説明

フィルター付きフライヤー

【課題】油槽内の調理油と揚げ滓とを定期交換不要のフィルターにより自動かつ連続して分離濾過し、濾過された調理油を循環させることで調理油の劣化を抑制するフライヤーを提供する。
【解決手段】油槽13と油槽13内で調理油と揚げ滓とを分離濾過するフィルター43とフィルター43に付着した揚げ滓を除去するスクレーパ62及び洗浄吐出部81と濾過された調理油を循環させる輸送ポンプ107を備えたフィルター付きフライヤーにおいて、フィルター43は微小間隔をおいて配列された複数の線状部材が筒状に形成されフィルター43の中心軸と平行にある回転軸を中心として回転し、輸送ポンプ107に接続された油槽吸引管104の一方の端部はフィルター43の内側又はフィルター43の軸方向の少なくとも一方の端部に配設され、輸送ポンプ107の吸引によりフィルター43の外周からフィルター43を通過して濾過された調理油を吸引することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、主に業務用として食材を天ぷらやフライ等の揚げ物に調理するフライヤーに関するものであり、特に、調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離し、調理油を濾過するフィルターを備えたフライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
揚げ物調理とは、高温にした多量の油を熱媒体として食材を加熱する調理法である。加熱時間が短いながら食材の周囲から均一に熱が入る調理法で、食品の表面に油の風味やからりとしたテクスチャー、揚げ色を与える一方、調理油は加熱された時点から、熱や酸素、食材の成分等の影響により劣化が始まる。よって、揚げ物調理には、適切な装置や道具の採用並びに揚げ物調理の適切な管理が重要である。
【0003】
調理油の劣化を抑制するには、加熱温度や加熱時間、調理油と調理中に生じる揚げ滓との分離操作、揚げ滓の調理油からの除去操作、調理油の空気との接触等の管理が必要であるが、本願発明者は、その中で調理油と調理中に生じる揚げ滓との分離操作、つまり調理油の濾過操作に着目した。
【0004】
揚げ滓は揚げ物調理中に食材の衣がはがれる等で生じる。調理油中に揚げ滓を放置しておくと、揚げ滓は炭化し、炭化した揚げ滓は調理油の劣化を促進する。また、揚げ滓が調理油中に滞留すると、揚げ物に揚げ滓が付着し調理品質の低下につながる恐れがある。よって、揚げ物調理において、調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離するための調理油の濾過操作は必須である。
【0005】
揚げ物調理装置としては、従来より業務用厨房において揚げ物を調理するフライヤーが知られており、フライヤー及びフライヤーに備えられる調理油の濾過装置に関する種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−360450号公報
【特許文献2】特開2001−95694号公報
【特許文献3】特許第2754078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
調理油の濾過装置においては、例えば、特許文献1では、油槽内に、比較的大きな揚げ滓を取り除くための濾紙と、電場雰囲気下において微細な揚げ滓を吸着・分解するため、内壁面に光触媒粒子と吸着材との混合体被膜を形成した濾体とを備えた濾過部を設けている。また、特許文献2では、油槽外に、粗い揚げ滓を取り除くメッシュと細かい炭化物を取り除くための濾紙等とを備えた濾過装置を設けている。
【0008】
特許文献1及び特許文献2のように、濾紙を用いて揚げ滓を除去する場合、濾紙は使い捨てであるため濾紙の定期的な交換が必要であり、また、使用後の濾紙は産業廃棄物として処理しなければならず、ランニングコストが高いという問題があった。上記問題は濾紙のほかに濾布等の交換が必要な濾過材を用いても同様であり、また、吸着剤を用いた場合には、吸着した揚げ滓を定期的に吸着剤から除去する操作が必要である。さらに、揚げ滓の大きさにより、複数の濾過材を用意する必要がある。
【0009】
また、特許文献2のように、油槽外に濾過装置を設けた場合、上記濾過装置に搬送される調理油の量は少ないために油槽中に満たされた調理油の一部しか濾過することができず、また、比較的大きな油槽を備えたフライヤーにおいては、調理油が油槽と油槽外の濾過装置とを循環する際に発生する調理油の流れは限定的であるため、常時油槽内に揚げ滓が少なからず残り、調理油の劣化を早めるという問題があった。
【0010】
さらに、特許文献3においては、調理油の濾過装置としてウエッジワイヤーを用いたウエッジワイヤースクリーンとウエッジワイヤースクリーン上のケーキを掻き取る鋸歯を有するスクレーパを備えたスクレーパ装置とからなる油循環形のスクリーン装置が提案されている。上記装置を用いることにより、濾紙のような定期的な交換が不要なため格別なランニングコストがかからないが、ウエッジワイヤースクリーンに付着、もしくは目詰まりした揚げ滓を鋸歯を有するスクレーパにより掻き取る際に、少なからず揚げ滓が油槽底部に落下し濾過された調理油に揚げ滓が混じるという問題があった。
【0011】
本願発明はこのことに鑑み、揚げ物調理中の調理油を定期交換不要なフィルターを用いて自動かつ連続して濾過し調理油と揚げ滓とを確実に分離するとともに、フィルターで濾過された調理油を常時循環させることにより、調理油の鮮度を保つとともに調理油の劣化を抑制するフライヤーを提供することを課題とする。また、揚げ物調理中に自動かつ連続してフィルターの清掃を行うことにより、上記フィルターの長期連続使用を可能とし、清掃やメンテナンス作業の省力化が可能なフライヤーを提供することを課題とする。より望ましくは、分離した揚げ滓を自動かつ連続して油槽内から除去し、食材の調理品質を維持するフライヤーの提供を図らんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、調理油を満たし食材を揚げる油槽と、前記油槽内で調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離するフィルターを備えた濾過部と、上記フィルターで濾過された調理油を循環させる輸送ポンプとを備えたフィルター付きフライヤーにおいて、上記濾過部には、少なくとも上記フィルターと、上記フィルターに付着した揚げ滓を掻き落とすスクレーパと、上記フィルターに付着した揚げ滓を除去する洗浄吐出部とを備え、上記油槽及び上記油槽の周辺部には、上記輸送ポンプと接続され、上記油槽から調理油を吸引する油槽吸引管を備え、上記フィルターは、複数の線状部材が微小間隔をおいて配列され、筒状に形成されたものであり、上記フィルターは、上記フィルターの中心軸と平行にある回転軸を中心として回転するものであり、調理油は、上記輸送ポンプの吸引により上記フィルターの外周から上記フィルターを通過して濾過されたものであり、上記輸送吸引管の一方の端部は、上記フィルターの内側又は上記フィルターの軸方向の少なくとも一方の端部に配設され、上記フィルターで濾過された調理油を吸引することを特徴とするフィルター付きフライヤーを提供する。
【0013】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記線状部材は、上記フィルターの外周面を構成する外表面を備え、上記線状部材の幅は、上記外表面から上記フィルターの径内方向に向かうに従って漸次減少するものであり、上記複数の線状部材の配列により形成される上記微小間隔が、上記フィルターの外周面から径内方向に向かうに従って大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルター付きフライヤーを提供する。
【0014】
また、本願の請求項3に記載の発明は、上記スクレーパは、上記線状部材の外表面と当接し、上記フィルターの外周面に付着した揚げ滓を掻き落とすものであり、上記フィルターの外周かつ周方向の一部に軸方向に沿って配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター付きフライヤーを提供する。
【0015】
また、本願の請求項4に記載の発明は、上記洗浄吐出部には導入板を備え、上記導入板は、上記フィルターの内側かつ周方向の一部に軸方向に沿って配設され、上記フィルターの半径方向に対して周方向に傾斜して設けられたものであり、上記導入板が上記フィルターの内側から外側へ調理油を導くことにより、上記フィルターの周面に形成された上記微小間隔に付着した揚げ滓を除去することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフィルター付きフライヤーを提供する。
【0016】
また、本願の請求項5に記載の発明は、上記洗浄吐出部は、洗浄管と洗浄ポンプとを備え、上記洗浄管の少なくとも一方の端部には吐出部を備え、上記吐出部は、上記フィルターの内側かつ周方向の一部に軸方向に沿って全幅に渡って配設され、上記洗浄ポンプにより調理油を吐出するものであり、上記吐出部は、上記フィルターの上下方向において下半分に配設されたものであり、上記油槽吸引管及び上記吐出部は、調理油を吸引しながら吐出することができるものであり、上記吐出部が上記フィルターの内側から外側へ調理油を吐出することにより、上記フィルターの周面に形成された上記微小間隔に付着した揚げ滓を除去することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフィルター付きフライヤーを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本願の請求項1又は2の発明では、フライヤーの油槽内に、複数の線状部材を微小間隔をおいて配列し筒状に形成したフィルターを回転可能に配設するとともに、輸送ポンプを用いてフィルターの内側もしくは軸方向の少なくとも一方の端部に設けられた油槽吸引管から調理油を吸引することにより、調理中の調理油を自動かつ連続してフィルターで濾過し油槽内で調理油と調理中に生じる揚げ滓とを確実に分離するとともに、調理中の調理油がフィルターの外周からフィルターを通過して濾過され、上記フィルターで濾過された調理油を常時循環させることで、調理油の鮮度を保つとともに調理油の劣化を抑制することができるフィルター付きフライヤーを提供することができたものである。また、上記フィルターを用いて調理油と揚げ滓とを分離することにより、フィルターの定期交換が不要であるためランニングコストが抑えられたほか、上記フィルターを構成する上記線状部材の特徴により、フィルター自体の目詰まりが少なく調理油と揚げ滓とを効果的に分離し調理油のみを濾過することができたものである。
本願の請求項3〜5の何れかの発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、上記フィルターの外周及び上記フィルターの内側にスクレーパ及び洗浄吐出部を設け、上記フィルターの外周面を構成する上記線状部材の外表面に付着した揚げ滓を掻き落とすとともに、上記フィルターの周面に形成された微小間隔に付着した揚げ滓を上記フィルターの内側から外側へ調理油を導くことで除去することにより、フィルターの目詰まりを防止しフィルターの濾過性能を維持することができたため、フィルターの長期連続使用を可能とし、清掃やメンテナンス作業の省力化が可能なフィルター付きフライヤーを提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明に係るフライヤー全体の略縦断面を示す説明図である。
【図2】図1の濾過部と交差する位置の略縦断面を示す説明図である。
【図3】循環部を示す説明図である。
【図4】フィルターの構造を示す説明図である。
【図5】(A)は図1の濾過部を平面視し、かつ拡大した状態を示す説明図であり、(B)は図1の濾過部を拡大した状態を示す説明図であり、(C)はスクレーパ部の他の実施の形態を示す説明図である。
【図6】他の実施の形態におけるフライヤー全体の略縦断面を示す説明図である。
【図7】図6の濾過部と交差する位置の略縦断面を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態における循環部を示す説明図である。
【図9】(A)は図6の濾過部を拡大した状態を示す説明図であり、(B)はスクレーパ部のさらに他の実施の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態の一例を取り上げて説明する。なお、本願の請求項及び明細書の記載における上下左右表裏の表現は、相対的な位置関係を示すにとどまり、絶対的な位置関係を特定するものではない。また、説明の便宜上、図面の各図において、Tは上方を、Bは下方を、Uは油槽内を流れる調理油の流れの上流側を、Lは同じく下流側をそれぞれ示す。
【0020】
本願発明に係るフライヤー1は、図1〜3に示すように、本体部11と循環部101とから構成される。
【0021】
本体部11は、調理油を満たし食材を揚げる油槽13を備えた調理部12と、前記油槽13で調理中の調理油を濾過し調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離するフィルター43を備えた濾過部41とから構成される。
【0022】
調理部12には、油槽13を備える。本実施形態においては、前記油槽13は上面を開口した平面視略矩形の容器形状に形成されている。上記油槽13に満たされた調理油は、上記油槽13と後述する循環部101とを循環しており、上記油槽の底部17及び後述する上記油槽13に設けられた濾過配設部の側部24と循環部101とが接続され、図1に示すように、上記油槽13の図面左側から図面右側に調理油の流れが発生する。上記油槽13の長手方向において、上記油槽13の前部14(図示左側)を上流端、後部15(図示右側)を下流端とする。また、図1に示すように、上記油槽13の長手方向の一方の端部には濾過配設部21を設け、前記濾過配設部21には後述する濾過部41の一部が備えられる。上記濾過配設部21は、上記濾過配設部の前部22と後部23がそれぞれ上方から下方に向かうに従って内側に傾斜し、断面が上記濾過配設部21の上方から下方に向け下すぼまりの形状となっている。また、上記濾過配設部の底部25は上記油槽の底部17よりも深く、底部25の形状は円弧状となっており、本実施形態においては、上記濾過配設部の両側部24,24及び後部23は油槽の両側部16,16及び後部15からそれぞれ下方に延設されている。さらに、上記油槽13の長手方向のもう一方の端部には、断面が矩形でその両端が上記油槽の両側部16,16に取り付けられ、上記油槽13の端部方向に向かうに従って上向きに傾斜した傾斜板18が設けられている。本実施形態においては、上記油槽13の上流側に傾斜板18を、下流側に濾過配設部21を設けている。その他、上記油槽の両側部16,16の上端には、上記油槽の両側部16,16の長辺方向に沿って上記油槽の両側部16,16に対して外側に垂直に突出したフランジ部19,19が設けられ、また、上記油槽の底部17には劣化した調理油を上記油槽13から排出するための排出口(図示省略)が設けられている。
【0023】
上記油槽13の素材は特に限定されるものではないが、さびにくく手入れがしやすいステンレスを用いることが好ましい。調理油は、調理油自体や食材122、油槽13に含まれる金属によっても劣化が促進されるため、上記の点においてもさびにくい素材を用いることが好ましい。また、油槽13の形状や大きさは、本願発明の目的を逸脱しない範囲において、自由に設定することができる。
【0024】
また、調理部12には、図1に示すように、食材122を一定時間調理油に浸漬させながら搬送する搬送コンベヤ31と、上記調理中の食材122の浮き上がりを押さえる押えコンベヤ32とを備える。上記搬送コンベヤ31は、油槽の底部17と上記油槽13に満たされた調理油の油面121との間に、上記油槽13の長手方向に沿って配設され、上記押えコンベヤ32は調理油の油面121近くに、上記搬送コンベヤ31に沿って上下方向に所定間隔をおいて配設されている。上記搬送コンベヤ31は、上記油槽13内に複数台配設して食材122を搬送してもよい。また、上記油槽13の長手方向の一方の端部と上記押えコンベヤ32の間に隙間を設け、食材122を投入する投入部33を設けている。さらに、上記搬送コンベヤ31及び上記押えコンベヤ32は上記傾斜板18と平行して配設されており、上記搬送コンベヤ31及び上記押えコンベヤ32は上記傾斜板18に沿って上向きに傾斜して備えられており、上記傾斜板18の上方に備えられた上記搬送コンベヤ31の端部と上記押えコンベヤ32の端部との間に、調理した食材122を取り出す取出部34を設けている。本実施形態では、上記油槽の後部15側(下流側)に投入部33を、前部14側(上流側)に取出部34を設け、食材122を油槽の後部15側から前部14側へ搬送して揚げ物調理をする。なお、食材122の搬送方向を油槽の前部14側(上流側)から後部15側(下流側)へ設定してもよい。
【0025】
濾過部41は、調理中の調理油を濾過し調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離するフィルター43を設けたフィルター部42と、上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を掻き落とすスクレーパ62を設けたスクレーパ部61と、上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を除去する洗浄吐出部81と、上記油槽13内で揚げ滓を回収し搬送する揚げ滓搬送部91と、揚げ滓を油槽13の外へ排出する揚げ滓排出部97とから構成される。
【0026】
フィルター部42には、フィルター43を備える。本実施形態においては、線状部材44として断面が楔形のステンレス製ウエッジワイヤーで形成されたフィルター43を用いる。図4に示すように、前記フィルター43は、前記複数の線状部材44を微小間隔をおいて配列し、上記複数の線状部材44の配列を複数本のサポートロッド45により支持し円筒状に形成したもので、軸方向の両端部にはリング46を装着している。より詳しくは、上記複数の線状部材44の配列において、上記フィルター43の内周面を構成する上記線状部材44の内表面を複数本のサポートロッド45が交差するように支持している。上記フィルター43を用いて調理油と揚げ滓とを分離することにより、濾紙や濾布等の濾過材を用いて揚げ滓を分離する場合に比べ、フィルターの定期交換が不要であるためランニングコストを抑えることができる。また、ウエッジワイヤーを用いて上記フィルター43を形成することにより、上記線状部材44の幅が、上記フィルター43の外周面を構成する上記線状部材44の外表面から上記フィルター43の径内方向に向かうに従って漸次減少する。よって、上記複数の線状部材44の配列により形成される上記微小間隔が、上記フィルターの外周面から径内方向に向かうに従って大きくなるため、上記フィルター43の外周面の開口幅は狭く、内周面の開口幅が広くなり、フィルター43自体の目詰まりが少なく、調理油と揚げ滓とを効果的に分離し調理油のみを濾過することができる。上記フィルター43の外周面の開口幅、つまり、上記複数の線状部材44の配列により上記フィルター43の外周面に形成される微小間隔をSとすると、Sは揚げ滓よりも小さくなるように設定すれば特に制限はなく、調理油の流れと濾過の完全性のバランスから、望ましくは5〜200μmに設定する。本実施形態においては、スリットを略100μmに設定した。また、上記フィルター43は、後述するように油槽13に満たされた調理油に浸漬されて使用されるものであり、本実施形態のような金属製フィルターのほかに、耐熱性、耐油性及び耐久性を備えた素材、例えば不織布や樹脂製等のフィルターを用いることができる。また、上記フィルター43の構造としては、例えば、スパイラル構造等、フィルターの自体目詰まりがしにくく、フィルターの目詰まりやフィルターに付着した揚げ滓を容易に除去でき、かつフィルターの定期交換が不要なものが望ましい。また、軸方向の両端部に嵌合しているリング46の径を大きく設け、フランジのように作用をさせてもよい。
【0027】
また、フィルター部42には、図2及び図5(A)に示すように、上記フィルター43を回転するための動力源であるフィルタモータ47と動力伝達手段とを備えている。本実施形態においては、磁石による非接触式動力伝達手段を用いており、動力伝達手段として駆動用磁石48と、軸受49と、回転用磁石50とを備えている。上記軸受49は上記フィルター43の両端に装着され、さらに上記軸受49が装着された上記フィルター43の一方の端部に回転用磁石50が装着されている。また、上記フィルタモータ47の回転子には駆動用磁石48が装着されている。
【0028】
フィルター43は、図2及び図3に示すように、上記油槽13の長手方向に対して幅方向に全幅に渡って配設される。本実施形態においては、上述したように、上記油槽13の下流側の端部に設けられた濾過配設部21に配設される。より詳しくは、図5(A)に示すように、濾過配設部21の一方の側部24(図示下側)の外側に、回転子に駆動用磁石48が装着されたフィルタモータ47を備え、上記側部24の内側に、軸受49及び回転用磁石50が装着された上記フィルター43を備え、上記駆動用磁石48と上記回転用磁石50とが上記側部24を介して対向して配設される。そして、図2に示すように、回転用磁石50が装着されず軸受49のみが装着された上記フィルター43の端部は、上記濾過配設部21の他方の側部24と近接している。また、上下方向においては、上記濾過配設部21の上方、かつ上記搬送コンベヤ31の下面の下方とし、上記濾過配設部の円弧上の底部25の中心軸と、上記フィルター43の中心軸とが略平行になるよう配設される。上記フィルター43を上記油槽13の幅方向に全幅に渡って配設することにより、調理中の調理油を上記フィルター43全体で受けとめ、調理油を上記フィルター43で濾過することにより調理油と調理中に発生する揚げ滓を効果的に分離することができる。また、本実施形態においては、上記フィルター43を油槽13の下流側の端部に配設しているが上流側の端部や上流端と下流端の間のいずれに配設してもよく、本実施形態のように上記フィルター43を下流側に配設することにより、上記油槽13に満たされた調理油が揚げ滓とともに上記油槽13の上流側から下流側に流れてくるため、最も効果的に調理油と揚げ滓とを分離することができる。さらに、磁石による非接触式動力伝達手段を用いたことにより、上記フィルター43を上記油槽13に着脱可能に配設することができたため、フィルターの清掃やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0029】
上記フィルター43は、フィルタモータ47の駆動力と動力伝達手段とにより、上記フィルター43の中心軸と平行にある回転軸を中心として回転する。本実施形態においては、上記フィルター43は、上記フィルター43の中心軸と同一である、上記フィルター43の回転軸を中心として、図1の例では、反時計回りに回転する。上記フィルター43を回転させることにより、調理油と上記フィルター43との接触面積が大きくなるため効率よく調理油を濾過でき、分離した揚げ滓を後述する揚げ滓搬送部91へ効果的に落下させることができる。また、動力伝達手段としては、水密性及び油密性を確保することができればどのような形式のものでもよく、本実施形態に示す磁石を用いるほかに、チェーン等を用いて駆動力を伝達してもよい。上記フィルター43の回転速度は速度制御装置(図示省略)により独立して制御され、上記速度制御装置により上記フィルター43の回転速度を適宜変更することができる。
【0030】
スクレーパ部61には、図5(B)に示すように、上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を掻き落とすスクレーパ62と、前記スクレーパ62を支持する支持棒67とウエイト68とを備えている。
【0031】
スクレーパ62は、図5(B)に示すように、略断面が「√」の形状を有しており、上記フィルター43の外周かつ周方向の一部に軸方向に沿って配設され、てこの原理を用いて上記スクレーパ62を上記フィルター43の外周面に上記フィルター43の軸方向に沿って当接させる。より詳しくは、てこの腕となるスクレーパ側面部64と、力点となる上記スクレーパ側面部64の上方の端部であるスクレーパ上面部63と、作用点となる上記スクレーパ側面部64の下方の端部であるスクレーパ下面部65とから構成され、上記スクレーパ側面部64の裏面側には、後述する支持棒67を懸架することができるスクレーパ支持部66を備えている。また、上記スクレーパ下面部65は、上記スクレーパ側面部64の表面側から突出するように設けられており、上記スクレーパ側面部64に対して垂直方向を基準として、基端側から先端側へ向かうにつれ上方に傾斜している。上記スクレーパ上面部63の裏面側にウエイト68を取り付け、上記支持棒67を支点として、上記スクレーパ下面部65の先端面を上記フィルター43の外周面に軸方向に沿って当接させる。上記スクレーパ62は、油槽13に満たされた調理油に浸漬されて使用されるものであり、耐油性や耐熱性、耐久性を備えた素材であれば特に制限はなく、金属や樹脂等の種々の素材を用いることができる。また、上記スクレーパ62は上方に引き抜くことができ、清掃やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0032】
支持棒67は、上記スクレーパ62を支持するもので、本実施形態においては、金属製の円柱状である。上記支持棒67の両端は、上記濾過配設部の両側部24,24に取り付けられている。上記支持棒67に上記スクレーパ支持部66を懸架することで、上記支持棒67は上記スクレーパ62を支持するとともに、上述したように上記スクレーパ62が可動する際の支点となる。上記支持棒67は、耐油性や耐熱性、耐久性を備えた素材であれば特に制限はなく、また、上記支持棒67の形状は、上記スクレーパ支持部66を懸架できれば特に制限はない。
【0033】
上述したように、上記スクレーパ上面部63の裏面側にウエイト68を取り付け、上記スクレーパ支持部66が上記支持棒67に懸架されると、てこの原理により上記フィルター43の外周面と上記スクレーパ下面部65の先端面とが上記フィルター43の軸方向に沿って当接し、上記フィルター43が回転することで、上記スクレーパ62が上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を連続して掻き落とすことができる。上記スクレーパ下面部65の先端面の上記フィルター43の外周面との当接角度は、上記フィルター43の外周面と上記スクレーパ下面部65の先端面とが上記フィルター43の軸方向に沿って当接しさえすれば特に制限はなく、適宜設定することができる。また、上記ウエイト68の重さや形状は、上記フィルター43の外周面と上記スクレーパ下面部65の先端面とが上記フィルター43の軸方向に沿って当接しさえすれば、特に制限はない。さらに、図5(A)に示すように、スクレーパ部61には複数個のスクレーパ62を備える。複数個のスクレーパ62,62,62・・・のスクレーパ下面部65,65,65・・・の先端面をフィルター43の外周面に当接させることで、円筒状のフィルター43がひずんでも個々のスクレーパ下面部65,65,65・・・の先端面はフィルター43の外周面に従いやすい。また、ウエイト68を使用してスクレーパ下面部65の先端面をフィルター43の外周面に当接させるほかに、例えば、図5(C)に示すように、矩形板状体のスクレーパ板69とバネ70とを用意し、上記バネ70の一方の端部を濾過配設部の後部23に取り付け、他方の端部をスクレーパ板69の一方の端部に取り付け、スクレーパ板69のもう一方の端部と上記フィルター43の外周面とを上記バネ70により当接させるようにしてもよい。
【0034】
洗浄吐出部81には、図1及び図3に示すように、洗浄管82と洗浄ポンプ87とを備え、上記洗浄ポンプ87は油槽の底部17よりも下方に設けられている。また、洗浄管82は、吸引洗浄管83と吐出洗浄管85とから構成される。上記吸引洗浄管83の一方の端部には吸引部84を備え、上記吸引部84は上記フィルター43の一方の端部、つまり上記フィルタモータ47と接続していない端部に配設されており、上記吸引洗浄管83の他方の端部は上記洗浄ポンプ87と接続される。また、上記吐出洗浄管85の一方の端部には吐出部86を備え、上記吐出部86は上記フィルター43の内側に配設され、上記吐出洗浄管85の他方の端部は上記洗浄ポンプ87と接続される。より詳しくは、上記吐出部86は上記フィルター43の内側に配設され、上記フィルター43の上下方向において上記フィルター43の中心軸を通る仮想の水平面よりも下半分に、かつ周方向の一部に軸方向に沿って全幅に渡って配設される。上記フィルター43で濾過された調理油は上記洗浄ポンプ87により上記吸引部84から吸引され、上記フィルター43の内側に配設された上記吐出部86から吐出される。また、上記吐出部86は上記スクレーパ部61の近くに配設されており、望ましくは上記スクレーパ下面部65よりも油槽13の長手方向において上流側に配設される。
【0035】
また、後述する油槽吸引管104への油槽13からの調理油の吸引と上記吐出部86からの調理油の吐出は同時に行えるものとし、上記吐出部86からの調理油の吐出は、常時吐出してもよいし断続的に吐出してもよい。本実施形態においては、上記吐出部86からの調理油を常時吐出した。また、上記吐出部86から調理油を上記フィルター43の内側から外側へ、つまり上記フィルター43の径外方向へ吐出させるために、上記油槽吸引管104への上記油槽13からの調理油の吸引圧と上記吐出部86からの調理油の吐出圧は、吸引圧<吐出圧とする。また、上記吐出部86からの調理油の吐出角度は、調理油を上記吐出部86から上記フィルター43の内側から外側へ吐出させることができれば特に制限はなく、適宜設定することができる。上記吐出部86から調理油を上記フィルター43の内側から外側へ吐出させることにより、上記フィルター43の周面に形成された微小間隔に付着した揚げ滓を除去し目詰まりを洗浄することができる。また、上記フィルター43は回転していることから、効率よく揚げ滓を除去し目詰まりを洗浄することができる。よって、上記フィルター43の濾過性能を維持することができる。また、上述した上記スクレーパ下面部65の先端面を上記フィルター43の外周面に軸方向に沿って当接するよう設け、また、上記吐出部86が上記スクレーパ部61の近く、望ましくは上記スクレーパ下面部65よりも上記油槽13の長手方向において上流側に配設されることで、上記スクレーパ下面部65の裏面側が上記フィルター43から吹き飛ばされた揚げ滓をブロックし、上記フィルター43の外周面に再付着することを防ぐ効果も期待できる。上記スクレーパ62による上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓の掻き落とし及び上記洗浄吐出部81による上記フィルター43の周面に形成された微小間隔に付着した揚げ滓の除去により、上記フィルター43の長期連続使用を実現し、フィルター43の清掃やメンテナンスの省力化が可能となった。
【0036】
揚げ滓搬送部91には、横方向コンベヤ92を備える。本実施形態においては、上記横方向コンベヤ92として、スクリューコンベヤを用いる。また、上記揚げ滓搬送部91には、図2に示すように、上記横方向コンベヤのスクリュー部93を回転するための動力源である横方向コンベヤモータ94と動力伝達手段とを備えている。本実施形態においては、磁石による非接触式動力伝達手段を用いており、動力伝達手段としてコンベヤ駆動用磁石95とコンベヤ回転用磁石96とを備えている。上記コンベヤ回転用磁石96は上記横方向コンベヤ92の所定端部に装着され、上記横方向コンベヤモータ94の回転子にはコンベヤ駆動用磁石95が装着される。
【0037】
横方向コンベヤ92は、その大部分が油槽13に備えられており、本実施形態においては、上述したように、上記油槽13の下流側の端部に設けられた濾過配設部21に備えられる。より詳しくは、図2に示すように、上記濾過配設部の一方の側部24(図示左側)の外側に、回転子にコンベヤ駆動用磁石95が装着された上記横方向コンベヤモータ94を備え、上記側部24の内側にコンベヤ回転用磁石96が装着された上記横方向コンベヤ92を備え、上記コンベヤ駆動用磁石95と上記コンベヤ回転用磁石96とが上記側部24を介して対向して配設される。また、上記コンベヤ回転用磁石96を接続していない上記横方向コンベヤ92の他方の端部は、本実施形態においては、上記油槽13の外側に突出している。よって、上記横方向コンベヤ92を上記油槽13の幅方向に全幅に渡って配設される。上下方向においては、上記フィルター43の下方に上記フィルター43と平行して配設され、かつ上記濾過配設部の円弧上の底部25と横方向コンベヤ92の底部とが当接(もしくは近接)するよう配設され、上記濾過配設部の円弧上の底部25の中心軸と、上記横方向コンベヤ92の中心軸が略平行になるよう配設される。つまり、上記フィルター43と上記横方向コンベヤ92と上記濾過配設部の円弧上の底部25とは、それぞれの中心軸が略平行となるように配設される。また、本実施形態においては、上記油槽13の外側に突出している上記横方向コンベヤ92の端部は、図2及び図3に示すように、後述する油槽13の外に備えられた縦方向コンベヤ98の下方の端部に接続されている。また、上記横方向コンベヤのスクリュー部93は、開放もしくは上面が開放されている。
【0038】
上記横方向コンベヤ92を油槽13の幅方向に全幅に渡って配設し、かつ上記フィルター43の下方、上記濾過配設部の円弧上の底部25と上記横方向コンベヤ92の底部とが当接(もしくは近接)するよう配設することにより、上記フィルター43により分離され沈降する揚げ滓を上記横方向コンベヤ92の幅方向全体で回収することができる。また、本実施形態においては、上記横方向コンベヤ92を上記油槽13の下流側の端部に配設しているが上流側の端部や上流端と下流端の間のいずれに配設してもよく、本実施形態のように上記横方向コンベヤ92を下流側に配設することにより、上記油槽13の上流側から下流側に流れてくる揚げ滓を最も効果的に回収することができる。また、上記横方向コンベヤ92により回収された揚げ滓は、上記横方向コンベヤのスクリュー部93の回転により後述する縦方向コンベヤ93に確実に搬送することができる。さらに、濾過配設部の前部22及び後部23がそれぞれ上方から下方に向かうに従って内側に傾斜していることで、上記油槽13の上流側から下流側に流れてくる揚げ滓を揚げ滓搬送部91に導きやすい。
【0039】
揚げ滓排出部97には、縦方向コンベヤ98を備える。本実施形態では、上記縦方向コンベヤ98として、スクリューコンベヤを用いる。また、上記揚げ滓排出部97には、上記縦方向コンベヤのスクリュー部99を回転するための動力源である縦方向コンベヤモータ(図示省略)と動力伝達手段(図示省略)とを備える。本実施形態においては、揚げ滓搬送部91の横方向コンベヤ92の動力伝達手段と同様に、磁石による非接触式動力伝達手段を用いている。
【0040】
上記縦方向コンベヤ98は上記油槽13の外に配設されている。本実施形態においては、上記縦方向コンベヤ98の下方の端部は上記油槽13の外側に突出している上記横方向コンベヤ92の端部に接続され、上記縦方向コンベヤ98の上方の端部は上記油槽13の上流側に向かうに従い上向きに傾斜している。また、上記縦方向コンベヤのスクリュー部99は搬送中の揚げ滓を周囲に落とさないよう密閉され、さらに、上記縦方向コンベヤ98の上方の端部は、上記油槽13に満たされた調理油の油面121よりも高く備えられる。
【0041】
上記縦方向コンベヤ98の下方の端部を上記油槽13の外側に突出している上記横方向コンベヤ92の端部に接続することで、上記横方向コンベヤ92により搬送された揚げ滓を確実に下方から上方へ持ち上げ上記油槽13の内から外に搬出し除去することができる。さらに、上記縦方向コンベヤ98の上方の端部を上記油槽13に満たされた調理油の油面121よりも高く設けることで、揚げ滓のみを上記油槽13の内から外に搬出し除去することができる。上述のように、上記フィルター43で分離した揚げ滓を揚げ滓搬送部91及び揚げ滓排出部97により自動かつ連続して油槽13の外へ除去することにより、調理油の劣化を抑制することができる。
【0042】
揚げ滓搬送部91の横方向コンベヤのスクリュー部93は、上述の通り横方向コンベヤモータ94の駆動力と動力伝達手段により回転する。揚げ滓排出部97の縦方向コンベヤのスクリュー部99は、上述の通り縦方向コンベヤモータ(図示省略)の駆動力と動力伝達手段(図示省略)により回転する。また、動力伝達手段としては、特に横方向コンベヤ92においては、水密性並びに油密性を確保することができればどのような形式のものでもよく、本実施形態に示す磁石を用いるほかに、チェーン等を用いて駆動力を伝達してもよい。上記横方向コンベヤ及び上記縦方向コンベヤのスクリュー部93,99の回転速度、つまり揚げ滓の搬送速度は速度制御装置(図示省略)により独立して制御され、上記速度制御装置により上記横方向コンベヤ及び縦方向コンベヤのスクリュー部93,99の回転速度を適宜変更することができる。
【0043】
横方向コンベヤ92と縦方向コンベヤ98は、上述のように調理油と分離された揚げ滓を搬送し油槽13の外へ排出する。上記横方向コンベヤ92は、上記油槽13に満たされた調理油に浸漬されて使用されるものであり、また、上記横方向コンベヤ92及び上記縦方向コンベヤ98ともに油分を含んだ揚げ滓を搬送するものであるため、上記横方向コンベヤ92及び上記縦方向コンベヤ98のコンベヤに用いられる素材は、耐熱性、耐油性や耐久性を備えたもの、例えば、金属製や樹脂製等のコンベヤを用いることができる。また、縦方向コンベヤ98は、上方に傾斜して設けており、重力に逆らって回収した揚げ滓を搬送するため、搬送中に揚げ滓を周囲に落とさないコンベヤを用いる必要がある。スクリューコンベヤは上記の条件を満たし好適であるが、上記条件を満たせば他の種類のコンベヤを用いてもよい。また、上記横方向コンベヤ92及び上記縦方向コンベヤ98は、本実施形態のように同じ種類のコンベヤを用いてもよいし、例えば、横方向コンベヤ92をベルトコンベヤとし、油槽外に設けられた縦方向コンベヤ98にはスクリューコンベヤを用いる等の別の種類のコンベヤを用いてもよい。
【0044】
また、本願発明に係るフライヤー1は、図1〜図3に示すように、フィルター43で濾過された調理油を循環させる循環部101を備える。上記循環部101は、油槽13から調理油を吸引し、また、加熱部108で加熱された調理油を上記油槽13へ吐出する配管部102と、上記配管部102から輸送された調理油を加熱する加熱部108とを備える。
【0045】
配管部102は、油槽13から調理油を吸引する吸引管103と上記油槽13に調理油を吐出する吐出管106と調理油を輸送するための輸送ポンプ107とを備える。さらに、上記吸引管103は、一方の端部を上記フィルター43の軸方向の一方の端部に配設され、もう一方の端部と輸送ポンプ107とを接続する油槽吸引管104と、上記輸送ポンプ107と後述する熱交換器110とを接続する輸送管105とから構成され、本実施形態においては、油槽吸引管104の一方の端部は、上記フィルター43の軸方向の一方の端部、つまりフィルタモータ47と接続していない端部に配設され、後述する熱交換器110と接続している輸送管105の端部は二股に分かれたT字型形状となっている。また、上記吐出管106は、後述する熱交換器110と上記油槽の底部17とを接続しており、本実施形態においては両端が二股に分かれたI字型形状となっている。
【0046】
加熱部108には、熱源109と熱交換器110とを備える。図1に示すように、加熱部108は油槽の底部17よりも下方に設けられている。図1及び図3に示すように、上記熱源109は上記熱交換器110と接続され、上記熱交換器110の熱媒体を加熱する。上記熱源109は、電気ヒータやガスバーナー等上記熱交換器110の熱媒体を加熱できるものであれば特に制限はなく、また、熱源によっては必要に応じて排気煙突111を設ける。また、上記熱交換器110は、上記熱源109で加熱された熱媒体と、油槽13及び循環部101を循環している調理油との間で熱交換を行わせて、調理油を加熱するものである。本実施形態においては、調理油は上記熱交換器110で最高200℃まで加熱されるよう設定されている。上記熱交換器110及び熱媒体の種類は、熱媒体の温度分布が均一で、かつ温度制御性に優れ、サニタリー性を確保しているものであれば、特に制限はない。例えば、熱交換器110としては、種々の食品用熱交換器を用いることができ、また、熱媒体としては、油等の液体、蒸気や燃焼ガス等の気体を問わず種々の食品用熱媒体を用いることができる。また、上記加熱部108には、油槽13に満たされた調理油の温度を調整するための温度調整装置(図示省略)を備え、前記温度調整装置により、食材122により調理油の温度を変えることができるとともに、上記油槽13に満たされた調理油の温度制御を行うことができる。
【0047】
循環部101は、図1及び図2に示すように、そのほとんどが油槽の底部17よりも下方に設けられている。本実施形態においては、上記循環部101の油槽13の長手方向における位置としては、油槽吸引管104、輸送ポンプ107、輸送管105、加熱部108(熱源109が接続された熱交換器110)、吐出管106の順に上記油槽13の下流側から上流側に設けられている。また、図2に示すように、上記油槽吸引管104の一方の端部は、フィルター43の一方の端部、つまりフィルタモータ47と接続していない端部(図示右側)に配設され、上記フィルター43の端部と近接している上記濾過配設部の側部24(図示右側)を通過し、上記油槽吸引管104の他方の端部は上記油槽の底部17よりも下方に設けられた上記輸送ポンプ107と接続している。さらに上記輸送ポンプ107は、上記輸送管105の一方の端部と接続しており、上記輸送管105の他方の端部は、上記熱交換器110,110と接続している。上記熱交換器110,110は上記油槽13の長手方向に2機が平行に配設されており、上記熱交換器110,110は、一方の端部を上記輸送管105と、他方の端部をI字型形状の上記吐出管106の一方の端部と接続しており、また、上記吐出管106の他方の端部は上記油槽の上流側の底部17と接続している。上述のように、上記油槽13と上記循環部101とが接続され、調理油が循環する。より詳しくは、上記輸送ポンプ107の吸引により上記フィルター43の外周から上記フィルター43を通過して濾過された調理油を上記油槽吸引管104が吸引し、調理油の流れが発生する。次に調理油は輸送ポンプ107、輸送管105を流れ、熱交換器110により加熱される。さらに、加熱された調理油が上記吐出管106から上記油槽13に吐出される。よって、上記輸送ポンプ107の調理油の吸引により、上記油槽13内の長手方向への調理油の流れが上記油槽13の全幅に渡って発生し、上記油槽の前部14側(上流側)から後部15側(下流側)へ調理油が流れ、上記フィルター43で濾過された調理油が上記油槽13と上記循環部101とを循環するため、調理油の鮮度を保つとともに調理油の劣化を抑制することができる。また、調理油の流れにより調理中に発生する揚げ滓が上記油槽13の上流側から下流側に流れてくるため、下流側に配設された上記フィルター43において、調理油と揚げ滓とを効率よく分離することができ、さらに上記フィルター43の下方に配設された横方向コンベヤ92と横方向コンベヤ92に接続された縦方向コンベヤ98により上記フィルター43で分離した揚げ滓を自動かつ連続的に油槽13外へ除去することができる。調理油の送り量としては、搬送コンベヤ31で搬送する食材122が逆流しない程度の流量であれば特に制限はなく、本実施形態においては、200Lの油槽に対し200L/minの流速で調理油を循環させており、1分間に1回調理油が油槽13及び循環部101を循環する程度に設定している。また、調理油が吐出管106から油槽13に吐出されるが、上記吐出管106の端部と上記油槽の上流側の底部17との接続は、調理油の流れや油槽13の大きさにより複数箇所に設けてもよく、本実施形態においては、上記油槽の上流側の底部17と上記吐出管106の端部を接続しているが、上流側に加えて、上記油槽の中央の底部17と上記吐出管106の他方の端部を接続して調理油の流れを形成してもよい。
【0048】
次に、改良例としてより望ましい実施の形態の一例について説明する。上記の実施の形態の一例では、フィルター43全体が調理油に浸漬しているため、輸送ポンプ107により調理油を吸引する際に調理油の循環路であるフィルター43及び輸送吸引管104が真空状態となる。よって、大気圧状態での調理油の吸引と比較して圧力損失が大きくなるため、大気圧状態での調理油の吸引と比べて必要以上に高い圧力を要して調理油を吸引する必要がある。また、調理油を強い吸引力により吸引するため、調理油とともに細かい揚げ滓がフィルター43を通過してしまう恐れがあった。上記問題を解決するために、上記フィルター43の一方の端部を調理油の油面121よりも高くなるよう上記フィルター43を油槽13の上下方向に配設し、上記フィルター43の上方を開放することで、真空状態とならないようにし、適度な吸引力を保つことで、輸送ポンプ107により調理油を吸引する際に、細かな揚げ滓がフィルター43を通過しないようにした。さらに、上記フィルター43に付着した揚げ滓を除去する洗浄吐出部81として導入板88をフィルター43の内側に配設し、上記導入板88により上記フィルター43の内側から外側へ調理油が導かれ、上記フィルター43の周面に形成された上記微小間隔に付着した揚げ滓を除去する構造とした。上記導入板88を設けることにより、洗浄管82や洗浄ポンプ87を設けるスペースが不要となる。その他の構成は同じであるため、同じ部材には同じ番号を付与することにより、詳細な説明は省略する。
【0049】
調理部12には、油槽13を備える。本実施形態においては、前記油槽13は上面を開口した平面視略矩形の容器形状に形成されている。上記油槽13に満たされた調理油は、上記油槽13と循環部101とを循環しており、図6に示すように、上記油槽13の図面左側及び図面右側からそれぞれ上記油槽13の内側に向かって調理油の流れが発生する。また、図6及び図8に示すように、フィルター43を含む濾過部41の一部を配設する濾過配設部21が上記油槽13の長手方向の一部に突出して設けられている。上記濾過配設部21は、平面視略円筒形状に形成され、底部27は下方に向かうに従って径内方向に傾斜し、上記濾過配設部の底部27の下方の端部には後述する揚げ滓排出部97が接続されている。上記油槽13の長手方向において、上記油槽13の前部14(図示左側)及び後部15(図示右側)をそれぞれ上流端とし、上記濾過配設部の側部26を下流端とする。また、本実施形態においては、搬送コンベヤ31を上記油槽13内に2台備え、上記搬送コンベヤ31のつなぎ目が、上記濾過配設部21の上記油槽13の長手方向における位置近くにくるように配設される。
【0050】
フィルター部42には、フィルター43を回転するための動力源であるフィルタモータ(図示省略)と動力伝達手段とを備える。本実施形態においては、図9(A)に示すように、ローラ51による動力伝達手段を用いており、動力伝達手段として、軸受49と、ローラ51とを備えている。上記軸受49は上記フィルター43の一方の端部、より詳しくは、上記フィルター43の両端部に装着されたうちの一方のリング46の下端面を上記軸受49の上端面で受けるように装着され、さらに上記軸受49の外周面に沿うよう円周方向に所定の角度をもって上記ローラ51が備えられており、上記ローラ51は受金具52で支持されている。本実施形態においては120度の角度をもって上記ローラ51,51,51が備えられている。さらに、上記軸受49と上記受金具52は上記濾過配設部21の上方に設けられた取り付け部(図示省略)に取り付けられている。上記ローラ51のうち、1本のローラに取り付けられたプーリ(図示省略)とフィルタモータ(図示省略)との間に介装されたチェーン(図示省略)を介して駆動力が伝達され、上記フィルター43を回転させる。その他のローラ51,51は上記フィルター43を回転可能に支持する。また、少なくとも2個のローラ51,51を直接上記フィルター43の上部の外周面に沿うよう配設し上記ローラ51,51によって上記フィルター43を支持するとともに、上記フィルター43の両端部に装着されたうちの一方のリング46にギアを用い、上記ギア46とフィルタモータ(図示省略)との間に介装されたチェーン(図示省略)を介して駆動力が伝達され、上記フィルター43を回転させてもよい。
【0051】
上記フィルター43は、図6及び図7に示すように、上記油槽13の上下方向に配設される。本実施形態においては、上述したように、上記油槽13の下流側に設けられた濾過配設部21の上下方向に配設される。より詳しくは、図9(A)に示すように、濾過配設部21の上方に、軸受49及びローラ51,51,51が装着された上記フィルター43を備え、上記軸受49と上記ローラ51,51,51を支持する上記受金具52,52,52は上記濾過配設部21の上方に設けられた取り付け部(図示省略)に取り付けられる。よって、上記フィルター43の端部に設けられたリング46の下端面と上記軸受49の上端面とが当接し、上記軸受49が上記フィルター43を支持している。また、上記濾過配設部21の円筒の中心軸と、上記フィルター43の中心軸とが略平行になるよう配設し、さらに上記フィルター43の上方の端部を調理油の油面121よりも高くなるよう配設する。上述のようにフィルター43を配設することにより、上記フィルター43の上方の端部を開放することができ、後述する輸送ポンプ107により調理油を吸引する際、調理油の油面121の高さが上下方向に変動することで、調理油の循環路であるフィルター43及び輸送吸引管104が真空状態とならず余分な圧力損失が発生しないため、一定の圧力下で調理油をスムーズに吸引することができる。本実施形態においては、油面121の高さが0〜150mmの間で上下方向に変動するよう設定している。また、本実施形態においては、上記フィルター43を油槽13の下流側にある濾過配設部21に配設しているが上流端や上流端と下流端の間のいずれに配設してもよく、本実施形態のように上記フィルター43を下流側に配設することにより、上記油槽13に満たされた調理油が揚げ滓とともに上記油槽13の上流側から下流側に流れてくるため、最も効果的に調理油と揚げ滓とを分離することができる。さらに、上記フィルター43を上記油槽13の上下方向に着脱可能に配設することができたため、フィルターの清掃やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0052】
上記フィルター43は、フィルタモータ(図示省略)の駆動力と動力伝達手段とにより、上記フィルター43の中心軸と平行にある回転軸を中心として回転する。本実施形態においては、上記フィルター43は、上記フィルター43の中心軸と同一である、上記フィルター43の回転軸を中心として、図8では、時計回り(図8の矢印a方向)に回転する。上記フィルター43を回転させることにより、調理油と上記フィルター43との接触面積が大きくなるため効率よく調理油を濾過でき、分離した揚げ滓を後述する揚げ滓排出部97へ効果的に落下させることができる。また、動力伝達手段としては、水密性及び油密性を確保することができればどのような形式のものでもよく、本実施形態に示すほかに、磁石等を用いて駆動力を伝達してもよい。上記フィルター43の回転速度は速度制御装置(図示省略)により独立して制御され、上記速度制御装置により上記フィルター43の回転速度を適宜変更することができる。
【0053】
スクレーパ部61には、図8及び図9(A)に示すように、上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を掻き落とすスクレーパ71を備えている。
【0054】
スクレーパ71は、図8及び図9(A)に示すように、矩形板状体であり、上記濾過配設部の側部26に突設して設けられ、上記フィルター43の外周面と上記フィルター43の軸方向に沿って当接する。より詳しくは、上記スクレーパ71の長手方向の一方の端面を上記濾過配設部の側部26に取り付け、上記スクレーパ71の長手方向の他方の端面を上記フィルター43の外周面に上記フィルター43の軸方向に沿って当接させる。上記スクレーパ71の端面と上記フィルター43の外周面とを上記フィルター43の軸方向に沿って当接させ、上記フィルター43が回転することで、上記スクレーパ71が上記フィルター43の外周面に付着した揚げ滓を連続して掻き落とすことができる。また、上記スクレーパ71の端面と上記フィルター43の外周面との当接角度は、上記フィルター43の外周面と上記スクレーパ71の端面とが上記フィルター43の軸方向に沿って当接しさえすれば特に制限はなく、適宜設定することができる。さらに、図9(A)に示すように、スクレーパ部71には複数個のスクレーパ71,71,71・・・を備える。複数個のスクレーパ71,71,71・・・の端面を上記フィルター43の外周面に当接させることで、円筒状のフィルター43がひずんでも個々のスクレーパ71,71,71・・・の端面はフィルター43の外周面に従いやすい。上記スクレーパ71は、油槽13に満たされた調理油に浸漬されて使用されるものであり、耐油性や耐熱性、耐久性を備えた素材であれば特に制限はなく、金属や樹脂等の種々の素材を用いることができる。全体もしくは端縁部に弾性部材を用いて上記スクレーパ71を形成すると、上記スクレーパ71の濾過配設部の側部26への取り付け及び上記フィルター43の外周面への当接調整がしやすくなる。また、図9(B)に示すように、スクレーパ72の形状を「く」の字形状とし、濾過配設部の側部26に上記スクレーパ72を支持するガイド73を設け、上記ガイド73に沿って上記スクレーパ72の端面を上記フィルター43の外周面に当接させるよう配設すると、上記スクレーパ72は上方に引き抜くことができ、清掃やメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、図5(C)と同様、スクレーパ板69とバネ70とを用意し、上記バネ70の一方の端部を濾過配設部の側部26に取り付け、他方の端部をスクレーパ板69の一方の端面に取り付け、スクレーパ板69のもう一方の端面と上記フィルター43の外周面とを上記バネ70により当接させるようにしてもよい。その他、図示はしないが、スクレーパ71を濾過配設部21に突設して設けずに、濾過配設部21の上方に設けられた取り付け部(図示省略)に取り付けられたアーム(図示省略)に取り付け、スクレーパ71を支持するアームを介してスクレーパ71の端面を上記フィルター43の外周面に当接させるよう配設してもよい。上記のようにスクレーパ71を配設すると、スクレーパ71の端面とフィルター43の外周面との当接角度を直接又は間接的に調整することができる。
【0055】
洗浄吐出部81には、図8、図9(A)〜図9(B)に示すように、導入板88を備えている。上記導入板88は矩形板状体で、導入板88の基端側はフィルター43の内周面に取り付けられ、導入板88の先端側はフィルター43の内周面からフィルターの回転方向に向かうに従って径内方向に伸びるように傾斜している。また、上記導入板88は上記フィルター43の軸方向に沿って全幅に渡って配設され、円周方向において所定の角度をもって配設されており、本実施形態においては、図9(B)に示すように、45度の角度をもって8箇所に設けられている。上記フィルター43は、図9(B)では、時計回り(図9(B)の矢印a方向)に回転しているため、上記フィルター43に取り付けられた導入板88も回転している。また、輸送ポンプ107の吸引により上記フィルター43の外周から濾過された調理油も上記フィルター43の回転により相対的に上記フィルター43と同方向に回転しているが、上記調理油の回転速度は上記フィルター43の回転速度よりも遅い。よって、上記調理油が回転している上記導入板88に衝突することで、上記フィルター43の内側から外側へ導かれ(図9(B)の矢印b方向)、上記フィルター43の周面に形成された微小間隔に付着した揚げ滓を効率よく除去し、目詰まりを洗浄することができる。よって、上記フィルター43の濾過性能を維持することができる。また、上述したように、上記導入板88を設けることで洗浄管82や洗浄ポンプ87を設けるスペースが不要となる。本実施形態においては、上記導入板88は上記フィルター43の軸方向に沿って全幅に渡って配設されているが、調理油に浸漬していない上記フィルター43の上方の端部には、上記導入板88を配設しなくてもよい。また、導入板88の傾斜方向は、導入板88の基端側から先端側に向かうにつれフィルター43の回転方向とは反対方向に傾斜してもよいが、本実施形態のように、導入板88の基端側から先端側に向かうにつれフィルター43の回転方向に傾斜していた方が、フィルター43の周面に形成された微小間隔に付着した揚げ滓を効果的に除去することができる。
【0056】
揚げ滓搬送部91には、横方向コンベヤ92と上記横方向コンベヤのスクリュー部93を回転するための動力源である横方向コンベヤモータ(図示省略)と動力伝達手段(図示省略)とを備えている。横方向コンベヤ92は、図7及び図8に示すように、全体が油槽13に備えられており、本実施形態においては、上記油槽13の下流側に上記油槽13の幅方向に全幅に渡って配設され、上下方向においては、上記油槽の底部17と横方向コンベヤ92の底部とが当接(もしくは近接)するよう配設される。より詳しくは、上記濾過配設部21と上記横方向コンベヤ92の上記油槽13の長手方向における位置の中心が、ほぼ等しくなるよう配設されている。
【0057】
上記横方向コンベヤ92を油槽13の幅方向に全幅に渡って配設し、かつ上記油槽の底部17と上記横方向コンベヤ92の底部とが当接(もしくは近接)するよう配設することにより、調理中に生じた上記油槽の底部17に沈降する揚げ滓を上記横方向コンベヤ92の幅方向全体で受けとめ回収することができる。また、本実施形態においては、上記横方向コンベヤ92を上記油槽の下流側の底部17に配設しているが上流端や上流端と下流端の間の底部17のいずれに配設してもよく、本実施形態のように上記横方向コンベヤ92を上記油槽の下流側の底部17に配設することにより、上記油槽13の上流側から下流側に流れてくる揚げ滓を最も効果的に回収することができる。また、上記横方向コンベヤ92により回収された揚げ滓は、上記横方向コンベヤのスクリュー部93の回転により上記濾過配設部の底部27に確実に搬送され、さらに、上記濾過配設部の底部27は下方に向かうに従って径内方向に傾斜していることから、搬送された揚げ滓を上記濾過配設部の底部27に沿って上記濾過配設部の底部27に配設された縦方向コンベヤ98に確実に搬送することができる。また、上記フィルター43で分離された揚げ滓についても上記濾過配設部の底部27から縦方向コンベヤ98に確実に搬送することができる。
【0058】
縦方向コンベヤ98は図6及び図8に示すように上記油槽13の外に配設されている。本実施形態においては、上記縦方向コンベヤ98の下方の端部は上記濾過配設部の底部27の下方の端部に接続され、上記縦方向コンベヤ98の上方の端部は上記油槽の前部14側に向かうに従い上向きに傾斜している。
【0059】
縦方向コンベヤ98の下方の端部を上記濾過配設部の底部27に接続することで、上記フィルター43で濾過された揚げ滓及び上記横方向コンベヤ92により上記濾過配設部の底部97へ搬送された揚げ滓を確実に縦方向コンベヤ98の下方から上方へ持ち上げ上記油槽13の内から外に搬出し除去することができる。
【0060】
循環部101は、図6及び図7に示すように、そのほとんどが油槽の底部17よりも下方に設けられている。本実施形態においては、上記循環部101の油槽13の長手方向における位置としては、吐出管106、油槽吸引管104、輸送ポンプ107、輸送管105、加熱部108、吐出管106の順に上記油槽13の後部15側から前部14側に設けられている。図6に示すように、上記油槽吸引管104の一方の端部は上記フィルター43の内側、より詳しくは、図9(A)に示すように、上記フィルター43の下方の端部付近に配設され、上記油槽吸引管104の他方の端部は上記油槽の底部17よりも下方に設けられた上記輸送ポンプ107と接続している。さらに上記輸送ポンプ107は、上記輸送管105の一方の端部と接続しており、上記輸送管105の他方の端部は、上記熱交換器110と接続している。上記熱交換器110は上記油槽13の長手方向に配設されており、上記熱交換器110は、上記輸送管105及び上記吐出管106と接続している。本実施形態においては、上記吐出管106は複数分岐した形状となっており、一方の端部は熱交換器110と、もう一方の分岐した端部は、上記油槽の前部14及び後部15にある上記油槽の上流側の底部17とそれぞれ接続している。よって、上記油槽ポンプ107の調理油の吸引により上記油槽13内の長手方向への調理油の流れが上記油槽13の全幅に渡って発生し、上記油槽13の前部14及び後部15の上流端から上記油槽13の内側にある上記濾過配設部21の下流端に向かって調理油が流れる。また、調理油の送り量としては、搬送コンベヤ31で搬送する食材122が逆流しない程度の流量であれば特に制限はなく、本実施形態においては、200Lの油槽に対し200L/minの流速で調理油を循環させており、1分間に1回調理油が油槽13及び循環部101を循環する程度に設定し、吐出管106に設けられたバルブ112で調整している。
【0061】
本願発明に係るフライヤー1の調理中の動作は、以下のとおりである。調理油を満たした油槽13に設けられた投入部33より食材122を投入すると、上記食材122は搬送コンベヤ31の上面に載せられる。上記食材122は上記搬送コンベヤ31の上面と押えコンベヤ32の下面とに挟まれながら取出部34まで搬送される。また、揚げ物調理中、上記油槽13に満たされた調理油は、輸送ポンプ107の吸引により上記油槽13内の長手方向への調理油の流れが上記油槽13の全幅に渡って発生し、上記油槽13と循環部101とを循環する。上記調理油の循環により、調理中に発生した揚げ滓は調理油の流れにより上記油槽13の上流側から下流側へ流れ、揚げ滓が含まれた調理油はフィルター43を通過し、調理油と揚げ滓とが分離される。上記フィルター43で濾過された調理油は上記循環部101を通り上記油槽13へ吐出され、分離された揚げ滓は、揚げ滓搬送部91及び揚げ滓排出部97により油槽13から外へ搬出される。よって、調理油は上記油槽13の上流側から下流側に流れ、食材122は上記油槽の後部15から前部14へ向かって搬送されるため、調理油の流れと食材122の搬送方向とは異なる。さらに、調理油を循環させる際に、輸送ポンプ107を用いて調理油を吸引するため、上記フィルター43に揚げ滓が付着するが、スクレーパ部61及び洗浄吐出部81により、上記フィルター43に付着した揚げ滓を掻き落とし目詰まりを除去する。
【0062】
本願発明に係るフライヤー1において、投入部33に揚げムラを防止する撹拌部や取出部34に別のコンベヤを設けるなど本願発明の目的を逸脱しない範囲で、他の部品と本願発明に係るフライヤー1とを組み合わせて使用することができる。
【0063】
また、本願発明に係るフライヤー1において、油槽13及び循環部101を循環している調理油に新しい調理油を供給する装置を設けるなど本願発明の目的を逸脱しない範囲で、他の装置や食品機械と本願発明に係るフライヤー1とを組み合わせて使用することができる。
【0064】
本願発明に係るフライヤー1は、業務用として、天ぷら等の食材に水分が多く含まれた衣が付いたものやフライ等の食材に水分の少ない衣がついたもの、肉団子等の素揚げのもの等揚げ物の種類を問わす種々の食材を揚げるフライヤーとして使用することができる。また、油槽の大きさや熱源の種類に応じて、食品メーカー等の食品加工用、スーパー等の総菜加工用、レストラン等での調理用フライヤー等として使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 フライヤー
13 油槽
41 濾過部
43 フィルター
44 線状部材
62 スクレーパ
71 スクレーパ
81 洗浄吐出部
82 洗浄管
86 吐出部
87 洗浄ポンプ
88 導入板
104 油槽吸引管
107 輸送ポンプ
122 食材
S (フィルターの外周面に形成された)微小間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油を満たし食材を揚げる油槽と、
前記油槽内で調理油と調理中に生じる揚げ滓とを分離するフィルターを備えた濾過部と、
上記フィルターで濾過された調理油を循環させる輸送ポンプとを備えたフィルター付きフライヤーにおいて、
上記濾過部には、少なくとも上記フィルターと、上記フィルターに付着した揚げ滓を掻き落とすスクレーパと、上記フィルターに付着した揚げ滓を除去する洗浄吐出部とを備え、
上記油槽及び上記油槽の周辺部には、上記輸送ポンプと接続され、上記油槽から調理油を吸引する油槽吸引管を備え、
上記フィルターは、複数の線状部材が微小間隔をおいて配列され、筒状に形成されたものであり、
上記フィルターは、上記フィルターの中心軸と平行にある回転軸を中心として回転するものであり、
調理油は、上記輸送ポンプの吸引により上記フィルターの外周から上記フィルターを通過して濾過されたものであり、
上記輸送吸引管の一方の端部は、上記フィルターの内側又は上記フィルターの軸方向の少なくとも一方の端部に配設され、上記フィルターで濾過された調理油を吸引することを特徴とするフィルター付きフライヤー。
【請求項2】
上記線状部材は、上記フィルターの外周面を構成する外表面を備え、
上記線状部材の幅は、上記外表面から上記フィルターの径内方向に向かうに従って漸次減少するものであり、
上記複数の線状部材の配列により形成される上記微小間隔が、上記フィルターの外周面から径内方向に向かうに従って大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルター付きフライヤー。
【請求項3】
上記スクレーパは、上記線状部材の外表面と当接し、上記フィルターの外周面に付着した揚げ滓を掻き落とすものであり、
上記フィルターの外周かつ周方向の一部に軸方向に沿って配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター付きフライヤー。
【請求項4】
上記洗浄吐出部には導入板を備え、
上記導入板は、上記フィルターの内側かつ周方向の一部に軸方向に沿って配設され、上記フィルターの半径方向に対して周方向に傾斜して設けられたものであり、
上記導入板が上記フィルターの内側から外側へ調理油を導くことにより、上記フィルターの周面に形成された上記微小間隔に付着した揚げ滓を除去することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフィルター付きフライヤー。
【請求項5】
上記洗浄吐出部は、洗浄管と洗浄ポンプとを備え、
上記洗浄管の少なくとも一方の端部には吐出部を備え、
上記吐出部は、上記フィルターの内側かつ周方向の一部に軸方向に沿って全幅に渡って配設され、上記洗浄ポンプにより調理油を吐出するものであり、
上記吐出部は、上記フィルターの上下方向において下半分に配設されたものであり、
上記油槽吸引管及び上記吐出部は、調理油を吸引しながら吐出することができるものであり、
上記吐出部が上記フィルターの内側から外側へ調理油を吐出することにより、上記フィルターの周面に形成された上記微小間隔に付着した揚げ滓を除去することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフィルター付きフライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−16547(P2012−16547A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157360(P2010−157360)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(391017447)サン・プラント工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】