説明

フィルタ交換推定装置、空調システムおよび方法

【課題】従来に比べて安全かつ適切な空気浄化フィルタの交換タイミングを提示する。
【解決手段】フィルタ交換推定装置は、空間の微生物数を計測する微生物数計測部1と、空気浄化フィルタ通気量の情報を取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得部2と、微生物累積数閾値を記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶部3と、微生物数と空気浄化フィルタ通気量との積を、フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶部4と、履歴データに基づいてフィルタを通過した微生物の累積数推定値を算出する微生物累積数推定値算出部5と、微生物累積数閾値から微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を検索し、最短期間の時間をフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断部6と、フィルタ交換最短予測時間を提示するフィルタ交換タイミング提示部7とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を対象とする空気浄化フィルタの交換タイミングを推定するフィルタ交換推定装置、およびフィルタ交換推定装置を用いて空気浄化フィルタの交換タイミングを調整する空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中の異物を除去するための装置として、種々の空気浄化装置(空気清浄装置)や空気洗浄装置(エアウォッシャ)が実用化されている。空気浄化装置は、空気浄化フィルタ(エアフィルタ)によって空気中の塵埃などの浮遊微小粒子、ガス状汚染物、油脂分、バクテリア等の微生物が付着した粉塵などの異物を濾過することにより、これらを除去する装置である。一方、空気洗浄装置は、空気を水洗いすることにより、空気中の塵埃や微生物などを除去する装置である。
【0003】
空気浄化フィルタについては、除去対象物の種類、除去対象物の粒径、粒子捕集率などの用途に応じて、種々のフィルタが利用されている。またフィルタの形状に関しても、マット形、クサビ形、折り込み形、カゴ形、袋形、パネル形、ボックス形など様々な形が用いられている。
【0004】
そして、空気浄化フィルタに溶菌作用を有する酵素単独もしくは種々の蛋白質・ペプチドや多糖類等を共存させて、空気浄化フィルタの微生物殺菌・滅菌・除去能力を向上させるべく、特定の材料および形状を有する担体の表面に酵素を固定化処理することにより、空気浄化フィルタの微生物殺菌・滅菌・除去能力を向上させ、その微生物殺菌・滅菌・除去能力を長期間に渡って維持するようにしたものも開発されている(特許文献1参照)。
【0005】
上記のように、空気浄化フィルタの能力を長期間に渡って維持することは重要な課題であるが、永遠に利用できるものではないので、当然ながらフィルタ交換などのメンテナンスは避けられない。上記のような酵素を固定化処理するなどして能力を向上させたフィルタなどは、単純に材質の劣化によって能力が低下するわけではなく、細菌などの微生物との反応履歴に応じて能力が低下する。すなわち、フィルタ交換などの適切なメンテナンスのタイミングは、単純に有効期限を決めるような方法が妥当なのではなく、能力の低下を確認して判断するのが好ましい。
【0006】
しかしながら、フィルタの微生物殺菌・滅菌・除去能力を評価するには、微生物の生存菌数が予めわかっている空気をフィルタに試験的に流して、流した後の微生物の生存菌数の減少を確認するというような、非現実的な方法を採用しなければならない。したがって、従来は経験に基づき、一定の計画期間でフィルタを交換していた。このため、まだ十分に使用可能なフィルタを交換処理していたり、逆に能力が低下したフィルタを交換せずに使用していたりという不具合が避けられなかった。
【0007】
この課題に関連して、ケミカルフィルタの上流に配置した汚染性ガス検知器により気体中の汚染性ガス濃度を測定し、ケミカルフィルタへの汚染性ガス成分の負荷量の積算値を算出することにより、ケミカルフィルタの寿命を予測する方法が提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2に開示された方法によれば、フィルタの寿命に到達するまでの時間を推定することはせず、積算負荷量と新品時の処理容量からフィルタの消費率を計算し、消費率の一定の閾値(例えば80%)をフィルタ交換のタイミングとして提示する。微生物を対象とする空気浄化フィルタに、特許文献2に開示された方法を応用すると、以下の方法が考えられる。
【0008】
空気浄化フィルタを通過した微生物累積数を推定し、フィルタ交換のタイミングの判断に反映することで、従来に比べ、より適切なタイミングで空気浄化フィルタの交換を判断できるようになる。
微生物累積数の推定については、米国バイオビジラントシステムズ(BioVigilant Systems)社が開発したリアルタイム細菌ディテクタ(非特許文献1参照)による計測値を利用できる。空気浄化フィルタを備えた浄化装置が設置された浄化対象領域内に、少なくとも1個のリアルタイム細菌ディテクタが設置されているものとする。好ましくは、リアルタイム細菌ディテクタによる計測値と空気浄化フィルタを通過する微生物数との相関関係を、予め調べておくことが好ましい。しかし、特別に広大な空間でなければ、単位時間内にリアルタイム細菌ディテクタで検出される微生物数(例えばN個/m3)を、同じ単位時間内で空気浄化フィルタを通過する空気量(例えばm3)で直接換算する程度でもよい。
【0009】
そして、空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数に対応して、適切なフィルタ交換のタイミングを予め規定しておく。適切なタイミングは、空気浄化フィルタの種類ごとに予め空気浄化フィルタの微生物殺菌・滅菌・除去能力と空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数との関係を調べておき、空気浄化フィルタの設置用途に応じて必要な能力に基づき規定すればよい。以上により、リアルタイム細菌ディテクタを用いて、空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数を推定して、適切なフィルタ交換のタイミングを自動的に提示できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−203295号公報
【特許文献2】特開平11−226341号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】長谷川倫男他,「気中微生物リアルタイム検出技術とその応用」,株式会社山武,azbil Technical Review 2009年12月号,p.2−7,2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
空気浄化フィルタが医薬品製造施設などのような重要な場所で利用されている場合、フィルタ交換のタイミングになってから提示するのは適切ではない。空気浄化フィルタが多数利用されており、かつ空気浄化フィルタの在庫が施設内に十分にない場合は、フィルタ交換が完了するまでに長い期間を要することになり得るわけであり、フィルタ交換が完了するまでの期間は医薬品の製造を停止しなければならなくなる。したがって、フィルタ交換のタイミングは予測して提示する必要がある。フィルタ交換のタイミングを予測して提示することは、特許文献2にも開示されているが、微生物数は季節、温度、湿度、空間内の在室者数などによりランダムに変化するので、フィルタの一定の消費率を閾値とするのは、適切なフィルタ交換のタイミングを予測していることにはならない。例えば消費率が80%になった時点でフィルタを交換するのは、交換が早過ぎる可能性があるし、逆に交換が遅すぎる可能性もある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来に比べて安全かつ適切な空気浄化フィルタの交換タイミングを提示することができるフィルタ交換推定装置および方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、各空気浄化フィルタの交換のタイミングを合わせることができる空調システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のフィルタ交換推定装置は、空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段と、前記フィルタ交換最短予測時間を設備管理者に提示するフィルタ交換タイミング提示手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ交換推定装置の1構成例において、前記フィルタ交換タイミング判断手段は、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とし、前記フィルタ交換タイミング提示手段は、前記フィルタ交換最短予測時間と共に前記フィルタ交換最長予測時間を設備管理者に提示することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の空調システムは、空調機と、この空調機を制御する空調機制御手段と、空気浄化フィルタが設置され、前記空調機から供給される給気を送出する複数の給気吹出口と、現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定装置と、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間の少なくとも一方を取得する予測時間取得手段と、この予測時間取得手段が取得した予測時間に応じて、各給気吹出口の風量を演算する風量調整参考情報演算手段と、この風量調整参考情報演算手段の演算結果を前記空調機制御手段に送信し、各給気吹出口の風量を設定する送信手段とを備え、前記フィルタ交換推定装置は、前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段とを有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の空調システムは、空調機と、この空調機を制御する空調機制御手段と、空気浄化フィルタが設置され、前記空調機から供給される給気を送出する複数の給気吹出口と、現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定装置と、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間とを取得する予測時間取得手段と、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間との加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べる演算を行う予測時間順位演算手段と、設備管理者に対して前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順または短い順に提示する提示手段とを備え、前記フィルタ交換推定装置は、前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段とを有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の空調システムの1構成例において、前記空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間に給気を供給する空調機であり、前記空調機制御手段は、前記空調機から前記複数の給気吹出口に供給される給気の風量を給気吹出口毎に制御する風量可変空調(VAV)コントローラであることを特徴とするものである。
また、本発明の空調システムの1構成例において、前記空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間を分割したゾーン毎に設置された個別空調機であり、前記空調機制御手段は、前記個別空調機から対応するゾーンの給気吹出口に供給される給気の風量をゾーン毎に制御する手段であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のフィルタ交換推定方法は、空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、前記空気浄化フィルタの交換が必要になる所定の微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップと、前記フィルタ交換最短予測時間を設備管理者に提示するフィルタ交換タイミング提示ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の空調制御方法は、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを、複数の給気吹出口の各々に設けられた空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定ステップと、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間の少なくとも一方を取得する予測時間取得ステップと、この予測時間取得ステップで取得した予測時間に応じて、各給気吹出口の風量を演算する風量調整参考情報演算ステップと、この風量調整参考情報演算ステップの演算結果を空調機制御手段に送信し、各給気吹出口の風量を設定する送信ステップとを備え、前記フィルタ交換推定ステップは、前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップとからなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の空調制御方法は、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを、複数の給気吹出口の各々に設けられた空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定ステップと、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間とを取得する予測時間取得ステップと、前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間との加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べる演算を行う予測時間順位演算ステップと、設備管理者に対して前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順または短い順に提示する提示ステップとを備え、前記フィルタ交換推定ステップは、前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップとからなるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、フィルタ交換最短予測時間を算出して提示することにより、設備管理者は安全かつ適切な交換タイミングでフィルタ交換を行うことができる。
【0022】
また、本発明では、フィルタ交換最短予測時間に加えて、フィルタ交換最長予測時間を算出して提示することにより、設備管理者はフィルタ交換最短予測時間の確からしさを推測することができる。
【0023】
また、本発明では、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求め、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間の少なくとも一方を取得し、取得した予測時間に応じて、各給気吹出口の風量を演算し、この演算結果を空調機制御手段に送信して、各給気吹出口の風量を設定することにより、交換タイミングまでの時間が長いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が多くなり、交換タイミングまでの時間が短いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が少なくなるように空調制御を行うことができる。その結果、本発明では、各空気浄化フィルタの交換タイミングが揃うように空調制御を行うことができるので、フィルタ交換のタイミングを合わせやすくなり、フィルタ交換作業の効率を向上させることができる。
【0024】
また、本発明では、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求め、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間とを取得し、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間との加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べて提示することにより、設備管理者は交換タイミングまでの時間が長いと予想される空気浄化フィルタと交換タイミングまでの時間が短いと予想される空気浄化フィルタの設置場所を入れ換えることが可能になる。その結果、本発明では、フィルタ交換のタイミングを合わせやすくなり、フィルタ交換作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフィルタ交換推定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るフィルタ交換推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る空調システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における風量可変空調制御系の概略図である。
【図5】風量可変空調制御系と本発明の第2の実施の形態に係る空調システムの送信部との関係を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る空調システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る空調システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[発明の原理1]
リアルタイム性の高いリアルタイム細菌ディテクタ(非特許文献1参照)を利用して、履歴データに基づき空気浄化フィルタを通過する微生物の数の最大量のペース(最短時間のペース)を手掛かりとすることにより、設備管理者に有効な情報を提供できる。すなわち、フィルタ交換すべき限界の微生物累積数(特許文献2における消費率100%に相当)までの残りの微生物数が、空気浄化フィルタを通過する可能性のある最短期間(過去の実績における最大の通過ペースをあてはめた期間)を検索し、この最短期間の所要時間を現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とする。このフィルタ交換最短予測時間を提示することにより、安全かつ適切な交換タイミングでフィルタ交換が行なえるようになる。
【0027】
なお、同じく最長期間(過去の実績における最大の通過ペースをあてはめた期間)を検索し、この最長期間の所要時間を現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間として、フィルタ交換最短予測時間と併せて提示することにより、フィルタ交換最短予測時間の確度(確からしさ)も、設備管理者などが推測できるようになり好適である。すなわち、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間の幅が小さければ、それだけ曖昧さは小さいと言えるし、フィルタ交換最短予測時間とフィルタ交換最長予測時間の幅が大きければ、それだけ曖昧さは大きいと言える。
【0028】
[発明の原理2]
医薬品製造施設などのような大規模な施設では、複数の空気浄化フィルタが利用されている。したがって、フィルタ交換のタイミングは各フィルタによって異なってくる。そこで、複数利用されている空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順(あるいは短い順)に並べて、予測時間が長い空気浄化フィルタと予測時間が短い空気浄化フィルタの設置場所を交換するように提示すれば、フィルタ交換のタイミングを合わせやすくなり、フィルタ交換作業の効率を向上させることができる。
【0029】
あるいは、大規模な施設空間にて風量可変空調(VAV)あるいは複数の個別空調機による空調を行なっていて、空気浄化フィルタを複数の給気吹出口に設置している場合は、空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間が長いフィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が多くなり、短いフィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が少なくなるように、空調制御特性を自動調整する。これにより、フィルタ交換のタイミングを合わせやすくなり、フィルタ交換作業の効率を向上させることができる。
【0030】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るフィルタ交換推定装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上記発明の原理1に対応するものである。フィルタ交換推定装置は、空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測部1と、空気浄化フィルタを通過する空気の量である空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段(不図示)から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得部2と、空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶部3と、微生物数と空気浄化フィルタ通気量との積の値を、空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶部4と、微生物数履歴データ記憶部4に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出部5と、微生物累積数閾値から微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、微生物数履歴データ記憶部4から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断部6と、フィルタ交換最短予測時間を設備管理者に提示するフィルタ交換タイミング提示部7とから構成される。
【0031】
本実施の形態では、説明を簡易にするために、微生物数計測部1が計測対象とする空気は、空気浄化フィルタを通過する直前の空気であるものとする。
図2は本実施の形態のフィルタ交換推定装置の動作を示すフローチャートである。微生物数計測部1は、空気浄化フィルタが設置された浄化対象空間における特定のタイミングTjで検出される単位容積および単位時間あたりの微生物の数をNj[個/m3]として計測する(図2ステップS100)。微生物数計測部1としては、リアルタイム細菌ディテクタ(非特許文献1参照)が利用できる。
【0032】
空気浄化フィルタ通気量情報取得部2は、微生物数計測部1の計測と同じタイミングTjでの空気浄化フィルタ通気量Vj[m3/min]の情報を空調機制御手段から取得する(ステップS101)。空調機制御手段については後述する。
微生物数履歴データ記憶部4は、微生物数計測部1が計測した微生物数Njと空気浄化フィルタ通気量情報取得部2が取得した空気浄化フィルタ通気量Vjとの積NjVj[個/min]を、タイミングTjにおいて空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する(ステップS102)。
【0033】
微生物累積数推定値算出部5は、微生物数履歴データ記憶部4に記憶された微生物数の履歴データに基づいて、空気浄化フィルタの新品時点から現時点までに空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値ΣNjVj[個]を算出する(ステップS103)。微生物数履歴データ記憶部4には、空気浄化フィルタの新品時点Tj=0から現時点Tj=Txまでの各タイミングTjにおける微生物数の履歴データが記憶されているので、これらの履歴データの値を積算することにより、微生物累積数推定値ΣNjVj[個]を算出することができる。
【0034】
空気浄化フィルタ能力特性記憶部3には、空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値NTが予め記憶されている。なお、微生物累積数閾値NTは空気浄化フィルタ毎に設定されている値でもよいし、各空気浄化フィルタに共通の値でもよい。
【0035】
フィルタ交換タイミング判断部6は、微生物累積数閾値NTから現時点の微生物累積数推定値ΣNjVjを引いた残りの微生物数(NT−ΣNjVj)と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、微生物数履歴データ記憶部4から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間Tminとする(ステップS104)。例えば微生物数履歴データ記憶部4に記憶された微生物数の累積値が(NT−ΣNjVj)と同数以上となる期間のうち最短の期間がTj=TaからTj=Tbまでの期間であった場合、Tj=TaからTj=Tbまでの所要時間がフィルタ交換最短予測時間Tminとなる。
【0036】
また、フィルタ交換タイミング判断部6は、残りの微生物数(NT−ΣNjVj)と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、微生物数履歴データ記憶部4から検索し、検索した最長期間の所要時間を現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間Tmaxとする(ステップS105)。例えば微生物数履歴データ記憶部4に記憶された微生物数の累積値が(NT−ΣNjVj)と同数以下となる期間のうち最長の期間がTj=TcからTj=Tdまでの期間であった場合、Tj=TcからTj=Tdまでの所要時間がフィルタ交換最長予測時間Tmaxとなる。
【0037】
フィルタ交換タイミング提示部7は、フィルタ交換最短予測時間Tminとフィルタ交換最長予測時間Tmaxとを、フィルタ交換を行う設備管理者に提示する(ステップS106)。
フィルタ交換推定装置は、以上の図2に示した処理を特定の周期(あるいは特定のタイミング)で繰り返し実行する。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、フィルタ交換最短予測時間Tminとフィルタ交換最長予測時間Tmaxを算出して提示することにより、設備管理者は安全かつ適切な交換タイミングでフィルタ交換を行うことができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係る空調システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上記発明の原理2に対応するものである。空調システムは、フィルタ交換推定装置10_1〜10_4と、空調機11と、空調機11によって冷却または加熱された空気(給気)の量を調節するダンパ12_1〜12_4と、給気吹出口13_1〜13_4と、給気吹出口13_1〜13_4に設置された空気浄化フィルタ14_1〜14_4と、ダンパ12_1〜12_4の開度を制御する空調機制御手段となる風量可変空調(VAV)コントローラ15と、各フィルタ交換推定装置10_1〜10_4からフィルタ交換最短予測時間Tminとフィルタ交換最長予測時間Tmaxを取得する予測時間取得部16と、フィルタ交換最短予測時間Tminとフィルタ交換最長予測時間Tmaxとの加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べる演算を行う予測時間順位演算部17と、設備管理者に対して空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順または短い順に提示する提示部18と、予測時間取得部16が取得した予測時間に応じて、各給気吹出口13_1〜13_4の風量を演算する風量調整参考情報演算部19と、風量調整参考情報演算部19の演算結果をVAVコントローラ15に送信し、各給気吹出口13_1〜13_4の風量を設定する送信部20とから構成される。
【0040】
フィルタ交換推定装置10_1〜10_4は、それぞれ給気吹出口13_1〜13_4の空気浄化フィルタ14_1〜14_4に対応して設けられている。本実施の形態では説明を簡易にするために、各フィルタ交換推定装置10_1〜10_4の微生物数計測部1が計測対象とする空気は、それぞれ給気吹出口13_1〜13_4の空気浄化フィルタ14_1〜14_4を通過する直前の給気であるものとする。
【0041】
図4に4個のPIDコントローラを用いてVAVコントローラ15を構成した場合のVAV制御系の概略図を示す。図3、図4の例では、空調対象の空間を複数のゾーンZ1〜Z4に分割し、ゾーンZ1〜Z4毎にダンパ12_1〜12_4と、給気吹出口13_1〜13_4と、空気浄化フィルタ14_1〜14_4と、ゾーンZ1〜Z4の温度を計測する温度センサ22_1〜22_4とを設けている。VAVコントローラ15は、4つのPIDコントローラ21_1〜21_4から構成される。
【0042】
図4において、SP1,SP2,SP3,SP4はそれぞれゾーンZ1,Z2,Z3,Z4の設定値であり、設定温度である。設定値SP1〜SP4は、例えばゾーンZ1〜Z4の居住者によって与えられる。MV1,MV2,MV3,MV4はそれぞれPIDコントローラ21_1,21_2,21_3,21_4からゾーンZ1,Z2,Z3,Z4のダンパ12_1,12_2,12_3,12_4に与えられる操作量であり、ダンパ開度を示している。PV1,PV2,PV3,PV4はそれぞれゾーンZ1,Z2,Z3,Z4の制御量であり、温度センサ22_1,22_2,22_3,22_4によって計測される温度計測値である。
【0043】
各PIDコントローラ21_1,21_2,21_3,21_4は、それぞれPID演算を行ない、算出した操作量MV1,MV2,MV3,MV4を所定の操作量上限値OH_1,OH_2,OH_3,OH_4と操作量下限値OL_1,OL_2,OL_3,OL_4で上下限処理した後に出力する。
【0044】
図5にPID制御を適用したVAV制御系と本実施の形態との関係を示す。図5において、P1,P2,P3,P4はそれぞれゾーンZ1,Z2,Z3,Z4の制御対象である。図5は、制御対象P1とPIDコントローラ21_1とからなるフィードバック制御系がゾーンZ1に形成され、制御対象P2とPIDコントローラ21_2とからなるフィードバック制御系がゾーンZ2に形成され、制御対象P3とPIDコントローラ21_3とからなるフィードバック制御系がゾーンZ3に形成され、制御対象P4とPIDコントローラ21_4とからなるフィードバック制御系がゾーンZ4に形成されることを示している。また、後述する送信部20の動作により、PIDコントローラ21_1〜21_4の操作量下限値OL_1〜OL_4が設定されることを示している。
【0045】
図6は本実施の形態の空調システムの動作を示すフローチャートである。フィルタ交換推定装置10_k(k=1〜4)は、対応するゾーンZkの空気浄化フィルタ14_kについてフィルタ交換最短予測時間Tmin_kとフィルタ交換最長予測時間Tmax_kとを求める。すなわち、フィルタ交換推定装置10_kは、第1の実施の形態で説明した処理を空気浄化フィルタ14_k毎に行う。
【0046】
予測時間取得部16は、予め規定されたタイミングで、各フィルタ交換推定装置10_kからフィルタ交換最短予測時間Tmin_kとフィルタ交換最長予測時間Tmax_kとを取得する(図6ステップS200)。
予測時間順位演算部17は、フィルタ交換最短予測時間Tmin_kとフィルタ交換最長予測時間Tmax_kとの加重和の加重を最も単純に1:1として、Tmin_k+Tmax_kを、現時点から空気浄化フィルタ14_kの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ14_k毎に算出し、この算出した予測時間を長い順に並べる演算を行なう(ステップS201)。なお、ここでの予測時間は、各ゾーンの相対比較が目的となるので、加重和の加重は全ゾーン共通に適宜設計すればよい。
【0047】
提示部18は、設備管理者に対して空気浄化フィルタ14_kの交換タイミングまでの予測時間を長い順に提示する(ステップS202)。設備管理者は、提示部18に提示された予測時間を確認することにより、交換タイミングまでの時間が長いと予想される空気浄化フィルタと交換タイミングまでの時間が短いと予想される空気浄化フィルタの設置場所を入れ換えることが可能になる。空気浄化フィルタの設置場所を入れ換えた場合には、設備管理者がデータの入れ換えを行うことになる。例えば、空気浄化フィルタ14_1と14_2の設置場所を入れ換えた場合には、フィルタ交換推定装置10_1の微生物数履歴データ記憶部4に記憶されている微生物数の履歴データとフィルタ交換推定装置10_2の微生物数履歴データ記憶部4に記憶されている微生物数の履歴データとを入れ換える。なお、予測時間順位演算部17と提示部18の処理は、予測時間を長い順に並べてもよいし、短い順に並べてもよい。
【0048】
次に、風量調整参考情報演算部19は、予測時間順位演算部17が演算した予測時間に応じて、各給気吹出口13_kの風量下限値OL_kを算出する(ステップS203)。まず、風量調整参考情報演算部19は、以下のように予測時間の総和に対する各予測時間の比率αkを空気浄化フィルタ14_k毎に算出する。
X=Σ(Tmin_k+Tmax_k)
=Tmin_1+Tmax_1+Tmin_2+Tmax_2
+Tmin_3+Tmax_3+Tmin_4+Tmax_4 ・・・(1)
αk=(Tmin_k+Tmax_k)/X ・・・(2)
【0049】
続いて、風量調整参考情報演算部19は、風量下限値OL_kの総和に対する各風量下限値OL_kの比率が予測時間の比率αkと同一となり、かつ各風量下限値OL_kの総和が換気に必要な所定の総風量下限値LTに一致するように、各風量下限値OL_kを求める。なお、ここでの風量下限値OL_kは、0〜100%の正規化された値である。
OL_k=LTαk ・・・(3)
【0050】
送信部20は、風量調整参考情報演算部19が算出した風量下限値OL_kを操作量下限値OL_kとしてそれぞれ対応するPIDコントローラ21_kに設定する(ステップS204)。以後、各PIDコントローラ21_kは、設定された操作量下限値OL_kを用いて操作量MVkを算出することになる。これにより、交換タイミングまでの時間が長いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が多くなり、交換タイミングまでの時間が短いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が少なくなるように空調制御が行われる。その結果、本実施の形態では、各空気浄化フィルタの交換タイミングが揃うように空調制御が行われることになるので、フィルタ交換のタイミングを合わせやすくなり、フィルタ交換作業の効率を向上させることができる。
【0051】
VAVコントローラ15のPID演算は下記のように行なわれる。なお、操作量上限値OH_1,OH_2,OH_3,OH_4は適宜任意に設定されていればよい。
まず、PIDコントローラ21_1は、設定値SP1と制御量PV1に基づいて、以下の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV1を算出する。
MV1=(100/Pb1){1+(1/Ti1s)+Td1s}(SP1−PV1)
・・・(4)
【0052】
Pb1は比例帯、Ti1は積分時間、Td1は微分時間、sはラプラス演算子である。さらに、PIDコントローラ21_1は、操作量MV1の出力に際して、以下の式のような操作量MV1の上下限処理を行う。
If MV1>OH_1 then MV1=OH_1 ・・・(5)
If MV1<OL_1 then MV1=OL_1 ・・・(6)
すなわち、PIDコントローラ21_1は、操作量MV1が操作量上限値OH_1より大きい場合、操作量MV1=OH_1として出力する上限処理を行い、操作量MV1が操作量下限値OL_1より小さい場合、操作量MV1=OL_1として出力する下限処理を行う。
【0053】
PIDコントローラ21_2は、設定値SP2と制御量PV2に基づいて、以下の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV2を算出する。
MV2=(100/Pb2){1+(1/Ti2s)+Td2s}(SP2−PV2)
・・・(7)
【0054】
Pb2は比例帯、Ti2は積分時間、Td2は微分時間である。さらに、PIDコントローラ21_2は、操作量MV2の出力に際して、以下の式のような操作量MV2の上下限処理を行う。
If MV2>OH_2 then MV2=OH_2 ・・・(8)
If MV2<OL_2 then MV2=OL_2 ・・・(9)
【0055】
PIDコントローラ21_3は、設定値SP3と制御量PV3に基づいて、以下の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV3を算出する。
MV3=(100/Pb3){1+(1/Ti3s)+Td3s}(SP3−PV3)
・・・(10)
【0056】
Pb3は比例帯、Ti3は積分時間、Td3は微分時間である。さらに、PIDコントローラ21_3は、操作量MV3の出力に際して、以下の式のような操作量MV3の上下限処理を行う。
If MV3>OH_3 then MV3=OH_3 ・・・(11)
If MV3<OL_3 then MV3=OL_3 ・・・(12)
【0057】
PIDコントローラ21_4は、設定値SP4と制御量PV4に基づいて、以下の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MV4を算出する。
MV4=(100/Pb4){1+(1/Ti4s)+Td4s}(SP4−PV4)
・・・(13)
【0058】
Pb4は比例帯、Ti4は積分時間、Td4は微分時間である。さらに、PIDコントローラ21_4は、操作量MV4の出力に際して、以下の式のような操作量MV4の上下限処理を行う。
If MV4>OH_4 then MV4=OH_4 ・・・(14)
If MV4<OL_4 then MV4=OL_4 ・・・(15)
【0059】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上記発明の原理2に対応するものであり、部屋毎もしくはゾーン毎に個別空調機を設ける場合について説明するものである。第2の実施の形態との違いは、空調機11の代わりに、ゾーンZk(k=1〜4)毎に個別空調機が設置され、空調機制御手段となる各PIDコントローラ21_kがそれぞれ対応する個別空調機に供給される熱媒(冷水または温水)の量を制御することである。各個別空調機は、空調対象の空間から個別空調機へ戻される空気を熱交換機に通し、空気を冷却または加熱して各ゾーンの給気吹出口13_kに送り出す。操作量調整参考情報演算部19および送信部20と各PIDコントローラ21_kとの関係は図5に示したとおりであるので、第2の実施の形態の符号を用いて説明する。
【0060】
図7は本実施の形態の空調システムの動作を示すフローチャートである。図7のステップS200〜S202の処理は、第2の実施の形態と同様である。本実施の形態の風量調整参考情報演算部19は、予測時間順位演算部17が演算した予測時間に応じて、各個別空調機を循環する固定風量Wkを個別空調機毎に算出する(ステップS205)。風量調整参考情報演算部19は、第2の実施の形態と同様に、予測時間の総和に対する各予測時間の比率αkを空気浄化フィルタ14_k毎に算出する。
【0061】
そして、風量調整参考情報演算部19は、固定風量Wkの総和に対する各固定風量Wkの比率が予測時間の比率αkと同一となり、かつ各固定風量Wkの総和が所定の総風量WTに一致するように、各固定風量Wkを求める。
W_k=WTαk ・・・(16)
【0062】
送信部20は、風量調整参考情報演算部19が算出した固定風量Wkをそれぞれ対応する個別空調機の空調機制御手段に送り、個別空調機を循環する空気の量を固定風量Wkに設定する(ステップS206)。各個別空調機では、固定風量Wkに応じてファンの回転が制御されることになる。これにより、交換タイミングまでの時間が長いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が多くなり、交換タイミングまでの時間が短いと予想される空気浄化フィルタが設置されている給気吹出口からの給気量が少なくなるように空調制御が行われる。その結果、本実施の形態では、個別空調機を用いる空調システムにおいて、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、第2、第3の実施の形態では、空気浄化フィルタ14_k毎にフィルタ交換推定装置10_kを設けているが、これに限るものではなく、空気浄化フィルタ14_k毎に微生物数計測部1を設けるようにすれば、1台のフィルタ交換推定装置で空気浄化フィルタ14_k毎の演算を行うことができる。
また、第2、第3の実施の形態では、図2のステップS106の処理は必須の処理ではない。
【0064】
第1〜第3の実施の形態で説明したフィルタ交換推定装置と予測時間取得部16と予測時間順位演算部17と提示部18と風量調整参考情報演算部19と送信部20とは、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第3の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、空気浄化フィルタの交換を判断する技術に適用することができる。また、本発明は、各空気浄化フィルタの交換のタイミングを調整する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…微生物数計測部、2…空気浄化フィルタ通気量情報取得部、3…空気浄化フィルタ能力特性記憶部、4…微生物数履歴データ記憶部、5…微生物累積数推定値算出部、6…フィルタ交換タイミング判断部、7…フィルタ交換タイミング提示部、10_1〜10_4…フィルタ交換推定装置、11…空調機、12_1〜12_4…ダンパ、13_1〜13_4…給気吹出口、14_1〜14_4…空気浄化フィルタ、15…風量可変空調コントローラ、16…予測時間取得部、17…予測時間順位演算部、18…提示部、19…風量調整参考情報演算部、20…送信部、21_1〜21_4…PIDコントローラ、22_1〜22_4…温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、
空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、
前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、
この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、
前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段と、
前記フィルタ交換最短予測時間を設備管理者に提示するフィルタ交換タイミング提示手段とを備えることを特徴とするフィルタ交換推定装置。
【請求項2】
請求項1記載のフィルタ交換推定装置において、
前記フィルタ交換タイミング判断手段は、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とし、
前記フィルタ交換タイミング提示手段は、前記フィルタ交換最短予測時間と共に前記フィルタ交換最長予測時間を設備管理者に提示することを特徴とするフィルタ交換推定装置。
【請求項3】
空調機と、
この空調機を制御する空調機制御手段と、
空気浄化フィルタが設置され、前記空調機から供給される給気を送出する複数の給気吹出口と、
現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定装置と、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間の少なくとも一方を取得する予測時間取得手段と、
この予測時間取得手段が取得した予測時間に応じて、各給気吹出口の風量を演算する風量調整参考情報演算手段と、
この風量調整参考情報演算手段の演算結果を前記空調機制御手段に送信し、各給気吹出口の風量を設定する送信手段とを備え、
前記フィルタ交換推定装置は、
前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、
空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、
前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、
この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、
前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段とを有することを特徴とする空調システム。
【請求項4】
空調機と、
この空調機を制御する空調機制御手段と、
空気浄化フィルタが設置され、前記空調機から供給される給気を送出する複数の給気吹出口と、
現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定装置と、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間とを取得する予測時間取得手段と、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間との加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べる演算を行う予測時間順位演算手段と、
設備管理者に対して前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順または短い順に提示する提示手段とを備え、
前記フィルタ交換推定装置は、
前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測手段と、
空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得手段と、
前記空気浄化フィルタの交換が必要になる微生物累積数閾値を予め記憶する空気浄化フィルタ能力特性記憶手段と、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして記憶する微生物数履歴データ記憶手段と、
この微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出手段と、
前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断手段とを有することを特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項3または4記載の空調システムにおいて、
前記空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間に給気を供給する空調機であり、
前記空調機制御手段は、前記空調機から前記複数の給気吹出口に供給される給気の風量を給気吹出口毎に制御する風量可変空調(VAV)コントローラであることを特徴とする空調システム。
【請求項6】
請求項3または4記載の空調システムにおいて、
前記空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間を分割したゾーン毎に設置された個別空調機であり、
前記空調機制御手段は、前記個別空調機から対応するゾーンの給気吹出口に供給される給気の風量をゾーン毎に制御する手段であることを特徴とする空調システム。
【請求項7】
空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、
空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、
前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、
前記空気浄化フィルタの交換が必要になる所定の微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップと、
前記フィルタ交換最短予測時間を設備管理者に提示するフィルタ交換タイミング提示ステップとを備えることを特徴とするフィルタ交換推定方法。
【請求項8】
請求項7記載のフィルタ交換推定方法において、
前記フィルタ交換タイミング判断ステップは、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を現時点から前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とし、
前記フィルタ交換タイミング提示ステップは、前記フィルタ交換最短予測時間と共に前記フィルタ交換最長予測時間を設備管理者に提示することを特徴とするフィルタ交換推定方法。
【請求項9】
現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを、複数の給気吹出口の各々に設けられた空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定ステップと、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間の少なくとも一方を取得する予測時間取得ステップと、
この予測時間取得ステップで取得した予測時間に応じて、各給気吹出口の風量を演算する風量調整参考情報演算ステップと、
この風量調整参考情報演算ステップの演算結果を空調機制御手段に送信し、各給気吹出口の風量を設定する送信ステップとを備え、
前記フィルタ交換推定ステップは、
前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、
空気浄化フィルタ通気量の情報を前記空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、
前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、
前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップとからなることを特徴とする空調制御方法。
【請求項10】
現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの最短時間であるフィルタ交換最短予測時間と交換タイミングまでの最長時間であるフィルタ交換最長予測時間とを、複数の給気吹出口の各々に設けられた空気浄化フィルタ毎に求めるフィルタ交換推定ステップと、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間とを取得する予測時間取得ステップと、
前記フィルタ交換最短予測時間と前記フィルタ交換最長予測時間との加重和を、現時点から空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間として空気浄化フィルタ毎に算出し、この算出した予測時間を長い順または短い順に並べる演算を行う予測時間順位演算ステップと、
設備管理者に対して前記空気浄化フィルタの交換タイミングまでの予測時間を長い順または短い順に提示する提示ステップとを備え、
前記フィルタ交換推定ステップは、
前記空気浄化フィルタが設置された空間における微生物数を計測する微生物数計測ステップと、
空気浄化フィルタ通気量の情報を空調機制御手段から取得する空気浄化フィルタ通気量情報取得ステップと、
前記微生物数と前記空気浄化フィルタ通気量との積の値を、前記空気浄化フィルタを通過する微生物の数の履歴データとして微生物数履歴データ記憶手段に記憶させる微生物数履歴データ記憶ステップと、
前記微生物数履歴データ記憶手段に記憶された履歴データに基づいて、現時点までに前記空気浄化フィルタを通過した微生物の累積数の推定値を算出する微生物累積数推定値算出ステップと、
前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以上の微生物数が観測された過去の最短期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最短期間の所要時間を前記フィルタ交換最短予測時間とすると共に、前記微生物累積数閾値から前記微生物累積数推定値を引いた残りの微生物数と同数以下の微生物数が観測された過去の最長期間を、前記微生物数履歴データ記憶手段から検索し、検索した最長期間の所要時間を前記フィルタ交換最長予測時間とするフィルタ交換タイミング判断ステップとからなることを特徴とする空調制御方法。
【請求項11】
請求項9または10記載の空調制御方法において、
空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間に給気を供給する空調機であり、
前記空調機制御手段は、前記空調機から前記複数の給気吹出口に供給される給気の風量を給気吹出口毎に制御する風量可変空調(VAV)コントローラであることを特徴とする空調制御方法。
【請求項12】
請求項9または10記載の空調制御方法において、
空調機は、前記複数の給気吹出口が設置された空間を分割したゾーン毎に設置された個別空調機であり、
前記空調機制御手段は、前記個別空調機から対応するゾーンの給気吹出口に供給される給気の風量をゾーン毎に制御する手段であることを特徴とする空調制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191017(P2011−191017A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58900(P2010−58900)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】