Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
フィルタ用繊維、糸巻型フィルタ及び水処理方法
説明

フィルタ用繊維、糸巻型フィルタ及び水処理方法

【課題】比表面積が大きいフィルタ用繊維と、この繊維を巻回してなる糸巻型フィルタと、この糸巻型フィルタを用いた水処理方法とを提供する。
【解決手段】糸巻型フィルタ1は、水透過性の筒体2と、この筒体2の外周に巻回された繊維の巻回体層3とを備えている。巻回体層3は、ナノファイバー被覆繊維を複数本、撚りをかけて集束して繊維束としたものである。ナノファイバーは、カチオン交換基、アニオン交換基及びキレート基の少なくとも1種が付与されていることが好ましく、これにより糸巻型フィルタにイオン除去性能が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、水溶液、有機溶媒等の液体の処理に好適に用いられるフィルタ用繊維に関する。また、本発明は、このフィルタ用繊維を用いた糸巻型フィルタと、この糸巻型フィルタを用いた水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスなどで用いられる超純水の高純度化処理のためにプリーツ型イオン交換フィルタが広く用いられている。このプリーツ型イオン交換フィルタは、不織布あるいは多孔質膜などの平膜をプリーツ型にしたものである。
【0003】
プリーツ型イオン交換フィルタはプリーツの折り込み部分に流れが偏りやすく、上述のような極低濃度域では十分な除去率を得ることはできない。また、膜厚が薄いために破過が早く寿命が短い。除粒子の観点からも、上述の通り、長寿命、高除去性能化が課題となっている。イオン除去率を向上させるため、膜厚を厚くしたり、膜の細孔を小さくすると、透水性が犠牲となるという問題があった。
【0004】
液体の濾過処理に用いられる糸巻型フィルタとして、多数の孔が開いた筒体の外周にイオン交換繊維を巻回したものが周知である(例えば下記特許文献1,2)。
【0005】
繊維径がナノメーターオーダーである極細のナノファイバの製造方法として電界紡糸法(静電紡糸法)が公知である(下記特許文献3,4等)。
【特許文献1】特開昭63−315109
【特許文献2】特開平7−47242
【特許文献3】特開2007−92237
【特許文献4】特開2006−144138
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イオン交換繊維の単繊維をそのまま筒体に巻回したのでは、繊維の比表面積が小さく、十分な濾過性能を得ることができないことが多い。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、比表面積が大きいフィルタ用繊維と、この繊維を用いた糸巻型フィルタと、この糸巻型フィルタを用いた水処理方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のフィルタ用繊維は、流体を濾過するフィルタ用の繊維において、芯繊維と、該芯繊維を被覆するナノファイバとを有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のフィルタ用繊維は、請求項1において、該ナノファイバは電界紡糸ナノファイバであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のフィルタ用繊維は、請求項1又は2において、アニオン交換基、カチオン交換基、及びキレート基からなる群の少なくとも1種の官能基が前記ナノファイバに付与されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のフィルタ用繊維は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記芯及び/又はナノファイバはフッ素系高分子よりなることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の糸巻型フィルタは、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ用繊維を、透液性の筒壁を有した筒体の外周に巻回してなるものである。
【0013】
請求項6の糸巻型フィルタは、請求項5において、複数本の前記フィルタ用繊維又は該フィルタ用繊維とそれ以外の繊維とを撚りをかけて集束して繊維束を形成し、この繊維束を前記筒体に巻回したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の水処理方法は、請求項5又は6に記載の糸巻型フィルタに被処理水を透過させることにより処理水を得ることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8の水処理方法は、請求項7において、被処理水が金属イオン濃度0.05〜10ng/Lの超純水であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9の水処理方法は、請求項7又は8において、被処理水の温度が50〜100℃であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明(請求項1)のフィルタ用繊維は、芯繊維をナノファイバで被覆したものであり、繊維の比表面積が大きい。そのため、このフィルタ用繊維を筒体外周に巻回してなる本発明(請求項5)の糸巻型フィルタは、濾過性能に優れたものとなる。
【0018】
このナノファイバとしては電界紡糸ナノファイバが好適である(請求項2)。
【0019】
上記のナノファイバにアニオン交換基、カチオン交換基又はキレート基を付与することにより、糸巻型フィルタにイオン交換性能が付与される(請求項3)。
【0020】
芯繊維やナノファイバの素材としてはフッ素樹脂が好適である(請求項4)。
【0021】
繊維を筒体に巻回するに際しては、複数本の上記フィルタ用繊維を撚って繊維束とし、この繊維束を巻回するのが好ましい(請求項6)。この撚り繊維の繊維束には、繊維同士の間に微小な隙間が存在する。この隙間は、繊維束巻回体層の全体に均等に分布して存在するので、水が濾過層(繊維束巻回体層)の全体を満遍なく透過するようになり、十分に濾過流量を確保しつつ、水質の良い濾過水を得ることができるようになる。
【0022】
本発明の糸巻型フィルタは、超純水などの製造に用いるのに好適である(請求項7,8)。なお、近年、50℃以上の高温水を処理することが電子部品製造工程で必要とされることがある。芯繊維やナノファイバとして耐熱性の高い素材のものを用いることにより、このような高温水も十分に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。第1図は実施の形態に係る糸巻型フィルタの筒軸と垂直方向の断面図である。
【0024】
この糸巻型フィルタ1は、水透過性の筒体2と、この筒体2の外周に巻回されたナノファイバ被覆繊維の巻回体層3とを備えている。
【0025】
筒体2は円筒状であり、直径1〜100mm程度の小孔2aを開口率30〜99%、特に50〜80%程度となるように設けたものである。なお、筒体2を多孔質の金属又はセラミックス焼結体のように透水性材料にて構成し、小孔2aを省略してもよい。
【0026】
筒体2の内径は10〜100mm程度が好適であるが、これに限定されない。筒体2の肉厚は1〜10mm程度が好適であるが、これに限定されない。
【0027】
なお、筒体2の長手方向の両端にフランジを設けてもよい。
【0028】
繊維の巻回体層3の外周及び/又は内周にさらに別の濾材が巻回されてもよい。巻回体層3を取り巻くように外筒が配置され、この外筒が上記フランジに連結されてもよい。フランジや外筒を連結する場合、接着剤を使用すると、成分の溶出のおそれがあるので、これらを熱融着性材料にて構成し、熱融着によって接合するのが好ましい。熱融着性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、ポリウレタン、アクリルなどが例示されるが、これらに限定されない。
【0029】
[繊維及び繊維束の説明]
次に、巻回体層3を構成する繊維及び繊維束について説明する。
【0030】
巻回体層3は、芯繊維をナノファイバで被覆したフィルタ用繊維を複数本、撚りをかけて集束したものである。
【0031】
芯繊維としては、相当直径が0.005〜5mm特に0.05〜1mm程度の細い繊維が好適である。「相当直径」とは、(相当直径)=4×(断面積)/(断面の外周長さ)によって定義される。また、芯繊維として、複数本の繊維を集束したもの、あるいは単繊維を使用することができる。
【0032】
ナノファイバとしては、好ましくは相当直径1〜1000nm特に10〜800nmの著しく細い単繊維を用いる。このように著しく細い繊維は、比表面積が大きく、被処理水中の被分離物質の除去性能が高い。
【0033】
芯繊維にナノファイバを被覆するには、第3図のように、糸巻ロール20から芯繊維21を巻き出し、巻取ロール22に巻き取らせるようにし、芯繊維21の送行路の途中に金属等の導電材よりなる対向基板(ターゲット)23を配置し、芯繊維21を挟んで対向基板23と反対側にポリマードープ噴出用シリンダ24を配置し、電圧源25によってシリンダ24と対向基板23との間に高電圧(例えば10〜100kV、電圧勾配としては25〜1000kV/m)を印加しつつ、シリンダ24の先端のノズル24aからナノファイバ用樹脂を含んだポリマードープを芯繊維21に向けて噴出させるのが好適である。ノズル24aの口径は0.05〜5mm程度が好適である。
【0034】
シリンダ24と対向基板(ターゲット)23とは、固定設置されていてもよく、回転装置(図示略)によって、シリンダ24と対向基板23とが芯繊維21を挟んで反対位置を占めた位置関係を保ちながら芯繊維21の周囲を回転するように構成されてもよい。
【0035】
ナノファイバーの吹き付けは第4図〜第10図の装置によっても行うことができる。
【0036】
第4図は板状の対向基板23の代わりに、芯繊維が中心孔に挿通される環状のターゲット26を用いたものであり、その他の構成は第3図と同様である。このターゲット26は、この実施の形態では真円形のリング状の導電体であり、その中心孔の軸心位置に芯繊維21が通されている。
【0037】
第4図では、このターゲット26は固定設置されているが、第5図のように、このターゲット26をそれ自身の軸心回りに回転させてもよい。
【0038】
第6図のようにシリンダ24を2本又は3本以上配置してもよい。
【0039】
第7図のように、ノズル24a付近及びその近傍の芯繊維21を取り巻く金属等の導電体よりなる円筒形のカバー27を設けると共に、該カバー27とターゲット26との間に電圧源28によって電圧を印加し、この印加電圧による電場によってナノファイバーの吐出方向を制御してもよい。
【0040】
シリンダ24の代わりに、第8図に示すように回転式吐出装置29を用いてもよい。この回転式吐出装置29は、芯繊維21が挿通された中心孔を有する環形部材であり、該中心孔の外側底面に複数のノズル孔が設けられている。ポリマードープはこのノズル孔から芯繊維21に向って噴出される。ポリマードープは、吐出装置29内に設けられたポンプ(図示略)あるいは遠心力によって加圧される。吐出装置29は、その中心孔回りにモータ(図示略)によって回転駆動される。
【0041】
芯繊維が繊維本来の特性もしくは導電性液体の塗付などにより導電性を有している場合は、第9図のように吐出装置29と芯繊維21との間に電圧を印加してもよい。また、第10図のように、シリンダ24と芯繊維21との間に電圧を印加してもよい。電圧源25と芯繊維21とを導通させるには、導電性のローラ(図示略)と芯繊維21とを接触させると共に、このローラと電圧源25とを接続すればよい。
【0042】
第4図〜第10図のその他の構成は第3図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0043】
なお、第3図〜第10図に示す装置において、各電圧源25,28の正負を図示とは逆にしてもよい。
【0044】
ポリマードープの組成としては、フッ素樹脂10〜30wt%、ポリエーテル0〜10wt%、溶剤60〜90wt%が例示される。溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、フッ素系溶媒などが好適であるが、前記溶剤100体積部に対して水を10〜1000体積部混合した混合溶媒も好適である。
【0045】
ナノファイバの被覆量は、芯繊維に対し10〜1000wt%程度が好ましい。
【0046】
このナノファイバは、カチオン交換基、アニオン交換基及びキレート基の少なくとも1種が付与されていることが好ましく、これにより糸巻型フィルタにイオン除去性能が付与される。なお、芯繊維にも同様の官能基が付与されてもよい。
【0047】
芯繊維やナノファイバの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリエーテル、PTFE、CTFE、PFA、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリルニトリル、ポリエーテルニトリル、ポリビニルアルコールおよびこれらの共重合体などの素材が使用できるが、この限りではない。特に1種類の素材に限定されることはなく、必要に応じて種々の素材を選択できる。ただし、50℃以上の高温水の処理に用いるときには、フッ素系高分子が好適である。なお、フッ素系高分子にポリオレフィン、ポリエーテル等の他のポリマーを混合してもよい。
【0048】
ナノファイバあるいはさらに芯繊維にイオン交換能を与える場合、イオン交換基としては、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、カルボン酸基、水酸基、フェノール基、4級アンモニウム基、1〜3級アミン基、ピリジン基、アミド基、などがあるがこの限りではない。これらの官能基はH型、OH型だけでなく、Naなどの塩型であってもよい。本発明では、これらの官能基が少なくとも一種類以上導入された糸を使用してもよいし、それぞれ異なったイオン交換基が導入された糸を複数種用いて、異なる交換基をもつ複合フィルタとしてもよい。
【0049】
官能基の導入方法は単繊維の素材材質によって異なり、適当な導入方法を選択する。例えば、ポリスチレンの場合、硫酸溶液中にパラホルムアルデヒドを適量添加し、加熱架橋することで、スルホン酸基の導入が可能である。ポリビニルアルコールの場合は、水酸基に、トリアルコキシシラン基やトリクロロロシラン基、あるいはエポキシ基などを作用させることなどにより、官能基を導入することができる。材質によって直接官能基を導入できない場合は、まず、スチレンなどの反応性の高いモノマー(反応性モノマーと呼ぶ)を導入した上で、官能基を導入するといったような、2段階以上の導入操作を経て、目的とする官能基を導入しても良い。これらの反応性モノマーとしては、グリシジルメタクリレート、スチレン、クロロメチルスチレン、アクロレイン、ビニルピリジン、アクリロニトリルなどがあるが、この限りではない。官能基は、ナノファイバ化する前に導入されていてもよいが、繊維を集束する際に、イオン交換能を有する高分子や樹脂を溶解あるいは微粉砕したものを、塗布したり、混練したり、化学反応によって結合させることによって、イオン交換基を導入しても良い。官能基を導入したフッ素系高分子としては、市販のナフィオン(登録商標)などが例示される。
【0050】
この芯繊維にナノファイバを被覆した繊維を集束して繊維束を形成する場合、集束の本数は3〜3000本特に10〜1000本程度が好ましい。この単繊維は、撚りをかけて集束するが、その際の撚りはS撚り、Z撚りなどのいずれでもよい。撚りのターン数は3〜1000ターン/cm特に10〜100ターン/cm程度が好ましい。
【0051】
ナノファイバ被覆繊維のみを集束してもよく、ナノファイバ被覆繊維と他の繊維とを集束してもよい。他の繊維としては、上記の芯繊維が例示される。
【0052】
この繊維束を巻回して形成した巻回体層3の層厚は2〜100mm特に10〜50mm程度が好適である。この層厚が過度に小さいと、濾過性能が不足し、過大であると通水圧損が過度に高くなる。
【0053】
このように構成された糸巻型フィルタ1を用いて水処理を行う場合、被処理水は巻回体層3の外周面から巻回体層3を厚さ方向(第1図の求心方向)に透過し、小孔2aから筒体2内に流入し、濾過水として取り出される。ただし、被処理水を筒体2内に供給し、小孔2aから巻回層体3を厚さ方向(第1図の放射方向)に透過させ、巻回体層3の外周面から濾過水を流出させるようにしてもよい。
【0054】
本発明は、金属イオン濃度0.05〜10ng/Lの超純水を濾過処理し、金属イオン濃度を0.1ng/L以下程度にする場合に用いるのに好適である。
【0055】
第2図は、第1図の糸巻型フィルタ1を組み込んだフィルタカートリッジの一例を示す断面図である。
【0056】
このフィルタカートリッジ10は、被処理水の流入口11と濾過水の流出口12とを有したケーシング13内に、糸巻型フィルタ1を、筒軸方向が上下方向となるように配置したものである。
【0057】
糸巻型フィルタ1の下面には、筒体2の一端側を閉塞するエンドプレートを兼ねたフランジ4が設けられている。糸巻型フィルタ1の上端面にはフランジ5が設けられ、巻回体層3はこれらのフランジ4,5間において筒体2に巻回されている。筒体2の上端は、上方に延出し、その先端に連結用フランジ2bが設けられている。
【0058】
流出口12には、濾過水取出管14が連なっている。この取出管14の下端にフランジ14aが設けられ、上記筒体2のフランジ2bと連結されている。
【0059】
被処理水は、流入口11からケーシング13内に導入され、糸巻型フィルタ1の巻回体層3を求心方向に透過し、小孔2aから筒体2内に流入し、取出管14、流出口12を介して取り出される。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
市販のナフィオン(スルホン酸基導入ポリテトラフルオロエチレン)80重量部を水34重量部とメタノール45重量部(合計20重量部)の混合溶媒に溶解させ、さらにポリエチレンオキサイド1重量部を溶解させてナノファイバ製造用ポリマードープを調製した。
【0061】
このポリマードープを第3図のシリンダに供給し、芯繊維にナノファイバを被覆させた。芯繊維は、クレハ製PVDF繊維Seager Ace 0.4(繊維径100μm)である。その他の条件は次の通りである。
芯繊維の送り速度:2m/min
ノズル口径:300μm
ノズルからの噴出量:0.1mL/min
ノズルとターゲットとの距離:230mm
印加電圧:50kV
【0062】
これにより、芯繊維100重量部が300重量部のナノファイバで被覆された複合繊維(フィルタ用繊維)が製造された。この複合繊維の繊維径は200μmであった。
【0063】
このフィルタ繊維を40本、5ターン/cmにて撚りをかけながら集束し、直径2mmの繊維束とした。これを、外径40mmの有孔筒に巻き付けて糸巻型フィルタとした。巻きつけた後の糸巻型フィルタの直径は80mmであった。この糸巻型フィルタを用いて第2図に示すフィルタカートリッジを製作した。
【0064】
作製したフィルターカートリッジを5%の塩酸で十分に洗浄した後、超純水で塩酸を洗い流した。その後、被処理水の金属(Na,Mg,Al,K,Ca,Cr,Fe,Cu,Zn)濃度が10ng/Lになるように原子吸光用標準液を超純水に添加した常温の試験水20L/minで通水処理した。処理水中の金属濃度を測定した結果を表1に示す。測定はサンプリング水を濃縮してからICPMS(横河アナリティカルシステムズAgilent−4500)で分析することにより行った。
【0065】
[実施例2]
実施例1で使用したフィルターに80℃の上記試験水を上記通水速度で通水したところ、通水前後でTOC値は1.0μg/Lで変化無かった。表1の通り、通水2時間後の金属濃度は全て0.1ng/Lであった。
【0066】
[比較例1]
イオン交換不織布、ポリスルホン多孔質膜、ポリプロピレン不織布(流路材)を積層しプリーツ型フィルターを作製した。このプリーツ型フィルターに常温の上記試験水を上記通水速度で通水した。
【0067】
[比較例2]
比較例1で使用したフィルターに80℃の上記試験水を上記通水速度で通水したところ、通水前のTOC値1.0μg/Lが通水後に2.3μg/Lに上昇した。
【0068】
【表1】

【0069】
表1の通り、本発明によると、高温水であっても十分に金属イオンを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態に係る糸巻型フィルタの断面図である。
【図2】フィルタカートリッジの断面図である。
【図3】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図4】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図5】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図6】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図7】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図8】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図9】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【図10】ナノファイバ被覆繊維の製造方法を示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 糸巻型フィルタ
2 通水抵抗
2a 小孔
2b フランジ
3 巻回体
10 フィルタカートリッジ
21 芯線
23 対向電極
24 シリンダ
24a ノズル
26 ターゲット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を濾過するフィルタ用の繊維において、芯繊維と、該芯繊維を被覆するナノファイバとを有することを特徴とするフィルタ用繊維。
【請求項2】
請求項1において、該ナノファイバは電界紡糸ナノファイバであることを特徴とするフィルタ用繊維。
【請求項3】
請求項1又は2において、アニオン交換基、カチオン交換基、及びキレート基からなる群の少なくとも1種の官能基が前記ナノファイバに付与されていることを特徴とするフィルタ用繊維。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記芯繊維及び/又はナノファイバはフッ素系高分子よりなることを特徴とするフィルタ用繊維。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルタ用繊維を、透液性の筒壁を有した筒体の外周に巻回してなる糸巻型フィルタ。
【請求項6】
請求項5において、複数本の前記フィルタ用繊維又は該フィルタ用繊維とそれ以外の繊維とを撚りをかけて集束して繊維束を形成し、この繊維束を前記筒体に巻回したことを特徴とする糸巻型フィルタ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の糸巻型フィルタに被処理水を透過させることにより処理水を得ることを特徴とする水処理方法。
【請求項8】
請求項7において、被処理水が金属イオン濃度0.05〜10ng/Lの超純水であることを特徴とする水処理方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、被処理水の温度が50〜100℃であることを特徴とする水処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−219952(P2009−219952A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64396(P2008−64396)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】