説明

フィルタ用真空清掃ブラシ

【課題】折り目付エアフィルタの複数の折り目に跨って適切な清掃が容易に実行できるフィルタ用真空清掃ブラシを提供する。
【解決手段】折り目付のフィルタ2にブラシ掛けと真空吸引を行うためのフィルタ真空清掃ブラシ1は、真空吸引装置3に接続され得て、折り目4のピッチPの複数倍以上の幅を持つ吸引開口を持つブラシヘッド6と、吸引開口を囲んで配置されて吸引開口に垂直な方向にそれぞれ出退移動できる複数のブラシ7と、ブラシ7を吸引開口に対して解除可能に固定する固定機構8とを備えている。
【効果】折り目付エアフィルタの複数の折り目に跨って適切な清掃が容易に実行できるフィルタ用真空清掃ブラシが提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィルタ用真空清掃ブラシに関し、特に折り曲げられて折り目を持つフィルタにブラシ掛けと真空吸引とを同時に行うことのできるフィルタ用真空清掃ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の真空清掃ブラシとしては、ルームエアコン熱交換器に付着した汚れや埃を家庭用電気掃除機または水道水を利用して除去するために、中空体よりなる本体に握り部、ブラシ支持体、ブラシ部、電気掃除機ホース接合部およびアダプター接合部を設け、本体と接合して使用するアダプターに本体接合部と水道ホース接合部を設け、また、ブラシ部に長毛部と短毛部を設けたルームエアコン熱交換器掃除具が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、清掃具本体が入り込めない空気調和機の狭い機構部分の清掃もできるようにするために、両端が開口したノズル状の清掃具本体と、この本体の一方の端部である根元部に設けられた電気掃除機ホース接合部と、本体の他方の端部である先端部に設けられ、内部がダクトとなる中空体であり、先端から少なくとも所定長さは直線に近い形状のブラシ支持体と、このブラシ支持体の先端に設けられ、ダクトに対して吸い込み方向が垂直方向となる吸い込み口部と、ブラシ支持体の吸い込み口部前方に吸い込み方向と平行に設けられた洗浄用のブラシとを備えた空気調和機の清掃具も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−225919号公報
【特許文献2】特開2002−65526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているルームエアコン熱交換器掃除具においては、中空体よりなる本体に握り部、ブラシ支持体、ブラシ部、電気掃除機ホース接合部およびアダプター接合部を設け、本体と接合して使用するアダプターに本体接合部と水道ホース接合部を設け、また、ブラシ部に長毛部と短毛部を設けてあり、熱交換器のフィンの細かい襞の奥にまで水洗いしながらブラシの毛先を届かせるようにしてある。しかしながら、この掃除具は間隔が狭い熱交換器のフィンなどの清掃には有用であっても、空気調和機などの山と谷の折り目が付けられたエアフィルタの清掃のためには適切なものではない。また、この掃除具を折り目付のフィルタに用いる場合には、それぞれの折り目に沿って折り目毎に少なくとも1回は動かさねばならず、折り目のピッチが数センチメートルもあるような大きな山あるいは谷が設けられている場合には、一つの折り目について数回往復させねばならず、作業が困難であるばかりでなく、清掃が完全に行われないことさえある。
【0006】
特許文献2に記載されている空気調和機の清掃具は、ブラシ支持体の先端に設けられた吸い込み口部前方に吸い込み方向と平行に洗浄用のブラシを設けて、清掃具本体が入り込めないような狭い部分の清掃もできるようにしたものである。しかしながら、この清掃具の吸い込み口部は、狭い部分に届かせるために細くされていて、空気調和機の折り目つきエアフィルタの清掃のためには必ずしも最適なものではない。すなわち、ブラシを折り目に沿って折り目毎に少なくとも一回動かす必要があり、折り目のピッチが比較的大きな場合には一つの折り目について数回往復させねばならず、清掃作業が困難で不完全にしか行えないことさえある。
【0007】
従ってこの発明の目的は、折り目付エアフィルタの複数の折り目に跨って適切な清掃が容易に実行できるフィルタ用真空清掃ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、折り目付のフィルタにブラシ掛けおよび真空吸引を行うための真空清掃ブラシであって、真空吸引装置に接続され得て、折り目のピッチの複数倍以上の幅を持つ吸引開口を持つブラシヘッドと、上記ブラシヘッドに上記吸引開口を囲んで配置され、上記吸引開口に対して垂直な方向に互いに独立して出退移動できる複数のブラシと、上記ブラシを上記吸引開口に対して解除可能に固定する固定機構とを備えたことを特徴とするフィルタ用真空清掃ブラシが得られる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、折り目付エアフィルタの複数の折り目に跨って適切な清掃が容易に実行できるフィルタ用真空清掃ブラシが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のフィルタ用真空清掃ブラシの一実施の形態を清掃すべき折り目付フィルタと共に示す概略斜視図である。
【図2】図1のフィルタ用真空清掃ブラシの概略側面断面図である。
【図3】図1のフィルタ用真空清掃ブラシの概略平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1〜3において、この発明の一実施形態のフィルタ用真空清掃ブラシ1は、折り目付のフィルタ2にブラシ掛けおよび真空吸引を行うための真空清掃ブラシであって、真空吸引装置3に接続され得て、フィルタ2の折り目4のピッチpの複数倍以上の幅W(図3)を持つ吸引開口5を持つブラシヘッド6と、ブラシヘッド6に吸引開口5を囲んで設けられ、矢印Aで示すように吸引開口5に対して垂直な方向に互いに独立して出退移動できる複数のブラシ7と、ブラシ7を吸引開口5に対して解除可能に固定する固定機構8とを備えている。ブラシヘッド6の吸引開口5の幅Wは、フィルタ2のピッチpの大きさによらずに選択できるが、一方では、フィルタ2の複数の折り目4に跨って一度に清掃できるというこの発明の効果をより大きくするためにはピッチpの2倍から数倍とするのが望ましく、他方では、操作者が手で持ってブラシヘッド6をフィルタ2に沿って移動させる作業を容易にするためにはブラシヘッド6はできるだけ小さく軽量にするために、吸引開口5の幅Wのピッチpに対する比にも制限がある。図示の例では吸引開口5の幅Wは、折り目4のピッチpに対して約4倍(W/p=4)であり、折り目4の一つの山に対して4本のブラシ7が対応するようにしてある。
【0013】
ブラシヘッド6は、全体として下面が開いて内部に空洞9を持つ箱形の部材であって、ほぼ矩形の頂壁10と、頂壁10の長辺から直角に延びた前壁11および後壁12と、頂壁10の短辺から直角に延びた両側壁13とを備えている。頂壁10には真空吸引装置3に接続されて、ブラシヘッド6の空洞9に連通した接続パイプ14が設けられている。頂壁10にはまた、頂壁10の縁に沿って設けられた多数の貫通孔15と、貫通孔15の内側に前壁11および後壁12に対して平行な支持壁16とが設けられていて、ブラシ7がこの貫通孔15にそれぞれ挿入されていて、支持壁16に沿って配置されている。
【0014】
ブラシ7は、それぞれブラシヘッド6の貫通孔15に摺動可能に挿入され、支持壁16に対して摺動できるロッド状の軸17と、軸17の吸引開口5側の先端に取り付けられた毛材18とを備えている。軸17の頂壁10側には貫通孔15から抜け落ちるのを防ぐストッパ19が設けられている。同様のブラシ7はまた、両側壁13に沿った貫通孔15にも摺動可能に挿入されている。このようにブラシ7は、ブラシヘッド6に吸引開口5の周囲を殆ど隙間無く囲むように配置されていて、それぞれが互いに独立して吸引開口5に対して垂直な方向に摺動して出退移動できるようにされている。
【0015】
ブラシ7を吸引開口5に対して解除可能に固定する固定機構8は、ブラシヘッド6の前壁11とブラシ7の軸17との間に設けられ、ブラシ7の列に作用してブラシ7の軸17をブラシヘッド6の支持壁16に押圧する押圧部材20を備えている。この押圧部材20は、ブラシ7の軸17に押圧力を与えて軸17をブラシヘッド6の支持壁16との間に挟持してその間の摩擦により固定する固定位置と、支持壁16から離れてブラシ7の軸17への押圧力を除去する解除位置との間に選択的に移動可能である。押圧部材20は、ブラシ7の列全体に亘って延びたほぼ板状の部材であって、ブラシ7の軸17に接触する側に摩擦を大きくするためのゴム等の高摩擦層21が設けてある。
【0016】
固定機構8はまた、押圧部材20を固定位置および解除位置の間で移動させるレバー機構22を備えていて、レバー機構22は、押圧部材20に設けられたピン23と、前壁11のスリット24を貫通して延び、内端が押圧部材20のピン23に枢着され、外端がブラシヘッド6の外側に突出したレバー25と、前壁11に設けられてレバー25を吸引開口5に平行な面内で枢動できるように前壁11に枢着するピン26とを備えている。
【0017】
このようなフィルタ用真空清掃ブラシ1を用いて、例えば図1に示す折り目4付のフィルタ2を清掃する場合には、ブラシヘッド6の固定機構8のレバー機構22を操作して押圧部材20を解除位置にしてブラシ7がブラシヘッド6に対して自由に矢印Aの方向に移動できるようにし、清掃すべきフィルタ2にあてがう。ブラシ7は、それぞれフィルタ2の折り目4のピッチに従ってブラシヘッド6に対して摺動して進退した位置となる。この状態で固定機構8のレバー25の外端を操作して図3の倒した位置から立ち上がらせると、押圧部材20がブラシ7の軸17を押圧して支持壁16との間で摩擦力によってその位置で保持する。このように、押圧部材20を解除位置にしてブラシ7をフィルタ2に当てたとき、ブラシ7がフィルタ2の折り目4のピッチpに従ってブラシヘッド6に対して進退した位置となり、図1に示すような状態となる。この状態で真空吸引装置3によってブラシヘッド6の内側の空洞9を真空吸引しながら、フィルタ2の折り目4に沿ってブラシヘッド6を移動させれば、フィルタ2はブラシ7によって清掃され、その塵埃は同時に真空吸引され、フィルタ2の複数の折り目4に跨って適切な清掃が容易に実行できる。
【0018】
図1に示すものよりも大きなあるいは小さな折り目4を持つフィルタ2に清掃作業をする場合にも、押圧部材20を解除位置にしてブラシ7をフィルタ2に押し当てれば、ブラシ7はそのフィルタ2の折り目4に対応した進退位置となり、複数の折り目4を一度に清掃することができる。
【0019】
以上に図示して説明したフィルタ用真空清掃ブラシは単なる例であって様々な変形が可能であり、またそれぞれの具体例の特徴を全てあるいは選択的に組み合わせて用いることもできる。例えば、必要があれば、ブラシヘッド6の両側壁13に沿って配置されたブラシ7も同様に吸引開口5に対して垂直な方向(矢印A)に互いに独立して出退移動できるようにし、また吸引開口5に対して解除可能に固定することもできる。また、多数のブラシ7にばね等の偏倚手段によってブラシヘッド6から突出した位置に常時偏倚させておき、フィルタ2の折り目4により押されたブラシ7がばね作用力に抗して凹凸に応じて後退するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
この発明はフィルタ用真空清掃ブラシに利用できるものである。
【符号の説明】
【0021】
1 フィルタ用真空清掃ブラシ、2 フィルタ、3 真空吸引装置、4 折り目、5 吸引開口、6 ブラシヘッド、7 ブラシ、8 固定機構、9 空洞、10 頂壁、11 前壁、12 後壁、13 両側壁、14 接続パイプ、15 貫通孔、16 支持壁、17 軸、18 毛材、19 ストッパ、20 押圧部材、21 高摩擦層、22 レバー機構、23 ピン、24 スリット、25 レバー、26 ピン、p ピッチ、W 幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り目付のフィルタにブラシ掛けおよび真空吸引を行うための真空清掃ブラシであって、
真空吸引装置に接続され得て、折り目のピッチの複数倍以上の幅を持つ吸引開口を持つブラシヘッドと、
上記ブラシヘッドに上記吸引開口を囲んで配置され、上記吸引開口に対して垂直な方向に互いに独立して出退移動できる複数のブラシと、
上記ブラシを上記吸引開口に対して解除可能に固定する固定機構とを備えたことを特徴とするフィルタ用真空清掃ブラシ。
【請求項2】
上記ブラシが、上記ブラシヘッドに摺動可能に支持された軸と、上記軸に取り付けられた毛材とを備えており、
上記固定機構が、上記ブラシを上記ブラシヘッドとの間に押圧力を与えて摩擦により固定する固定位置、および上記ブラシへの押圧力を除去する解除位置に選択的に移動可能な押圧部材と、
上記押圧部材を上記固定位置および上記解除位置の間で移動させるレバー機構とを備えており、
上記押圧部材を上記解除位置にして上記ブラシを上記フィルタにあてたとき、上記ブラシが上記フィルタの折り目のピッチに従って上記ブラシヘッドに対して進退した位置となり得るようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ用真空清掃ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−156310(P2011−156310A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22719(P2010−22719)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】