説明

フィルターピペットチップ

【課題】ピペッティングに支障をきたすことなくバリア機能を高めたフィルターピペットチップを提供すること
【解決手段】ピペットに取り付けるための大きな開口を一端に有し、液体を通過させるための小さな開口を他端に有し、該大開口と該小開口との間に貫通路を有する小管と、貫通路中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備えるフィルターピペットチップであって、該フィルターが、貫通路方向に直列に配置した少なくとも二つの層を有し、該層のうち細孔層の孔径が最大で20μmであり、粗孔層の孔径が20〜50μmであり、この二つの層の孔径が異なり、細孔層が第一の圧縮されたプラスチック粒子を含み、粗孔層が第二の圧縮されたプラスチック粒子を含み、細孔層と粗孔層とが焼結され、ワンピース構造のフィルター本体を形成している、フィルターピペットチップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルターピペットチップに関する。
【背景技術】
【0002】
ピペットチップは、ピペットと共に使用して、液体を計量するためのものである。ピペットチップは、ピペットに取り付けるために一端に比較的大きな開口を有し、液体を通すための比較的小さな開口を他端に有し、この大開口と小開口との間に貫通路を備える小さな管として形成される。ピペットは、大開口を取り付けるための受け入れシャフト部、若しくはピペットチップの一端を挿入するための受け部を有している。さらに、通常ピストン−シリンダーユニットとして構成される気体変位装置も備えている。この気体変位装置は、ピペットに着脱可能に取り付けられたピペットチップの大開口に、受け入れシャフト部又は受け部の貫通路を介して、取り付けられる。
【0003】
液体をピペットチップ内へ吸引したり、そこから排出したりするためには、空気柱や他の気柱を気体変位装置によって変位させる。気柱をピペットチップから離れる方向に変位させると、所定量の液体がピペットチップの小開口から貫通路へと吸引される。気柱をピペットチップに向かって変位させると、所定量の液体が貫通路から小開口を通して分注される。
【0004】
ピペットチップは一般に、計量を行なった後、残っている液体によって次にピペッティングする液体が汚染されるのを防止するために、新しいピペットチップと交換する。使い捨てピペットチップは通常プラスチック材料でできている。
【0005】
液体を吸排出する時に、極小さな液滴がピペットチップからピペットに入る可能性がある。気体変位を過剰に行なうと、大量の液体が大開口からピペット内に吸引されてしまうことがある。この液体は次のピペッティングの際にピペットチップに侵入する可能性がある。そうすると、サンプルが汚染される恐れがある。
【0006】
フィルターピペットチップは、ピペットの汚染を防止するためのものとして既に知られている。このフィルターピペットチップは、貫通路の断面を満たす多孔質のフィルターを備えている。このフィルターは通常、大開口の付近に配置されている。例えば、フィルターは小管の貫通路内に圧入されたり、及び/又は貫通路内の少なくとも1つの突出部に支承されている。フィルターと小開口との間の貫通路の領域は、液体を受入れる役割を果たす。フィルターはエアロゾル及び液体をフィルターピペットチップ内に保持して、大開口からピペット内に入らないようにする。フィルターは、例えば多孔質のプラスチック製の栓として構成され、小さなプラスチック粒子を焼結することによって作成することもできる。
【0007】
公知のフィルターのバリア効果は、エアロゾル及び液体に対しては不十分である。液体と接触するとフィルターの孔を閉塞する添加剤を添加したフィルターが知られている。このようなフィルターは液密ではあるが、エアロゾルは通してしまう。またこの添加剤が凝集したり及び/又は流れ出したりして、サンプルを汚染することもある。さらには、貴重な液体がフィルターとの接触により汚染されたり及び/又は回収困難となることがよくある。このように閉塞されたフィルターではサンプルの排出ができないことがある。
【0008】
DE 36 35 598 C2には、フィルターがディスク状に上下に重ねられた複数の層から構成され、ディスク間で透過性が変化、特に減少する、累進的なフィルター作用を有するフィルターピペットチップが記載されている。ある実施態様では、異なる密度のディスクを上下に重ねている。密度が高くなるにつれ、通過する媒体が毛細管通路の壁部分と繰返し接触することになる。これを利用して反応を開始させることができるが、その代わりに吸引力や圧縮力が所定レベルに達した時若しくはそれを超えた時に、フィルター効果が高まる。よってフィルターピペットチップの圧力損失が大きくなり、不正確な計量や誤操作が生じる恐れがある。
【0009】
様々な特性の複数のフィルターピペットチップが知られており、計量した様々な量を受け取るために、様々なサイズのフィルターピペットチップが入手可能となっている。また、フィルターが液体と接触すると所定の態様で反応する、例えば閉塞したり、変色したりするフィルターピペットチップが知られている。さらには、様々な材質のフィルターピペットチップや様々な純度のフィルターピペットチップが知られている。異なるフィルターピペットチップをその外観によって区別するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第36 35 598 C2号公報
【特許文献2】特開2003−254876号公報
【特許文献3】特開昭63−185457号公報
【特許文献4】特表2005−501983号公報
【特許文献5】特開平04−340464号公報
【特許文献6】特開平05−187856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような課題に基づいた本発明の目的は、ピペッティングに支障をきたすことなくバリア機能を高めたフィルターピペットチップを提供することにある。この課題は、請求項1、5、及び18にそれぞれ記載した特徴を有するフィルターピペットチップによって解決することができる。
【0012】
さらに、異なる特性を有するフィルターピペットチップを区別し易くしたフィルターピペットチップを提供する。この課題は、請求項8に記載した特徴を有するフィルターピペットチップによって解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1によれば、フィルターピペットチップは、ピペットに取り付けるための比較的大きな開口を一端に有し、液体を通過させるための比較的小さな開口を他端に有し、この大開口と小開口との間に貫通路を有する小管と、貫通路中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備え、該フィルターが、貫通路方向に直列に配置した少なくとも二つの層を有し、該層のうち一つの孔径が最大で約20μmであり、別の層の孔径が約20〜50μmであり、この二つの層の孔径は異なる。
【0014】
孔径が約20〜50μmであるフィルターの粗孔層は、体積濾過及び予備濾過に使用される。この層は本明細書において粗孔層と呼ぶことがある。この粗孔層は、通過する液体に対して複数の障害を呈し、液滴及び/又は粒子を捕捉しておくことができる。孔径が最大で約20μmであるフィルターの細孔層は、液滴及び/又は粒子、特に粗孔層を通過したもの、孔径を越える寸法のものを分離する。この層は本明細書において細孔層と呼ぶことがある。より小さな粒子に対する吸着性のフィルター作用も、この細孔層において最適に利用することができる。細孔層が貫通路の一部を満たしており、貫通路の断面を閉塞しているので、ほぼ完璧な分離を行なうことができる。このバリア効果は、小孔及び大孔が体積全体に分散されているために小孔が極小さな液滴及び/又は粒子を完全に捕捉できない従来の一層型フィルターのバリア効果を超えるものである。本発明のフィルターは粗孔層と細孔層とからなっているので、圧力損失は、従来の一層型フィルターの圧力損失程度であり、計量の精度は損なわれない。また公知の多層フィルターとは異なり、フィルター効果を高めるために吸引力や圧力による力を増加させる必要がない。フィルターチップは、特にピペッティング中にエアロゾルや生体分子(例えばDNA)がピペットに侵入するのを防ぐため、若しくは濾過や抽出中に液体から液体や固体粒子を分離するために使用することができる。
【0015】
本発明のフィルターピペットチップにおける層の孔径は、DIN(ドイツ工業規格)66133(1993年6月)に記載されているような水銀圧入法によって測定することができる。DIN 66133は、10787・ベルリン,ブルクグラーフェンシュトラーセ・6(Burggrafenstrasse 6, 10787 Berlin)のボイト出版社(Beuth-Verlag GmbH)から入手することができる。この測定を実施し、評価するために参照するDIN 66133に記載されている情報を、本願に援用する。層の孔径は、フィルターをその二つの層つまり二つの部分に分割(例えば外科用メスを使って切断する)した後に測定する。
【0016】
細孔層と粗孔層の孔径は異なり、細孔層の孔径が20μmの場合、粗孔層の孔径は20μmより大きい。粗孔層の孔径が20μmの場合、細孔層の孔径は20μ未満である。ある実施態様では、細孔層の孔径は、粗孔層の孔径よりも少なくとも5μm小さい。別の実施態様では、10〜40μm小さい。
【0017】
ある実施態様によれば、細孔層の孔径は最大で約10μmである。別の実施態様では、粗孔層の孔径は約20〜40μmである。
【0018】
本発明は、フィルターの細孔層が、粗孔層よりも小開口により近い側に配置されているフィルターピペットチップを含む。この実施態様は、例えばピペットからの汚染物質がピペットチップに侵入するのを防止するために有意義である。好ましい実施態様では、細孔層は粗孔層よりも大開口により近い側に配置される。この実施態様ではピペットの汚染を効果的に防止することができる。
【0019】
ある実施態様では、貫通路方向における細孔層の範囲は、粗孔層の範囲よりも短い。粗孔層が比較的緻密であるので、特に効果的な体積濾過及び予備濾過を行なうことができ、比較的希薄な細孔層による微細濾過と組合わせることにより、バリア効果をさらに高めることができる。フィルターが二層よりも多い層を有するフィルターピペットチップも本発明に含まれる。フィルターは、例えば細孔層の両側に粗孔層を設けたものであってもよい。
【0020】
請求項5によれば、フィルターピペットチップは、ピペットに取り付けるための比較的大きな開口を一端に有し、液体を通過させるための比較的小さな開口を他端に有し、この大開口と小開口との間に貫通路を有する小管と、貫通路中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備え、該フィルターが、貫通路方向に直列に配置した少なくとも二つの層を有し、該層は異なる親水性若しくは異なる疎水性を有し、又は一方の層が親水性で他方の層が疎水性である。
【0021】
フィルターの親水性層若しくはより親水性の高い層は、特に水性液体の液滴を捕捉する役割を果たす。エアロゾルは好ましくはこの層に吸着される。同様に、DNA及びこれに類似する生体分子も好ましくはこの親水性表面に捕捉される。疎水性層若しくはより疎水性の高い層は、好ましくはタンパクを吸着する役割を果たし、タンパクは好ましくは疎水性層に捕捉される。この層はさらに液体撥水特性を有する。従って、フィルターは同時にエアロゾル及び生体分子バリアとしても効果的である。フィルターピペットチップのバリア効果は全体的に高められている。
【0022】
ある実施態様によれば、請求項5のフィルターピペットチップは、請求項1〜4の特徴の少なくとも一つを備えている。このように設計されたフィルターピペットチップはさらに増強したバリア効果を有する。
【0023】
ある実施態様によれば、親水性層は疎水性層よりも大開口により近い側に配置される。ピペッティングの際、疎水性層は水性液体の液滴をはじき、フィルターに侵入するのを防ぐ。それにもかかわらずフィルターに侵入した液滴は、親水性層が捕捉し、大開口からの脱出を防止する。DNA等の生体分子は親水性層によって捕捉される。
【0024】
ある実施態様によれば、貫通路方向における親水性層の範囲は、疎水性層の範囲よりも長い。そのため、水性液体は特に効果的にフィルターピペットチップ内に保持される。
【0025】
請求項8によれば、フィルターピペットチップは、ピペットに取り付けるための比較的大きな開口を一端に有し、液体を通過させるための比較的小さな開口を他端に有し、この大開口と小開口との間に貫通路を有する小管と、貫通路中に配置され、貫通路の一部を満たす、少なくとも一つの標識を有する多孔質フィルターとを備える。
【0026】
この標識は、フィルターピペットチップ及び/又はフィルターの特性及び/又は向きを特定する、フィルターの少なくとも一つの追加的特徴である。この特徴は、任意の物理的又は化学的作用の後、ヒトの感覚器官(例えば目)及び/又はセンサー(例えば光センサー)によって認識することができるものである。
【0027】
この標識は様々な目的に利用することができる。例えば、標識はフィルターピペットチップを識別する役割を果たすことができる。例えば、フィルターの特定の標識を特定の特性を有するフィルターピペットチップと関連付けることにより、関連性のある特徴を有するフィルターピペットチップを明確に識別することができる。この標識によって、例えば、フィルターピペットチップが受容できる液体サンプルの容量、フィルターが一つ又は様々な液体と接触した際の特定の反応、フィルターピペットチップの原材料、フィルターピペットチップが提供される純度のレベル、若しくはフィルターピペットチップの製造者等を識別することができる。
【0028】
さらに標識は、オリジナルであること若しくは真正品であることを示すものとしての役割を果たすこともでき、これにより例えばフィルターピペットチップがオリジナルであることや真正品であることを特定することができるようにすることができる。ある実施態様によれば、フィルターがオリジナルであること及び/又は真正品であることの検査は、技術的補助によって特定することができる標識を用いることによって行なうことができる。例えばフィルターを特殊な試験装置によってチェックしたり、及び/又はフィルターに化学的若しくは物理的作用(例えばピペッティング中に空気でパージしたり、試薬で濡らしたり、加熱したりする)を加えると、標識が変化し、その変化をヒトが知覚できる、若しくはセンサーによって測定できるようにすることにより、行なうことができる。
【0029】
この標識はさらに、フィルターをフィルターピペットチップ内の正しい位置に挿入することができるように、製造工程においてフィルターの向きを確認する目的に使用することができる。複数の層を結合したフィルターや、軸方向に異なる孔径とし得るフィルターでは、その向きを簡単に見極めることができない場合がある。このような場合に、貫通路内にフィルターを所望の向きで挿入することができるように、ヒトが知覚することによって及び/又はセンサーを使用することによって簡単に検知することができる標識を使用して、フィルターの向きを確認することができる。
【0030】
ある実施態様において、フィルターピペットチップは請求項1〜7の特徴のうち少なくとも一つの特徴を備える。
【0031】
特に、目的別に異なる標識を選択してもよい。例えば、標識をフィルターの端面に層に対して平行に設けた輪郭部であって、外観及び/又は手触りによって検知できるものとすることができる。ある実施態様では、フィルターに、従来のフィルターの白い色とは異なる少なくとも一つの着色を施す。この場合、標識はフィルター若しくはその一部分に施した白色とは異なる着色部である。着色部は、全ての有彩色(例えば、青色、緑色、黄色、赤色)及び/又は白色以外の全ての無彩色(つまり黒色及び灰色の色調)から選択することができる。このフィルターは、例えば完全に着色してもよい。部分的に着色する場合には、残りの部分は完全に若しくは部分的に白色であり及び/又はさらに白色とは異なる少なくとも一つの着色部を備えている。この着色部は、フィルターの製造時に色付きのプラスチック粒子を用いることによって設けることができる。好ましくは、色が浸出しない若しくは浸出しにくい不活性プラスチックを使用する。さらには、生体分子サンプルを汚染しない顔料が好ましい。
【0032】
ある実施態様では、フィルターは貫通路の方向に直列に配置した少なくとも二つの層であって、異なる標識を有するか、若しくは一方が標識を有し、他方が標識を有していない少なくとも二つの層を含む。
【0033】
ある実施態様では、フィルターは貫通路の方向に直列に配置した異なる色の少なくとも二つの層を有する。この実施態様では、標識はフィルターの層の着色部である。
【0034】
フィルターの着色部は非常に容易に識別できるものである。これはフィルターをフィルターピペットチップ内の正しい位置に挿入するための製造工程中に利用することができる。このようなフィルターピペットチップを製造すると、フィルターの着色部は、例えば小管の開口を通して及び/又は少なくとも部分的に透明な設計となっている小管を通して、非常に容易に識別できる。この着色部は、射出成型中に小管の表面に輪郭部として取り付けた標識や、小管の表面に印刷した標識よりも、遥かに容易に識別できる。従って、着色部はフィルターピペットチップを識別するための優れた手段である。
【0035】
フィルターの特定の着色部は、特定の特性を有するフィルターピペットチップと関連付けることができ、それによってそのフィルターピペットチップが該当する特性を有しているかどうかを明確にすることができる。例えば、計量した異なる量を受け入れるように設計されているものであったり、そのフィルターが様々な液体と接触すると特定の態様で反応するものであったり、異なる材料からなるものであったり、若しくは純度のレベルが異なるものであるフィルターピペットチップに、明確な標識を設けることができる。また、フィルターを着色することにより、特定の製造元を表示することもできる。標識は、フィルターピペットチップの製造時、実験装置の取り扱い中、若しくは研究者が目視して識別する際の、機械的識別のために利用することができる。
【0036】
着色部は、全ての有彩色(例えば青色、緑色、黄色、赤色)及び/又は無彩色(黒色、白色、及び灰色の色調)から選択することができる。着色部は、フィルターの製造時に色付きのプラスチック粒子を用いることによって設けることができる。好ましくは色が浸出しない若しくは浸出しにくい不活性プラスチックを使用する。さらには、生体分子サンプルを汚染しない顔料が好ましい。
【0037】
別の実施態様において、小開口に近い側に配置されるフィルター層は白色である。白色とすることにより、そのフィルターピペットチップのフィルターが不活性であることを使用者に示すことができる。
【0038】
ある実施態様によれば、フィルターは少なくとも一つの蛍光添加剤を含む。この場合、標識は蛍光添加剤である。適当な照射(例えばUV照射)により励起させることにより、蛍光添加剤を蛍光発光させることができる。これにより、標識を付けたフィルター、及び/又はフィルターチップ、及び/又は添加剤をフィルター内で特定の配置としておけばその向きを、識別することができる。従って、フィルターが特定の特性を有する及び/又は特定の向きとなっているフィルターピペットチップを識別することができ、これはフィルターを小管内の正しい位置に挿入するのに役立つ。また、蛍光添加剤を検知することにより、フィルターピペットチップが真正品であることをチェックすることもできる。
【0039】
ある実施態様によれば、フィルターは異なる蛍光添加剤を含む少なくとも二つの層、及び/又は蛍光添加剤を含む少なくとも一つの層と蛍光添加剤を含まない少なくとも一つの層とを有する。フィルターは、異なる蛍光添加剤で繰返し標識することができる。さらに、蛍光添加剤をフィルターの一つ以上の層と関連付けることにより、フィルターの位置を識別することができる。
【0040】
ある実施態様では、小管はフィルターを取り囲む部分が透明であって、外からフィルターを目視することができる。好ましい実施態様では、小管は全体が透明である。
【0041】
請求項18によれば、フィルターピペットチップは、ピペットに取り付けるための比較的大きな開口を一端に有し、液体を通過させるための比較的小さな開口を他端に有し、この大開口と小開口との間に貫通路を有する小管と、貫通路中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備え、該フィルターは超吸収体を含有している。
【0042】
超吸収体は、液体と接触すると膨潤してフィルターを封止し、侵入してきた液体がフィルターを通過して、フィルターピペットチップに取り付けられている可能性のあるピペットへ侵入してピペットを汚染することがないようにする。超吸収体は、セルロース系(セルロースガム)液体バリア機能を有する従来のフィルターピペットチップのフィルターに添加されている添加剤よりも、膨潤挙動が優れている。超吸収体によって液体バリアを達成することができるが、フィルターは通気性を保ったままなので、吸引したサンプルを比較的容易に回収することができる。よってピペットは従来通りに液体を分注する際と同様に操作することができ、大開口にかかる余剰の圧力によってフィルターピペットチップから液体を排出することができる。
【0043】
超吸収体は、高レベルの膨潤によって大量の水を吸収することができ、液体サンプルには容易に溶解しない。このような能力はイオン基を有するポリマー特有のものである。最も広く利用されている超吸収体は、架橋ポリアクリル酸系のものである。超吸収体は一般に粉体として入手可能であり、通常白色である。粒径は、例えば数十μm〜数百μmの範囲である。本発明に使用するのに適した超吸収体は、デグサ社(Degussa AG)が「Creasorb Product Z 1069」という商品名で販売している。またBASF社も本発明に使用するのに適した別の超吸収体を「Luquasorb B 1110」という商品名で販売している。
【0044】
ある実施態様によれば、フィルターピペットチップは請求項1〜17の少なくとも一つの特徴を備えている。
【0045】
超吸収体は様々な方法で多孔質フィルターに組み込むことができる。例えば、フィルターを複数の層からなる設計とし、その層の間に超吸収体の層を配置することができる。好ましい実施態様によれば、超吸収体をフィルターの空洞内に層状に配置することができる。超吸収体はフィルターの空洞内に保持される。ここで必要があれば、超吸収体を侵入してくる液体と直接接触させ、空洞を多少閉塞して液体の通過を防止することもできる。
【0046】
ある実施態様によれば、フィルターは貫通孔の方向に直列に配置された少なくとも二つの層を含み、そのうちの一層が超吸収体を含有している。
【0047】
超吸収体を含まない層は別の目的に利用することができる。例えば、先に述べた態様で、フィルター効果を高めることができる。さらに、若しくは代わりに、超吸収体の浸出及び/又は凝集を防止し、液体サンプルの汚染を防ぐ。セルフシール型フィルターを備える従来のフィルターピペットチップでは、添加剤が浸出して凝集し、サンプルを汚染することがあるので、例えばPCRができない。従来のフィルターピペットチップでは、液体と接触させた場合に、この問題はさらに深刻となる。本発明のフィルターピペットチップでは、超吸収体が液体と共に運び去られるのを超吸収体を含まない層が防ぐので、サンプルがフィルターと僅かに接触しても回収することができる。さらに、従来のフィルターピペットチップと比較して、液体は添加剤と後になって接触するのみである。
【0048】
ある実施態様において、超吸収体を含む層は、超吸収体を含まない層よりも大開口により近い側に配置される。よって液体サンプルは超吸収体から離れた状態に維持され、及び/又は超吸収体を含まない層が液体サンプルが超吸収体と接触するのを防止する。
【0049】
ある実施態様では、超吸収体を含む層を、超吸収体を含まない層の間に配置する。この構成により、フィルター効果を高めることができ及び/又は超吸収体がフィルターの両端から流失するのを防ぐことができる。
【0050】
ある実施態様によれば、超吸収体を含まない層の孔径は、最大で約50μmである。この層は、超吸収体の粒径が最小約50μmである場合に、超吸収体の通過を防ぐことができる。さらに別の実施態様によれば、超吸収体を含まない層の孔径は最大で約30μmである。この層は、超吸収体の粒径が最小約30μmである場合に、超吸収体の通過を防ぐことができる。
【0051】
ある実施態様によれば、超吸収体を含有するフィルター若しくはフィルターの層における超吸収体の含有量は、約10〜30重量%である。この重量比とすることにより、超吸収体は液体に対して優れたバリア効果を発揮すると同時に、通気性を維持することも可能である。
【0052】
以下の実施態様は、先に述べた全てのフィルターピペットチップに当てはまる。
【0053】
ある実施態様では、フィルターの少なくとも一つの層に機能性を付与する。機能性を付与することによって、例えば特定の分子を該当層に付着させる性能を高めることができる。機能性は、例えばフィルター製造時に適当な粉状添加剤を添加することによって付与することができる。機能性付与手段としては、C18等の逆層材料、イオン交換体、活性炭等が挙げられる。
【0054】
さらに別の実施態様では、フィルターの別の層には別の機能性を付与する。
【0055】
ある実施態様では、フィルターの層は自由に上下に積層されている。
【0056】
ある実施態様によれば、フィルターの層は、ワンピースのフィルター体によって互いに取り付けられている。ワンピースのフィルター体は、フィルターピペットチップの製造時の取り扱いが有利である。さらに、バリア効果を低下させる層間の空隙を防止することができる。ワンピースのフィルター体は、バリア機能が高く、優れた一定の流れ挙動を示す。このようなフィルターは、例えばワンピースで作成されるか、或いは互いに結合し付着した層を有する。
【0057】
ある実施態様によれば、小開口とフィルターとの間の貫通路が、液体サンプルを受入れるための受け入れ容積を有し、フィルターと大開口との間の貫通路が、気柱を変位させるための通路である。ある実施態様では、この受け入れ容積は所定の公称寸法であり、使用者は、特定の計量作業のために適したフィルターピペットチップを選択することができる。
【0058】
小管は、例えば適切なプラスチック(ポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)等)から射出成型によって製造することができる。
【0059】
フィルターは、例えばプラスチック粒子を型に入れて圧縮して最初の層を作成し、次いでプラスチック粒子を型に入れて圧縮して二番目の層を作成し、これらの層を焼結した後、フィルター体を型から取り出すことにより作成することができる。一層のみのフィルター体は、その一層のための粒子を型に入れ、圧縮し、焼結し、フィルター体を型から取り出すことにより作成することができる。型に入れる前に、層のうちの一つを作成するための粒子又はフィルター体全体を作成するための粒子に、添加剤を任意に混合してもよい。単層フィルター用のプラスチック粒子若しくは多層フィルター用のプラスチック粒子は、例えばポリエチレン(PE)、特にUHMW-PE(超高分子ポリエチレン)製のものとすることができる。
【0060】
請求項30によれば、フィルターピペットチップシステムは、請求項1〜29のいずれか1項に係る少なくとも一つのフィルターピペットチップと、単層フィルターを有するフィルターピペットチップとを備え、フィルターの流れ抵抗は、異なるフィルターピペットチップ間でも実質的に一致している。このようなフィルターピペットチップシステムでは、単層フィルターのフィルターピペットチップを多層フィルターのフィルターピペットチップと交換しても、計量精度が損なわれることはない。単層フィルターのフィルターピペットチップ用に設計されたピペットでも、計量精度を損なうことなく、多層フィルターのフィルターピペットチップに交換することができる。さらに、単層及び多層フィルターピペットチップは、ピペッティング特性を維持したまま、どのような順番で使用することも可能である。
【0061】
請求項31によれば、フィルターピペットチップシステム、特に請求項30に係るフィルターピペットチップシステムは、請求項1〜29のいずれか1項に係る複数のフィルターピペットチップを備え、該複数のフィルターピペットチップは多様な特性を有し、フィルターピペットチップの特性の異なるフィルターは、異なる標識若しくは向きを有する。これに対応して、特性の異なるフィルターピペットチップは、フィルターの標識(例えば着色)を変えることによって、若しくは同じ標識(例えば着色)を付したフィルターを異なる向きとすることによって、区別することができる。
【0062】
ある実施態様では、この区別を補助するために、フィルターピペットチップの特性の異なるフィルターを、異なる寸法とする。
【0063】
請求項33によれば、フィルターピペットシステムは、上述の形式のフィルターピペットチップ及び/又はフィルターピペットチップシステムと、フィルターピペットチップの大開口を取り付けるための少なくとも一つの受け入れシャフト部、若しくはフィルターピペットチップの大開口側の端部を挿入するための少なくとも一つの受け部を有するピペットと、受け入れシャフト部若しくは受け部の貫通孔に取り付けた少なくとも一つの気体変位装置とを備える。
【0064】
請求項34によれば、本発明は、上記の形式のフィルターピペットチップ及び/又は上記の形式のフィルターピペットシステム及び/又は上記の形式のフィルターピペットシステムの、大開口における気体圧力を低下させることにより、小開口から小開口とフィルターとの間の貫通路へ少なくとも一つの液体サンプルを受入れるため、大開口における気体圧力を上昇させることにより、小開口からから液体サンプルを分注するため、及びエアロゾル及び/又は液体サンプルの侵入に対して、フィルターと大開口との間の貫通路をフィルターによって閉塞するための使用に関する。
【0065】
さらに別の実施態様によれば、本願は、大開口における気体圧力を上昇させることにより、フィルターに侵入した液体サンプルを回収することに関する。
【0066】
請求項36によれば、本発明は、フィルターに超音波を導入し、フィルターから発せられる超音波を測定することによって、二層間の境界の位置を検知することにより、フィルターピペットチップ用の多層フィルターの向きを検出するための方法に関する。超音波による検知により、気孔率、密度、若しくは他の物理的特性が互いに異なるフィルターの層間の境界の位置を区別することができる。層間の境界の位置により、フィルターの向きを検出することができる。これは、フィルターピペットチップの小管内の正しい位置にフィルターを挿入する際に利用することができる。
【0067】
適切な超音波試験法は、試験片に裂け等の欠陥がないかどうかを試験する非破壊検査用の資料から公知になっている。このような方法は、超音波は一定の均質な材料中では直線状に拡散するが、空気や他の材料との界面では反射されるという事実に基づいている。超音波発信法では、超音波ビームを試験片に導入し、反対側でその強度をサウンドレシーバによって測定する。反射法では、作業片の欠陥で反射された音響エネルギーを測定する。さらに、サウンドトランスミッタは同時に超音波パルスのレシーバとしても機能する。遅延時間から、試験片表面と欠陥との間の距離を推測することができる。本発明では、フィルターの二層間の境界を検出するのにこの試験方法が有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、フィルターピペットチップの長手方向断面図である。
【図2】図2は、同じフィルターピペットチップの側面図である。
【図3】図3は、同じフィルターピペットチップの頂面図である。
【図4】図4は、同じフィルターピペットチップを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明について、実施態様を示す添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0070】
フィルターピペットチップ1は、一端に比較的大きい開口3を有し、他端に比較的小さい開口4を有する小管2を備えている。全体的に、小管2は大開口3を有する端部から小開口4を有する端部に向けてテーパーしている。小管の開口3と開口4との間には、部分2’、2”、及び2”’があり、部分2’と部分2”とは肩部5によって分けられている。これらの部分の外表面は略同じ円錐度である。しかしながら部分2”’は、設計上、部分2’及び部分2”よりも円錐度が高い。
【0071】
大開口2と小開口3との間には貫通路6が延びている。
【0072】
部分2’には、ピペットの円錐形突出部に封止的に取り付けるための複数の内周突出部7が設けられている。取付け領域8において、貫通路6は比較的円錐形状である。円錐度の低い部分9がこれに隣接している。部分2”、2”’において、内面の円錐度は外面の円錐度にそれぞれ対応している。
【0073】
フィルター10は、貫通路6内へ、部分2’に隣接する部分2”へ圧入されている。フィルター10は貫通路6の一部を完全に満たしている。フィルター10はワンピース構造であり、二つの層11、12を備えている。大開口3に近い側に配置されている細孔層11の孔径は最大で約20μmであり、開口4に近い側に配置されている粗孔層12の孔径は約20〜50μmである。この孔径は、フィルター10を外科用メス等によって二つの層に分割した後、DIN 66 133に基づいて記載された方法に従って、水銀圧入法によって測定することができる。フィルター10の二つの層11、12は、焼結したUHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)からなる。
【0074】
層11と層12は異なる色となっている。好ましくは、細孔層11は有彩色、若しくは黒や灰色であり、粗孔層12は白色である。この着色は、フィルター10の製造時に、適当に着色した粒子を用いて決定する。
【0075】
層11は親水性であり、層12は疎水性である。この特性は、フィルター10を製造する際の粒子に添加する添加剤によって付与される。
【0076】
ピペッティングの際には、取り付け領域8を突出部上に配置して、フィルターピペットチップ1をピペットに取り付ける。液体を小開口4とフィルター10との間の貫通路6内へと吸引する際、エアロゾルがピペットに侵入するのをフィルター10によって防ぐことができる。そのため、粗孔層12によって体積濾過及び予備濾過を行う。細孔層11は極小さな液滴を捕捉する。
【0077】
フィルター10の着色及び/又は色の組み合わせは、コード化することができる。つまり特定のカラーコードを、特定の特性を有するフィルターピペット1と関連させることができる。ユーザーは、フィルター10の色によって、それがどのタイプのフィルターピペットチップ1なのかを容易に識別することができる。
【0078】
従って、他のフィルターピペットチップ1には他の様々な色の組み合わせのフィルター10を装備することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットに取り付けるための大きな開口(3)を一端に有し、液体を通過させるための小さな開口(4)を他端に有し、該大開口(3)と該小開口(4)との間に貫通路(6)を有する小管(2)と、該貫通路(6)中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルター(10)とを備えるフィルターピペットチップであって、該フィルターが、貫通路方向に直列に配置した少なくとも二つの層(11、12)を有し、該層のうち細孔層(11)の孔径が最大で20μmであり、粗孔層(12)の孔径が20〜50μmであり、この二つの層(11、12)の孔径が異なり、前記細孔層(11)が第一の圧縮されたプラスチック粒子を含み、前記粗孔層(12)が第二の圧縮されたプラスチック粒子を含み、フィルターの該細孔層(11)と該粗孔層(12)とが焼結され、ワンピース構造のフィルター本体を形成している、フィルターピペットチップ。
【請求項2】
細孔層(11)の孔径が最大で10μmであり及び/又は粗孔層(12)の孔径が20〜40μmである、請求項1に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項3】
細孔層(11)が粗孔層(12)よりも大開口(3)により近い側に配置されている、請求項1又は2に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項4】
貫通路(6)方向における細孔層(11)の範囲が、粗孔層(12)の範囲よりも短い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項5】
ピペットに取り付けるための大きな開口(3)を一端に有し、液体を通過させるための小さな開口(4)を他端に有し、該大開口(3)と該小開口(4)との間に貫通路(6)を有する小管(2)と、貫通路(6)中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備え、該フィルターが、貫通路(6)方向に直列に配置した少なくとも二つの層(11、12)を有し、該層は異なる親水性若しくは異なる疎水性を有し、又は一方の層(11)が親水性で他方の層(12)が疎水性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項6】
親水性層(11)が疎水性層(12)よりも大開口(3)により近い側に配置されている、請求項5に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項7】
貫通路(6)方向における親水性層の範囲が、疎水性層の範囲よりも短い、請求項5又は6に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項8】
前記多孔質フィルター(10)の前記少なくとも二つの層(11、12)が異なる着色である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項9】
ピペットに取り付けるための大きな開口(3)を一端に有し、液体を通過させるための小さな開口(4)を他端に有し、該大開口(3)と該小開口(4)との間に貫通路(6)を有する小管(2)と、貫通路(6)中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルター(10)とを備え、該フィルターが少なくとも一つの標識を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項10】
フィルター(10)が、白色とは異なる少なくとも一つの部分的着色部を有する、請求項9に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項11】
前記部分的着色部が、白色以外の無彩色及び有彩色から選択される、請求項10に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項12】
フィルター(10)が、貫通路(6)の方向に直列に配置した少なくとも二つの層(11、12)を有し、該層は異なる標識を有し、又は一方が標識を有し且つ他方が標識を有していない、請求項9〜11のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項13】
層(11、12)の着色が、無彩色及び/又は有彩色から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項14】
小開口(4)に面している層(12)が白色である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項15】
フィルター(10)が少なくとも一つの蛍光添加剤を含む、請求項9〜14のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項16】
フィルター(10)が、異なる蛍光添加剤を含む少なくとも二つの層、及び/又は蛍光添加剤を含む少なくとも一つの層と蛍光添加剤を含まない少なくとも一つの層とを有する、請求項9〜15のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項17】
小管(2)の、少なくともフィルター(10)を取り囲む部分が透明である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項18】
ピペットに取り付けるための大きな開口(3)を一端に有し、液体を通過させるための小さな開口(4)を他端に有し、該大開口(3)と該小開口(4)との間に貫通路(6)を有する小管(2)と、貫通路(6)中に配置され、貫通路の一部を満たす多孔質フィルターとを備え、該フィルターは超吸収体を含有している、請求項1〜17のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項19】
超吸収体がフィルターの空洞内に層状に配置されている、請求項18に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項20】
フィルターが、貫通路(6)の方向に直列に配置した少なくとも二つの層(11、12)を有し、一方の層(12)が超吸収体を含有している、請求項18又は19に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項21】
超吸収体を含む層(11)が、超吸収体を含まない層(12)よりも大開口(3)により近い側に配置されている、請求項20に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項22】
超吸収体を含まない層の孔径が最大で約50μmである、請求項20又は21に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項23】
超吸収体を含むフィルター若しくはフィルターの層における超吸収体の含有量が、約10〜30重量%である,請求項18〜22のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項24】
フィルター(10)の少なくとも一つの層(11、12)に、フィルター製造時に粉状添加剤を添加することにより機能性が付与されている、請求項1〜23のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項25】
フィルター(10)の異なる層(11、12)に異なる機能性が付与されている、請求項24に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項26】
フィルターの層が自由に上下に積層されている、請求項1〜25のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項27】
フィルター(10)の層(11、12)が、ワンピースのフィルター体に互いに取り付けられている、請求項1〜26のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項28】
フィルター(10)が、貫通路(6)内に圧入されている、及び/又は貫通路(6)内の少なくとも一つの突出部に支承されている、請求項1〜27のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項29】
小開口(4)とフィルター(10)との間の貫通路(6)が、液体サンプルを受入れるための受け入れ容積を有し、フィルター(10)と大開口(3)との間の貫通路(6)が気柱を変位させるための通路である、請求項1〜28のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも一つのフィルターピペットチップ(1)と、単層フィルター(10)を有するフィルターピペットチップとを備え、フィルター(10)の流れ抵抗が異なるフィルターピペットチップ(1)間で実質的に一致している、フィルターピペットチップシステム。
【請求項31】
請求項1〜29のいずれか1項に記載の異なる特性を有する複数のフィルターピペットチップ(1)を備え、フィルターピペットチップ(1)のフィルター(10)が異なる特性、異なる標識又は向きを有する、請求項30に記載のフィルターピペットチップシステム。
【請求項32】
フィルターピペットチップ(1)の異なる特性を有するフィルター(10)が異なる寸法である、請求項31に記載のフィルターピペットチップシステム。
【請求項33】
請求項1〜29のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ及び/又は請求項30〜32のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップシステムと、フィルターピペットチップ(1)の大開口(3)を取り付けるための少なくとも一つの受け入れシャフト部、若しくはフィルターピペットチップ(1)の大開口(3)側の端部を挿入するための少なくとも一つの受け部を有するピペットと、受け入れシャフト部若しくは受け部の貫通孔に取り付ける少なくとも一つの気体変位装置とを備え、該気体変位装置が、ピストン−シリンダーユニットとして構成されている、フィルターピペットシステム。
【請求項34】
請求項1〜29のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ及び/又は請求項30〜32のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップシステム及び/又は請求項33に記載のフィルターピペットシステムの、大開口(3)における気体圧力を低下させることにより、小開口(4)から小開口(4)とフィルター(10)との間の貫通路(6)へ少なくとも一つの液体サンプルを受入れるため、大開口(3)における気体圧力を上昇させることにより、小開口(4)から液体サンプルを分注するため、及びエアロゾル及び/又は液体サンプルの侵入に対して、フィルター(10)と大開口(3)との間の貫通路(6)をフィルター(10)によって閉塞するための使用。
【請求項35】
大開口(3)における気体圧力を上昇させることにより、フィルター(10)に侵入した液体サンプルを回収するための、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
フィルターに超音波を導入し、フィルターから発せられる超音波を測定することによって、二層間の境界の位置を検知することにより、請求項4〜29のいずれか1項に記載のフィルターピペットチップ用の多層フィルターの向きを検出するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−71306(P2012−71306A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252693(P2011−252693)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【分割の表示】特願2006−25957(P2006−25957)の分割
【原出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505404725)エッペンドルフ アーゲー (16)
【Fターム(参考)】