説明

フィルター装填用ユニット

【課題】本発明は、薄膜フィルターを装填して使用可能であり、フィルターの剛性を確保し、高い精度で液体を分注、分離、精製等できる器具(ユニット)を提供する。また、該ユニットが装着されたピペット用チップ、該ユニット自体からなるピペット用チップを提供する。
【解決手段】フィルターを装填するためのユニットであって、中央部が貫通し更にフィルター装填部位を備えた陥没部を有する第1の基材と、同じく中央部が貫通し更に第1の基材の陥没部に接合し得る突起部を有する第2の基材とからなり、該第1の基材の陥没部に該第2の基材の突起部を接合することにより形成される貫通路がフィルター流路となることを特徴とするフィルター装填用ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質や細胞、ウイルスの分離やろ過に使用されるフィルターを装填するためのユニットに関する。また本発明は、液体の分注装置であるピペットのノズル先端部分に装着して用いるチップの内部に装着するフィルター装填済ユニット、および該フィルター装填済ユニットが装着されたチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルターは、特定の物質や細胞、ウイルスなどの通過を抑えるため、あるいは特定の物質を分離したりろ過するために使用されてきた。
【0003】
試薬、検体等の液体を分注する作業は、液体を吸引し分注する装置であるピペットのノズル先端部分にチップを装着し、チップに所定量の吸引した液体を溜めて、溜めた液体を別の容器に吐出することにより行われる。この分注操作は手動と自動化装置のいずれの方法によっても行われる。
【0004】
分注操作においては、ノズル先端部分で液体によるコンタミの発生を防止し、また吸引飛沫の通過によるピペットそのものの汚染や、他の液体に飛沫が逆入することを防止する目的で、既にフィルターが装着されたチップ(フィルター付チップ)が用いられている。これらフィルター付チップのフィルターは、液体を吸引するための通気性を確保し、かつ飛沫の通過を抑えるためその平均孔径が適宜に決定されている。
【0005】
一方、前記フィルターより大きな平均孔径を有するフィルターが、タンパク質や核酸等の物質、あるいは細胞やウイルスの分離やろ過に使用されている。これらの例としては、メンブレンフィルターと呼ばれるナイロンやニトロセルロースなどを原料とした薄膜フィルター、ガラス繊維製の極薄フィルターなどがある。しかしながら、これらのフィルターは変形し易く、強度的にも問題があるため、前記フィルター付チップのようにチップやその他の液体操作用器具に装着することは困難であった。
【0006】
また、リサイクルのためにはチップにオ−トクレ−ブ等による殺菌処理を施して繰返し使用することが望まれるが、その際に物質の分離やろ過に使用されているフィルターは変形、破損する可能性が高く、繰返し使用に耐えることができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、薄膜フィルターを装填して使用可能であり、フィルターの剛性を確保し、高い精度で液体を分注、分離、精製等できる器具(ユニット)を提供することを目的とする。また、該ユニットが装着されたピペット用チップ、該ユニット自体からなるピペット用チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フィルターを装填するためのユニットであって、中央部が貫通し更にフィルター装填部位を備えた陥没部(凹部)を有する第1の基材と、同じく中央部が貫通し更に第1の基材の陥没部に接合(嵌合)し得る突起部(凸部)を有する第2の基材とからなり、第1の基材の陥没部に第2の基材の突起部を接合(嵌合)することにより貫通路が形成され、該貫通路がフィルター流路となることを特徴とするフィルター装填用ユニットが、上記目的を達成できることを見出した。かかる知見に基づきさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下のフィルター装填用ユニット、ピペット用チップ等を提供する。
【0010】
項1.フィルターを装填するためのユニットであって、中央部が貫通し更にフィルター装填部位を備えた陥没部を有する第1の基材と、同じく中央部が貫通し更に第1の基材の陥没部に接合し得る突起部を有する第2の基材とからなり、該第1の基材の陥没部に該第2の基材の突起部を接合することにより形成される貫通路がフィルター流路となることを特徴とするフィルター装填用ユニット。
【0011】
項2.項1記載のフィルター装填用ユニットにフィルターが装填されたフィルター装填済ユニット。
【0012】
項3.項2記載のフィルター装填済ユニットが装着される部位を内部に有するピペット用チップ。
【0013】
項4.項2記載のフィルター装填済ユニットが項3に記載のピペット用チップに装着されてなるピペット用チップ。
【0014】
項5.項1記載のフィルター装填用ユニットにおいて、第1の基材に更にピペットノズル装着部分を有する第10の基材と、第2の基材に更にチップの先端部分を有する第20の基材とからなり、該第10の基材と該第20の基材を接合することにより、それ自体がピペット用チップの機能及び形状を有するフィルター装填用ユニット。
【0015】
項6.項5記載のフィルター装填用ユニットにフィルターが装填されたフィルター装填済ユニット。
【0016】
項7.項6記載のフィルター装填済ユニットからなるピペット用チップ。
【0017】
項8.項4又は7記載のピペット用チップであって、フィルターのピペット装着部側に特定の物質と親和性の高い物質を充填してなるピペット用チップ。
【0018】
項9.項4,7又は8記載のピペット用チップを備えてなる自動分注システム。
【0019】
項10.項4,7又は8記載のピペット用チップを用いる物質の精製方法。
【0020】
項11.項4,7又は8記載のピペット用チップを用いるピペットの汚染防止方法。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明のフィルター装填用ユニットは、2種類の基材、すなわち中央部が貫通し更にフィルター装填部位を備えた陥没部が形成された第1の基材(以下「基材1」と呼ぶ)と、同じく中央部が貫通し更に基材1の陥没部に接合し得る突起部を有する第2の基材(以下「基材2」と呼ぶ)とからなる。基材1の陥没部に基材2の突起部を接合することにより貫通路が形成され、該貫通路がフィルター用流路となる。
【0023】
物質や細胞、ウイルスの分離やろ過に使用されるフィルターを、基材1の陥没部の底部にあるフィルター装填部位に貫通部を覆うように装填し、これに基材2を接合することにより、フィルター装填済ユニットが形成される。このユニットにおいて、フィルターは基材1と基材2で強固にバインドされているため、変形、破損することなく使用に供することができる。
【0024】
本発明のフィルター装填用ユニットは、素材としてプラスチックを使用できるため剛性があり、高い寸法精度で加工することができる。素材そのものが耐溶剤性、耐酸性性、耐アルカリ性、衛生性、無発塵性、耐オートクレーブ性を有するものであれば、通液する液体の種類に拘わらず該ユニットに各種耐性を付与することができる。
【0025】
また、本発明のフィルター装填用ユニットは、構成要素である2種類の基材1及び基材2の貫通部分をフィルター流路として形成しているため、好適な通気性と通液性を確保しており、良好な液体の吸引操作が可能である。さらに、本発明のフィルター装填用ユニットは、素材を選択することにより、オ−トクレ−ブ等による殺菌処理を施して繰返し使用(リサイクル)することが可能であり、その際に装填しているフィルターが変形、破損する可能性も低く、また装填しているフィルターの交換も容易である。
【0026】
以下に、図面を引用しながら本発明のフィルター装填用ユニットを説明する。
【0027】
図1は、本発明のフィルター装填用ユニットAを構成する基材1の一例と基材2の一例を示す断面図である。
【0028】
基材1は中央部がドーナツ状に貫通し、更にフィルター装填部位を備えた円柱状の陥没部が形成されている。該貫通部はフィルターの流路となる部分であり、ユニットの使用環境に応じて、その内径は適宜選択される。図1のように円柱状の陥没部(凹部)は、貫通口開口部の両側(2箇所)に設けられていてもよく、或いは貫通口開口部の片側(1箇所)に設けられていてもよい(図示せず)。なお、フィルター装填部位は、その中央に貫通口がくるように該陥没部の底部に設けられる。
【0029】
基材2は中央部がドーナツ状に貫通し、更に基材1の陥没部を密閉するように設計された円柱状の突起部(凸部)を有している。基材2の貫通口の内径は、基材1の貫通口の内径と同等であることが好ましい。なお、ピペットによる加圧操作で容易に基材1から基材2が抜けないように、基材1の陥没部の内側面と基材2の突起部の外側面に、互いにネジ山を設けてネジ式で接合できるようにしてもよい。
【0030】
図2は、本発明のフィルター装填用ユニットAに、メンブレンフィルターを装填して接合した状態(フィルタ装填済ユニットA)の一例を示す断面図である。基材1の陥没部の底部にあるフィルター装填部位に、貫通口を覆うように円形のメンブレンフィルターが装填され、さらに基材2が基材1に隙間無く接合されている。なお、基材1と基材2が接合して形成される貫通路がフィルター流路となる。
【0031】
フィルター装填用ユニットの構成要素である2種類の基材に使用される素材としては、十分な剛性を有し、高い寸法精度で加工することができるものであれば、特に制限はない。したがって、プラスチック類、好ましくはポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂等が用いられる。素材の性質として、耐溶剤性、耐酸性性、耐アルカリ性、衛生性、無発塵性、耐オートクレーブ性等を有し、オ−トクレ−ブ等による殺菌処理を施して繰返し使用することが可能であれば、さらに好ましい。このような性質を有するプラスチック類としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS樹脂などが挙げられる。なお、密着性、加工のし易さ、経済性等の観点から、基材1及び基材2は共に同一素材であることが好ましい。
【0032】
本発明のフィルター装填用ユニット(基材1及び基材2)の作製方法としては、一般的なプラスチック類の成型方法を適用することができる。たとえば、素材の溶融物を金型に充填し、冷却して金型から取り出す。また、所定形状に切削加工する方法を使用することもできる。なお、フィルター装填用ユニットの形状は特に限定はないが、ピペット用チップとの装着の容易性等から円柱形のものが好ましい。
【0033】
本発明のフィルター装填用ユニットAにおいて、図1および図2に示される基材1および基材2のサイズは特に制限されず、装着するチップやその他の液体操作用器具の形態に応じて適宜に決定することができる。チップの内部に装着して使用する場合、図2のフィルター装填済ユニットの厚さ(貫通方向のユニット長さ;図2のL3)は、通常、0.1〜100mm程度、好ましくは1〜20mm程度である。なお、フィルター装填済ユニットの厚さが1〜20mm程度の場合、基材1の厚さ(貫通方向の基材1の長さ;図1のL1)は、1〜20mm程度、基材2の厚さ(貫通方向の基材2の長さ;図1のL2)は、0.4〜10mm程度とするのが好適である。
【0034】
本発明のフィルター装填用ユニットAは、装着するチップやその他の液体操作用器具に応じて、その大きさや形状を選択することができる。また、フィルター装填用ユニットへの液体の浸透性をより悪くするために、例えば発水処理などの表面処理を施すことができる。さらに、電子線照射により架橋密度を増大させて、フィルター装填用ユニットの耐熱性の向上を図ることもできる。
【0035】
図3は、本発明のフィルター装填用ユニットAにメンブレンフィルターを装填したものを、チップBの内部に装着した状態の一例を示す断面図である。ピペット用チップに使用するフィルター装填用ユニットは、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、衛生性、無発塵性、耐放射線性、耐オ−トクレ−ブ性、機械的強度等に優れた樹脂が好ましい。これらは、例えば、ポリプロピレン、ポリカ−ボネ−ト、TPXなどの射出成形により好適に製造できる。なお、チップBとしては、公知の素材を用いることができ、ポリプロピレン、TPXが例示できる。
【0036】
本発明のフィルター装填用ユニットに装填するフィルターとしては、タンパク質や核酸等の物質、あるいは細胞やウイルスの分離やろ過に使用されているフィルターを用いることができる。これらの例としては、メンブレンフィルターと呼ばれるナイロンやセルロースなどを原料とした薄膜フィルター、ガラス繊維製の極薄フィルターなどが好適に用いられる。とりわけ好ましくは、ナイロンやニトロセルロース製のメンブレンフィルターが用いられる。
【0037】
これらのフィルターを、本発明のフィルター装填用ユニットに装填し、さらに該ユニットをピペット用チップやその他の液体操作用器具の内部に装着して、液体の吸引、吐出を行う。これにより、タンパク質や核酸等の物質、あるいは細胞やウイルスの分離やろ過操作を行うことが可能となる。かかる操作は、該ピペット用チップを、手動分注機(ピペッター)に装着して手動で使用したり、或いは自動分注機(オートピペッター)等に装着して自動で使用することができる。
【0038】
フィルターを装填した本発明のフィルター装填済ユニットは、ピペット用チップ等の内部に装着して使用される。ピペット用チップの内部は、フィルター装填済ユニットが装着し易いように、該ユニットが装着される部位を有しており、かるフィルター装填済ユニットとチップの間に隙間ができないように設計される。
【0039】
或いは、図4に示すように、他の形態のフィルター装填用ユニットCを選択することもできる。これは、上記第1の基材に更にピペットノズル装着部分を有する第10の基材(以下「基材10」と呼ぶ)と、上記第2の基材に更にチップの先端部分を有する第20の基材(以下「基材20」と呼ぶ)とからなる。基材10と基材20を接合して得られるフィルター装填用ユニットCは、そのままピペット用チップの形状を有し、かつその機能を発揮するものである。そのため、このフィルター装填用ユニットCは、そのものをピペット用チップとして用いることができる点に特徴を有し、取扱が極めて簡便であるという利点がある。
【0040】
このフィルター装填用ユニットCにおける、基材10と基材20の接合部分については、上記した基材1や基材2の素材や形状を採用することができる。このユニットC(基材10及び基材20)の作製方法も、上記と同様に一般的なプラスチック類の成型方法を適用することができる。また、もちろん装填するフィルターも上記したものから適宜選択できる。
【0041】
本発明のフィルター装填用ユニットは、液体を分注、分離、精製等する用途において広く用いることができ、特に限定はない。
【0042】
その主な用途としては、タンパク質や核酸等の物質、あるいは細胞やウイルス等の分離やろ過を、手動あるいは自動で行う用途が挙げられる。この目的のためには、フィルターユニットをチップ等に装着後、単に検体の分注操作を行い、フィルターに検体を通液すればよい。
【0043】
別の用途としては、フィルターユニットをチップ等に装着後、ユニットに精製用樹脂を充填し、物質の精製に用いることができる。例えば、あらかじめイオン交換樹脂をフィルターユニットの上部(例えば、フィルターのピペット装着部側)に充填した後、検体を吸引すれば、タンパク質が該イオン交換樹脂に吸着する。その後、塩化ナトリウム、リン酸などの塩溶液を吸引、吐出すれば、塩濃度にしたがって特定のタンパク質が溶出される。このような簡便な操作によって、あたかもイオン交換カラムクロマトグラフィーを行った場合と同様のタンパク質精製効果が得られる。
【0044】
また、特定の物質と親和性(アフィニティー)のある粒子や繊維等の物質を、フィルターユニットの上部に充填したり、抗体やレセプターなどを表面に担持した基体をフィルターユニットの上部に充填したりして、検体の吸引、吐出を行い、該物質を分離、除去することも可能である。
【0045】
さらには、特定の物質が吸着するような処理を施したフィルターを、ユニットに装填することにより、特定の物質の分離も可能になる。そのようなフィルターとしては、例えば、His−tag融合タンパク質が吸着する金属キレート担持フィルター、核酸が吸着するシリカ含有フィルターなどが挙げられる。
【0046】
また、本発明のフィルター装填済ユニットを用いた分注操作においては、ノズル先端部分における液体によるコンタミの発生を防止し、また吸引飛沫の通過によるピペットそのものの汚染や、他の液体に飛沫が逆入することを好適に防止することができる。また、液体を吸引するための通気性が確保され、かつ飛沫の通過を抑えることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明のフィルター装填用ユニットは、物質や細胞、ウイルスの分離やろ過用のフィルターを装填して使用可能であり、フィルターの剛性を確保し、高い精度で液体を分注、分離、精製等する操作を行うことができる。該ユニットを用いることにより、フィルターの性能を引き出せるため、タンパク質や核酸等の物質の分離やろ過を、手動あるいは自動で効率的に行うことが可能となる。
【0048】
また、本発明のフィルター装填用ユニットは、構成要素である2種類の基材の貫通部位をフィルター流路として形成することができるため、好適な通気性と通液性を確保しており、液体の吸引操作が良好である。
【0049】
さらに、本発明のフィルター装填用ユニットは、素材を選択することにより、オ−トクレ−ブ等による殺菌処理を施して繰返し使用することが可能である。しかも、その際に装填しているフィルターが変形、破損する可能性も低く、また装填しているフィルターの交換も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。
【0051】
製造例1
本発明のフィルター装填用ユニットは、ポリプロピレン製丸棒を基に、切削することにより作成した。より具体的には、フィルター装填用ユニットを構成する第1の基材と第2の基材を、図1に示す形に切削することにより作成した。
【0052】
次に、ユニットに装填するメンブレンフィルター(1μm孔:ミリポア社製)をΦ3mmで打ち抜き、該Φ3mmに打ち抜いたメンブレンフィルターを、第1の基材の貫通穴及びその外側の陥没部分に装填した。第2の基材の凸部を第1の基材の陥没部位に合わせ圧入を行うことにより、フィルターを固定したフィルター装填済ユニットを作成した。フィルター装填済ユニットを図2に示す。
【0053】
さらに、フィルター装填済ユニットを、5mL容量ピペットチップ(ギルソン社製)の内側に入れ圧入を行い、フィルター装填済ユニットを装着したピペットチップを作成した。ユニットを装着したピペットチップを図3に示す。
【0054】
実施例1
作成した上記ピペットチップを、オートピペッター(ピペットマンP−5000:ギルソン社製)にセットし、純水、トリス−塩酸バッファー、1MNaCl水溶液、0.001%BSAを吸引、吐出し、問題ないことを確認した。
【0055】
次に、フィルター装填ユニットを装填したピペットチップを用いて、細胞濃度がそれぞれ異なる細胞懸濁液1mLを吸引し、フィルター装填ユニットを通過させて細胞の分離を行った。細胞を分離した後の各液体サンプル1〜11について、濁度の測定を行い、その結果を表1に示す。表1に示すように、各サンプルの濁度は大幅に減少しており、本発明のユニットが目的どおり機能することを確認した。
【0056】
なお、液体の濁度の測定は、セル長1cmの吸光光度計(吸収波長600nm)を用いて行った。なお、標準液として水を用いた。濁度の単位は「OD600/ml」で表される。
【0057】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】フィルター装填用ユニットAの一例を示す断面図である。
【図2】フィルター装填用ユニットAにメンブレンフィルターを装填した状態の一例を示す断面図である。
【図3】フィルター装填用ユニットAにメンブレンフィルターを装填したものを、チップBの内部に装着した状態の一例を示す断面図である。
【図4】他の形態のフィルター装填用ユニットCの一例を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターを装填するためのユニットであって、中央部が貫通し更にフィルター装填部位を備えた陥没部を有する第1の基材と、同じく中央部が貫通し更に第1の基材の陥没部に接合し得る突起部を有する第2の基材とからなり、該第1の基材の陥没部に該第2の基材の突起部を接合することにより形成される貫通路がフィルター流路となることを特徴とするフィルター装填用ユニット。
【請求項2】
請求項1記載のフィルター装填用ユニットにフィルターが装填されたフィルター装填済ユニット。
【請求項3】
請求項2記載のフィルター装填済ユニットが装着される部位を内部に有するピペット用チップ。
【請求項4】
請求項2記載のフィルター装填済ユニットが請求項3に記載のピペット用チップに装着されてなるピペット用チップ。
【請求項5】
請求項1記載のフィルター装填用ユニットにおいて、第1の基材に更にピペットノズル装着部分を有する第10の基材と、第2の基材に更にチップの先端部分を有する第20の基材とからなり、該第10の基材と該第20の基材を接合することにより、それ自体がピペット用チップの機能及び形状を有するフィルター装填用ユニット。
【請求項6】
請求項5記載のフィルター装填用ユニットにフィルターが装填されたフィルター装填済ユニット。
【請求項7】
請求項6記載のフィルター装填済ユニットからなるピペット用チップ。
【請求項8】
請求項4又は7記載のピペット用チップであって、フィルターのピペット装着部側に特定の物質と親和性の高い物質を充填してなるピペット用チップ。
【請求項9】
請求項4,7又は8記載のピペット用チップを備えてなる自動分注システム。
【請求項10】
請求項4,7又は8記載のピペット用チップを用いる物質の精製方法。
【請求項11】
請求項4,7又は8記載のピペット用チップを用いるピペットの汚染防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−115781(P2006−115781A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308568(P2004−308568)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(591085422)高畑精工株式会社 (16)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】