説明

フィルタの目詰まり検査装置、給気装置、給気機能付き装置およびフィルタの目詰まり検査方法

【課題】 装置構造の複雑化や製造工程の煩雑化を招くことなく、フィルタの目詰まりの誤検知を回避する。
【解決手段】 フィルタの目詰まり検査装置1は、モード切り換え部2と目詰まり判断部3を有する。モード切り換え部2は、ファン6の運転モードを、予め定めたタイミングで、通常モードから目詰まり検査モードに切り換える機能を備えている。そのファン6とは、壁11に形成された通気孔13を通して外部から内部空間14に空気を導入するものである。通常モードとは、ファン6の回転数を可変制御するモードである。目詰まり検査モードとは、ファン6の回転数を予め定められた設定回転数まで増加させ当該設定回転数に固定するモードである。目詰まり判断部3は、目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、内部空間14の風量が予め定められたしきい値未満に低下していると判断した場合にはフィルタ12が目詰まりしていると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンピュータ装置等の装置の内部空間に外部の空気を導入する通気孔に設けられるフィルタの目詰まり検査装置、給気装置、給気機能付き装置およびフィルタの目詰まり検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(a)は、空冷機能付きの電子機器の一例を模式的に示す断面図である(特許文献1参照)。図6(b)は、図6(a)に示すA−A部分の模式的な断面図である。この電子機器50は、大別して、筐体51と、ファン52と、風量測定装置53と、フィルタ54と、制御装置55とを有している。
【0003】
筐体51には、通気孔57,58が形成されている。ファン52は、筐体51の通気孔58に向き合うように設置されている。当該ファン52は、回転駆動することによって、筐体51の内部空間の空気を通気孔58から外部に排気すると共に、外部の空気を通気孔57を通して筐体51の内部空間に導入する。つまり、このファン52の回転駆動は、筐体51の内部空間に風を通して筐体51の内部の熱を筐体外に放熱し、電子機器50の内部を空冷する。
【0004】
フィルタ54は、筐体51の内壁面における通気孔57の形成領域に当接するように設けられている。当該フィルタ54は、通気孔57から筐体51の内部空間に導入される空気の塵埃等を除去する機能を備えている。
【0005】
風量測定装置53は、筐体60と、風量センサ61とを有している。筐体60は、電子機器50の筐体51に形成されている貫通孔59に嵌め込まれている。この筐体60には、筐体51の外側に位置する部分に、通気孔62が形成されている。さらに、筐体60には、通気孔62と対角となるような位置に、通気孔63が形成されている(図6(b)参照)。この通気孔63に風量センサ61が取り付けられている。
【0006】
筐体60の内部空間は、通気孔62から通気孔63に向けて外部の空気を通す通路として機能する。当該筐体60の内部空間の壁面には、複数の突出壁64が互い違いに形成されている。それら突出壁64は空気の流れに影響を与える。すなわち、通気孔62から筐体60の内部空間に流れ込んだ空気(風)は、突出壁64を迂回して蛇行しながら通気孔63に向かって進む。このように、筐体60の内部空間(内部通路)を通る風は、蛇行しながら進むので、筐体60の内部通路は、送風抵抗が大きい通路となっている。
【0007】
制御装置55は、電子機器50の動作を制御する回路構成を有する。例えば、この制御装置55は、電子機器50の動作の一つであるフィルタ54の目詰まり検知動作を次のように制御する。すなわち、風量測定装置53の筐体60の内部通路は、前記の如く、送風抵抗が大きい通路となっている。一方、フィルタ54が目詰まりしていない場合には、フィルタ54の送風抵抗は小さい。このため、フィルタ54が目詰まりしていない場合には、送風抵抗が大きい風量測定装置53の筐体60の内部通路には風が殆ど通らない。これに対し、フィルタ54が目詰まりして当該フィルタ54の送風抵抗が大きくなると、当該フィルタ54に対する筐体60の内部通路の送風抵抗が相対的に小さくなり、これにより、筐体60の内部通路に風が流れるようになる。このようなフィルタ54の目詰まり状態と筐体60の内部通路の風量との関係に基づき、制御装置55はフィルタ54の目詰まり検知を行う。つまり、制御装置55は、風量センサ61により検出される風量を取り込み、当該取り込んだ風量が予め定められた設定値に達したときに、フィルタ54が目詰まりを起こしたと判断する。そして、制御装置55は、目詰まり発生を報知したり、電子機器50の運転を停止する。
【0008】
この電子機器50は、上記のように、フィルタ54の目詰まりを検知できる。
【0009】
特許文献2は、燃焼器のフィルタの目詰まりを検知する手法の一つを示している。このフィルタの目詰まり検知手法では、フィルタの目詰まり状態と、ファンの回転数との関係に基づいて、フィルタの目詰まりを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−201174号公報
【特許文献2】特開昭63−189712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、例えば、特許文献1に記載されているような電子機器50において、通気孔57の近傍を人が通過した等の原因によって、通気孔57からフィルタ54を通って筐体51の内部空間に流れ込む風量が一時的に減少する場合がある。このような場合に、仮に、フィルタ54を通る風量に基づきフィルタの目詰まりを検知していると、上記風量減少により、フィルタ54が目詰まりしていないのに、フィルタ54が目詰まりしたと誤検知してしまうことが考えられる。
【0012】
これに対し、特許文献1の構成では、筐体61の内部通路の風量に基づいてフィルタの目詰まりを検知している。その筐体61の内部通路は、前述したように送風抵抗が大きいから、当該内部通路の風量は、周辺環境の変動の悪影響を受けにくい。このために、特許文献1における筐体61の内部通路の風量に基づいてフィルタの目詰まりを検知するという構成は、周辺環境の変動の悪影響を大きく受けずに、フィルタの目詰まりを検知できるという効果を得ることができる。
【0013】
しかしながら、特許文献1の構成では、フィルタ54の目詰まりを検知するために、複雑な構造を持つ風量測定装置53を設けている。このため、特許文献1の構成は、装置構造の複雑化や装置の製造工程の煩雑化を招くという問題を生じる。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされた。すなわち、本発明の主な目的は、フィルタが装備されている装置の構造の複雑化や製造工程の煩雑化を招くことなく、フィルタの目詰まりの誤検知を回避できるフィルタの目詰まり検査装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のフィルタの目詰まり検査装置は、
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンの運転モードを、予め定めたタイミングで、前記ファンの回転数を可変制御する通常モードから、前記ファンの回転数を予め定められた設定回転数まで増加させ当該設定回転数に固定する目詰まり検査モードに切り換えるモード切り換え部と、
前記目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、前記内部空間の風量の測定値を取り込み、当該測定値に基づいた前記内部空間の風量が予め定められたしきい値未満に低下していると判断した場合には前記フィルタが目詰まりしていると判断する目詰まり判断部と、
を有している。
【0016】
本発明の給気装置は、
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンと、
前記内部空間の風量を測定する風量測定器と、
前記本発明のフィルタの目詰まり検査装置と、
前記フィルタの目詰まり検査装置のモード切り換え部の指示に応じて通常モードから目詰まり検査モードに切り換えて前記ファンの回転制御を行うファン制御部と、
を有している。
【0017】
本発明の給気機能付き装置は、
前記本発明の給気装置と、
当該給気装置が給気する内部空間を囲む壁である筐体と、
当該筐体に形成された通気孔を通って前記内部空間に流れ込む空気から塵埃を取り除くフィルタと、
を有している。
【0018】
本発明のフィルタの目詰まり検査方法は、
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンの運転モードを、予め定めたタイミングで、前記ファンの回転数を可変制御する通常モードから、前記ファンの回転数を予め定められた設定回転数まで増加させ当該設定回転数に固定する目詰まり検査モードに切り換え、
前記目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、前記内部空間の風量の測定値を取り込み、
当該測定値に基づいた前記内部空間の風量が予め定められたしきい値未満に低下していると判断した場合には、前記フィルタが目詰まりしていると判断する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィルタが装備されている装置の構造の複雑化や製造工程の煩雑化を招くことなく、フィルタの目詰まりの誤検知を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第1実施形態のフィルタの目詰まり検査装置等を示す図である。
【図2】本発明に係る第2実施形態の給気機能付き装置を簡略化して示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る第2〜第4の各実施形態における制御装置の構成を示すブロック構成図である。
【図4】第2実施形態における制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【図5】第4実施形態における制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【図6】特許文献1に示されている電子機器の一つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明に係る第1実施形態のフィルタの目詰まり検査装置の構成を示すブロック構成図である。図1(b)は、第1実施形態における図1(a)のフィルタの目詰まり検査装置を備えた給気装置の構成を示すブロック構成図である。図1(c)は、第1実施形態における図1(b)の給気装置を備えた給気機能付き装置を簡略化して示す模式的な断面図である。
【0023】
この第1実施形態では、フィルタの目詰まり検査装置1は、モード切り換え部2と、目詰まり判断部3とを有している。給気装置5は、そのフィルタの目詰まり検査装置1と、ファン6と、風量測定器7と、ファン制御部8とを有している。給気機能付き装置10は、給気装置5に加えて、筐体11と、フィルタ12とを有している。
【0024】
すなわち、給気機能付き装置10の筐体11は、給気装置5の給気対象の内部空間14を囲む壁を構成する。この筐体11には、通気孔(開口)13が形成されている。フィルタ12は、通気孔13を通って筐体11の内部空間14に流れ込む空気の塵埃を取り除く機能を有している。
【0025】
給気装置5のファン6は、外部から通気孔13を通して筐体11の内部空間14に空気を導入する送風機である。風量測定器7は、風量を測定する機能を備え、内部空間14の風量を測定できるように設置される。ファン制御部8は、ファン6の運転を制御する機能を有している。この第1実施形態では、ファン制御部8は、ファン6の次に述べる通常モードと目詰まり検査モードのそれぞれの運転モードの制御が可能になっている。上記通常モードとは、例えば、内部空間14の気温等の状態に応じて、ファン6の回転数を可変制御するモードである。上記目詰まり検査モードとは、ファン6の回転数を予め定めた設定回転数まで増加し当該設定回転数に固定してファン6を回転駆動するモードである。
【0026】
フィルタの目詰まり検査装置1のモード切り換え部2は、予め定められたタイミングで、ファン6の運転モードを、通常モードから目詰まり検査モードに切り換える機能を備えている。
【0027】
目詰まり判断部3は、ファン6の運転モードが目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、風量測定器7から、内部空間14の風量の測定値を取り込む機能を備えている。さらに、目詰まり判断部3は、その測定値に基づいた内部空間14の風量が、予め定められたしきい値未満であると判断した場合には、フィルタ12が目詰まりしていると判断する機能を備えている。
【0028】
この第1実施形態におけるフィルタの目詰まり検査装置1、それを備えた給気装置5および給気機能付き装置10は、上記構成を有しているので、次のような効果を得ることができる。すなわち、フィルタの目詰まり検査装置1(5,10)は、目詰まり検査を行う場合には、ファン6の回転数を前記設定回転数まで増加する。このために、目詰まり検査中には、ファン6による吸引力が強くなることから、フィルタ12を通って内部空間14に導入される風量(つまり、内部空間14の風量)が増加する。このように風量を増加することによって、内部空間14の風量は、通気孔13の近傍を人が通過したというような周囲環境の一時的な変動の影響を受けにくくなる。さらに、この第1実施形態では、目詰まり検査中には、ファン6の回転数は固定される。これにより、ファン6の回転数の可変制御に起因した内部空間14の風量変動が無くなる。上記のようなことから、この第1実施形態におけるフィルタの目詰まり検査装置1(5,10)は、ファン6の回転数の可変制御や、周囲環境の一時的な変動に起因したフィルタ目詰まりの誤検知を回避できる。
【0029】
さらに、この第1実施形態におけるフィルタの目詰まり検査装置1(5,10)は、フィルタの目詰まりを検査するために装置の構造が複雑化したり、装置の製造工程が煩雑になるという問題を回避できる。
【0030】
この第1実施形態におけるフィルタの目詰まり検知は、主に、ファンの回転数制御と風量測定によって実現することができて、装置に特異な構造を持たせなくとも済むことから、適用可能な範囲は広くなる。特に、塵埃の多い工場などに設置されるためにフィルタの目詰まりが発生し易いと想定される装置に、この第1実施形態におけるフィルタの目詰まり検知手法を適用することは、より有効である。
【0031】
(第2実施形態)
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
【0032】
図2は、第2実施形態における給気機能付き装置を簡略化して示す模式的な断面図である。この給気機能付き装置18は、空冷機能を備えた例えばコンピュータ装置である。当該給気機能付き装置18は、筐体20と、制御装置21と、ファン22と、風量測定器である風量センサ23と、フィルタ24とを有している。
【0033】
筐体20は、制御装置21のような熱を発する装置等を含む装置部品を内部空間26に収容している。この筐体20は、給気対象の内部空間26を囲む壁を構成しており、当該筐体20には、通気孔25が形成されている。
【0034】
ファン22は、筐体20に内蔵される送風機である。図2の例では、ファン22の設置位置は、筐体20の内部空間26における通気孔25の近傍となっている。このファン22は、回転駆動することによって、筐体外の空気を通気孔25を通して筐体20の内部空間26に取り込んで内部空間26に風を起こし、これにより、内部空間26内の制御装置21等を空冷する。
【0035】
フィルタ24は、筐体20における通気孔25の形成領域に設けられている。このフィルタ24は、通気孔25を通って筐体20の内部空間26に流れ込む空気(風)から塵埃等を取り除く機能を有する。風量センサ23は、この第2実施形態では、フィルタ25とファン22とに挟まれた筐体内領域に設置されている。この風量センサ23は、通気孔25とフィルタ24を通って筐体20の内部空間26に流れ込む風量を検出する機能を備えている。
【0036】
制御装置21は、給気機能付き装置18の動作を制御する装置である。図3は、その制御装置21における第2実施形態において特徴的な制御構成部分を簡略化して示したブロック構成図である。なお、この第2実施形態の給気機能付き装置18は、前述した構成に加えて、さらに、ディスプレイ(表示装置)27と、キーボード等の入力装置28をも有している。これらは、図2では図示が省略されているが、図3では図示されている。
【0037】
制御装置21は、図3に示されるように、演算装置30と、記憶装置31とを有している。その記憶装置31は、コンピュータプログラムやデータ等を格納する記憶媒体を有する装置である。
【0038】
演算装置30は、図3の実線に示されるように、ファン制御部35と、モード切り換え部36と、サンプリング部37と、時計回路38と、目詰まり判断部39とを有している。
【0039】
時計回路38は、時刻情報を出力する回路構成を有している。時刻情報を出力する回路構成としては、例えば、クロック信号に基づいて時刻情報を作成する構成や、無線通信により外部から時刻情報を取得する構成などというように様々な構成がある。ここでは、時計回路38は、それら何れの回路構成を有していてもよく、その説明は省略する。
【0040】
ファン制御部35は、例えばCPU(Central Processing Unit)(図示せず)により実現される。当該ファン制御部35は、記憶装置31に格納されているコンピュータプログラムに記載されている処理手順に従ってファン22の回転制御を行う。換言すれば、例えばCPUは、記憶装置31のコンピュータプログラムに記載されている処理手順に従って動作することにより、ファン制御部35としての機能を有する。
【0041】
この第2実施形態では、ファン制御部35は、通常モードと、目詰まり検査モードとを含む複数の運転モードでのファン22の回転制御が可能である。その通常モードでは、ファン制御部35は、例えば筐体20の内部空間26の温度を検出する温度センサ(図示せず)による温度測定値に基づいて、ファン22の回転数を、予め定められた可変制御範囲内で可変制御する。
【0042】
目詰まり検査モードでは、ファン制御部35は、ファン22の回転数が予め定めた設定回転数Kで回転するようにファン22の回転数を固定する。この第2実施形態では、その設定回転数Kは、ファン22の仕様により定められている最大回転数である。
【0043】
上記のようなファン制御部35によるファン22の運転モードは、次に述べるモード切り換え部36からの指示に従って切り換わる。
【0044】
モード切り換え部36も、ファン制御部35と同様に、例えばCPU(図示せず)により実現される。つまり、そのCPUは、記憶装置31のコンピュータプログラムに記載されている処理手順に従って動作することにより、モード切り換え部36としての機能を有する。このモード切り換え部36は、記憶装置31に登録されているモード切り換えタイミング情報と、時計回路38の時刻情報とに基づいて次のように動作してファン22の運転モードを切り換える機能を有している。
【0045】
例えば、モード切り換え部36は、ファン制御部35の動作情報に基づいて通常モードであることを検知しているときに、時計回路38の時刻情報を時々刻々と取り込む。そして、モード切り換え部36は、その取り込んだ時刻情報に基づいてモード切り換えタイミングになったか否か(つまり、通常モードから目詰まり検査モードに切り換えるタイミングであるか否か)を判断する。この第2実施形態では、前述したように、目詰まり検査モード中には、ファン22は最大回転数で回転駆動する設定であることから、ファン22の駆動音等が大きくなる。このため、装置利用者等が、そのファン22の回転駆動を怪訝に思う事態が生じることが懸念される。このことを考慮して、この第2実施形態では、切り換えタイミングとして記憶装置31に登録される時刻は、例えば早朝となっている。
【0046】
そして、モード切り換え部36は、上記判断の結果、切り換えタイミングであると判断した場合には、モード切り換えを指示する信号をファン制御35と共に、後述するサンプリング部37および目詰まり判断部39にも出力する。
【0047】
さらに、モード切り換え部36は、上記モード切り換えを指示する信号を出力してからの経過時間に基づき、記憶装置31に登録されている目詰まり検査期間(例えば5分間)が終了したか否かを判断する。そして、モード切り換え部36は、上記目詰まり検査期間が終了したと判断した場合には、目詰まり検査モードから通常モードへの切り換えを指示する信号をファン制御35とサンプリング部37と目詰まり判断部39に出力する。
【0048】
サンプリング部37も、ファン制御部35やモード切り換え部36と同様に、例えばCPU(図示せず)により実現される。つまり、そのCPUは、記憶装置31のコンピュータプログラムに記載されている処理手順に従って動作することにより、サンプリング部37としての機能を有する。
【0049】
サンプリング部37は、モード切り換え部36から出力された信号に基づいて、ファン22の運転モードが通常モードから目詰まり検査モードに切り換えられることを検知した場合には、次のように風量センサ23の測定値の取り込みを開始する。すなわち、サンプリング部37は、ファン22の運転モードが通常モードから目詰まり検査モードに移行し、ファン22の駆動状態が移行直後の不安定な状態から安定な状態になったことを検知する機能を有している。その安定状態になったことを検知する手法としては、例えばモード移行してからの経過時間を利用する手法や、回転数検知センサ等を利用する手法などの様々な手法がある。ここでは、サンプリング部37は、その何れの手法を採用してモード移行後のファン22の安定状態を検知してもよく、その説明は省略する。
【0050】
サンプリング部37は、モード移行後のファン22の安定状態を検知したときに、風量センサ23の測定値の取り込みを開始する。この第2実施形態では、サンプリング部37は、風量センサ23の測定値を予め設定されたサンプリング時間間隔(例えば15秒)毎に取り込み、取り込んだ測定値を目詰まり判断部39に出力する。そして、サンプリング部37は、モード切り換え部36から出力された信号に基づいて、ファン22の運転モードが目詰まり検査モードから通常モードに切り換わることを検知した場合には、風量センサ23の測定値の取り込みを終了する。
【0051】
目詰まり判断部39も、ファン制御部35等と同様に、例えばCPU(図示せず)により実現される。つまり、そのCPUは、記憶装置31のコンピュータプログラムに記載されている処理手順に従って動作することにより、目詰まり判断部39としての機能を有する。
【0052】
目詰まり判断部39は、モード切り換え部36から出力された信号に基づいてファン22が目詰まり検査モードで運転していると検知している期間中に、サンプリング部37から受け取った風量センサ23の測定値を一時的に保持する機能を備えている。また、目詰まり判断部39は、ファン22の目詰まり検査モードの運転終了を検知した場合に、その目詰まり検査モード中に測定された風量センサ23の複数の測定値の統計処理を行う機能を備えている。この第2実施形態では、その測定値の統計処理は、測定値の平均値を算出する処理である。
【0053】
さらに、目詰まり判断部39は、その統計処理による平均値を筐体20の内部空間26の風量Sとし、当該風量Sが、記憶装置31に登録されているしきい値P未満(S<P)であるか否か判断する機能を備えている。そのしきい値Pは、フィルタ24が目詰まりしているか否かを判断するための値である。当該しきい値Pは、ファン22の能力やフィルタ24の種類や通気孔25の大きさ等を考慮して、例えば実験やシミュレーション等により求められて記憶装置31に登録される。
【0054】
フィルタ24が目詰まりすると、フィルタ24を通って筐体20の内部空間26に空気が導入されにくくなることから、風量センサ23により測定される風量が低下する。このことから、目詰まり判断部39は、前記判断の結果、内部空間26の風量Sがしきい値P未満であると判断した場合には、フィルタ24に目詰まりが発生していると判断する機能を備えている。さらにまた、目詰まり判断部39は、上記判断によってフィルタ24の目詰まりを検知した場合には、フィルタ24の目詰まりを報知するメッセージをディスプレイ27に表示させる機能を備えている。
【0055】
なお、そのフィルタ24の目詰まりを報知するメッセージ中に、フィルタ24の掃除を促すメッセージをも含ませてよい。また、給気機能付き装置18に、図3の点線に示されるような報知ランプ40を設けてもよく、この場合には、目詰まり判断部39は、フィルタ24の目詰まり発生を、その報知ランプ40を点灯させて報知する機能をも備える。このように、フィルタ24の目詰まりを報知する手法には様々な手法があり、上記以外の報知手法によって目詰まりを報知してもよいし、上記報知手法および別の報知手法をも利用した複数の報知手法でもって目詰まりを報知してもよい。
【0056】
この第2実施形態では、制御装置21のモード切り換え部36と目詰まり判断部39が、フィルタの目詰まり検査装置を構成する。また、ファン22と風量センサ23と制御装置21(モード切り換え部36と目詰まり判断部39)が、給気装置を構成する。つまり、この第2実施形態の給気機能付き装置18は、フィルタの目詰まり検査装置および給気装置が組み込まれている装置である。
【0057】
図4は、この第2実施形態における演算装置30の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートを参照して演算装置30の動作例を説明する。
【0058】
例えば、演算装置30のモード切り換え部36は、ファン22が通常モードでの運転中に、前述したようにファン22の運転モードを通常モードから目詰まり検査モードに切り換えるタイミングであるか否かを判断する(ステップS101)。この判断の結果、モード切り換え部36が、モード切り換えのタイミングではないと判断した場合には、上記動作を繰り返す。
【0059】
上記判断の結果、モード切り換え部36は、モード切り換えのタイミングであると判断した場合には、ファン22の運転モードを通常モードから目詰まり検査モードに切り換える指示を出力する。これにより、ファン制御部35は、ファン22の運転モードを目詰まり検査モードに切り換える(ステップS102)。そして、サンプリング部37は、風量センサ23の測定値の取り込みを行う(ステップS103)。
【0060】
然る後に、モード切り換え部36は、目詰まり検査モードに切り換える指示を出力してからの経過時間に基づいて、目詰まり検査期間が終了したことを検知すると、通常モードへ切り換える(戻す)指示を出力する。これにより、サンプリング部37は、風量センサ23の測定値の取り込みを終了する。また、目詰まり判断部39は、目詰まり検査モード中に測定された風量センサ23の測定値を統計処理する(平均値を算出する)。そして、目詰まり判断部39は、その算出値(平均値)を内部空間26の風量Sとし、当該風量Sがしきい値P未満(S<P)であるか否かを判断する(ステップS104)。この判断により、目詰まり判断部39は、風量Sがしきい値P未満でないと判断した場合には、フィルタ24は目詰まりしていないと判断する(ステップS107)。この判断の後に、ファン制御部35は、運転モードを目詰まり検査モードから通常モードに切り換える(ステップS108)。
【0061】
一方、目詰まり判断部39は、ステップS104の判断動作により、風量Sがしきい値P未満であると判断した場合には、フィルタ24の目詰まりが発生していると判断する(ステップS105)。そして、目詰まり判断部39は、フィルタ24に目詰まりが発生していることをディスプレイ27等により報知する(ステップS106)。この報知動作の後に、ファン制御部35は、運転モードを目詰まり検査モードから通常モードに切り換える(ステップS108)。
【0062】
この第2実施形態の給気機能付き装置18も、第1実施形態で述べたフィルタの目詰まり検査装置と同様の目詰まり検査装置(モード切り換え部36と目詰まり判断部39)を備えていることから、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、給気機能付き装置18は、装置構造の複雑化や製造工程の煩雑化を招くことなく、フィルタの目詰まりの誤検知を回避できるという効果を得ることができる。
【0063】
また、この第2実施形態における目詰まり判断部39は、目詰まり検査モード中における複数の風量測定値の平均値を利用してフィルタ24の目詰まり判断を行っている。このため、風量センサ23の測定誤差の悪影響が軽減され、フィルタ24の目詰まりの有無判断結果の信頼性を高めることができる。
【0064】
(第3実施形態)
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。
【0065】
この第3実施形態の給気機能付き装置は、後述する相違点を除いて、第2実施形態と同様である。なお、この第3実施形態の説明では、第2実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0066】
この第3実施形態では、制御装置21の演算装置30は、第2実施形態の構成に加えて、図3の点線に示されるタイミング変更部43を有している。このタイミング変更部43は、ファン22の運転モードを通常モードから目詰まり検査モードに切り換えるタイミング(つまり、ここでは、目詰まり検査を開始する時刻)の情報を変更する機能を備えている。つまり、ファン22の運転モードを通常モードから目詰まり検査モードに切り換える時刻情報が入力装置28によって入力された場合に、タイミング変更部43は、その時刻情報を受け付ける機能を有している。さらに、タイミング変更部43は、その受け付けた時刻情報を、記憶装置31に登録されているモード切り換えタイミング情報に上書きすることで、記憶装置31に登録する機能を備えている。
【0067】
このようなタイミング変更部43以外の第3実施形態の構成は、第2実施形態と同様である。
【0068】
この第3実施形態の構成は、上記したように、第2実施形態の構成に加えて、タイミング変更部43を有しているので、第2実施形態で述べた効果を得ることができると共に、次のような効果をさらに得ることができる。つまり、この第3実施形態では、タイミング変更部43を有することにより、給気機能付き装置18の利用者が、フィルタの目詰まり検査を行うタイミングを手動により設定することが可能になる。
【0069】
(第4実施形態)
以下に、本発明に係る第4実施形態を説明する。なお、この第4実施形態の説明において、第2や第3の実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0070】
この第4実施形態の給気機能付き装置18は、第2や第3の実施形態の給気機能付き装置18とほぼ同様な構成を有しているが、次に述べるような点が異なる。すなわち、目詰まり判断部39は、第2や第3の実施形態と同様にフィルタ24の目詰まりを検知する機能だけなく、さらに、目詰まり目前の状態をも検知できる機能を有している。つまり、目詰まり判断部39は、内部空間26の風量Sが、記憶装置31に登録されているしきい値P以上、かつ、第2しきい値Q未満であると判断した場合に、目詰まり目前状態であると判断する。そして、目詰まり判断部39は、その目詰まり目前状態をディスプレイ27等により報知する。
【0071】
図5は、第4実施形態における演算装置30のフィルタの目詰まり検知に関わる動作例を示すフローチャートである。この図5のフローチャートを参照して、第4実施形態における目詰まり判断の動作例を説明する。なお、この図5におけるステップS201〜S206,S211の各動作は、それぞれ、図4に示すステップS101〜S106,S108の各動作と同様である。このため、ここでは、その重複説明は省略する。
【0072】
この第4実施形態では、ステップS204において、目詰まり判断部39は、目詰まり検査モード中に測定された風量に基づいた内部空間26の風量Sがしきい値P未満であるか否かを判断する。この判断の結果、目詰まり判断部39は、風量Sがしきい値P未満でない、つまり、風量Sはしきい値P以上であると判断した場合には、さらに、風量Sが第2しきい値Q未満であるか否かを判断する(ステップS207)。この判断の結果、目詰まり判断部39は、風量Sが第2しきい値Q未満ではないと判断した場合には、フィルタ24は目詰まりしていないと破断する(ステップS210)。そして、この判断の後に、ファン制御部35は、運転モードを目詰まり検査モードから通常モードに切り換える(ステップS211)。
【0073】
一方、目詰まり判断部39は、風量Sが第2しきい値Q未満であると判断した場合(P≦S<Qの場合)には、目詰まり目前状態であると判断する(ステップS208)。そして、目詰まり判断部39は、フィルタ24が目詰まり目前状態であることをディスプレイ27等により報知させる(ステップS209)。この後に、ファン制御部35は、前記同様に、運転モードを目詰まり検査モードから通常モードに切り換える(ステップS211)。
【0074】
この第4実施形態では、上記のように、目詰まり判断部39は、フィルタ24の目詰まり目前状態をも検知可能であることから、フィルタ24が目詰まりを起こす前にフィルタ24の掃除等を利用者に促すことができる。
【0075】
(その他の実施形態)
なお、この発明は第1〜第4の各実施形態に限定されず、様々な実施の態様を採り得る。例えば、第2〜第4の各実施形態では、目詰まり検査モード中に、サンプリング部37は、風量センサ23の測定値を複数取り込む。そして、目詰まり判断部39は、それら測定値の平均値を算出し当該算出値を内部空間26の風量Sとし、当該風量Sに基づいてフィルタ24の目詰まりの有無を判断している。これに代えて、例えば風量センサ23の性能等によっては、サンプリング部37が目詰まり検査モード中に風量センサ23から測定値を取り込む回数は1回であってもよい。この場合には、目詰まり判断部39は、その測定値をそのまま内部空間26の風量Sとし、当該風量Sに基づいてフィルタ24の目詰まりを判断することとなる。
【0076】
また、第2〜第4の各実施形態では、目詰まり判断部39は、風量センサ23の測定値の統計処理として、平均値を算出している。これに代えて、目詰まり判断部39が行う測定値の統計処理は、中央値を求める処理等のように、平均値を求める処理以外の統計処理であってもよい。
【0077】
さらに、第2〜第4の各実施形態では、目詰まり検査モードでの設定回転数Kは、ファン22の最大回転数としている。これに対し、設定回転数Kは、例えば、通常モードにおけるファン22の回転数可変制御範囲の上限から前記最大回転数までの範囲内で適宜に定めた回転数であってもよい。
【0078】
さらに、第2〜第4の各実施形態では、ファン制御部35とモード切り換え部36とサンプリング部37と目詰まり判断部39は、CPUの一機能として説明したが、それらはCPU以外のハードウェアにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 フィルタの目詰まり検査装置
2,36 モード切り換え部
3,39 目詰まり判断部
5 給気装置
6,22 ファン
8,35 ファン制御部
12,24 フィルタ
13,25 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンの運転モードを、予め定めたタイミングで、前記ファンの回転数を可変制御する通常モードから、前記ファンの回転数を予め定められた設定回転数まで増加させ当該設定回転数に固定する目詰まり検査モードに切り換えるモード切り換え部と、
前記目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、前記内部空間の風量の測定値を取り込み、当該測定値に基づいた前記内部空間の風量が予め定められたしきい値未満に低下していると判断した場合には前記フィルタが目詰まりしていると判断する目詰まり判断部と、
を有しているフィルタの目詰まり検査装置。
【請求項2】
前記設定回転数は、前記ファンの最大回転数である請求項1記載のフィルタの目詰まり検査装置。
【請求項3】
前記目詰まり判断部は、前記内部空間の風量の測定値の取り込みを複数回行い、これら取り込んだ風量の測定値を統計処理して前記内部空間の風量を算出し、当該風量が前記しきい値未満に低下していると判断した場合に前記フィルタが目詰まりしていると判断する請求項1又は請求項2記載のフィルタの目詰まり検査装置。
【請求項4】
前記目詰まり判断部は、前記測定値に基づいた前記内部空間の風量が、前記しきい値以上、かつ、そのしきい値よりも高い第2しきい値未満であると判断した場合には、前記フィルタが目詰まり目前状態にあると判断する請求項1又は請求項2又は請求項3記載のフィルタの目詰まり検査装置。
【請求項5】
前記ファンの運転モードを切り換える前記タイミングを、外部から入力された情報に基づき変更するタイミング変更部を、さらに、有している請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のフィルタの目詰まり検査装置。
【請求項6】
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンと、
前記内部空間の風量を測定する風量測定器と、
請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載のフィルタの目詰まり検査装置と、
前記フィルタの目詰まり検査装置のモード切り換え部の指示に応じて通常モードから目詰まり検査モードに切り換えて前記ファンの回転制御を行うファン制御部と、
を有する給気装置。
【請求項7】
請求項6記載の給気装置と、
当該給気装置が給気する内部空間を囲む壁をなす筐体と、
当該筐体に形成された通気孔を通って前記内部空間に流れ込む空気から塵埃を取り除くフィルタと、
を有する給気機能付き装置。
【請求項8】
給気対象の内部空間を囲む壁に形成された通気孔を通して外部から前記内部空間に空気を導入するファンの運転モードを、予め定めたタイミングで、前記ファンの回転数を可変制御する通常モードから、前記ファンの回転数を予め定められた設定回転数まで増加させ当該設定回転数に固定する目詰まり検査モードに切り換え、
前記目詰まり検査モードに切り換えられた場合に、前記内部空間の風量の測定値を取り込み、
当該測定値に基づいた前記内部空間の風量が予め定められたしきい値未満に低下していると判断した場合には、前記フィルタが目詰まりしていると判断するフィルタの目詰まり検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−64718(P2012−64718A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206988(P2010−206988)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】