号の交信を行う。図14において、分波器はフィルタバンクモジュール203の一部としているが、例えば、分波器を増幅器モジュール204やスイッチモジュール202と組み合わせてモジュール化することもできる。
【0050】
(実施例2)
図15は、本実施の形態にかかる分波器の具体的な回路図を示す。分波器は、アンテナ端子301、送信フィルタ302、受信フィルタ303、整合回路307、送信端子308、受信端子309a及び309bを備えている。アンテナ端子301は、アンテナに接続されている。送信フィルタ302は、ラダーフィルタで実現されている。受信フィルタ303は、ラダーフィルタ304、集中定数型バラン回路305、およびラティスフィルタ306を備えている。ラダーフィルタ304は、本実施の形態にかかる条件に設定された共振器を備えている。集中定数型バラン回路305は、ラダーフィルタ304の出力端子(シングル端子)をラティスフィルタ306の入力端子(バランス端子)に接続するために、シングル−バランス変換を行う回路である。
【0051】
図16Aは、本実施の形態にかかる分波器における送信フィルタのフィルタチップを一例を示す模式図である。フィルタチップは、42°Y板LiNbO3基板401上に、Al電極を櫛歯状にパターニングすることで形成される。基板401上には、アンテナ端子に接続された入力端子402、ラダーフィルタ403、送信端子に接続された出力端子404、グランド端子405及び406を備えている。ラダーフィルタ403は、直列共振器403a〜403dと並列共振器403e、403fを備えている。
【0052】
図16Bは、本実施の形態にかかる分波器における受信フィルタのフィルタチップを一例を示す模式図である。フィルタチップは、42°Y板LiNbO3基板501上に、Al電極を櫛歯状にパターニングすることで形成される。基板501上には、整合回路用共振器502a、ラダーフィルタ503、集中定数型バラン用共振器504a及び504b,ラティスフィルタ505、出力端子506a及び506b、バンプ507a及び507b、グランド端子508a〜508cを備えている。整合回路は、整合回路用共振器502aとインダクタL501とを含む。ラダーフィルタ503は、直列共振器503a、503bと、並列共振器503c〜503eを備えている。集中定数型バランは、キャパシタとして機能する共振器504a及び504bと、インダクタL502及びL503とを含む。ラティスフィルタ505は、共振器505a〜505dを備えている。バンプ507a及び507bは、アンテナ端子(不図示)に接続されている。
【0053】
なお、図16A及び図16Bでは、送信フィルタと受信フィルタとを別個のチップで図示しているが、同一基板上に形成することも容易である。
【0054】
図17および図18は、分波器の実装方法に関する概略図である。フィルタチップは機械的に駆動される部位を有するため、気密封止されることが望ましい。気密封止の一形態としては、キャビティを有するセラミックパッケージに平板状の金属リッドを溶接することで実現される。
【0055】
図17は、分波器のフィルタチップの分解斜視図である。図17に示すようにフィルタチップは、セラミックパッケージ94のキャビティ内に、受信フィルタ用チップ92と送信フィルタ用チップ93とが内蔵され、金属リッド91により気密封止される。これにより、分波器パッケージ96が完成する。
【0056】
図18は、分波器パッケージ96の実装例を示す平面図である。図18に示すように、基板95上には、分波器パッケージ96、整合回路用インダクタチップ98a、集中定数型バラン回路用インダクタチップ98b及び98cが実装されている。また、基板95上には、分波器パッケージ96、整合回路用インダクタチップ98a、集中定数型バラン回路用インダクタチップ98b及び98cを互いに接続、または外部と接続するための、導電パターン97a〜97eがパターニングされている。導電パターン97aは、アンテナに接続される。導電パターン97b及び97cは、受信回路に接続される。導電パターン97dは、送信回路に接続される。導電パターン97eは、グランドに接続される。
【0057】
本実施例では、バランもしくはアンテナとのインピーダンス整合のためにインダクタンスを必要とし、そのインダクタンスの実装形態としては、図18に示すように、インダクタチップを用いてモジュールボード上で集積する手法が挙げられる。
【0058】
インダクタンスの集積手法として、図18では、チップインダクタの使用例を挙げたが、インダクタンスは必ずしもチップ部品である必要は無く、図19に示すように、基板上に作成されるIPD(Integrated Passive Device)を用いても作製可能である。図19に示すインダクタチップは、基板61上に、整合回路用インダクタ62、集中定数型バラン回路用インダクタ63及び64、パッド65a〜65fが実装されている。整合回路用インダクタ62、集中定数型バラン回路用インダクタ63及び64は、いずれもスパイラルコイルである。パッド65a及び65bは、整合回路用インダクタ62の端部に接続されている。パッド65c及び65dは、集中定数型バラン回路用インダクタ63の端部に接続されている。パッド65e及び65fは、集中定数型バラン回路用インダクタ64の端部に接続されている。
【0059】
なお、IPDは、機械的強度を確保するために、パッケージ内部に収納されることが望ましい。図20に示すように、フィルタチップとともに気密封止される手法が一実装形態として望ましい。図20は、分波器のフィルタチップの分解斜視図である。図20に示すようにフィルタチップは、セラミックパッケージ94のキャビティ内に、受信フィルタ用チップ92、送信フィルタ用チップ93、およびIPD99が内蔵され、金属リッド91により気密封止されている。
【0060】
〔2.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態にかかるフィルタは、少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを梯子形に接続しているラダー型フィルタにおいて、並列共振器の共振周波数が同一でない場合、最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つにおいて、反射器のピッチを共振器の励振電極のピッチより狭くし、該反射器の阻止域の下端周波数をフィルタ通過帯域に近接させる構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、反射器を伝搬する音速Varefと反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、励振電極を伝搬する音速Varesと励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さくする構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0062】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0063】
また、本実施の形態にかかるフィルタは、複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、反射器を伝搬する音速Varefと反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が励振電極を伝搬する音速Varesと励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きくする構成とした。これにより、送信フィルタ、受信フィルタともに減衰域を確保し、且つ、十分な急峻性を実現することができる。
【0064】
本実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
【0065】
(付記1)
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている、フィルタ。
【0066】
(付記2)
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい、フィルタ。
【0067】
(付記3)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい共振器において、
その阻止帯域の下端周波数が該共振器の共振点と、最も高い共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置される、付記1または2記載のフィルタ。
【0068】
(付記4)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい並列共振器のうちの一つの並列共振器は、前記複数の並列共振器の中で最も静電容量が小さい、付記1または2記載のフィルタ。
【0069】
(付記5)
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている、フィルタ。
【0070】
(付記6)
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい、フィルタ。
【0071】
(付記7)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器において、
その阻止帯域の上端周波数が、該共振器の反共振点と最も低い反共振周波数を有する共振器の共振点の間に配置される、付記5または6に記載のフィルタ。
【0072】
(付記8)
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器のうち一つの共振器は、前記複数の直列共振器の中で最も静電容量が小さい、付記5または6に記載のフィルタ。
【0073】
(付記9)
送信フィルタと受信フィルタとを備えた分波器であって、
前記送信フィルタまたは前記受信フィルタは、付記1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルタを備えた、分波器。
【0074】
(付記10)
付記1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルタ、または付記9に記載の分波器を備えた、通信モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本願は、フィルタ、分波器、通信モジュールに有用である。
【符号の説明】
【0076】
21 送信フィルタ
22 受信フィルタ
23 整合回路
24 バラン回路
P1,P2,P3,P4 並列共振器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている、フィルタ。
【請求項2】
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい、フィルタ。
【請求項3】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい共振器において、
その阻止帯域の下端周波数が該共振器の共振点と、最も高い共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置される、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい並列共振器のうちの一つの並列共振器は、前記複数の並列共振器の中で最も静電容量が小さい、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項5】
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている、フィルタ。
【請求項6】
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい、フィルタ。
【請求項7】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器において、
その阻止帯域の上端周波数が、該共振器の反共振点と最も低い反共振周波数を有する共振器の共振点の間に配置される、請求項5または6に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器のうち一つの共振器は、前記複数の直列共振器の中で最も静電容量が小さい、請求項5または6に記載のフィルタ。
【請求項1】
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記励振電極のピッチより狭いピッチを有する前記反射器を備えている、フィルタ。
【請求項2】
少なくとも一つの直列共振器と複数の並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の並列共振器の共振周波数が互いに異なる場合、前記複数の並列共振器のうち最も高い共振周波数を有する並列共振器以外の並列共振器のうち少なくとも一つの並列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が、前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい、フィルタ。
【請求項3】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい共振器において、
その阻止帯域の下端周波数が該共振器の共振点と、最も高い共振周波数を有する共振器の反共振点の間に配置される、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより狭い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より小さい並列共振器のうちの一つの並列共振器は、前記複数の並列共振器の中で最も静電容量が小さい、請求項1または2記載のフィルタ。
【請求項5】
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記励振電極のピッチよりも広いピッチを有する反射器を備えている、フィルタ。
【請求項6】
複数の直列共振器と少なくとも一つの並列共振器とを備えたフィルタであって、
前記直列共振器及び前記並列共振器は、励振電極と反射器とを備え、
前記複数の直列共振器の反共振周波数が互いに異なる場合、最も低い反共振周波数を有する直列共振器以外の直列共振器のうち少なくとも一つの直列共振器は、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい、フィルタ。
【請求項7】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器において、
その阻止帯域の上端周波数が、該共振器の反共振点と最も低い反共振周波数を有する共振器の共振点の間に配置される、請求項5または6に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記反射器のピッチが前記励振電極のピッチより広い共振器、もしくは、前記反射器を伝搬する音速Varefと前記反射器のピッチPrefとの比(Pref/Varef)が前記励振電極を伝搬する音速Varesと前記励振電極のピッチPresとの比(Pres/Vares)より大きい共振器のうち一つの共振器は、前記複数の直列共振器の中で最も静電容量が小さい、請求項5または6に記載のフィルタ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−114826(P2011−114826A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272201(P2009−272201)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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