フィルタ切替ユニットおよび撮像装置
【課題】赤外線カットフィルタの切換が手動であってもフォトインタラプタから撮像素子に入射する赤外光を遮断すること
【解決手段】フィルタ切替ユニット8は、赤外線カットフィルタ37を撮影光学系L1〜L4から撮像素子41に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、レール43を有し、赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ枠と、フィルタ枠の位置を検出する透過型フォトインタラプタを備えたIRリセット39と、フィルタ枠が回転する範囲に亘ってレール43と接触して摺動するレール47を有し、撮像素子を保持する撮像素子ホルダ38と、を有し、レール47は撮影光学系の光軸方向において透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、赤外線カットフィルタが光路から外れているときはレール43と47が透過型フォトインタラプタから撮像素子に入射する光を遮光する。
【解決手段】フィルタ切替ユニット8は、赤外線カットフィルタ37を撮影光学系L1〜L4から撮像素子41に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、レール43を有し、赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ枠と、フィルタ枠の位置を検出する透過型フォトインタラプタを備えたIRリセット39と、フィルタ枠が回転する範囲に亘ってレール43と接触して摺動するレール47を有し、撮像素子を保持する撮像素子ホルダ38と、を有し、レール47は撮影光学系の光軸方向において透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、赤外線カットフィルタが光路から外れているときはレール43と47が透過型フォトインタラプタから撮像素子に入射する光を遮光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カットフィルタ(以下、「IRカットフィルタ」と呼ぶ場合もある)を有するフィルタ切替ユニットおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線カットフィルタとその位置を検出するフォトインタラプタを備えた撮像装置では、赤外線カットフィルタが撮影光学系から撮像素子に至る光の光路から外れた状態ではフォトインタラプタからの赤外光が撮像素子に入射しないようにする必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1は、赤外線カットフィルタを撮像素子に入射する光の光路に進退自在に支持する機構を有し、赤外線カットフィルタが退避位置に位置する場合にフォトインタラプタの発光部を消灯させるようにした撮像装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−131562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、赤外線カットフィルタをアクチュエータで駆動して切り替えているため、アクチュエータの駆動状態に応じて(即ち、赤外線カットフィルタの位置に応じて)フォトインタラプタの発光部を消灯することが可能である。しかしながら、赤外線カットフィルタを手動駆動によって切り換えるようなレンズ鏡筒の場合、フォトインタラプタを消灯させるタイミングが分からずに対応できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、赤外線カットフィルタの切換が手動であってもフォトインタラプタから撮像素子に入射する赤外光を遮断することが可能なフィルタ切替ユニット及び撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ切替ユニットは、赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、第1のレールを有し、前記赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ保持部と、前記フィルタ保持部の位置を検出する透過型フォトインタラプタと、前記フィルタ保持部が回転する範囲に亘って前記第1のレールと接触して摺動する第2のレールを有し、前記撮像素子を保持する撮像素子保持部と、を有し、前記第2のレールは前記撮影光学系の光軸方向において前記透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れているときは前記第1のレールと前記第2のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に入射する光を遮光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、赤外線カットフィルタの切換が手動であってもフォトインタラプタから撮像素子に入射する赤外光を遮断することが可能なフィルタ切替ユニット及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】撮像装置のフィルタ切替ユニットのナイトモードにおける部分断面図である。(実施例1)
【図2】図1に示す撮像装置の部分断面図である。(実施例1)
【図3】図1に示す撮像装置の部分断面図である。(実施例1)
【図4】図1に示す撮像装置の部分分解斜視図である。(実施例1)
【図5】図1に示すフィルタ切替ユニットの分解斜視図である。(実施例1)
【図6】図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図7】デイモードにおける図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図8】図7のB−B´断面図である。(実施例1)
【図9】デイモードからナイトモードに切り替わった直後の図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図10】図9のC−C´断面図である。(実施例1)
【図11】図1に示す撮像装置のブロック図である。(実施例1)
【図12】フィルタ切替ユニットの分解斜視図である。(実施例2)
【図13】図12に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例2)
【図14】図13のD−D´断面図である。(実施例2)
【図15】デイモードにおける図12に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例2)
【図16】図15のE−E´断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は、実施例1の撮像装置(ビデオカメラなど)のレンズ鏡筒1近傍の部分断面図(XZ断面図)である。図3は、実施例1の撮像装置のレンズ鏡筒1の近傍の部分断面図(XY断面図)である。図4は、実施例1の撮像装置のレンズ鏡筒1の分解斜視図である。なお、各図において、X軸方向は光軸に平行な方向、Y軸は光軸方向に直交する垂直方向、Z軸は光軸方向に直交する水平方向としてそれぞれ定義されている。
【0012】
レンズ鏡筒1は、図2〜図4において、L1〜L4からなる4群レンズを有し、被写体の光学像を形成する撮影光学系を有する。
【0013】
L1は第1レンズユニットである。L2は光軸方向に移動して変倍を行う第2レンズユニットである。L3は撮影光学系の光軸に対して直交する方向(以下、光軸直交方向という)にシフトして、像振れを低減し且つ、光軸方向に移動可能な第3レンズユニットである。L4は光軸方向に移動して焦点調節を行う第4レンズユニットである。
【0014】
2は第1レンズユニットL1を保持する第1レンズ枠である。3は第2レンズユニットL2を保持するバリエータ移動枠である。4は第3レンズユニットL3を保持するシフトユニットである。5は第4レンズユニットL4を保持するフォーカス移動枠である。6は固定鏡筒で、7は後部鏡筒である。固定鏡筒6は、第1レンズユニットL1を所定位置に固定するため、その後端が後部鏡筒7に結合し、前端が第1レンズ枠2に固定されている。
【0015】
9a、9bは固定鏡筒6と後部鏡筒7とにより両端が保持された第1ガイドバー、第2ガイドバーである。第3ガイドバー10、図示しない第4ガイドバー、第5ガイドバー11、第6ガイドバー11bは、後部鏡筒7と、撮像素子ホルダ7と後述するフィルタ切替ユニット8Aにより、両端が保持されている。
【0016】
バリエータ移動枠3は、第1および第2ガイドバー9a、9bにより光軸方向に移動可能に支持されている。シフトユニット4は、第3ガイドバー10、図示しない第4ガイドバーにより光軸方向に移動可能に支持され、後部鏡筒7に固定されている。
【0017】
12は撮影光学系に入射した光量を変化させ、後部鏡筒7に固定されている光量調節ユニットであり、2枚以上の絞り羽根を光軸直交方向に移動させて開口径を変化させる。また、光量調節ユニット12には、図示しないグラデーションNDフィルタが絞り羽根とは独立して光路に対して進退できるように構成されている。フォーカス移動枠5は第5および第6ガイドバー11a、11bにより光軸方向に移動可能に支持されている。
【0018】
13はバリエータ移動枠3を光軸方向に駆動するステッピングモータであり、後部鏡筒6に固定されている。ステッピングモータ13の出力軸には、リードスクリュー14が形成されている。リードスクリュー14には、バリエータ移動枠3に取り付けられたラック15が係合しているため、ステッピングモータ13に通電されてリードスクリュー14が回転するとバリエータ移動枠3が光軸方向に駆動される。
【0019】
16は、バリエータ移動枠3の基準位置を検出するためのズームリセットであり、バリエータ移動枠3に形成された遮光部207の光軸方向への移動による遮光状態、透光状態の切り換わりを検出するフォトインタラプタにより構成されている。
【0020】
ズームリセット16は、基板を介して後部鏡筒7に固定されている。また、バリエータ移動枠3は、光軸方向に多極着磁されたセンサマグネット17を保持しており、後部鏡筒7のセンサマグネット17に対向した位置には、センサマグネット17の移動に伴う磁力線の変化を読み取るMRセンサ18が固定されている。MRセンサ18からの信号を用いることで、バリエータ移動枠3、つまりは第2レンズユニットL2の所定の基準位置からの移動量を検出することができる。
【0021】
19はシフトユニット4を光軸方向に駆動するステッピングモータであり、後部鏡筒7に固定されている。ステッピングモータ19の出力軸には、リードスクリュー20が形成されている。リードスクリュー20には、シフトユニット4に取り付けられた図示しないシフトラックが係合しているため、ステッピングモータ19に通電されてリードスクリュー20が回転するとシフトユニット4が光軸方向に駆動される。
【0022】
21は、シフトユニット4の基準位置を検出するためのズームリセットであり、シフトユニット4に形成された遮光部22の光軸方向への移動による遮光状態、透光状態の切り換わりを検出するフォトインタラプタにより構成されている。ズームリセット21は、基板を介して後部鏡筒7に固定されている。更に、ズームリセット21と、射光部22の遮光、透光状態の切り換わりは、シフトユニット4の可動範囲内であり、且つフォーカス移動枠5の可動範囲外にある時に検出されるように設定されている。
【0023】
22は第三レンズユニットL3を保持するシフト保持枠である。シフト保持枠22は、2体化されたシフト駆動マグネット23と、マグネットの磁路を閉じるための第一ヨーク24を保持している。
【0024】
25はシフトユニット4のベース部材となるシフトベースであり、シフトコイル26と、シフト駆動マグネット23の磁路を閉じるための第二ヨーク27を保持している。シフトコイル26を通電すると、シフトマグネットに駆動力が発生し、第三レンズユニットL3がシフト保持枠22に対して相対的に光軸と直交する方向に移動する。シフト駆動マグネット23、第一ヨーク24、第二ヨーク27、シフトコイル26はそれぞれ2セットあり、この部分をシフト駆動アクチュエータ部とする。
【0025】
図2において、光軸中心に対して−Z方向にはピッチ方向駆動用シフト駆動アクチュエータ部、Y方向にはヨー駆動用シフト駆動アクチュエータ部が設けられている。シフト駆動ユニットが2セットあるので、光軸と垂直な平面内でいずれの方向にも、第3レンズユニットL3を駆動させることができる。
【0026】
シフトコイル26はシフト用フレキシブル基板46に半田付けされ、電気的に導通可能に構成されている。シフトフレキシブル基板28は、後部鏡筒7に設けられた図示しない止め部に固定されると共に、鏡筒内部に設けられたUターン形状28a部を介して、シフトユニット4に接続されている。Uターン形状47はシフトユニット4が光軸方向に移動するときに、フレシブル基板キの反力がシフトユニット4に加わらないようにする形状を有する。
【0027】
29、30、31は第4レンズユニットL4を光軸方向に駆動するフォーカスモータ(ボイスコイルモータ)を構成する駆動コイル、ドライブマグネットおよび磁束を閉じるためのヨーク部材である。
【0028】
駆動コイル29はフォーカス移動枠4に取り付けられている。ドライブマグネット30は、ヨーク部材31内に設けられており、ヨーク部材31は、フィルタ切替ユニット8Aに取り付けられている。ここで、駆動コイル29に電流を流すと、マグネット30と駆動コイル29との間に発生する磁力線相互の反発によるローレンツ力が発生し、フォーカス移動枠5と共に第4レンズユニットL4が光軸方向に駆動される。
【0029】
フォーカス移動枠5は、光軸方向に多極着磁されたセンサマグネット32を保持しており、後部鏡筒7における前記センサマグネット32に対向した位置には、センサマグネット32の移動に伴う磁力線の変化を読み取るMRセンサ33が固定されている。MRセンサ33からの信号を用いることで、フォーカス移動枠5、つまりは第4レンズユニットL4の所定の基準位置からの移動量を検出することができる。フォーカス移動枠5は、コイルに通電されて、被写体側、すなわち光軸と平行な−X方向に移動し、メカニカル端に当接した状態を基準位置として検出する。
【0030】
コイル29に通電がなされた状態(以下、通電状態という)では、ローレンツ力が発生し、フォーカス移動枠5を光軸方向に移動する。一方、コイル29に通電がなされない状態(以下、非通電状態という)では、フォーカス移動枠5への駆動力が発生せず、更に、フォーカス移動枠5自身が自己保持力を持たない状態となる。ここで、「自己保持力」とは、非通電状態において、移動可能なコイル29、更にはコイル29を設けているフォーカス移動枠5をその場に停止させておくことができる力である。
【0031】
駆動コイル29は、フォーカスフレキシブル基板34に半田付けされ、電気的に導通可能に構成されている。また、フォーカスフレキシブル基板34は、後部鏡筒7に設けられた図示しない止め部に固定されるとともに、鏡筒内部に設けられたUターン形状34aを介して、フォーカス移動枠5に固定された駆動コイル29に接続されている。
【0032】
8Aは赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させることによってナイトモードとデイモードの切換を行うフィルタ切替ユニットである。ここで、「ナイトモード」とは暗所撮影用に撮像素子41に赤外線を照射するモードであり、「デイモード」とは赤外線を照射しないモードである。
【0033】
図5は、フィルタ切替ユニット8Aの分解斜視図である。図6は、ナイトモードのフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35を非表示としている。図1は、図6のA−A´断面図である。
【0034】
図7は、デイモードのフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35を非表示としている。図8は、図7のB−B´断面図である。
【0035】
図9は、ナイトモードに切り替わり、遮光壁36cがフォトインタラプタの発光を遮光し始めた瞬間のフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35と赤外線カットフィルタ37を非表示としている。図10は、図9のC−C´断面図である。
【0036】
図1、図5〜図10において、フィルタ切替ユニット8Aは、IRベース35、フィルタ枠36、赤外線カットフィルタ37、撮像素子ホルダ38、IRリセット39、駆動部40、撮像素子41を有する。
【0037】
IRベース35は、図1、図8、図10に点線で示す外壁35aと、光軸上に開口部44と凸状のレール46と、を有する。外壁35aは、IRベース35の撮像素子側の面を含む。
【0038】
フィルタ枠(フィルタ保持部)36は、赤外線カットフィルタ37を保持し、被写体側(物体側)に設けられたIRベース35と撮像素子側に設けられた撮像素子ホルダ38に挟まれて回転可能に構成されている。フィルタ枠36は、物体側に凸状のレール42を有し、撮像素子側に凸形状のレール43(第1のレール)を有する。レール42はレール46と対向して接触している。
【0039】
また、フィルタ枠36は、長穴部36a、真円部36b、遮光壁36cを有する。遮光壁36cは、ナイトモードにおいてIRリセット39の後述する発光部49から受光部48への光を遮光する。
【0040】
撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)38は、撮像素子41を保持し、真円部36bに挿入された突起38aと、光軸上に開口部45と凸状のレール47(第2のレール)と、を有する。レール43はレール47と対向して接触している。レール47は撮影光学系の光軸方向において後述するIRリセット39の発光部49よりも物体側に突出する部分を有するために、発光部49からの光を遮光することができる。
【0041】
IRリセット39は、フィルタ枠36の位置を検出する素子で受光部48と発光部49を有する透過型フォトインタラプタを有する。IRリセット39は、受光部48はIRベース35側、発光部49は撮像素子ホルダ38になるように撮像素子ホルダ38に取り付けられ、レール46、47にYZ平面状で隣接するように配置されている。本実施例の駆動部40が自動ではなく手動であるため、特許文献1のようにフォトインタラプタを消灯するタイミングが分からないため、発光部49はフィルタ枠36の位置によらずに赤外光を常時発光している。
【0042】
撮像素子41は撮影光学系が撮影した光学像を電気信号に変換し、光軸上の開口部45よりもX方向側に取り付けられている。
【0043】
駆動部40はレンズ鏡筒1の外側にある不図示の連結部材に接続され、手動操作によって連結部材が変位すると駆動アーム上のアーム40aが移動する。アーム40aは、フィルタ枠36の長穴部36aに挿入されている。
【0044】
駆動部40が回転駆動されると、レール42、46とレール43、47が接触および摺動しながら、アーム40aがフィルタ枠36を真円部36bの周りに回転させる。レール46と47は摺動範囲に亘って設けられているため、レール42、46とレール43、47は常に接触してフィルタ保持枠36の回転時に摺動する。
【0045】
図6に示すように、赤外線カットフィルタ37が開口部45から外れる時がナイトモード、図7に示すように、赤外線カットフィルタ37が開口部45上にある時がデイモードである。
【0046】
ナイトモードにおいて遮光壁36cは発光部49と受光部48の間に位置して発光部49から受光部48への光を遮光し、デイモードにおいて発光部49と受光部48の間から外れてこの光を遮光せず、発光部49からの光は受光部48に入射する。
【0047】
発光部49から撮像素子41に入射しようとする光は、発光部49から撮像素子41に直接に入射する直接光R1と、発光部49からの光がIRベース35の外壁35aで反射した後に撮像素子41に入射する反射光R2がある。本実施例は、発光部49からの赤外光が撮像素子41に入射することを防止する遮光手段を設けている。
【0048】
デイモードでは、図7及び図8に示すように、直接光R1は発光部49よりレール43によって遮られる。また、反射光R2は撮像素子41の上に赤外線カットフィルタ37があるので赤外線カットフィルタ37によって遮光される。
【0049】
一方、ナイトモードでは、図1及び図6に示すように、レール43、47によって発光部49からの光が遮られるため、発光部49から撮像素子41に入射する光は遮光される。
【0050】
図9及び図10に示すように、デイモードからナイトモードに切り替わる途中では、遮光壁36cが発光部49から受光部48への光を遮光し始める際にIRベース35による反射光は開口部45を赤外線カットフィルタ37及びフィルタ枠36で遮光する。これにより、撮像素子41には反射光は入射しない。
【0051】
図11は、実施例1のレンズ鏡筒を有する撮像装置のブロック図である。図11において撮影時に被写体からの光がレンズ鏡筒1内のレンズ群を通って、撮像素子41に入射する。入射光は処理信号50に光電変化され、デジタル信号としてAFゲート51を通り、AF信号処理52などを行った後でCPU54に入力される。ズームスイッチ53が機能すると、CPU54に入力された信号を元にコイル29、ステッピングモータ13、19によって、レンズユニットL2、L3、L4が光軸方向に移動する。
【実施例2】
【0052】
実施例2の撮像装置は、フィルタ切替ユニット8Aとはレール形状が異なるフィルタ切替ユニット8Bを有する点で実施例1と相違し、その他の構成は共通である。
【0053】
図12は、フィルタ切替ユニット8Bの分解斜視図である。図13は、ナイトモードのフィルタ切替ユニット8Bを物体側から見た平面図であり、IRベースを非表示としている。図14は、図13のD−D´断面図である。図15は、デイモードのフィルタ切替ユニット8Bを物体側から見た平面図であり、IRベースを非表示としている。図16は、図15のE−E´断面図である。
【0054】
図12〜図16において、フィルタ切替ユニット8Bは、IRベース55、フィルタ枠56、赤外線カットフィルタ57、撮像素子ホルダ58、IRリセット59、駆動部60、撮像素子61を有する。
【0055】
IRベース55は、図14及び図16に点線で示す外壁55aと、光軸上に開口部65と凸状のレール66と、を有する。外壁55aは、IRベース55の撮像素子側の面を含む。
【0056】
フィルタ枠(フィルタ保持部)56は、赤外線カットフィルタ57を保持し、被写体側(物体側)に設けられたIRベース55と撮像素子側に設けられた撮像素子ホルダ58に挟まれている。フィルタ枠56は、物体側に凸状のレール62(第1のレール)を有し、撮像素子側に凹形状のレール63(第2のレール)を有する。レール62はレール66と対向して接触している。
【0057】
また、フィルタ枠36は、長穴部56a、真円部56b、遮光壁56cを有する。遮光壁56cは、ナイトモードにおいてIRリセット59の後述する発光部59から受光部58への光を遮光する。
【0058】
撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)58は、撮像素子61を保持し、真円部56bに挿入された突起58aと、光軸上に開口部65と凸状のレール67と、を有する。レール63はレール67と対向して接触している。
【0059】
IRリセット59は、フィルタ枠56の位置を検出する素子で受光部68と発光部69を有する透過型フォトインタラプタである。IRリセット59は、受光部68はIRベース55側、発光部69は撮像素子ホルダ58になるように撮像素子ホルダ58に取り付けられ、レール66、67にYZ平面状で隣接するように配置されている。
【0060】
撮像素子61は撮影光学系が撮影した光学像を電気信号に変換し、光軸上の開口部65よりもX方向側に取り付けられている。
【0061】
駆動部60はレンズ鏡筒1の外側にある不図示の連結部材に接続され、手動操作によって連結部材が変位すると駆動アーム上のアーム60aが移動する。アーム60aは、フィルタ枠56の長穴部56aに挿入されている。
【0062】
駆動部60が回転駆動されると、レール62、66とレール63、67が接触しながら、アーム60aがフィルタ枠56を真円部56bの周りに回転させる。レール66と67は摺動範囲全周にあるため、レール62、66とレール63、67が接触しながら常に回転する。
【0063】
図13に示すように、赤外線カットフィルタ57が開口部45から外れる時がナイトモード、図15に示すように、赤外線カットフィルタ57が開口部65上にある時がデイモードである。
【0064】
ナイトモードにおいて遮光壁56cは発光部69と受光部68の間に位置して発光部69から受光部68への光を遮光し、デイモードにおいて発光部69と受光部68の間から外れてこの光を遮光せず、発光部69からの光は受光部68に入射する。
【0065】
発光部69から撮像素子61に入射しようとする光は、発光部69から撮像素子61に直接に入射する直接光R1と、発光部69からの光がIRベース55の外壁55aで反射した後に撮像素子61に入射する反射光R2がある。本実施例も、発光部69からの赤外光が撮像素子61に入射することを防止する遮光手段を設けている。
【0066】
デイモードでは、図15及び図16に示すように、直接光R1は発光部69よりレール63によって遮られる。また、反射光R2は撮像素子61の上に赤外線カットフィルタ57があるので赤外線カットフィルタ57によって遮光される。
【0067】
一方、ナイトモードでは、図13及び図14に示すように、レール63、67によって発光部69からの光が遮られるため、発光部69から撮像素子61に入射する光は遮光される。
【0068】
実施例2は実施例1と異なり、レール67がレール63に挿入される入れ子形状になっているため、レール67を実施例1のレール67よりも物体側に長くすることができる。そのため、デイモードにおいて発光部69から撮像素子61へ入射する直接光を遮光しやすくなる。また、ナイトモードにおいても実施例1では振動などで駆動時にレール43と47の間に僅かな隙間ができ、そこから発光部69からの光がわずかに漏れる可能性があるが、入れ子形状にすることでその可能性を少なくしている。
【0069】
また、実施例1と同様に、デイモードからナイトモードに切り替わる途中では、遮光壁56cが発光部69から受光部68への光を遮光し始める際にIRベース55による反射光は開口部65を赤外線カットフィルタ57及びフィルタ枠56で遮光する。これにより、撮像素子61には反射光は入射しない。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
8A、8B フィルタ切替ユニット
35、55 IRベース
36、56 フィルタ枠(フィルタ保持部)
37、57 赤外線カットフィルタ
38、58 撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)
39、59 IRリセット(透過型フォトインタラプタ)
41、61 撮像素子
43、63 レール(第1のレール)
47、67 レール(第2のレール)
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カットフィルタ(以下、「IRカットフィルタ」と呼ぶ場合もある)を有するフィルタ切替ユニットおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線カットフィルタとその位置を検出するフォトインタラプタを備えた撮像装置では、赤外線カットフィルタが撮影光学系から撮像素子に至る光の光路から外れた状態ではフォトインタラプタからの赤外光が撮像素子に入射しないようにする必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1は、赤外線カットフィルタを撮像素子に入射する光の光路に進退自在に支持する機構を有し、赤外線カットフィルタが退避位置に位置する場合にフォトインタラプタの発光部を消灯させるようにした撮像装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−131562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、赤外線カットフィルタをアクチュエータで駆動して切り替えているため、アクチュエータの駆動状態に応じて(即ち、赤外線カットフィルタの位置に応じて)フォトインタラプタの発光部を消灯することが可能である。しかしながら、赤外線カットフィルタを手動駆動によって切り換えるようなレンズ鏡筒の場合、フォトインタラプタを消灯させるタイミングが分からずに対応できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、赤外線カットフィルタの切換が手動であってもフォトインタラプタから撮像素子に入射する赤外光を遮断することが可能なフィルタ切替ユニット及び撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ切替ユニットは、赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、第1のレールを有し、前記赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ保持部と、前記フィルタ保持部の位置を検出する透過型フォトインタラプタと、前記フィルタ保持部が回転する範囲に亘って前記第1のレールと接触して摺動する第2のレールを有し、前記撮像素子を保持する撮像素子保持部と、を有し、前記第2のレールは前記撮影光学系の光軸方向において前記透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れているときは前記第1のレールと前記第2のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に入射する光を遮光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、赤外線カットフィルタの切換が手動であってもフォトインタラプタから撮像素子に入射する赤外光を遮断することが可能なフィルタ切替ユニット及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】撮像装置のフィルタ切替ユニットのナイトモードにおける部分断面図である。(実施例1)
【図2】図1に示す撮像装置の部分断面図である。(実施例1)
【図3】図1に示す撮像装置の部分断面図である。(実施例1)
【図4】図1に示す撮像装置の部分分解斜視図である。(実施例1)
【図5】図1に示すフィルタ切替ユニットの分解斜視図である。(実施例1)
【図6】図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図7】デイモードにおける図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図8】図7のB−B´断面図である。(実施例1)
【図9】デイモードからナイトモードに切り替わった直後の図1に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例1)
【図10】図9のC−C´断面図である。(実施例1)
【図11】図1に示す撮像装置のブロック図である。(実施例1)
【図12】フィルタ切替ユニットの分解斜視図である。(実施例2)
【図13】図12に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例2)
【図14】図13のD−D´断面図である。(実施例2)
【図15】デイモードにおける図12に示すフィルタ切替ユニットの平面図である。(実施例2)
【図16】図15のE−E´断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は、実施例1の撮像装置(ビデオカメラなど)のレンズ鏡筒1近傍の部分断面図(XZ断面図)である。図3は、実施例1の撮像装置のレンズ鏡筒1の近傍の部分断面図(XY断面図)である。図4は、実施例1の撮像装置のレンズ鏡筒1の分解斜視図である。なお、各図において、X軸方向は光軸に平行な方向、Y軸は光軸方向に直交する垂直方向、Z軸は光軸方向に直交する水平方向としてそれぞれ定義されている。
【0012】
レンズ鏡筒1は、図2〜図4において、L1〜L4からなる4群レンズを有し、被写体の光学像を形成する撮影光学系を有する。
【0013】
L1は第1レンズユニットである。L2は光軸方向に移動して変倍を行う第2レンズユニットである。L3は撮影光学系の光軸に対して直交する方向(以下、光軸直交方向という)にシフトして、像振れを低減し且つ、光軸方向に移動可能な第3レンズユニットである。L4は光軸方向に移動して焦点調節を行う第4レンズユニットである。
【0014】
2は第1レンズユニットL1を保持する第1レンズ枠である。3は第2レンズユニットL2を保持するバリエータ移動枠である。4は第3レンズユニットL3を保持するシフトユニットである。5は第4レンズユニットL4を保持するフォーカス移動枠である。6は固定鏡筒で、7は後部鏡筒である。固定鏡筒6は、第1レンズユニットL1を所定位置に固定するため、その後端が後部鏡筒7に結合し、前端が第1レンズ枠2に固定されている。
【0015】
9a、9bは固定鏡筒6と後部鏡筒7とにより両端が保持された第1ガイドバー、第2ガイドバーである。第3ガイドバー10、図示しない第4ガイドバー、第5ガイドバー11、第6ガイドバー11bは、後部鏡筒7と、撮像素子ホルダ7と後述するフィルタ切替ユニット8Aにより、両端が保持されている。
【0016】
バリエータ移動枠3は、第1および第2ガイドバー9a、9bにより光軸方向に移動可能に支持されている。シフトユニット4は、第3ガイドバー10、図示しない第4ガイドバーにより光軸方向に移動可能に支持され、後部鏡筒7に固定されている。
【0017】
12は撮影光学系に入射した光量を変化させ、後部鏡筒7に固定されている光量調節ユニットであり、2枚以上の絞り羽根を光軸直交方向に移動させて開口径を変化させる。また、光量調節ユニット12には、図示しないグラデーションNDフィルタが絞り羽根とは独立して光路に対して進退できるように構成されている。フォーカス移動枠5は第5および第6ガイドバー11a、11bにより光軸方向に移動可能に支持されている。
【0018】
13はバリエータ移動枠3を光軸方向に駆動するステッピングモータであり、後部鏡筒6に固定されている。ステッピングモータ13の出力軸には、リードスクリュー14が形成されている。リードスクリュー14には、バリエータ移動枠3に取り付けられたラック15が係合しているため、ステッピングモータ13に通電されてリードスクリュー14が回転するとバリエータ移動枠3が光軸方向に駆動される。
【0019】
16は、バリエータ移動枠3の基準位置を検出するためのズームリセットであり、バリエータ移動枠3に形成された遮光部207の光軸方向への移動による遮光状態、透光状態の切り換わりを検出するフォトインタラプタにより構成されている。
【0020】
ズームリセット16は、基板を介して後部鏡筒7に固定されている。また、バリエータ移動枠3は、光軸方向に多極着磁されたセンサマグネット17を保持しており、後部鏡筒7のセンサマグネット17に対向した位置には、センサマグネット17の移動に伴う磁力線の変化を読み取るMRセンサ18が固定されている。MRセンサ18からの信号を用いることで、バリエータ移動枠3、つまりは第2レンズユニットL2の所定の基準位置からの移動量を検出することができる。
【0021】
19はシフトユニット4を光軸方向に駆動するステッピングモータであり、後部鏡筒7に固定されている。ステッピングモータ19の出力軸には、リードスクリュー20が形成されている。リードスクリュー20には、シフトユニット4に取り付けられた図示しないシフトラックが係合しているため、ステッピングモータ19に通電されてリードスクリュー20が回転するとシフトユニット4が光軸方向に駆動される。
【0022】
21は、シフトユニット4の基準位置を検出するためのズームリセットであり、シフトユニット4に形成された遮光部22の光軸方向への移動による遮光状態、透光状態の切り換わりを検出するフォトインタラプタにより構成されている。ズームリセット21は、基板を介して後部鏡筒7に固定されている。更に、ズームリセット21と、射光部22の遮光、透光状態の切り換わりは、シフトユニット4の可動範囲内であり、且つフォーカス移動枠5の可動範囲外にある時に検出されるように設定されている。
【0023】
22は第三レンズユニットL3を保持するシフト保持枠である。シフト保持枠22は、2体化されたシフト駆動マグネット23と、マグネットの磁路を閉じるための第一ヨーク24を保持している。
【0024】
25はシフトユニット4のベース部材となるシフトベースであり、シフトコイル26と、シフト駆動マグネット23の磁路を閉じるための第二ヨーク27を保持している。シフトコイル26を通電すると、シフトマグネットに駆動力が発生し、第三レンズユニットL3がシフト保持枠22に対して相対的に光軸と直交する方向に移動する。シフト駆動マグネット23、第一ヨーク24、第二ヨーク27、シフトコイル26はそれぞれ2セットあり、この部分をシフト駆動アクチュエータ部とする。
【0025】
図2において、光軸中心に対して−Z方向にはピッチ方向駆動用シフト駆動アクチュエータ部、Y方向にはヨー駆動用シフト駆動アクチュエータ部が設けられている。シフト駆動ユニットが2セットあるので、光軸と垂直な平面内でいずれの方向にも、第3レンズユニットL3を駆動させることができる。
【0026】
シフトコイル26はシフト用フレキシブル基板46に半田付けされ、電気的に導通可能に構成されている。シフトフレキシブル基板28は、後部鏡筒7に設けられた図示しない止め部に固定されると共に、鏡筒内部に設けられたUターン形状28a部を介して、シフトユニット4に接続されている。Uターン形状47はシフトユニット4が光軸方向に移動するときに、フレシブル基板キの反力がシフトユニット4に加わらないようにする形状を有する。
【0027】
29、30、31は第4レンズユニットL4を光軸方向に駆動するフォーカスモータ(ボイスコイルモータ)を構成する駆動コイル、ドライブマグネットおよび磁束を閉じるためのヨーク部材である。
【0028】
駆動コイル29はフォーカス移動枠4に取り付けられている。ドライブマグネット30は、ヨーク部材31内に設けられており、ヨーク部材31は、フィルタ切替ユニット8Aに取り付けられている。ここで、駆動コイル29に電流を流すと、マグネット30と駆動コイル29との間に発生する磁力線相互の反発によるローレンツ力が発生し、フォーカス移動枠5と共に第4レンズユニットL4が光軸方向に駆動される。
【0029】
フォーカス移動枠5は、光軸方向に多極着磁されたセンサマグネット32を保持しており、後部鏡筒7における前記センサマグネット32に対向した位置には、センサマグネット32の移動に伴う磁力線の変化を読み取るMRセンサ33が固定されている。MRセンサ33からの信号を用いることで、フォーカス移動枠5、つまりは第4レンズユニットL4の所定の基準位置からの移動量を検出することができる。フォーカス移動枠5は、コイルに通電されて、被写体側、すなわち光軸と平行な−X方向に移動し、メカニカル端に当接した状態を基準位置として検出する。
【0030】
コイル29に通電がなされた状態(以下、通電状態という)では、ローレンツ力が発生し、フォーカス移動枠5を光軸方向に移動する。一方、コイル29に通電がなされない状態(以下、非通電状態という)では、フォーカス移動枠5への駆動力が発生せず、更に、フォーカス移動枠5自身が自己保持力を持たない状態となる。ここで、「自己保持力」とは、非通電状態において、移動可能なコイル29、更にはコイル29を設けているフォーカス移動枠5をその場に停止させておくことができる力である。
【0031】
駆動コイル29は、フォーカスフレキシブル基板34に半田付けされ、電気的に導通可能に構成されている。また、フォーカスフレキシブル基板34は、後部鏡筒7に設けられた図示しない止め部に固定されるとともに、鏡筒内部に設けられたUターン形状34aを介して、フォーカス移動枠5に固定された駆動コイル29に接続されている。
【0032】
8Aは赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させることによってナイトモードとデイモードの切換を行うフィルタ切替ユニットである。ここで、「ナイトモード」とは暗所撮影用に撮像素子41に赤外線を照射するモードであり、「デイモード」とは赤外線を照射しないモードである。
【0033】
図5は、フィルタ切替ユニット8Aの分解斜視図である。図6は、ナイトモードのフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35を非表示としている。図1は、図6のA−A´断面図である。
【0034】
図7は、デイモードのフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35を非表示としている。図8は、図7のB−B´断面図である。
【0035】
図9は、ナイトモードに切り替わり、遮光壁36cがフォトインタラプタの発光を遮光し始めた瞬間のフィルタ切替ユニット8Aを物体側から見た平面図であり、IRベース35と赤外線カットフィルタ37を非表示としている。図10は、図9のC−C´断面図である。
【0036】
図1、図5〜図10において、フィルタ切替ユニット8Aは、IRベース35、フィルタ枠36、赤外線カットフィルタ37、撮像素子ホルダ38、IRリセット39、駆動部40、撮像素子41を有する。
【0037】
IRベース35は、図1、図8、図10に点線で示す外壁35aと、光軸上に開口部44と凸状のレール46と、を有する。外壁35aは、IRベース35の撮像素子側の面を含む。
【0038】
フィルタ枠(フィルタ保持部)36は、赤外線カットフィルタ37を保持し、被写体側(物体側)に設けられたIRベース35と撮像素子側に設けられた撮像素子ホルダ38に挟まれて回転可能に構成されている。フィルタ枠36は、物体側に凸状のレール42を有し、撮像素子側に凸形状のレール43(第1のレール)を有する。レール42はレール46と対向して接触している。
【0039】
また、フィルタ枠36は、長穴部36a、真円部36b、遮光壁36cを有する。遮光壁36cは、ナイトモードにおいてIRリセット39の後述する発光部49から受光部48への光を遮光する。
【0040】
撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)38は、撮像素子41を保持し、真円部36bに挿入された突起38aと、光軸上に開口部45と凸状のレール47(第2のレール)と、を有する。レール43はレール47と対向して接触している。レール47は撮影光学系の光軸方向において後述するIRリセット39の発光部49よりも物体側に突出する部分を有するために、発光部49からの光を遮光することができる。
【0041】
IRリセット39は、フィルタ枠36の位置を検出する素子で受光部48と発光部49を有する透過型フォトインタラプタを有する。IRリセット39は、受光部48はIRベース35側、発光部49は撮像素子ホルダ38になるように撮像素子ホルダ38に取り付けられ、レール46、47にYZ平面状で隣接するように配置されている。本実施例の駆動部40が自動ではなく手動であるため、特許文献1のようにフォトインタラプタを消灯するタイミングが分からないため、発光部49はフィルタ枠36の位置によらずに赤外光を常時発光している。
【0042】
撮像素子41は撮影光学系が撮影した光学像を電気信号に変換し、光軸上の開口部45よりもX方向側に取り付けられている。
【0043】
駆動部40はレンズ鏡筒1の外側にある不図示の連結部材に接続され、手動操作によって連結部材が変位すると駆動アーム上のアーム40aが移動する。アーム40aは、フィルタ枠36の長穴部36aに挿入されている。
【0044】
駆動部40が回転駆動されると、レール42、46とレール43、47が接触および摺動しながら、アーム40aがフィルタ枠36を真円部36bの周りに回転させる。レール46と47は摺動範囲に亘って設けられているため、レール42、46とレール43、47は常に接触してフィルタ保持枠36の回転時に摺動する。
【0045】
図6に示すように、赤外線カットフィルタ37が開口部45から外れる時がナイトモード、図7に示すように、赤外線カットフィルタ37が開口部45上にある時がデイモードである。
【0046】
ナイトモードにおいて遮光壁36cは発光部49と受光部48の間に位置して発光部49から受光部48への光を遮光し、デイモードにおいて発光部49と受光部48の間から外れてこの光を遮光せず、発光部49からの光は受光部48に入射する。
【0047】
発光部49から撮像素子41に入射しようとする光は、発光部49から撮像素子41に直接に入射する直接光R1と、発光部49からの光がIRベース35の外壁35aで反射した後に撮像素子41に入射する反射光R2がある。本実施例は、発光部49からの赤外光が撮像素子41に入射することを防止する遮光手段を設けている。
【0048】
デイモードでは、図7及び図8に示すように、直接光R1は発光部49よりレール43によって遮られる。また、反射光R2は撮像素子41の上に赤外線カットフィルタ37があるので赤外線カットフィルタ37によって遮光される。
【0049】
一方、ナイトモードでは、図1及び図6に示すように、レール43、47によって発光部49からの光が遮られるため、発光部49から撮像素子41に入射する光は遮光される。
【0050】
図9及び図10に示すように、デイモードからナイトモードに切り替わる途中では、遮光壁36cが発光部49から受光部48への光を遮光し始める際にIRベース35による反射光は開口部45を赤外線カットフィルタ37及びフィルタ枠36で遮光する。これにより、撮像素子41には反射光は入射しない。
【0051】
図11は、実施例1のレンズ鏡筒を有する撮像装置のブロック図である。図11において撮影時に被写体からの光がレンズ鏡筒1内のレンズ群を通って、撮像素子41に入射する。入射光は処理信号50に光電変化され、デジタル信号としてAFゲート51を通り、AF信号処理52などを行った後でCPU54に入力される。ズームスイッチ53が機能すると、CPU54に入力された信号を元にコイル29、ステッピングモータ13、19によって、レンズユニットL2、L3、L4が光軸方向に移動する。
【実施例2】
【0052】
実施例2の撮像装置は、フィルタ切替ユニット8Aとはレール形状が異なるフィルタ切替ユニット8Bを有する点で実施例1と相違し、その他の構成は共通である。
【0053】
図12は、フィルタ切替ユニット8Bの分解斜視図である。図13は、ナイトモードのフィルタ切替ユニット8Bを物体側から見た平面図であり、IRベースを非表示としている。図14は、図13のD−D´断面図である。図15は、デイモードのフィルタ切替ユニット8Bを物体側から見た平面図であり、IRベースを非表示としている。図16は、図15のE−E´断面図である。
【0054】
図12〜図16において、フィルタ切替ユニット8Bは、IRベース55、フィルタ枠56、赤外線カットフィルタ57、撮像素子ホルダ58、IRリセット59、駆動部60、撮像素子61を有する。
【0055】
IRベース55は、図14及び図16に点線で示す外壁55aと、光軸上に開口部65と凸状のレール66と、を有する。外壁55aは、IRベース55の撮像素子側の面を含む。
【0056】
フィルタ枠(フィルタ保持部)56は、赤外線カットフィルタ57を保持し、被写体側(物体側)に設けられたIRベース55と撮像素子側に設けられた撮像素子ホルダ58に挟まれている。フィルタ枠56は、物体側に凸状のレール62(第1のレール)を有し、撮像素子側に凹形状のレール63(第2のレール)を有する。レール62はレール66と対向して接触している。
【0057】
また、フィルタ枠36は、長穴部56a、真円部56b、遮光壁56cを有する。遮光壁56cは、ナイトモードにおいてIRリセット59の後述する発光部59から受光部58への光を遮光する。
【0058】
撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)58は、撮像素子61を保持し、真円部56bに挿入された突起58aと、光軸上に開口部65と凸状のレール67と、を有する。レール63はレール67と対向して接触している。
【0059】
IRリセット59は、フィルタ枠56の位置を検出する素子で受光部68と発光部69を有する透過型フォトインタラプタである。IRリセット59は、受光部68はIRベース55側、発光部69は撮像素子ホルダ58になるように撮像素子ホルダ58に取り付けられ、レール66、67にYZ平面状で隣接するように配置されている。
【0060】
撮像素子61は撮影光学系が撮影した光学像を電気信号に変換し、光軸上の開口部65よりもX方向側に取り付けられている。
【0061】
駆動部60はレンズ鏡筒1の外側にある不図示の連結部材に接続され、手動操作によって連結部材が変位すると駆動アーム上のアーム60aが移動する。アーム60aは、フィルタ枠56の長穴部56aに挿入されている。
【0062】
駆動部60が回転駆動されると、レール62、66とレール63、67が接触しながら、アーム60aがフィルタ枠56を真円部56bの周りに回転させる。レール66と67は摺動範囲全周にあるため、レール62、66とレール63、67が接触しながら常に回転する。
【0063】
図13に示すように、赤外線カットフィルタ57が開口部45から外れる時がナイトモード、図15に示すように、赤外線カットフィルタ57が開口部65上にある時がデイモードである。
【0064】
ナイトモードにおいて遮光壁56cは発光部69と受光部68の間に位置して発光部69から受光部68への光を遮光し、デイモードにおいて発光部69と受光部68の間から外れてこの光を遮光せず、発光部69からの光は受光部68に入射する。
【0065】
発光部69から撮像素子61に入射しようとする光は、発光部69から撮像素子61に直接に入射する直接光R1と、発光部69からの光がIRベース55の外壁55aで反射した後に撮像素子61に入射する反射光R2がある。本実施例も、発光部69からの赤外光が撮像素子61に入射することを防止する遮光手段を設けている。
【0066】
デイモードでは、図15及び図16に示すように、直接光R1は発光部69よりレール63によって遮られる。また、反射光R2は撮像素子61の上に赤外線カットフィルタ57があるので赤外線カットフィルタ57によって遮光される。
【0067】
一方、ナイトモードでは、図13及び図14に示すように、レール63、67によって発光部69からの光が遮られるため、発光部69から撮像素子61に入射する光は遮光される。
【0068】
実施例2は実施例1と異なり、レール67がレール63に挿入される入れ子形状になっているため、レール67を実施例1のレール67よりも物体側に長くすることができる。そのため、デイモードにおいて発光部69から撮像素子61へ入射する直接光を遮光しやすくなる。また、ナイトモードにおいても実施例1では振動などで駆動時にレール43と47の間に僅かな隙間ができ、そこから発光部69からの光がわずかに漏れる可能性があるが、入れ子形状にすることでその可能性を少なくしている。
【0069】
また、実施例1と同様に、デイモードからナイトモードに切り替わる途中では、遮光壁56cが発光部69から受光部68への光を遮光し始める際にIRベース55による反射光は開口部65を赤外線カットフィルタ57及びフィルタ枠56で遮光する。これにより、撮像素子61には反射光は入射しない。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
8A、8B フィルタ切替ユニット
35、55 IRベース
36、56 フィルタ枠(フィルタ保持部)
37、57 赤外線カットフィルタ
38、58 撮像素子ホルダ(撮像素子保持部)
39、59 IRリセット(透過型フォトインタラプタ)
41、61 撮像素子
43、63 レール(第1のレール)
47、67 レール(第2のレール)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、
第1のレールを有し、前記赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ保持部と、
前記フィルタ保持部の位置を検出する透過型フォトインタラプタと、
前記フィルタ保持部が回転する範囲に亘って前記第1のレールと接触して摺動する第2のレールを有し、前記撮像素子を保持する撮像素子保持部と、
を有し、
前記第2のレールは前記撮影光学系の光軸方向において前記透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れているときは前記第1のレールと前記第2のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に入射する光を遮光することを特徴とするフィルタ切替ユニット。
【請求項2】
前記赤外線カットフィルタが前記光路に挿入されているときは、前記第1のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に直接に入射する光を遮光することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項3】
前記第1のレールは凹形状を有し、前記第2のレールは断面が凸形状を有して前記第1のレールに挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項4】
前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れつつある状態においては、前記撮像素子は前記赤外線カットフィルタと前記フィルタ保持部によって覆われていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項5】
前記透過型フォトインタラプタは前記赤外線カットフィルタの位置によらずに発光し、前記フィルタ保持部は手動で回転されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニットを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
赤外線カットフィルタを撮影光学系から撮像素子に入射する光の光路に進退させるフィルタ切替ユニットであって、
第1のレールを有し、前記赤外線カットフィルタを保持して回転可能に構成されたフィルタ保持部と、
前記フィルタ保持部の位置を検出する透過型フォトインタラプタと、
前記フィルタ保持部が回転する範囲に亘って前記第1のレールと接触して摺動する第2のレールを有し、前記撮像素子を保持する撮像素子保持部と、
を有し、
前記第2のレールは前記撮影光学系の光軸方向において前記透過型フォトインタラプタの発光部よりも物体側に突出する部分を有し、前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れているときは前記第1のレールと前記第2のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に入射する光を遮光することを特徴とするフィルタ切替ユニット。
【請求項2】
前記赤外線カットフィルタが前記光路に挿入されているときは、前記第1のレールが前記透過型フォトインタラプタからの前記撮像素子に直接に入射する光を遮光することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項3】
前記第1のレールは凹形状を有し、前記第2のレールは断面が凸形状を有して前記第1のレールに挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項4】
前記赤外線カットフィルタが前記光路から外れつつある状態においては、前記撮像素子は前記赤外線カットフィルタと前記フィルタ保持部によって覆われていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項5】
前記透過型フォトインタラプタは前記赤外線カットフィルタの位置によらずに発光し、前記フィルタ保持部は手動で回転されることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のフィルタ切替ユニットを有することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−42558(P2012−42558A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181676(P2010−181676)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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