説明

フィルタ回路及び電子部品

【課題】コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できるフィルタ回路及び電子部品を提供することである。
【解決手段】グランド経路G1,G2はそれぞれ、外部電極14e(グランド)と信号経路Sig1,Sig2のそれぞれとを接続している。信号経路Sig1は、コイルL1を含んでいる。信号経路Sig2は、コイルL1とコモンモードチョークコイルL101を構成しているコイルL2を含んでいる。グランド経路G1は、コイルL3及びコイルL3に直列接続されているコンデンサC1を含んでいる。グランド経路G2は、コイルL3とコモンモードチョークコイルL102を構成しているコイルL4及びコイルL4に直列接続されているコンデンサC2を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ回路及び電子部品に関し、より特定的には、コモンモードチョークコイルを内蔵しているフィルタ回路及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
差動伝送方式の信号線においてノイズを除去する場合には、コモンモードチョークコイルが用いられる。コモンモードチョークコイルは、2つのコイルを電磁気的に結合させて構成されている。そして、コモンモードチョークコイルは、コモンモードの信号に対してはフィルタとして作用し、ノーマルモードの信号に対してはフィルタとして作用しない特性を有している。これにより、コモンモードチョークコイルは、差動伝送方式の信号線において発生するコモンモードノイズを除去することができる。
【0003】
ところで、コモンモードチョークコイルは、使用される電子機器(例えば携帯電話機)において用いられる周波数帯域において、コモンモードノイズを効果的に除去する必要がある。そこで、所望の周波数特性を有するフィルタ回路を得るために、コモンモードチョークコイルは、コイルやコンデンサ等の電子部品と組み合わされて用いられる。図12は、コモンモードチョークコイルを含んだフィルタ回路500の回路図である。図13(a)は、フィルタ回路500及びフィルタ回路500のコモンモードチョークコイルL500のコモンモードの信号に対する周波数特性を示しており、図13(b)は、フィルタ回路500及びフィルタ回路500のコモンモードチョークコイルL500のノーマルモードの信号に対する周波数特性を示している。図13において、縦軸は挿入損失を示し、横軸は周波数を示している。また、図13において、点線はコモンモードチョークコイルL500の周波数特性を示しており、実線はフィルタ回路500の周波数特性を示している。以下に、図面を参照しながら、フィルタ回路500について説明する。
【0004】
フィルタ回路500は、図12に示すように、信号経路Sig501,Sig502、グランド経路G501,G502及び外部電極514(514a〜514d)を備えている。信号経路Sig501,Sig502はそれぞれ、例えば、差動伝送信号が伝送される信号経路であり、コイルL501,L502を含んでいる。コイルL501,L502はそれぞれ、信号経路Sig501,Sig502上に設けられており、互いに電磁気的に結合することによりコモンモードチョークコイルL500を構成している。コモンモードチョークコイルL500は、チップ型の電子部品により構成されている。
【0005】
外部電極514a,514bはそれぞれ、信号経路Sig501の両端に設けられており、入力端子及び出力端子として機能する。外部電極514c,514dはそれぞれ、信号経路Sig502の両端に設けられており、入力端子及び出力端子として機能する。
【0006】
グランド経路G501,G502はそれぞれ、コイルL501,L502と外部電極514a,514cとの間と、グランドとの間に接続されている。グランド経路G501,G502はそれぞれ、コンデンサC501,C502を含んでいる。コンデンサC501,C502は、例えば、コモンモードチョークコイルL500とは異なるチップ型の電子部品により構成されている。そのため、コモンモードチョークコイルL500とコンデンサC501,C502との間には、信号線や端子の接続部分等が存在している。したがって、図12に示すように、グランド経路G501,G502にはそれぞれ、残留インダクタL503,L504が発生している。よって、コンデンサC501,C502及び残留インダクタL503,L504によりフィルタが構成されている。
【0007】
以上のようなフィルタ回路500では、図13(a)に示すように、高周波帯域におけるコモンモードの信号に対する挿入損失が大きくなっていることがわかる。より詳細には、コモンモードチョークコイルL500の挿入損失は、600MHz近傍において最大となっている。一方、フィルタ回路500では、グランド経路G501,G502のそれぞれにコンデンサC501,C502及び残留インダクタL503,L504からなるフィルタが設けられているので、高周波信号はグランド経路G501,G502を経由してグランドへと流れていく。よって、フィルタ回路500の挿入損失は、600MHzよりも高い2GHz近傍において最大となっている。
【0008】
ここで、コモンモードチョークコイルL500の挿入損失と、コンデンサC501,C502及び残留インダクタL503,L504からなるフィルタの挿入損失が最大となる周波数(すなわち共振周波数)は、コモンモードチョークコイルL、コンデンサC501、C502及び残留インダクタL503,L504の定数を変えることにより任意周波数で設定が可能である。2つの共振周波数を近づけた場合には特定周波数で極めて大きな挿入損失を持たせることができ、逆に2つの共振周波数を離した場合にはフィルタリング周波数の広帯域化が可能となる。
【0009】
しかしながら、フィルタ回路500は、以下に説明するように、有効なノーマルモードの信号に対する挿入損失が増加するという問題を有する。より詳細には、フィルタ回路500では、コンデンサC501,C502及び残留インダクタL503,L504からなるフィルタにより、ノーマルモードの信号に対しても2GHz近傍において挿入損失が最大となってしまう。ところが、ノーマルモードの信号は、ノイズではなく差動伝送に使用される有効な信号である。よって、フィルタ回路500では、有効なノーマルモードの信号が除去されてしまう。
【0010】
なお、従来のフィルタ回路としては、例えば、特許文献1に記載の積層型コモンモードフィルタが知られている。該フィルタ回路では、コモンモードチョークコイルを構成しているコイルのそれぞれにコンデンサが並列接続されている。しかしながら、特許文献1では、有効なノーマルモードの信号の除去を低減することについて言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−159069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できるフィルタ回路及び電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係るフィルタ回路は、第1の信号経路及び第2の信号経路と、グランドと前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路のそれぞれとを接続する第1のグランド経路及び第2のグランド経路と、を備えており、前記第1の信号経路は、第1のコイルを含んでおり、前記第2の信号経路は、前記第1のコイルと第1のコモンモードチョークコイルを構成している第2のコイルを含んでおり、前記第1のグランド経路は、第3のコイル及び該第3のコイルに直列接続されている第1のコンデンサを含んでおり、前記第2のグランド経路は、前記第3のコイルと第2のコモンモードチョークコイルを構成している第4のコイル及び該第4のコイルに直列接続されている第2のコンデンサを含んでいること、を特徴とする。
【0014】
本発明の一形態に係る電子部品は、前記フィルタ回路を内蔵している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ回路の回路図である。
【図2】一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
【図3】一実施形態に係る電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図4】第1の変形例に係るフィルタ回路の回路図である。
【図5】第1の変形例に係るフィルタ回路を内蔵している電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図6】第2の変形例に係るフィルタ回路の回路図である。
【図7】第2の変形例に係るフィルタ回路を内蔵している電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図8】第3の変形例に係るフィルタ回路の回路図である。
【図9】第3の変形例に係るフィルタ回路を内蔵している電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図10】第4の変形例に係るフィルタ回路の回路図である。
【図11】第4の変形例に係るフィルタ回路を内蔵している電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図12】コモンモードチョークコイルを含んだフィルタ回路の回路図である。
【図13】図13(a)は、フィルタ回路及びフィルタ回路のコモンモードチョークコイルのコモンモードの信号に対する周波数特性を示しており、図13(b)は、フィルタ回路及びフィルタ回路のコモンモードチョークコイルのノーマルモードの信号に対する周波数特性を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係るフィルタ回路及び電子部品について説明する。
【0018】
(フィルタ回路の構成)
本発明の一実施形態に係るフィルタ回路の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路10aの回路図である。
【0019】
フィルタ回路10aは、図1に示すように、信号経路Sig1,Sig2、グランド経路G1,G2及び外部電極14(14a〜14e)を備えている。
【0020】
信号経路Sig1,Sig2はそれぞれ、例えば、差動伝送信号が伝送される信号経路であり、コイルL1,L2を含んでいる。コイルL1,L2はそれぞれ、信号経路Sig1,Sig2上に設けられており、互いに電磁気的に結合することによりコモンモードチョークコイルL101を構成している。
【0021】
外部電極14aは、信号経路Sig1の入力側の端部に設けられており、入力端子として機能する。外部電極14bは、信号経路Sig1の出力側の端部に設けられており、出力端子として機能する。外部電極14cは、信号経路Sig2の入力側の端部に設けられており、入力端子として機能する。外部電極14dは、信号経路Sig2の出力側の端部に設けられており、出力端子として機能する。
【0022】
グランド経路G1,G2はそれぞれ、グランドと信号経路Sig1,Sig2のそれぞれとを接続する。具体的には、グランド経路G1の一端は、外部電極14a(すなわち、信号経路Sig1の入力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。グランド経路G1の他端は、外部電極14eに接続されている。グランド経路G2の一端は、外部電極14c(すなわち、信号経路Sig2の入力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。グランド経路G2の他端は、外部電極14eに接続されている。外部電極14eは、グランド端子として機能する。
【0023】
また、グランド経路G1は、コンデンサC1及びコイルL3を含んでいる。コンデンサC1とコイルL3とは直列接続されている。そして、コイルL3は、コンデンサC1と外部電極14e(すなわち、グランド)との間に設けられている。
【0024】
また、グランド経路G2は、コンデンサC2及びコイルL4を含んでいる。コンデンサC2とコイルL4とは直列接続されている。そして、コイルL4は、コンデンサC2と外部電極14e(すなわち、グランド)との間に設けられている。
【0025】
また、コイルL3,L4は、互いに電磁気的に結合することによりコモンモードチョークコイルL102を構成している。
【0026】
(電子部品の構成)
次に、フィルタ回路10aを内蔵している電子部品11aの構成について図面を参照しながら説明する。図2は、一実施形態に係る電子部品11aの外観斜視図である。図3は、一実施形態に係る電子部品11aの積層体12の分解斜視図である。以下では、電子部品11aの積層体12の積層方向をz軸方向と定義する。また、z軸方向から平面視したときに積層体12の長辺が延在している方向をx軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに積層体12の短辺が延在している方向をy軸方向と定義する。
【0027】
電子部品11aは、図2及び図3に示すように、積層体12、外部電極14(14a〜14e)、信号経路Sig1,Sig2及びグランド経路G1,G2を備えている。
【0028】
積層体12は、直方体状をなしており、図3に示すように、絶縁体層16(16a〜16k)が積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、長方形状をなしており、誘電体材料、磁性体材料又はガラス材料により作製されている。そして、絶縁体層16a〜16kは、z軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されている。以下では、絶縁体層16のz軸方向の正方向側の面を表面と称し、絶縁体層16のz軸方向の負方向側の面を裏面と称す。
【0029】
外部電極14a,14cは、図2に示すように、積層体12のy軸方向の正方向側の側面に設けられており、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。外部電極14b,14dは、積層体12のy軸方向の負方向側の側面に設けられており、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。外部電極14eは、積層体12のx軸方向の負方向側の側面に設けられている。外部電極14a,14cは入力端子として機能し、外部電極14b,14dは出力端子として機能する。また、外部電極14eはグランド端子として機能する。
【0030】
信号経路Sig1は、図3に示すように、コイル導体18a、引き出し導体20a及びビアホール導体v1により構成されている。コイル導体18aは、信号経路Sig1上に設けられているコイルL1を構成しており、絶縁体層16cの表面上に設けられている導体層である。コイル導体18aは、線状導体が折り曲げられることにより構成されており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、中心に向かって時計回りに旋回する渦巻形状をなしている。コイル導体18aの一端は、絶縁体層16cの中央(対角線の交点)近傍に位置している。コイル導体18aの他端は、絶縁体層16cのy軸方向の負方向側の長辺に引き出されており、外部電極14bに接続されている。
【0031】
引き出し導体20aは、線状導体であり、絶縁体層16bの表面上に設けられている導体層である。引き出し導体20aの一端は、z軸方向から平面視したときに、コイル導体18aの一端と重なっており、絶縁体層16bの中央(対角線の交点)近傍に位置している。引き出し導体20aの他端は、絶縁体層16bのy軸方向の正方向側の長辺に引き出されており、外部電極14aに接続されている。
【0032】
ビアホール導体v1は、絶縁体層16bをz軸方向に貫通しており、コイル導体18aの一端と引き出し導体20aの一端とを接続している。これにより、外部電極14a,14b間にコイルL1を有する信号経路Sig1が設けられている。
【0033】
信号経路Sig2は、図3に示すように、コイル導体18b、引き出し導体20b及びビアホール導体v2により構成されている。コイル導体18bは、信号経路Sig2上に設けられているコイルL2を構成しており、絶縁体層16dの表面上に設けられている導体層である。コイル導体18bは、線状導体が折り曲げられることにより構成されており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、中心に向かって時計回りに旋回する渦巻形状をなしている。コイル導体18bは、z軸方向から平面視したときに、コイル導体18aと重なっており、該コイル導体18aと電磁気的に結合している。これにより、コイルL1とコイルL2とは、コモンモードチョークコイルL101を構成している。コイル導体18bの一端は、絶縁体層16dの中央(対角線の交点)近傍に位置している。コイル導体18bの他端は、絶縁体層16dのy軸方向の負方向側の長辺に引き出されており、外部電極14dに接続されている。
【0034】
引き出し導体20bは、線状導体であり、絶縁体層16eの表面上に設けられている導体層である。引き出し導体20bの一端は、z軸方向から平面視したときに、コイル導体18bの一端と重なっており、絶縁体層16eの中央(対角線の交点)近傍に位置している。引き出し導体20bの他端は、絶縁体層16eのy軸方向の正方向側の長辺に引き出されており、外部電極14cに接続されている。
【0035】
ビアホール導体v2は、絶縁体層16dをz軸方向に貫通しており、コイル導体18bの一端と引き出し導体20bの一端とを接続している。これにより、外部電極14c,14d間にコイルL2を有する信号経路Sig2が設けられている。
【0036】
グランド経路G1は、図3に示すように、コイル導体18c、コンデンサ導体22a,22b及びビアホール導体v3により構成されている。コンデンサ導体22a,22bはそれぞれ、グランド経路G1上に設けられているコンデンサC1を構成しており、絶縁体層16f,16gの表面上に設けられている導体層である。コンデンサ導体22a,22bはそれぞれ、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、互いに重なり合っている。コンデンサ導体22aは、絶縁体層16fのy軸方向の正方向側の長辺に引き出されており、外部電極14aに接続されている。これにより、グランド経路G1は、外部電極14aとコイルL1との間(本実施形態では外部電極14a)に接続されている。
【0037】
コイル導体18cは、グランド経路G1上に設けられているコイルL3を構成しており、絶縁体層16hの表面上に設けられている導体層である。コイル導体18cは、線状導体が折り曲げられることにより構成されており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、中心に向かって時計回りに旋回する渦巻形状をなしている。コイル導体18cの一端は、絶縁体層16hの中央(対角線の交点)近傍に位置している。コイル導体18cの他端は、絶縁体層16hのx軸方向の負方向側の短辺に引き出されており、外部電極14eに接続されている。
【0038】
また、ビアホール導体v3は、絶縁体層16gをz軸方向に貫通しており、コンデンサ導体22bとコイル導体18cの一端とを接続している。これにより、コイルL3とコンデンサC1とが直列接続されている。更に、外部電極14a,14e間にコイルL3及びコンデンサC1を有するグランド経路G1が設けられている。
【0039】
グランド経路G2は、図3に示すように、コイル導体18d、コンデンサ導体22c,22d及びビアホール導体v4により構成されている。コンデンサ導体22c,22dはそれぞれ、グランド経路G2上に設けられているコンデンサC2を構成しており、絶縁体層16j,16kの表面上に設けられている導体層である。コンデンサ導体22c,22dはそれぞれ、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、互いに重なり合っている。コンデンサ導体22dは、絶縁体層16kのy軸方向の正方向側の長辺に引き出されており、外部電極14cに接続されている。これにより、グランド経路G2は、外部電極14cとコイルL2との間(本実施形態では外部電極14c)に接続されている。
【0040】
コイル導体18dは、グランド経路G2上に設けられているコイルL4を構成しており、絶縁体層16iの表面上に設けられている導体層である。コイル導体18dは、線状導体が折り曲げられることにより構成されており、z軸方向の正方向側から平面視したときに、中心に向かって時計回りに旋回する渦巻形状をなしている。すなわち、コイル導体18cとコイル導体18dとは同じ形状を有しており、z軸方向から平面視したときに、一致した状態で重なっている。これにより、コイルL3とコイルL4とは、互いに磁気結合し、コモンモードチョークコイルL102を構成している。コイル導体18dの一端は、絶縁体層16iの中央(対角線の交点)近傍に位置している。コイル導体18dの他端は、絶縁体層16iのx軸方向の負方向側の短辺に引き出されており、外部電極14eに接続されている。
【0041】
また、ビアホール導体v4は、絶縁体層16iをz軸方向に貫通しており、コンデンサ導体22cとコイル導体18dの一端とを接続している。これにより、コイルL4とコンデンサC2とが直列接続されている。更に、外部電極14c,14e間にコイルL4及びコンデンサC2を有するグランド経路G2が接続されている。
【0042】
以上のように構成された電子部品11aでは、コンデンサC1は、コイルL1,L2とコイルL3,L4とにz軸方向において挟まれている。
【0043】
ここで、電子部品11aの動作ついて説明する。電子部品11aは、回路基板に実装されて用いられる。この際、外部電極14a,14cは入力端子として用いられ、外部電極14b,14dは出力端子として用いられ、外部電極14eはグランド端子として用いられる。そして、電子部品11aは、コイルL1,L2からなるコモンモードチョークコイルL101を備えているので、以下に説明するように、信号経路Sig1,Sig2において、コモンモードの信号に対する挿入損失が大きく、ノーマルモードの信号に対する挿入損失が小さい。
【0044】
コモンモードの信号は、同相信号であるので、信号経路Sig1において外部電極14aから外部電極14bへと流れ、信号経路Sig2において外部電極14cから外部電極14dへと流れると、コイル導体18a,18bでは同じ方向に旋回するように流れる。そのため、コイル導体18a,18bでは、同じ方向に磁束が発生し、コモンモードの信号に対するインダクタンスが発生する。よって、コモンモードの信号が信号経路Sig1,Sig2を通過することが妨げられる。すなわち、信号経路Sig1,Sig2においてコモンモードの信号に対する挿入損失が大きい。
【0045】
一方、ノーマルモードの信号は、逆相信号であるので、信号経路Sig1において外部電極14aから外部電極14bへと流れ、信号経路Sig2において外部電極14dから外部電極14cへと流れると、コイル導体18a,18bでは互いに逆方向に旋回するように流れる。そのため、コイル導体18a,18bでは、逆方向に磁束が発生する。したがって、コイル導体18a,18bにおいて発生する磁束は相殺される。よって、コイルL1,L2がノーマルモードの信号に対してはコイルとして殆ど機能しない(すなわち、インダクタンス値が極めて小さくなる)ため、信号経路Sig1,Sig2を通過することが妨げられない。すなわち、信号経路Sig1,Sig2においてノーマルモードの信号に対する挿入損失が小さい。
【0046】
更に、電子部品11aは、コンデンサC1及びコイルL3を有するグランド経路G1、及び、コンデンサC2及びコイルL3を有するグランド経路G2を有している。そのため、以下に説明するように、コンデンサC1及びコイルL3により構成されるフィルタ及びコンデンサC2及びコイルL4により構成されるフィルタによって、コモンモードの信号に対する周波数特性を広帯域化できるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【0047】
コイルL3,L4はコモンモードチョークコイルL102を構成している。コモンモードチョークコイルL102は、コモンモードの信号に対しては大きなインダクタンス値を発揮し、ノーマルモードの信号に対しては小さなインダクタンス値を発揮する。インダクタンス値Lのコイルと容量Cのコンデンサからなるフィルタの共振周波数fは、f=1/2π√(LC)により表される。よって、コイルL3,L4及びコンデンサC1,C2からなるフィルタの共振周波数は、コモンモードの信号では相対的に低く、ノーマルモードでは相対的に高くなる。すなわち、コイルL3,L4をコモンモードチョークコイルL102とすることにより、ノーマルモードの信号に対する共振周波数とコモンモードの信号に対する共振周波数とを異ならせることができる。
【0048】
そこで、電子部品11aにおいて、コイルL3,L4及びコンデンサC1,C2からなるフィルタのコモンモードの信号に対する共振周波数を、電子部品11aが用いられる電子機器で使用される周波数帯域に合わせて設計すればよい。これにより、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができる。
【0049】
更に、コイルL3,L4及びコンデンサC1,C2からなるフィルタのノーマルモードの信号に対する共振周波数は、コイルL3,L4及びコンデンサC1,C2からなるフィルタのコモンモードの信号に対する共振周波数よりも高くなる。よって、電子部品11aにおいて、有効なノーマルモードの信号が除去されることが抑制される。
【0050】
(電子部品の製造方法)
以下に、電子部品11aの製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、複数の電子部品11aを同時に作成する際の電子部品11aの製造方法について説明する。
【0051】
図3の絶縁体層16となるべきセラミックグリーンシートを準備する。図3に示すように、絶縁体層16b,16d,16g,16iとなるべきセラミックグリーンシートのそれぞれに、ビアホール導体v1〜v4を形成する。具体的には、絶縁体層16b,16d,16g,16iとなるべきセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
【0052】
次に、図3に示すように、絶縁体層16b〜16kとなるべきセラミックグリーンシートの表面上にコイル導体18、引き出し導体20及びコンデンサ導体22を形成する。具体的には、絶縁体層16b〜16kとなるべきセラミックグリーンシートの表面上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コイル導体18、引き出し導体20及びコンデンサ導体22を形成する。なお、コイル導体18、引き出し導体20及びコンデンサ導体22を形成する工程とビアホールに対して導電性ペーストを充填する工程とは、同じ工程において行われてもよい。
【0053】
次に、図3に示すように、絶縁体層16a〜16kとなるべきセラミックグリーンシートをこの順に並ぶように積層・圧着して、未焼成のマザー積層体を得る。絶縁体層16a〜16kとなるべきセラミックグリーンシートの積層・圧着は、1枚ずつ積層して仮圧着してマザー積層体を得た後、未焼成のマザー積層体を静水圧プレスなどにより加圧して本圧着を行う。
【0054】
次に、マザー積層体をカット刃により所定寸法の積層体12にカットする。その後、未焼成の積層体12に、脱バインダー処理及び焼成を施す。
【0055】
次に、Agを主成分とする導電性材料からなる電極ペーストを積層体12に塗布して、外部電極14となるべき銀電極を形成する。更に、外部電極14となるべき銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14を形成する。以上の工程により、図2に示すような電子部品11aが完成する。
【0056】
(効果)
フィルタ回路10a及び電子部品11aによれば、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。なお、かかる効果については、電子部品11aの動作において既に説明を行ったので、これ以上の説明を省略する。
【0057】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係るフィルタ回路10bについて図面を参照しながら説明する。図4は、第1の変形例に係るフィルタ回路10bの回路図である。
【0058】
フィルタ回路10bとフィルタ回路10aとの相違点は、コンデンサC1,C2とコイルL3,L4とが入れ替わっている点である。より詳細には、図4に示すように、フィルタ回路10bでは、コンデンサC1,C2はそれぞれ、外部電極14e(グランド)とコイルL3,L4との間に設けられている。なお、フィルタ回路10bのその他の構成については、フィルタ回路10aと同じであるので、説明を省略する。
【0059】
次に、第1の変形例に係るフィルタ回路10bを内蔵している電子部品11bの構成について図面を参照しながら説明する。図5は、第1の変形例に係るフィルタ回路10bを内蔵している電子部品11bの積層体12の分解斜視図である。
【0060】
電子部品11bでは、コンデンサ導体22a,22dが外部電極14eに接続されている。また、コイル導体18c,18dがそれぞれ、外部電極14a,14cに接続されている。これにより、コンデンサC1,C2はそれぞれ、外部電極14e(グランド)とコイルL3,L4との間に設けられるようになる。
【0061】
フィルタ回路10b及び電子部品11bも、フィルタ回路10a及び電子部品11aと同じように、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【0062】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係るフィルタ回路10cについて図面を参照しながら説明する。図6は、第2の変形例に係るフィルタ回路10cの回路図である。
【0063】
フィルタ回路10cとフィルタ回路10aとの相違点は、グランド経路G1,G2がそれぞれ、枝部G1a,G1b,G2a,G2bに枝分かれしている点、及び,コンデンサC3,C4が設けられている点である。
【0064】
枝部G1aは、外部電極14a(信号経路Sig1の入力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。枝部G1bは、外部電極14b(信号経路Sig1の出力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。
【0065】
枝部G2aは、外部電極14c(信号経路Sig2の入力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。枝部G2bは、外部電極14d(信号経路Sig2の出力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。
【0066】
コイルL3は、グランド経路G1上の枝部G1aと枝部G2aとの接続部分と外部電極14e(グランド)との間に設けられている。また、コイルL4は、グランド経路G2上の枝部G2aと枝部G2bとの接続部分と外部電極14e(グランド)との間に設けられている。
【0067】
コンデンサC1は、枝部G1a上に設けられている。コンデンサC2は、枝部G2a上に設けられている。コンデンサC3は、枝部G1b上に設けられている。コンデンサC4は、枝部G2b上に設けられている。
【0068】
次に、第2の変形例に係るフィルタ回路10cを内蔵している電子部品11cの構成について図面を参照しながら説明する。図7は、第2の変形例に係るフィルタ回路10cを内蔵している電子部品11cの積層体12の分解斜視図である。
【0069】
電子部品11cでは、コンデンサ導体22aの代わりにコンデンサ導体122a,122bが絶縁体層16fの表面上に設けられている。コンデンサ導体122a,122bは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22bと重なっている。これにより、コンデンサ導体122a及びコンデンサ導体22bは、コンデンサC1を構成し、コンデンサ導体122b及びコンデンサ導体22bは、コンデンサC3を構成している。
【0070】
また、コンデンサ導体122a,122bはそれぞれ、外部電極14a,14bに接続されている。これにより、コンデンサC1,C3はそれぞれ、外部電極14a,14bとコイルL3との間に設けられている。
【0071】
更に、電子部品11cでは、コンデンサ導体22dの代わりにコンデンサ導体122c,122dが絶縁体層16kの表面上に設けられている。コンデンサ導体122c,122dは、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22cと重なっている。これにより、コンデンサ導体122c及びコンデンサ導体22cは、コンデンサC2を構成し、コンデンサ導体122d及びコンデンサ導体22cは、コンデンサC4を構成している。
【0072】
また、コンデンサ導体122c,122dはそれぞれ、外部電極14c,14dに接続されている。これにより、コンデンサC2,C4はそれぞれ、外部電極14c,14dとコイルL4との間に設けられている。
【0073】
フィルタ回路10c及び電子部品11cも、フィルタ回路10a及び電子部品11aと同じように、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【0074】
また、フィルタ回路10c及び電子部品11cでは、コンデンサC3,C4を設けることにより、ノーマルモードの信号に対する共振周波数付近での挿入損失の変化を急峻にできる。その結果、フィルタ回路10c及び電子部品11cが用いられる電子機器で使用される周波数帯域のノーマルモードの信号に対して、フィルタ回路10c及び電子部品11cが影響を及ぼしにくくなる。よって、フィルタ回路10c及び電子部品11cでは、有効なノーマルモードの信号が除去されることをより低減できる。
【0075】
(第3の変形例)
以下に、第3の変形例に係るフィルタ回路10dについて図面を参照しながら説明する。図8は、第3の変形例に係るフィルタ回路10dの回路図である。
【0076】
フィルタ回路10dとフィルタ回路10cとの相違点は、枝部G1a,G1b,G2a,G2bの接続位置である。
【0077】
枝部G1aは、外部電極14a(信号経路Sig1の入力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。枝部G1bは、外部電極14d(信号経路Sig2の出力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。
【0078】
枝部G2aは、外部電極14c(信号経路Sig2の入力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。枝部G2bは、外部電極14b(信号経路Sig2の出力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。フィルタ回路10dのその他の構成については、フィルタ回路10cと同じであるので説明を省略する。
【0079】
次に、第3の変形例に係るフィルタ回路10dを内蔵している電子部品11dの構成について図面を参照しながら説明する。図9は、第3の変形例に係るフィルタ回路10dを内蔵している電子部品11dの積層体12の分解斜視図である。
【0080】
電子部品11dでは、コンデンサ導体122a,122bはそれぞれ、外部電極14a,14dに接続されている。これにより、コンデンサC1,C3はそれぞれ、外部電極14a,14dとコイルL3との間に設けられている。
【0081】
また、コンデンサ導体122c,122dはそれぞれ、外部電極14c,14bに接続されている。これにより、コンデンサC2,C4はそれぞれ、外部電極14c,14bとコイルL4との間に設けられている。
【0082】
フィルタ回路10d及び電子部品11dも、フィルタ回路10a及び電子部品11aと同じように、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【0083】
また、フィルタ回路10d及び電子部品11dでは、コンデンサC3,C4を設けることにより、ノーマルモードの信号に対する共振周波数付近での挿入損失の変化を急峻にできる。その結果、フィルタ回路10d及び電子部品11dが用いられる電子機器で使用される周波数帯域のノーマルモードの信号に対して、フィルタ回路10d及び電子部品11dが影響を及ぼしにくくなる。よって、フィルタ回路10d及び電子部品11dでは、有効なノーマルモードの信号が除去されることをより低減できる。
【0084】
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係るフィルタ回路10eについて図面を参照しながら説明する。図10は、第4の変形例に係るフィルタ回路10eの回路図である。
【0085】
フィルタ回路10eとフィルタ回路10cとの相違点は、枝部G1a,G1b,G2a,G2bの接続位置である。
【0086】
枝部G1aは、外部電極14b(信号経路Sig1の出力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。枝部G1bは、外部電極14d(信号経路Sig2の出力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。
【0087】
枝部G2aは、外部電極14c(信号経路Sig2の入力側の端部)とコイルL2との間に接続されている。枝部G2bは、外部電極14a(信号経路Sig2の出力側の端部)とコイルL1との間に接続されている。フィルタ回路10eのその他の構成については、フィルタ回路10cと同じであるので説明を省略する。
【0088】
次に、第4の変形例に係るフィルタ回路10eを内蔵している電子部品11eの構成について図面を参照しながら説明する。図11は、第4の変形例に係るフィルタ回路10eを内蔵している電子部品11eの積層体12の分解斜視図である。
【0089】
電子部品11eでは、コンデンサ導体122a,122bはそれぞれ、外部電極14b,14dに接続されている。これにより、コンデンサC1,C3はそれぞれ、外部電極14b,14dとコイルL3との間に設けられている。
【0090】
また、コンデンサ導体122c,122dはそれぞれ、外部電極14c,14aに接続されている。これにより、コンデンサC2,C4はそれぞれ、外部電極14c,14aとコイルL4との間に設けられている。
【0091】
フィルタ回路10e及び電子部品11eも、フィルタ回路10a及び電子部品11aと同じように、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる。
【0092】
また、フィルタ回路10e及び電子部品11eでは、コンデンサC3,C4を設けることにより、ノーマルモードの信号に対する共振周波数付近での挿入損失の変化を急峻にできる。その結果、フィルタ回路10e及び電子部品11eが用いられる電子機器で使用される周波数帯域のノーマルモードの信号に対して、フィルタ回路10e及び電子部品11eが影響を及ぼしにくくなる。よって、フィルタ回路10e及び電子部品11eでは、有効なノーマルモードの信号が除去されることをより低減できる。
【0093】
なお、フィルタ回路10a〜10eは、電子部品11a〜11eにより実現されるとしたが、例えば、複数の電子部品が回路基板に実装されることにより構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明は、フィルタ回路及び電子部品に有用であり、特に、コモンモードの信号に対する周波数特性の広帯域化を図ることができるとともに、有効なノーマルモードの信号が除去されることを低減できる点において優れている。
【符号の説明】
【0095】
C1〜C4 コンデンサ
G1,G2 グランド経路
G1a,G1b,G2a,G2b 枝部
L1〜L4 コイル
L101,L102 コモンモードチョークコイル
Sig1,Sig2 信号経路
10a〜10e フィルタ回路
11a〜11e 電子部品
12 積層体
14a〜14e 外部電極
16a〜16k 絶縁体層
18a〜18d コイル導体
20a,20b 引き出し導体
22a〜22d,122a〜122d コンデンサ導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号経路及び第2の信号経路と、
グランドと前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路のそれぞれとを接続する第1のグランド経路及び第2のグランド経路と、
を備えており、
前記第1の信号経路は、第1のコイルを含んでおり、
前記第2の信号経路は、前記第1のコイルと第1のコモンモードチョークコイルを構成している第2のコイルを含んでおり、
前記第1のグランド経路は、第3のコイル及び該第3のコイルに直列接続されている第1のコンデンサを含んでおり、
前記第2のグランド経路は、前記第3のコイルと第2のコモンモードチョークコイルを構成している第4のコイル及び該第4のコイルに直列接続されている第2のコンデンサを含んでいること、
を特徴とするフィルタ回路。
【請求項2】
前記第1のグランド経路は、前記第1の信号経路の入力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されており、
前記第2のグランド経路は、前記第2の信号経路の入力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されていること、
を特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記第3のコイル及び前記第4のコイルはそれぞれ、グランドと前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサとの間に設けられていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサはそれぞれ、グランドと前記第3のコイル及び前記第4のコイルとの間に設けられていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記第1のグランド経路は、前記第1の信号経路の入力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されている第1の枝部、及び、該第1の信号経路の出力側の端部と該第1のコイルとの間に接続されている第2の枝部に枝分かれしており、
前記第2のグランド経路は、前記第2の信号経路の入力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されている第3の枝部、及び、該第2の信号経路の出力側の端部と該第2のコイルとの間に接続されている第4の枝部に枝分かれしており、
前記第3のコイルは、前記第1のグランド経路上の前記第1の枝部と前記第2の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第4のコイルは、前記第2のグランド経路上の前記第3の枝部と前記第4の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサはそれぞれ、前記第1の枝部上及び前記第3の枝部上に設けられており、
前記第1のグランド経路は、前記第2の枝部上に設けられている第3のコンデンサを含んでおり、
前記第2のグランド経路は、前記第4の枝部上に設けられている第4のコンデンサを含んでいること、
を特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記第1のグランド経路は、前記第1の信号経路の入力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されている第1の枝部、及び、前記第2の信号経路の出力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されている第2の枝部に枝分かれしており、
前記第2のグランド経路は、前記第2の信号経路の入力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されている第3の枝部、及び、前記第1の信号経路の出力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されている第4の枝部に枝分かれしており、
前記第3のコイルは、前記第1のグランド経路上の前記第1の枝部と前記第2の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第4のコイルは、前記第2のグランド経路上の前記第3の枝部と前記第4の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサはそれぞれ、前記第1の枝部上及び前記第3の枝部上に設けられており、
前記第1のグランド経路は、前記第2の枝部上に設けられている第3のコンデンサを含んでおり、
前記第2のグランド経路は、前記第4の枝部上のそれぞれに設けられている第4のコンデンサを含んでいること、
を特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
前記第1のグランド経路は、前記第1の信号経路の出力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されている第1の枝部、及び、前記第2の信号経路の出力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されている第2の枝部に枝分かれしており、
前記第2のグランド経路は、前記第2の信号経路の入力側の端部と前記第2のコイルとの間に接続されている第3の枝部、及び、前記第1の信号経路の入力側の端部と前記第1のコイルとの間に接続されている第4の枝部に枝分かれしており、
前記第3のコイルは、前記第1のグランド経路上の前記第1の枝部と前記第2の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第4のコイルは、前記第2のグランド経路上の前記第3の枝部と前記第4の枝部との接続部分とグランドとの間に設けられており、
前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサはそれぞれ、前記第1の枝部上及び前記第3の枝部上に設けられており、
前記第1のグランド経路は、前記第2の枝部上に設けられている第3のコンデンサを含んでおり、
前記第2のグランド経路は、前記第4の枝部上に設けられている第4のコンデンサを含んでいること、
を特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のフィルタ回路を内蔵していることを特徴とする電子部品。
【請求項9】
複数の絶縁体層が積層されてなる積層体を、
備えており、
前記第1の信号経路、前記第2の信号経路、前記第1のグランド経路及び前記第2のグランド経路は、前記絶縁体層に設けられている導体層及びビアホール導体により構成されていること、
を特徴とする請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第1のコンデンサ又は前記第2のコンデンサは、前記第1のコイル及び前記第2のコイルと、前記第3のコイル及び前記第4のコイルとにより積層方向において挟まれていること、
を特徴とする請求項9に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−19443(P2012−19443A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156601(P2010−156601)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】