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フィルタエレメント
説明

フィルタエレメント

【課題】上流側が低密度で下流側が高密度のフィルタ用濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げ加工を施してなるフィルタエレメントとして、より長寿命化を可能とした構造を提供する。
【解決手段】フィルタ用濾材2は上流側の低密度のケミカルボンド不織布層5と下流側の高密度の濾紙6とを接着接合して密度勾配をもたせてある。ケミカルボンド不織布層5の繊維配向に基づく縦方向の引っ張り強度を横方向の引っ張り強度で除した値を縦横比として、その縦横比を8以上に設定する。さらに、ケミカルボンド不織布層5の縦方向の繊維配向5aを山折りおよび谷折りしたプリーツ3aの高さ方向に一致させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中あるいはオイル等の液体中のダストの捕捉(捕集)を目的としたフィルタエレメントに関し、特に上流側が低密度で下流側が高密度のフィルタ用濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げ加工を施してなるフィルタエレメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルタエレメントに適したフィルタ用濾材として特許文献1に記載のものが提案されている。この特許文献1に記載の技術では、フィルタ用濾材は、上流側の不織布層とこの不織布層よりも目の細かい下流側の濾材層とを備えていて、上流側が低密度で下流側が高密度となるようないわゆる密度勾配を有している。そして、不織布層は紡糸された樹脂繊維から構成されたいわゆるメルトブロー不織布層であって、その樹脂繊維の繊維径が2.5μm〜10μm、不織布層の単位面積当たりの重量である目付け量が2.5g/m2〜15g/m2に設定されているとともに、濾材層としては不織布層よりも目が細かいものが採用されている。これにより、下流側に配置された目の細かい濾材層に対してプレフィルタ層として機能することになる不織布層の目のサイズを適正にすることができるとされている。
【特許文献1】特開2006−175352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術で採用されているメルトブロー不織布は、繊維径自体が細く、また繊維同士の接合力が弱いことから、フィルタエレメントの清掃に際して例えば濾材層側からエアブローを施すと、繊維がほつれたり剥離したりして不織布層の構造破壊を起こしやすく、それによって繊維の偏りが発生するとともに、本来のプレフィルタ層としての機能が低下し、寿命が極端に短いものとなって好ましくない。
【0004】
また、濾紙等の濾材層にメルトブロー不織布層を貼り合わせて複合化することで濾材全体の厚みが増すことから、濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返していわゆるプリーツ折りと称される折り曲げ加工を施してフィルタエレメントとして組み立てた場合に、隣り合うプリーツ同士が接触することでダストがプリーツの奥部まで入りにくくなり、プリーツの表面側でのみダストによる目詰まりが促進されることから、プリーツ折りしたことによる面積の増大効果が十分に発揮できず、上記と同様にフィルタエレメントとしての寿命が短いものとなって好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、特に上流側が低密度で下流側が高密度のフィルタ用濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げ加工を施してなるフィルタエレメントとして、より長寿命化を可能とした構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上流側が低密度で下流側が高密度のフィルタ用濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げ加工を施してなるフィルタエレメントであって、上記フィルタ用濾材は、シート化した繊維層の繊維同士を接合手段にて接合してなる不織布層を上流側の低密度の不織布層として、その上流側の低密度の不織布層と下流側の高密度の濾材層とを接着接合して密度勾配をもたせてあり、上流側の低密度の不織布層の繊維配向に基づく縦方向の引っ張り強度を横方向の引っ張り強度で除した値を縦横比として、その縦横比を8以上に設定するとともに、上流側の低密度の不織布層の縦方向の繊維配向を上記山折りおよび谷折りのそれぞれの高さ方向に一致させてあることを特徴とする。
【0007】
ここで、上流側の低密度の不織布層としては、請求項2に記載のようにケミカルボンド不織布層またはサーマルボンド不織布層を用いるものとする。なお、ケミカルボンド不織布層とサーマルボンド不織布層との違いは、周知のようにケミカルボンド不織布層が繊維同士をバインダにより接合して固着したものであるのに対して、サーマルボンド不織布層は例えば高融点繊維を被覆している低融点繊維を溶かすことにより高融点繊維同士を接合して固着したものである点にある。
【0008】
上記ケミカルボンド不織布およびサーマルボンド不織布層共に、メルトブロー不織布と異なり繊維同士が強固に固着されているために、清掃等に際してエアブローを施したとしても繊維のほつれや剥離が発生しにくく、極端な寿命低下を招かないで済むという特性がある。
【0009】
また、上記ケミカルボンド不織布層またはサーマルボンド不織布層の縦方向の繊維配向を上記山折りおよび谷折りのそれぞれの高さ方向に一致させてあることにより、隣り合うプリーツ同士が接触したとしてもダストがプリーツの奥部まで入りやすくなり、プリーツの表面側でのみダストによる目詰まりが促進されるようなことがなくなる。
【0010】
ここで、上記フィルタ用濾材を構成することになる上流側の低密度の不織布層、すなわちケミカルボンド不織布層またはサーマルボンド不織布層と下流側の濾材層とは、請求項3に記載のように例えばホットメルトパウダにて接着接合したものとする。
【0011】
また、下流側の濾材層は、請求項4に記載のように例えば濾紙とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上流側の低密度の不織布層自体が清掃等に際してエアブローを施したとしても繊維のほつれや剥離が発生しにくく、繰り返しの使用が可能であることから、フィルタエレメントの長寿命化を図る上で有利となる。その上、繊維配向をもつ上流側の低密度の不織布層の縦方向を山折りおよび谷折りのそれぞれの高さ方向に一致させてあることから、隣り合うプリーツ同士が接触したとしてもダストがプリーツの奥部まで入りやすくなるとともに、プリーツの表面側でのみダストによる目詰まりが促進されるようなことがなくなり、これによってもまたフィルタエレメントの長寿命化を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜5は本発明のより具体的な第1の実施の形態を示す図であり、例えばエンジン吸気系のエアクリーナ、空調装置あるいは空気清浄器等に適用されるパネル型のフィルタエレメント1に適用した場合の例を示している。
【0014】
図1に示すように、フィルタエレメント1は、後述するように上流側が低密度で下流側が高密度の密度勾配をもつフィルタ用濾材2に山折りと谷折りを交互に繰り返していわゆるプリーツ折りと称される折り曲げ加工を施すことで、矩形立体形状のエレメント本体3として形成したもので、このエレメント本体3を形状保持のために例えばインサート成形法等の手法により矩形状で且つ樹脂製のケーシング4に収納保持させてある。
【0015】
エレメント本体3となるフィルタ用濾材2は、図2に示すように下流側の濾材層となる所定の濾紙6の上に上流側となるケミカルボンド不織布層5を重ねて、両者を例えばホットメルトパウダを用いて接着接合して、二層の複合構造としたものである。そして、上流側のケミカルボンド不織布層5の繊維組成が疎(粗)あるいは低密度の状態であるのに対して、下流側の濾紙6はその繊維組成がケミカルボンド不織布層5よりも密あるいは高密度の状態にあり、これによってフィルタエレメント1における空気の通流方向において上流側が低密度で下流側が高密度となる密度勾配を持たせてある。故に、上流側のケミカルボンド不織布層5はプレフィルタ層として機能することになる。
【0016】
ここで、上流側の低密度の不織布層として、ケミカルボンド不織布層5に代えてサーマルボンド不織布層を用いても良い。ケミカルボンド不織布層とサーマルボンド不織布層との違いは、ケミカルボンド不織布層が繊維同士をバインダにより接合して固着したものであるのに対して、サーマルボンド不織布層は例えば高融点繊維を被覆している低融点繊維を溶かすことにより高融点繊維同士を接合して固着したものである。
【0017】
したがって、図1の要部の拡大図である図3に示すように、二層構造のフィルタ用濾材2にプリーツ折りを施すことで形成されてなるエレメント本体3は、その上流側では隣り合うプリーツ3a,3a‥同士がケミカルボンド不織布層5をもって相互に接近または接触し、他方、その下流側では隣り合うプリーツ3a,3a‥同士が濾紙6をもって相互に接近または接触していることになる。
【0018】
ここで、上記ケミカルボンド不織布層5は、メルトブロー不織布と異なりアクリル等のバインダにより繊維同士が強固に固着されているために、清掃等に際して濾紙6側からエアブローを施したとしても繊維がほつれたり剥離することが少なく、繊維の偏りや極端な寿命低下を招かないで済むという特性がある。
【0019】
同時に、ケミカルボンド不織布層5は繊維が特定の方向に揃えられて並んでいるため、その繊維の長手方向、すなわち縦方向の繊維配向性が高く、本実施の形態では、一つのプリーツ3aを切り出して示した図4に示すように、ケミカルボンド不織布層5の縦方向、すなわち繊維の長手方向5aを、山折りと谷折りを交互に繰り返していわゆるプリーツ折りされたエレメント本体3の山折りと谷折りのそれぞれの高さ方向(各プリーツ3aの高さ方向)に一致させてある。
【0020】
これは、ケミカルボンド不織布層5を形成している繊維の長手方向が山折りと谷折りのそれぞれの高さ方向に揃えられていることにほかならず、図5に示すように隣り合うプリーツ3a,3a同士のなすピッチをより小さくしてそれらが近接または接触したとしても、同図(A)に示すように捕集したダストDがプリーツ3aの表面にだけとどまることなく、プリーツ3aの奥部まで入りやすくなるという特性を有していることになる。
【0021】
ここで、上記ケミカルボンド不織布層5および濾紙6のより具体的な仕様を表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
表1中、縦横比とは、ケミカルボンド不織布層5の繊維配向に基づく縦方向の引っ張り強度を横方向の引っ張り強度で除した値であって、表1の例では縦横比を12.4としてあるが、後述するように縦横比が8以上であれば所期の目的を達成することができる。
【0024】
なお、ケミカルボンド不織布層5の上流側、あるいは濾紙6の下流側に、必要に応じてさらに別の層を付加することも可能である。
【0025】
したがって、本実施の形態のフィルタエレメントによれば、ケミカルボンド不織布層5自体がメルトブロー不織布と異なりアクリル等のバインダにより繊維同士が強固に固着されているために、清掃等に際して濾紙6側からエアブローを施したとしても繊維がほつれたり剥離することが少なく、繊維の偏りや極端な寿命低下を招かないで済むことを確認できた。
【0026】
また、ケミカルボンド不織布層5を形成している繊維の長手方向が山折りと谷折りのそれぞれの高さ方向に揃えられていることから、図5に示すように隣り合うプリーツ3a,3a‥同士のなすピッチをより小さくしてそれらが近接または接触したとしても、同図(B)に示すように捕集したダストDがプリーツ3a,3a‥の表面にだけとどまることなく、プリーツ3a,3a‥の奥部まで入りやすくなり、ダストDの捕集効率にも優れていることを確認できた。
【0027】
図6は、DHC試験を行った場合のダストDの捕集容量または保持量(DHC)について、従来のメルトブロー不織布層と本実施の形態のケミカルボンド不織布層5とを比較した結果を示す。同図は、一旦ダストDが付着したフィルタエレメントにエアブローを施した後の結果であり、ケミカルボンド不織布層5を有する新品(未使用)のフィルタエレメント1の性能を100%とした。
【0028】
同図から明らかなように、エアブロー後のダストDの保持量(DHC)について、従来のメルトブロー不織布層に比べてケミカルボンド不織布層5が優れていることがわかる。これは先にも述べたように、従来のメルトブロー不織布は、繊維径自体が細く、また繊維同士の接合力が弱いことから、フィルタエレメントの清掃に際して例えば下流の濾材層側からエアブローを施すと、繊維がほつれたり剥離したりして不織布層の構造破壊を起こしやすく、それによって繊維の偏りが発生するとともに、本来のプレフィルタ層としての機能が早い時期に低下することが原因と推測される。
【0029】
また、図7はDHC試験を行った場合のダストDの捕集容量または保持量(DHC)について、先に述べたケミカルボンド不織布層5の引っ張り強度の縦横比別の比較結果を示す。なお、この場合には縦横比2のものを100%とした。
【0030】
同図から明らかなように、ケミカルボンド不織布層5の縦横比とダストDの保持量(DHC)との間には相関があり、縦横比が大きくなるほどダストDの保持量(DHC)も大きくなることがわかる。このことから、ダストDの保持量(DHC)の大幅な向上を目指す上では、ケミカルボンド不織布層5の縦横比を8以上とし、より望ましくは12以上に設定すると一段と有利となる。
【0031】
図8は本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【0032】
この実施の形態では、下流側の濾材層として機能する濾紙6の中に吸着性濾材として例えば粒状の活性炭7を保持させたものである。すなわち、濾紙6を構成することになる濾紙素材6a,6a同士の間に吸着性濾材である粒状の活性炭7をサンドイッチ状に保持させたものである。
【0033】
この構造によれば、ダストDの捕集とともに脱臭までも行える利点がある。
【0034】
図9は本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【0035】
図1と図9とを比較すると明らかなように、図9では図2と同様のフィルタ用濾材2の採用を前提としていわゆるプリーツ折りしした上で、中空円筒状に丸めてエレメント本体13とするととともに、両端面に形状保持のための例えば厚紙等のエンドプレート8を貼り合わせて、投影形状がいわゆる菊花型のフィルタエレメント11としたものである。
【0036】
この第3の実施の形態においても、図2と同様のフィルタ用濾材2の採用を前提としているが故に、先に説明した第1の実施の形態のものと同様の性能が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてパネル型のフィルタエレメントの概略構造を示す説明図。
【図2】図1のフィルタエレメントにおけるエレメント本体を形成しているフィルタ用濾材の拡大断面図。
【図3】図1においてプリーツ折りされたエレメント本体の要部拡大図。
【図4】図1においてプリーツ折りされたエレメント本体の一つのプリーツを示す説明図。
【図5】(A),(B)共に図3に示したエレメント本体のプリーツでのダストの捕集状態を示す説明図。
【図6】ダスト保持量(DHC)について、図1に示したフィルタエレメントでのケミカルボンド不織布層と従来のメルトブロー不織布層とを比較した評価説明図。
【図7】ダスト保持量(DHC)について、ケミカルボンド不織布層の縦横比を変化させて評価した説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す要部拡大説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態として形状の異なるフィルタエレメントを示す要部拡大説明図。
【符号の説明】
【0038】
1…フィルタエレメント
2…フィルタ用濾材
3…エレメント本体
3a…プリーツ
5…ケミカルボンド不織布層(上流側の低密度の不織布層)
6…濾紙(下流側の高密度の濾材層)
11…フィルタエレメント
13…エレメント本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側が低密度で下流側が高密度のフィルタ用濾材に山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げ加工を施してなるフィルタエレメントであって、
上記フィルタ用濾材は、シート化した繊維層の繊維同士を接合手段にて接合してなる不織布層を上流側の低密度の不織布層として、その上流側の低密度の不織布層と下流側の高密度の濾材層とを接着接合して密度勾配をもたせてあり、
上流側の低密度の不織布層の繊維配向に基づく縦方向の引っ張り強度を横方向の引っ張り強度で除した値を縦横比として、その縦横比を8以上に設定するとともに、
上流側の低密度の不織布層の縦方向の繊維配向を上記山折りおよび谷折りのそれぞれの高さ方向に一致させてあることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
上流側の低密度の不織布層はケミカルボンド不織布層またはサーマルボンド不織布層であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
上記フィルタ用濾材を構成することになる上流側の低密度の不織布層と下流側の濾材層とをホットメルトパウダにて接着接合したものであることを特徴とする請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
下流側の濾材層が濾紙であることを特徴とする請求項3に記載のフィルタエレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−297656(P2009−297656A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155366(P2008−155366)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【Fターム(参考)】