説明

フィルタ及びそれを用いた懸濁排水処理装置

【課題】簡素な構成で量産性、耐久性に優れ、搬送時や組立時に芯材の変形などが発生し難く、組立作業性、取扱い性に優れ、逆洗などによる付着物の剥離の効率性、確実性に優れ、長期間に渡って濾過性能を維持することができるメンテナンス性、長寿命性に優れたフィルタの提供。
【解決手段】芯材と、芯材全体に覆設された袋状の濾布と、を有し、濾布の外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を芯材及び濾布に挿通される軸管から排出するフィルタであって、芯材の内部に形成された内部流路と、内部流路と連通し芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔と、芯材及び濾布を貫通し軸管が挿通固定される挿通孔と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅地造成現場や河川工事、下水工事、港湾工事、トンネル工事等の現場等から流れ込む雨水、食品工場等の工場から排出される汚水、アスファルト道路やコンクリート道路等の路面のほか、コンクリート材、アスファルト材、岩盤、石材等の切断、穿孔を行う際に道路カッター等の装置から排出される切断水やこれらのリサイクル水等の懸濁排水を濾過するフィルタ及びそれを用いて浄水化された濾過水を循環し再使用することや同伴される懸濁物質を環境を汚染することなく脱水し、廃棄処理が容易な塊状の形態で容易に分離することができる懸濁排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川工事、下水工事、道路工事、トンネル内の壁面工事等の各種建設土木工事等で、例えば道路カッター等から排出される懸濁排水はそのまま周囲に廃棄したり、貯留水槽に溜め、浄化処理場等に搬送し浄化がなされたりしていた。
本願出願人は、環境汚染の問題を解決し、懸濁排水の搬送を不要とし、浄化処理施設の負荷を低減するために、鋭意検討を行った。
本願出願人が出願した(特許文献1)には、「道路カッターの懸濁排水が供給されるろ過槽と、ろ過槽内に配置され懸濁排水がその外部表面側から供給されてろ過された処理水が内部裏面側から排出される全体が袋状に形成された円板状のフィルタと、フィルタの中心に挿通固定されフィルタで濾過された処理水が排出される中空の回転軸管と、回転軸管に連設され回転軸管及びフィルタを回転させる駆動部と、回転軸管に接続された吸引ポンプと、フィルタのろ布表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構と、ろ過槽の濾過水が貯水される清水槽と、を備えた道路カッター用排水処理装置」が開示されている。
【特許文献1】特開2005−125323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の道路カッター用排水処理装置は、道路工事用車両等に容易に搭載でき各種土木建設工事現場等における機動性と利便性、排水処理性に優れ、環境を汚染することなく効率的に道路カッターで使用後の排水を工事現場で浄化して再使用できるものであったが、フィルタの芯材が変形し易く、搬送時や組立時の潰れや漏れなどの発生に注意を払わなければならず、組立作業に熟練を要するため、耐久性に優れ、組立作業性、取扱い性に優れるフィルタの開発が望まれていた。
(2)フィルタの濾布に目詰まりが発生した際に、ブラシによる掻き取りや噴流、逆洗などによって付着物を除去していたが、付着物の種類によっては、剥離条件のみの工夫では、付着物を十分に除去できないことがあり、フィルタの各部の材質や構造などの面から、剥離効率及び濾過性能の改善が要望されていた。特に、剥離が困難な有機系(タンパク質、アオコなど)の付着物を剥離するためには逆洗が有効であるため、逆洗時に濾布のみを確実に膨らませることができ、逆洗後は直ちに元の形状に戻って濾過機能を発揮することができる構造が望まれていた。
【0004】
本発明は上記要望に応えるためになされたものであり、簡素な構成で量産性、耐久性に優れ、搬送時や組立時に芯材の変形などが発生し難く、組立作業性、取扱い性に優れ、逆洗などによる付着物の剥離の効率性、確実性に優れ、長期間に渡って濾過性能を維持することができるメンテナンス性、長寿命性に優れたフィルタの提供、及びそれを用いることにより、各種土木建設工事現場等において、環境を汚染することなく道路カッター等の排水を工事現場で効率的に浄化して再使用することや懸濁物質を脱水し、廃棄処理が容易な塊状の形態で容易に分離することができ、排水処理性に優れ、一定の濾過及び脱水処理能力を維持できる信頼性に優れた懸濁排水処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明のフィルタ及びそれを用いた懸濁排水処理装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のフィルタは、芯材と、前記芯材全体に覆設された袋状の濾布と、を有し、前記濾布の外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を前記芯材及び前記濾布に挿通される軸管から排出するフィルタであって、前記芯材の内部に形成された内部流路と、前記内部流路と連通し前記芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔と、前記芯材及び前記濾布を貫通し前記軸管が挿通固定される挿通孔と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)芯材の内部に形成された内部流路と、内部流路と連通し芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔を有することにより、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水が芯材の表裏で分断されることがなく、連通孔と内部流路を通して芯材の表裏で連通することができ、内部流路の中で軸管の外周面全面を濾過水に接触させることができるので、軸管の取付角度を気にすることなく、内部流路から軸管の外周壁に穿設した取水孔を通して濾過水を確実かつ効率的に排水することができ、排水の効率性、組立作業性に優れる。
(2)芯材の板厚を厚くして内部流路を形成することにより、芯材の剛性を高めることができ、耐久性に優れ、搬送時や組立時に芯材の変形などが発生し難く、組立作業性、取扱い性に優れる。
(3)濾布の目詰まりが発生した際に、濾布の表面に付着した付着物をブラシなどの剥離機構で掻き落とす場合でも、芯材が変形し難く、剥離機構を確実に濾布の表面に押し付けて掻き落とすことができ、剥離作業の効率性、確実性に優れる。
(4)濾布の目詰まりが発生した際に、濾布の表面に付着した付着物を挿通孔に挿通される軸管を通して圧縮空気や浄水等を逆に流す逆洗を行って除去する場合でも、芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔から圧縮空気や浄水等を噴出させることができ、濾布の全面を斑無く確実に逆洗して付着物を除去することができ、剥離作業の効率性、確実性に優れる。
(5)芯材及び濾布を貫通し軸管が挿通固定される挿通孔を有することにより、容易に軸管を挿通することができ、組立作業性に優れる。
【0006】
ここで、濾布としては、例えば0.001mm〜1mmの網目間隔を有し、合成繊維や天然繊維からなる織布又は不織布で形成されたものが好適に用いられる。合成繊維には通常、太さが0.1〜20μm程度のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系、ポリアクリロニトリル、酢酸ビニルなどのものが使用できる。なお、繊維の各交点の所定個所を加熱により融着したり接着剤を用いて接着したりして固定し、全体を補強すると共に、懸濁排水中の固体粒子の大きさに応じてその捕捉率を調整するようにしてもよい。
濾布の表面は、シリコーン、ウレタン、四フッ化エチレン、アクリル等の合成樹脂の微粒子を集合させて粒子間に流路を形成したスクラム構造により被覆してもよい。これにより、合成樹脂の微粒子が敷き詰められて形成された表面部で懸濁排水中の粒子を確実に捕捉して、内部への侵入を阻止でき、目詰まりを効果的に防止することができる。特に四フッ化エチレン(商品名:テフロン(登録商標))を用いた場合には、懸濁排水中の固形分に対する付着性が少なく、対目詰まり性に優れている。尚、スクラム構造は、ポリウレタン樹脂等の溶剤中に分散させた合成樹脂の粒径0.001mm〜2mmの微粒子を濾布上に吹き付け接着固定させることにより微粒子同士が網目状に接合した層を形成させたり、繊維質のものに微粒子を混合攪拌して分散させ、繊維質又は微粒子を部分的に融着させたりすることで形成できる。
また、濾布の代りに多孔質圧縮成形プラスチック、多孔質セラミックなどを使用することもできる。これにより、表面に懸濁物質が付着し難く、かつ付着した懸濁物質の除去が容易でメンテナンス性に優れると共に、剥離機構による摩耗が発生し難くなって長寿命性に優れる。
【0007】
芯材は内部流路を有するものであればよいが、複数の部材を積層して形成するものが好適に用いられる。例えば、表面に複数の突起部を形成した平板状の部材の突起部の頂部側に平板状の別部材を積層すれば、容易に内部流路を形成することができる。複数の突起部がリブとなって剛性を高めることができ、芯材の変形や内部流路の潰れなどを効果的に防ぐことができる。また、表面に複数の突起部を形成した平板状の部材同士を突起部で付き合わせるように積層したり、表面に複数の突起部を形成した平板状の部材同士を互いの突起部が交互に噛み合うように積層したりして形成してもよい。
突起部は、それぞれ独立してその外周に内部流路を形成できるものであればよく、円柱状,角柱状,円錐状,角錐状,半球状などの様々な形状を適宜、選択することができる。特に、成型によって突起部を中空状に形成した場合、量産性に優れる。
芯材の材質としては、プリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂やステンレス等の金属等を用いることができるが、特に軽量で成型性に優れる合成樹脂が好適に用いられる。
連通孔は内部流路と連通し、芯材の表裏にそれぞれ開口していれば、内部流路を通して芯材の表裏を連通させることができるので、芯材の表裏で同じ位置に形成する必要はない。よって、芯材を構成する各々の部材に予め連通孔となる孔を穿設してから部材同士を積層してもよいし、部材同士を積層してからまとめて連通孔となる孔を穿設してもよい。特に、後者の場合、連通孔を穿設する工程が一度で済み、量産性に優れると共に、芯材の表裏で連通孔の数が等しくなり、流路抵抗も表裏でほぼ同じになるので、フィルタの表裏で満遍なく効率的に濾過することができ、濾過の効率性、信頼性に優れる。尚、連通孔の位置は、規則的である必要はなく、不規則に設けてもよい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタであって、前記芯材が、基板部と前記基板部に突設された複数の突起部とを備えた第一基材と、前記第一基材の前記突起部の頂部側に配設された平板状の覆設部材と、を有し、前記内部流路が、前記第一基材の前記基板部と前記覆設部材との間に形成され、前記連通孔が、前記第一基材の前記基板部に穿設された基板側連通孔と前記覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)第一基材が、基板部と、基板部に突設された複数の突起部を有するので、第一基材の突起部の頂部側に、平板状の覆設部材を配設するだけで、基板部と覆設部材の間に簡便に内部流路を形成することができると共に、芯材の強度を向上させて反りや捩れの発生を効果的に防止することができ、量産性、取扱い性に優れる。
(2)複数の突起部がリブとなって剛性を高めることができ、搬送時や組立時の芯材の変形や内部流路の潰れなどを効果的に防ぐことができ、取扱い性、耐久性に優れる。
(3)連通孔が、第一基材の基板部に穿設された基板側連通孔と覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成されていることにより、内部流路と連通した基板側連通孔及び覆設部材側連通孔がそれぞれ第一基材の基板部及び覆設部材の表面で開口するので、芯材の表裏を確実に連通させることができ、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を連通孔を通して確実に内部流路に導くことができ、内部流路と連通する軸管を通して外部に排水することができ、濾過の効率性に優れる。
【0009】
ここで、芯材は、第一基材及び覆設部材をそれぞれ作製し、積層することにより形成することができる。尚、第一基材及び覆設部材で形成された芯材は、二層或いは三層に積み重ねて使用することもできる。また、必要に応じて、剛性を高めるために、平板状の補強部材を積層してもよい。
連通孔は、少なくとも第一基材の基板部に穿設された基板側連通孔と、覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔を有していればよい。尚、突起部を貫通する貫通孔が穿設されても、芯材の強度や濾過性能には影響しないので、連通孔(基板側連通孔,覆設部材側連通孔)を形成する際に特別な位置合わせを行う必要はなく、量産性に優れる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のフィルタであって、前記第一基材の前記突起部が、前記基板部側に開口した開口部を有する中空状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)第一基材の突起部が、基板部側に開口した開口部を有する中空状なので、基板部と突起部を容易に一体成型することができ、量産性に優れる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタであって、前記芯材が、基板部と前記基板部側に開口した開口部を備え前記基板部に突設された複数の中空状の突起部とを有する第一基材と、前記第一基材の前記突起部の頂部側に配設された平板状の覆設部材と、前記第一基材の前記基板部側の少なくとも前記開口部に覆設された補強部材と、を有し、前記内部流路が、前記第一基材の前記基板部と前記覆設部材との間に形成され、前記連通孔が、前記第一基材の前記基板部及び前記補強部材を貫通して穿設された基板側連通孔と前記覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)第一基材が、基板部と、基板部側に開口した開口部を備え基板部に突設された複数の中空状の突起部を有するので、第一基材の突起部の頂部側に、平板状の覆設部材を配設するだけで、基板部と覆設部材の間に簡便に内部流路を形成することができると共に、芯材の強度を向上させて反りや捩れの発生を効果的に防止することができ、量産性、取扱い性に優れる。
(2)複数の突起部がリブとなって剛性を高めることができ、搬送時や組立時の芯材の変形や内部流路の潰れなどを効果的に防ぐことができ、取扱い性、耐久性に優れる。
(3)第一基材の基板部側の少なくとも開口部に覆設された補強部材を有することにより、補強部材で突起部の開口部を閉塞して第一基材の基板部側を平坦化することができ、芯材の表裏で流路抵抗をほぼ同等として、濾布の両外部表面から略均等に吸引濾過或いは逆洗を行うことができ、濾過性能の均一性に優れる。
(4)連通孔が、第一基材の基板部及び補強部材を貫通して穿設された基板側連通孔と覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成されていることにより、内部流路と連通した基板側連通孔及び覆設部材側連通孔がそれぞれ第一基材の基板部及び覆設部材の表面で開口するので、芯材の表裏を確実に連通させることができ、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を連通孔を通して確実に内部流路に導くことができ、内部流路と連通する軸管を通して外部に排水することができ、濾過の効率性に優れる。
(5)第一基材の突起部が、基板部側に開口した開口部を有する中空状なので、基板部と突起部を容易に一体成型することができ、量産性に優れる。
【0012】
ここで、芯材は、第一基材,覆設部材,補強部材をそれぞれ作製し、積層することにより形成することができる。
連通孔は、少なくとも第一基材の基板部及び補強部材を貫通して穿設された基板側連通孔と、覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔を有していればよい。尚、突起部を貫通する貫通孔が穿設されても、芯材の強度や濾過性能には影響しないので、連通孔(基板側連通孔,覆設部材側連通孔)を形成する際に特別な位置合わせを行う必要はなく、量産性に優れる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のフィルタであって、前記芯材の外周側に放射状に形成されたスリットを備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)芯材の外周側に放射状に形成されたスリットを有することにより、ブラシなどの剥離機構を濾布の表面に押し当てた際に、芯材に反りや捩れが発生している場合でも、剥離機構の動作に倣うように芯材が変形(湾曲)し易く、濾布の表面に剥離機構を確実に当接させて付着物を掻き落とすことができ、メンテナンス性に優れる。
(2)芯材の外周側に放射状にスリットを形成することにより、芯材の反りを吸収して歩留まりを向上させることができ、量産性に優れる。
(3)スリットが連通孔を兼ねることができ、スリットによって芯材の表裏を連通させることができると共に、スリットの切り口の端面から内部流路へ濾過水を導くことができ、濾過水の排水性を向上させることができる。
【0014】
ここで、スリットの数は、スリットの長さにもよるが、6本〜16本が好ましい。スリットの数が6本より少なくなるにつれ、芯材の外周側が剥離機構の動作に倣うように変形(湾曲)し難くなり、芯材の反りや捩れの影響を十分に吸収できなくなって、剥離機構による剥離性能が低下し易くなる傾向があり、16本よりも多くなるにつれ、芯材が変形し易くなり過ぎ、剥離機構の力が伝達し難くなって、剥離機構による剥離性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。尚、スリットの幅は、芯材の反りや捩れを緩衝できる程度の幅であればよい。
【0015】
また、スリットの長さは、スリットの数や芯材の外半径にもよるが、芯材の外半径の1/5〜2/3が好ましい。スリットの長さが芯材の外半径の1/5より短くなるにつれ、芯材の外周側が面外方向に変形し難くなり、芯材の反りの影響を十分に吸収できなくなって、剥離性能が低下し易くなる傾向があり、2/3よりも長くなるにつれ、芯材が変形し易くなり過ぎ、剥離機構の力が伝達し難くなって、剥離性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
剥離機構による押圧力に応じて、スリットの数、長さ、配置などを適宜、選択することができるが、特に、長さの異なるスリットを交互に配置することにより、芯材の強度を保ちつつ、外周側を変形し易くすることができ、剥離作業の効率性に優れる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載のフィルタであって、前記芯材と前記濾布との間に敷設された網体を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)芯材と濾布との間に敷設された網体を有することにより、濾布が芯材に密着して連通孔が閉塞されることがなく、濾布と芯材との間に略一定の空間部を形成することができ、濾過効率の低下を抑制することができ、濾過の確実性に優れる。
【0017】
ここで、網体としては、プラスチック製のネットや網目状のシートなどを好適に用いることができる。網体が三次元網目構造又は中空状構造を有している場合、袋状の濾布の内部における濾過水の流れを妨げることがなく濾過水の排出性に優れる。
網体の網目の大きさは均一でもよいが、特に芯材側の目が粗く、濾布側の目が細かく形成されたものは、目詰まりが発生し難く、また、目詰まりが発生しても、逆洗によって容易に異物を除去することができ、メンテナンス性、長寿命性に優れるので好ましい。1つの網体の中で、網目の大きさを変化させてもよいが、網目の大きさが異なる複数のシートを積層することにより、容易に網目の大きさを変化させることができ、設計自在性、量産性に優れる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載のフィルタであって、前記濾布の両外表面の間を同心円状に縫い合わせた複数の縫合部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)濾布の両外表面の間を同心円状に縫い合わせた複数の縫合部を有することにより、逆洗時に、縫合部と縫合部の間の濾布を適度に外方に膨出させることができ、濾布表面の付着物を剥離機構で効率的に掻き落とすことができ、剥離の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
(2)濾布の両外表面の間を複数の縫合部で同心円状に縫い合わせることにより、濾布の表面に皺やたるみなどが発生するのを防止できると共に、逆洗時に、濾布が膨らみ過ぎたり、濾布が膨らんだまま元に戻らなくなったりすることを防止して、効率的に逆洗を行うことができ、メンテナンス性、濾過安定性に優れる。
【0019】
ここで、縫合部の間隔は、濾布や芯材の材質、芯材の構造、フィルタの外径などにもよるが、25mm〜100mmが好ましい。縫合部の間隔が25mmより短くなるにつれ、逆洗時に濾布が外方に膨らみ難く、濾布表面の開口が拡張し難くなって、開口に詰まった異物を取り除き難くなる傾向があり、100mmよりも長くなるにつれ、逆洗時に濾布が外方に膨らみ易くなり、濾布が破れたり、濾布が膨らんだまま元に戻り難くなったりして、メンテナンス性、濾過性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
縫合部の縫合にはミシン等を使用することができる。尚、縫合部はウレタン系やシリコーン系などのシーリング材で目止めすることにより、濾布内部の濾過水が濾布の外に漏れることを防止すると共に、縫合部を補強することができ、耐久性に優れる。
【0020】
本発明の請求項8に記載の懸濁排水処理装置は、懸濁排水が供給される濾過槽と、前記濾過槽内に配置された請求項1乃至7の内いずれか1項に記載のフィルタと、前記フィルタの前記挿通孔に挿通固定され前記フィルタで濾過された濾過水が排出される中空の軸管と、前記軸管に連設され前記軸管及び前記フィルタを回転させる軸管駆動部と、前記軸管に接続された吸引ポンプと、前記フィルタの前記濾布表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構と、前記フィルタで濾過された前記濾過水が貯水される清水槽と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)濾過槽で濾過された濾過水の内、使用されなかった濾過水を清水槽に貯水して移送することができ、他の現場で道路カッター等の潤滑冷却水などとして有効に利用することができ、省資源性、環境保護性に優れる。
(2)濾布表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構を有することにより、フィルタに固着した懸濁物質等の固形分を簡便に除去して濾過条件を略一定に維持することができ、濾過効率の向上を図ることができ、道路カッターなどから排出される懸濁排水を短時間で大量に処理することができ、濾過性能に優れる。
(3)清水槽に貯水された濾過水を繰り返し道路カッター等の潤滑冷却水などとして再利用することができるので、外部から水を補給することなしに道路カッターによる切断作業等を連続して行うことができ作業性に優れる。特に、補給水の水源のない高速道路等の作業現場では極めて有用で施工性に優れる。
(4)全体が袋状に密閉して形成されたフィルタ内に濾過水を排出する中空の軸管が挿通されているので、フィルタの設置スペースや濾過槽をコンパクトにすることができ、装置の工事用車両等への搭載や移動を容易に行うことができ省スペース性、機動性に優れる。
(5)軸管に接続された吸引ポンプを有することにより、吸引ポンプで懸濁排水を吸引して濾過を行うことができるので、濾過の処理能力を向上させることができ、フィルタや濾過槽をコンパクト化することができ、省スペース性に優れる。
(6)フィルタの挿通孔に挿通固定された軸管に連設され軸管及びフィルタを回転させる軸管駆動部と、フィルタの濾布表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構を有することにより、濾過処理中にフィルタを回転させるだけで、濾布表面に付着した懸濁物質を簡便に剥離することができるので、濾過条件を略一定に維持させることができ、濾過の効率性、濾過性能の安定性に優れると共に、塊状の懸濁物質を効率的かつ連続的に懸濁排水から分離でき、容易に回収して廃棄処理を行うことができる。
(7)清水槽を有するので、予め水道水等を貯水してから工事現場等に移動させることができ、給水源がない工事現場においてアスファルト道路の路面部などをカッター等で切断する作業などを行う際の潤滑冷却水として使用することができ、汎用性に優れる。
【0021】
ここで、懸濁排水が供給される濾過槽内には、複数のフィルタが互いに所定間隔、例えば10〜200mm、好ましくは50mm〜100mmの間隔をおいて平行に配置することが好ましい。フィルタの間隔が50mmより狭くなるにつれ、濾過性能が低下し易くなると共に、フィルタ間に剥離機構を配設することが困難になり、メンテナンス性が低下し易くなる傾向があり、100mmより広くなるにつれ、濾過槽が大きくなって装置が大型化し、機動性、省スペース性が低下し易くなり、濾過効率、費用対効果が低下し易くなる傾向がある。特に10mmより狭くなるか、200mmより広くなるとこれらの傾向が著しくなって好ましくない。
フィルタの形状は、適宜、選択することができるが、円形に形成した場合、軸管駆動部によって軸管と共に回転させることにより、フィルタの濾布表面に付着した懸濁物質を斑無く確実に剥離機構で掻き落とすことができ、剥離作業の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
【0022】
濾過槽及び清水槽は、FRP等のプラスチック製やステンレス等の金属製などの素材で箱型に形成したものが好適に用いられる。装置の枠組や底板部もFRP等のプラスチック製やステンレス等の金属製などの素材で形成することができるが、特に強度が必要な底板部は金属製にすることが好ましい。
濾過槽の底部には濃縮された濁水や汚泥を排出する固形分排出部を有する固形分貯溜部が形成される。これにより、作業終了後に固形分貯溜部から濃縮された濁水や汚泥を取出して廃棄や各種処理を行うことができる。尚、懸濁排水は工事車両などに搭載されたポンプ等を介して回収され、濾過槽の上方の開口部等から供給されるが、懸濁排水の供給部に網状のカゴ体やフィルタ等を配設した場合は、予め大きなゴミや粒子の大きな懸濁物質等を捕捉することができ、固形分排出部の詰まり等を防止できメンテナンス性に優れる。
濾過槽には吸引ポンプに接続されて濾過された濾過水を排出する排水管が配設され、吸引ポンプと清水槽の間には濾過水を清水槽へ供給する供給管が配設される。また、清水槽の下部には濾過水を排出する濾過水排出部が形成される。これらにより、清水槽に濾過水を貯水すると共に、貯水された濾過水を必要に応じて外部に排出することができ、道路カッター等の潤滑冷却水などとして繰り返し利用したり、不要時は廃棄したりできる。尚、排水管及び供給管は可撓性と耐アルカリ性を有することが好ましい。これにより、寒冷地等における破裂等の損傷を防止することができる。
【0023】
清水槽に鉛直方向や水平方向に邪魔板を設けた場合は、工事用車両等の荷台部分に装置を搭載して移動させる際に、清水槽に貯水した濾過水が振動するのを防止でき、濾過水が道路等に跳ねたりこぼれたりするのを防ぐことができ、搬送性に優れる。
濾過槽及び清水槽には、オーバーフロー排液管や水位センサを設けてもよい。これにより、濾過槽に供給された懸濁排水や清水槽に貯水された濾過水が外部に溢れるのを防止できる。また、濾過槽及び清水槽の開口部にカバーを設けることにより、濾過槽及び清水槽の内部を保護でき、装置の移動時に懸濁排水や濾過水がこぼれるのを防止できると共に、作業に必要な工具等をカバー上に載置して運搬することができ機能性に優れる。
濾過槽及び清水槽の上部等に吊り孔を形成した場合は、装置をワイヤー等で容易に吊り上げることができ、工事用車両等への搭載や積み下ろしの作業性に優れる。尚、濾過槽と清水槽は、別体で形成してもよいし、一体に形成してもよい。
剥離機構にはブラシや板状のスクレーパ等を使用することができる。
尚、道路カッターは道路のみでなく、アスファルト板、コンクリート板やコンクリート材、岩盤、石材等の切断用として用いられるものの総称である。
【0024】
中空状の軸管に芯材の内部流路及び/又は網体と連通する取水孔を形成することで、袋状に形成された濾布内から満遍なく均一に浄化された濾過水を取得でき、また、逆に圧縮空気や浄水等を取水孔から逆に流すこと(逆洗)により、濾布に付着した微小固形分を除去して目詰まりを防止でき、効率的に懸濁排水の濾過処理を行うことができる。
軸管は、複数のフィルタの中心に穿設された挿通孔に貫通して配置され、各フィルタの内部と連通した取水孔を介して中空部に取り込まれた濾過水を外部にまとめて排出させる機能を有している。
軸管に穿設される取水孔は、その孔径が1〜10mm程度であり、軸管の中空部に連通してその所定個所に多数配置され、内部流路及び/又は網体で形成された空間部から満遍なく濾過水を抜き取ることができるように配置する。
取水孔の孔径が1mmより小さくなるにつれ、吸引ポンプにより吸引できる濾過水の流量が不足し、濾過性能が低下し易くなる傾向があり、好ましくない。また、孔径が大きくなるにつれ処理量は増加するが、10mmより大きくなるにつれ軸管の強度が不足し、寿命が低下し易くなる傾向があるので好ましくない。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の懸濁排水処理装置であって、前記剥離機構が、前記フィルタの外表面にブラシの毛先が当接して配設されたブラシ部と、前記ブラシ部を回動させて任意の角度で支持するブラシ固定部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項8の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)剥離機構が、フィルタの外表面にブラシの毛先が当接して配設されたブラシ部を有することにより、軸管駆動部でフィルタを回転させるだけで、ブラシ部によりフィルタの濾布表面に付着した懸濁物質を剥離させることができるので、濾過処理中でもフィルタ表面を清掃して濾過の処理能力を一定に保つことができ、凝集剤等の薬剤を使用することなく濾過処理を行うことができ、濾過の効率性、環境保護性に優れる。
(2)剥離機構が、ブラシ部を回動可能に支持するブラシ固定部を備えているので、濾過処理休止時にブラシ部を回動させて容易に清掃や交換、フィルタとのオーバーラップ量や当たり角度の調整等を行うことができ、メンテナンス性に優れる。
(3)ブラシ固定部がブラシ部を回動可能に支持するので、濾過槽内の懸濁排水の水位に応じてブラシ部の取付け角度を任意に設定でき汎用性に優れ、懸濁物質を剥離させるのに最適な角度を選択してブラシ部を取付けることができ、剥離作業の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
【0026】
ここで、ブラシ部は、細長平板状に形成され、平板状の片面又は両面にフィルタ外部表面(濾布表面)にその毛先が対向するナイロンやテトロン等の繊維が植毛されたものが好適に用いられる。ブラシ部はバネなどの弾性部材を介してブラシ固定部に保持した場合、毛先から所定の押圧力がフィルタの表面に負荷されるように配置することができ、掻き取りの確実性に優れる。尚、ブラシ部の端部をブラシ固定部に対してねじ止めなどで固定することにより、ブラシ部のみを容易に交換したり、フィルタとのオーバーラップ量や当たり角度の調整等を行ったりでき、組立及び分解の作業性、メンテナンス性に優れる。
ブラシ固定部は、略コ字型等に形成され複数のブラシ部がフィルタ間隔に合わせて並設されるものが好適に用いられる。ブラシ固定部の両端部に軸支部を形成し、濾過槽の側壁若しくはフィルタやフィルタの軸管と共に濾過槽内に沈設されたフレーム等に形成されたブラシ回動部に回動自在に軸支することにより、容易に角度を調整することができる。特にブラシ固定部をフレームに配設した場合は、剥離機構をフレームと一体に取り扱うことができ、容易に濾過槽の外部に取出すことができるのでメンテナンス時の作業性に優れる。
【0027】
ブラシ固定部の軸支部又はブラシ回動部のいずれか一方の外周に複数の位置決め孔を穿設し、他方に固定孔を穿設しておき、選択した位置決め孔を固定孔の位置に合わせピン嵌合又はねじ止めすることにより、所望の角度でブラシ固定部を固定することができる。また、ブラシ固定部は、軸支部(フィルタの軸管)から離れたブラシ部の末端側をピン嵌合、ねじ止め或いはスライド式や回動式の係合部材等を用いてフレーム等に固定してもよい。ブラシ固定部を軸支部とブラシ部の末端側の両端で固定した場合、ブラシ固定部を確実かつ強固に固定することができ信頼性に優れる。ブラシ部のメンテナンス時に、ブラシ部の長手方向が略鉛直方向に向くようにブラシ固定部を回動させて作業を行うことにより、容易にブラシ部の着脱を行うことができ、作業性を向上させることができる。尚、ブラシ固定部をチェーンやフック等の固定手段を用いてフレーム等に固定してからブラシ部の着脱作業を行うことにより、作業時にブラシ固定部が回動することがなく、作業性に優れる。
【0028】
フィルタと軸管と軸管駆動部と剥離機構とを有する濾過部を濾過槽に対して着脱自在に保持するフレームを備えた場合、濾過部をフレームと一体的に取り扱うことができ、容易に濾過槽から取出してフィルタ等の清掃や交換等を行うことができ、メンテナンス性、組立作業性に優れる。
このとき、濾過槽の底部にフレームを支持する支持板を配設するか、フレームに脚部を形成することにより、濾過部の設置安定性に優れ、好ましい。尚、複数の支持板を濾過槽の鉛直方向に配設することにより、邪魔板としても機能させることができ、濾過槽内の懸濁排水の波立ちを効果的に低減することができる。また、軸管と濾過された濾過水を排出する排水管との間をカップリング等で接続することにより、軸管と排水管との間を容易に着脱でき、濾過部をフレームと共に濾過槽から取出すことができる。特に、排水管を軟質で可撓性を有する材質で長めに形成しておくことにより、濾過槽の外にフレームや濾過部と一緒に排水管を引き出してから、軸管と排水管を容易に着脱することができ、作業性に優れる。
また、軸管と、軸管駆動部からの動力を伝達して軸管を回転させるスプロケット軸と、を着脱自在にした場合、容易に軸管とスプロケット軸とを切り離すことができ、軸管の端部からフィルタを抜取ることができるので、フィルタの着脱作業を簡便に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の懸濁排水処理装置であって、前記軸管の両端部に配設された前記フィルタを固定する端部固定部と、前記軸管上の隣接する前記フィルタ間に配設され隣接する前記フィルタの間隔を保持する間隔保持部と、各々の前記フィルタの前記挿通孔の周りに貫設され前記端部固定部と隣接する前記間隔保持部或いは隣接する前記間隔保持部同士を連結する連結ピンと、を有し、前記軸管に複数の前記フィルタを固定するフィルタ固定部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項8又は9の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)フィルタ固定部が、軸管の両端部に配設されたフィルタを固定する端部固定部と、軸管上の隣接するフィルタ間に配設され隣接するフィルタの間隔を保持する間隔保持部と、各々のフィルタの挿通孔の周りに貫設され端部固定部と隣接する間隔保持部或いは隣接する間隔保持部同士を連結する連結ピンを有することにより、軸管上に複数のフィルタを確実に固定することができ、軸管と複数のフィルタを一体に取り扱うことができ、濾過槽への着脱が容易で、組立、分解及びメンテナンスの作業性に優れる。
(2)端部固定部と隣接する間隔保持部或いは隣接する間隔保持部同士でフィルタを両面から挟むようにして軸管と簡便に固定することができ、量産性に優れる。
(3)連結ピンの挿抜により容易にフィルタの交換を行うことができ、メンテナンス性に優れる。
【0030】
ここで、連結ピンは、各々のフィルタの挿通孔の周りに円周上に配置される。連結ピンの数は、3本〜6本が好ましい。連結ピンの数が3本より少なくなるにつれ、固定安定性が低下し易くなる傾向があり、6本よりも多くなるにつれ、連結ピンの間隔が狭くなり、挿通孔の周辺の強度が低下し易くなると共に、組立及び分解の作業性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)芯材の内部に内部流路が形成され、内部流路と連通した複数の連通孔が芯材の表裏にそれぞれ開口していることにより、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を、芯材の表裏から連通孔を通して内部流路に導くことができ、集水した濾過水を軸管を通して確実かつ効率的に排水することができる排水の効率性に優れたフィルタを提供することができる。
(2)挿通管に挿通される軸管を通して圧縮空気や浄水等を逆に流す逆洗を行うことにより、芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔から圧縮空気や浄水等を噴出させることができ、濾布の全面を斑無く確実に逆洗して濾布の表面に付着した付着物を除去することができる剥離作業の効率性、確実性、濾過性能の安定性に優れたフィルタを提供することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)基板部に複数の突起部が突設された第一基材の突起部の頂部側に、平板状の覆設部材を配設するだけで、基板部と覆設部材の間に簡便に内部流路を形成することができる量産性に優れたフィルタを提供することができる。
(2)連通孔が、内部流路と連通し、第一基材の基板部及び覆設部材の表面でそれぞれ開口した基板側連通孔及び覆設部材側連通孔で形成されることにより、芯材の表裏を確実に連通させることができ、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を、連通孔を通して確実に内部流路に導くことができ、内部流路と連通する軸管を通して外部に排水することができる濾過の効率性に優れたフィルタを提供することができる。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)第一基材の突起部を、基板部側に開口部を有する中空状に形成することにより、基板部と突起部を容易に一体成型することができる量産性に優れたフィルタを提供することができる。
【0034】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)基板部に開口部を有する中空状の複数の突起部が突設された第一基材の突起部の頂部側に、平板状の覆設部材を配設するだけで、基板部と覆設部材の間に簡便に内部流路を形成することができる量産性に優れたフィルタを提供することができる。
(2)第一基材の基板部側の少なくとも開口部に補強部材を覆設して閉塞することにより、第一基材の基板部側を平坦化し、芯材の表裏で流路抵抗をほぼ同等とすることができ、濾布の両外部表面から略均等に吸引濾過或いは逆洗を行うことができる濾過性能の均一性に優れたフィルタを提供することができる。
(3)連通孔が、内部流路と連通し、第一基材の基板部及び覆設部材の表面でそれぞれ開口した基板側連通孔及び覆設部材側連通孔で形成されることにより、芯材の表裏を確実に連通させることができ、濾布の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を、連通孔を通して確実に内部流路に導くことができ、内部流路と連通する軸管を通して外部に排水することができる濾過の効率性に優れたフィルタを提供することができる。
【0035】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)芯材の外周側に放射状にスリットを形成することにより、ブラシなどの剥離機構を濾布の表面に押し当てた際に、芯材の外周側が剥離機構の動作に倣うように変形(湾曲)し易く、芯材に反りが発生している場合でも、濾布の表面に剥離機構を確実に当接させて付着物を掻き落とすことができるメンテナンス性、剥離作業の効率性に優れたフィルタを提供することができる。
【0036】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)芯材と濾布との間に敷設された網体によって濾布と芯材との間に略一定の空間部を形成することができ、濾布が芯材に密着して連通孔が閉塞されることがなく、濾過効率の低下を抑制することができる濾過の確実性、安定性に優れたフィルタを提供することができる。
【0037】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)濾布の両外表面の間を複数の縫合部で同心円状に縫い合わせることにより、濾布の表面に皺やたるみなどが発生するのを防止できると共に、逆洗時に、縫合部と縫合部の間の濾布を適度に外方に膨出させることができ、濾布表面の付着物を剥離機構で掻き落としながら効率的に逆洗を行うことができる剥離の効率性、メンテナンス性、濾過安定性に優れたフィルタを提供することができる。
【0038】
請求項8に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)剥離機構により、フィルタの濾布表面に固着した懸濁物質等の固形分を簡便に除去して濾過条件を略一定に維持することができ、道路カッターなどから排出される懸濁排水を短時間で大量に処理して繰り返し使用することができる濾過性能の安定性、節水性、環境保護性に優れた懸濁排水処理装置を提供することができる。
(2)濾布表面の付着物を剥離機構や逆洗によって簡便かつ効率的に除去することができるメンテナンス性、濾過性能の安定性に優れたフィルタを備えることにより、濾過処理中にフィルタを回転させるだけで、濾過条件を略一定に維持したまま連続して濾過を行うことができる濾過の効率性、省力性に優れた懸濁排水処理装置を提供することができる。
【0039】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)ブラシ固定部に回動可能に支持されたブラシ部の取付け角度を、濾過槽内の懸濁排水の水位などに応じて、懸濁物質を剥離させるのに最適な角度に設定できるだけでなく、濾過処理休止時にブラシ部を回動させて容易に清掃や交換、フィルタとのオーバーラップ量や当たり角度の調整等を行うことができ、剥離作業の効率性、濾過性能の安定性、メンテナンス性に優れた懸濁排水処理装置を提供することができる。
【0040】
請求項10に記載の発明によれば請求項8又は9の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)フィルタ固定部により、軸管上に複数のフィルタを確実に固定することができ、軸管と複数のフィルタを一体に取り扱うことができ、濾過槽への着脱を容易に行うことができると共に、連結ピンの挿抜により簡便にフィルタの交換を行うことができる組立、分解及びメンテナンスの作業性に優れた懸濁排水処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態におけるフィルタ及びそれを用いた懸濁排水処理装置について、以下図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1におけるフィルタの模式斜視図であり、図2は実施の形態1におけるフィルタの要部模式断面図である。
図1中、1は略円形に形成された実施の形態1におけるフィルタ、1aはフィルタ1の中心部に穿設され軸管が挿通固定される挿通孔、2は合成繊維や天然繊維からなる織布又は不織布で袋状に形成されたフィルタ1の濾布である。
図2中、3はポリエチレンやポリプロピレンで略円盤状に形成され濾布2が覆設されたフィルタ1の芯材、10は目の粗い網目シート10aと目の細かい網目シート10bが積層され芯材3の表裏に敷設されたフィルタ1の網体である。
【0042】
本実施の形態では、網体10として、芯材3側に目の粗い網目シート10a、濾布2側に目の細かい網目シート10bを積層した。目詰まりが発生し難く、また、目詰まりが発生しても、逆洗によって容易に異物を除去することができ、メンテナンス性、長寿命性に優れると共に、網目の大きさが異なる網目シート10a,10bを積層することにより、容易に網目の大きさを変化させることができ、設計自在性、量産性に優れるためである。尚、目の粗い網目シート10aと目の細かい網目シート10bを積層する代わりに、1つの網体の中で、網目の大きさを変化させてもよい。網体10としては、本実施の形態のように、網目状のシートを用いてもよいし、プラスチック製のネットを用いてもよい。特に、網体10が三次元網目構造又は中空状構造を有している場合、袋状の濾2布の内部における濾過水の流れを妨げることがなく濾過水の排出性に優れる。
【0043】
次に、フィルタの芯材の構造について説明する。
図3は実施の形態1におけるフィルタの芯材の模式斜視図であり、図4(a)は実施の形態1におけるフィルタの芯材の要部模式断面図であり、図4(b)は実施の形態1におけるフィルタの芯材の変形例の要部模式断面図である。
図3及び図4(a)中、4は芯材3の第一基材、4aは第一基材4の基板部、4bは基板部4aに突設された第一基材4の複数の中空状の突起部、4dは突起部4bの頂部、5は第一基材4の突起部4bの頂部4d側に配設固定された芯材3の平板状の覆設部材、6は第一基材4の基板部4a側に突起部4bの開口部4c(図4(a)参照)を閉塞するように覆設された芯材3の平板状の補強部材、7は第一基材4の基板部4aと覆設部材5との間に形成された芯材3の内部流路、8は第一基材4の基板部4a及び補強部材6を貫通して穿設された基板側連通孔8aと覆設部材5に穿設された覆設部材側連通孔8bで形成された芯材3の複数の連通孔、8a’は突起部4bの位置で補強部材6を貫通して穿設された補強部材貫通孔、8b’は突起部4bの位置で第一基材4の突起部4bの頂部4d及び覆設部材5を貫通して穿設された覆設部材側貫通孔である。
【0044】
第一基材4,覆設部材5,補強部材6を積層、接着して内部流路7を形成した後、連通孔8を形成した。連通孔8は、基板側連通孔8aと覆設部材側連通孔8bによって形成され、内部流路7と連通し芯材3の表裏にそれぞれ開口している。突起部4bの位置を避けるようにして連通孔8(基板側連通孔8a,覆設部材側連通孔8b)を形成すれば、補強部材貫通孔8a’及び覆設部材側貫通孔8b’が穿設されることはないが、補強部材貫通孔8a’及び覆設部材側貫通孔8b’は、芯材3の強度や濾過性能には影響しないので、連通孔8(基板側連通孔8a,覆設部材側連通孔8b)を穿設する際に、補強部材貫通孔8a’及び覆設部材側貫通孔8b’が穿設されることを気にする必要はなく、特別な位置合わせが不要で、量産性に優れる。
尚、芯材3の構造はこれに限定されるものではなく、内部流路7と、内部流路7と連通し芯材3の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔8を有するものであればよい。例えば、図4(b)に示した変形例の芯材3aのように、補強部材6を省略することもできる。
突起部4bは中空状に限らず、中実状に形成してもよい。尚、突起部4bは、それぞれ独立してその外周に内部流路7を形成できるものであればよく、円筒状や円柱状のほか、角柱状,円錐状,角錐状,半球状などの様々な形状に形成することができる。
また、芯材3や芯材3aを二層以上積層して芯材として使用することもできる。
【0045】
以上のように構成された実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置について、説明する。
図5は実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の全体模式斜視図であり、図6は実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の模式平面図である。
図5中、11はFRP等のプラスチックやステンレス等の金属でそれぞれ箱型に形成された濾過槽15と清水槽16が連設され濾過槽15内に実施の形態1の複数のフィルタ1が50mm〜100mmの間隔をおいて平行に配置された懸濁排水処理装置、11aは濾過槽15の上部に配設され道路カッター等から回収された懸濁排水が供給される懸濁排水供給管、11bは濾過槽15の底部に接続され濾過槽15で浄化処理された濾過水が吸引ポンプ17により吸引され排出される排水管、11cは吸引ポンプ17と清水槽16の間に接続され濾過槽15から排出された濾過水を清水槽16へ供給する軟質の供給管、11dは清水槽16の底部に配設され清水槽16内に貯水された濾過水を道路カッターの潤滑冷却水等として供給するための濾過水排出管、11eは濾過水排出管11dに設けられた濾過水排出用バルブ、11fは濾過槽15及び清水槽16の下部に配設され懸濁排水処理装置11を自立させる脚部、15aは濾過槽15の底部に形成され濃縮された濁水や汚泥などの固形分が沈澱して貯溜される固形分貯溜部、15bは固形分貯溜部15aに貯溜された固形分を排出するための固形分排出管、15cは固形分排出管15bに設けられた固形分排出用バルブ、15dは懸濁排水供給管11aの濾過槽15内の開口部の下部に配設され懸濁排水中の大きなゴミや粒子の大きな懸濁物質等を捕捉する網状のカゴ体、15eは濾過槽15の上部に配設されフィルタ1の処理能力を超えて懸濁排水が供給された際にフィルタ1で濾過しきれない懸濁排水が排出されるオーバーフロー排液管、20は直方体状の枠体で形成されたフレーム20aに固定され濾過槽15内に着脱自在に沈設された濾過部、29は濾過槽15及び清水槽16の上端外周に穿設された吊り孔である。
【0046】
図6中、21は濾過部20のフレーム20aに回動自在に軸支された軸管、22は軸管21が挿通された複数の円板状のフィルタ1の間隔を保持すると共に軸管21の空回りを防止するためのフィルタ固定部、23はフレーム20aに固定され軸管21及びフィルタ1の回転速度や回転方向を制御可能なモーター等の軸管駆動部、23aは軸管駆動部23と軸管21の間に係回され軸管駆動部23の回転を軸管21に伝達するベルトやチェーン等の駆動伝達部、24はブラシ部24aが各々フレーム20aにねじ止め等により脱着自在に固定されナイロンやテトロン等の繊維が植毛された毛先24bがフィルタ1の表面に当接するように水平方向に配設された剥離機構、26aは清水槽16の側壁内側に底面と平行及び垂直に複数、配設され清水槽16に貯水される濾過水の波立ちを防止する邪魔板、26cは清水槽16の上部に配設され開口部26eが形成された天板部、26dは天板部26cに配設され道路カッターの初期の潤滑冷却水等として供給される水道水等を供給するための給水用パイプである。
【0047】
濾過槽15の固形分貯溜部15aは水平面に対して約5〜45度の角度にV字状に両傾斜させて形成し、この傾斜部の最下部に連設して、固形分排出用バルブ15cを有した固形分排出管15bを配置した。この固形分排出用バルブ15cを開くことによって、固形分貯溜部15aに沈澱堆積する土砂などの固形分を固形分排出管15bから排出する。
濾過処理中に軸管駆動部23を駆動することにより、軸管21と共にフィルタ1を回転させフィルタ1の表面に当接して配設された剥離機構24のブラシ部24aでフィルタ1表面に付着した懸濁物質を剥離することができ、濾過条件を一定に維持することができる。尚、ブラシ部24aはフレーム20aに脱着自在に配設し、ブラシ部24aのメンテナンスを容易にしている。
【0048】
図7は実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の要部模式断面図であり、図8は実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の濾過部を示す全体模式斜視図である。
図7中、15fは濾過槽15の底部及び側部に配設されて濾過部20を着脱自在に支持する支持板、21aはフィルタ1で濾過された濾過水を排出する軸管21の中空部、21bは軸管21の側面に穿設され各々のフィルタ1の内部流路7(図3,4参照)と連通した複数の取水孔、21cは排水管11bとカップリング21dにより着脱自在に接続され軸管21の中空部21aから排出される濾過水を排水管11bへ送水する濾過水送水管、22aは軸管21の両端部でフィルタ1を固定するフィルタ固定部22の端部固定部、22bは隣接するフィルタ1間に配設されフィルタ1の間隔を保持するフィルタ固定部22の間隔保持部、22cは各々のフィルタ1の挿通孔1a(図1参照)の周りに円周上に4箇所ずつ貫設され端部固定部22aと間隔保持部22b或いは隣接する間隔保持部22b同士を連結するフィルタ固定部22の連結ピン、26bは邪魔板26aの角部に形成され濾過水が流れる連通部、30a、30bはそれぞれ濾過槽15の上部開口及び清水槽16の開口部26eに着脱自在に覆設されたカバー部である。
尚、説明の都合上、図5及び図6ではカバー部30a、30bを省略した。
【0049】
フィルタ1、軸管21、軸管駆動部23、剥離機構24を有する濾過部20(図8参照)が、フレーム20aに固定され一体化されて支持板15f上に載置されている(図7参照)ので、フレーム20aと共に濾過部20を濾過槽15から容易に着脱することができ、メンテナンス性に優れる。
尚、軸管21の中空部21aから排出される濾過水を排水管11bへ送水する濾過水送水管21cが、軟質の排水管11bとカップリング21dにより着脱自在に接続されているので、予め排水管11b(図6,7参照)を長めにしておくことで、濾過槽15の外に濾過部20と一緒に排水管11bを引き出すことができ、濾過水送水管21cから容易に排水管11bを着脱して濾過部20を濾過槽15に着脱できる。
【0050】
以上のように構成された実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置11により、道路カッターなどから回収された懸濁排水を処理する方法について説明する。
まず、図5において、懸濁排水処理装置11の清水槽16には給水用パイプ26aから水を供給しておく。現場において清水槽16内の水が道路カッターの潤滑冷却水等として濾過水排出管11dから供給される。
次に、道路カッター等から排出され回収された懸濁排水は、懸濁排水供給管11aから懸濁排水処理装置11の濾過槽15に供給される。
濾過槽15の懸濁排水供給管11aから供給された懸濁排水は、カゴ体15dで大きなゴミや粒子の大きな懸濁物質等を取除かれて濾過槽15内部に貯水される。この懸濁排水が吸引ポンプ17で吸引されることにより、濾過槽15内の濾過部20のフィルタ1で濾過される。
尚、図6において、濾過処理中にフィルタ1が回転することでブラシ部24aにより、フィルタ1の濾布2の表面に付着した固形分を排除し、濾過を連続して行う。
図7において、土砂などがフィルタ1で除去された濾過水は、フィルタ1の芯材3の内部流路7(図3,4参照)に連通する取水孔21bから軸管21の中空部21a、濾過水送水管21cを通って排水管11bに送られ、供給管11cにより清水槽16に戻されて再度、道路カッター等に供給される。
【0051】
尚、濾過処理休止時等にフィルタ1を清掃する場合には、吸引ポンプ17を停止し、軸管駆動部23によりフィルタ1を濾過時の回転速度よりも高速で回転させるか又は濾過時の回転方向と逆方向に回転させたり、正回転と逆回転を繰り返したりする。これにより、濾布2表面に付着した懸濁物質が剥離し易くなり、濾過効率の向上を図ることができる。
また、フィルタ1が目詰まりしそうなときは、濾過能力を回復させるために、軸管21を通して圧縮空気や浄水等を逆に流す逆洗を行う。
この濾過処理と共に懸濁排水処理装置11の固形分貯溜部15aに蓄積される土砂等は固形分排出用バルブ15cを適宜開放して固形分排出管15bから排出する。
尚、懸濁排水処理装置11は、アスファルト道路やコンクリート道路等の路面のほか、コンクリート材、アスファルト材、岩盤、石材等の切断、穿孔を行う際に用いられる道路カッターの使用時に、道路カッターから排水される切断水やそれらのリサイクル水等の懸濁排水の濾過処理に特に好適に用いることができる。
本実施の形態では、懸濁排水処理装置11を主に濾過装置として使用する場合について説明したが、フィルタ1の中心位置近傍より懸濁排水の水位が上昇しないようにして、フィルタ1の上端側と剥離機構24を空気中に露出させて脱水装置としても使用することができる。これにより、懸濁排水中で濾過すると共に、濾別された懸濁物(固形物)を空気中で脱水しながら剥離機構24で剥離して効率的に回収することができ、浄化処理に伴って環境を汚染させるおそれがなく、環境保護性に優れる。
【0052】
以上のように実施の形態1におけるフィルタによれば、以下の作用を有する。
(1)芯材3(3a)の内部に形成された内部流路7と、内部流路7と連通し芯材3(3a)の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔8を有することにより、濾布2の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水が芯材3(3a)の表裏で分断されることがなく、連通孔8と内部流路7を通して芯材3(3a)の表裏で連通することができ、内部流路7の中で軸管21の外周面全面を濾過水に接触させることができるので、軸管21の取付角度を気にすることなく、内部流路7から軸管21の外周壁に穿設した取水孔21bを通して濾過水を確実かつ効率的に排水することができ、排水の効率性、組立作業性に優れる。
(2)芯材3(3a)の板厚を厚くして内部流路7を形成することにより、芯材3(3a)の剛性を高めることができ、耐久性に優れ、搬送時や組立時に芯材の変形などが発生し難く、組立作業性、取扱い性に優れる。
(3)濾布2の目詰まりが発生した際に、濾布2の表面に付着した付着物をブラシなどの剥離機構24で掻き落とす場合でも、芯材3(3a)が変形し難く、剥離機構24を確実に濾布2の表面に押し付けて掻き落とすことができ、剥離作業の効率性、確実性に優れる。
(4)濾布2の目詰まりが発生した際に、濾布2の表面に付着した付着物を挿通孔1aに挿通される軸管21を通して圧縮空気や浄水等を逆に流す逆洗を行って除去する場合でも、芯材3(3a)の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔8から圧縮空気や浄水等を噴出させることができ、濾布2の全面を斑無く確実に逆洗して付着物を除去することができ、剥離作業の効率性、確実性に優れる。
(5)芯材3(3a)及び濾布2を貫通し軸管21が挿通固定される挿通孔1aを有することにより、容易に軸管21を挿通することができ、組立作業性に優れる。
(6)第一基材4が、基板部4aと、基板部4a側に開口した開口部4cを備え基板部4aに突設された複数の中空状の突起部4bを有するので、第一基材4の突起部4bの頂部4d側に、平板状の覆設部材5を配設するだけで、基板部4aと覆設部材5の間に簡便に内部流路7を形成することができると共に、芯材3(3a)の強度を向上させて反りや捩れの発生を効果的に防止することができ、量産性、取扱い性に優れる。
(7)複数の突起部4bがリブとなって剛性を高めることができ、搬送時や組立時の芯材3(3a)の変形や内部流路7の潰れなどを効果的に防ぐことができ、取扱い性、耐久性に優れる。
(8)第一基材4の基板部4a側の少なくとも開口部4cに覆設された補強部材6を有する場合、補強部材6で突起部4bの開口部4cを閉塞して第一基材4の基板部4a側を平坦化することができ、芯材3aの表裏で流路抵抗をほぼ同等として、濾布2の両外部表面から略均等に吸引濾過或いは逆洗を行うことができ、濾過性能の均一性に優れる。
(9)連通孔8が、第一基材4の基板部4a及び補強部材6を貫通して穿設された基板側連通孔8aと覆設部材6に穿設された覆設部材側連通孔8bで形成されている場合、芯材3aの表裏を確実に連通させることができ、濾布2の両外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を連通孔8を通して確実に内部流路7に導くことができ、内部流路7と連通する軸管21を通して外部に排水することができ、濾過の効率性に優れる。
(10)第一基材4の突起部4bが、基板部4a側に開口した開口部4cを有する中空状なので、基板部4aと突起部4bを容易に一体成型することができ、量産性に優れる。
(11)芯材3(3a)と濾布2との間に敷設された網体10を有することにより、濾布2が芯材3(3a)に密着して連通孔8が閉塞されることがなく、濾布2と芯材3(3a)との間に略一定の空間部を形成することができ、濾過効率の低下を抑制することができ、濾過の確実性に優れる。
【0053】
実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置によれば、以下の作用を有する。
(1)濾過槽15で濾過された濾過水の内、使用されなかった濾過水を清水槽16に貯水して移送することができ、他の現場で道路カッター等の潤滑冷却水などとして有効に利用することができ、省資源性、環境保護性に優れる。
(2)濾布2表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構24を有することにより、フィルタ1に固着した懸濁物質等の固形分を簡便に除去して濾過条件を略一定に維持することができ、濾過効率の向上を図ることができ、道路カッターなどから排出される懸濁排水を短時間で大量に処理することができ、濾過性能に優れる。
(3)清水槽16に貯水された濾過水を繰り返し道路カッター等の潤滑冷却水などとして再利用することができるので、外部から水を補給することなしに道路カッターによる切断作業等を連続して行うことができ作業性に優れる。特に、補給水の水源のない高速道路等の作業現場では極めて有用で施工性に優れる。
(4)全体が袋状に密閉して形成されたフィルタ1内に濾過水を排出する中空の軸管21が挿通されているので、フィルタ1の設置スペースや濾過槽15をコンパクトにすることができ、装置の工事用車両等への搭載や移動を容易に行うことができ省スペース性、機動性に優れる。
(5)軸管21に接続された吸引ポンプ17を有することにより、吸引ポンプ17で懸濁排水を吸引して濾過を行うことができるので、濾過の処理能力を向上させることができ、フィルタ1や濾過槽15をコンパクト化することができ、省スペース性に優れる。
(6)フィルタ1の挿通孔1aに挿通固定された軸管21に連設され軸管21及びフィルタ1を回転させる軸管駆動部23と、フィルタ1の濾布2表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構24を有することにより、濾過処理中にフィルタ1を回転させるだけで、濾布2表面に付着した懸濁物質を簡便に剥離することができるので、濾過条件を略一定に維持させることができ、濾過の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
(7)清水槽16を有するので、予め水道水等を貯水してから工事現場等に移動させることができ、給水源がない工事現場においてアスファルト道路の路面部などをカッター等で切断する作業などを行う際の潤滑冷却水として使用することができ、汎用性に優れる。
(8)剥離機構24が、フィルタ1の外表面にブラシの毛先が当接して配設されたブラシ部24aを有することにより、軸管駆動部23でフィルタ1を回転させるだけで、ブラシ部24aによりフィルタ1の濾布2表面に付着した懸濁物質を剥離させることができるので、濾過処理中でもフィルタ表面を清掃して濾過の処理能力を一定に保つことができ、凝集剤等の薬剤を使用することなく濾過処理を行うことができ、濾過の効率性、環境保護性に優れる。
(9)フィルタ1と軸管21と軸管駆動部23と剥離機構24とを有する濾過部20を濾過槽15に対して着脱自在に保持するフレーム20aを備えることにより、濾過部20をフレーム20aと一体的に取り扱うことができ、容易に濾過槽15から取出してフィルタ1等の清掃や交換等を行うことができ、メンテナンス性、組立作業性に優れる。
【0054】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2におけるフィルタの模式斜視図であり、図10は実施の形態2におけるフィルタの要部模式断面図であり、図11は実施の形態2におけるフィルタの芯材の模式平面図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図9及び図10において、実施の形態2におけるフィルタ1Aが実施の形態1と異なるのは、濾布2の両外表面の間を同心円状に縫い合わせた複数の縫合部1bを有する点である。
また、図11において、実施の形態2におけるフィルタ1Aの芯材3bが実施の形態1と異なるのは、芯材3bの外周側に長さの異なるスリット9a,9bが放射状に交互に形成されている点である。
【0055】
縫合部1bの間隔は、濾布2や芯材3bの材質、芯材3bの構造、フィルタ1Aの外径などにもよるが、25mm〜100mmに形成した。縫合部1bの間隔が25mmより短くなるにつれ、逆洗時に濾布2の外方への膨らみ量が減少し、濾布2表面の開口が拡張し難くなって、開口に詰まった異物を取り除き難くなる傾向があり、100mmよりも長くなるにつれ、逆洗時に濾布2が外方に膨らみ易くなり、濾布2が破れたり、濾布2が膨らんだまま元に戻り難くなったりして、メンテナンス性、濾過性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくないことがわかったためである。
縫合部1bの縫合にはミシンを使用した。また、縫合部1bはウレタン系やシリコーン系などのシーリング材で目止めした。漏れを防止すると共に、縫合部1bを補強することができ、耐久性に優れるためである。
【0056】
本実施の形態では、スリット9a,9bをそれぞれ8本ずつ形成した。このスリット9a,9bの数は、スリット9a,9bの長さによって、適宜、選択することができるが、スリット9a,9bの総数は、6本〜16本が好ましい。スリット9a,9bの総数が6本より少なくなるにつれ、芯材3bの外周側が剥離機構の動作に倣うように変形(湾曲)し難くなり、芯材3bの反りの影響を十分に吸収できなくなって、剥離機構による剥離性能が低下し易くなる傾向があり、16本よりも多くなるにつれ、芯材3bが変形し易くなり過ぎ、剥離機構の力が伝達し難くなって、剥離機構による剥離性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくないことがわかったためである。
【0057】
また、スリット9a,9bの長さは、スリット9a,9bの数や芯材3bの外半径にもよるが、芯材3bの外半径の1/5〜2/3に形成した。スリット9bの長さが芯材3bの外半径の1/5より短くなるにつれ、芯材3bの外周側が面外方向に変形し難くなり、芯材3bの反りの影響を十分に吸収できなくなって、剥離機構による剥離性能が低下し易くなる傾向があり、スリット9aの長さ2/3よりも長くなるにつれ、芯材3bが変形し易くなり、剥離機構の力が伝達し難くなって、剥離性能が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくないことがわかったためである。
剥離機構による押圧力に応じて、スリット9a,9bの数、長さ、配置などを適宜、選択することができるが、特に、長さの異なるスリット9a,9bを交互に配置することにより、芯材3bの強度を保ちつつ、外周側を変形し易くすることができ、剥離機構による剥離性能の信頼性に優れる。
【0058】
以上のように構成された実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置について説明する。
図12(a)は実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の剥離機構の使用状態を示す濾過槽の要部模式断面図であり、図12(b)は実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の剥離機構の使用状態を示す濾過槽の模式平面図である。実施の形態2におけるフィルタ1Aを用いた懸濁排水処理装置の剥離機構34が実施の形態1の剥離機構24(図6参照)と異なるのは、ブラシ部24aを回動自在に支持するブラシ固定部35の両端部に形成された円筒状の軸支部35aが軸管21と同軸上に同心円に形成された円筒状のブラシ回動部20bに内挿され固定ねじ36により固定されている点である。これにより、フィルタ1とブラシ部24aとの位置合わせが容易でメンテナンス時の作業性に優れる。軸支部35aの外周に複数の位置決め孔を穿設することにより、図12(a)に想像線で示したように、所望の角度でブラシ固定部35を固定することができる。
以上のように構成された実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の使用方法は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
以上のように実施の形態2におけるフィルタによれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)芯材3bの外周側に放射状に形成されたスリット9a,9bを有することにより、ブラシなどの剥離機構34を濾布2の表面に押し当てた際に、芯材3bの外周側が剥離機構34の動作に倣うように変形(湾曲)し易くなるので、芯材3bに反りが発生している場合でも、濾布2の表面に剥離機構34を確実に当接させて付着物を掻き落とすことができ、メンテナンス性に優れる。
(2)芯材3bの外周側に放射状にスリット9a,9bを形成することにより、芯材3bの反りや捩れを吸収して歩留まりを向上させることができ、量産性に優れる。
(3)濾布2の両外表面の間を同心円状に縫い合わせた複数の縫合部1bを有することにより、逆洗時に、縫合部1bと縫合部1bの間の濾布2を適度に外方に膨出させることができ、濾布2表面の付着物を剥離機構34で効率的に掻き落とすことができ、剥離の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
(4)濾布2の両外表面の間を複数の縫合部1bで同心円状に縫い合わせることにより、濾布2の表面に皺やたるみなどが発生するのを防止できると共に、逆洗時に、濾布2が膨らみ過ぎたり、濾布2が膨らんだまま元に戻らなくなったりすることを防止して、効率的に逆洗を行うことができ、メンテナンス性、濾過安定性に優れる。
(5)スリット9a,9bが連通孔8を兼ねることができ、スリット9a,9bによって芯材3bの表裏を連通させることができると共に、スリット9a,9bの切り口の端面から内部流路7へ濾過水を導くことができ、濾過水の排水性を向上させることができる。
【0060】
実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置によれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)剥離機構34が、ブラシ部24aを回動可能に支持するブラシ固定部35を備えているので、濾過処理休止時にブラシ部24aを回動させて容易に清掃や交換、フィルタ1Aとのオーバーラップ量や当たり角度の調整等を行うことができ、メンテナンス性に優れる。
(2)ブラシ固定部35がブラシ部24aを回動可能に支持するので、濾過槽15内の懸濁排水の水位に応じてブラシ部24aの取付け角度を任意に設定でき汎用性に優れ、懸濁物質を剥離させるのに最適な角度を選択してブラシ部24aを取付けることができ、剥離作業の効率性、濾過性能の安定性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、簡素な構成で量産性、耐久性に優れ、搬送時や組立時に芯材の変形などが発生し難く、組立作業性、取扱い性に優れ、逆洗などによる付着物の剥離の効率性、確実性に優れ、長期間に渡って濾過性能を維持することができるメンテナンス性、長寿命性に優れたフィルタの提供、及びそれを用いることにより、各種土木建設工事現場等において、環境を汚染することなく道路カッター等の排水を工事現場で効率的に浄化して再使用でき、排水処理性に優れ、一定の濾過処理能力を維持できる信頼性に優れた懸濁排水処理装置の提供を行うものであり、懸濁排水処理装置を道路工事用車両等に搭載して搬送することにより、水の補給施設のない現場でも工事を行うことができ、特に道路カッター用作業車に使用した場合、機動性と利便性、排水処理性に優れ、道路カッターで使用後の排水を浄化して再使用することができ、廃棄物量を大幅に減量することができ、環境保護性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態1におけるフィルタの模式斜視図
【図2】実施の形態1におけるフィルタの要部模式断面図
【図3】実施の形態1におけるフィルタの芯材の模式斜視図
【図4】(a)実施の形態1におけるフィルタの芯材の要部模式断面図(b)実施の形態1におけるフィルタの芯材の変形例の要部模式断面図
【図5】実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の全体模式斜視図
【図6】実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の模式平面図
【図7】実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の要部模式断面図
【図8】実施の形態1におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の濾過部を示す全体模式斜視図
【図9】実施の形態2におけるフィルタの模式斜視図
【図10】実施の形態2におけるフィルタの要部模式断面図
【図11】実施の形態2におけるフィルタの芯材の模式平面図
【図12】(a)実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の剥離機構の使用状態を示す濾過槽の要部模式断面図(b)実施の形態2におけるフィルタを用いた懸濁排水処理装置の剥離機構の使用状態を示す濾過槽の模式平面図
【符号の説明】
【0063】
1,1A フィルタ
1a 挿通孔
1b 縫合部
2 濾布
3,3a,3b 芯材
4 第一基材
4a 基板部
4b 突起部
4c 開口部
4d 頂部
5 覆設部材
6 補強部材
7 内部流路
8 連通孔
8a 基板側連通孔
8a’ 補強部材貫通孔
8b 覆設部材側連通孔
8b’ 覆設部材側貫通孔
9a,9b スリット
10 網体
10a,10b 網目シート
11 懸濁排水処理装置
11a 懸濁排水供給管
11b 排水管
11c 供給管
11d 濾過水排出管
11e 濾過水排出用バルブ
11f 脚部
12 道路カッター
15 濾過槽
15a 固形分貯溜部
15b 固形分排出管
15c 固形分排出用バルブ
15d カゴ体
15e オーバーフロー排液管
15f 支持板
16 清水槽
17 吸引ポンプ
20 濾過部
20a フレーム
20b ブラシ回動部
21 軸管
21a 中空部
21b 取水孔
21c 濾過水送水管
21d カップリング
22a 端部固定部
22b 間隔保持部
22c 連結ピン
23 軸管駆動部
23a 駆動伝達部
24,34 剥離機構
24a ブラシ部
24b 毛先
26a 邪魔板
26b 連通部
26c 天板部
26d 給水用パイプ
26e 開口部
29 吊り孔
30a、30b カバー部
35 ブラシ固定部
35a 軸支部
36 固定ねじ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、前記芯材全体に覆設された袋状の濾布と、を有し、前記濾布の外部表面側から濾過された懸濁排水の濾過水を前記芯材及び前記濾布に挿通される軸管から排出するフィルタであって、
前記芯材の内部に形成された内部流路と、前記内部流路と連通し前記芯材の表裏にそれぞれ開口した複数の連通孔と、前記芯材及び前記濾布を貫通し前記軸管が挿通固定される挿通孔と、を備えたことを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記芯材が、基板部と前記基板部に突設された複数の突起部とを備えた第一基材と、前記第一基材の前記突起部の頂部側に配設された平板状の覆設部材と、を有し、前記内部流路が、前記第一基材の前記基板部と前記覆設部材との間に形成され、前記連通孔が、前記第一基材の前記基板部に穿設された基板側連通孔と前記覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記第一基材の前記突起部が、前記基板部側に開口した開口部を有する中空状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記芯材が、基板部と前記基板部側に開口した開口部を備え前記基板部に突設された複数の中空状の突起部とを有する第一基材と、前記第一基材の前記突起部の頂部側に配設された平板状の覆設部材と、前記第一基材の前記基板部側の少なくとも前記開口部に覆設された補強部材と、を有し、前記内部流路が、前記第一基材の前記基板部と前記覆設部材との間に形成され、前記連通孔が、前記第一基材の前記基板部及び前記補強部材を貫通して穿設された基板側連通孔と前記覆設部材に穿設された覆設部材側連通孔で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記芯材の外周側に放射状に形成されたスリットを備えたことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記芯材と前記濾布との間に敷設された網体を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記濾布の両外表面の間を同心円状に縫い合わせた複数の縫合部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項8】
懸濁排水が供給される濾過槽と、前記濾過槽内に配置された請求項1乃至7の内いずれか1項に記載のフィルタと、前記フィルタの前記挿通孔に挿通固定され前記フィルタで濾過された濾過水が排出される中空の軸管と、前記軸管に連設され前記軸管及び前記フィルタを回転させる軸管駆動部と、前記軸管に接続された吸引ポンプと、前記フィルタの前記濾布表面に付着した懸濁物質を剥離させる剥離機構と、前記フィルタで濾過された前記濾過水が貯水される清水槽と、を備えたことを特徴とする懸濁排水処理装置。
【請求項9】
前記剥離機構が、前記フィルタの外表面にブラシの毛先が当接して配設されたブラシ部と、前記ブラシ部を回動させて任意の角度で支持するブラシ固定部と、を備えたことを特徴とする請求項8に記載の懸濁排水処理装置。
【請求項10】
前記軸管の両端部に配設された前記フィルタを固定する端部固定部と、前記軸管上の隣接する前記フィルタ間に配設され隣接する前記フィルタの間隔を保持する間隔保持部と、各々の前記フィルタの前記挿通孔の周りに貫設され前記端部固定部と隣接する前記間隔保持部或いは隣接する前記間隔保持部同士を連結する連結ピンと、を有し、前記軸管に複数の前記フィルタを固定するフィルタ固定部を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の懸濁排水処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−279474(P2009−279474A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131372(P2008−131372)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(593069897)モリリン株式会社 (29)
【出願人】(592217576)中村建設株式会社 (19)
【Fターム(参考)】