説明

フィルタエレメントの配置構成、ろ過方法、組立方法

【課題】高流速を維持しながら流体を清浄にするフィルタを提供する。
【解決手段】フィルタエレメント10は、開口のある外側の第1管状構造物12と、開口のある内側の第2管状フィルタ媒体構造物18とを含む。前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第1管状フィルタ媒体構造物から半径方向に離れて配置されている。前記第2フィルタ内はろ過していない流体の流路24を定めている。プラスチック製のインナーライナー16は、前記第1フィルタ内にあって前記第1管状フィルタ媒体構造物を支える。プラスチック製のアウターライナー18は、前記第1フィルタ内にあって前記第2管状フィルタ媒体構造物を支える。ろ過した流体の流路20は前記インナーライナーと前記アウターライナーとの間に定められいる。バランス具36は前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状のフィルタ媒体構造物との間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はフィルタに関する。特に、本出願は、高流速を維持しながら流体を清浄にするためにマルチパスを応用して流体のろ過に使用可能なフィルタを記載する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国内の会社ドナルドソン・カンパニー・インクの名において、およびイギリスの国民であるフィリップ・エドワード・ジョンソンと、全て米国民であるデヴィッド・メリーヌ・ウェブ、ポールスチュワートブースとデヴィッド・E.カールソンの名において2006年3月30日にPCT国際特許出願として出願され、2005年4月5日に出願された米国仮特許出願第60/668,894号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第60/668,894号を引用することによって、その内容をここに合体する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
標準のフィルタは、一方向だけでろ過する単一の媒体パックだけを有する。これらの種類の配置構成では、高い圧力低下の条件において媒体パックがつぶれないように支える必要がある。これらの種類の適用において、効率は圧力低下の増加または流量速度の低下なしでは増加させることはできない。効率の増加は、また汚れを保持する力を減少させる。多くの適用において、媒体はスチール缶内に配置されスクラップの鉄鋼を汚染するので、顧客はスクラップ金属に対するプレミアム値よりも少ないものしか得られない。従って、改良は好ましいものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
フィルタエレメントは、開口のある(開いている)第1フィルタ内部空間を定める外側にある第1管状フィルタ媒体構造物と、開口のある第2フィルタ内部空間を定める内側にある第2管状フィルタ媒体構造物とを含む。前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第1フィルタ内部空間に配置され、前記第1管状フィルタ媒体構造物から半径方向に離れて配置されている。前記第2フィルタ内部空間はろ過していない流体の流路を定めている。プラスチック製のインナーライナーは、前記第1フィルタ内部空間にあって前記第1管状フィルタ媒体構造物を支える。プラスチック製のアウターライナーは、前記第1フィルタ内部空間にあって前記第2管状フィルタ媒体構造物を支える。ろ過した流体の流路は前記インナーライナーと前記アウターライナーとの間に定められいる。バランス具は前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物との間に配置されている。
【0005】
ろ過していない流体を、第1管状フィルタ媒体構造物を通過してろ過した流体容積部に入るように方向づける第1方向付工程と、ろ過していない流体を、前記第1管状フィルタ媒体構造物を取り囲こんでかつ半径方向に離れて配置されている第2管状フィルタ媒体構造物を通過して前記ろ過した流体容積部に入るように方向づける第2方向付工程と、前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物とを、前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物との間で非金属のバランス具で支える支持工程と、を有するろ過方法が提供される。
【0006】
フィルタエレメントの組立方法が提供される。この方法は、第1フィルタ媒体を選択し、前記第1フィルタ媒体から非金属のインナーライナーを持つ第1管状構造物を形成する工程と、第2フィルタ媒体を選択し、前記第2フィルタ媒体から非金属のアウターライナーを持つ第2管状構造物を形成する工程と、前記第1管状構造物中に前記第2管状構造物を操作可能に配置し、前記第1フィルタ媒体を前記第2フィルタ媒体から半径方向に離れて配置する工程と、前記第1管状構造物と前記第2管状構造物との間に非金属のバランス具を提供する提供工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の原理に基づいて構成されたフィルタエレメントの断面図である。
【図2】図1のフィルタエレメントが操作可能に内部に設置されているハウジングを含むフィルターアセンブリの斜視図である。
【図3】図1と図2のフィルタエレメントで使用可能なアウターライナーの部分斜視図である。
【図4】図3のアウターライナーの端面図である。
【図5】図2のフィルタエレメント斜視断面図であり、断面は図2の線5−5に沿って得られる図である。
【図6】本発明の原理に基づいて構成されたフィルタエレメントの第2の実施例の断面図である。
【図7】図6で図示されたフィルタエレメントの斜視図である。
【図8】図7で図示されたフィルタエレメントの概要の斜視図であり、内部コンポーネントを図示するために一部を取り除いた図である。
【図9】図6〜図8のフィルタエレメント中で使用可能なコンポーネントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1において、マルチエレメントのフィルタエレメントの1つの実施例が1で一般的に記載されている。フィルタエレメントは、共通のリザーバからの流体をろ過するために2つの異なるフィルタ媒体を利用するマルチパスシステムにおいて使用することができる。これらのタイプのシステムでは、フィルタエレメント10の総合的なろ過効率は、時間の経過につれてより高い効率フィルタ媒体のろ過効率に近づくであろう。したがって、より高い効率の媒体を通過する流体のわずかな側流でさえ総合的なシステムの性能に有益となるであろう。さらに、共通源から与えられる効率と圧力低下に変化をつける2つの媒体は、それぞれを通過する個々の流れに対して自分でバランスをとることができる。さらに、内部および外部の支持体とその間の共通の流路とを備えた2つのフィルタ媒体は、互いに構造的に支持するように作用することができる。
【0009】
図1において、フィルタエレメント10は、フィルタ媒体12の外側にある第1管状構造物を含んでいる。フィルタ媒体12の第1管状構造物は、円筒形で示されているが、すり鉢状を含む他の形状であってもよい。フィルタ媒体の第1構造物は、開口のある(開いている)第1フィルタ内部空間14を定める。インナーライナー16は、開口のある第1フィルタ内部空間14に沿って並び、フィルタ媒体12の第1構造物に支持体を提供するように機能する。インナーライナー16は、多孔性であるまたは穴が開けられており、流体が第1媒体構造物12を通過し、次にインナーライナー16を通過して開口のある第1フィルタ内部空間14まで流れるのを可能にする。
【0010】
好ましい配置構成では、インナーライナー16は非金属であり得る。多くの好ましい配置構成では、インナーライナー16はプラスチックでつくることができる。フィルタエレメント構造物10は、下記に記載されるように、従来の金属製ライナーに比較してかなり薄くて軽量で安価なインナーライナー16用の材料になる。好ましい配置構成では、インナーライナーの厚さは0.1インチ未満である。1つの配置構成では、インナーライナー16の厚さは約0.090〜0.099インチであり得る。
【0011】
フィルタ媒体12の外側にある第1構造物は、多くの異なる種類の媒体であり得る。例えば、媒体12は、ひだ付き媒体、ひだ付きでない媒体、合成繊維、紙などであり得る。もちろん、使用される媒体12の種類は応用に依存するであろう。
【0012】
図示された実施例では、フィルタエレメント10はさらにフィルタ媒体18の内側にある第2管状構造物を含んでいる。フィルタ媒体18の内側にある第2管状構造物は、円筒形で示されているが、すり鉢状を含む他の形状であってもよい。図示された実施例において、フィルタ媒体18の第2管状構造物は、開口のある第1フィルタ内部空間14内に配置されている。好ましくは、フィルタ媒体18の第2構造物は、外側の媒体14と内側の媒体18の間の流体の流路20を定めるためにフィルタ媒体12の第1構造物から半径方向に離れて配置されている。媒体18は、ひだ付き、ひだ付きでない、合成繊維、紙などを含む多くの種類のフィルタ媒体であり得る。
【0013】
フィルタ媒体18の内側にある第2管状構造物は、開口のある第2フィルタ内部空間22を定める。開口のある第2フィルタ内部空間22はそこに流体の流路24を定める。好適な実施例では、流体の流路24はろ過されていない流体の流路26である。
【0014】
フィルタ媒体18の第2構造物を支えるのは、アウターライナー28である。アウターライナー28は、多孔性であるまたは穴が開けられており、流体の通過が可能である。好ましくは、アウターライナー28は非金属である。好ましくは、アウターライナー28はプラスチックで組み立てられており、その厚みは0.1インチ未満である。好ましい配置構成では、アウターライナー28の厚みは0.090〜0.099インチの範囲である。
【0015】
外側のフィルタ媒体14と内側のフィルタ媒体18の間の流体の流路20もまた、インナーライナー16とアウターライナー28の間に位置している。好ましくは、流体の流路20はろ過された流体の流路30である。すなわち、操作において、好ましくはろ過すべき流体は、第1フィルタ媒体12の上流面32を通過し、フィルタ媒体12を通過し、インナーライナー16を通過し、ろ過された流体の流路30まで流れるが、一方、ろ過されていない流体はろ過されていない流体の流路26内に入り、内側のフィルタ媒体18の上流側面34を通過し、媒体18を通過し、アウターライナー28を通過し、ろ過された流体の流路30中へ流れる。次に、ろ過された流路30中の流体は、システム中で使用するためにフィルタエレメント10から出る。
【0016】
フィルタエレメント10をバランスするためにバランス具36が提供される。図示された実施例では、バランス具が第1管状のフィルタ媒体構造物12と第2管状のフィルタ媒体構造物18との間に提供される。図1の特定の実施例において、バランス具36は、インナーライナー16とアウターライナー28の間でインナーライナー16とアウターライナー28に押しつけられている。この実施例において、バランス具36はインナーライナー16とアウターライナー28との間の非圧縮性の固体のスペーサ38であり、外側の媒体12と内側の媒体18を横切る圧力がバランスするのを確実にする。この実施例では、バランス具36はプラスチックなどの非金属材料で構成されている。バランス具36が存在するために、インナーライナー16とアウターライナー28とは、圧力差に耐えるために金属または非常に厚い非金属ライナーを必要とする従来技術の中子配置構成と比べると、比較的薄くて軽量のプラスチックで作ることができる。
【0017】
ここで図3と図4を参照すると、バランス具36の1つの実施例がインナーライナー16とアウターライナー28の間でインナーライナー16とアウターライナー28に押しつけられて半径方向に伸びている少なくとも1つのリブ40を含むように図示されている。図示された特定の実施例では、バランス具36はインナーライナー16とアウターライナー28の間でインナーライナー16とアウターライナー28に押しつけらながら伸びていている複数のリブ40を含んでいる。図示された実施例では、アウターライナー28は、アウターライナー28の長さに沿って長手方向に伸び、アウターライナー28から半径方向につきだしてインナーライナー16にぶつかるリブ40を有する。図示された実施例では、少なくとも3つのリブ40、例えば4〜10個のリブ40がある。それぞれのリブ40は半径方向に少なくとも0.2インチ、通常は0.25〜1.25インチ、例えば、0.3〜0.5インチ突き出ている。
【0018】
バランス具36の他の実施例もまたは使用可能である。バランス具36は、例えば、バネであり得る。この実施例は、図6〜9と関連づけて以下に説明される。リブ40は、正方形、長方形、多角形、楕円形および不規則形状などを含む異なる断面を持つことができる。
【0019】
再度、図1を参照すると、図示された配置構成では、フィルタエレメント10はさらに開口のある(開いている)第1端部キャップ50を含んでいる。端部キャップ50は、すき間または開口52を定める。通常の操作では、開口52は出口開口54として機能する。
【0020】
図示された実施例では、フィルタエレメント10はさらにすき間または開口58を定める第2端部キャップ56を含んでいる。通常の操作では、開口58は入口開口60となるであろう。
【0021】
図示された配置構成において、フィルタ媒体12の第1構造物は、第1端部キャップ50と第2端部キャップ56の間で伸びている。媒体12は、例えば埋め込みまたは鋳込みを含む多くの異なった技術によって、端部キャップ50と端部キャップ56とに固定することができる。
【0022】
図示された実施例において、第2フィルタ媒体構造物18は第2端部キャップ56に固定されている。このように、第2端部キャップ56は、実施例で図示されたように、一般的に第1フィルタ媒体構造物と第2フィルタ媒体構造物18の両方を固定する。第2フィルタ媒体18は第2端部キャップに、例えば埋め込みまたは鋳込みを含む多くの異なった技術によって固定することができる。
【0023】
さらに図1を参照すると、図示されたフィルタエレメント10の実施例において、第3端部キャップ62がある。第3端部キャップ62は開口の無い(閉じている)端部キャップとして図示されており、開口の無い端部キャップはその中を流体が通過する開口がないことを定めることを意味している。図示された実施例は、第2端部キャップ56と第3端部キャップの間に伸びていて、第2端部キャップ56と第3端部キャップに固定されている第2媒体構造物18を示している。さらに、第2フィルタ媒体18は、第3端部キャップに、例えば埋め込みまたは鋳込みを含む多くの異なった技術によって固定することができる。
【0024】
図示された実施例において、第3端部キャップ62は第1端部キャップ50から軸方向に離れて配置されている。この軸方向に離れていることは、ろ過された流体の流路30から出口開口54までの流体の流路を定めるのを助ける。出口開口54はろ過された流体の流路30と連通しており、ろ過された流体がろ過された流体の流路30から出口開口54を通過しフィルタエレメント10から出るのを可能にする。入口開口60はろ過されていない流路26と連通している。
【0025】
操作では、ろ過されるべき流体は外側の媒体12あるいは内側の媒体18のどちらかを通過して流れる。外側の媒体12を通過して流れる場合、流体は標準の前進流方向に媒体12の外側から開口のあるフィルタ内部空間14まで矢印74で示されるように流れる。流体は媒体12によってろ過されてろ過された流体の流路30に到達する。ろ過されていない流体が矢印76に示されるように内側のフィルタ媒体18を通って流れる場合、ろ過されていない流体は、入口開口60を通過し、ろ過されていない流体の流路26に入り、フィルタ媒体18の内側の領域を通過し、次に、他のろ過された流体とろ過された流体の流路30で合流する。内側のフィルタ媒体18は逆の流れのエレメントとして作動し、流体は開口のあるフィルタ内部空間22から媒体18を通過し第2フィルタ媒体18の外側まで流れる。フィルタが作動している間、バランス具36は、インナーライナー16をアウターライナー28を支えて、外側のフィルタ媒体12と内側のフィルタ媒体18の両方が崩壊するのを防ぐのを助ける。矢印78に示されるろ過された流体は、次に、出口開口54を通過してフィルタエレメント10を出る。
【0026】
ここで図2と図5を参照すると、フィルターアセンブリ64で図示されている。フィルターアセンブリ64はハウジング68の内部空間66中に操作可能に配置されているフィルタエレメント10を含んでいる。好ましい配置構成では、フィルタエレメント10は、ハウジング68中で取り外し可能、取替え可能である。フィルターアセンブリ64はフィルタヘッド70に操作可能に取り付けられている。フィルタヘッド70は、ろ過されていない流体がその中とフィルタエレメント10に流れるのを可能にする入口流路80を含んでいる。また、フィルタヘッド70はろ過された流路30からろ過された流体の排出を可能にする出口流路82を含んでいる。図示された配置構成において、シール84は、フィルタヘッド70上のスパッド86とフィルタエレメント10の第1端部キャップの間に形成される。いくつかの配置構成では、フィルターアセンブリ64はねじ込み可能にヘッド70に取り付けられている。
【0027】
好ましくは、フィルタエレメント10は環境に優しい材料で完全に組み立てられる。例えば、フィルタエレメント10は少なくとも98%の非金属材料、好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%の非金属材料で組み立てられる。少なくとも98%の非金属材料で組み立てられると、フィルタエレメント10は容易に焼却可能である。
【0028】
本開示の原理に基づいて組み立てられたフィルタエレメントは、広い範囲の総合的な流れで作動することができるとともに、異なるフィルタ媒体が互いの流速を自己つりあいさせるのを可能にする。さらに、多くの異なるフィルタ媒体の組み合わせは、外側の媒体12と内側の媒体18の別々の構造物によって容易にかつ簡単に作ることができる。
【0029】
フィルタエレメントの組み立て方法は本開示の原理に基づいて実施することができる。例えば、最初に、第1フィルタ媒体が選択されて、第1フィルタ媒体から第1管状のフィルタ媒体構造物12が形成される。フィルタ媒体12の第1管状構造物はインナーライナー16、好ましくは非金属のインナーライナー16とともに提供される。次に、第2フィルタ媒体が選択されて、第2フィルタ媒体からアウターライナー28、好ましくは非金属のアウターライナー28を持つ第2管状構造物18が形成される。次に、第2管状構造物18は第1管状構造物12中で操作可能に配置される。第1フィルタ媒体構造物12は、第2フィルタ媒体構造物18に対して両構造物が両構造物の間で流体の流路20を得るように半径方向に互いに離れるように配置される。次に、バランス具36をインナーライナー16とアウターライナー28の間でインナーライナー16とアウターライナー28に押しつけられるように提供される。好ましくは、バランス具36は非金属である。
【0030】
さらにフィルタエレメントを組み立て方法は、第1端部キャップ50と第2端部キャップ56の間で第1管状構造物を固定する工程を含む。好ましい方法では、第2フィルタ媒体構造物18を開口のある(開いている)第2端部キャップ56に固定し、フィルタ媒体18の反対の端部を第3端部キャップ62に固定する工程を含む。
【0031】
次に、図6の実施例について説明する。図6はフィルタエレメント110の断面図であり、図1で上記説明したフィルタエレメントと多くの点で同様である。コンポーネントが同じものは、図6のフィルタエレメント110では第2実施例を表現するために図1の参照番号と同じ参照番号に100を加えている。図1のコンポーネントの説明は図6の説明として適用され、本明細書中に引用して合体される。一般に、図6のフィルタエレメント110は、112の外側にある第1管状フィルタ媒体構造物、開口のある第1内部空間114、インナーライナー116、内側にある第2管状フィルタ媒体構造物118、流体の流路120、開口のある第2フィルタ内部空間122、流体の流路124、ろ過されていない流体の流路126、アウターライナー128、ろ過された流体の流路130、上流側132、上流側134、バランス具136、開口のある(開いている)第1端部キャップ150、すき間または開口152、出口開口154、すきままたは開口158を定める第2端部キャップ156、入口開口160、および第3端部キャップ162を含む。別々の図面で図示されていないが、フィルタエレメント110はハウジング中に操作可能で配置可能であり、図2で図示されたハウジング68などのようにフィルターアセンブリ64を形成する。
【0032】
図6の実施例では、バランス具136はバネ180として実施されている。図9はその配置構成で使用可能なバネ180の1つの実施例を図示している。図9において、バネ180はコイルバネ182として図示されている。好ましくは、コイルバネ182はプラスチックなどの非金属材料を含む。図9に示された実施例は、3つに巻いたコイルを示すが、フィルタエレメント110の大きさに依存して、より巻き数の多いあるいは少ないコイルもまた使用することができる。
【0033】
図6はバランス具136’もまた図示している。バランス具136’はバランス具136(バネ180として図6に例示された)に加えてまたは単独で(すなわち、バランス具136なしで)で使用することができる。図6に示された実施例において、バランス具136'は複数のガセット184を含んでいる。図示された実施例では、ガセット184は開口のある(開いている)第1端部キャップと開口のない(閉じている)第3端部キャップ162の間に伸びる構造的なバランス具として作用している。
【0034】
図6の実施例において、渦巻状支持体またはバネ180は、第1管状フィルタ媒体構造物112と第2管状フィルタ媒体構造物118の分離を提供する。流れと圧力または汚れの充填の増加につれて、力は媒体構造物112、118とそれらの各支持体の管128、116を互いに向かって押す。この力は渦巻状支持体またはバネ180の外表面上を圧縮する。それら力を矢印F1とF2で示す。渦巻状支持体180はさまざまな条件下で非常に高いレベルまでこれらの力に耐えるのを助ける。
【0035】
バランス具136'は、相反する力F3(開口のある(開いている)端部キャップ150に作用する)とF4(第3端部キャップ162に作用する)に耐えるのを助ける。特に、開口のある第1端部キャップ150の外側の部分への力は、端部キャップ150を内側に媒体112に向かって圧縮する。第3端部キャップ162の内側部分上の力F4は、端部キャップ162を外側に第2フィルタ媒体118から遠くに押しつける。端部キャップ150をガセット184で端部キャップ162に連結することによって、力F3とF4は互いに打ち消しあって、安定した設計を提供する。この安定性は、第3端部キャップ162が第2媒体構造物118から強制的に動かされて清浄な流体の流れ178に入る場合に生じる破滅的破壊を防ぐために役立つ。
【0036】
図7は、図6で図示されたフィルタエレメント110の斜視図である。図7において、他のある使用可能な特徴をみることができる。特に、可撓性の耳またはタブ190が開口のある第1端部キャップ150の最も外側の周囲から伸びているのを見ることができる。タブ190は国際公開第2004/033067号パンフレットに示されているようにハウジングの内壁からエレメント110を間隔を開けるために使用することができる。国際公開第2004/033067号パンフレットを引用することによってその全ての内容を本明細書中に合体する。
【0037】
図8は、さらに特徴をはっきりさせるために一部分を破断したフィルタエレメント110の別の斜視図を示す。図8において、第3端部キャップ162から突き出しているガセット184を見ることができる。またバネ180も見ることができる。また内側にある第2フィルタ媒体構造物118のアウターライナー128を見ることができる。
【0038】
図6の実施例に対するフィルタエレメントをろ過する方法と組み立てる方法は、図1に関する上記の説明と類似するものであり、その内容を引用することによって本明細書に合体する。
【0039】
上記の記載はいくつかの実施例を示している。本開示の原理に基づいて多くの実施例を組み立てることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントであって、
(a)前記フィルタエレメントは、開口のある第1フィルタ内部空間を定める外側にある第1管状フィルタ媒体構造物を有し、
(b)前記フィルタエレメントは、開口のある第2フィルタ内部空間を定める内側にある第2管状フィルタ媒体構造物を有し、
(i)前記第2管状フィルタ媒体構造物は、前記第1フィルタ内部空間に配置され、
(ii)前記第2管状フィルタ媒体構造物は、前記第1管状フィルタ媒体構造物から半径方向に離れて配置され、
(iii)前記第2フィルタ内部空間はろ過されていない流体流路を定めており、
(c)前記フィルタエレメントは、前記第1フィルタ内部空間にあって前記第1管状フィルタ媒体構造物を支えるプラスチック製のインナーライナーを有し、
(d)前記フィルタエレメントは、前記第1フィルタ内部空間にあって前記第2管状のフィルタ媒体構造物を支えるプラスチック製のアウターライナーを有し、
(i)前記インナーライナーと前記アウターライナーとの間にろ過された流体流路が定められており、
(e)前記フィルタエレメントは、前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物との間のバランス具を有することを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
(a)前記バランス具は、前記インナーライナーと前記アウターライナーとの間に配置され、前記インナーライナーと前記アウターライナーとにぶつかるバネを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
(a)前記バランス具は、前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物との間で伸びている複数のガセットを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
(a)開口のある第1端部キャップと、
(b)開口のある第2端部キャップと、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
(a)前記第1管状フィルタ媒体構造物は前記第1端部キャップと前記第2端部キャップとの間で伸びており、
(b)前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第2端部キャップに固定されていることを特徴とする請求項4に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
(a)開口のない第3端部キャップを更に有し、
(i)前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第2端部キャップと前記第3端部キャップとの間で伸びていることを特徴とする請求項5に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
(a)前記バランス具は、前記第1端部キャップと前記第3端部キャップとの間で伸びている複数のガセットを含むことを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
(a)前記第3端部キャップは、前記第1端部キャップから軸方向に離れて配置されていることを特徴とする請求項7に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
(a)前記第3端部キャップは、前記第1端部キャップから軸方向に離れて配置されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
(a)前記開口のある第2端部キャップは、前記ろ過されていない流体流路と連結する入口開口を定めることを特徴とする請求項9に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
(a)前記開口のある第1端部キャップは、前記ろ過された流体流路と連結する出口開口を定めることを特徴とする請求項10に記載のフィルタエレメント。
【請求項12】
(a)前記フィルタエレメントは、少なくとも98%の非金属材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項13】
(a)前記アウターライナーは0.1インチ未満の厚さを有し、
(b)前記インナーライナーは0.1インチ未満の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項14】
フィルタアセンブリであって、
(a)フィルタエレメントを有し、前記フィルタエレメントは、
(i)開口のある第1フィルタ内部空間を定める外側にある第1管状フィルタ媒体構造物と、
(ii)開口のある第2フィルタ内部空間を定める内側にある第2管状フィルタ媒体構造物と、を有し、
(A)前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第1フィルタ内部空間に配置され、
(B)前記第2管状フィルタ媒体構造物は前記第1フィルタ媒体構造物から半径方向に離れて配置され、
(C)前記第2フィルタ内部空間がろ過されていない流体流路を定めており、
(iii)前記第1フィルタ内部空間にあって前記第1管状フィルタ媒体構造物を支えるプラスチック製のインナーライナーと、
(iv)前記第1フィルタ内部空間にあって前記第2管状フィルタ媒体構造物を支えるプラスチック製のアウターライナーと、を有し、
(A)ろ過された流体流路が前記インナーライナーと前記アウターライナーとの間で定められており、
(v)前記第1管状フィルタ媒体構造物と前記第2管状フィルタ媒体構造物との間のバランス具を有し、
(b)内部空間を定めるハウジングを有し、
(i)前記フィルタエレメントが前記ハウジングの内部空間に操作可能に配置されている、ことを特徴とするフィルタアセンブリ。
【請求項15】
(a)前記フィルタエレメントは前記ハウジングの内部にあって取り外し可能でありかつ交換可能であることを特徴とする請求項14に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項16】
ろ過方法であって、
(a)ろ過されていない流体が第1管状媒体構造物を通過してろ過された流体容積部に入るように方向づける第1方向付工程と、
(b)ろ過されていない流体が前記第1管状媒体構造物を取り囲みかつ半径方向に離れて配置されている第2管状媒体構造物を通過して前記ろ過された流体容積部に入るように方向づける第2方向付工程と、
(c)前記第1管状媒体構造物と前記第2管状媒体構造物とを、前記第1管状媒体構造物と前記第2管状媒体構造物との間で非金属のバランス具で支える支持工程と、を有することを特徴とするろ過方法。
【請求項17】
(a)前記支持工程は、内側のプラスチック製ライナーで前記第1管状媒体構造物を支える工程と、外側のプラスチック製ライナーで前記第2管状媒体構造物を支える工程と、前記内側のプラスチック製ライナーと前記外側のプラスチック製ライナーとを互いに対して半径方向に押さえて支える工程とを含むことを特徴とする請求項16に記載のろ過方法。
【請求項18】
(a)前記半径方向に押さえて支える工程は、前記内側のプラスチック製ライナーと前記外側のプラスチック製ライナーとの間で圧縮されるばねを使用する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載のろ過方法。
【請求項19】
(a)前記支持工程は、内側のプラスチック製ライナーで前記第1管状媒体構造物を支える工程と、外側のプラスチック製ライナーで前記第2管状媒体構造物を支える工程と、前記第1管状媒体構造物上の端部キャップを前記第2管状媒体構造物上の端部キャップに対して押さえて支える工程とを含むことを特徴とする請求項16に記載のろ過方法。
【請求項20】
(a)前記ろ過されていない流体が前記第2管状媒体構造物を通過して前記ろ過された流体容積部に入るように方向づける前記第2方向付工程は、前記ろ過されていない流体が前記第2端部キャップの開口を通ってろ過されていない流体流路に入り、前記第2管状媒体構造物を通って前記ろ過された流体容積部に入ることを特徴とする請求項16に記載のろ過方法。
【請求項21】
(a)流体を、前記ろ過された流体容積部から前記第1端部キャップ中の開口を通過するように方向付ける工程を更に有することを特徴とする請求項16に記載のろ過方法。
【請求項22】
フィルタエレメントの組立方法であって、
(a)第1フィルタ媒体を選択し、前記第1フィルタ媒体から非金属のインナーライナを持つ第1管状構造物を形成する工程と、
(b)第2フィルタ媒体を選択し、前記第2フィルタ媒体から非金属のアウターライナを持つ第2管状構造物を形成する工程と、
(c)前記第1管状構造物中に前記第2管状構造物を操作可能に配置しかつ前記第1フィルタ媒体を前記第2フィルタ媒体から半径方向に離して配置する工程と、
(d)前記第1管状構造物と前記第2管状構造物との間に非金属のバランス具を提供する提供工程と、
を有することを特徴とするフィルタエレメントの組立方法。
【請求項23】
(a)前記操作可能に配置する工程は、開口を定める単一の端部キャップに前記第1管状構造物と前記第2管状構造物とを固定する工程を含むことを特徴とする請求項22に記載のフィルタエレメントの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−135763(P2012−135763A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−35412(P2012−35412)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2008−505378(P2008−505378)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)