説明

フィルタ校正装置及び校正方法

【課題】YIG同調フィルタの中心周波数や振幅レベルを正確に校正すること。
【解決手段】入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14の中心周波数を含む校正用信号を出力する雑音発生器19と、可変同調フィルタ部14を通過して入力した雑音発生器19からの校正用信号を解析して周波数情報を取得する周波数情報取得部16と、校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として周波数情報取得部16で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように可変同調フィルタ部14の中心周波数を調整制御する制御部20とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力される被測定信号を分析し解析してスペクトラムを表示するスペクトラムアナライザの前段に装備される被測定信号以外の不要信号の受信を防ぐ可変同調フィルタ(プリセレクタ)の校正を行うフィルタ校正装置及び校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部から受信した被測定信号の解析を行う信号解析装置(例えばスペクトラムアナライザ)には、本来の受信対象の信号の他にイメージレスポンスによる不要信号の受信を防止するための可変同調フィルタをプリセレクタを使用している。
【0003】
下記特許文献1に開示される受信装置は、受信信号を用いて可変同調フィルタであるプリセレクタの自動校正を行う装置であり、プリセレクタの自動校正時に、周波数同調点を検索するためのサンプリング時間を任意に設定できるようにし、また、そのサンプリング時間内における最大レベルを求めるピーク検出手段を備え、周期的に少なくとも1つの最大レベル点が来るような受信信号に対して、その受信信号を基準としプリセレクタの自動校正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2849787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年ではスペクトラムアナライザに入力する被測定信号として広い周波数範囲(例えば0.5GHz〜26.5GHz程度)の信号を使用することが多くなっている。そのため、プリセレクタとして高い周波数選択性と広い周波数同調範囲という利点を有するYIG(Yttrium Iron Garnet )同調フィルタを使用している。しかしながら、YIG同調フィルタは、周波数ドリフトや同調ヒステリシス等の要因によりフィルタ通過帯域の中心周波数を対象の周波数に正確に設定して維持するのが困難である。
【0006】
従って、広帯域の被測定信号にも対応し得るように中心周波数の校正が必要であるが、特許文献1に開示される装置では狭帯域の被測定信号における校正用としての機能を、広帯域の被測定信号による校正には不十分であった。
【0007】
また、プリセレクタにおける中心周波数の校正に加えて振幅レベルの校正も望まれているが、特許文献1の装置で受信する校正用の基準信号となる受信信号はその振幅レベルが不確かであるため、この信号を基準信号としてレベル調整を行うことができなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、YIG同調フィルタにおける中心周波数と振幅レベルの校正を正確に行うことのできるフィルタ校正装置及び校正方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたフィルタ校正装置は、通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14の校正を行うフィルタ校正装置1であって、
前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力する雑音発生器19と、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記雑音発生器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得する周波数情報取得部16と、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御する制御部20と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載のフィルタ校正装置は、通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14の校正を行うフィルタ校正装置1であって、
前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力する局部発振器18と、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記局部発振器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得する周波数情報取得部16と、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御する制御部20と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載のフィルタ校正方法は、通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14の校正を行うフィルタ校正方法であって、
雑音発生器19から前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力するステップと、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記雑音発生器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得するステップと、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載のフィルタ校正方法は、通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14の校正を行うフィルタ校正方法であって、
局部発振器18から前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力するステップと、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記局部発振器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得するステップと、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御するステップと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフィルタ校正装置によれば、磁気特性を有するYIG同調フィルタ特有の現象である周波数ドリフトや同調ヒステリシスによって変化する中心周波数を正確に校正することができる。
【0014】
また、雑音発生器から発生されるホワイトノイズを校正用信号として用いることにより、中心周波数の調整制御に加え使用する校正用信号の振幅レベルを基準として可変同調フィルタ部のレベル調整を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るフィルタ校正装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】(a)、(b) 周波数情報取得部の具体的な構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0017】
まず、図1を参照しながら、本発明に係るフィルタ校正装置1の構成について説明する。
図1に示すように、本例のフィルタ校正装置1は、受信部(入力端子)11と、減衰器12と、第1増幅器13と、可変同調フィルタ部14と、第2増幅器15と、周波数情報取得部16と、信号混合器17と、局部発振器18と、雑音発生器19と、制御部20とを備え、オペレータによる操作パネルや設定キー等の設定入力手段(不図示)の操作に基づき選択された動作モード(周波数情報取得部16により被測定信号の信号解析を行う「測定モード」、又は校正用信号に基づき可変同調フィルタ部14の中心周波数や振幅レベルの校正を行う「校正モード」)に基づく処理を行っている。
【0018】
また、フィルタ校正装置1は、測定モード時における減衰器12と第1増幅器13との間又は減衰器12とスルーライン23との間の伝送線路の切り替えや校正モード時における雑音発生器19とスルーライン23との間の接続を切り替える第1切替手段21と、測定モード時における第1増幅器13と可変同調フィルタ部14との間又はスルーライン23と可変同調フィルタ部14との間の伝送線路の切り替えや校正モード時におけるスルーライン23と可変同調フィルタ部14との間又は局部発振器18と可変同調フィルタ部14との間の伝送線路の接続を切り替える第2切替手段22とを備えている。
【0019】
減衰器12は、受信部11で受信した所定の周波数帯域を有する被測定信号(RF信号)が後段の処理で飽和しないように適切な信号レベルまで減衰させ出力している。
【0020】
第1切替手段21は、動作モードや測定条件に応じて各部を接続する伝送線路を切り替える切替スイッチである。第1切替手段21は、制御部20の制御に基づき、測定モード時において減衰器12で減衰された被測定信号を第1増幅器13へ入力するための伝送線路又は第1増幅器13を介さずスルーライン23を経由して減衰器12からの被測定信号を直接可変同調フィルタ部14に入力するための伝送線路を切り替えている。また、第1切替手段21は、制御部20の制御に基づき、校正モード時における雑音発生器19と可変同調フィルタ部14との間の伝送線路を接続している。
【0021】
第1増幅器13は、第1切替手段21により減衰器12との間の伝送線路が接続されたとき、減衰器12からの被測定信号を所定倍率増幅した後、可変同調フィルタ部14に出力している。
【0022】
第2切替手段22は、動作モードや測定条件に応じて各部を接続する伝送線路を切り替える切替スイッチである。第2切替手段22は、制御部20の制御に基づき、測定モード時において第1増幅器13で増幅された被測定信号を可変同調フィルタ部14に入力するための伝送線路又はスルーライン23を経由した減衰器12からの被測定信号を可変同調フィルタ部14に入力するための伝送線路を切り替えている。また、第2切替手段22は、制御部20の制御に基づき、校正モード時においてスルーライン23を経由して雑音発生器19からの校正用信号を可変同調フィルタ部14に入力するための伝送線路又は局部発振器18からの校正用信号を可変同調フィルタ部14に入力するための伝送線路を切り替えている。
【0023】
可変同調フィルタ部14は、目的外の妨害入力信号を除去して目的の周波数の信号のみを通過させるバンドパスフィルタとして、制御部20により磁場を発生する電磁コイルの電流を制御して同調周波数を可変するYIG(Yttrium Iron Garnet )同調フィルタである。可変同調フィルタ部14は、選択された動作モードや測定条件に応じて接続先が切り替えられた伝送線路からの被測定信号(又は校正用信号)を入力し、予め設定された中心周波数から特定の周波数帯域の信号のみを通過させ第2増幅器15に出力している。また、可変同調フィルタ部14は、制御部20により調整制御された電圧制御信号に応じた電流が上記電磁コイルに通電されることで中心周波数や振幅レベルが制御されている。
【0024】
第2増幅器15は、可変同調フィルタ部14からの被測定信号(又は校正用信号)を所定倍率増幅した後、周波数情報取得部16に出力している。
【0025】
周波数情報取得部16は、第2増幅器15からの信号を分析し解析する装置であり、その構成例としては図2(a)に示すような第2増幅器15から入力される被測定信号を直接入力して信号解析を行ってスペクトラムを表示する信号解析装置16a(スペクトラムアナライザ)、図2(b)に示すように信号混合器17からのミキサ出力信号から所定の中間周波数成分(中間周波信号)のみを通過させる帯域通過フィルタである中間周波処理部16bを介して信号解析を行うFFTアナライザ等の周波数解析装置16cが挙げられる。
周波数情報取得部16は、測定モード時に第2増幅器15からの被測定信号に関する周波数情報(中心周波数、振幅レベル等の周波数成分に関する情報)の解析を行っている。また、周波数情報取得部16は、校正モード時に第2増幅器15からの校正用信号を解析して周波数情報を取得し、取得した周波数情報を制御部20に出力している。
【0026】
信号混合器17は、周波数情報取得部16が図2(b)に示す構成の場合に使用され、制御部20の制御に基づき、第2増幅器15からの被測定信号(又は校正用信号)と局部発振器18から出力される局部発振信号(ローカル信号)とを入力して混合したミキサ出力信号を周波数情報取得部16に出力する。
なお、局部発振信号の周波数成分は、フィルタ校正装置1の装置構成や測定条件に基づき予め設定された周波数成分の信号を出力している。
【0027】
局部発振器18は、制御部20の制御に基づき、測定モード時に発振周波数が所定範囲で掃引可能な局部発振信号を信号混合器17に出力している。また、局部発振器18は、制御部20の制御に基づき、校正モード時に予め設定された局部発振信号を校正用信号として可変同調フィルタ部14に出力している。
なお、校正モード時に局部発振器18から出力される校正用信号の中心周波数は、少なくとも可変同調フィルタ部14で設定される中心周波数を含む信号が出力されるよう制御されている。
【0028】
雑音発生器19は、全ての周波数帯域においてレベルが周波数に対して平坦な雑音信号(所謂、ホワイトノイズ)を発生する装置である。雑音発生器19は、校正モードが選択されると、制御部20の制御に基づき所定レベルの雑音信号を校正用信号として出力する。
なお、雑音発生器19から出力される校正用信号は、少なくとも可変同調フィルタ部14で設定される中心周波数を含む信号が出力されるよう制御されている。
【0029】
制御部20は、例えばCPUやROM、RAMなどのマイクロコンピュータで構成され、フィルタ校正装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。また、制御部20は、オペレータにより選択される動作モード(測定モード又は校正モード)や機器構成の仕様に応じた適切な伝送線路を形成するように第1及び第2切替手段21、22の切替制御を行っている。
【0030】
さらに、制御部20は、周波数情報取得部16からの周波数情報の偏差量を求める際の基準となる校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として予め記憶している。また、制御部20は、校正モード時に雑音発生器19又は局部発振器18から出力した校正用信号の周波数情報を周波数情報取得部16から取得し、この取得した周波数情報と基準周波数情報との比較により偏差量を算出する比較手段を備え、算出した偏差量を相殺するように可変同調フィルタ部14の中心周波数や振幅レベルを調整制御している。すなわち、制御部20は、比較手段の判別結果により周波数情報と基準周波数情報との間に偏差量が生じている場合、その算出した偏差量に応じた電圧制御信号を可変同調フィルタ部14へ出力して当該フィルタ部に通電される電流量を調整制御している。これにより、可変同調フィルタ部14の中心周波数や振幅レベルが校正される。
【0031】
ここで、校正モード時における可変同調フィルタ部14の校正処理について説明する。可変同調フィルタ部14の校正方法としては、校正用信号として雑音発生器19からの雑音信号を用いる方法と、局部発振器18からの局部発振信号を用いる方法がある。
雑音発生器19からの雑音信号を校正用信号として使用する構成の場合、制御部20は、まず雑音発生器19からの校正用信号が周波数情報取得部16に入力するように第1及び第2切替手段21、22の切り替え制御を行う。次に、周波数情報取得部16によって雑音発生器19からの校正用信号の周波数情報が解析されると、その解析された周波数情報と予め記憶する基準周波数情報とを比較してその偏差量を算出する。そして、得られた偏差量に基づき可変同調フィルタ部14へ電圧制御信号を出力して通電される電流量を調整制御し、可変同調フィルタ部14の校正を行っている。
局部発振器18からの局部発振信号を校正用信号として使用する構成の場合、制御部20は、まず局部発振器18からの校正用信号が周波数情報取得部16に入力するよう第2切替手段22の切り替え制御を行う。次に、周波数情報取得部16によって局部発振器18からの校正用信号の周波数情報が解析されると、その解析された周波数情報と予め記憶する基準周波数情報とを比較してその偏差量を算出する。そして、得られた偏差量に基づき可変同調フィルタ部14へ電圧制御信号を出力して通電される電流量を調整制御し、可変同調フィルタ部14の校正を行っている。
【0032】
次に、上述したフィルタ校正装置1の処理動作について説明する。ここでは、選択される動作モード毎の処理動作についてそれぞれ説明する。なお、以下の説明では、図2(a)に示す信号解析装置を周波数情報取得部16とした構成の際の処理動作例である。
【0033】
(測定モード時の処理)
測定モード時の処理動作としては、まずオペレータが測定モードを選択設定し、入力する被測定信号や装置仕様に応じて第1及び第2切替部の切替制御を行う。次に、受信部で被測定信号を入力し、この被測定信号を減衰器12から第1増幅器13へ、第1増幅器13から可変同調フィルタ部14へ(又は減衰器12からの被測定信号をスルーライン23を介して直接可変同調フィルタ部14へ)、可変同調フィルタ部14から第2増幅器15へ、第2増幅器15から周波数情報取得部16へと順次出力する、そして、周波数情報取得部16において被測定信号の解析を行って周波数情報を取得する。
【0034】
(校正モード時の処理)
<雑音発生器による校正>
雑音発生器19からの雑音信号を校正用信号として使用する場合、まずオペレータが校正モードを選択設定し、雑音発生器19からの校正用信号が周波数情報取得部16に入力するように第1及び第2切替手段21、22の切り替え制御を行う。
【0035】
次に、周波数情報取得部16によって雑音発生器19からの校正用信号の周波数情報を解析し、制御部20に出力する。制御部20は、取得した周波数情報と予め記憶する基準周波数情報とを比較してその偏差量を算出し、得られた偏差量に基づき可変同調フィルタ部14へ電圧制御信号を出力して通電される電流量を調整制御して可変同調フィルタ部14の校正を行う。
【0036】
<局部発振器による校正>
局部発振器18からの局部発振信号を校正用信号として使用する場合、まずオペレータが校正モードを選択設定し、局部発振器18からの校正用信号が周波数情報取得部16に入力するように第2切替手段22の切り替え制御を行う。
【0037】
次に、周波数情報取得部16によって局部発振器18からの校正用信号の周波数情報を解析し、制御部20に出力する。制御部20は、取得した周波数情報と予め記憶する基準周波数情報とを比較してその偏差量を算出し、得られた偏差量に基づき可変同調フィルタ部14へ電圧制御信号を出力して通電される電流量を調整制御して可変同調フィルタ部14の校正を行う。
【0038】
以上説明したように、上述したフィルタ校正装置1は、校正モード時に第1切替手段21、第2切替手段22を切替制御して、雑音発生器19又は局部発振器18からの校正用信号をYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部14を介して周波数情報取得部16に入力し、校正用信号の周波数情報を取得する。そして、制御部20において取得した周波数情報と予め記憶された基本周波数情報とを比較してその偏差量を算出し、算出した偏差量に応じて可変同調フィルタ部14へ電圧制御信号を出力して通電される電流量を調整制御している。
【0039】
これにより、磁気特性を有するYIG同調フィルタ特有の現象である周波数ドリフトや同調ヒステリシスによって変化する中心周波数や振幅レベルを正確に校正することができる。また、雑音発生器19から発生される全ての周波数帯域においてレベルが周波数に対して平坦なホワイトノイズを校正用信号として用いることにより、この校正用信号の振幅レベルを基準として可変同調フィルタ部14のレベル調整を正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1…フィルタ校正装置
11…受信部(入力端子)
12…減衰器
13…第1増幅器
14…可変同調フィルタ部
15…第2増幅器
16…周波数情報取得部
17…信号混合器
18…局部発振器
19…雑音発生器
20…制御部
21…第1切替手段
22…第2切替手段
23…スルーライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部(14)の校正を行うフィルタ校正装置(1)であって、
前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力する雑音発生器(19)と、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記雑音発生器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得する周波数情報取得部(16)と、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御する制御部(20)と、
を備えたことを特徴とするフィルタ校正装置。
【請求項2】
通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部(14)の校正を行うフィルタ校正装置(1)であって、
前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力する局部発振器(18)と、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記局部発振器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得する周波数情報取得部(16)と、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御する制御部(20)と、
を備えたことを特徴とするフィルタ校正装置。
【請求項3】
通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部(14)の校正を行うフィルタ校正方法であって、
雑音発生器(19)から前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力するステップと、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記雑音発生器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得するステップと、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御するステップと、
を含むことを特徴とするフィルタ校正方法。
【請求項4】
通過帯域中心周波数が調整可能であり、入力する信号の周波数帯域を制限して選択的に通過させるYIG同調フィルタからなる可変同調フィルタ部(14)の校正を行うフィルタ校正方法であって、
局部発振器(18)から前記可変同調フィルタ部の中心周波数を含む校正用信号を出力するステップと、
前記可変同調フィルタ部を通過して入力した前記局部発振器からの前記校正用信号を解析して周波数情報を取得するステップと、
前記校正用信号の周波数情報を基準周波数情報として前記周波数情報取得部で取得した周波数情報と比較してその偏差量を算出し、算出された偏差量を相殺するように前記可変同調フィルタ部の中心周波数を調整制御するステップと、
を含むことを特徴とするフィルタ校正方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−202760(P2012−202760A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66200(P2011−66200)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)