フィルタエレメント
【課題】簡単にエレメント部分を交換できるフィルタエレメントを提供する。
【解決手段】フィルタエレメント10は、筒状に形成されるエレメント部分30と、エレメント部分30の内側に着脱可能に収容される内筒40とを備える。エレメント部分30は、第2の溝を備える。内筒40は、当該内筒40がエレメント部分30内に収容された状態において第2の溝と係合する第1の位置P1と係合が解除される第2の位置P2とで移動可能な角部55と、角部55を第1の位置P1と解除される第2の位置P2との間で変位する操作部とを備える。
【解決手段】フィルタエレメント10は、筒状に形成されるエレメント部分30と、エレメント部分30の内側に着脱可能に収容される内筒40とを備える。エレメント部分30は、第2の溝を備える。内筒40は、当該内筒40がエレメント部分30内に収容された状態において第2の溝と係合する第1の位置P1と係合が解除される第2の位置P2とで移動可能な角部55と、角部55を第1の位置P1と解除される第2の位置P2との間で変位する操作部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧回路などの液が循環するシステムに混入した異物などを除去するためのフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重機などの油圧回路中を循環する作動油の異物を捕集するために、油圧回路にはフィルタエレメントが組み込まれている。この主のフィルタエレメントは、油圧回路中に形成されるタンク内に設置されており、油圧回路中を流れる作動油中の異物を捕集している。
【0003】
フィルタエレメントは、濾材を有して作動油中の異物を捕集するエレメント部分と、エレメント部分を支持する支持部とを有している。エレメント部分は、例えばプリーツ折りされて、外観形状が円筒状に形成されている。また、エレメント部分を、外から内に向かって通過することによって異物を捕集する場合、支持部としては、エレメント部分の内側に収容される内筒が用いられている。
【0004】
この種のフィルタエレメントでは、エレメント部分は、異物を捕集することによって、そのろ過性能が低下する。このため、作動油を常に良好な状態(異物を含まない状態)に維持するためには、エレメント部分は、交換される必要がある。
【0005】
エレメント部分を樹脂で形成するとともに、エレメント部分と内筒を分解可能な構造とし、エレメント部分を破棄して、内筒をリサイクルすることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、エレメント部分と内筒との固定構造として、内筒を円筒状にして外周面におねじを形成するとともに、エレメント部分内において内筒のねじ部分と対向する部分にめねじを形成することが提案されている。このような構造によって、エレメント部分に対して内筒を回転することによって、内筒をエレメント部分に螺合して固定することができる。
【特許文献1】特開2000−167314
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エレメント部分に対して内筒を螺合する構造では、内筒を螺合するために、手でエレメント部分を押さえるなどして保持しなければならない。特許文献1に開示されている固定構造では、エレメント部分と内筒とを分別する際には、工具を用いて爪部と内筒とのかしめを解除する必要がある。この場合であっても、エレメント部分を手などで保持することが求められる。
【0008】
エレメント部分は、作動油が付着している。このため、エレメント部分を手で押さえると、手が汚れるなどする。また、作動油などの油が付着していることによって、滑るなどしてエレメント部分が押さえにくくなる。これらのことより、エレメント部分の交換作業の効率が悪くなる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡単にエレメント部分を交換できるフィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィルタエレメントは、ろ過すべき流体が通過することによって当該ろ過すべき流体をろ過するとともに、筒状に形成されるエレメント部分と、前記エレメント部分の内側に着脱可能に収容される内筒とを備える。前記エレメント部分は、第1の係合部を備える。前記内筒は、当該内筒が前記エレメント部分内に収容された状態において前記第1の係合部と係合する位置と係合が解除される位置とで移動可能な第2の係合部と、前記第2の係合部を前記係合する位置と解除される位置との間で変位する操作部とを備える。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記第2の係合部は、前記内筒の周面から外側に突出する突起である。前記第1の係合部は、前記エレメント部分において前記突起と対向する位置に形成されて、前記第2の係合部が入り込む溝である。
【0012】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記内筒の周壁部に沿って設けられるとともに、一端部が移動可能であって前記操作部として機能し、かつ、他端部が前記内筒に固定される係合部材を備える。前記第2の係合部は、前記係合部材において前記一端部と前記他端部との間の部分の一部が前記内筒の外側に湾曲することによって突出して形成される。
【0013】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記係合部材は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成される。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記操作部は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成される。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記エレメント部分は、軸方向に弾性変形可能に形成される。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記エレメント部分は、前記ろ過すべき流体が通過するとともに筒状に形成される濾材と、前記濾材の一端に設けられて前記一端を支持する第1の支持部と、前記濾材の他端に設けられて前記他端を支持する第2の支持部と、前記濾材の内側に配置されて前記第1の支持部から前記第2の支持部まで延びるとともに、前記濾材の内側に当接する支持部材とを備える。
【0017】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記支持部材は、筒部材であって、外面が前記濾材の内側に当接する。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記操作部には、撥油加工が施される。なお、撥油加工の一例としては、撥油性の材料がコーティングされてもよいし、または、操作部が撥油性の材料で形成されてもよい。
【0019】
本発明の好ましい形態では、 把持部が設けられ、前記把持部には、撥油加工が施される。なお、撥油加工の一例としては、撥油性の材料がコーティングされてもよいし、または、把持部が撥油性の材料で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、エレメント部分を簡単に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係るフィルタエレメントを、図1〜9を用いて説明する。図1は、本実施形態のフィルタエレメント10を示している。フィルタエレメント10は、例えば一例として重機などの作動油が循環する油圧回路20(図中一部示す)に形成されるタンク21内に配置されている。図1は、フィルタエレメント10がタンク21内に配置されている状態を示している。
【0022】
図1に示すように、タンク21は、油圧回路20(図中一部示す)内に配置されている。タンク21は、作動油流入部22と、作動油流出部23が設けられている。作動油流入部22を通って、タンク21内にろ過すべき作動油L1(フィルタエレメント10によってろ過される前の作動油)が流入する。作動油流出部23を通って、フィルタエレメント10によってろ過された後の作動油L2が油圧回路20に戻される。
【0023】
なお、フィルタエレメント10は、筒状であって、外側から内側に向かってろ過すべき作動油L1が通過することによって、当該作動油L1中のダストを捕集する。このため、作動油流出部23は、フィルタエレメント10の内側と連通しており、ろ過後の作動油L2を油圧回路に戻せるようになっている。なお、フィルタエレメント10については、後で詳細に説明する。
【0024】
タンク21には、フィルタエレメント10を設置する作業のために、作業孔24が形成されている。作業孔24を通して、フィルタエレメント10のタンク21内への取付作業が行われる。
【0025】
作業孔24は、蓋部材25によって液密に覆われる。蓋部材25は、例えばボルト26などによってタンク21に固定される。例えば、蓋部材25とフィルタエレメント10との間には、ばね27が介装されている。ばね27によってフィルタエレメント10が押し付けられることによって、タンク21内でのフィルタエレメント10の姿勢が保持される。
【0026】
なお、上記されたタンク21の構造は、一例であって、これに限定されない。また、油圧回路20中においてフィルタエレメント10が配置される場所は、タンク21に限定されない。要するに、フィルタエレメント10は、油圧回路20内を循環する作動油L1をろ過できればよい。
【0027】
つぎに、本実施形態のフィルタエレメント10を説明する。図2は、フィルタエレメント10を、断面して示す断面図である。図3は、フィルタエレメント10を分解して示す断面図である。
【0028】
図2,3に示すように、フィルタエレメント10は、エレメント部分30と、内筒40と、係合部材50とを備えている。
【0029】
エレメント部分30は、筒状である。エレメント部分30は、第1のプレート31と、第2のプレート32と、濾材33とを備えている。
【0030】
図1に示すように、濾材33は、例えばプリーツ状に折り畳まれている。また、図2,3に示すように、濾材33は、丸められており、それゆえ、筒状に形成されている。濾材33は、円筒状に形成されており、平面形状が円である。濾材33は、例えば樹脂で形成されている。
【0031】
本実施形態では、ろ過される前の作動油L1は、濾材33を径方向外側から内側に向かって通過することによってろ過される。このため、濾材33の内側には、ろ過されたクリーンな作動油L2が溜まる。
【0032】
第1のプレート31は、筒状に形成された濾材33の一端部34に設けられており、濾材33の一端部34を支持している。第2のプレート32は、筒状に形成された濾材33の他端部35に設けられており、濾材33の他端部35を支持している。
【0033】
なお、図中、一端部34は、上方に位置し、他端部35は、下方に位置している。また、本実施形態では、図1に示されるように、一例として、フィルタエレメント10がタンク21などの油圧回路20中に設置された状態において、一端部34は、重力方向に沿って上方に位置し、他端部35は、重力方向に沿って一端部34よりも下方に位置している。
【0034】
第1のプレート31は、本発明で言う第1の支持部の一例である。図2,3は、フィルタエレメント10を、濾材33の軸心線方向に沿って断面して示す断面図である。図2,3に示すように、第1のプレート31は、濾材33の一端34a(一端部34の先端)に当接して一端34aに固定される第1のプレート本体部36と、内筒固定部37とを有している。第1のプレート31(第1のプレート本体部36と内筒固定部37とを含む)は、樹脂で形成されている。
【0035】
第1のプレート本体部36は、濾材33の一端34aに当接して固定される、平面形状が円形な板状である(図4に示す)。一端34aは、平坦であり、それゆえ、一端34aの全域は、第1のプレート本体部36に当接している。第1のプレート本体部36は、濾材33の一端34aを液密に覆っている。このため、ろ過される前の作動油L1が、濾材33の一端34aを通って、濾材33の内側に流れ込むことが抑制される。
【0036】
第1のプレート本体部36において濾材33の一端34aに当接していない範囲には、第1のプレート貫通孔38が形成されている。第1のプレート貫通孔38は、円である。第1のプレート本体部36の外周縁部36aと内周縁部36bとは、濾材33の一端部34に沿って折り曲がっており、一端部34を保持している。
【0037】
内筒固定部37は、第1のプレート本体部36に一体に形成されている。内筒固定部37は、第1のプレート本体部36において濾材33と反対側の面に位置しており、濾材33と反対側に突出している。内筒固定部37は、第1のプレート貫通孔38の外側に形成されており、かつ、第1のプレート貫通孔38を囲む環状である。内筒固定部37については、後で詳細に説明される。
【0038】
第2のプレート32は、本発明で言う第2の支持部の一例である。第2のプレート32は、樹脂で形成されている。第2のプレート32は、濾材33の他端35a(他端部35の先端)に当接している。第2のプレート32は、平面形状が円形の板状である。他端35aは、平坦であり、それゆえ、他端35aの全域は、第2のプレート32に当接している。
【0039】
第2のプレート32において濾材33の他端35aと当接していない範囲には、第2のプレート貫通孔39が形成されている。図1に示すように、第2のプレート貫通孔39は、作動油流出部23が内側に嵌まる。作動油流出部23の外面と第2のプレート貫通孔39の縁とは、例えば図示しないシール部材などによって液密にシールされる。このため、フィルタエレメント10の内側に溜まったクリーンな作動油L2は、作動油流出部23を通って油圧回路20に戻される。なお、シール部材を備える構造に限定されない。要するに、第2のプレート貫通孔39と作動油流出部23との間を通って、ろ過された後のクリーンな作動油L2が、フィルタエレメント10外に漏れなければよい。
【0040】
上記構造によって、フィルタエレメント10がタンク21などの油圧回路20に設置された場合、ろ過される前の作動油L1が濾材33の他端35aを通って濾材33の内側に流れ込むことが抑制される。
【0041】
第2のプレート32の外縁部32aと内縁部32bとは、他端部35に沿って折り曲げられており、それゆえ、他端部35が、第2のプレート32によって支持される。
【0042】
図2に示すように、内筒40は、エレメント部分30の内側(濾材33の内側)に収容される。図2,3に示すように、内筒40は、内筒本体部41と、プレート部42とを備えている。内筒40(本体部41と、プレート部42とを含む)は、例えば金属で形成されている。
【0043】
内筒本体部41は、両端が開口する円筒である。内筒本体部41は、濾材33の内側に収容される。プレート部42は、内筒本体部41の一端部43に取り付けられる。なお、内筒本体部41の一端部43は、内筒40がエレメント部分30内に収容されたときに、エレメント部分30の一端部34側に配置される端部である。
【0044】
内筒本体部41には、周壁の全域にわたって作動油通り孔44が複数形成されている。なお、図中には、一部が示されており、他の部分が省略されているが、実際には、内筒本体部41の全域に均等に分布されて形成されている。濾材33を通って濾過された作動油L2は、作動油通り孔44を通って、内筒40の内側に入る。
【0045】
プレート部42は、第1のプレート貫通孔38に液密に嵌まる。具体的には、プレート部42は、平面形状が円である。プレート部42は、第1のプレート貫通孔38の縁部を構成する、濾材33の内周に沿って延びる縁部36bに、全周にわたって当接する。プレート部42と縁部36bとの間には、シール部材の一例として、Oリング45が設けられている。この液密構造によって、第1のプレート貫通孔38は、プレート部42によって液密に塞がれる。
【0046】
上記したように、第1のプレート31には、内筒固定部37が形成されている。内筒固定部37は、第1のプレート貫通孔38の外側に配置されているとともに環状に形成されている。図4は、エレメント部分30の一端部を示す平面図である。図4に示すように
内筒固定部37は、平面形状が環状であるとともに、外縁および内縁が円である。
【0047】
図2に示すように、プレート部42は、内筒40がエレメント部分30に収容された状態において内筒固定部37に当接するまで周方向外側に広がるフランジ部46を有している。フランジ部46は、平面形状が円である。このため、プレート部42の断面形状は、略T字状である。なお、図示しないが、プレート部42には、タンク21などフィルタエレメント10が設置される箇所の圧力が高くなった場合に、フィルタエレメント10によって濾過される前の作動油L1を濾過することなく油圧回路20に戻すように開く弁が設けられてもよい。
【0048】
プレート部42には、把持部47が形成されている。把持部47は、フィルタエレメント10を持ち運ぶ場合など、作業のときに手で保持する部位である。図2、3に示すように、把持部47は、一例として、プレート部42の外縁部の一箇所から反対側の箇所とをつなぐアーチ状である。把持部47は、内筒40の軸心線上を通っている。
【0049】
把持部47全体には、撥油加工が施されている。撥油加工の一例として、把持部47には、フッ素樹脂のコーティングが施されている。または、把持部47は、フッ素樹脂などの撥油性の材料から形成されて、プレート部42にとりつけられてもよい。なお、用いられる撥油性の材料としては、フッ素樹脂に限定されない。撥油性を有する材料であれば、よい。要するに、把持部47が撥油性を有すればよい。
【0050】
図2に示すように、係合部材50は、内筒40フランジ部46の周壁部46aに沿って形成されている。具体的には、フランジ部46の周壁部46aには、外側から内側に向かって凹む第1の溝60が形成されている。第1の溝60は、外周面46bに開口している。係合部材50は、第1の溝60内に収容されている。このため、第1の溝60は、内筒40において、エレメント部分30へ先に挿入される他端部48とは反対側の一端部49に形成される。
【0051】
図5は、内筒40を示す平面図である。図5は、内筒40のプレート部42を示している。図5中、第1の溝60の内側端61が点線で示されている。図5に示すように、第1
の溝60は、フランジ部46の周壁部46aの全周にわたって形成されている。
【0052】
図6は、係合部材50を示す斜視図である。図7は、係合部材50を示す平面図である。図6,7に示すように、係合部材50は、断面が全域にわたって(一端から他端まで)一定大きさを有する円である金属性の棒状部材を折り曲げることによって形成されており、略環状である。
【0053】
具体的には、図7に示すように、一端51と他端52とは連結されておらず、それゆえ、一端51と他端52とは、互いに離間している。このように形成される係合部材50は、第1の溝60内に収容される。第1の溝60の高さ(エレメント部分の軸心線に沿う長さ、つまり、濾材33の軸心線に沿う長さ)は、係合部材50が嵌る長さを有することが好ましい。つまり、高さは、係合部材50の径であることが好ましい。
【0054】
図8は、第1の溝60内に、係合部材50が取り付けられた状態を示すプレート部42の平面図である。なお、図8中では、第1の溝60と係合部材50とをわかりやすくするために、把持部47は省略されて示されている。
【0055】
係合部材50の一端部51a(一端51とその近傍を含む概念)と他端部52a(他端52とその近傍を含む概念)とは、略90度折り曲げられている。一端部51aには、撥油加工が施されている。撥油加工の一例として、一端部51aには、フッ素樹脂がコーティングされるなどの加工が施されている。具体的には、略90折り曲げられた範囲A全体にフッ素樹脂コーティングが施されている。または、一端部51aがフッ素樹脂などの撥油性の材料で形成され、これが、係合部材50に固定されてもよい。または、係合部材50がフッ素樹脂などの撥油性の材料で形成されてもよい。なお、用いられる撥油性の材料としては、フッ素樹脂に限定されない。撥油性を有する材料であれば、よい。要するに、一端部51aが撥油性を有すればよい。
【0056】
図8に示すように、プレート部42には、他端部52aを固定する固定溝53と、一端部51aを移動可能に保持する保持溝54とが形成されている。
【0057】
固定溝53は、第1の溝60と連通しており、プレート部42の外面42aから外側に開口している。外面42aとは、内筒40がエレメント部分30内に収容された際に外側に向く面である。
【0058】
固定溝53において第1の溝60の延びる方向に沿う幅は、他端部52aが嵌る大きさである。このため、他端部52aが固定溝53に嵌ると、他端部52aは、第1の溝60に沿って移動できないように、プレート部42に固定される。固定溝53は、プレート部42のフランジ部46外周面46bに向かって延びており、外周面46bに開口している。
【0059】
保持溝54は、第1の溝60と連通しており、プレート部42の外面42aから外側に開口している。保持溝54は、第1の溝60に沿って所定距離延びている。保持溝54は、一端部51aが略嵌まる幅を有している。
【0060】
図8に示すように、係合部材50が第1の溝60内に収容された状態では、他端部52aは、固定溝53内に収容される。同様に、一端部51aは、保持溝54内に収容される。
【0061】
係合部材50は、緩やかに折り曲げられて形成される、例えば3つの角部55を有している。角部55は、一端部51aが操作されていない状態では、フランジ部46の外周面46b(図2,3に示す)よりも外側に突出する。
【0062】
この状態での角部55の位置を、第1の位置P1とする。つまり、一端部51aが操作されておらず一端部51aの位置が変位しない状態では、角部55は、第1の位置P1にあり、外周面46bよりも外側に突出する。
【0063】
保持溝54は、一端部51aを他端部52aに近づける方向に移動可能に延びている。一端部51aを他端部52aに近づけることによって、係合部材50は、第1の溝60の内側端61に近づくとともに、角部55が延ばされる。
【0064】
図9は、一端部51aを、図8中に示される矢印方向に、保持溝54に沿って他端部52a側に移動した状態を示している。図9に示すように、保持溝54は、角部55が延ばされることによって当該角部55がプレート部42のフランジ部の外周面46bよりも内側に入り込むまで一端部51aが移動可能な長さを有している。
【0065】
上記したように、係合部材50は、金属で形成されており、弾性を有している。このため、一端部51aを第1の位置P1から移動した後、一端部51aに力(作業者などが手で保持する場合などに作用する力)が作用しなくなると、一端部51aは、弾性によって、第1の位置P1に戻る。このため、一端部51aが手などで移動されることによって角部55が第1の溝60内に収容された後、手を離すと、弾性によって、角部55は、外周面46bよりも外側に突出する状態に戻る。なお、図9においても、図8と同様の理由により把持部47が省略されている。
【0066】
図2,3に示すように、第1のプレート31の内筒固定部37には、内筒40がエレメント部分30の内側に、内筒40の他端48a(他端部48の先端)が第2のプレート32に当接するまで収容されたときに、第1の溝60と対向する位置に、第2の溝70が形成されている。
【0067】
第2の溝70は、内筒固定部37の内周面37aから外側に向かって凹む形状に形成されている。第2の溝70は、内周面37aに開口している。図4中には、第2の溝70の外側端71が点線で示されている。図4に示すように、第2の溝70は、環状に形成されている。
【0068】
第2の溝70の高さは、第1の溝60と同様であり、係合部材50が嵌まるように、係合部材50の径と同じであることが好ましい。上記したように、プレート部42のフランジ部46の外周面46bと、内筒固定部37の内面37aとは、全周にわたって互いに面接触している。第1,2の溝60,70は、互いに重なるとともに、連通する。このとき、第1の溝60の両端の開口縁62,63と、第2の溝70の両端の開口縁72,73とは、互いに向かいあって当接する。
【0069】
第1,2の溝60,70が上記のように互いに当接することによって、一端部51aが操作されていない状態(移動されていない状態)では、角部55は、図2に示すように、第2の溝70内に進入して係合する。
【0070】
つぎに、フィルタエレメント10の動作を説明する。図1に示すように、作動油流入部22からタンク21内に流入する作動油L1は、油圧回路20内を循環してきたものである。このため、作動油L1内には、ダストなどの異物が混入している場合がある。
【0071】
タンク21内に流入した作動油L1は、濾材33を、濾材33の径方向外側から内側に向かって流れる。この際に、作動油L1内の異物が濾材33によって捕集される。濾材33を通過した作動油L1は、濾材33によってろ過されたクリーンな作動油L2である。
【0072】
濾材33を通過した作動油L2は、内筒40の内筒本体部41に形成された作動油通り孔44を通って、内筒40の内側に流れる。ついで、作動油流出部23を通って油圧回路20に戻る。
【0073】
ついで、エレメント部分30の交換作業について説明する。上記のように、濾材33は、捕集した異物が溜まると、ろ過性能が低下する。このため、濾材33は、交換される必要がある。
【0074】
エレメント部分30を交換する際には、作業者は、把持部47を把持するなどして、フィルタエレメント10をタンク21内から取り出す。ついで、図8に示すように、一端部51aを矢印で示すように、保持溝54に沿って他端部52a側に移動する。
【0075】
一端部51aは、把持部47の近傍に形成されている。このため、作業者は、片手で把持部47を把持するとともに、把持部47を把持している方の手でも一端部51aを移動することができる。
【0076】
一端部51aが他端部52a側に移動されることによって、角部55が延ばされ、それゆえ、角部55が第1の溝60内に入り込んでいく。図9に示すように、角部55がプレート部42のフランジ部46の外周面46bよりも内側に入り込むと、角部55と第2の溝70との係合が解除される。このとき、図2に示すように、角部55は、実線で示される第1の位置P1から、2点鎖線で示される第2の溝70との係合が解除される第2の位置P2まで移動する。
【0077】
角部55と第2の溝70との係合が解除されると、内筒40とエレメント部分30との係合が解除されるので、内筒40をエレメント部分30から引き抜くことができる。このようにして、エレメント部分30が引き抜かれて、新しいエレメント部分30と交換される。
【0078】
内筒40は、再利用されて新しいエレメント部分30に取り付けられる。内筒40とエレメント部分30とを固定する際は、まず、一端部51aを移動させて角部55が第1の溝60内に収容された状態(第2の位置P2にある状態)を維持しながら、内筒40をエレメント部分30内に挿入する。
【0079】
ついで、手を離すなどして、一端部51aの保持を解除する。すると、係合部材50の弾性によって、角部55が第1の位置P1に戻り、それゆえ、第2の溝70内に進入する。このことによって、角部55と第2の溝70とが係合され、それゆえ、内筒40とエレメント部分30とが固定される。
【0080】
このように構成されるフィルタエレメント10では、操作部である一端部51aを操作(移動)するだけで、角部55と第2の溝70との係合が解除されて、内筒40とエレメント部分30との固定を解除することができる。このため、簡単な操作でエレメント部分30と内筒40との固定、および、当該固定の解除を行うことができるので、簡単にエレメント部分30を交換することができる。
【0081】
また、角部55と第2の溝70とを用いるので、内筒40とエレメント部分30とを簡単な構造で固定、および、当該固定の解除を行うことができる。
【0082】
また、係合部材50を用いて角部55が形成されている。このため、係合部材50の弾性を利用することによって、第2の溝70と係合する第1の位置P1と、第2の溝70との係合が解除される第2の位置P2との間で変位する突起を簡単に形成できる。
【0083】
さらに、係合部材50の弾性を利用することによって、一端部51aが操作されていない状態では角部55は第2の溝70に係合し、一端部51aが操作されたときだけ角部55と第2の溝70との係合が解除される。このため、フィルタエレメント10の通常使用時、および、交換作業時などにエレメント部分30と内筒40との固定が不意に外れてしまうことが抑制される。
【0084】
また、一端部51aがプレート部42の外面42a上に露出していることによって、一端部51aは、作業者による作業が行いやすい位置に配置される。さらに、一端部51aが把持部47の近傍に配置されることによって、内筒40をエレメント部分30から引き抜く作業およびエレメント部分30内に挿入する作業を行いながら、一端部51aを操作できるので、より一層作業が行いやすくなる。
【0085】
また、係合部材50が内筒40のプレート部42(一端部49)に設けられることによって、内筒40の取り外し作業、および、内筒40とエレメント部分30との固定作業が行いやすくなる。この点について詳細に説明する。
【0086】
角部55が一端部に配置されることによって、内筒40を引き抜く際には、内筒40において角部55が配置される部位は、すぐにエレメント部分30から離れる。内筒40において角部55が配置される部位がエレメント部分30から離れた後は、角部55を第2の位置P2に保持しておく必要がない。
【0087】
さらに、内筒40をエレメント部分30内に挿入する際には、内筒40を、他端部48からエレメント部分30内に挿入し、内筒40の一端部49がエレメント部分30内に入り込む直前に、係合部材50の一端部51aを操作して角部55を第2の位置P2に移動すればよい。
【0088】
このように、係合部材50の一端部51aの操作時間を少なくすることができるので、内筒40の取り外し作業、および、内筒40とエレメント部分30との固定作業が行いやすくなる。
【0089】
また、作業者が手で触る、把持部47と一端部51aとに撥油加工が施されることによって、把持部47と一端部51aとに作動油が付着しにくくなるので、作業者の手が汚れるなどしにくくなり、それゆえ、作業効率が向上する。
【0090】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメントを、図10を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、エレメント部分30が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様でよい、上記異なる点について、説明する。
【0091】
本実施形態では、濾材33は、当該濾材33の軸心線方向に沿って縮む方向に弾性変形可能に構成されている。このため、一例として、濾材33は、弾性変形可能な部材で形成されている。この弾性部材の一例として、ポリプロピレンなどがある。しかしながら、濾材33の材質は、ポリプロピレンに限定されない。要するに、濾材33は、当該濾材33の軸心線方向に沿って縮む方向に濾材33を弾性変形可能にする部材(材質)であればよい。
【0092】
濾材33が、軸心線方向に弾性変形可能であることによって、作動油L1のろ過中における、濾材33の破損の発生が抑制される。この点について、詳細に説明する。
【0093】
図10は、本実施形態のフィルタエレメント10を示す断面図である。フィルタエレメント10のろ過作業中では、フィルタエレメント10には、矢印で示すように、第1のプレート31と、内筒40のプレート部42とに大きな圧力が作用する。
【0094】
図10に示すように、内筒40またはエレメント部分30の形状誤差などによって、内筒40の他端35aが第2のプレート32に当接しない場合が生じる。図中、2点鎖線で示される範囲に、内筒40の他端48aと第2のプレート32とが互いに当接していない状態を拡大して示している。なお、図中では、内筒40と第2のプレート32との間の隙間を、説明の都合上、誇張して大きく示している。実際には、隙間が生じても、小さいものである。
【0095】
図10に示すように、内筒40と第2のプレート32との間に隙間S1が生じると、プレート部42に作用した圧力によって濾材33は、内筒40が第2のプレート32に当接するまで変形(縮む方向に)してしまう。
【0096】
しかしながら、濾材33が弾性変形することによって、当該変形が吸収されるので、変形に起因して濾材33が破損することが抑制される。図中2点鎖線で示される範囲に、濾材33が縮む方向に弾性変形した状態の一例を拡大して示している。この変形は、濾材33の一部に生じている場合を示しているが、これに限定されない。濾材33は、全体で変形してもよい。また、この変形は、説明の都合上、誇張して示されている。
【0097】
本実施形態では、第1の実施形態の効果が得られるとともに、加えて、エレメント部分30が破損することが抑制される。
【0098】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係るフィルタエレメントを、図11を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、エレメント部分30の構造が第1の実施形態と異なる。他の点は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について説明する。
【0099】
図11は、本実施形態のエレメント部分30を示す断面図である。図11に示すように、エレメント部分30は、樹脂で形成されたエレメント用内筒80を備えている。エレメント用内筒80は、濾材33の内側に配置されている。
【0100】
エレメント用内筒80は、第1のプレート31から第2のプレート32まで延びており、第1のプレート31と第2のプレート32とに連結(固定)されている。具体的には、第1のプレート31の内周縁部36bは、エレメント用内筒80の内側に嵌合しており、それゆえ、第1のプレート31とエレメント用内筒80とが固定されている。このため、濾材33の一端部34の一部は、エレメント用内筒80に向かい合うとともに、当接している。
【0101】
第2のプレート32の内縁部32bは、エレメント用内筒80の内側に嵌合しており、それゆえ、第2のプレート32とエレメント用内筒80とが固定されている。このため、濾材33の他端部35の一部は、エレメント用内筒80に向かい合うとともに、当接している。
【0102】
なお、エレメント用内筒80の両端の先端面は、第1,2のプレート31,32に当接しており、それゆえ、第1,2のプレート31,32に対して、エレメント用内筒80が、内筒30の軸心線方向に移動(相対的に移動)することは、ない。
【0103】
また、第1,2のプレート31,32の内周縁部36b,32bがエレメント用内筒80内に、嵌合しており、第1,2のプレート31,32に対して、内筒40(エレメント用内筒80)の径方向に、エレメント用内筒80が移動(相対移動)することがないようになっている。
【0104】
また、エレメント用内筒80の全域は、濾材33の内側33a(プリーツ状に折りたたまれた濾材33の内側の谷部分によって構成される、濾材33において内側に突出する部位の集まり)に当接している。エレメント用内筒80は、濾材33の内側33aのすべての範囲に当接支持している。
【0105】
このため、濾材33の内側33aの全域(第1のプレート31から第2のプレート32までの範囲)は、エレメント用内筒80が当接することによって、径方向に支持されている。
【0106】
エレメント用内筒80は、両端が開口している。エレメント用内筒80の全域には、ろ過された作動油L2を通す作動油通り孔100が形成されている。図中、作動油通り孔100の一部が図示されており、他の作動油通り孔100は、省略されている。
【0107】
本実施形態では、第1のプレート31に矢印で示すように作動油L1の圧力が作用しても、エレメント用内筒80が濾材33を軸心線方向に支持することによって、濾材33が軸心線方向に縮むことを抑制する。
【0108】
このように、濾材33が、軸心線方向に縮むことが抑制されるので、濾材33が損傷することが抑制される。
【0109】
また、エレメント用内筒80が濾材33の内側33aに当接して、内側33aを支持している。作動油L1が濾材33を径方向外側から内側に通過する際には、濾材33は、内側に向かって圧力を受ける。このとき、エレメント用内筒80が濾材33の内側33aに当接しているので、濾材33の径方向内側への変形の発生が抑制される。
【0110】
このように、本実施形態では、第1,2の実施形態の効果が得られることに加えて、濾材33の径方向内側への変形も抑制されるので、濾材33が損傷することが抑制される。
【0111】
なお、第1〜3の実施形態では、角部55は、3個形成されているが、これに限定されない。例えば、角部55は、4個や5個などであってもよい。
【0112】
また、フィルタエレメント10は、作動油L1をろ過するが、これに限定されない。フィルタエレメント10は、例えば、気体をろ過するものであってもよい。この場合、フィルタエレメント10は、本発明の特徴を有しつつ、ろ過する気体に合わせた構造が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフィルタエレメントを備える油圧回路を示す断面図。
【図2】図1に示されたフィルタエレメントを示す断面図。
【図3】図2に示されたフィルタエレメントを分解して示す断面図。
【図4】図3に示されたエレメント部分の一端部を示す平面図。
【図5】図3に示された内筒を示す平面図。
【図6】図3に示された係合部材を示す斜視図。
【図7】図3に示された係合部材を示す平面図。
【図8】図3に示された内筒の第1の溝内に、係合部材が取り付けられた状態を示す平面図。
【図9】図8に示された係合部材の一端部が操作された状態を示す平面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメントを示す断面図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るフィルタエレメントのエレメント部分を示す断面図。
【符号の説明】
【0114】
10…フィルタエレメント、30…エレメント部分、31…第1のプレート(第1の支持部)、32…第2のプレート(第2の支持部)、33…濾材、40…内筒、46a…周壁部、46b…外周面(周面)、50…係合部材、51a…一端部(操作部)、52a…他端部、55…角部(第2の係合部)、70…第2の溝(第1の係合部)、80…エレメント用内筒、L1…作動油(ろ過すべき液)、P1…第1の位置(係合する位置)、P2…第2の位置(解除される位置)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧回路などの液が循環するシステムに混入した異物などを除去するためのフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重機などの油圧回路中を循環する作動油の異物を捕集するために、油圧回路にはフィルタエレメントが組み込まれている。この主のフィルタエレメントは、油圧回路中に形成されるタンク内に設置されており、油圧回路中を流れる作動油中の異物を捕集している。
【0003】
フィルタエレメントは、濾材を有して作動油中の異物を捕集するエレメント部分と、エレメント部分を支持する支持部とを有している。エレメント部分は、例えばプリーツ折りされて、外観形状が円筒状に形成されている。また、エレメント部分を、外から内に向かって通過することによって異物を捕集する場合、支持部としては、エレメント部分の内側に収容される内筒が用いられている。
【0004】
この種のフィルタエレメントでは、エレメント部分は、異物を捕集することによって、そのろ過性能が低下する。このため、作動油を常に良好な状態(異物を含まない状態)に維持するためには、エレメント部分は、交換される必要がある。
【0005】
エレメント部分を樹脂で形成するとともに、エレメント部分と内筒を分解可能な構造とし、エレメント部分を破棄して、内筒をリサイクルすることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、エレメント部分と内筒との固定構造として、内筒を円筒状にして外周面におねじを形成するとともに、エレメント部分内において内筒のねじ部分と対向する部分にめねじを形成することが提案されている。このような構造によって、エレメント部分に対して内筒を回転することによって、内筒をエレメント部分に螺合して固定することができる。
【特許文献1】特開2000−167314
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エレメント部分に対して内筒を螺合する構造では、内筒を螺合するために、手でエレメント部分を押さえるなどして保持しなければならない。特許文献1に開示されている固定構造では、エレメント部分と内筒とを分別する際には、工具を用いて爪部と内筒とのかしめを解除する必要がある。この場合であっても、エレメント部分を手などで保持することが求められる。
【0008】
エレメント部分は、作動油が付着している。このため、エレメント部分を手で押さえると、手が汚れるなどする。また、作動油などの油が付着していることによって、滑るなどしてエレメント部分が押さえにくくなる。これらのことより、エレメント部分の交換作業の効率が悪くなる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡単にエレメント部分を交換できるフィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィルタエレメントは、ろ過すべき流体が通過することによって当該ろ過すべき流体をろ過するとともに、筒状に形成されるエレメント部分と、前記エレメント部分の内側に着脱可能に収容される内筒とを備える。前記エレメント部分は、第1の係合部を備える。前記内筒は、当該内筒が前記エレメント部分内に収容された状態において前記第1の係合部と係合する位置と係合が解除される位置とで移動可能な第2の係合部と、前記第2の係合部を前記係合する位置と解除される位置との間で変位する操作部とを備える。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記第2の係合部は、前記内筒の周面から外側に突出する突起である。前記第1の係合部は、前記エレメント部分において前記突起と対向する位置に形成されて、前記第2の係合部が入り込む溝である。
【0012】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記内筒の周壁部に沿って設けられるとともに、一端部が移動可能であって前記操作部として機能し、かつ、他端部が前記内筒に固定される係合部材を備える。前記第2の係合部は、前記係合部材において前記一端部と前記他端部との間の部分の一部が前記内筒の外側に湾曲することによって突出して形成される。
【0013】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記係合部材は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成される。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記操作部は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成される。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記エレメント部分は、軸方向に弾性変形可能に形成される。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記エレメント部分は、前記ろ過すべき流体が通過するとともに筒状に形成される濾材と、前記濾材の一端に設けられて前記一端を支持する第1の支持部と、前記濾材の他端に設けられて前記他端を支持する第2の支持部と、前記濾材の内側に配置されて前記第1の支持部から前記第2の支持部まで延びるとともに、前記濾材の内側に当接する支持部材とを備える。
【0017】
上記形態のさらに好ましい形態では、前記支持部材は、筒部材であって、外面が前記濾材の内側に当接する。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記操作部には、撥油加工が施される。なお、撥油加工の一例としては、撥油性の材料がコーティングされてもよいし、または、操作部が撥油性の材料で形成されてもよい。
【0019】
本発明の好ましい形態では、 把持部が設けられ、前記把持部には、撥油加工が施される。なお、撥油加工の一例としては、撥油性の材料がコーティングされてもよいし、または、把持部が撥油性の材料で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、エレメント部分を簡単に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係るフィルタエレメントを、図1〜9を用いて説明する。図1は、本実施形態のフィルタエレメント10を示している。フィルタエレメント10は、例えば一例として重機などの作動油が循環する油圧回路20(図中一部示す)に形成されるタンク21内に配置されている。図1は、フィルタエレメント10がタンク21内に配置されている状態を示している。
【0022】
図1に示すように、タンク21は、油圧回路20(図中一部示す)内に配置されている。タンク21は、作動油流入部22と、作動油流出部23が設けられている。作動油流入部22を通って、タンク21内にろ過すべき作動油L1(フィルタエレメント10によってろ過される前の作動油)が流入する。作動油流出部23を通って、フィルタエレメント10によってろ過された後の作動油L2が油圧回路20に戻される。
【0023】
なお、フィルタエレメント10は、筒状であって、外側から内側に向かってろ過すべき作動油L1が通過することによって、当該作動油L1中のダストを捕集する。このため、作動油流出部23は、フィルタエレメント10の内側と連通しており、ろ過後の作動油L2を油圧回路に戻せるようになっている。なお、フィルタエレメント10については、後で詳細に説明する。
【0024】
タンク21には、フィルタエレメント10を設置する作業のために、作業孔24が形成されている。作業孔24を通して、フィルタエレメント10のタンク21内への取付作業が行われる。
【0025】
作業孔24は、蓋部材25によって液密に覆われる。蓋部材25は、例えばボルト26などによってタンク21に固定される。例えば、蓋部材25とフィルタエレメント10との間には、ばね27が介装されている。ばね27によってフィルタエレメント10が押し付けられることによって、タンク21内でのフィルタエレメント10の姿勢が保持される。
【0026】
なお、上記されたタンク21の構造は、一例であって、これに限定されない。また、油圧回路20中においてフィルタエレメント10が配置される場所は、タンク21に限定されない。要するに、フィルタエレメント10は、油圧回路20内を循環する作動油L1をろ過できればよい。
【0027】
つぎに、本実施形態のフィルタエレメント10を説明する。図2は、フィルタエレメント10を、断面して示す断面図である。図3は、フィルタエレメント10を分解して示す断面図である。
【0028】
図2,3に示すように、フィルタエレメント10は、エレメント部分30と、内筒40と、係合部材50とを備えている。
【0029】
エレメント部分30は、筒状である。エレメント部分30は、第1のプレート31と、第2のプレート32と、濾材33とを備えている。
【0030】
図1に示すように、濾材33は、例えばプリーツ状に折り畳まれている。また、図2,3に示すように、濾材33は、丸められており、それゆえ、筒状に形成されている。濾材33は、円筒状に形成されており、平面形状が円である。濾材33は、例えば樹脂で形成されている。
【0031】
本実施形態では、ろ過される前の作動油L1は、濾材33を径方向外側から内側に向かって通過することによってろ過される。このため、濾材33の内側には、ろ過されたクリーンな作動油L2が溜まる。
【0032】
第1のプレート31は、筒状に形成された濾材33の一端部34に設けられており、濾材33の一端部34を支持している。第2のプレート32は、筒状に形成された濾材33の他端部35に設けられており、濾材33の他端部35を支持している。
【0033】
なお、図中、一端部34は、上方に位置し、他端部35は、下方に位置している。また、本実施形態では、図1に示されるように、一例として、フィルタエレメント10がタンク21などの油圧回路20中に設置された状態において、一端部34は、重力方向に沿って上方に位置し、他端部35は、重力方向に沿って一端部34よりも下方に位置している。
【0034】
第1のプレート31は、本発明で言う第1の支持部の一例である。図2,3は、フィルタエレメント10を、濾材33の軸心線方向に沿って断面して示す断面図である。図2,3に示すように、第1のプレート31は、濾材33の一端34a(一端部34の先端)に当接して一端34aに固定される第1のプレート本体部36と、内筒固定部37とを有している。第1のプレート31(第1のプレート本体部36と内筒固定部37とを含む)は、樹脂で形成されている。
【0035】
第1のプレート本体部36は、濾材33の一端34aに当接して固定される、平面形状が円形な板状である(図4に示す)。一端34aは、平坦であり、それゆえ、一端34aの全域は、第1のプレート本体部36に当接している。第1のプレート本体部36は、濾材33の一端34aを液密に覆っている。このため、ろ過される前の作動油L1が、濾材33の一端34aを通って、濾材33の内側に流れ込むことが抑制される。
【0036】
第1のプレート本体部36において濾材33の一端34aに当接していない範囲には、第1のプレート貫通孔38が形成されている。第1のプレート貫通孔38は、円である。第1のプレート本体部36の外周縁部36aと内周縁部36bとは、濾材33の一端部34に沿って折り曲がっており、一端部34を保持している。
【0037】
内筒固定部37は、第1のプレート本体部36に一体に形成されている。内筒固定部37は、第1のプレート本体部36において濾材33と反対側の面に位置しており、濾材33と反対側に突出している。内筒固定部37は、第1のプレート貫通孔38の外側に形成されており、かつ、第1のプレート貫通孔38を囲む環状である。内筒固定部37については、後で詳細に説明される。
【0038】
第2のプレート32は、本発明で言う第2の支持部の一例である。第2のプレート32は、樹脂で形成されている。第2のプレート32は、濾材33の他端35a(他端部35の先端)に当接している。第2のプレート32は、平面形状が円形の板状である。他端35aは、平坦であり、それゆえ、他端35aの全域は、第2のプレート32に当接している。
【0039】
第2のプレート32において濾材33の他端35aと当接していない範囲には、第2のプレート貫通孔39が形成されている。図1に示すように、第2のプレート貫通孔39は、作動油流出部23が内側に嵌まる。作動油流出部23の外面と第2のプレート貫通孔39の縁とは、例えば図示しないシール部材などによって液密にシールされる。このため、フィルタエレメント10の内側に溜まったクリーンな作動油L2は、作動油流出部23を通って油圧回路20に戻される。なお、シール部材を備える構造に限定されない。要するに、第2のプレート貫通孔39と作動油流出部23との間を通って、ろ過された後のクリーンな作動油L2が、フィルタエレメント10外に漏れなければよい。
【0040】
上記構造によって、フィルタエレメント10がタンク21などの油圧回路20に設置された場合、ろ過される前の作動油L1が濾材33の他端35aを通って濾材33の内側に流れ込むことが抑制される。
【0041】
第2のプレート32の外縁部32aと内縁部32bとは、他端部35に沿って折り曲げられており、それゆえ、他端部35が、第2のプレート32によって支持される。
【0042】
図2に示すように、内筒40は、エレメント部分30の内側(濾材33の内側)に収容される。図2,3に示すように、内筒40は、内筒本体部41と、プレート部42とを備えている。内筒40(本体部41と、プレート部42とを含む)は、例えば金属で形成されている。
【0043】
内筒本体部41は、両端が開口する円筒である。内筒本体部41は、濾材33の内側に収容される。プレート部42は、内筒本体部41の一端部43に取り付けられる。なお、内筒本体部41の一端部43は、内筒40がエレメント部分30内に収容されたときに、エレメント部分30の一端部34側に配置される端部である。
【0044】
内筒本体部41には、周壁の全域にわたって作動油通り孔44が複数形成されている。なお、図中には、一部が示されており、他の部分が省略されているが、実際には、内筒本体部41の全域に均等に分布されて形成されている。濾材33を通って濾過された作動油L2は、作動油通り孔44を通って、内筒40の内側に入る。
【0045】
プレート部42は、第1のプレート貫通孔38に液密に嵌まる。具体的には、プレート部42は、平面形状が円である。プレート部42は、第1のプレート貫通孔38の縁部を構成する、濾材33の内周に沿って延びる縁部36bに、全周にわたって当接する。プレート部42と縁部36bとの間には、シール部材の一例として、Oリング45が設けられている。この液密構造によって、第1のプレート貫通孔38は、プレート部42によって液密に塞がれる。
【0046】
上記したように、第1のプレート31には、内筒固定部37が形成されている。内筒固定部37は、第1のプレート貫通孔38の外側に配置されているとともに環状に形成されている。図4は、エレメント部分30の一端部を示す平面図である。図4に示すように
内筒固定部37は、平面形状が環状であるとともに、外縁および内縁が円である。
【0047】
図2に示すように、プレート部42は、内筒40がエレメント部分30に収容された状態において内筒固定部37に当接するまで周方向外側に広がるフランジ部46を有している。フランジ部46は、平面形状が円である。このため、プレート部42の断面形状は、略T字状である。なお、図示しないが、プレート部42には、タンク21などフィルタエレメント10が設置される箇所の圧力が高くなった場合に、フィルタエレメント10によって濾過される前の作動油L1を濾過することなく油圧回路20に戻すように開く弁が設けられてもよい。
【0048】
プレート部42には、把持部47が形成されている。把持部47は、フィルタエレメント10を持ち運ぶ場合など、作業のときに手で保持する部位である。図2、3に示すように、把持部47は、一例として、プレート部42の外縁部の一箇所から反対側の箇所とをつなぐアーチ状である。把持部47は、内筒40の軸心線上を通っている。
【0049】
把持部47全体には、撥油加工が施されている。撥油加工の一例として、把持部47には、フッ素樹脂のコーティングが施されている。または、把持部47は、フッ素樹脂などの撥油性の材料から形成されて、プレート部42にとりつけられてもよい。なお、用いられる撥油性の材料としては、フッ素樹脂に限定されない。撥油性を有する材料であれば、よい。要するに、把持部47が撥油性を有すればよい。
【0050】
図2に示すように、係合部材50は、内筒40フランジ部46の周壁部46aに沿って形成されている。具体的には、フランジ部46の周壁部46aには、外側から内側に向かって凹む第1の溝60が形成されている。第1の溝60は、外周面46bに開口している。係合部材50は、第1の溝60内に収容されている。このため、第1の溝60は、内筒40において、エレメント部分30へ先に挿入される他端部48とは反対側の一端部49に形成される。
【0051】
図5は、内筒40を示す平面図である。図5は、内筒40のプレート部42を示している。図5中、第1の溝60の内側端61が点線で示されている。図5に示すように、第1
の溝60は、フランジ部46の周壁部46aの全周にわたって形成されている。
【0052】
図6は、係合部材50を示す斜視図である。図7は、係合部材50を示す平面図である。図6,7に示すように、係合部材50は、断面が全域にわたって(一端から他端まで)一定大きさを有する円である金属性の棒状部材を折り曲げることによって形成されており、略環状である。
【0053】
具体的には、図7に示すように、一端51と他端52とは連結されておらず、それゆえ、一端51と他端52とは、互いに離間している。このように形成される係合部材50は、第1の溝60内に収容される。第1の溝60の高さ(エレメント部分の軸心線に沿う長さ、つまり、濾材33の軸心線に沿う長さ)は、係合部材50が嵌る長さを有することが好ましい。つまり、高さは、係合部材50の径であることが好ましい。
【0054】
図8は、第1の溝60内に、係合部材50が取り付けられた状態を示すプレート部42の平面図である。なお、図8中では、第1の溝60と係合部材50とをわかりやすくするために、把持部47は省略されて示されている。
【0055】
係合部材50の一端部51a(一端51とその近傍を含む概念)と他端部52a(他端52とその近傍を含む概念)とは、略90度折り曲げられている。一端部51aには、撥油加工が施されている。撥油加工の一例として、一端部51aには、フッ素樹脂がコーティングされるなどの加工が施されている。具体的には、略90折り曲げられた範囲A全体にフッ素樹脂コーティングが施されている。または、一端部51aがフッ素樹脂などの撥油性の材料で形成され、これが、係合部材50に固定されてもよい。または、係合部材50がフッ素樹脂などの撥油性の材料で形成されてもよい。なお、用いられる撥油性の材料としては、フッ素樹脂に限定されない。撥油性を有する材料であれば、よい。要するに、一端部51aが撥油性を有すればよい。
【0056】
図8に示すように、プレート部42には、他端部52aを固定する固定溝53と、一端部51aを移動可能に保持する保持溝54とが形成されている。
【0057】
固定溝53は、第1の溝60と連通しており、プレート部42の外面42aから外側に開口している。外面42aとは、内筒40がエレメント部分30内に収容された際に外側に向く面である。
【0058】
固定溝53において第1の溝60の延びる方向に沿う幅は、他端部52aが嵌る大きさである。このため、他端部52aが固定溝53に嵌ると、他端部52aは、第1の溝60に沿って移動できないように、プレート部42に固定される。固定溝53は、プレート部42のフランジ部46外周面46bに向かって延びており、外周面46bに開口している。
【0059】
保持溝54は、第1の溝60と連通しており、プレート部42の外面42aから外側に開口している。保持溝54は、第1の溝60に沿って所定距離延びている。保持溝54は、一端部51aが略嵌まる幅を有している。
【0060】
図8に示すように、係合部材50が第1の溝60内に収容された状態では、他端部52aは、固定溝53内に収容される。同様に、一端部51aは、保持溝54内に収容される。
【0061】
係合部材50は、緩やかに折り曲げられて形成される、例えば3つの角部55を有している。角部55は、一端部51aが操作されていない状態では、フランジ部46の外周面46b(図2,3に示す)よりも外側に突出する。
【0062】
この状態での角部55の位置を、第1の位置P1とする。つまり、一端部51aが操作されておらず一端部51aの位置が変位しない状態では、角部55は、第1の位置P1にあり、外周面46bよりも外側に突出する。
【0063】
保持溝54は、一端部51aを他端部52aに近づける方向に移動可能に延びている。一端部51aを他端部52aに近づけることによって、係合部材50は、第1の溝60の内側端61に近づくとともに、角部55が延ばされる。
【0064】
図9は、一端部51aを、図8中に示される矢印方向に、保持溝54に沿って他端部52a側に移動した状態を示している。図9に示すように、保持溝54は、角部55が延ばされることによって当該角部55がプレート部42のフランジ部の外周面46bよりも内側に入り込むまで一端部51aが移動可能な長さを有している。
【0065】
上記したように、係合部材50は、金属で形成されており、弾性を有している。このため、一端部51aを第1の位置P1から移動した後、一端部51aに力(作業者などが手で保持する場合などに作用する力)が作用しなくなると、一端部51aは、弾性によって、第1の位置P1に戻る。このため、一端部51aが手などで移動されることによって角部55が第1の溝60内に収容された後、手を離すと、弾性によって、角部55は、外周面46bよりも外側に突出する状態に戻る。なお、図9においても、図8と同様の理由により把持部47が省略されている。
【0066】
図2,3に示すように、第1のプレート31の内筒固定部37には、内筒40がエレメント部分30の内側に、内筒40の他端48a(他端部48の先端)が第2のプレート32に当接するまで収容されたときに、第1の溝60と対向する位置に、第2の溝70が形成されている。
【0067】
第2の溝70は、内筒固定部37の内周面37aから外側に向かって凹む形状に形成されている。第2の溝70は、内周面37aに開口している。図4中には、第2の溝70の外側端71が点線で示されている。図4に示すように、第2の溝70は、環状に形成されている。
【0068】
第2の溝70の高さは、第1の溝60と同様であり、係合部材50が嵌まるように、係合部材50の径と同じであることが好ましい。上記したように、プレート部42のフランジ部46の外周面46bと、内筒固定部37の内面37aとは、全周にわたって互いに面接触している。第1,2の溝60,70は、互いに重なるとともに、連通する。このとき、第1の溝60の両端の開口縁62,63と、第2の溝70の両端の開口縁72,73とは、互いに向かいあって当接する。
【0069】
第1,2の溝60,70が上記のように互いに当接することによって、一端部51aが操作されていない状態(移動されていない状態)では、角部55は、図2に示すように、第2の溝70内に進入して係合する。
【0070】
つぎに、フィルタエレメント10の動作を説明する。図1に示すように、作動油流入部22からタンク21内に流入する作動油L1は、油圧回路20内を循環してきたものである。このため、作動油L1内には、ダストなどの異物が混入している場合がある。
【0071】
タンク21内に流入した作動油L1は、濾材33を、濾材33の径方向外側から内側に向かって流れる。この際に、作動油L1内の異物が濾材33によって捕集される。濾材33を通過した作動油L1は、濾材33によってろ過されたクリーンな作動油L2である。
【0072】
濾材33を通過した作動油L2は、内筒40の内筒本体部41に形成された作動油通り孔44を通って、内筒40の内側に流れる。ついで、作動油流出部23を通って油圧回路20に戻る。
【0073】
ついで、エレメント部分30の交換作業について説明する。上記のように、濾材33は、捕集した異物が溜まると、ろ過性能が低下する。このため、濾材33は、交換される必要がある。
【0074】
エレメント部分30を交換する際には、作業者は、把持部47を把持するなどして、フィルタエレメント10をタンク21内から取り出す。ついで、図8に示すように、一端部51aを矢印で示すように、保持溝54に沿って他端部52a側に移動する。
【0075】
一端部51aは、把持部47の近傍に形成されている。このため、作業者は、片手で把持部47を把持するとともに、把持部47を把持している方の手でも一端部51aを移動することができる。
【0076】
一端部51aが他端部52a側に移動されることによって、角部55が延ばされ、それゆえ、角部55が第1の溝60内に入り込んでいく。図9に示すように、角部55がプレート部42のフランジ部46の外周面46bよりも内側に入り込むと、角部55と第2の溝70との係合が解除される。このとき、図2に示すように、角部55は、実線で示される第1の位置P1から、2点鎖線で示される第2の溝70との係合が解除される第2の位置P2まで移動する。
【0077】
角部55と第2の溝70との係合が解除されると、内筒40とエレメント部分30との係合が解除されるので、内筒40をエレメント部分30から引き抜くことができる。このようにして、エレメント部分30が引き抜かれて、新しいエレメント部分30と交換される。
【0078】
内筒40は、再利用されて新しいエレメント部分30に取り付けられる。内筒40とエレメント部分30とを固定する際は、まず、一端部51aを移動させて角部55が第1の溝60内に収容された状態(第2の位置P2にある状態)を維持しながら、内筒40をエレメント部分30内に挿入する。
【0079】
ついで、手を離すなどして、一端部51aの保持を解除する。すると、係合部材50の弾性によって、角部55が第1の位置P1に戻り、それゆえ、第2の溝70内に進入する。このことによって、角部55と第2の溝70とが係合され、それゆえ、内筒40とエレメント部分30とが固定される。
【0080】
このように構成されるフィルタエレメント10では、操作部である一端部51aを操作(移動)するだけで、角部55と第2の溝70との係合が解除されて、内筒40とエレメント部分30との固定を解除することができる。このため、簡単な操作でエレメント部分30と内筒40との固定、および、当該固定の解除を行うことができるので、簡単にエレメント部分30を交換することができる。
【0081】
また、角部55と第2の溝70とを用いるので、内筒40とエレメント部分30とを簡単な構造で固定、および、当該固定の解除を行うことができる。
【0082】
また、係合部材50を用いて角部55が形成されている。このため、係合部材50の弾性を利用することによって、第2の溝70と係合する第1の位置P1と、第2の溝70との係合が解除される第2の位置P2との間で変位する突起を簡単に形成できる。
【0083】
さらに、係合部材50の弾性を利用することによって、一端部51aが操作されていない状態では角部55は第2の溝70に係合し、一端部51aが操作されたときだけ角部55と第2の溝70との係合が解除される。このため、フィルタエレメント10の通常使用時、および、交換作業時などにエレメント部分30と内筒40との固定が不意に外れてしまうことが抑制される。
【0084】
また、一端部51aがプレート部42の外面42a上に露出していることによって、一端部51aは、作業者による作業が行いやすい位置に配置される。さらに、一端部51aが把持部47の近傍に配置されることによって、内筒40をエレメント部分30から引き抜く作業およびエレメント部分30内に挿入する作業を行いながら、一端部51aを操作できるので、より一層作業が行いやすくなる。
【0085】
また、係合部材50が内筒40のプレート部42(一端部49)に設けられることによって、内筒40の取り外し作業、および、内筒40とエレメント部分30との固定作業が行いやすくなる。この点について詳細に説明する。
【0086】
角部55が一端部に配置されることによって、内筒40を引き抜く際には、内筒40において角部55が配置される部位は、すぐにエレメント部分30から離れる。内筒40において角部55が配置される部位がエレメント部分30から離れた後は、角部55を第2の位置P2に保持しておく必要がない。
【0087】
さらに、内筒40をエレメント部分30内に挿入する際には、内筒40を、他端部48からエレメント部分30内に挿入し、内筒40の一端部49がエレメント部分30内に入り込む直前に、係合部材50の一端部51aを操作して角部55を第2の位置P2に移動すればよい。
【0088】
このように、係合部材50の一端部51aの操作時間を少なくすることができるので、内筒40の取り外し作業、および、内筒40とエレメント部分30との固定作業が行いやすくなる。
【0089】
また、作業者が手で触る、把持部47と一端部51aとに撥油加工が施されることによって、把持部47と一端部51aとに作動油が付着しにくくなるので、作業者の手が汚れるなどしにくくなり、それゆえ、作業効率が向上する。
【0090】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメントを、図10を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、エレメント部分30が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様でよい、上記異なる点について、説明する。
【0091】
本実施形態では、濾材33は、当該濾材33の軸心線方向に沿って縮む方向に弾性変形可能に構成されている。このため、一例として、濾材33は、弾性変形可能な部材で形成されている。この弾性部材の一例として、ポリプロピレンなどがある。しかしながら、濾材33の材質は、ポリプロピレンに限定されない。要するに、濾材33は、当該濾材33の軸心線方向に沿って縮む方向に濾材33を弾性変形可能にする部材(材質)であればよい。
【0092】
濾材33が、軸心線方向に弾性変形可能であることによって、作動油L1のろ過中における、濾材33の破損の発生が抑制される。この点について、詳細に説明する。
【0093】
図10は、本実施形態のフィルタエレメント10を示す断面図である。フィルタエレメント10のろ過作業中では、フィルタエレメント10には、矢印で示すように、第1のプレート31と、内筒40のプレート部42とに大きな圧力が作用する。
【0094】
図10に示すように、内筒40またはエレメント部分30の形状誤差などによって、内筒40の他端35aが第2のプレート32に当接しない場合が生じる。図中、2点鎖線で示される範囲に、内筒40の他端48aと第2のプレート32とが互いに当接していない状態を拡大して示している。なお、図中では、内筒40と第2のプレート32との間の隙間を、説明の都合上、誇張して大きく示している。実際には、隙間が生じても、小さいものである。
【0095】
図10に示すように、内筒40と第2のプレート32との間に隙間S1が生じると、プレート部42に作用した圧力によって濾材33は、内筒40が第2のプレート32に当接するまで変形(縮む方向に)してしまう。
【0096】
しかしながら、濾材33が弾性変形することによって、当該変形が吸収されるので、変形に起因して濾材33が破損することが抑制される。図中2点鎖線で示される範囲に、濾材33が縮む方向に弾性変形した状態の一例を拡大して示している。この変形は、濾材33の一部に生じている場合を示しているが、これに限定されない。濾材33は、全体で変形してもよい。また、この変形は、説明の都合上、誇張して示されている。
【0097】
本実施形態では、第1の実施形態の効果が得られるとともに、加えて、エレメント部分30が破損することが抑制される。
【0098】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係るフィルタエレメントを、図11を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、エレメント部分30の構造が第1の実施形態と異なる。他の点は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について説明する。
【0099】
図11は、本実施形態のエレメント部分30を示す断面図である。図11に示すように、エレメント部分30は、樹脂で形成されたエレメント用内筒80を備えている。エレメント用内筒80は、濾材33の内側に配置されている。
【0100】
エレメント用内筒80は、第1のプレート31から第2のプレート32まで延びており、第1のプレート31と第2のプレート32とに連結(固定)されている。具体的には、第1のプレート31の内周縁部36bは、エレメント用内筒80の内側に嵌合しており、それゆえ、第1のプレート31とエレメント用内筒80とが固定されている。このため、濾材33の一端部34の一部は、エレメント用内筒80に向かい合うとともに、当接している。
【0101】
第2のプレート32の内縁部32bは、エレメント用内筒80の内側に嵌合しており、それゆえ、第2のプレート32とエレメント用内筒80とが固定されている。このため、濾材33の他端部35の一部は、エレメント用内筒80に向かい合うとともに、当接している。
【0102】
なお、エレメント用内筒80の両端の先端面は、第1,2のプレート31,32に当接しており、それゆえ、第1,2のプレート31,32に対して、エレメント用内筒80が、内筒30の軸心線方向に移動(相対的に移動)することは、ない。
【0103】
また、第1,2のプレート31,32の内周縁部36b,32bがエレメント用内筒80内に、嵌合しており、第1,2のプレート31,32に対して、内筒40(エレメント用内筒80)の径方向に、エレメント用内筒80が移動(相対移動)することがないようになっている。
【0104】
また、エレメント用内筒80の全域は、濾材33の内側33a(プリーツ状に折りたたまれた濾材33の内側の谷部分によって構成される、濾材33において内側に突出する部位の集まり)に当接している。エレメント用内筒80は、濾材33の内側33aのすべての範囲に当接支持している。
【0105】
このため、濾材33の内側33aの全域(第1のプレート31から第2のプレート32までの範囲)は、エレメント用内筒80が当接することによって、径方向に支持されている。
【0106】
エレメント用内筒80は、両端が開口している。エレメント用内筒80の全域には、ろ過された作動油L2を通す作動油通り孔100が形成されている。図中、作動油通り孔100の一部が図示されており、他の作動油通り孔100は、省略されている。
【0107】
本実施形態では、第1のプレート31に矢印で示すように作動油L1の圧力が作用しても、エレメント用内筒80が濾材33を軸心線方向に支持することによって、濾材33が軸心線方向に縮むことを抑制する。
【0108】
このように、濾材33が、軸心線方向に縮むことが抑制されるので、濾材33が損傷することが抑制される。
【0109】
また、エレメント用内筒80が濾材33の内側33aに当接して、内側33aを支持している。作動油L1が濾材33を径方向外側から内側に通過する際には、濾材33は、内側に向かって圧力を受ける。このとき、エレメント用内筒80が濾材33の内側33aに当接しているので、濾材33の径方向内側への変形の発生が抑制される。
【0110】
このように、本実施形態では、第1,2の実施形態の効果が得られることに加えて、濾材33の径方向内側への変形も抑制されるので、濾材33が損傷することが抑制される。
【0111】
なお、第1〜3の実施形態では、角部55は、3個形成されているが、これに限定されない。例えば、角部55は、4個や5個などであってもよい。
【0112】
また、フィルタエレメント10は、作動油L1をろ過するが、これに限定されない。フィルタエレメント10は、例えば、気体をろ過するものであってもよい。この場合、フィルタエレメント10は、本発明の特徴を有しつつ、ろ過する気体に合わせた構造が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフィルタエレメントを備える油圧回路を示す断面図。
【図2】図1に示されたフィルタエレメントを示す断面図。
【図3】図2に示されたフィルタエレメントを分解して示す断面図。
【図4】図3に示されたエレメント部分の一端部を示す平面図。
【図5】図3に示された内筒を示す平面図。
【図6】図3に示された係合部材を示す斜視図。
【図7】図3に示された係合部材を示す平面図。
【図8】図3に示された内筒の第1の溝内に、係合部材が取り付けられた状態を示す平面図。
【図9】図8に示された係合部材の一端部が操作された状態を示す平面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメントを示す断面図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るフィルタエレメントのエレメント部分を示す断面図。
【符号の説明】
【0114】
10…フィルタエレメント、30…エレメント部分、31…第1のプレート(第1の支持部)、32…第2のプレート(第2の支持部)、33…濾材、40…内筒、46a…周壁部、46b…外周面(周面)、50…係合部材、51a…一端部(操作部)、52a…他端部、55…角部(第2の係合部)、70…第2の溝(第1の係合部)、80…エレメント用内筒、L1…作動油(ろ過すべき液)、P1…第1の位置(係合する位置)、P2…第2の位置(解除される位置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過すべき流体が通過することによって当該ろ過すべき流体をろ過するとともに、筒状に形成されるエレメント部分と、
前記エレメント部分の内側に着脱可能に収容される内筒と
を具備し、
前記エレメント部分は、第1の係合部を備え、
前記内筒は、当該内筒が前記エレメント部分内に収容された状態において前記第1の係合部と係合する位置と係合が解除される位置とで移動可能な第2の係合部と、前記第2の係合部を前記係合する位置と解除される位置との間で変位する操作部とを備える
ことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
前記第2の係合部は、前記内筒の周面から外側に突出する突起であり、
前記第1の係合部は、前記エレメント部分において前記突起と対向する位置に形成されて、前記第2の係合部が入り込む溝である
ことを特徴とする請求項1に記載にフィルタエレメント。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記内筒の周壁部に沿って設けられるとともに、一端部が移動可能であって前記操作部として機能し、かつ、他端部が前記内筒に固定される係合部材を具備し、
前記第2の係合部は、前記係合部材において前記一端部と前記他端部との間の部分の一部が前記内筒の外側に湾曲することによって突出して形成される
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記係合部材は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成されることを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記操作部は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記エレメント部分は、軸方向に弾性変形可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記エレメント部分は、
前記ろ過すべき流体が通過するとともに筒状に形成される濾材と、
前記濾材の一端に設けられて前記一端を支持する第1の支持部と、
前記濾材の他端に設けられて前記他端を支持する第2の支持部と、
前記濾材の内側に配置されて前記第1の支持部から前記第2の支持部まで延びるとともに、前記濾材の内側に当接する支持部材と
を具備することを特徴とする請求項1に記載にフィルタエレメント。
【請求項8】
前記支持部材は、筒部材であって、外面が前記濾材の内側に当接することを特徴とする請求項7に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記操作部には、撥油加工が施されることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項において、
把持部が設けられ、
前記把持部には、撥油加工が施される
ことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項1】
ろ過すべき流体が通過することによって当該ろ過すべき流体をろ過するとともに、筒状に形成されるエレメント部分と、
前記エレメント部分の内側に着脱可能に収容される内筒と
を具備し、
前記エレメント部分は、第1の係合部を備え、
前記内筒は、当該内筒が前記エレメント部分内に収容された状態において前記第1の係合部と係合する位置と係合が解除される位置とで移動可能な第2の係合部と、前記第2の係合部を前記係合する位置と解除される位置との間で変位する操作部とを備える
ことを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
前記第2の係合部は、前記内筒の周面から外側に突出する突起であり、
前記第1の係合部は、前記エレメント部分において前記突起と対向する位置に形成されて、前記第2の係合部が入り込む溝である
ことを特徴とする請求項1に記載にフィルタエレメント。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記内筒の周壁部に沿って設けられるとともに、一端部が移動可能であって前記操作部として機能し、かつ、他端部が前記内筒に固定される係合部材を具備し、
前記第2の係合部は、前記係合部材において前記一端部と前記他端部との間の部分の一部が前記内筒の外側に湾曲することによって突出して形成される
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記係合部材は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成されることを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記操作部は、前記内筒において前記エレメント部分内へ挿入される先端部と反対側の端部に形成されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記エレメント部分は、軸方向に弾性変形可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記エレメント部分は、
前記ろ過すべき流体が通過するとともに筒状に形成される濾材と、
前記濾材の一端に設けられて前記一端を支持する第1の支持部と、
前記濾材の他端に設けられて前記他端を支持する第2の支持部と、
前記濾材の内側に配置されて前記第1の支持部から前記第2の支持部まで延びるとともに、前記濾材の内側に当接する支持部材と
を具備することを特徴とする請求項1に記載にフィルタエレメント。
【請求項8】
前記支持部材は、筒部材であって、外面が前記濾材の内側に当接することを特徴とする請求項7に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記操作部には、撥油加工が施されることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項において、
把持部が設けられ、
前記把持部には、撥油加工が施される
ことを特徴とするフィルタエレメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−220045(P2009−220045A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68536(P2008−68536)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000178675)ヤマシンフィルタ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000178675)ヤマシンフィルタ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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