説明

フィルタリングシステム、フィルタリング方法、及びプログラム

【課題】プロバイダやキャリアでのフィルタリングを、適性且つ高効率化する。
【解決手段】プロバイダやキャリアでのアクセスネットワークに設けるフィルタリングシステムとして、ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段と、キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスネットワークを提供する主体における、通信ネットワークのアクセス制御技術に関し、詳しくは、コンテンツへの所定の端末のアクセスを制御するフィルタリングシステム、フィルタリング方法、及びフィルタリングを行なうためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ネットワーク上で開示されているコンテンツを、移動体通信サービスの提供母体であるキャリアや、インターネット接続サービスの提供母体であるプロバイダによって、適切にフィルタリングする必要性や要求が高まっている。これらのフィルタリングは、ペアレンタルコントロールと呼ばれて保護者によって設定されたり、法律や条令によって定められた内容によってフィルタリングする内容が定められる。他方、コンテンツ提供者や利用者からは、過度なフィルタリングに対して問題視する意見もある。
【0003】
既存のフィルタリングシステムは、URLフィルタリングと動的フィルタリングに大別される。
URLフィルタリングのブラックリスト方式では、アドレス移転等への追従が難しいという問題があり、またホワイトリスト方式では、提供事業者による認定を受けていない安全なサイトへのアクセスまで遮断されてしまうという問題がある。
また動的フィルタリングには、アクセス時の内容検索時間が長くなるという問題と、画像や映像を考慮したフィルタリングが適切に行ないきれない問題がある。
【0004】
関連する技術としては、特許文献1および特許文献2が挙げられる。
特許文献1では、URLフィルタリングシステムにおいて、端末からのインターネット上のキャッシュへのアクセス時に、キャッシュのURLからは適切にフィルタリングすべきサイトか否かが判断できないことを、キャッシュへのアクセスを検出してそのリクエストから元サイト(コンテンツ)のURLを抽出し、そのURLから得られたコンテンツの内容に基づいて、先のキャッシュへのアクセスコントロールを行なう発明が記載されている。
また、特許文献2には、検索エンジンに入力されたキーワードから、健全なサイトと不良なサイトとを区別する為に用いられる情報を収集する技術が記載されている。また、区分の自動的判別の難しいサイトについて、人間によって区分することが記載されている。
上記キャッシュとは、検索サイトやプロバイダ、移動体通信のキャリアなどが、自ら準備したストレージ媒体に、元サイトのデータをコピーすると共にURLを割り当てて、ブラウザなどにそのキャッシュデータを開示可能としている技術を指す。キャッシュには、アクセスを受ける前に準備されるキャッシュと、過去にアクセスを受けた時に取得したコンテンツを保持するキャッシュとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−204427号公報
【特許文献2】特開2008−181186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パーソナルコンピュータに代表される情報処理装置から、インターネット等のネットワーク上のコンテンツへのアクセスに対して、適宜フィルタリングすることが求められている。
また、スマートフォンやゲーム機に代表される携帯端末におけるインターネット閲覧機能の進化や、利用料金の低廉化、及び携帯電話の低年齢層への普及などがきっかけとなり、ペアレンタルコントロールなどの重要性が認知されている。
【0007】
しかしながら、現在主流であるURLフィルタリング(ブラックリスト方式/ホワイトリスト方式)及び動的フィルタリングのいずれも一長一短であり、課題を残している。
【0008】
例えば、特許文献1に記載されたURLフィルタリングシステムでは、ブラックリストおよびホワイトリストに基づき、元サイトについてURLからサイトを判定している。すなわち、アドレス移転や内容の変更等への追従が何らなされておらず、キャッシュとして問題があるコンテンツが保存されていたとしても、現時点で元サイトに問題が無くブラックリスト化されていなければ、問題があるコンテンツへアクセスできてしまう。同様に、またホワイトリストに登録されていれば、例えばコンテンツの内容が問題がある内容と無い内容とが繰り返し変わるようなサイトに対して、追随できずに問題があってもアクセスできてしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、キャリアやプロバイダなどのアクセスネットワークを提供する母体によって、フィルタリングを効率的かつ効果的に行えるようにするためのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るフィルタリングシステムは、ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段と、前記キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャリアやプロバイダなどのアクセスネットワークを提供する母体によって、フィルタリングを効率的かつ効果的に行えるフィルタリングシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の一形態のインターネットフィルタリングシステムを示す概略図である。
【図2】インターネットフィルタリングシステムにおけるフィルタ非対象端末が有害サイトにアクセスするときの処理動作を示すシーケンス図である(キャッシュ有り)。
【図3】インターネットフィルタリングシステムにおけるフィルタ非対象端末が有害サイトにアクセスするときの処理動作を示すシーケンス図である(キャッシュ無し)。
【図4】保存されているキャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定する処理動作を示すシーケンス図である。
【図5】ユーザ管理システムに保存されるフィルタリングポリシーとしてのユーザ情報の登録動作を示すシーケンス図である。
【図6】フィルタ対象端末が有害サイトにアクセスするときの処理動作を示すシーケンス図である(キャッシュ有り)。
【図7】URLフィルタリング方式を加えたインターネットフィルタリングシステムにおけるフィルタ対象端末が有害サイトにアクセスするときの処理動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を、図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、実施の一形態のインターネットフィルタリングシステムを示す概略図である。
【0014】
図1を参照すると、本実施の一形態は、フィルタリングを行なうWebキャッシュエンジン10がインターネット101とアクセスネットワーク102の中間に接続されている。
また、インターネット101上には、一般コンテンツ(フィルタリング対象としないコンテンツ)のWebサイト201と有害コンテンツ(フィルタリング対象とするコンテンツ)のWebサイト202があり、フィルタリングシステムの運営者の管理外に新規作成や変更が加えられ、日々変化している。ここでのWebサイトとは、1ないし複数のコンテンツの集合体であり、以下で説明するフィルタリングについても、個々のコンテンツ毎に行なうこととしてもよいし、全体のサイトについて行なうこととしてもよい。また、コンテンツには、テキストデータに加え、画像や動画、音声などがあり、適宜フィルタリング検証の範囲とする。なお、実施の形態では、フィルタリング対象とするコンテンツに有害コンテンツと名づけて説明する。現実に有害でないコンテンツであってもフィルタリング対象とするコンテンツは、説明上有害コンテンツであるものとする。
アクセスネットワーク102には、ユーザXが使用する端末301とユーザYが使用する端末302とが接続しており、本インターネットフィルタリングシステムを介して各Webサイトへアクセスする。ここで、ユーザXは、フィルタリングの非対象の人物であり、ユーザYは、フィルタリングを要する人物である。すなわち、端末301は無条件にWebサイト201およびWebサイト202に接続できる。一方 端末302は、一般コンテンツのWebサイト201へのアクセスは可能であるものの、有害コンテンツのWebサイト202へのアクセスに対してフィルタが働き、アクセス出来ないこととなる。
【0015】
Webキャッシュエンジン10には、Webキャッシュストレージ20とユーザ管理システム40が接続されている。また、Webキャッシュストレージ20とユーザ管理システム40には、コンテンツ分析システム30が接続されている。
また、コンテンツ分析システム30内には、テキスト分析エンジン31、映像分析エンジン32、音声分析エンジン33が接続されている。
【0016】
これら、Webキャッシュエンジン10、Webキャッシュストレージ20、コンテンツ分析システム30(テキスト分析エンジン31、映像分析エンジン32、音声分析エンジン33)、ユーザ管理システム40は、いずれもプログラム制御により動作する。
【0017】
ユーザXの端末(フィルタ非対象)301とユーザYの端末(フィルタ対象)302はいずれもパーソナルコンピュータやPDA、スマートフォン等の情報処理装置であり、フィルタを希望しないユーザXの所有かフィルタを希望するユーザYの所有かの属性の違いがあるのみで、機能的な差分はないものとする。また、Webサイト(一般コンテンツ)201とWebサイト(有害コンテンツ)202は、いずれもWebサーバ等の情報処理装置であり、掲載するコンテンツが一般的なものか有害なものかの属性の違いがあるのみで、機能的な差分はないものとする。
【0018】
以下説明の簡略化のため、フィルタリング対象としないWebサイト201を一般サイト201とし、フィルタリング対象とするWebサイト202を有害サイト202と記する。また、ユーザXとユーザYの端末をそれぞれフィルタ非対象端末301とフィルタ対象端末302と記する。
【0019】
Webキャッシュエンジン10は、サーバ等の情報処理装置であり、透過型キャッシュ機能を備えている。より詳細には、Webキャッシュエンジン10は、アクセスネットワーク102配下のユーザからのインターネット101上サイトへのコンテンツへのアクセス時に、コンテンツのサイズやバイナリデータの先頭数十バイトを元にしたハッシュ値等をチェックして、同一と見做すコンテンツがWebキャッシュストレージ20に存在しなければサイトからダウンロードされたコンテンツをWebキャッシュストレージ20上にキャッシュ保存しつつユーザに転送し、同一と見做すコンテンツがWebキャッシュストレージ20に存在すればサイトからのダウンロードを停止しつつWebキャッシュストレージ20上にある該当キャッシュデータ(コンテンツと同様のデータ)をユーザに転送するように動作する。
また、Webキャッシュエンジン10は、アクセスネットワーク102配下のユーザからのインターネット101上サイトへのコンテンツへのアクセス時にそのIPアドレスをチェックし、フィルタ非対象のユーザかフィルタ対象のユーザかの判定をユーザ管理システム40に問い合わせ、その結果と後述するキャッシュ情報とに応じて、対象コンテンツへのアクセスを遮断するフィルタリング機能を備えている。
【0020】
Webキャッシュストレージ20は、Webキャッシュエンジン10とSAN(Storage Area Network)等で接続されたHDD等の情報蓄積装置であり、コンテンツのキャッシュデータ及びフィルタリング用タグを保存する機能を備えている。当該Webキャッシュストレージ20は、キャリアやプロバイダが有する既存のキャッシュを保存するストレージと共用することができる。フィルタリング用タグは、例えば、そのフィルタリング粒度に応じたカテゴリー毎に対象/非対象の記述を情報として含む。また、また、ユーザの年齢などに対応させてカテゴリー毎に対象/非対象の記述を複数の情報として含ませてもよい。換言すれば、Webキャッシュストレージ20は、過去に取り込んだキャッシュ情報を保存しておくためのストレージ手段として動作し、Webキャッシュエンジン10と協業してキャッシュとキャッシュ情報とを取り込み管理保持する仕組みとして動作する。
【0021】
コンテンツ分析システム30は、Webキャッシュストレージ20に保存されているコンテンツのキャッシュデータを定期的に巡回チェックし、テキスト分析エンジン31、映像分析エンジン32、音声分析エンジン33を用いて有害サイトかどうかの分析を行い、その判定結果をキャッシュ情報として、Webキャッシュストレージ20に保存されているコンテンツのキャッシュデータに紐付いたフィルタリング用タグに記述する機能を備えている。すなわち、キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定する分析手段として動作する。なお、コンテンツ分析システム30は、定期的に巡回チェックする以外にも、Webキャッシュエンジン10からの指示のもと動作するようにしてもよい。また、所定のコンテンツについて優先的に分析を行えるようにしてもよい。
【0022】
テキスト分析エンジン31は、コンテンツ分析システム30から呼び出される一機能であり、コンテンツ内のテキストを分析してフィルタリング対象となる有害な文言を含んでいる場合、カテゴリー毎の分類情報とともに判定結果をコンテンツ分析システム30に返却する機能を備えている。
映像分析エンジン32は、コンテンツ分析システム30から呼び出される一機能であり、コンテンツ内の静止画・動画を分析してフィルタリング対象となる有害な映像を含んでいる場合、カテゴリー毎の分類情報とともに判定結果をコンテンツ分析システム30に返却する機能を備えている。
音声分析エンジン33は、コンテンツ分析システム30から呼び出される一機能であり、コンテンツ内の音声を分析してフィルタリング対象となる有害な文言を含んでいる場合、カテゴリー毎の分類情報とともに判定結果をコンテンツ分析システム30に返却する機能を備えている。
【0023】
ユーザ管理システム40は、アクセスネットワーク102配下のユーザからフィルタ対象端末302のフィルタリングポリシー登録を受け付ける機能を備えている。またWebキャッシュエンジン10からのユーザ判定問い合わせを受け付け、フィルタ対象であるユーザかの判定結果を返却する機能を備えている。すなわち、ユーザ管理システム40は、ユーザ情報管理手段として動作し、ユーザ毎のフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理する。ユーザ情報は、提供するサービス毎に準備することも可能であり、端末の持ち主本人や、ペアレンタルコントロールの保護者、あるいは通信環境を提供しているキャリアやプロバイダが適宜登録管理する。なお、ユーザ管理システム40は、ユーザの判定結果を返すこととせずに、判定に用いるフィルタリングポリシー(ユーザのフィルタリングする分野や、そのレベル、ユーザの年齢など)をWebキャッシュエンジン10でユーザ判定に用いれるように反すようにしてもよい。
【0024】
次に、図1〜図6を参照して本実施の一形態の動作について詳細に説明する。
【0025】
図2及び図3では、フィルタ非対象端末301が有害サイト202にアクセスしたときの動作を示している。
まずWebキャッシュエンジン10は、ユーザ端末からのWebサイトへのアクセス(ステップA1)を受信すると、送信元のIPアドレスなどを抽出し(ステップA2)、ユーザ管理システム40に対してユーザ情報の問い合わせを行う(ステップA3)と同時に、アクセス先の有害サイト202に対してアクセス要求を転送する(ステップA4)。この動作はアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0026】
ユーザ管理システム40では、受信したユーザ情報の問い合わせに含まれるユーザIPアドレスなどからユーザ情報としてフィルタ登録の有無を導出する。対象ユーザがフィルタ非対象であった場合、その判定結果をWebキャッシュエンジン10に返送し(ステップA5)、Webキャッシュエンジン10はサイトアクセス要求のあったユーザがフィルタ非対象であるフィルタ非対象端末301であることを確認する(ステップA6)。
【0027】
上記処理と並行して、転送されたサイトへのアクセス要求に基づいて、有害サイト202から転送開始(ステップA7)されたコンテンツの先頭データをWebキャッシュエンジン10が一旦蓄積し、ハッシュデータ等の計算結果を元に、Webキャッシュストレージ20上に存在しているキャッシュデータと同一かどうかをチェックする(ステップA8)。この動作はアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0028】
次に、Webキャッシュストレージ20上に存在しているキャッシュデータと同一と見做せる場合、Webキャッシュエンジン10は、有害サイト202に対してコンテンツ転送中止指示を送出して(ステップA9)、有害サイト202からのコンテンツダウンロードを中止させる(ステップA10)とともに、Webキャッシュストレージ20からキャッシュ送信を開始させ(ステップA11)、ダウンロードが完了し次第キャッシュ送信を終了させる(ステップA12)。この動作によって、フィルタ非対象端末301は、Webサイトから直接コンテンツをダウンロードするよりも早く有害サイト202の情報を取得できることとなる。なお、キャッシュデータと同一と見做せるとは、広告などの差分がっても本体といえるコンテンツに差分が無いときを指している。また、広告などについては別途 動的にフィルタリングの判定を行い、可能なものを通過させるようにしてもよい。
上記動作もアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0029】
もしWebキャッシュエンジン10におけるキャッシュ有無チェック(ステップA8)においてキャッシュが存在しなかった場合(図3参照)、一旦蓄積していたコンテンツの先頭データからフィルタ非対象端末301に対してコンテンツ転送を開始する(ステップA13)と同時的に、そのデータのWebキャッシュストレージ20でキャッシュを開始する(ステップA14)。有害サイト202からのコンテンツ転送が終了し(ステップA15)次第、Webキャッシュエンジン10からフィルタ非対象端末301へのコンテンツ転送も終了し(ステップA16)、Webキャッシュストレージ20でのキャッシュも終了する(ステップA17)。Webキャッシュストレージ20では、次の同一と見做すコンテンツアクセス時のキャッシュ送信に備えて、キャッシュデータを保存する(ステップA18)。なお、フィルタ非対象端末301が、有害サイト202からのコンテンツ転送が途中停止したとしても、Webキャッシュストレージ20へのキャッシュ動作は継続して行なうことしてもよい。
上記動作もアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0030】
図4は、Webキャッシュストレージ20に保存されているキャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定する処理動作を示すシーケンス図である。
【0031】
Webキャッシュストレージ20上に保存されたキャッシュデータは、コンテンツ分析システム30により定期的に分析のため巡回チェックされる(ステップB1)。Webキャッシュストレージ20では、定期巡回チェックのタイミングで未チェックのキャッシュデータが存在していれば、そのキャッシュデータをコンテンツ分析システム30に送信する(ステップB2)。
【0032】
コンテンツ分析システム30では、キャッシュ内のテキストを分析する(ステップB3)ためにテキスト分析エンジン31を使用する。テキスト分析エンジン31はあらかじめ定められたキーワードにマッチするかどうか、または有害と類推されるか文脈を含むかどうかなどを検索し、有害サイトのカテゴリのいずれかに分類されたかどうかの分析結果をコンテンツ分析システム30に返却する(ステップB4)。
【0033】
同様にコンテンツ分析システム30では、キャッシュ内の映像を分析する(ステップB5)ために映像分析エンジン32を使用する。映像分析エンジン32はコンテンツに含まれる静止画ないし動画のスライス情報などの解析結果を元に、あらかじめ定められた条件にマッチするかどうか、または違法アップロードされたコンテンツと同一かどうかを検索し、有害サイトのカテゴリのいずれかに分類されたかどうかの分析結果をコンテンツ分析システム30に返却する(ステップB6)。
【0034】
同様にコンテンツ分析システム30では、キャッシュ内の音声を分析する(ステップB7)ために音声分析エンジン33を使用する。音声分析エンジン33はコンテンツに含まれる音声や音響の波形などの解析結果を元に、あらかじめ定められた条件にマッチするかどうか、または違法アップロードされたコンテンツと同一かどうかを検索し、有害サイトのカテゴリのいずれかに分類されたかどうかの分析結果をコンテンツ分析システム30に返却する(ステップB8)。
【0035】
コンテンツ分析システム30では、これら各エンジンによる分析結果を集計し、キャッシュデータに紐付くタグに対して、該当する有害サイトのカテゴリ情報等を設定し(ステップB9)、Webキャッシュストレージ20にてそのタグをキャッシュ情報として保存する(ステップB20)。
【0036】
なお、上記キャッシュの判定処理については、Webキャッシュエンジン10からの指示の元、初回アクセス時などの条件に応じて、キャッシュ取得時に行ってもよい。このとき、コンテンツ分析システム30は、そのコンテンツの判定を優先的に行って早く判定結果(キャッシュ情報)を返したり、指示された分析方法のみに対して判定結果を返すようにしてもよい。このようにすれば、Webキャッシュエンジン10が、ユーザ管理システム40から得たユーザ情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定することが可能となり、ユーザに対するレスポンス上許容できる範囲での判定や、過度な分析方法の省略などが可能となる。また、既存ファイルとの対比処理などの著作権管理が容易に行えることとなる。
【0037】
図5は、ユーザ管理システム40に保存されるフィルタリングポリシーとしてのユーザ情報の登録動作例を示す。
ペアレンタルコントロール等の目的によりフィルタリングを希望するユーザY(又は保護者)は、フィルタ対象端末302等を通じてユーザ管理システム40に対してフィルタ登録要求を送信する(ステップC1)。
ユーザ管理システム40ではフィルタ登録受付処理を開始し(ステップC2)、フィルタ対象端末302に対して登録情報項目を生成した画面情報を送信し(ステップC3)、ユーザYはフィルタ対象端末302上に表示された登録情報項目(ステップC4)を確認し、登録情報を入力した上でユーザ管理システム40に送信する(ステップC5)。
登録情報項目として最低限必要なものは端末のIPアドレスとフィルタリングしたい対象有害サイトの属するカテゴリ情報である。これらの情報は、回線契約情報や接続時の払い出し情報など、ユーザを介さずに導出できる場合、ユーザY側で入力する必要はない。また、カテゴリ情報の例としては、「不法」「主張」「アダルト」「出会い」等の分類が考えられ、各分類毎にランク分けを行なってもよい。
ユーザ管理システム40は、ユーザYから受信した登録情報をフィルタリングポリシーとしてユーザ情報に加工して保存し(ステップC6)、フィルタ登録受付処理を終了する(ステップC7)。その際、フィルタ対象端末302の画面上に、フィルタ登録が完了した旨が表示される(ステップC8)。
【0038】
次に、フィルタ対象端末302が有害サイト202にアクセスする際の動作を、図6を用いて説明する。
【0039】
フィルタ登録されたユーザY(フィルタ対象端末302)からのサイトアクセス要求があった場合(ステップD1)、Webキャッシュエンジン10は、ステップA2と同様に送信元のIPアドレスなどを抽出し(ステップD2)、ユーザ管理システム40に対してステップA3と同様にユーザ情報の問い合わせを行う(ステップD3)と同時に、アクセス先の有害サイト202に対してステップA4と同様にアクセス要求を転送する(ステップD4)。この動作はアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0040】
ユーザ管理システム40では、受信したユーザ情報の問い合わせに含まれるユーザIPアドレスなどからフィルタ登録の有無を導出する。対象ユーザYがフィルタ対象であるため、その判定結果と対象カテゴリ情報、又はそれに代替できる情報をユーザ情報としてWebキャッシュエンジン10に返送し(ステップD5)、Webキャッシュエンジン10はサイトアクセス要求のあったユーザがフィルタ対象のフィルタ対象であることを確認する(ステップD6)と同時的に、フィルタポリシーとなる対象カテゴリをチェックする(ステップD7)。なお、通知するユーザ情報の形式は、どの様なものでもよくWebキャッシュエンジン10がフィルタリングポリシーに則ってフィルタリングできる情報であればそれでよい。
【0041】
転送されたサイトアクセス要求に基づいて、ステップA7同様に有害サイト202から転送開始(ステップD8)されたコンテンツの先頭データをWebキャッシュエンジン10が一旦蓄積し、ステップA8同様にハッシュデータ等の計算結果を元に、Webキャッシュストレージ20上に存在しているキャッシュデータと同一と見做せるかどうかをチェックする(ステップD9)。この動作はアクセス先が一般サイト201であっても同一である。
【0042】
Webキャッシュストレージ20上に存在しているキャッシュデータと同一と見做せる場合、Webキャッシュエンジン10はステップA9と同様に有害サイト202に対してコンテンツ転送中止指示を送出して(ステップD10)、ステップA10と同様に有害サイト202からのコンテンツダウンロードを中止させる(ステップD11)。続いてWebキャッシュストレージ20上のキャッシュデータに紐付くキャッシュ情報(フィルタリング用タグ)を確認し(ステップD12)、対象カテゴリ情報に基づいたフィルタポリシーに適合する(ステップD13)場合、キャッシュ送信を行わずフィルタ対象端末302に対してアクセス遮断画面を送信する。なお、D13の処理に代えてフィルタリング用タグを取得してフィルタポリシーに適合するか判定してもよいし、対象カテゴリ情報のみを送らせても判定してもよく、コンテンツをフィルタリング対象とするか識別できるキャッシュ情報を取得すればよい。
【0043】
また、Webキャッシュストレージ20上にキャッシュデータがない場合、Webキャッシュエンジン10は、フィルタ対象端末302にコンテンツの転送を停止しつつ、ステップA14からA17と同様にWebキャッシュストレージ20にキャッシュを保存する。続いて、Webキャッシュストレージ20から、コンテンツ分析システム30にコンテンツを分析させてフィルタリング用タグをキャッシュ情報として登録させる。このとき、必要に応じて、コンテンツの判定を優先的に行わせたり、ユーザ情報から得られる年齢などの情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定するようにしてもよい。続いて、ステップD12からD14と同様に、Webキャッシュストレージ20上のキャッシュデータに紐付くフィルタリング用タグの確認などを行い、フィルタポリシーに適合した場合、キャッシュ送信を行わずフィルタ対象端末302に対してアクセス遮断画面を送信する。
なお、動的にキャッシュの検証を行わずに、アクセス遮断画面を送信するようにしてもよい。
【0044】
このようにフィルタリングシステムとして各種手段を動作させることによって、様々な有益な効果を得られる。
【0045】
例示すれば、コンテンツベースでのフィルタリングを実施するためURLフィルタリングにおけるアドレス移転等への追従や安全なサイトへのサクセスまでも遮断されるという問題を回避することができる。一方で、動的フィルタリングのようにアクセスのタイミングにおいて都度内容検索を行わず、事前にキャッシュデータを元に分析できることから内容検索時間を短縮できる。動的フィルタリングを行なうのは、キャッシュが存在しない場合で且つフィルタ対象のユーザが1番最初にアクセスした場合であり、頻度が少なくできる。
【0046】
加えてテキストのみならず画像や映像、音響、著作権などを考慮したフィルタリングが可能となる。
【0047】
また分析のためにオリジナルコンテンツにアクセスする必要がないことから、キャリアないしプロバイダがフィルタリングをサービスとして提供する場合において、トランジットコストを下げることができるという効果もある。
【0048】
更にキャッシュデータを分析に用いることで、アクセス頻度に応じた効率的な分析が可能となるという効果もある。
【0049】
次に、本発明の他の実施の一形態について図7を参照して説明する。
【0050】
上記実施の一形態では、キャッシュデータのみをフィルタリングのための分析に用いる態様を取ったが、URLフィルタリング(ブラックリスト方式やホワイトリスト方式)と組み合わせることにより、Webキャッシュストレージ20容量の上限到達や保存期間超過によるキャッシュデータの消失や、該当アクセスネットワークを通じた初回アクセス時のフィルタリング時の遅延に対し、一定の軽減効果がある。
【0051】
以下の説明では、Webキャッシュエンジン10があらかじめ静的なURLフィルタリング用のブラックリストを保持していることと、フィルタ対象端末302からのサイトアクセス要求を有害サイト202に転送する前にユーザ情報問い合わせの完了とフィルタポリシーに基づくブラックリストチェックを行う点で、前述した実施の一形態の動作と異なる。
【0052】
フィルタ対象端末302からのアクセスネットワーク102を介したサイトへのアクセス要求を受け、Webキャッシュエンジン10がユーザ管理システム40に対してユーザ情報の問い合わせを行うまでの動作(ステップE1からE3)は、上記実施の一形態におけるステップD1からD3までと同様である。
【0053】
本実施の一形態でのWebキャッシュエンジン10では、有害サイト202へのサイトアクセス要求転送を一旦保留し、ステップD5と同様のユーザ管理システム40による判定結果返送(ステップE4)を確認することで、ステップD6同様にWebキャッシュエンジン10がサイトアクセス要求を通知した端末がフィルタ対象であるのフィルタ対象端末302であることを確認する(ステップE5)と同時に、ステップD7と同様にフィルタポリシーをチェックして対象カテゴリを識別する(ステップE6)。
【0054】
続いてWebキャッシュエンジン10は、ユーザYのフィルタポリシーに従ってブラックリストチェックを行い(ステップE7)、アクセス先URLがブラックリストに含まれる場合はフィルタ対象端末302に対してアクセス遮断画面を送信する(ステップE8)。他方、ブラックリストチェック(ステップE7)の結果、アクセス先URLがブラックリストに含まれない場合は、一旦保留していた有害サイト202へのサイトアクセス要求を転送する(ステップE9)。
【0055】
以降は上記実施の一形態におけるステップD8からD14と同じ手順で動作することにより、同一コンテンツがアドレス移転していた場合でも適切にフィルタリング処理を行う。
【0056】
なお、ホワイトリストもブラックリストと同様に使用できるようにしてもよく、ホワイトリストとブラックリストの両方を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
フィルタリングシステムとして動作させる各手段は、上記したようにハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMに本フィルタリング用のプログラムが展開され、プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させる。また、前記プログラムは、記憶媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0058】
また、本発明は、既存システムに追加的に組み合わせてもよい。例えば、移動体通信システムに、フィルタリングシステムとして動作させる情報処理装置群(の制御部)を、キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段や、携帯端末からのコンテンツへのアクセスを、その携帯端末のユーザ情報と受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とから、持ち主であるユーザに対してそのコンテンツにアクセスさせるか決定して、アクセスさせないときや、一部をブロックするフィルタリング手段として機能させるプログラムを提供することとしてもよい。
【0059】
また、そのフィルタリング手段は、分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、人間による判定に付するように処理することとしてもよい。例えば、時事問題などを扱うサイトなどについて、個々のコンテンツの内容のみでは判別しづらいときに、サイト検証者などに確認を自動的に求めるようにすればよい。
【0060】
また、フィルタリング手段は、上記サイトなどの分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるようなサイトのコンテンツや、自動的に定めることが困難なコンテンツについて、コンテンツを新たにキャッシュした際(初回のアクセスの際)に、フィルタリング対象と成り得ないフィルタリングポリシーを有するユーザ(フィルタ非対象端末)に対して、システムから確認を求めるようにしてもよい。この際に、そのコンテンツについて、所定のフィルタリングポリシーを有するユーザに対してフィルタリングすべきか否かを回答させるWeb画面を生成して、そのコンテンツと共に又は後に提示して、その回答をコンテンツへのフィルタリングに反映させるようにすればよい。これは、例えば、ニュースサイトに初回アクセスした、大人が持ち主である携帯端末に対して、「このニュースを小学生に読ませてもよいと思いますか?」や、「このサイトを子供に読ませたいですか?」、「このコンテンツには○○な内容は含まれますか?」などの問いを行なうことで、その回答に従い小学生に対するフィルタリングを行える。また、所定人数に対して同様の質問を行って平均化することが望ましい。この場合、初回に子供がアクセスした場合はフィルタリングして、適切な回答が収集できた後に、子供に対するフィルタリングを行なうか否かの決定を行なえばよい。このような動作もアクセスネットワークを介したコンテンツのへのアクセスに対して、フィルタリングポリシーが反映されたユーザ情報を確認しつつ、キャッシュの有無を確認するので行える。
【0061】
以上説明したように、本発明を適用したフィルタリングシステムによれば、キャリアやプロバイダなどのアクセスネットワークを提供する母体によって、フィルタリングを効率的かつ効果的に行える。また、既存技術を補完するフィルタリングを提供できる。
【0062】
なお、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。例えば、上記各手段として動作させるサーバは、一機能に対して複数台で行なうこととしてもよいし、また、複数の機能を1台のサーバで行なうこととしてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、
取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段と、
前記キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、
端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段と、
を有することを特徴とするフィルタリングシステム。
【0064】
[付記2]
前記ストレージ手段に取り込まれるキャッシュは、キャリア又はプロバイダが有する既存のキャッシュと共用して用いられ、
前記分析手段は、取り込み済みであるキャッシュ内容について、テキスト分析に加えて映像分析および/または音声分析を行い、その結果を該キャッシュに付随するキャッシュ情報に記録する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0065】
[付記3]
前記フィルタリング手段は、端末からのコンテンツへのアクセスを受けた際に、ブラックリスト及び/又はホワイトリストに基づくURLフィルタリングを組み合わせて行い、該端末のユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0066】
[付記4]
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツのフィルタリング対象であるか否かを判定させて、該端末のユーザ情報と 該コンテンツのキャッシュ情報とから、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0067】
[付記5]
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツの判定を優先的に行わせると共に 前記ユーザ情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定して、キャッシュされていなかったコンテンツへの判定を行わせ、その結果に基づいて該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0068】
[付記6]
前記フィルタリング手段は、端末からアクセスされたサイトからのコンテンツと保存されているキャッシュとの差分の有無の確認に、アクセス要求先から送られてきたコンテンツの先頭データを取得して、保存されているキャッシュの該当部分とハッシュデータを対比してその差分から同一と見做すかどうかを決定する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0069】
[付記7]
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、人間による判定に付するように処理する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0070】
[付記8]
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、キャッシュされていなかったコンテンツを新たにキャッシュした際に、フィルタリング対象と成り得ないフィルタリングポリシーを有するユーザに対して、該新たにキャッシュしたコンテンツについて、所定のフィルタリングポリシーを有するユーザに対してフィルタリングすべきか否かを回答させるWeb画面を生成して、該コンテンツと共に又は該コンテンツの後に提示して、その回答を該コンテンツへのフィルタリングに反映させる
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリングシステム。
【0071】
[付記9]
アクセスネットワークを介して受け付けた、フィルタリングするか否かを定める端末からのコンテンツへのアクセスに対して、
予め記録されて管理されている該端末のユーザへのフィルタリングポリシーが反映されたユーザ情報と、前記アクセスネットワークを介した過去のコンテンツへのアクセス時に前記コンテンツと同様の内容が予め取り込まれて保存されているキャッシュに対して該キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定した結果が反映されたキャッシュ情報と、を取得し、
取得した前記ユーザ情報と前記キャッシュ情報に基づき、前記ユーザのフィルタリングポリシーと、キャッシュデータ内のコンテンツの分析結果によって定まった判別基準とによって、該コンテンツへのアクセス制御を行う
ことを特徴とするフィルタリング方法。
【0072】
[付記10]
前記取り込まれているキャッシュは、キャリア又はプロバイダが有する既存のキャッシュと共用して用いられ、
前記分析は、取り込み済みであるキャッシュ内容について、テキスト分析に加えて映像分析および/または音声分析を行い、その結果を該キャッシュに付随するキャッシュ情報に記録する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0073】
[付記11]
前記フィルタリング処理は、端末からのコンテンツへのアクセスを受けた際に、ブラックリスト及び/又はホワイトリストに基づくURLフィルタリングを組み合わせて行い、該端末のユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0074】
[付記12]
前記フィルタリング処理は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、該コンテンツのフィルタリング対象であるか否かを分析して判定し、該端末のユーザ情報と 該コンテンツのキャッシュ情報とから、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0075】
[付記13]
前記フィルタリング処理は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、該コンテンツの判定を優先的に行い 前記ユーザ情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定して、キャッシュされていなかったコンテンツへの判定を行わせ、その結果に基づいて該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0076】
[付記14]
前記フィルタリング処理は、端末からアクセスされたサイトからのコンテンツと保存されているキャッシュとの差分の有無の確認に、アクセス要求先から送られてきたコンテンツの先頭データを取得して、保存されているキャッシュの該当部分とハッシュデータを対比してその差分から同一と見做すかどうかを決定する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0077】
[付記15]
前記フィルタリング処理は、コンテンツの分析による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、人間による判定に付するように処理する
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0078】
[付記16]
前記フィルタリング処理は、コンテンツ分析による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、キャッシュされていなかったコンテンツを新たにキャッシュした際に、フィルタリング対象と成り得ないフィルタリングポリシーを有するユーザに対して、該新たにキャッシュしたコンテンツについて、所定のフィルタリングポリシーを有するユーザに対してフィルタリングすべきか否かを回答させるWeb画面を生成して、該コンテンツと共に又は該コンテンツの後に提示して、その回答を該コンテンツへのフィルタリングに反映させる
ことを特徴とする上記付記記載のフィルタリング方法。
【0079】
[付記17]
アクセスネットワークを提供する通信システムにおける、ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段とを有するフィルタリングシステムとして動作する情報処理装置群の何れかの制御部を、
前記キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、
端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【0080】
[付記18]
前記ストレージ手段に取り込まれるキャッシュは、キャリア又はプロバイダが有する既存のキャッシュと共用して用いられ、
前記分析手段は、取り込み済みであるキャッシュ内容について、テキスト分析に加えて映像分析および/または音声分析を行い、その結果を該キャッシュに付随するキャッシュ情報に記録する
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0081】
[付記19]
前記フィルタリング手段は、端末からのコンテンツへのアクセスを受けた際に、ブラックリスト及び/又はホワイトリストに基づくURLフィルタリングを組み合わせて行い、該端末のユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0082】
[付記20]
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツのフィルタリング対象であるか否かを判定させて、該端末のユーザ情報と 該コンテンツのキャッシュ情報とから、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0083】
[付記21]
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツの判定を優先的に行わせると共に 前記ユーザ情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定して、キャッシュされていなかったコンテンツへの判定を行わせ、その結果に基づいて該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0084】
[付記22]
前記フィルタリング手段は、端末からアクセスされたサイトからのコンテンツと保存されているキャッシュとの差分の有無の確認に、アクセス要求先から送られてきたコンテンツの先頭データを取得して、保存されているキャッシュの該当部分とハッシュデータを対比してその差分から同一と見做すかどうかを決定する
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0085】
[付記23]
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、人間による判定に付するように処理する
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【0086】
[付記24]
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、キャッシュされていなかったコンテンツを新たにキャッシュした際に、フィルタリング対象と成り得ないフィルタリングポリシーを有するユーザに対して、該新たにキャッシュしたコンテンツについて、所定のフィルタリングポリシーを有するユーザに対してフィルタリングすべきか否かを回答させるWeb画面を生成して、該コンテンツと共に又は該コンテンツの後に提示して、その回答を該コンテンツへのフィルタリングに反映させる
ように機能させることを特徴とする上記付記記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、インターネット接続サービスを提供するプロバイダや、移動体通信サービスを提供するキャリアが行なうフィルタリングサービスに利用できる。
【符号の説明】
【0088】
10 Webキャッシュエンジン
20 Webキャッシュストレージ
30 コンテンツ分析システム
31 テキスト分析エンジン
32 映像分析エンジン
33 音声分析エンジン
40 ユーザ管理システム
101 インターネット
102 アクセスネットワーク
201 Webサイト(一般サイト,コンテンツフィルタリング対象としないコンテンツ)
202 Webサイト(有害サイト,フィルタリング対象とするコンテンツ)
301 端末(ユーザX端末,フィルタ非対象端末)
302 端末(ユーザY端末,フィルタ対象端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、
取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段と、
前記キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、
端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段と、
を有することを特徴とするフィルタリングシステム。
【請求項2】
前記ストレージ手段に取り込まれるキャッシュは、キャリア又はプロバイダが有する既存のキャッシュと共用して用いられ、
前記分析手段は、取り込み済みであるキャッシュ内容について、テキスト分析に加えて映像分析および/または音声分析を行い、その結果を該キャッシュに付随するキャッシュ情報に記録する
ことを特徴とする請求項1記載のフィルタリングシステム。
【請求項3】
前記フィルタリング手段は、端末からのコンテンツへのアクセスを受けた際に、ブラックリスト及び/又はホワイトリストに基づくURLフィルタリングを組み合わせて行い、該端末のユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする請求項2記載のフィルタリングシステム。
【請求項4】
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツのフィルタリング対象であるか否かを判定させて、該端末のユーザ情報と 該コンテンツのキャッシュ情報とから、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフィルタリングシステム。
【請求項5】
前記フィルタリング手段は、端末からのキャッシュされていないコンテンツへのアクセスを受けた際に、前記分析手段に該コンテンツの判定を優先的に行わせると共に 前記ユーザ情報に基づいて判定に用いる分析方法を指定して、キャッシュされていなかったコンテンツへの判定を行わせ、その結果に基づいて該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングする
ことを特徴とする請求項4記載のフィルタリングシステム。
【請求項6】
前記フィルタリング手段は、端末からアクセスされたサイトからのコンテンツと保存されているキャッシュとの差分の有無の確認に、アクセス要求先から送られてきたコンテンツの先頭データを取得して、保存されているキャッシュの該当部分とハッシュデータを対比してその差分から同一と見做すかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項5の何れか一項に記載のフィルタリングシステム。
【請求項7】
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、人間による判定に付するように処理する
ことを特徴とする請求項3ないし6の何れか一項に記載のフィルタリングシステム。
【請求項8】
前記フィルタリング手段は、前記分析手段による判定に基づくフィルタリング対象とするか否かの判定結果が時間と共に移り変わるサイトのコンテンツについて、キャッシュされていなかったコンテンツを新たにキャッシュした際に、フィルタリング対象と成り得ないフィルタリングポリシーを有するユーザに対して、該新たにキャッシュしたコンテンツについて、所定のフィルタリングポリシーを有するユーザに対してフィルタリングすべきか否かを回答させるWeb画面を生成して、該コンテンツと共に又は該コンテンツの後に提示して、その回答を該コンテンツへのフィルタリングに反映させる
ことを特徴とする請求項7記載のフィルタリングシステム。
【請求項9】
アクセスネットワークを介して受け付けた、フィルタリングするか否かを定める端末からのコンテンツへのアクセスに対して、
予め記録されて管理されている該端末のユーザへのフィルタリングポリシーが反映されたユーザ情報と、前記アクセスネットワークを介した過去のコンテンツへのアクセス時に前記コンテンツと同様の内容が予め取り込まれて保存されているキャッシュに対して該キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定した結果が反映されたキャッシュ情報と、を取得し、
取得した前記ユーザ情報と前記キャッシュ情報に基づき、前記ユーザのフィルタリングポリシーと、キャッシュデータ内のコンテンツの分析結果によって定まった判別基準とによって、該コンテンツへのアクセス制御を行う
ことを特徴とするフィルタリング方法。
【請求項10】
アクセスネットワークを提供する通信システムにおける、ユーザへのフィルタリングポリシーをユーザ情報として管理するユーザ情報管理手段と、取り込んだキャッシュと共に、該キャッシュに付随する情報をキャッシュ情報として保存しておくためのストレージ手段とを有するフィルタリングシステムとして動作する情報処理装置群の何れかの制御部を、
前記キャッシュの内容についてフィルタリング対象であるか否かを判定してキャッシュ情報とする分析手段と、
端末からのコンテンツへのアクセスを、アクセスネットワークを介して受け付け、該端末のユーザ情報と 受け付けたコンテンツのキャッシュ情報とを取得すると共に、取得したユーザ情報とキャッシュ情報から、該ユーザに対して該コンテンツをフィルタリング対象とするか決定して、対象とするときにフィルタリングするフィルタリング手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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