説明

フィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法

【課題】不織布の巻付け固定作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【解決手段】フィルタ支持機構12に、フィルタ供給機構11がフィルタ成形体102を供給し、不織布供給機構13が不織布103を供給する。フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102をフィルタ回転駆動機構14によって回転させながら、フィルタ成形体102の外周に不織布103を巻きつけるように、フィルタ回転駆動機構14が制御される。ヒータ変位駆動機構16によってヒータ37を変位させるとともに、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102の外周に加熱機構15により不織布103を熱溶着させて固定するように、ヒータ変位駆動機構16及び加熱機構15が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水から塩素やごみ等の汚染物質を除去するための水処理器に取り付けられるフィルタとして、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体を備えるものが用いられている。このフィルタにおいては、円筒形状の外周側から内側へとフィルタ成形体を水が通過し、その際に活性炭の吸着機能によって塩素や小さなごみ等が除去される。そして、このようなフィルタとして、フィルタ成形体の外周に不織布が巻き付けられて固定されたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。特許文献1及び特許文献2に開示されたフィルタにおいては、その外周側からフィルタ成形体の内側に水が通過する際に、外周に巻き付けられて固定された不織布によって、比較的大きなごみがまず取り除かれることになる。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に開示されたフィルタにおいては、円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する巻付け作業が必要となる。このような巻付け作業は手作業で行われており、作業者は、まず、不織布の1箇所をフィルタ成形体に接触させた状態でアイロンを用いて加熱し、その不織布の一隅の部分をフィルタ成形体に対して熱溶着させる。ついで、作業者は、不織布にしわが発生しないように適宜引っ張りながら不織布をフィルタ成形体の外周の全周に亘って巻き付ける作業を行う。そして、作業者は、フィルタ成形体の外周に巻き付けた不織布の端部同士を重ねた状態でアイロンを用いて加熱し、この不織布の端部同士をフィルタ成形体に対して熱溶着することで、不織布をフィルタ成形体の外周に固定してフィルタの製作を行う。不織布としては、例えば、平行四辺形のものが用いられる。長方形の不織布を用いてフィルタ成形体の外周に巻き付ける場合、不織布がその一端側の辺の全長に亘ってフィルタ成形体に固定されていないと、しわを発生させずに引っ張りながら巻き付けることが困難となってしまう。これに対し、上記のような平行四辺形の不織布を用いることで、最初に不織布の一隅の部分だけを熱溶着するだけでしわを発生させずに引っ張りながらフィルタ成形体の外周に巻き付け易くすることができる。尚、このような平行四辺形の不織布を用いると、フィルタ成形体に対して最後に熱溶着される不織布の端部は、スパイラル状に配置されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−187305号公報
【特許文献2】特開2003−251117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような方法によってフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する場合、フィルタ成形体を手で把持して不織布を巻き付けていく手作業が必要となる。また、その後、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けた状態で把持したまま、アイロンによって不織布をフィルタ成形体に熱溶着させる手作業も更に行う必要がある。このため、作業者の熟練度によって出来栄えが左右され易くなってしまい、外観品質のば
らつきを抑制するためには、作業に熟練が必要となる。また、作業に熟練を要するため、熟練するまでは、生産能力の低下を招いてしまうことになる。そして、作業に熟練した場合であっても、作業者の手作業によるものであるため、生産能力にも限界がある。更に、生産能力も作業者によってばらついてしまうことになり、また、同じ作業者であっても作業日の体調等によってばらつきが生じてしまうことになる。このように、従来においては、作業者の手作業によってフィルタ成形体に不織布を巻き付けて固定する作業が行われるため、生産能力の向上を図ることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、フィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け装置に関する。そして、第1発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、前記フィルタ成形体を回転自在に支持するフィルタ支持機構と、複数の前記フィルタ成形体をストックするとともに、ストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給するフィルタ供給機構と、前記フィルタ支持機構に不織布を供給する不織布供給機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を回転させるように駆動するフィルタ回転駆動機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体と前記不織布供給機構から供給された不織布とを加熱して熱溶着可能なヒータを有する加熱機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対する前記ヒータの位置を変位させるように前記加熱機構を駆動するヒータ変位駆動機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させながら、当該フィルタ成形体の外周に前記不織布供給機構から供給された不織布を巻きつけるように、前記フィルタ回転駆動機構を制御する不織布巻付け制御部と、前記ヒータ変位駆動機構によって前記ヒータを変位させるとともに、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の外周に前記加熱機構により不織布を熱溶着させて固定するように、前記ヒータ変位駆動機構及び前記加熱機構を制御する熱溶着制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明によると、フィルタ供給機構から供給されたフィルタ成形体がフィルタ支持機構において回転自在に支持される。そして、フィルタ回転駆動機構によって回転駆動されたフィルタ成形体の外周に対して、不織布供給機構から供給された不織布が巻きつけられる。更に、ヒータ変位駆動機構によってヒータの位置が変位するように加熱機構が駆動され、フィルタ成形体の外周に不織布が熱溶着されて固定されることになる。このように、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する作業が、不織布巻付け制御部及び熱溶着制御部の制御に基づいて、フィルタ供給機構、フィルタ支持機構、不織布供給機構、フィルタ回転駆動機構、加熱機構及びヒータ変位駆動機構が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業によってフィルタ成形体に不織布を巻き付けて固定する作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、フィルタ成形体への不織布の巻付け固定作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下もそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0009】
従って、本発明によると、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の
低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、フィルタ成形体用不織布巻付け装置を提供することができる。
【0010】
第2発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第1発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記加熱機構は、前記ヒータとして、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の円筒軸方向と平行に延びるように配置された第1ヒータと、当該フィルタ成形体の外周における接線方向と平行に延びるように配置された第2ヒータと、を有し、前記熱溶着制御部は、前記第1ヒータを不織布を介して前記フィルタ成形体に押圧することで不織布を前記フィルタ成形体にその円筒軸方向に沿って熱溶着させ、前記第2ヒータを不織布を介して前記フィルタ成形体に押圧することで不織布を前記フィルタ成形体にその円周方向に沿って熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする。
【0011】
この発明によると、熱溶着制御部の制御に基づいて、フィルタ成形体の円筒軸方向に平行な第1ヒータとフィルタ成形体の接線方向に平行な第2ヒータとが、不織布を介してフィルタ成形体に押圧され、フィルタ成形体の円筒軸方向及び円周方向に沿って不織布が熱溶着される。このように、フィルタ成形体に対して効率よく配置されたヒータによってフィルタ成形体の円筒軸方向及び円周方向に沿って不織布を熱溶着することができるため、長方形の不織布を用いてしわの発生を抑制しつつフィルタ成形体の外周に容易にこの不織布を固定することができる。尚、本発明によると、フィルタ成形体に対して熱溶着される不織布の端部が、スパイラル状に配置されることなく、フィルタ成形体の円筒軸方向と平行に配置されることになる。このため、フィルタ成形体の円周方向における不織布に作用する引っ張り力をフィルタ成形体の円筒軸方向と平行な方向に亘ってより均一な状態にすることができ、外観品質の向上を図ることができる。
【0012】
第3発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第2発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記加熱機構は、一対の前記第2ヒータが、前記第1ヒータの両側に配置されるように設けられるとともに、前記第1ヒータの両端部から当該第1ヒータに対して垂直な方向に向かって平行に延びるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、第1ヒータの両側で平行に配置された一対の第2ヒータによって、フィルタ成形体の円周方向に沿って不織布が熱溶着される。このため、一対の第2ヒータによって、フィルタ成形体の円筒軸方向の両側において円周方向に沿って同時に不織布を熱溶着することができる。これにより、生産能率の更なる向上を図ることができる。
【0014】
第4発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第3発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記ヒータ変位駆動機構は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対して、その円筒軸方向と垂直な方向に沿って前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する垂直方向駆動部と、その外周における接線方向と平行な方向に沿って前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する接線方向駆動部と、を有していることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、第1ヒータ及びその両側の一対の第2ヒータが、垂直方向駆動部によってフィルタ成形体の円筒軸方向と垂直に変位し、接線方向駆動部によってフィルタ成形体の接線方向と平行に変位する。これにより、垂直方向駆動部の駆動によって第1ヒータをフィルタ成形体に向かって押圧し、フィルタ成形体の円筒軸方向に沿って不織布を熱溶着することができる。そして、第1ヒータをフィルタ成形体に向かって押圧した状態から、接線方向駆動部の駆動によって第2ヒータをフィルタ成形体に向かって押圧した状態へと移行させ、フィルタ成形体の円周方向に沿って不織布を熱溶着することができる。このため、ヒータ変位駆動機構によって、第1ヒータ及びその両側の一対の第2ヒータを有
する加熱機構を直線方向の変位を組み合わせた動作によって効率よく駆動して、不織布のフィルタ成形体への熱溶着を行うことができる。従って、生産能率の更なる向上を図ることができる。
【0016】
第5発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第4発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記熱溶着制御部は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に前記第2ヒータを不織布を介して押圧させた状態で、当該フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させることで、当該フィルタ成形体の円周方向に沿って不織布を熱溶着させるように、前記加熱機構、前記ヒータ変位駆動機構及び前記フィルタ回転駆動機構を制御することを特徴とする。
【0017】
この発明によると、第2ヒータが不織布を介してフィルタ成形体を押圧した状態で、フィルタ回転駆動機構によってフィルタ成形体が回転することで、フィルタ成形体の円周方向に沿った不織布の熱溶着が行われる。これにより、フィルタ成形体を押圧する第2ヒータの位置がフィルタ成形体の回転中心位置に対して変化することなく、フィルタ成形体が回転するだけでその円周方向に不織布が熱溶着されることになる。即ち、フィルタ成形体と第2ヒータとの位置関係が安定した状態を維持しながら、フィルタ成形体の円周方向に不織布を熱溶着することができる。このため、フィルタ成形体の円周方向における不織布に作用する引っ張り力をフィルタ成形体の円筒軸方向と平行な方向に亘ってより均一な状態にすることができ、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【0018】
第6発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第4発明又は第5発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記ヒータ変位駆動機構は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対して、その円筒軸方向と平行な方向に沿って前記第1ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する軸方向駆動部を更に有し、前記熱溶着制御部は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に前記第1ヒータを不織布を介して押圧させた状態で、前記第1ヒータを前記軸方向駆動部により前記フィルタ成形体の円筒軸方向と平行に変位させることで、当該フィルタ成形体の円筒軸方向に沿って不織布を熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする。
【0019】
この発明によると、第1ヒータが不織布を介してフィルタ成形体を押圧した状態で、軸方向駆動部により第1ヒータがフィルタ成形体の円筒軸方向と平行に変位することで、フィルタ成形体の円筒軸方向に沿った不織布の熱溶着が行われる。これにより、第1ヒータをフィルタ成形体の円筒軸方向に沿ってスライドさせ、不織布をフィルタ成形体の円筒軸方向に沿って刷り込むように熱溶着させることができる。このため、不織布をフィルタ成形体の円筒軸方向に沿ってより強固に固定することができる。
【0020】
第7発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第4発明乃至第6発明のいずれかのフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記熱溶着制御部は、前記第1ヒータにより不織布を前記フィルタ成形体に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着させ、その後、前記第2ヒータにより不織布を前記フィルタ成形体に対してその円周方向に沿って熱溶着させ、更にその後、前記第1ヒータにより前記フィルタ成形体の外周に巻き付けられた不織布の端部同士を重ねた状態で前記フィルタ成形体に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする。
【0021】
この発明によると、最初に、第1ヒータによってフィルタ成形体の円筒軸方向に沿って不織布の端部が熱溶着され、次に、第2ヒータによってフィルタ成形体の円周方向に沿って不織布が熱溶着される。そして、最後に、再度第1ヒータによって、フィルタ成形体の
外周に巻き付けられた不織布の端部同士が重ねられた状態でフィルタ成形体の円筒軸方向に沿って熱溶着される。このため、不織布をフィルタ成形体に熱溶着させる工程の最初と最後において、第1ヒータを効率よく活用して、不織布をフィルタ成形体の円筒軸方向に沿ってより強固に固定することができる。
【0022】
第8発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第1発明乃至第7発明のいずれかのフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ供給機構は、複数の前記フィルタ成形体をストックするフィルタストック部と、前記フィルタストック部の内部と連通し、当該フィルタストック部にストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給可能な供給口が開口形成されたフィルタ供給通路と、前記供給口を開閉自在なシャッタ部と、を有していることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、フィルタストック部にストックされた(貯められた)フィルタ成形体が、フィルタ供給通路を経て供給口からフィルタ支持機構に供給される。そして、供給口をシャッタ部が開放しているときはフィルタ成形体がこの供給口から供給され、供給口をシャッタ部が塞いでいるときはフィルタ成形体が供給されないことになる。このため、シャッタ部の開閉動作によって、フィルタ成形体の供給が要求されるタイミングに応じて供給口からフィルタ成形体を順次供給することができる。
【0024】
第9発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第8発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ供給通路は、前記フィルタストック部に対して斜め下方に配置された前記供給口に向かって1段又は複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられた階段部と、前記階段部に対して上方に配置されて対向する天井部と、を有し、前記階段部は、その幅方向の寸法が前記フィルタ成形体の円筒軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成され、前記階段部と前記天井部との最も接近した位置における距離寸法が、前記フィルタ成形体の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0025】
この発明によると、フィルタストック部にストックされたフィルタ成形体は、重力により、斜め下方に下る階段部に沿ってフィルタ供給通路を通過して供給口へと移動することになる。そして、フィルタ供給通路の階段部と天井部との最も接近した位置での距離寸法がフィルタ成形体の直径寸法の1つ分より大きく2つ分より小さく、階段部の幅寸法がフィルタ成形体の円筒軸方向長さよりも長く形成されている。このため、フィルタ成形体は、その円筒軸方向が階段部の幅方向と平行な姿勢で階段部に沿って転動しながら順番に1つずつ並んだ状態でフィルタ供給通路を通過し、供給口から1つずつ供給されることになる。これにより、フィルタ支持機構に対して、支持のために要求される姿勢と常時同じ姿勢で安定してフィルタ成形体を1つずつ供給することができる。また、安定した同じ姿勢のフィルタ成形体を1つずつ供給するための構成を、所定の寸法形状の階段部等が設けられたフィルタ供給通路を設けるという簡素な構成によって実現することができる。
【0026】
第10発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第8発明又は第9発明のフィル成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ供給機構は、前記フィルタストック部及び前記フィルタ供給通路に対して振動を付与可能な振動発生部を更に有していることを特徴とする。
【0027】
この発明によると、フィルタストック部及びフィルタ供給通路に対して振動発生部から振動が付与される。このため、フィルタ成形体の周囲から伝わる振動によってこのフィルタ成形体が移動し易くなり、フィルタ成形体を順次フィルタ供給通路を経て供給口に向かって容易に移動させることができる。また、振動を発生させることで、フィルタ成形体がフィルタストック部からフィルタ供給通路を経て移動する際に、フィルタ供給通路及びそ
の入口付近においてフィルタ成形体が詰ってしまうことを抑制することができる。
【0028】
第11発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第1発明乃至第10発明のいずれかのフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ支持機構は、前記フィルタ供給機構から供給された前記フィルタ成形体の円筒軸方向の両端部に対して両側から突出して当該フィルタ成形体を支持する一対のスピンドル部を有していることを特徴とする。
【0029】
この発明によると、フィルタ成形体がその円筒軸方向の両端部で一対のスピンドル部によって支持される。このため、省スペースで効率よく配置された一対のスピンドル部を用いた簡素な構成によって、フィルタ成形体を回転自在に支持することができ、フィルタ支持機構の周囲に配置される他の部材や機構との干渉の問題の発生を抑制することができる。
【0030】
第12発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第11発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記一対のスピンドル部は、前記フィルタ成形体の円筒軸方向の両端部に当接する先端部が、円錐状の部分として形成され、前記円錐状の部分は、前記フィルタ成形体の中心部において円筒軸方向に沿って貫通形成された貫通孔に対して先端側が挿入されて当該貫通孔の縁部分と当接することを特徴とする。
【0031】
この発明によると、一対のスピンドル部の先端部が、フィルタ成形体の貫通孔に挿入されるとともにその縁部分と当接する円錐状の部分として形成される。このため、フィルタ成形体に設けられた貫通孔を有効に活用し、安定した状態でフィルタ成形体を一対のスピンドル部によって支持することができる。
【0032】
第13発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第1発明乃至第12発明のいずれかのフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記不織布供給機構は、不織布が円筒形のロール状に巻かれた不織布巻物を回転自在に支持する不織布巻物支持部と、前記不織布巻物支持部に支持された前記不織布巻物から不織布を繰り出しながらフィルタ支持機構に向かって送り出す不織布送り部と、前記不織布送り部で送り出される不織布を送り出し方向と垂直な方向に亘る切断位置で切断して前記不織布巻物から分離する不織布カット部と、を有していることを特徴とする。
【0033】
この発明によると、不織布がロール状に巻かれた不織布巻物の状態で不織布巻物支持部にストックされて順次供給されることになる。このため、不織布供給機構において、供給用の不織布をコンパクトにまとまった状態で少ないスペースに効率よくストックすることができる。そして、不織布送り部によって不織布巻物から繰り出した不織布を所要の長さ分だけ送り出すとともに不織布カット部で切断してフィルタ支持機構に供給することができる。このため、所定のタイミングで不織布の送り出し動作と切断動作とを繰り返すことで、不織布のフィルタ支持機構への供給動作を順次連続的に自動で行うことができる。
【0034】
第14発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第13発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記不織布送り部は、前記不織布巻物支持部と前記フィルタ支持機構との間に配置されるとともに不織布を両側から挟むように把持可能な一対のロールを有し、当該一対のロールが不織布を挟んだ状態で互いに逆方向に回転することで前記不織布巻物から不織布を送り出すことを特徴とする。
【0035】
この発明によると、不織布送り部が、不織布を挟んで回転することで送り出す一対のロールを有して構成されている。このため、不織布巻物から繰り出される不織布にしわを発生させることなく容易に不織布を送り出すことができる。また、一対のロールのうちの少
なくとも一方の回転数や回転角度を検出することで、一対のロール間を通過する不織布の長さを計測することができる。このため、この一対のロールを有効的に活用して不織布の送り出し量を制御する構成を構築することができる。
【0036】
第15発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第1発明乃至第14発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ支持機構に支持された状態での不織布の外周への巻き付け固定が終了した前記フィルタ成形体を排出するフィルタ排出機構と、前記フィルタ支持機構による前記フィルタ成形体の支持を解除して、不織布が固定された前記フィルタ成形体を前記フィルタ排出機構に排出させるように前記フィルタ支持機構を制御するフィルタ排出制御部と、を更に備えていることを特徴とする。
【0037】
この発明によると、フィルタ成形体への不織布の巻付け固定動作が終了すると、フィルタ排出制御部の制御に基づいて、フィルタ支持機構によるフィルタ成形体の支持が解除され、不織布の巻付け固定が終了したフィルタ成形体のフィルタ排出機構への排出が行われる。このため、不織布の巻付け固定が終了したフィルタ成形体の排出動作を自動で行うことができる。
【0038】
第16発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第15発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ排出機構は、前記フィルタ支持機構に対して斜め下方に向かって延びるように形成され、不織布が固定された前記フィルタ成形体が転動しながら落下する平板状のスロープ部と、前記スロープ部の下端部の下方に配置され、当該スロープ部の下端部から落下した前記フィルタ成形体がストックされる排出フィルタストック部と、を有していることを特徴とする。
【0039】
この発明によると、不織布の巻付け固定が終了すると、フィルタ成形体は、スロープ部に沿って斜め下方に転動しながら落下し、更にその下方のフィルタストック部にストックされることになる。このため、重力を利用した簡素な構成によって、不織布の巻付け固定が終了したフィルタ成形体を順次自動で回収することができる。
【0040】
第17発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置は、第15発明又は第16発明のフィルタ成形体用不織布巻付け装置において、前記フィルタ供給機構の斜め下方に前記フィルタ支持機構が配置され、前記フィルタ支持機構の斜め下方であって前記フィルタ供給機構の下方に前記フィルタ排出機構が配置され、前記フィルタ供給機構及び前記フィルタ排出機構に対して前記フィルタ支持機構を介して反対側に前記不織布供給機構が配置されていることを特徴とする。
【0041】
この発明によると、フィルタ供給機構から斜め下方にフィルタ成形体が移動して不織布の巻付け固定が行われ、不織布の巻付け固定が終了したフィルタ成形体が更に斜め下方に移動して排出される。このため、重力を有効に活用してフィルタ成形体の供給動作から排出動作までを行うことができる。そして、フィルタ供給機構及びフィルタ排出機構に対してフィルタ支持機構を介して反対側に不織布供給機構が配置される。このため、フィルタ供給機構及びフィルタ排出機構との干渉の問題を発生させることなく、不織布供給機構をコンパクトなスペースに効率よく配置することができる。これにより、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
また、前述の目的を達成するための第18発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け方法は、水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け方法に関する。そして、第18発明に係るフィルタ成形体用不織布巻付け方法は、前記フィルタ成形体を回転自在に支持するフィルタ
支持機構と、複数の前記フィルタ成形体をストックするとともに、ストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給するフィルタ供給機構と、前記フィルタ支持機構に不織布を供給する不織布供給機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を回転させるように駆動するフィルタ回転駆動機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体と前記不織布供給機構から供給された不織布とを加熱して熱溶着可能なヒータを有する加熱機構と、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対する前記ヒータの位置を変位させるように前記加熱機構を駆動するヒータ変位駆動機構と、を有するフィルタ成形体用不織布巻付け装置が用いられ、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させながら、当該フィルタ成形体の外周に前記不織布供給機構から供給された不織布を巻きつけるように、前記フィルタ回転駆動機構を制御する不織布巻付け制御工程と、前記ヒータ変位駆動機構によって前記ヒータを変位させるとともに、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の外周に前記加熱機構により不織布を熱溶着させて固定するように、前記ヒータ変位駆動機構及び前記加熱機構を制御する熱溶着制御工程と、を備えていることを特徴とする。
【0043】
この発明によると、フィルタ供給機構から供給されたフィルタ成形体がフィルタ支持機構において回転自在に支持される。そして、フィルタ回転駆動機構によって回転駆動されたフィルタ成形体の外周に対して、不織布供給機構から供給された不織布が巻きつけられる。更に、ヒータ変位駆動機構によってヒータの位置が変位するように加熱機構が駆動され、フィルタ成形体の外周に不織布が熱溶着されて固定されることになる。このように、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する作業が、不織布巻付け制御工程及び熱溶着制御工程において、フィルタ供給機構、フィルタ支持機構、不織布供給機構、フィルタ回転駆動機構、加熱機構及びヒータ変位駆動機構が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業によってフィルタ成形体に不織布を巻き付けて固定する作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、フィルタ成形体への不織布の巻付け固定作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下もそもそも生じないことになり、装置の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、フィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる、フィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】フィルタを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1に示すフィルタが取り付けられた水処理器の断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置の正面図である。
【図5】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置におけるフィルタ供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図6】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置におけるフィルタ供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図7】図4におけるB線矢視位置から見たフィルタ成形体用不織布巻付け装置の一部を示す図である。
【図8】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置における不織布供給機構の一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図9】図4におけるC線矢視位置から見たフィルタ成形体用不織布巻付け装置の一部を示す図である。
【図10】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置における中央ハウジングの近傍を拡大して示す一部拡大図である。
【図11】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置における加熱機構とフィルタ成形体とを模式的に示す斜視図である。
【図12】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置における制御構成を示すブロック図である。
【図13】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置における制御装置の機能ブロック図である。
【図14】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置において不織布のフィルタ成形体への熱溶着が行われている状態を模式的に示す斜視図である。
【図15】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置において不織布のフィルタ成形体への熱溶着が行われている状態を模式的に示す斜視図である。
【図16】図15に示す工程が行われた際におけるフィルタ成形体及び不織布の状態を示す斜視図である。
【図17】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置において不織布のフィルタ成形体への熱溶着が行われている状態を模式的に示す斜視図である。
【図18】図17に示す工程が行われた際におけるフィルタ成形体及び不織布の状態を示す斜視図である。
【図19】図4に示すフィルタ成形体用不織布巻付け装置において不織布のフィルタ成形体への熱溶着が行われている状態を模式的に示す斜視図である。
【図20】図19に示す工程が行われた際におけるフィルタ成形体及び不織布の状態を示す斜視図である。
【図21】本発明の一実施の形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の実施形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法は、水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定するためのフィルタ成形体用不織布巻付け装置及び巻付け方法として、広く適用することができるものである。
【0047】
図1は、フィルタ100を示す斜視図である。フィルタ100は、その製造工程において本発明の実施形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置及び巻付け方法が用いられることで製造される。また、図2は図1のA−A線矢視断面図であり、図3はフィルタ100が取り付けられた水処理器101を示す断面図である。図1乃至図3に示すフィルタ100は、フィルタ成形体102、不織布103及び一対のキャップ(104a、104b)を備えて構成され、水から塩素やごみ等の汚染物質を除去する水処理器101に取り付けられる。
【0048】
フィルタ成形体102は、活性炭を固化して形成された円筒形状で多孔質状の活性炭ブロックであるフィルタ成形体として形成されている。このフィルタ成形体102は、例えば、粉末又は粒状或いは繊維状の活性炭とバインダー樹脂とを所要の比率で混合した材料を金型内に充填して加熱し、バインダー樹脂を流動状態にした後に加圧して成形する圧縮成形を行い、その後冷却して脱型することで形成される。尚、バインダー樹脂としては、例えば、高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材が用いられる。
【0049】
また、円筒断面を有するフィルタ成形体102は、その中心部において円筒軸方向に沿って貫通形成された貫通孔102aが設けられている。そして、フィルタ成形体102の外周には、その外周を被覆するように不織布103が巻き付けて固定されている。尚、不織布103としては、例えば、芯材がポリエステルでその表面にポリエチレンを被覆した糸を材料とした不織布が用いられる。このような不織布103を用いることで、フィルタ成形体102の外周で不織布103の端部が後述のように熱溶着される場合には、融点の低いポリエチレンが融解し、フィルタ成形体102及び不織布103の熱溶着と不織布103同士の熱溶着とが可能となる。更に、ポリエチレンが融解してもポリエステルが融解することなく繊維状のまま残るため、熱溶着が終了して固定された状態において、その熱溶着された部分における水の透過性が十分に確保されることになる。
【0050】
また、不織布103が外周に巻き付けられたフィルタ成形体102の両端部には、各端部を覆うように一対のキャップ(104a、104b)が取り付けられている。この一対のキャップ(104a、104b)は、フィルタ成形体102を通過していない水がキャップ(104a、104b)とフィルタ成形体102との間を通過してしまうことのないように、フィルタ成形体102に密着して(水密性をもって)取り付けられている。尚、一方のキャップ104aの中心には孔が形成されており、この孔とフィルタ成形体102の貫通孔102aとが連通するようにキャップ104aがフィルタ成形体102に対して取り付けられている。
【0051】
上述のように構成されるフィルタ100は、例えば、図3に示す水処理器101に取り付けられる。水処理器101は、例えば、家庭用の水道の蛇口105に取り付けられる浄水器本体106を備えて構成されている。そして、中空に形成された浄水器本体106の内部にフィルタ100が固定される。フィルタ100は、キャップ104aが下向きとなるように配置され、浄水器本体106から下方に開口するよう形成された浄水口108に貫通孔102aが連通した状態で固定される。また、浄水器101では、浄水器本体106内で端部がヒンジ構造で支持されて浄水器本体106内で図中の両端矢印で示す方向に回転して位置が切り換えられることで水の流路を切換可能な切換板107が設けられている。この切換板107により、蛇口105から供給される水の流路が、フィルタ100を通過させずに流出させる流路と、図3に示すようにフィルタ100を通過させて流出させる流路との間で切り換えられる。
【0052】
図3に示す位置に切換板107が切り換えられている状態では、蛇口105から供給された水は、図中破線の矢印で示すように流動する。即ち、蛇口105からの水は、浄水器本体106の内部の流路を経てフィルタ100の外周に達し、不織布103を通過して更にフィルタ成形体102を通過してその内側へと流動する。そして、貫通孔102aから浄水口108を経て流動して外部へと水が流出することになる。このようにフィルタ100を水が通過することで、水から塩素やごみ等の汚染物質が除去されることになる。尚、フィルタ100で処理される水は、最初に不織布103を通過することで比較的大きなごみがまず除去され、次いで、フィルタ成形体102を通過することで活性炭の吸着作用によって塩素や小さなごみ等が除去されることになる。
【0053】
尚、フィルタ100は、上述した浄水器101のように蛇口に直接に装着されるものに限られず、種々の形態の浄水器に対して取り付けて用いることができる。例えば、フィルタ100は、シンク内に配置されて蛇口とホースを介して接続される浄水器内に取り付けられてもよく、また、シャワーのハンドルを兼ねて構成された浄水器においてそのハンドル型の浄水器内に収納された状態で取り付けられてもよい。
【0054】
次に、本発明の一実施の形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け装置について説明する。図4は、本実施形態のフィルタ成形体用不織布巻付け装置1(以下、単に「巻付け装
置1」ともいう)の正面図である。図4に示す巻付け装置1は、前述したフィルタ100を製造する際に用いられ、フィルタ成形体102の外周に不織布103を巻き付けて固定するための巻付け装置としてとして構成されている。この巻付け装置1は、制御装置10、フィルタ供給機構11、フィルタ支持機構12、不織布供給機構13、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15、ヒータ変位駆動機構16、フィルタ排出機構17、基台18、台車19などを備えて構成されている。
【0055】
巻付け装置1においては、フィルタ供給機構11、フィルタ支持機構12、不織布供給機構13、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15、ヒータ変位駆動機構16、フィルタ排出機構17及び制御装置10は、基台18上に設置されている。尚、基台18には、第1支持フレーム18aと第2支持フレーム18bとが並んで設けられており、第1支持フレーム18aには、フィルタ供給機構11における後述するフィルタストック部20や振動発生機22が支持されている。一方、第2支持フレーム18bには、フィルタ支持機構12、不織布供給機構13、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15、ヒータ変位駆動機構16等が支持されている。また、各機構(11〜16)や制御装置10が設置される基台18は、更に台車19上に設置されている。台車19には、複数の車輪19aや手押し操作用のハンドル部19bが設けられている。このように、本実施形態では、巻付け装置1は、台車19によって移動可能に構成されている。
【0056】
図4に示すフィルタ供給機構11は、複数のフィルタ成形体102をストックする(貯める)とともにストックされたフィルタ成形体102をフィルタ支持機構12に供給する機構として設けられている。このフィルタ供給機構11は、フィルタストック部20、フィルタ供給通路21、振動発生機22、シャッタ部23を備えて構成されている。図5は、フィルタストック部20の一部とフィルタ供給通路21とを示す正面図(図5(a))、及びその一部拡大図(図5(b))である。図4及び図5に示すフィルタストック部20は、複数のフィルタ成形体102をストックするホッパとして設けられ、上部が開口形成された箱状に形成されている。フィルタストック部20においては、この上部の開口から複数のフィルタ成形体102が投入される。尚、フィルタ成形体102は、その円筒軸方向が巻付け装置1の正面(図4及び図5で図示される面)に対して略垂直に延びる姿勢の状態で、フィルタストック部20内に配置される。
【0057】
また、フィルタストック部20の内側の底部20aには、底穴20bが開口形成されている。この底穴20bは、巻付け装置1の正面に対して垂直な方向(以下、この方向については、「巻付け装置1の前後方向」という)に長辺が延びる長方形の穴として形成されている。そして、底穴20bは、複数のフィルタ成形体102が通過可能な大きさに形成されている。また、フィルタストック部20の底部20aは、底穴20bに向かって斜めに下り傾斜する斜面として形成されている。このため、フィルタストック部20の内部に投入されたフィルタ成形体102は、底部20aに沿って底穴20bに向かって転動することになる。
【0058】
フィルタ供給通路21は、フィルタストック部20に対して固定されるとともにその下方に配置され、フィルタストック部20の内部に対して底穴20bにおいて連通するように設けられている。そして、このフィルタ供給通路21には、供給口21aと、階段部21bと、天井部21cとが、設けられている。尚、図5(b)は、図5(a)における供給口21aの近傍を拡大して示す一部拡大図である。供給口21aは、フィルタ成形体102が通過可能な大きさの開口であって、巻付け装置1の前後方向にその長辺が延びる長方形の開口として形成されている。そして、供給口21aは、フィルタ供給通路21において、フィルタストック部20に連通する底穴20bと反対側の端部に配置されている。このように、供給口21aは、フィルタストック部20にストックされたフィルタ成形体102を後述のフィルタ支持機構12に供給可能に開口形成されている。
【0059】
また、フィルタ供給通路21は、図5(a)によく示すように、フィルタストック部20の底穴20bと供給口21aとを連通するとともに、上下方向において階段部21bと天井部21cとで挟まれた領域として構成されている。階段部21bは、フィルタストック部20に対して斜め下方に配置された供給口21aに向かって複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられている。そして、階段部21bは、その幅方向(巻付け装置1の前後方向と平行な方向)の寸法がフィルタ成形体102の円筒軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成されている。一方、天井部21cは、階段部21bに対して上方に配置されて対向するように設けられている。また、図5(b)に示すように、階段部21bと天井部21cとの最も接近した位置における距離寸法D(図中両端矢印で示す距離寸法)は、フィルタ成形体102の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さくなるように設定されている。
【0060】
図4に示す振動発生機22は、フィルタストック部20及びフィルタ供給通路21に対して振動を付与可能な本実施形態の振動発生部を構成している。そして、この振動発生機22は、基台18の第1支持フレーム18aに対して固定された固定部22aと、フィルタストック部20に対してその下部に取り付けられた可動部22bと、を備えて構成されている。可動部22bは、フィルタストック部20に対して固定されるとともに、固定部22aに対してバネ部材を介して揺動可能に支持されている。そして、固定部22aには、可動部22bに対して磁力によって振動を発生させるための電磁石が設けられている。固定部22aの電磁石に対して所定の周波数の交流電圧が印加されることで、可動部22bが固定部22aに対して所定の振動数で振動することになる。これにより、フィルタストック部20及びフィルタ供給通路21に対して振動が付与されることになる。
【0061】
図6は、図4におけるシャッタ部23の近傍を拡大して示す一部拡大図である。シャッタ部23は、巻付け装置1の左右方向(前後方向に対して垂直で水平な方向)における略中央部分に配置された中央ハウジング24に対して、その上部に取り付けられている。尚、中央ハウジング24は第2支持フレーム18bに固定されており、この中央ハウジング24には、フィルタ支持機構12、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16が支持されている。そして、シャッタ部23は、シャッタドア23aとシャッタ駆動シリンダ23bとを備え、フィルタ供給通路21の供給口21aを開閉自在に設けられている。シャッタドア23aは、平板状の部材として形成され、シャッタ駆動シリンダ23bに支持されている。シャッタ駆動シリンダ23bは、電動シリンダとして設けられている。そして、このシャッタ駆動シリンダ23bは、中央ハウジング24の上部から水平方向に突出して設けられた支持ブラケットに取り付けられ、そのロッド部23cが、下方に向かって突出し、又は上方に向かって縮退するように構成されている。
【0062】
図6(a)は、シャッタドア23aが供給口21aに対向して供給口21aを塞ぐように遮蔽する遮蔽位置に位置し、シャッタ部23によって供給口21aが閉じられた状態を示している。一方、図6(b)は、シャッタドア23aが供給口21aに対向して遮蔽する位置からずれた開放位置に位置し、供給口21aが開放された状態を示している。図6(a)に示す遮蔽位置では、シャッタドア23aは、フィルタ成形体102の直径寸法よりも小さい寸法となるように間隔寸法が設定された隙間を介して供給口21aに対向している。このため、遮蔽位置では、振動発生機22の作動によってフィルタ供給通路21が振動しても供給口21aとシャッタドア23aとが直接に干渉することが防止され、且つ、供給口21aからのフィルタ成形体102の脱落がシャッタドア23aによって阻止されることになる。そして、この遮蔽位置からシャッタ駆動シリンダ23bが作動してそのロッド部23cが上方に(図6(b)における矢印E方向に)縮退動作を行うことで、ロッド部23cとともにシャッタドア23aが上方に移動し、供給口21aが開放されることになる。これにより、供給口21aからフィルタ成形体102が落下して後述するフィ
ルタ支持機構12に供給されることになる。尚、フィルタ成形体102が1つだけ落下可能な所定の時間が経過すると、シャッタ駆動機構23bが作動して、すぐにロッド部23cとともにシャッタドア23aが下方に突出する。これにより、再び、シャッタドア23aが図6(a)に示す遮蔽位置に移動して、供給口21aが遮蔽されることになる。
【0063】
図7は、図4におけるB線矢視位置から見た中央ハウジング24、フィルタ支持機構12、フィルタ回転駆動機構14を示す図であって、一部切欠き断面で示す図である。図4及び図7に示すフィルタ支持機構12は、フィルタ成形体102を回転自在に支持する機構として設けられている。このフィルタ支持機構12は、一対のスピンドル部25(25a、25b)、各スピンドル部(25a、25b)をそれぞれ回転自在に支持する軸受26、スピンドル駆動シリンダ27を備えて構成されている。尚、図7においては、各スピンドル部(25a、25b)をそれぞれ支持する軸受26のうち、スピンドル部25aを回転自在に支持する軸受26のみを図示している。
【0064】
一対のスピンドル部25は、巻付け装置1の前後方向に沿って同一直線上に配置され、各スピンドル部(25a、25b)における対向し合う側と反対側の端部において、各軸受26等を介して中央ハウジング24に対して支持されている。また、一対のスピンドル部25のうちの一方のスピンドル部25aの端部は、軸受26及びスピンドル駆動シリンダ27を介して中央ハウジング24に支持されている。スピンドル駆動シリンダ27は、電動シリンダとして設けられている。そして、このスピンドル駆動シリンダ27は、スピンドル部25aをスピンドル部25bと対向する方向に向かって(中央ハウジング24の中央側に向かって)突出させるように駆動可能であるとともに、その反対方向に向かって退避させるように駆動可能に構成されている。
【0065】
フィルタ供給機構11の供給口21aから供給されたフィルタ成形体102は、フィルタ成形体102を一対のスピンドル25の間の位置まで所定の誘導経路(図示せず)に沿って転動する。そして、一対のスピンドル25の間の位置において、所定の位置決め部材(図示せず)と当接して停止する。この状態において、スピンドル駆動シリンダ27が作動して、スピンドル部25aがフィルタ成形体102に向かって突出し、フィルタ成形体102が図6において二点鎖線で示す位置においてその円筒軸方向の両側から一対のスピンドル部25によって支持されることになる。即ち、一対のスピンドル部25は、フィルタ供給機構11から供給されたフィルタ成形体102の円筒軸方向の両端部に対して両側から突出してこのフィルタ成形体102を支持するように構成されている。尚、本実施形態では、スピンドル部25aに対してのみスピンドル駆動シリンダ27が連結される構成のものを例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、スピンドル部25bに対してもスピンドル駆動シリンダが連結されていてもよい。この場合、一対のスピンドル駆動シリンダが同時に作動し、一対のスピンドル部25の突出及び退避動作が同時に行われることになる。
【0066】
また、一対のスピンドル部25は、各スピンドル部(25a、25b)において、フィルタ成形体102の円筒軸方向の両端部に当接する先端部28(即ち、互いに対向し合う先端部)が、円錐状の部分として形成されている。この円錐状の部分である先端部28は、フィルタ成形体102の貫通孔102aに対してその先端側が挿入されて貫通孔102aの縁部分と当接するように構成されている。尚、本実施形態では、先端部28は、その先端の頭頂部分のみが平らでその周囲に円錐曲面の側面を有する形状に形成されている。
【0067】
図4及び図7に示すフィルタ回転駆動機構14は、フィルタ支持機構11に支持されたフィルタ成形体102を回転させるように駆動する機構として設けられ、スピンドル回転モータ29を備えて構成されている。スピンドル回転モータ29は、ステータ側のケーシングがブラケットを介して中央ハウジング24に固定されるとともにロータ側がカップリ
ングを介してスピンドル部25bの端部に連結されたモータ(電動機)として構成されている。フィルタ支持機構11における一対のスピンドル部25にフィルタ成形体102が支持された状態でスピンドル回転モータ29が回転することで、図7において矢印Gで示すように、スピンドル部25bが回転する。これにより、フィルタ成形体102を両側から挟んで支持する一対のスピンドル部25がフィルタ成形体102とともに矢印G方向に回転することになる。
【0068】
図4に示す不織布供給機構13は、フィルタ支持機構11に不織布103を供給する機構として設けられ、不織布巻物支持部30、不織布送り部31、不織布カット部32を備えて構成されている。図8は、図4における不織布巻物支持部30を拡大して示す一部拡大図である。図4及び図8に示す不織布巻物支持部30は、フレームユニット30aと巻物押さえ部材30bとを備え、不織布巻物109(図中二点鎖線で示す)を回転自在に支持するように構成されている。尚、不織布巻物109は、連続する帯状の状態の不織布103が、円筒形状の芯材として形成された巻物芯109aの周囲に、円筒形のロール状に巻かれることで構成されている。
【0069】
不織布巻物支持部30のフレームユニット30aは、巻付け装置1の前後方向において並んで配置された状態で第2支持フレーム18b上に固定された一対のフレーム部材として構成されている。尚、図8では、巻付け装置1の正面側に配置されたフレーム部材のみを図示している。フレームユニット30aにおける各フレーム部材の略中央には、不織布巻物109の両側から突き出した巻物芯109aの両端部がそれぞれ回転可能な状態で載置されるとともに円弧状に形成された支持溝30cが設けられている。各支持溝30cに巻物芯109aの両端部がそれぞれ載置されることで、不織布巻物109の円筒軸方向が巻付け装置1の前後方向と平行な姿勢の状態で、不織布巻物109がフレームユニット30aに対して支持されることになる。
【0070】
また、巻物押さえ部材30bは、フレームユニット30aの上端側に対して上下方向に移動自在な状態で取り付けられている。この巻物押さえ部材30bは、フレームユニット30aの各フレーム部材に対して架け渡されるように配置されるとともに、巻物芯109aが支持溝30cに載置されて支持された不織布巻物109に対して上方から接触して軽く押さえるように配置されている。支持溝30c上で回転する巻物芯109aとともに不織布巻物109が回転して不織布103が繰り出されると、不織布巻物109の径の減少に伴って巻物押さえ部材30bが不織布巻物109を接触したまま下方に移動することになる。尚、不織布巻物109の回転中は、巻物押さえ部30bは、繰り出される不織布103と摺動しながら接触することになる。
【0071】
図9は、図4におけるC線矢視位置から見た不織布送り部31を示す図である。図4及び図9に示す不織布送り部31は、基礎フレーム31a、上ロール支持フレーム31b、下ロール支持フレーム31c、一対のロール33、不織布送りモータ34、上ロール駆動シリンダ35を備えている。そして、この不織布送り部31は、不織布巻物支持部30に支持された不織布巻物109から不織布103を繰り出しながらフィルタ支持機構12に向かって供給するように構成されている。
【0072】
不織布送り部31の基礎フレーム31aは、第2支持フレーム18b上に固定されており、その上に更に上ロール支持フレーム31b及び下ロール支持フレーム31cが固定されている。これらのフレーム(31a、31b、31c)によって、不織布巻物支持部30とフィルタ支持機構12との間に配置される一対のロール33が支持されることになる。一対のロール33は、円筒形状に形成された上ロール33a及び下ロール33bを有して構成されている。上ロール33a及び下ロール33bにおける不織布103と接触する外周部分は、例えば樹脂材料により形成されている。
【0073】
上ロール33aは、上ロール支持フレーム31bに対して上ロールシリンダ35及び可動フレーム36を介して支持されており、その円筒軸方向の両端部において可動フレーム36に対して回転自在に保持されている。このように支持されることで、上ロール33aは、巻付け装置1の前後方向と平行に配置され、電動シリンダとして設けられた上ロール駆動シリンダ35が作動することで、可動ロール36とともに上下方向に駆動されるように構成されている。また、下ロール33bは、その円筒軸方向の両端部において下ロール支持フレーム31bに対して回転自在に支持されている。このように構成されることで、一対のロール33は、不織布巻物109から繰り出されて面方向が水平な状態で移動することとなる不織布103を上下方向における両側から挟むように把持可能に構成されている。
【0074】
また、不織布送り部31における不織布送りモータ34は、ステータ側のケーシングがブラケットを介して基礎フレーム31aに固定されるとともにロータ側がカップリングを介して下ロール33bの端部に連結されたモータ(電動機)として構成されている。一対のロール33が不織布103を挟んだ状態で不織布送りモータ34が回転することで、図9において矢印Hで示すように、下ロール33bが回転する。これにより、下ロール33bとの間で不織布103を把持する上ロール33aが、図9において矢印Iで示すように、上ロール33aと逆方向に回転することになる。そして、このように一対のロール33が不織布103を挟んだ状態で互いに逆方向に回転することで、不織布巻物109から不織布103が繰り出されながら送り出されることになる。
【0075】
図4に示す不織布供給機構13の不織布カット部32は、不織布送り部31とフィルタ支持機構12との間に配置されている。そして、この不織布カット部32は、第2支持フレーム18bに固定されたフレーム部材と、このフレーム部材に取り付けられた不織布カッタ駆動シリンダ32aと、この不織布カッタ駆動シリンダ32aに取り付けられた不織布カッタと、を備えて構成されている。不織布カッタは、その刃が巻付け装置1の前後方向に沿って延びるように配置されており、不織布カッタ駆動シリンダ32aが作動することで、上下方向に駆動される。これにより、不織布カット部32は、不織布送り部31で送り出される不織布103を送り出し方向(巻付け装置1の左右方向であって不織布送り部31からフィルタ支持機構12に向かう方向)と垂直な方向(巻付け装置1の前後方向)に亘る切断位置で切断して不織布巻物109から分離するように構成されている。このため、不織布巻物109から不織布カット部32によって切断されて分離された不織布103は、長方形の形状に切り出されることになる。
【0076】
図10は、図4における中央ハウジング24の近傍を拡大して示す一部拡大図である。図4及び図10に示す加熱機構15は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102と不織布供給機構13から供給された不織布103とを加熱して熱溶着可能に構成されたヒータ37を備えて構成されている。図11は、加熱機構15と、フィルタ支持機構12に支持されて加熱機構15の上方に配置されたフィルタ成形体102(二点鎖線で示す)とを模式的に示す斜視図である。図10及び図11に示す加熱機構15は、後述するヒータ変位駆動機構16によって支持されたヒータハウジング38と、このヒータハウジング38の上部に配置されたヒータ37とで構成されている。そして、加熱機構15においては、ヒータ37として、第1ヒータ37aと一対の第2ヒータ37bとが備えられている。
【0077】
第1ヒータ37a及び一対の第2ヒータ37bは、例えば、ニッケルクロムで形成された発熱体であるニクロム線と、熱伝導性の高い鋼製の蓋部と、を備えて構成されている。ニクロム線がヒータハウジングの上面に形成された図示しない溝内に配置され、この溝を塞ぐように蓋部が取り付けられている。尚、各ヒータ(37a、37b)のニクロム線は
、外部電源から後述の電流制御回路46(図12参照)を介して電力が供給されることで発熱し、ニクロム線で発生した熱が蓋部へと伝達されるように構成されている。そして、蓋部に接触する不織布103とこの不織布103に接触するフィルタ成形体102とが加熱されて熱溶着されることになる。
【0078】
また、第1ヒータ37aは、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102の円筒軸方向と平行に延びるように配置されている。そして、第2ヒータ37bは、フィルタ成形体102の外周における接線方向と平行に延びるように配置されている。また、一対の第2ヒータ37bは、第1ヒータ37aの両側に配置されるように設けられるとともに、第1ヒータ37aの両端部から第1ヒータ37aに対して垂直な方向に向かって平行に延びるように配置されている。
【0079】
図4及び図10に示すヒータ変位駆動機構16は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対するヒータ37の位置を変位させるように加熱機構15を駆動する機構として設けられている。そして、このヒータ変位駆動機構16は、ヒータ垂直方向駆動シリンダ39と、ヒータ接線方向駆動シリンダ40と、ヒータ軸方向駆動シリンダ41と、を備えて構成されている。尚、本実施形態においては、ヒータ垂直方向駆動シリンダ39、ヒータ接線方向駆動シリンダ40及びヒータ軸方向駆動シリンダ41は、いずれも電動シリンダとして設けられている。
【0080】
ヒータ垂直方向駆動シリンダ39は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対して、その円筒軸方向と垂直な方向に沿って(本実施形態では、上下方向に沿って)第1ヒータ37a及び第2ヒータ37bを変位させるように加熱機構15を駆動する電動シリンダとして設けられている。このヒータ垂直方向駆動シリンダ39は、本実施形態における垂直方向駆動部を構成している。ヒータ接線方向駆動シリンダ40は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対して、その外周における接線方向と平行な方向に沿って(本実施形態では、巻付け装置1の左右方向に沿って)第1ヒータ37a及び第2ヒータ37bを変位させるように加熱機構15を駆動する電動シリンダとして設けられている。このヒータ接線方向駆動シリンダ40は、本実施形態における接線方向駆動部を構成している。ヒータ軸方向駆動シリンダ41は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対して、その円筒軸方向と平行な方向に沿って(本実施形態では、巻付け装置1の前後方向に沿って)第1ヒータ37aを変位させるように加熱機構15を駆動する電動シリンダとして設けられている。このヒータ軸方向駆動シリンダ41は、本実施形態における軸方向駆動部を構成している。尚、本実施形態では、垂直方向駆動部、接線方向駆動部及び軸方向駆動部が、電動シリンダにより構成される場合を例にとって説明しているが、この通りでなくてもよい。垂直方向駆動部、接線方向駆動部及び軸方向駆動部は、エアシリンダ、リニアモータ、回転モータによって駆動されるラックアンドピニオン機構等によって構成されていてもよい。
【0081】
図4に示すフィルタ排出機構17は、フィルタ支持機構12に支持された状態での不織布103の外周への巻き付け固定が終了したフィルタ成形体102を排出する機構として設けられている。そして、このフィルタ排出機構17は、スロープ部42、排出フィルタストック部43、ガイド部44を備えて構成されている。
【0082】
スロープ部42は、フィルタ支持機構12に対して斜め下方に向かって延びるように形成され、不織布103が固定されたフィルタ成形体102が転動しながら落下する平板状の部材として設けられている。このスロープ部42は、一端側が中央ハウジング24に取り付けられるとともに他端側が斜め下方に延びる片持ち状に支持されている。排出フィルタストック部43は、上部が開口した箱状に形成され、基台18上に配置されている。そして、この排出フィルタストック部43は、スロープ部42の下端部(他端側の端部)の
下方に配置され、スロープ部42の下端部から落下したフィルタ成形体102がストックされるように構成されている。ガイド部44は、プレート状の部材として設けられ、フィルタストック部20に取り付けられたブラケットに対して支持されて、スロープ部42の下端部に対して斜め下方に配置されている。そして、ガイド部44の下端側はスロープ部42の下端部の下方において、スロープ部42の傾斜方向と逆に傾斜した面を構成するように配置されている。このため、スロープ部42の下端部から落下したフィルタ成形体102は、ガイド部44の下端側に一旦当接して落下方向と落下速度が調整され、排出フィルタストック部43に確実に落下してストックされることになる。
【0083】
尚、本実施形態の巻付け装置1においては、フィルタ供給機構11の斜め下方にフィルタ支持機構12が配置され、フィルタ支持機構12の斜め下方であってフィルタ供給機構11の下方にフィルタ排出機構17が配置されている。そして、フィルタ供給機構11及びフィルタ排出機構17に対してフィルタ支持機構12を介して反対側に不織布供給機構13が配置されている。
【0084】
図12は、巻付け装置1における制御構成を示すブロック図であり、図13は制御装置10の機能ブロック図である。巻付け装置1においては、フィルタストック部20からフィルタ支持機構12にフィルタ成形体102が供給され、不織布103が巻き付けて固定され、排出フィルタストック部43に排出されるまでの動作が、制御装置10による制御に基づいて自動で行われる。巻付け装置1の運転は、基台18上に設置された操作ボックス45(図12参照、図4では図示を省略)での作業者による操作に基づいて開始される。そして、操作ボックス45での操作が行われると、図12及び図13に示す制御装置10が、フィルタ供給機構11、フィルタ支持機構12、不織布供給機構13、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15、ヒータ変位駆動機構16等の作動を制御し、フィルタ成形体102を供給して不織布103の巻付け固定を行って排出する動作が行われることになる。
【0085】
図4、図12及び図13に示す制御装置10は、基台18上に設置されており、CPU(Central Processing Unit)56、メモリ57、インターフェイス回路(I/F回路)58等を備えて構成されている。そして、この制御装置10は、操作ボックス45、電流制御回路46、各駆動回路(47〜55)等に接続されている。操作ボックス45からの操作信号の入力や電流制御回路46及び駆動回路(47〜55)への指令信号の出力は、インターフェイス回路58を通じて行われる。また、メモリ57には、各機構(11〜16)を制御する制御装置10としての処理を行うためのプログラムが記憶されており、CPU56により読み出されて実行される。そして、図13に示すように、制御装置10内には、上記のCPU56とメモリ57とメモリ57に記憶されたプログラムとによって、フィルタ供給制御部59と、フィルタ支持制御部60と、不織布供給制御部61と、不織布巻付け制御部62と、熱溶着制御部63と、フィルタ排出制御部64とが構築されている。
【0086】
尚、電流制御回路46は、外部電源からの電力を第1及び第2ヒータ(37a、37b)に対して電流を調整して供給する回路として構成されている。そして、この電流制御回路46は、制御装置10からの指令に基づいて、例えば電流制御回路46内の内部抵抗を変更することで、第1及び第2ヒータ(37a、37b)に通電する電流の設定値を所定の設定温度(例えば、120℃から150℃の範囲の設定温度)に対応する電流値に調整して設定するように構成されている。
【0087】
また、駆動回路47は、制御装置10からの指令に基づいてフィルタ供給機構11における振動発生機22を駆動するための回路として設けられている。駆動回路48は、制御装置10からの指令に基づいてフィルタ回転駆動機構14におけるスピンドル回転モータ
29を駆動するための回路として設けられている。駆動回路49は、制御装置10からの指令に基づいて不織布供給機構13における不織布送り部31の不織布送りモータ34を駆動するための回路として設けられている。駆動回路50は、制御装置10からの指令に基づいてヒータ変位駆動機構16におけるヒータ垂直方向駆動シリンダ39を駆動するための回路として設けられている。駆動回路51は、制御装置10からの指令に基づいてヒータ変位駆動機構16におけるヒータ接線方向駆動シリンダ40を駆動するための回路として設けられている。駆動回路52は、制御装置10からの指令に基づいてヒータ変位駆動機構16におけるヒータ軸方向駆動シリンダ41を駆動するための回路として設けられている。駆動回路53は、制御装置10からの指令に基づいてフィルタ供給機構11におけるシャッタ部23のシャッタ駆動シリンダ23bを駆動するための回路として設けられている。駆動回路54は、制御装置10からの指令に基づいてフィルタ支持機構12におけるスピンドル駆動シリンダ27を駆動するための回路として設けられている。駆動回路55は、制御装置10からの指令に基づいて不織布供給機構13における不織布カット部32の不織布カッタ駆動シリンダ32aを駆動するための回路として設けられている。
【0088】
ここで、図12及び図13に示す制御装置10内に構築される各制御部(59〜64)について詳しく説明する。尚、これらの各制御部(59〜64)は、所定のプログラムを読み出して実行するCPU56によって構成される。フィルタ供給制御部59は、まず、駆動回路47を介して振動発生機22に振動を発生させるよう制御する。そして、フィルタストック部20内のフィルタ成形体102をフィルタ供給通路21内で移動させる。このとき、シャッタドア23aは遮蔽位置にあって供給口21aを遮蔽しており、フィルタ供給通路21の最も先頭側に位置するフィルタ成形体102はシャッタドア23aに当接して供給口21aのところで停止することになる。次いで、フィルタ供給制御部50は、振動発生機22の振動を停止させ、駆動回路53を介してシャッタ駆動シリンダ23bを作動させ、シャッタドア23aを開放位置へと移動させる。これにより、供給口21aからフィルタ成形体102がフィルタ支持機構12へと供給される。そして、1つのフィルタ成形体102が供給された所定のタイミングでシャッタ駆動シリンダ23bを作動させてシャッタドア23aを遮蔽位置へと移動させ、次のフィルタ成形体102の移動を停止させる。このように、フィルタ供給制御部59は、フィルタ成形体102をフィルタ支持機構12に所定タイミングで順番に1つずつ供給するように、フィルタ供給機構11の作動を制御する。
【0089】
フィルタ支持制御部60は、フィルタ供給機構11からフィルタ成形体102が供給されて一対のスピンドル部25の間に位置したタイミングで、スピンドル部25aをスピンドル部25bに向かって突出させるように、駆動回路54を介してスピンドル駆動シリンダ27を作動させるよう制御する。これにより、フィルタ成形体102がその円筒軸方向の両側から一対のスピンドル部25によって支持されることになる。
【0090】
不織布供給制御部61は、駆動回路49を介して不織布送りモータ34を回転駆動するように制御することで、一対のロール33の間に挟まれた不織布103を不織布巻物109から繰り出しながら送り出すように、不織布供給機構13を制御する。このとき、一対のロール33のうちの少なくとも一方において、その回転数及び回転角度を検出可能な回転検出手段が設けられており、この回転検出手段での検出結果に基づいて、不織布供給制御部61において一対のロール33間を通過する不織布109の長さが算出される。そして、この算出長さが所定の長さ寸法となるごとに、不織布供給制御部61は、駆動回路55を介して不織布カッタ駆動シリンダ32aを作動させる。これにより、不織布巻物109から所定の長さ寸法の不織布103が切り出されることになる。尚、このとき、不織布カッタ駆動シリンダ32aによって切り出された不織布103におけるカッタ側とは反対側の端部が、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対してその直下で円筒軸方向と平行に接触する位置に位置するように、不織布供給制御部61によって一
対のロール33の回転量が制御されている。また、不織布供給制御部61は、フィルタ支持機構12にフィルタ成形体102が新たに支持される毎に1枚の切り出された不織布103をフィルタ支持機構12に供給するように、不織布供給機構13を制御する。
【0091】
不織布巻付け制御部62は、不織布109をフィルタ成形体102の外周に巻き付けるために、駆動回路48を介してスピンドル回転モータ29を回転駆動させる。これにより、不織布巻付け制御部62は、フィルタ支持機構11に支持されたフィルタ成形体102をフィルタ回転駆動機構12によって回転させながら、フィルタ成形体102の外周に不織布供給機構13から供給された不織布103を巻き付けるように、フィルタ回転駆動機構12を制御する。
【0092】
熱溶着制御部63は、ヒータ変位駆動機構16(39、40、41)によってヒータ37を変位させるとともに、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102の外周に加熱機構15により不織布103を熱溶着させて固定するように、ヒータ変位駆動機構16及び加熱機構15を制御する。尚、熱溶着制御部63による制御に基づくフィルタ成形体102への不織布103の巻付け固定動作は、複数のフィルタ成形体102に対して順番に続けて行われる。このため、加熱機構15における第1ヒータ37a及び第2ヒータ37bは、巻付け装置1の作動中は常時通電されて所定の温度範囲の温度となるように調整されている。
【0093】
図14、図15、図17及び図19は、熱溶着制御部63の制御に基づいて不織布103のフィルタ成形体102への熱溶着が行われている状態を工程の順番に沿って示す図であって、図11に対応させて模式的に示す斜視図である。また、図16、図18及び図20は、図15、図17及び図19に示す各工程が行われた際におけるフィルタ成形体102及び不織布103の状態を示す斜視図である。尚、図14、図15、図17及び図19では、第1及び第2ヒータ(37a、37b)のうち、フィルタ成形体102に対して不織布103を介して当接するものについて、破線の斜線を付して示している。
【0094】
熱溶着制御部63は、まず、図14に示すように、駆動回路50を介してヒータ垂直方向駆動シリンダ39を作動させることで加熱機構15を所定の位置から上方に向かって(図中の矢印J方向に向かって)移動させる。これにより、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に対して、その円筒軸方向に沿った姿勢で第1ヒータ37aが不織布103の端部を介して押圧される。このとき、第1ヒータ37aは、図14に示すように、フィルタ成形体102に対して、その円筒軸方向と平行な方向に少しずれた位置にて不織布103を介して押圧される。
【0095】
そして、熱溶着制御部63は、図14に示す状態から、駆動回路52を介してヒータ軸方向駆動シリンダ41を作動させて加熱機構15を巻付け装置1の前後方向に(図15中において矢印Kで示す方向に)移動させることで、図15に示す状態へと移行させる。即ち、熱溶着制御部63は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に第1ヒータ37aを不織布103の端部を介して押圧させた状態で、第1ヒータ37aをヒータ軸方向駆動シリンダ41によりフィルタ成形体102の円筒軸方向と平行に変位させる。このように、熱溶着制御部63は、加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16を制御して、フィルタ成形体102に不織布103を介して押圧させた第1ヒータ37aをフィルタ成形体102に向かって刷り込むように変位させ、フィルタ成形体102の円筒軸方向に沿って不織布103を熱溶着させる。図16は、図15に示す工程が終了した状態のフィルタ成形体102とこのフィルタ成形体102に端部103aが熱溶着された不織布103とを示す斜視図である。尚、図16では、図15とは異なる角度から見た斜視図を示している。図15に示す工程が終了した状態では、不織布103の端部103aがフィルタ成形体102に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着により固定されている。
【0096】
図14及び図15に示す工程が終了すると、次に、熱溶着制御部63は、図15に示す状態から、駆動回路51を介してヒータ接線方向駆動シリンダ40を作動させて加熱機構15を巻付け装置1の左右方向に(図17中において矢印Lで示す方向に)移動させることで、図17に示す状態へと移行させる。このとき、第2ヒータ37bが不織布103を介してフィルタ成形体102に押圧された状態となる。そして、熱溶着制御部63は、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102に第2ヒータ37bを不織布103を介して押圧させた状態で、駆動回路48を介してスピンドル回転モータ29を回転駆動し、フィルタ成形体102をフィルタ回転駆動機構14によって回転させる。また、このとき、熱溶着制御部63の制御と同期して、不織布巻付け制御部62による不織布103の巻付け動作の制御も行われることになる。このように、熱溶着制御部63は、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16を制御して、第2ヒータ37bを不織布103を介してフィルタ成形体102に押圧させた状態で、フィルタ成形体102を回転させ、フィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103を熱溶着させる。尚、フィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103を熱溶着させる工程は、不織布103がフィルタ成形体102の全周に亘って熱溶着されるまで行われる。
【0097】
尚、図18は、第2ヒータ37aにより不織布103の両縁部103b(フィルタ成形体102の円筒軸方向の両端部に接触する両縁部)をフィルタ成形体102に対してその円周方向に沿って熱溶着させている工程中の状態におけるフィルタ成形体102と不織布103とを示す斜視図である。この図18では、図17とは異なる角度から見た斜視図を示している。上記の工程中は、不織布103の両縁部103bがフィルタ成形体102に対してその円周方向に沿って熱溶着により固定されていくことになる。
【0098】
フィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103を熱溶着させる工程が終了すると、次に、熱溶着制御部63は、駆動回路51を介してヒータ接線方向駆動シリンダ40を作動させて加熱機構15を巻付け装置1の左右方向に(図19において矢印Mで示す方向に)移動させることで、図17に示す位置から図19に示す位置へと移行させる。これにより、第1ヒータ37aが不織布103を介してフィルタ成形体102に押圧された状態となる。また、このとき、フィルタ成形体102の回転方向における位置は、フィルタ成形体102の外周に巻き付けられた不織布103の端部同士が重なった状態で第1ヒータ37aに当接するように調整されている。このように、熱溶着制御部63は、加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16を制御し、第1ヒータ37aによりフィルタ成形体102の外周に巻き付けられた不織布103の端部同士を重ねた状態でフィルタ成形体102に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着させる。
【0099】
図20は、図19に示す工程が終了した状態のフィルタ成形体102とこのフィルタ成形体102に熱溶着された不織布103とを示す斜視図である。尚、図20では、図19とは異なる角度から見た斜視図を示している。図19に示す工程が終了した状態では、不織布103は、フィルタ成形体102に対して、両縁部103bが円周方向に沿って熱溶着により固定されていることに加え、端部103aと端部103bとが重ねられた状態で円筒軸方向に沿って熱溶着により固定されている。
【0100】
フィルタ排出制御部64は、図19に示す工程が終了すると、駆動回路54を介してスピンドル駆動シリンダ27を作動させ、フィルタ成形体102を支持する一対のスピンドル部25におけるスピンドル部25aを退避させるように移動させる。これにより、フィルタ排出制御部64は、フィルタ支持機構12によるフィルタ成形体102の支持を解除して、不織布103が固定されたフィルタ成形体102をフィルタ排出機構17に排出させるようにフィルタ支持機構12を制御する。フィルタ排出制御部64による制御が終了すると、不織布103の巻付け固定が終了したフィルタ成形体102が、スロープ部42
を転動して排出フィルタストック部43に落下してストックされることになる。尚、上述した各制御部(59〜64)による各機構(11〜16)の制御は繰り返し行われ、フィルタ成形体102への不織布103の巻付け固定動作が、複数のフィルタ成形体102に対して順番に続けて行われることになる。
【0101】
次に、本発明の一実施の形態に係るフィルタ成形体用不織布巻付け方法(以下、単に「巻付け方法」ともいう)について説明する。尚、本実施形態の巻付け方法には、上述した巻付け装置1が用いられる。即ち、巻付け装置1が作動することで、本実施形態の巻付け方法が実施されることになる。
【0102】
本実施形態の巻付け方法は、フィルタ100を製造する際に用いられ、フィルタ成形体102の外周に不織布103を巻きつけて固定するための巻付け方法として構成されている。フィルタ100の製造においては、本実施形態の巻付け方法の前工程として、フィルタ成形体102の成形工程が行われる。また、本実施形態の巻付け方法の後工程として、不織布103が巻き付けて固定されたフィルタ成形体102の両端部にキャップ(104a、104b)を取り付けるキャップ取付工程が行われることになる。
【0103】
図21は、本実施形態の巻付け方法を説明する工程図である。この図21に示すように、本実施形態の巻付け方法は、フィルタ供給工程S101と、フィルタ支持工程S102と、不織布供給工程S103と、不織布巻付け固定工程S104と、フィルタ排出工程S105と、を備えて構成されている。これらの各工程(S101〜S105)が順番に行われることで、フィルタ成形体102に不織布103を巻き付けて固定する処理が行われることになる。そして、各工程(S101〜S105)が1回終了するごとに、不織布103が巻き付けられて固定されたフィルタ102が1つ製造されることになり、各工程(S101〜S105)が繰り返し行われることで、不織布103が巻き付けられて固定されたフィルタ成形体102が繰り返し製造されることになる。
【0104】
フィルタ供給工程S101は、フィルタ供給機構11からフィルタ支持機構12にフィルタ成形体102を供給する工程として構成されている。即ち、このフィルタ供給工程S101においては、フィルタ供給制御部59の制御に基づいて前述のようにフィルタ供給機構11が作動することで、供給口21aからフィルタ成形体102がフィルタ支持機構12に供給される。
【0105】
フィルタ支持工程S102は、フィルタ供給機構11から供給されたフィルタ成形体102をフィルタ支持機構12において支持する工程として構成されている。即ち、このフィルタ支持工程S102においては、フィルタ支持制御部60の制御に基づいて前述のようにフィルタ支持機構12が作動することで、一対のスピンドル部25によってフィルタ成形体102がその円筒軸方向の両端部を両側から回転自在に支持される。
【0106】
不織布供給工程S103は、フィルタ支持機構12に不織布103を供給する工程として構成されている。即ち、この不織布供給工程S103においては、不織布供給制御部61の制御に基づいて前述のように不織布供給機構13が作動する。これにより、不織布巻物109から一対のロール33によって不織布103が繰り出されて更に不織布カット部32で切り出され、所定の長さ寸法の不織布103がフィルタ支持機構12に供給される。
【0107】
不織布巻付け固定工程S104は、不織布巻付け制御工程S104aと熱溶着制御工程S104bとで構成されている。この不織布巻付け固定工程S104においては、不織布巻付け制御工程S104aと熱溶着制御工程S104bとが、同期して行われることになる。そして、不織布巻付け制御工程S104aでは、不織布巻付け制御部62の制御に基
づいて前述のようにフィルタ回転駆動機構14が制御される。これにより、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102がフィルタ回転駆動機構14によって回転させられながら、フィルタ成形体102の外周に不織布供給機構13から供給された不織布103が巻き付けられる。一方、熱溶着制御工程S104bでは、熱溶着制御部63の制御に基づいて前述のように加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16が制御される。これにより、ヒータ変位駆動機構16によってヒータ37が変位させられるとともに、フィルタ支持機構12に支持されたフィルタ成形体102の外周に加熱機構15により不織布10が熱溶着されて固定される。
【0108】
フィルタ排出工程S105は、不織布103が巻き付けられて固定されたフィルタ成形体102をフィルタ支持機構12からフィルタ排出機構17に排出する工程として構成されている。即ち、このフィルタ排出工程S105においては、フィルタ排出制御部64の制御に基づいて前述のようにフィルタ支持機構12が作動する。これにより、フィルタ支持機構12における一対のスピンドル部25によるフィルタ成形体102の支持が解除されて、不織布103が固定されたフィルタ成形体102がフィルタ排出機構17に排出される。フィルタ排出工程S105が終了すると、本実施形態の巻付け方法が一旦終了することになる。そして、上述した各工程(S101〜S105)が複数のフィルタ成形体102に対して繰り返し行われ、不織布103が巻き付けられて固定されたフィルタ成形体102が繰り返し製造されることになる。
【0109】
以上説明した巻付け装置1によると、フィルタ供給機構11から供給されたフィルタ成形体102がフィルタ支持機構12において回転自在に支持される。そして、フィルタ回転駆動機構14によって回転駆動されたフィルタ成形体102の外周に対して、不織布供給機構13から供給された不織布103が巻きつけられる。更に、ヒータ変位駆動機構16によってヒータ37の位置が変位するように加熱機構15が駆動され、フィルタ成形体102の外周に不織布103が熱溶着されて固定されることになる。このように、フィルタ成形体102の外周に不織布を巻き付けて固定する作業が、不織布巻付け制御部62及び熱溶着制御部63の制御に基づいて、フィルタ供給機構11、フィルタ支持機構12、不織布供給機構13、フィルタ回転駆動機構14、加熱機構15及びヒータ変位駆動機構16が作動することで、自動で行われることになる。このため、作業者の手作業によってフィルタ成形体102に不織布103を巻き付けて固定する作業を無くすことができ、自動化による省人化を図ることができる。また、フィルタ成形体102への不織布103の巻付け固定作業の無人化を図ることができるため、作業者に起因する生産能力の低下もそもそも生じないことになり、巻付け装置1の運転速度を調整することで、飛躍的に生産能力の向上を図ることができる。
【0110】
従って、巻付け装置1によると、フィルタ成形体102の外周に不織布103を巻き付けて固定する作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0111】
また、巻付け装置1によると、熱溶着制御部63の制御に基づいて、フィルタ成形体102の円筒軸方向に平行な第1ヒータ37aとフィルタ成形体102の接線方向に平行な第2ヒータ37bとが、不織布103を介してフィルタ成形体102に押圧され、フィルタ成形体102の円筒軸方向及び円周方向に沿って不織布103が熱溶着される。このように、フィルタ成形体102に対して効率よく配置されたヒータ37(37a、37b)によってフィルタ成形体102の円筒軸方向及び円周方向に沿って不織布103を熱溶着することができるため、長方形の不織布103を用いてしわの発生を抑制しつつフィルタ成形体102の外周に容易にこの不織布103を固定することができる。尚、本実施形態によると、フィルタ成形体102に対して熱溶着される不織布103の端部が、スパイラル状に配置されることなく、フィルタ成形体102の円筒軸方向と平行に配置されること
になる(図20参照)。このため、フィルタ成形体102の円周方向における不織布103に作用する引っ張り力をフィルタ成形体102の円筒軸方向と平行な方向に亘ってより均一な状態にすることができ、外観品質の向上を図ることができる。
【0112】
また、巻付け装置1によると、第1ヒータ37aの両側で平行に配置された一対の第2ヒータ37bによって、フィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103が熱溶着される。このため、一対の第2ヒータ37bによって、フィルタ成形体102の円筒軸方向の両側において円周方向に沿って同時に不織布103を熱溶着することができる。これにより、生産能率の更なる向上を図ることができる。
【0113】
また、巻付け装置1によると、第1ヒータ37a及びその両側の一対の第2ヒータ37bが、ヒータ垂直方向駆動シリンダ39によってフィルタ成形体102の円筒軸方向と垂直に変位し、ヒータ接線方向駆動シリンダ40によってフィルタ成形体102の接線方向と平行に変位する。これにより、ヒータ垂直方向駆動シリンダ39の駆動によって第1ヒータ37aをフィルタ成形体102に向かって押圧し、フィルタ成形体102の円筒軸方向に沿って不織布103を熱溶着することができる。そして、第1ヒータ37aをフィルタ成形体102に向かって押圧した状態から、ヒータ接線方向駆動シリンダ40の駆動によって第2ヒータ37bをフィルタ成形体102に向かって押圧した状態へと移行させ、フィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103を熱溶着することができる。このため、ヒータ変位駆動機構16によって、第1ヒータ37a及びその両側の一対の第2ヒータ37bを有する加熱機構15を直線方向の変位を組み合わせた動作によって効率よく駆動して、不織布103のフィルタ成形体102への熱溶着を行うことができる。従って、生産能率の更なる向上を図ることができる。
【0114】
また、巻付け装置1によると、第2ヒータ37bが不織布103を介してフィルタ成形体102を押圧した状態で、フィルタ回転駆動機構14によってフィルタ成形体102が回転することで、フィルタ成形体102の円周方向に沿った不織布103の熱溶着が行われる。これにより、フィルタ成形体102を押圧する第2ヒータ37bの位置がフィルタ成形体102の回転中心位置に対して変化することなく、フィルタ成形体102が回転するだけでその円周方向に不織布103が熱溶着されることになる。即ち、フィルタ成形体102と第2ヒータ37bとの位置関係が安定した状態を維持しながら、フィルタ成形体102の円周方向に不織布103を熱溶着することができる。このため、フィルタ成形体102の円周方向における不織布103に作用する引っ張り力をフィルタ成形体102の円筒軸方向と平行な方向に亘ってより均一な状態にすることができ、外観品質の更なる向上を図ることができる。
【0115】
また、巻付け装置1によると、第1ヒータ37aが不織布103を介してフィルタ成形体102を押圧した状態で、ヒータ軸方向駆動シリンダ41により第1ヒータ37aがフィルタ成形体102の円筒軸方向と平行に変位することで、フィルタ成形体102の円筒軸方向に沿った不織布103の熱溶着が行われる。これにより、第1ヒータ37aをフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿ってスライドさせ、不織布103をフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿って刷り込むように熱溶着させることができる。このため、不織布103をフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿ってより強固に固定することができる。
【0116】
また、巻付け装置1によると、最初に、第1ヒータ37aによってフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿って不織布103の端部103aが熱溶着され、次に、第2ヒータ37bによってフィルタ成形体102の円周方向に沿って不織布103が熱溶着される。そして、最後に、再度第1ヒータ37aによって、フィルタ成形体102の外周に巻き付けられた不織布の端部(103a、103c)同士が重ねられた状態でフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿って熱溶着される。このため、不織布103をフィルタ成形体102
に熱溶着させる工程の最初と最後において、第1ヒータ37aを効率よく活用して、不織布103をフィルタ成形体102の円筒軸方向に沿ってより強固に固定することができる。
【0117】
また、巻付け装置1によると、フィルタストック部20にストックされたフィルタ成形体102が、フィルタ供給通路21を経て供給口21aからフィルタ支持機構12に供給される。そして、供給口21aをシャッタ部23が開放しているときはフィルタ成形体102がこの供給口21aから供給され、供給口21aをシャッタ部23が塞いでいるときはフィルタ成形体102が供給されないことになる。このため、シャッタ部23の開閉動作によって、フィルタ成形体102の供給が要求されるタイミングに応じて供給口21aからフィルタ成形体102を順次供給することができる。
【0118】
また、巻付け装置1によると、フィルタストック部20にストックされたフィルタ成形体102は、重力により、斜め下方に下る階段部21bに沿ってフィルタ供給通路21を通過して供給口21aへと移動することになる。そして、フィルタ供給通路21の階段部21bと天井部21cとの最も接近した位置での距離寸法Dがフィルタ成形体102の直径寸法の1つ分より大きく2つ分より小さく、階段部21bの幅寸法がフィルタ成形体102の円筒軸方向長さよりも長く形成されている。このため、フィルタ成形体102は、その円筒軸方向が階段部21bの幅方向と平行な姿勢で階段部21bに沿って転動しながら順番に1つずつ並んだ状態でフィルタ供給通路21を通過し、供給口21aから1つずつ供給されることになる。これにより、フィルタ支持機構12に対して、支持のために要求される姿勢と常時同じ姿勢で安定してフィルタ成形体102を1つずつ供給することができる。また、安定した同じ姿勢のフィルタ成形体102を1つずつ供給するための構成を、所定の寸法形状の階段部21b等が設けられたフィルタ供給通路21を設けるという簡素な構成によって実現することができる。
【0119】
また、巻付け装置1によると、フィルタストック部20及びフィルタ供給通路21に対して振動発生機22から振動が付与される。このため、フィルタ成形体102の周囲から伝わる振動によってこのフィルタ成形体102が移動し易くなり、フィルタ成形体102を順次フィルタ供給通路21を経て供給口21aに向かって容易に移動させることができる。また、振動を発生させることで、フィルタ成形体102がフィルタストック部20からフィルタ供給通路21を経て移動する際に、フィルタ供給通路21及びその入口付近においてフィルタ成形体102が詰ってしまうことを抑制することができる。
【0120】
また、巻付け装置1によると、フィルタ成形体102がその円筒軸方向の両端部で一対のスピンドル部25によって支持される。このため、省スペースで効率よく配置された一対のスピンドル部25を用いた簡素な構成によって、フィルタ成形体102を回転自在に支持することができ、フィルタ支持機構12の周囲に配置される他の部材や機構との干渉の問題の発生を抑制することができる。
【0121】
また、巻付け装置1によると、一対のスピンドル部25の先端部28が、フィルタ成形体102の貫通孔102aに挿入されるとともにその縁部分と当接する円錐状の部分として形成される。このため、フィルタ成形体102に設けられた貫通孔102aを有効に活用し、安定した状態でフィルタ成形体102を一対のスピンドル部25によって支持することができる。
【0122】
また、巻付け装置1によると、不織布103がロール状に巻かれた不織布巻物109の状態で不織布巻物支持部30にストックされて順次供給されることになる。このため、不織布供給機構13において、供給用の不織布103をコンパクトにまとまった状態で少ないスペースに効率よくストックすることができる。そして、不織布送り部31によって不
織布巻物109から繰り出した不織布103を所要の長さ分だけ送り出すとともに不織布カット部32で切断してフィルタ支持機構12に供給することができる。このため、所定のタイミングで不織布103の送り出し動作と切断動作とを繰り返すことで、不織布103のフィルタ支持機構12への供給動作を順次連続的に自動で行うことができる。
【0123】
また、巻付け装置1によると、不織布送り部31が、不織布103を挟んで回転することで送り出す一対のロール33を有して構成されている。このため、不織布巻物109から繰り出される不織布103にしわを発生させることなく容易に不織布103を送り出すことができる。また、一対のロール33のうちの少なくとも一方の回転数や回転角度を検出することで、一対のロール33間を通過する不織布103の長さを計測することができる。このため、この一対のロール33を有効的に活用して不織布103の送り出し量を制御する構成を構築することができる。
【0124】
また、巻付け装置1によると、フィルタ成形体102への不織布103の巻付け固定動作が終了すると、フィルタ排出制御部64の制御に基づいて、フィルタ支持機構12によるフィルタ成形体102の支持が解除され、不織布103の巻付け固定が終了したフィルタ成形体102のフィルタ排出機構17への排出が行われる。このため、不織布103の巻付け固定が終了したフィルタ成形体102の排出動作を自動で行うことができる。
【0125】
また、巻付け装置1によると、不織布103の巻付け固定が終了すると、フィルタ成形体102は、スロープ部42に沿って斜め下方に転動しながら落下し、更にその下方のフィルタストック部43にストックされることになる。このため、重力を利用した簡素な構成によって、不織布103の巻付け固定が終了したフィルタ成形体102を順次自動で回収することができる。
【0126】
また、巻付け装置1によると、フィルタ供給機構11から斜め下方にフィルタ成形体102が移動して不織布103の巻付け固定が行われ、不織布103の巻付け固定が終了したフィルタ成形体102が更に斜め下方に移動して排出される。このため、重力を有効に活用してフィルタ成形体102の供給動作から排出動作までを行うことができる。そして、フィルタ供給機構11及びフィルタ排出機構17に対してフィルタ支持機構12を介して反対側に不織布供給機構13が配置される。このため、フィルタ供給機構11及びフィルタ排出機構17との干渉の問題を発生させることなく、不織布供給機構13をコンパクトなスペースに効率よく配置することができる。これにより、巻付け装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0127】
また、本実施形態の巻付け方法によると、巻付け装置1と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施形態のフィルタ成形体用不織布巻付け方法によると、フィルタ成形体102の外周に不織布103を巻き付けて固定する作業を自動で行うことができ、自動化による省人化が可能であり、作業者に起因する生産能力の低下を無くし、生産能力の向上を図ることができる。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。即ち、フィルタ支持機構、フィルタ供給機構、不織布供給機構、加熱機構、ヒータ変位駆動機構、不織布巻付け制御部、熱溶着制御部の形態については、適宜変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻
き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け装置及びフィルタ成形体用不織布巻付け方法として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0130】
1 フィルタ成形体用不織布巻付け装置
10 制御装置
11 フィルタ供給機構
12 フィルタ支持機構
13 不織布供給機構
14 フィルタ回転駆動機構
15 加熱機構
16 ヒータ変位駆動機構
37 ヒータ
62 不織布巻付け制御部
63 熱溶着制御部
100 フィルタ
101 水処理機
102 フィルタ成形体
103 不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ成形体を回転自在に支持するフィルタ支持機構と、
複数の前記フィルタ成形体をストックするとともに、ストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給するフィルタ供給機構と、
前記フィルタ支持機構に不織布を供給する不織布供給機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を回転させるように駆動するフィルタ回転駆動機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体と前記不織布供給機構から供給された不織布とを加熱して熱溶着可能なヒータを有する加熱機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対する前記ヒータの位置を変位させるように前記加熱機構を駆動するヒータ変位駆動機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させながら、当該フィルタ成形体の外周に前記不織布供給機構から供給された不織布を巻きつけるように、前記フィルタ回転駆動機構を制御する不織布巻付け制御部と、
前記ヒータ変位駆動機構によって前記ヒータを変位させるとともに、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の外周に前記加熱機構により不織布を熱溶着させて固定するように、前記ヒータ変位駆動機構及び前記加熱機構を制御する熱溶着制御部と、
を備えていることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記加熱機構は、前記ヒータとして、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の円筒軸方向と平行に延びるように配置された第1ヒータと、当該フィルタ成形体の外周における接線方向と平行に延びるように配置された第2ヒータと、を有し、
前記熱溶着制御部は、前記第1ヒータを不織布を介して前記フィルタ成形体に押圧することで不織布を前記フィルタ成形体にその円筒軸方向に沿って熱溶着させ、前記第2ヒータを不織布を介して前記フィルタ成形体に押圧することで不織布を前記フィルタ成形体にその円周方向に沿って熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記加熱機構は、一対の前記第2ヒータが、前記第1ヒータの両側に配置されるように設けられるとともに、前記第1ヒータの両端部から当該第1ヒータに対して垂直な方向に向かって平行に延びるように配置されていることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記ヒータ変位駆動機構は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対して、その円筒軸方向と垂直な方向に沿って前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する垂直方向駆動部と、その外周における接線方向と平行な方向に沿って前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する接線方向駆動部と、を有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記熱溶着制御部は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に前記第
2ヒータを不織布を介して押圧させた状態で、当該フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させることで、当該フィルタ成形体の円周方向に沿って不織布を熱溶着させるように、前記加熱機構、前記ヒータ変位駆動機構及び前記フィルタ回転駆動機構を制御することを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記ヒータ変位駆動機構は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対して、その円筒軸方向と平行な方向に沿って前記第1ヒータを変位させるように前記加熱機構を駆動する軸方向駆動部を更に有し、
前記熱溶着制御部は、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に前記第1ヒータを不織布を介して押圧させた状態で、前記第1ヒータを前記軸方向駆動部により前記フィルタ成形体の円筒軸方向と平行に変位させることで、当該フィルタ成形体の円筒軸方向に沿って不織布を熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記熱溶着制御部は、前記第1ヒータにより不織布を前記フィルタ成形体に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着させ、その後、前記第2ヒータにより不織布を前記フィルタ成形体に対してその円周方向に沿って熱溶着させ、更にその後、前記第1ヒータにより前記フィルタ成形体の外周に巻き付けられた不織布の端部同士を重ねた状態で前記フィルタ成形体に対してその円筒軸方向に沿って熱溶着させるように、前記加熱機構及び前記ヒータ変位駆動機構を制御することを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ供給機構は、
複数の前記フィルタ成形体をストックするフィルタストック部と、
前記フィルタストック部の内部と連通し、当該フィルタストック部にストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給可能な供給口が開口形成されたフィルタ供給通路と、
前記供給口を開閉自在なシャッタ部と、
を有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ供給通路は、前記フィルタストック部に対して斜め下方に配置された前記供給口に向かって1段又は複数段の段部を介して下り方向に延びるように設けられた階段部と、前記階段部に対して上方に配置されて対向する天井部と、を有し、
前記階段部は、その幅方向の寸法が前記フィルタ成形体の円筒軸方向の長さ寸法よりも長くなるように形成され、
前記階段部と前記天井部との最も接近した位置における距離寸法が、前記フィルタ成形体の直径寸法の1つ分の寸法よりも大きく2つ分の寸法よりも小さいことを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ供給機構は、前記フィルタストック部及び前記フィルタ供給通路に対して振動を付与可能な振動発生部を更に有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置で
あって、
前記フィルタ支持機構は、前記フィルタ供給機構から供給された前記フィルタ成形体の円筒軸方向の両端部に対して両側から突出して当該フィルタ成形体を支持する一対のスピンドル部を有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項12】
請求項11に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記一対のスピンドル部は、前記フィルタ成形体の円筒軸方向の両端部に当接する先端部が、円錐状の部分として形成され、
前記円錐状の部分は、前記フィルタ成形体の中心部において円筒軸方向に沿って貫通形成された貫通孔に対して先端側が挿入されて当該貫通孔の縁部分と当接することを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記不織布供給機構は、
不織布が円筒形のロール状に巻かれた不織布巻物を回転自在に支持する不織布巻物支持部と、
前記不織布巻物支持部に支持された前記不織布巻物から不織布を繰り出しながらフィルタ支持機構に向かって送り出す不織布送り部と、
前記不織布送り部で送り出される不織布を送り出し方向と垂直な方向に亘る切断位置で切断して前記不織布巻物から分離する不織布カット部と、
を有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項14】
請求項13に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記不織布送り部は、前記不織布巻物支持部と前記フィルタ支持機構との間に配置されるとともに不織布を両側から挟むように把持可能な一対のロールを有し、当該一対のロールが不織布を挟んだ状態で互いに逆方向に回転することで前記不織布巻物から不織布を送り出すことを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ支持機構に支持された状態での不織布の外周への巻き付け固定が終了した前記フィルタ成形体を排出するフィルタ排出機構と、
前記フィルタ支持機構による前記フィルタ成形体の支持を解除して、不織布が固定された前記フィルタ成形体を前記フィルタ排出機構に排出させるように前記フィルタ支持機構を制御するフィルタ排出制御部と、
を更に備えていることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項16】
請求項15に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ排出機構は、
前記フィルタ支持機構に対して斜め下方に向かって延びるように形成され、不織布が固定された前記フィルタ成形体が転動しながら落下する平板状のスロープ部と、
前記スロープ部の下端部の下方に配置され、当該スロープ部の下端部から落下した前記フィルタ成形体がストックされる排出フィルタストック部と、
を有していることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載のフィルタ成形体用不織布巻付け装置であって、
前記フィルタ供給機構の斜め下方に前記フィルタ支持機構が配置され、前記フィルタ支持機構の斜め下方であって前記フィルタ供給機構の下方に前記フィルタ排出機構が配置され、前記フィルタ供給機構及び前記フィルタ排出機構に対して前記フィルタ支持機構を介
して反対側に前記不織布供給機構が配置されていることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け装置。
【請求項18】
水から汚染物質を除去する水処理器に取り付けられるフィルタを製造する際に用いられ、活性炭を固化して形成された円筒形状のフィルタ成形体の外周に不織布を巻き付けて固定する、フィルタ成形体用不織布巻付け方法であって、
前記フィルタ成形体を回転自在に支持するフィルタ支持機構と、
複数の前記フィルタ成形体をストックするとともに、ストックされた前記フィルタ成形体を前記フィルタ支持機構に供給するフィルタ供給機構と、
前記フィルタ支持機構に不織布を供給する不織布供給機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を回転させるように駆動するフィルタ回転駆動機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体と前記不織布供給機構から供給された不織布とを加熱して熱溶着可能なヒータを有する加熱機構と、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体に対する前記ヒータの位置を変位させるように前記加熱機構を駆動するヒータ変位駆動機構と、
を有するフィルタ成形体用不織布巻付け装置が用いられ、
前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体を前記フィルタ回転駆動機構によって回転させながら、当該フィルタ成形体の外周に前記不織布供給機構から供給された不織布を巻きつけるように、前記フィルタ回転駆動機構を制御する不織布巻付け制御工程と、
前記ヒータ変位駆動機構によって前記ヒータを変位させるとともに、前記フィルタ支持機構に支持された前記フィルタ成形体の外周に前記加熱機構により不織布を熱溶着させて固定するように、前記ヒータ変位駆動機構及び前記加熱機構を制御する熱溶着制御工程と、
を備えていることを特徴とする、フィルタ成形体用不織布巻付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−274209(P2010−274209A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130119(P2009−130119)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】