説明

フィルタ装置

浄化すべき媒体の濾過を行い、またフィルタ装置内のフィルタ材料ないしはフィルタ部材の洗浄も容易に行われるフィルタ装置を提供するという課題を解決するために、本発明は、フィルタ装置を提案する。これは、少なくとも1つのフィルタ材料と少なくとも1つの跳ね返り部材とを含む少なくとも1つのフィルタ部材を備えるハウジングと、フィルタ材料上の濾過ケーキが洗浄媒体により除去されるため、フィルタ部材に対して垂直および/または角度をなして配向されている少なくとも1つのノズルを含む洗浄装置と、を備え、洗浄のために、洗浄媒体が少なくとも部分的にフィルタ材料を通過され、跳ね返り部材が洗浄媒体を少なくとも部分的に戻して再度フィルタ材料を通過させ、同時に濾過ケーキが少なくとも部分的に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体および/または気体状の媒体の浄化のためのフィルタ装置、ならびにこのフィルタ装置において使用可能であるフィルタ部材、また媒体の浄化方法および本発明に係るフィルタ装置に堆積する濾過ケーキの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体および/または気体状の媒体、ないしは粘度が高くオイル状の媒体を含む対応する複合物の浄化のためのフィルタ装置に関しては、多様な先行技術が公知である。先行技術より公知のフィルタ装置において問題となるのは、これに含まれるフィルタ部材に堆積する濾過ケーキ、ないしはそこにたまる汚れの除去である。このために、US 7,055,699 B2は自己洗浄式の機械式フィルタを提案しており、そこで開示されるフィルタ装置には相互に対向して配置されている吸引および洗浄ノズルを有する洗浄装置が内蔵されており、吸引ノズルは直接フィルタ部材に接しており、濾過ケーキの除去のために吸引ノズルおよび洗浄ノズルが軸方向および径方向に同時にフィルタ部材上で移動する。US 7,055,699 B2で開示されるフィルタ装置の洗浄は非常に手間がかかり、複雑な制御を要する。また、軸方向および径方向の動作により、機械的観点からみて複雑となり、そこで開示されるフィルタ装置はコストが比較的高くなってしまう。
【0003】
さらに、この種のフィルタ装置がWO 2006/008729 A1で開示されており、そこではフィルタ装置内のフィルタ部材上の濾過ケーキの除去ために、主にノズルを有する洗浄ヘッドが画定され、これはフィルタ部材に直接接しており、洗浄時に生じる圧力差によってフィルタ部材から濾過ケーキが吸引される。しかし、そこで開示されるフィルタ装置が問題なく作動するためには、常に洗浄装置の洗浄ヘッドをフィルタ部材に接するように案内しなくてはならず、これによりフィルタ装置の長期にわたる使用時にフィルタ部材ないしはその表面に生じるような軽度の凹凸の発生時には、もはや洗浄に必要な圧力差を十分に発生させることができなくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、フィルタ材料ないしはフィルタ部材が、装置の構造においてきわめて良好かつ容易に洗浄可能であり、さらに液体、気体またはいかなる種類の混合物であろうとも浄化される媒体を効率的に浄化するフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、少なくとも1つのフィルタ材料と少なくとも1つの跳ね返り部材とを含む少なくとも1つのフィルタ部材を備えるハウジングと、フィルタ材料上の濾過ケーキを洗浄媒体により除去するため、フィルタ部材に対して垂直および/または角度をなして配向されている少なくとも1つのノズルを含む洗浄装置とを備え、洗浄のために、洗浄媒体が少なくとも部分的にフィルタ材料を通過し、跳ね返り部材が洗浄媒体を少なくとも部分的に戻して再度フィルタ材料を通過させ、同時に濾過ケーキを少なくとも部分的に除去するフィルタによって解決される。好適には、1つのフィルタ部材に1つのノズルないしはノズルブロックが割り当てられている。
【0006】
本発明に係るフィルタ装置は、少なくとも1つの跳ね返り部材を備えるフィルタ部材の特殊な構造により、少なくとも1つのフィルタ部材上に堆積する濾過ケーキの除去が効率的に行われるという長所を有し、上述の先行技術により公知の吸引ノズルは設けられない。したがって、本発明に係るフィルタ装置は、同等の洗浄性能および同様な濾過ケーキ除去の効率を維持しつつも、大幅に低コストで製造可能である。洗浄媒体によって、フィルタ部材に対して垂直および/または角度をなす少なくとも1つのノズルを介して、フィルタ装置の構造全体を考慮しつつ浄化される媒体の特性に応じて個別かつ効率的に濾過ケーキの除去が実施可能である。特に少なくとも1つのノズルはその際、可動におよび/または個々に制御可能に構成されていることが可能である。好適には洗浄装置は、少なくとも1つのノズル列またはノズル領域を有する。このようなノズル列またはノズル領域の個々のノズルはそれぞれ可動に構成可能であり、また個別に制御可能であるが、固定のノズルとの組み合わせ、または固定のノズルのみの構造も可能である。ノズルがフィルタ部材に垂直に配置されている場合は、洗浄媒体は垂直にフィルタ部材の少なくとも1つのフィルタ材料に当たり、これを通過し、続いて洗浄媒体が跳ね返り部材の表面から、使用されるフィルタ材料およびその洗浄媒体の偏向ならびに跳ね返り部材に応じて約180°逆戻りし、その後洗浄媒体は再度フィルタ材料を通過して、濾過ケーキを少なくとも部分的に除去し、ないしは汚れをフィルタ部材から少なくとも部分的に洗い流す。
【0007】
別の実施形態では、ノズルは、フィルタ部材ないしはその表面に対して好適には約5〜85°の角度をなして配置されており、これにより洗浄媒体がその角度でフィルタ部材のフィルタ材料に当たり、フィルタ材料を通過し、続いて、使用されたフィルタ材料に応じて概ね跳ね返り角度に対応する角度で跳ね返り部材の表面から逆戻りする。このようにして戻された洗浄媒体は、再度フィルタ材料を通過し、フィルタ部材のフィルタ材料上、ないしはフィルタ材料内にある汚れないしは濾過ケーキを除去する。フィルタ部材の表面に対して角度をなすノズルの配置は、好適な実施形態において洗浄装置が可動に構成されており、これにより移動方向に洗浄媒体がフィルタ部材およびフィルタ材料に角度をなして向けられて、汚れないしは濾過ケーキによって汚れた洗浄媒体のフィルタ装置からの除去が容易になり、また迅速化される場合に特に好適である。
【0008】
別の実施形態では、洗浄装置はフィルタ部材の表面に対して垂直に配置されたノズル、または角度を有するノズルをも有することが可能であり、その際たとえばノズル列の形で構成される場合に、はじめに洗浄媒体を垂直にフィルタ部材に送るノズル列が設けられ、続いてフィルタ部材の表面に対して角度をなしており、特に可動の洗浄装置の場合は移動方向に洗浄媒体をフィルタ部材に送るノズル列が設けられることが可能である。当然、これと逆の構成も可能である。本発明に係り、洗浄装置内のノズルのすべての可能な配置また、フィルタ部材に対する調整も可能である。
【0009】
洗浄媒体には好適には圧力がかけられるが、好適には3barより大きい圧力が洗浄装置のノズルから加えられ、さらに好適には5barより大きい圧力が加えられる。これにより洗浄効果が高められ、洗浄工程が迅速化される。
【0010】
好適にはフィルタ装置のフィルタ部材は円筒形および/または平面状に構成されている。洗浄装置は、複数の、つまり少なくとも2つの円筒形および/または平面状に構成されたフィルタ部材を有することが可能である。平面状のフィルタ部材は特に1列または複数の列に配置可能であるのに対して、円筒形のフィルタ部材は好適には単体で、または2つ、3つまたは4つの組として上述の組の多数と共にフィルタ装置内に収容されることが可能である。好ましくは、円筒形に構成されるフィルタ部材には1つのノズルないしは1つのノズルブロックが割り当てられ、さらに好適にはフィルタ部材は可動に構成されている。本発明において平面状というのは、フィルタ部材がたとえば平坦な直方体として構成可能であることを指す。これは正方形でも長方形でもよい。しかし、本発明に係るフィルタ部材のその他の実施形態も可能である。
【0011】
跳ね返り部材としては、フィルタ部材の表面の一部分が使用されることが可能である。フィルタ装置のフィルタ部材の跳ね返り部材は、たとえば直方体、円筒形または球状等のあらゆる考え得るかつ状況に応じた形状に構成されることが可能である。跳ね返り部材はその際、浄化された濾過液を通過させるための開口部を有することが可能である。たとえば、フィルタ部材が簡単な枠組み構造に張られたフィルタ材料、たとえばフリースまたは網を有する場合にこのような構造が考えられ、その際このフィルタ材料の後に跳ね返り部材が薄板の形で配置されている。このような構造はたとえば球状にされることも可能であり、この場合は跳ね返り部材は、フィルタ材料により画定される球の内部、または外部に置かれ、フィルタ材料および跳ね返り部材の配置に応じてそれぞれ、浄化されるべき媒体の浄化が内側から外側へ向かって、ないしは外側から内側へ向かって行われる。フィルタ材料自体が十分な剛性および強度を有する場合は、フィルタ材料を支持するとともにこの形状を定める枠組み構造を省くことが可能である。これはたとえば、フィルタ材料として焼結金属体が使用される場合に考えられる。
【0012】
本発明に係り、複数の跳ね返り部材が、相互に隣に、前後に、または部分的に重なりあって設けられることが可能である。特に好適には、跳ね返り部材はフィルタハウジングにより構成されており、これは少なくとも1つのフィルタ材料によって少なくとも部分的に囲まれているか、ないしはフィルタ部材が少なくとも部分的に配置されている。フィルタハウジングは中空および/または非中空に構成可能である。フィルタハウジング自体は特に、浄化された濾過液を導くためこれの上部および/または下部領域に配置される出口と、フィルタ装置の内部で安定的に固定するためのフランジと、その他の必要な手段および部材とを有することが可能である。たとえば、跳ね返り部材は、平面状の中空ではないブロック、特に金属および/またはプラスチック材料から、または少なくとも部分的に中空である円筒形から構成可能であり、その際平面状のブロックまたは円筒形は一方の端部または両方の端部で、浄化された濾過液を出すために開いていることが可能である。ブロックないしは円筒形の表面または周面では、少なくともその部分領域にフィルタ材料が配置されている。さらに、ブロックないしは円筒形から形成されるフィルタハウジング内には、濾過液が内部へ入ることが可能である開口部が設けられており、上部ないしは下部領域に配置される出口より本発明によるフィルタ装置から排出される。
【0013】
特に好適には、跳ね返り部材の表面は、少なくとも部分的に構造化されて構成されている。跳ね返り部材の表面の構造化によって好適には、一方で容易かつ迅速に浄化された濾過液が排出され、特にフィルタ材料に設けられた開口部に向かって流出することが可能になる。さらに、フィルタ装置の洗浄時に圧力が加えられる洗浄媒体も様々な角度で戻される、ないしは散布され、これにより洗浄効果の向上が達成される。跳ね返り部材の表面の構造は、あらゆる考え得る構成を有することが可能であり、たとえば表面は、点または線を備える、またはたとえば波状に構成されていることも可能である。好適には表面は、跳ね返り部材の長手方向軸Lの方向に見て、相互に平行に延伸する少なくとも2つの凹部から形成される構造を有する。凹部の間には好適にはリブ状に構成される凸部が配置されている。凸部は線状に構成されている場合は、途中で途切れている部分を有することも可能であり、1つの凹部から隣接する凹部へ、浄化される媒体が至ることも可能である。断絶部は、隣接する凸部に対してずらされて、またはずらされずに配置可能である。特に一貫した線状のリブ状である凸部が、断絶的な凸部と交互に配置されるように、跳ね返り部材の表面に配置されることが可能である。フィルタ材料は凸部に当接しており、これにより凹部を介して濾過液が開口部へ導かれ排出されることが可能である。凹部は好適には溝として構成されており、これは跳ね返り部材の上部および/または下部領域の少し手前ないしはこれに接した位置で終端する。溝はその長さ全体にわたって均等の深さ、または異なる深さを有し、たとえば開口部に向かって傾斜していることが可能である。凹部では開口部、好適には各凹部につき少なくとも2つの開口部が設けられていることが可能である。
【0014】
別の好適な実施形態では、跳ね返り部材の表面構造は、長手方向軸Lに対して傾斜して延伸する少なくとも1つの凹部を有し、これも同様に、好適には溝として構成されている。この傾斜して延伸する凹部は、平行して延伸する凹部と組み合わされていることが可能である。その際凹部は好適には均等に、フィルタ材料により包囲される跳ね返り部材の表面全体にわたって構成されている。跳ね返り部材の一部のみがフィルタ材料で覆われている場合は、対応する構造はフィルタ材料が設けられている領域のみ必要である。
【0015】
フィルタハウジングの形での平面状およびブロック状の跳ね返り部材の構成では、好適には、長手方向軸Lに対して傾斜して配置される少なくとも1つの凹部は、これがフィルタハウジングの上部および/または下部領域の付近ないしはこの領域内で終端するように延伸する。同様に傾斜して延伸する凹部の反対側の端部は、平面状のブロック状のフィルタハウジングの側面で終端することが可能である。同様に、傾斜して延伸する凹部は、円筒形に構成されるフィルタに配置可能である。傾斜して延伸する凹部はこの時、直線状に構成可能であるが、たとえば四分円状に構成されることも可能である。しかし、少なくとも部分領域で傾斜して、すなわち長手方向軸Lに対して角度をなして延伸する、その他の凹部の構成も本発明に係り望ましいものである。傾斜して延伸する凹部が跳ね返り部材の上部および/または下部領域の付近、ないしはこの領域内で終端する場合は、跳ね返り部材の特殊な表面構造により濾過液が凹部によって開口部へ向かって輸送されるため、そこに浄化された濾過液が通過するための開口部が設けられていることが好ましい。開口部は、点状、円形、溝状またはその他の構成を有することが可能である。特に、開口部は跳ね返り部材の他の表面部分にわたって分散して、特に跳ね返り部材の表面の凹部内で配置されていることが可能である。
【0016】
跳ね返り部材の構成に応じて、これは片側の、または両側の側面で少なくとも部分的に構造化された表面を有することが可能である。跳ね返り部材の平面状のブロック構成、ないしは円筒形の構成、特にフィルタハウジングの一部としての構成では、円筒形に構成された跳ね返り部材では好適には表面全体に、また平面状のブロック状の跳ね返り部材では両側の側面に、フィルタ材料が接する領域で表面構造が設けられている。
【0017】
フィルタ材料は好適には、フリース、繊維、織物、糸および/または焼結金属体を含むグループから選択される。その際、フィルタ部材内に濾過勾配を生成するために、異なるフィルタ材料の組み合わせも設けられることが可能である。特に勾配推移を備える焼結金属体、織物構造が挿入されることも可能である焼結金属粉末および焼結金属繊維の混合物等から製造されるものが使用されることが可能である。本発明に係り特に好適であるのは、フィルタ材料として、1つまたは複数の微細な/薄い個々の繊維構造からなる糸が使用されることである。濾過および洗浄工程において糸が振動し、これにより濾過が補助され、また洗浄が、濾過ケーキが容易に除去されることによって補助されるためフィルタ材料として少なくとも1つは糸が利用される。糸は好適には織られて構成されており、これにより捕えられる汚染物質粒子が大幅に増える。好適には、糸のこれらの個々の繊維は約1mm以下の直径、好適には約0.5mm以下の直径、さらに好適には約0.01mm以下の直径を有する。糸またはその他のフィルタ材料も、好適には少なくとも2つ、さらに好適には2つより多くの層で使用される。これにより、高い洗浄効果で、浄化されるべき媒体の深層濾過が行われる。このようにして、濾過液が気体であっても液体であっても純度の高い濾過液が保持される。本発明に係る洗浄装置は、エッジ方法と深層濾過フィルタの作動方法とを組み合わせている。
【0018】
好適には洗浄装置はスライド状に構成されている。洗浄装置は、好適にはノズルブロックに配置されている少なくとも1つのノズルを備える。このノズルブロックには複数のノズルが、特にノズル列で、またはノズル領域として配置可能である。洗浄装置のスライド式の構成は、特にフィルタ装置用のフィルタ部材の平面状の構成の際に有意義である。他には、ノズルが配置される円筒形に構成されたノズルブロックを洗浄装置が含むことも可能である。洗浄装置は好適には油圧式、電気式または機械的に、ないしはたとえばウォームギヤのような歯車装置を介して駆動されることが可能である。あるいは、洗浄装置が固定的に構成されており、フィルタ材料が移動するよう構成されていることも可能である。これは、フィルタ部材が円筒形に構成されている際に特に好ましい。好適にはハウジング内に個別に収容されるフィルタ部材にそれぞれ少なくとも1つのノズルが割り当てられている。これにより、洗浄性能がさらに向上される。この時、平面状のフィルタ部材ではフィルタ材料が設けられている側にそれぞれ、特にノズル列を備えるノズルブロックが割り当てられていることが望ましい。もしくは、ノズルブロックは、複数の列で隣り合って配置される、またはその他の配置のフィルタ部材の場合、複数のノズル部材を同時に洗浄する複数の異なる方向を向いたノズルを有することが可能である。両側にフィルタ材料が配置される平面状のフィルタ部材の場合は、フィルタ材料の長手方向全体にわたって延伸する対向するノズルブロックが、1つまたは複数のフィルタ部材に、特に複数の列に配置されるフィルタ材料の場合は割り当てられており、濾過ケーキないしは汚れの除去のためにフィルタ部材の洗浄時に、1つまたは複数のフィルタ部材の表面全体にわたって移動させられることが可能である。また、少なくとも2つのフィルタ部材に少なくとも1つのノズルが割り当てられることも可能である。これは、ノズルブロックが少なくとも1つのノズルと回転可能に構成されている場合、特に円筒形のフィルタ部材またはフィルタ部材自体が回転可能に構成されている場合に考えられる。
【0019】
フィルタ部材が円筒形に構成されている場合は、好適にはフィルタ部材は可動であり、洗浄装置はノズルが配置される円筒形のノズルブロックとして固定している。この時ノズルは可動に構成されていることも可能である。たとえば4つのフィルタ部材が1つのグループで正方形の基本面上に共に配置されていると、これらの間の中央に円筒形に構成されたノズルブロックが配置可能であり、これは4つのフィルタ部材それぞれに向けられて、それぞれ1つのノズル列を有する。たとえば固定式の円筒形のノズルブロックの場合に、たとえば歯車、特に出口領域に配置されるウォームギヤを介して、または圧縮空気もしくは油圧によってフィルタ部材を回転させることにより、円筒形に構成されたフィルタ部材のフィルタ材料の表面全体の洗浄が達成される。しかし、ノズルブロックは、ノズル列を1つのみ有し、回転可能に構成されていることも可能である。
【0020】
円筒形または平面状に構成されるフィルタ部材内の少なくとも1つの開口部が、フィルタ材料で覆われる領域の表面の各箇所に配置可能であり、特にフィルタ材料で覆われた跳ね返り部材の上部および/または下部領域にも配置可能である。開口部は、たとえば円形のまたは多角形状の開口部断面で、溝状で等、あらゆる形で構成されることが可能である。
【0021】
本発明はさらに、少なくとも1つの跳ね返り部材と、少なくとも1つのフィルタ材料とを備えるフィルタ部材に関し、跳ね返り部材は少なくとも部分的に構造化された表面を有する。また、本発明に係るフィルタ部材は、特に表面構造に関しては、上述の好適な構成を有する。
【0022】
さらに、本発明は、特に産業設備における特に気体および/または液体媒体の洗浄方法に関し、浄化されるべき媒体は少なくとも部分的に、跳ね返り部材における少なくとも部分的に構造化された表面を有する少なくとも1つの本発明に係るフィルタ部材により浄化される。
【0023】
最後に、本発明はフィルタ装置において、少なくとも1つのフィルタ材料と少なくとも1つの跳ね返り部材とを備える少なくとも1つのフィルタ部材上に堆積した濾過ケーキ、ないしはこれに捕えられた汚れを除去するための方法に関し、洗浄媒体が、洗浄装置の少なくとも1つのノズルを介して、跳ね返り部材の表面に対して垂直および/または角度をなしてフィルタ部材に向けられ、洗浄媒体は少なくとも1つのフィルタ材料を通過し、跳ね返り部材で少なくとも部分的に戻され、再度フィルタ材料を通過する際に濾過ケーキを少なくとも部分的に除去する。フィルタ部材に堆積する濾過ケーキおよび/または汚れという概念は、本発明では同意語として用いられる。
【0024】
好適には洗浄装置は洗浄媒体の排出の際に動かされる。別の実施形態では、洗浄媒体の排出の際に少なくとも1つのフィルタ部材が動かされる。しかし、これら2つの実施形態の組み合わせも可能である。その際、洗浄媒体は液体および/または気体状の媒体であり、特に液体または気体の混合物、または液体と気体状媒体の混合物であることが可能である。洗浄媒体は、浄化されるべき媒体の特性に応じて選択される。これはたとえば水、圧縮空気、酸素、アンモニア、脂肪族炭化水素または炭化水素混合物、ガソリンまたは類似のものであることが可能である。予洗浄および後洗浄媒体もまた特性に応じて選択される。フィルタ装置による気体状の混合物の浄化の場合は、好適には液体の洗浄媒体が使用され、これがフィルタ材料からの濾過ケーキ/汚れを洗い流す。本発明に係るフィルタ装置による液体状媒体の濾過の場合は、好適には浄化された媒体自体が洗浄媒体として使用される。
【0025】
好適には洗浄媒体の供給前に予洗浄媒体によってフィルタ装置のハウジング内にある残りの浄化されるべき媒体が洗い流される。予洗浄媒体は、好適にはフィルタ装置の個別の通路を介して供給され、洗浄媒体がフィルタ装置から流出する出口から排出されることが可能である。特に好適には、圧力が加えられてフィルタ装置へ入れられることも可能であり、その際好適には入口にバルブが設けられており、これにより供給される予洗浄媒体の圧力が正確に制御可能である。同様のバルブは洗浄媒体の入口にも設けられることが可能であるが、同様に圧力が加えられて本発明に係るフィルタ装置に供給される浄化されるべき媒体の入口にも設けられることが可能である。同じように、浄化された濾過液および/または洗浄媒体ないしは予洗浄媒体用の出口にも、好適には制御可能であるバルブが備えられることが可能である。しかし、たとえばボールバルブまたは類似の構造のようなその他の各種閉鎖手段も考えられる。予洗浄媒体を供給する追加的なステップにより、好適にはこれ以後の洗浄媒体による洗浄が時間的に短縮される。さらに、好適には洗浄媒体による洗浄後に、後洗浄媒体によりフィルタ装置のハウジング内にまだ残留している洗浄媒体が流されることが可能である。その供給は、予洗浄媒体の供給と類似の方法で実施可能であるが、追加の供給部が設けられることも可能である。予洗浄および/または後洗浄媒体は液体または気体状、好適には気体状に構成可能であり、その際異なる気体の混合物であることも可能である。
【0026】
好ましい方向に向けられたフィルタ材料の糸状のフィルタ材料、またはその他のフィルタ材料の使用の際には、洗浄媒体はフィルタ材料の巻き方向に平行にないしは優先方向に送り込まれる。これにより、本発明に係るフィルタ装置の高度に効率的な洗浄が行われる。
【0027】
好適には洗浄媒体の跳ね返り効果および/または排出は、跳ね返り部材の表面の構造化により向上される。このためには上述の実施形態が参照される。跳ね返り部材の構造化された表面は、浄化された濾過液の容易かつ迅速な流出のみならず、洗浄媒体および/または予洗浄媒体の容易かつ迅速な流出も可能にする。
【0028】
本発明の上述のまたその他の長所を添付の図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】図1aは、本発明に係るフィルタ装置の斜視図である。
【図1b】図1bは、図1aのフィルタ装置の上部側の側面図であり、部分的に断面図を示している。
【図2】図2は、図1aのフィルタ装置を部分的に分解した斜視図である。
【図3】図3は、図1aのフィルタ装置をさらに分解した斜視図である。
【図4】図4は、フィルタ材料を含まない本発明に係るフィルタ部材の斜視図である。
【図5】図5は、フィルタ材料を備える本発明に係るフィルタ部材の部分的に分解した斜視図である。
【図6a】図6aは、図1aのフィルタ装置の洗浄初期位置における部分的に分解した斜視図である。
【図6b】図6bは、図6aのフィルタ装置の部分的に分解した上部側の図である。
【図7】図7は、図1aの洗浄装置の中央洗浄位置における部分的に分解した図である。
【図8】図8は、図1aの洗浄装置の最終洗浄位置における部分的に分解した図である。
【図9】図9は、本発明に係るフィルタ装置の別の実施形態である。
【図10a】図10aは、フィルタ材料を含まない本発明に係る円筒形に構成されたフィルタ部材の図である。
【図10b】図10bは、フィルタ材料を含まない本発明に係る円筒形に構成されたフィルタ部材の別の実施形態の図である。
【図11】図11は、部分的にフィルタ材料で包まれた図10aのフィルタ部材である。
【図12】図12は、フィルタ材料を含まない円筒形に構成されたフィルタ部材の断面図である。
【図13】図13は、図9のフィルタ装置の部分的に分解した斜視図であり、濾過工程を説明するための図である。
【図14】図14は、図9のフィルタ装置の部分的に分解した図であり、予洗浄を示すための図である。
【図15】図15は、図9のフィルタ装置の部分的に分解した図であり、その洗浄について説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
まずは、図面において示される特徴は、個々の実施形態に限定されるものではないことを記しておく。むしろ、明細書および図面の説明および図面でそれぞれ示される特徴は、相互に組み合わせて発展させることが可能である。特に、本発明の対象は、ハウジング内に配置されるフィルタ部材については図面に示される個数に限定されず、またフィルタ部材の浄化された濾過液の通過のための開口部の配置に関してもこれに限定されない。
【0031】
図1aは、全体として符号10で示される本発明に係るフィルタ装置を示す。これは概ね直方体として構成されているハウジング12を有する。このハウジング12は、浄化されるべき媒体の供給用のバルブV1を有する入口24と、対応するバルブV2およびV3を備える出口26.1および26.2を有する。また、フィルタ装置10は、予洗浄媒体を入れるための入口28をこれに対応するバルブV6と共に有し、対応するバルブV4を備える出口30を有する。最後に通路32とこれに割り当てられるバルブV5を介して洗浄媒体が供給通路34.1および34.2を介してフィルタ装置に供給され、この洗浄媒体は出口30よりフィルタ装置10のハウジング12から排出可能である。さらに、図1aには圧力センサ38が示されており、これは濾過液受容部材40.1と接続している。濾過液受容部材40.1は、フィルタ装置10のハウジング12の長手方向側に配置されており、これに対応してハウジング12の反対側の長手方向側に別の濾過液受容部材40.2が配置されている。この濾過液受容部材40は、図1aでは図示されていない、ハウジング12内部に収容されるフィルタ部材と接続しており、圧力センサ38が入るここでは不図示の通路を有する。
【0032】
この濾過液受容部材40.1および40.2の構造は、特に図1bに示されている。ここでは両側の端面に出口44を備えるフィルタ部材14の構造が示される。フィルタ部材14は平面状およびブロック状に構成されている。出口44は、フィルタ受容部材40.1および40.2に配置される濾過液通路42.1および42.2に終端する。さらに図1bには別の圧力センサ36も示されており、これは供給路24を介して供給されてハウジング12に流入する浄化されるべき媒体の圧力を測定する。圧力センサ36と38との間の圧力差の測定により、フィルタ部材14が汚れている場合また、所定の規定値に達した場合に、浄化されるべき媒体の供給がバルブV1により停止され、その後以下に説明する洗浄工程が開始されることが可能である。本発明に係る洗浄工程は基本的に、圧力差の有無にかかわらず任意の時点で開始可能である。
【0033】
図2は、図1aのフィルタ装置10の部分的に分解された斜視図を示している。ここでは、一列に並ぶ計5つのフィルタ部材14.1、14.2、14.3、14.4、14.5ならびに、供給路32と、バルブV5と、供給通路34.1および34.2と、洗浄剤用の供給通路34.1に配置されるノズルブロック68.1、68.2、68.3、68.4、68.5とを含む洗浄装置20の構造も明確に示されている。このノズルブロックは、フィルタ部材14.1から14.5の反対側でも対応して供給通路34.2に配置されている。ノズルブロック68はしたがって、対をなした構造を有し、それぞれ特定のフィルタ部材14に割り当てられる。ノズルブロック68はその際、たとえば列状に相互に隣合って配置されるフィルタ部材14の場合にも、複数の方向へ向けられたノズルを有することが可能であり、これにより1つのノズルブロックによって複数のフィルタ部材が洗浄可能である。フィルタ部材14.1から14.5は、両側でフィルタ材料、好適には織り糸からなる1つまたは複数の非常に薄い単繊維に望ましくは複数の層をなして包囲されている。
【0034】
図2には、供給路24およびバルブV1を介したフィルタ装置10のハウジング12の内部への洗浄されるべき媒体58の供給が黒い矢印により示されている。洗浄されるべき媒体58は、フィルタ部材上のフィルタ材料を通りフィルタ部材14.1および14.5へ浸入し、最終的にフィルタ受容部材40.1および40.2内に配置される通路42.1および42.2を介して出口26.1および26.2へ供給され、ここより洗浄された濾過液60がフィルタ装置10から排出される。
【0035】
このブロック68の対をなす構造は、図3でさらに詳細に示されており、ここではフィルタ部材14.5およびノズルブロック組68.5に注目して構造を詳細に説明する。フィルタ部材14.1から14.4ないしはノズルブロック組68.1から68.4は同様に構成されている。図3には、フィルタ部材14に対して垂直にまたは角度をなして洗浄媒体を排出する、多数の固定式のおよび/または可動のノズルを有するノズル列22の構造が示されている。ブロック68.5は、直方体に構成されており、フィルタ部材14.5のフィルタ材料で包まれている領域の全面にわたって長手方向に延伸している。
【0036】
図4は、フィルタ材料を除いた、個別のフィルタ部材14を示しており、これは図1aのフィルタ装置に5つ備えられている。フィルタ部材14は、フランジ状に構成されている上部領域54および上部領域56内に、それぞれ3つの出口44を有し、浄化された濾過液がここを通り、フィルタ受容部材40.1および40.2に配置される通路40.1および40.2に供給される。平面状およびブロック状の図4のフィルタ部材14の前面46.2および背面の表面46.1は構造化されており、ここにはそれぞれ多数の相互に平行に延伸する細長い凹部48が溝として構成されて配置されており、斜めに延伸する凹部50がこれに交差する。この斜めに延伸する凹部50は、フィルタ部材14のフィルタ材料により被覆される面全体にわたってひし形に配置されており、これにより平行に延伸している凹部48に交差する。凹部48および50はそれぞれ上部領域54ないしは下部領域56で終端する。上部領域54および下部領域56はそれぞれ、図4では不図示の溝状の開口部52を有し、これは、構造化された表面により凹部48および50を介して、この開口部52に供給された濾過液を受けるため、フィルタ部材14の幅全体にわたり延伸する。フィルタ部材14の跳ね返り部材18は、中空ではないフィルタハウジング体として構成されており、上部領域54および下部領域56のフランジ状の構成では、浄化された濾過液が出口44に供給される対応した中空部ないしは通路が設けられている。しかし開口部52はその他の形で構成可能であり、特に跳ね返り部材18の全面にわたって複数の開口部52が分散していることも可能である。開口部52は、特に凹部48および50に設けられることが可能であり、その場合跳ね返り部材58は、この開口部を通して受容された濾過液60が出口44へ導かれるように、中空に構成、または通路が設けられて構成されている。
【0037】
図5は、フィルタ部材14の作動方法を示し、ここでは部分的に分解された図によってフィルタ材料16もはっきりと見て取ることが可能である。フィルタ材料は繊維状の糸として構成されており、跳ね返り部材18の非中空体を包んでいる。浄化されるべき媒体58(フィルタ部材14に外側から向けられている矢印により示される)は、フィルタ材料16を通りフィルタ部材14へ向かって流れ、小さな矢印により示される浄化された濾過液60が表面46.1へ、またこれに対向する表面46.2の凹部48および50を介して上部領域54および下部領域56内に配置される開口部52へ導かれる。このように、跳ね返り部材18の表面46.1ないしは46.2から導かれた濾過液60は、出口44よりフィルタ部材14から出る。
【0038】
本発明に係るフィルタ装置10の洗浄工程の機能を図6から9に基づき詳しく説明する。図6aは、図1aのフィルタ装置10の部分的に分解した図であり、洗浄装置20は初期位置に設定されている。バルブV1、V2、V3およびV6は閉鎖されており、バルブV4およびV5は開放されている。図6aには、ノズルブロック68のノズル列22が明確に示されており、これは供給通路34.1および34.2で組ごとに各フィルタ部材14に割り当てられている。洗浄装置20はスライド状に構成されており、矢印78の方向へ、また初期位置に達するためにその反対方向へも可動である。ブロック68は、計5つのフィルタ部材それぞれに対して初期位置ではフィルタ部材14の側面のわずかに前方にある。洗浄媒体62は、供給路32を通り、バルブV5により制御されたフィルタ装置10へ供給される。この位置では、実際の濾過工程の際には開放しているバルブV1からV3は閉鎖されていなければならず、また予洗浄媒体の供給路であるバルブV6も閉じられていなければならない。開放されているのはバルブV5 およびV4のみである。汚れ/濾過ケーキが混合している洗浄媒体62は、バルブV4および出口30より再びフィルタ装置10のハウジング12から排出される。図6bは、図6aの洗浄装置20の構造および配列を側面から示しており、ここでは圧力センサ36および38の配置ならびに、濾過液受容部材40の構造もはっきりと示されている。
【0039】
図7は、矢印78の方向へ移動された、中央位置における洗浄装置20を示しており、この位置ではフィルタ本体14の両側に配置されるノズルブロック68がフィルタ部材14のほぼ中央の位置、中央出口44の高さに達している。
【0040】
図8は洗浄装置20の最終位置を示しており、この位置ではノズルブロック68は最終的にフィルタ部材14の側面全体を通過しており、隣合うフィルタ部材14の間で最終位置を取っている。すべての洗浄媒体62がフィルタ装置10の出口30から取り出される。場合によっては、バルブV6が再度、特に気体状の予洗浄媒体が、洗浄媒体62の残りをフィルタ装置10から除去するためにフィルタ装置10に供給されることが可能である。洗浄装置20は当然、一列に配置される5つのフィルタ部材14すべてにわたって移動されるノズルブロック組68が1つのみ設けられるようにも構成可能である。しかし、計5つのノズルブロック組68でフィルタ部材14にそれぞれ割り当てられていることによって洗浄が各段に速くなる。洗浄完了後には、洗浄装置20は再度、図6aの初期位置に移動される。
【0041】
図9は本発明に係るフィルタ装置10の別の実施形態を示しており、これは図1aに示される装置とは異なり、平面状のフィルタ部材14ではなく、図10から15に示されるように円筒形に構成されるフィルタ部材を有する。図1に示されるフィルタ装置とのさらなる違いとしては、図9に示される別の実施形態では、洗浄される濾過液用に、バルブV2が設けられた1つの出口26しかない。供給路32およびこれに割り当てられるバルブV3を介して洗浄媒体が装置10に供給され、出口30およびこれに割り当てられるバルブV4を介して再度取り除かれることが可能である。入口28およびこれに割り当てられるバルブV5を介して予洗浄媒体が装置10に供給可能である。図1aのフィルタ装置とは異なり図9に示される実施形態は、合計4つの円筒形のフィルタ部材14(図10から15を参照)に示されている洗浄された濾過液を合流させて出口26へ供給する合流部材74を有する。しかし、円筒形に選択される各フィルタ部材に個別の出口26が割り当てられることも可能である。
【0042】
図10aは円筒形に構成されたフィルタ部材14の構造であり、フィルタ材料は示されていない。これは、フィルタ部材14の長手方向に平行に延伸する凹部48をフィルタ部材14のフィルタ材料で被覆されるべき領域全体の面にわたって有し、凹部48には円筒形のフィルタ材料14の周囲に円形に、円形または多角形状の開口部52が配置されており、ここを通り浄化された濾過液が円筒形のフィルタ材料14内へ流入可能である。あるいは、開口部52がたとえば各溝48のそれぞれの端部に、上部および/または下部領域54ないしは56内で設けられていることも可能である。上部領域54はフランジ72.1を、下部領域56はフランジ72.2を有し、これにより円筒形のフィルタ部材14は、図9の装置10に安定に固定可能である。さらに、フィルタ部材14は浄化された濾過液用に出口44を有する。
【0043】
図10bは、図10aに示される実施形態とは異なる、円筒形に構成されるフィルタ部材14の別の実施形態を示しており、ここでもフィルタ材料は示されていない。フィルタ部材14は追加的にウォームギヤ45を有し、これにより円筒形に構成されるフィルタ部材14が、たとえば図9に示されるように、フィルタ装置10に設置される場合に、ここでは不図示の適切に係合される歯車により回転されて移動されることが可能である。さらに、フィルタ部材14の表面46の部分領域は、凹部48ならびにこれらの間に配置されるリブ状の凸部49を備える構造を有する。凹部48は、フィルタ部材14の上部領域54内のフランジ72.1から下部領域56の第2のフランジ72.2へ直線状に延伸し、凸部49も同様に延伸する。凸部49は、フランジ72.1と72.2との間の長さ全体にわたって断絶部47を有する凸部49が交互に配置されているように構成されており、たとえば図10bでは各凸部49に3つないしは各凸部49に4つの断絶部47が間隔をあけて備えられている。この断絶部47により、隣接して配置される溝状の凹部48間で濾過液が移動することが可能である。凹部48では濾過液52がフィルタ部材14の内部へ浸入するための開口部52が配置されている。複数の、たとえば6つの、または多数の開口部52が、構造化された表面46の全体にわたって分散して凹部48に配置されていることが可能である。開口部52は、上部領域(フランジ72.1)および/または下部領域(フランジ72.2)内、たとえば少なくとも1つの凹部48の延長部の領域に配置されることも可能である。
【0044】
図11は、図10aのフィルタ部材が部分的に、織り糸の形のフィルタ材料16で包まれた状態で示している。ここでは矢印58によって洗浄される媒体の供給路が示されており、これはフィルタ材料16に浸入し、浄化されて濾過液60として矢印60のように凹部48を通り開口部52へ供給され、最終的に出口44の開口部により円筒形のフィルタ材料14から排出される。
【0045】
図10aおよび11のフィルタ部材14は、片側が開放されて構成されている。しかし、円筒形に構成されたフィルタ部材が、浄化された濾過液60が両側の端部でフィルタ部材14から排出されるように、対向している上部領域54および下部領域56に配置される2つの出口44を有することも可能である。
【0046】
図12は、図10aおよび11の円筒形のフィルタ部材14の断面図であり、開口部52およびこれに対応する開口部流路70がはっきりと示されている。跳ね返り部材18はここでは中空体からなり、金属および/またはプラスチック材料で形成されている。下部領域56ではフィルタ部材14は閉鎖されており、上部領域54に配置され、そこのフランジ72.1と接続された出口44がある。
【0047】
図13から15は、濾過工程、予洗浄工程、洗浄工程をそれぞれ示しており、濾過工程および予洗浄工程は図1aに示される装置により実施される。浄化される媒体58がバルブV1により制御されて入口24からフィルタ装置10の内部へ流入され、ほぼ正方形の平面にそれぞれ配置される計4つのフィルタ部材14のフィルタ材料を通って流れ、図13では不図示の開口部52(図10から12を参照)を介して洗浄された濾過液としてフィルタ部材14の内部へ移行され、濾過液60はその後、合流部材74へ合流されて、装置10のバルブV2 の後で共通の出口26を介して排出される。圧力センサ36および38により測定された圧力差が、所定の規定値を超過するほど大きい場合は、バルブV1およびV2が閉じられ、装置10の予洗浄ないしは洗浄が開始される。しかし、この工程は圧力差の有無に関係なく任意の時に実施可能である。当然、設けられるフィルタ部材14の数は4つより多い、または少ないことも可能である。
【0048】
図14は予洗浄工程を示しており、予洗浄媒体64がバルブV5 により制御されて供給路28を介して装置10へ、好適には気体状で、圧力を加えられて供給される。これにより依然装置10の内部にある濾過液60または洗浄されるべき媒体58が、バルブV4により制御されて出口64を介して装置10から流出される。所定の時間が経過すると、予洗浄媒体64の供給がバルブV5の閉鎖により停止され、実際の洗浄が開始される。
【0049】
図15は装置10の洗浄工程を示しており、洗浄媒体62がバルブV3により制御されて供給路32を介して、ノズル列22を有するノズルブロック68へ導かれる。ノズルブロック68は円筒形に構成されており、4つのフィルタ部材14にそれぞれ少なくとも1つ割り当てられるノズル列22、すなわち計4つのノズル列を有する。ノズル列22の個々のノズルは、フィルタ部材14の表面に対して垂直および/または角度をなして洗浄媒体62を流出することが可能である。洗浄媒体62は、フィルタ本体14のフィルタ材料を通り、跳ね返り部材18に相当するフィルタハウジングで戻され、再度フィルタ部材14のフィルタ材料を通り、続いてバルブV4により制御されて出口30を介して装置10から排出される。この時ノズルブロック68は固定的に構成されており、フィルタ部材14は可動であるが、これは矢印76により示されている。フィルタ本体14はその主軸を中心に回転され、これによりフィルタ部材14の表面全体をノズル列22から流出される洗浄媒体62が均等に通過し、洗浄媒体62がフィルタ部材14のフィルタハウジング18で適切に跳ね返り部材18(ハウジング)により戻されて、さらにフィルタ部材16のフィルタ材料を通ることが可能になる。所定の時間が経過すると、フィルタ本体14の回転は停止され、バルブV3およびバルブV4は閉じられる。すると装置10は再度、浄化されるべき媒体58の洗浄を行うことが可能になる。場合によっては、洗浄されるべき媒体58(図13参照)の供給前に、予洗浄媒体、特に気体状または液体状の媒体が、洗浄媒体62の残りを装置10から除去するために図14のように使用されることが可能である。
【0050】
図13から15に基づき説明した本発明に係る装置の作動は、その後新たなサイクルで続行される。
【0051】
本発明に係るフィルタ装置、本発明に係るフィルタ部材、ならびに本発明に係る方法により、液体および/または気体状の洗浄されるべき媒体の効率的な濾過、および跳ね返り部材が設けられことにより効率的な洗浄が達成される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフィルタ材料(16)と少なくとも1つの跳ね返り部材(18)とを含む少なくとも1つのフィルタ部材(14)が中に配置されているハウジング(12)と、フィルタ材料(16)上の濾過ケーキを洗浄媒体(62)を用いて除去するためにフィルタ部材(14)に対して垂直および/または角度をなして配向可能である少なくとも1つのノズル(22)を含む洗浄装置(20)と、を有するフィルタ装置(10)であって、洗浄のために洗浄媒体(62)がフィルタ材料(16)を少なくとも部分的に通過され、跳ね返り部材(18)が洗浄媒体(62)を少なくとも一部偏向させて再度フィルタ材料(16)を通過させ、同時に少なくとも部分的に濾過ケーキが除去されるフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置において、フィルタ部材(14)が円筒形、直方体および/または平面状に形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、跳ね返り部材(18)が、少なくとも1つのフィルタ材料(16)により少なくとも部分的に包囲されているフィルタハウジングにより形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、跳ね返り部材(18)の表面(46)が少なくとも部分的に構造化されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項4記載のフィルタ装置において、表面構造が、跳ね返り部材(18)の長手方向軸Lの方向に見て相互に平行に延伸されている少なくとも2つの凹部(48)を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
請求項4または5のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、表面構造が、跳ね返り部材(18)の長手方向軸Lに対して傾斜された少なくとも1つの凹部(50)を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、跳ね返り部材(18)の表面(46)上に、濾過液(60)が通過するための少なくとも1つの開口部(52)が配置されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルタ装置において、開口部(52)が、跳ね返り部材(18)の上部および/または下部領域(54、56)に配置されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、フリース、織物、繊維、糸および/または焼結金属体を含むグループからフィルタ材料(16)が選択されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項10】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、洗浄装置(20)がスライド状に構成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項11】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、ハウジング(12)内に収容される各フィルタ部材(14)に少なくとも1つのノズル(22)が割り当てられていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項12】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、フィルタ部材(14)が可動に構成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項13】
先の請求項のいずれか一項に記載のフィルタ装置において、ノズル(22)が、跳ね返り部材(18)の表面(46)に対して5から85度の角度で構成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項14】
少なくとも1つの跳ね返り部材(18)と、少なくとも1つのフィルタ材料(16)と、を含むフィルタ部材(14)において、跳ね返り部材(18)が少なくとも部分的に構造化された表面(46)を有することを特徴とするフィルタ部材。
【請求項15】
請求項14に記載のフィルタ部材において、跳ね返り部材(18)が、少なくとも1つのフィルタ材料(16)に包囲されているフィルタハウジングにより形成されていることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項16】
請求項14または15のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、表面構造が、跳ね返り部材(18)の長手方向軸Lの方向に見て、相互に平行に延伸される少なくとも2つの凹部(48)を有することを特徴とするフィルタ部材。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、表面構造が、跳ね返り部材(18)の長手方向軸Lに対して傾斜して延伸される少なくとも1つの凹部(50)を有することを特徴とするフィルタ部材。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、跳ね返り部材(18)の表面(46)に、濾過液(60)が通過するための少なくとも1つの開口部(52)が配置されていることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項19】
請求項14から18のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、開口部(52)が跳ね返り部材(18)の上部および/または下部領域(54、56)に配置されていることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項20】
請求項14から19のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、フリース、繊維、織物、糸および/または焼結金属体を含むグループからフィルタ材料(16)が選択されていることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項21】
請求項14から20のいずれか一項に記載のフィルタ部材において、円筒形および/または平面状に構成されていることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項22】
媒体(58)を洗浄するための方法において、洗浄される媒体(58)が少なくとも部分的に、請求項14から21に記載の少なくとも1つのフィルタ部材(14)により洗浄されることを特徴とする方法。
【請求項23】
少なくとも1つのフィルタ材料(16)と、少なくとも1つの跳ね返り部材(18)と、を含む少なくとも1つのフィルタ部材(14)上に堆積したフィルタ装置(10)内の濾過ケーキの除去のための方法であって、洗浄装置(20)の少なくとも1つのノズル(22)を介して洗浄媒体(62)が、跳ね返り部材(18)の表面(46)に対して垂直および/または角度をなしてフィルタ部材に向けられ、洗浄媒体(62)がフィルタ材料(16)を通され、跳ね返り部材(18)によって少なくとも部分的に戻され、再度フィルタ材料(16)を通過される際に少なくとも部分的に濾過ケーキが除去される方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、洗浄媒体(62)が排出される際に洗浄装置(20)が動かされることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23または24のいずれか一項に記載の方法において、洗浄媒体(62)が排出される際に少なくとも1つのフィルタ部材(14)が動かされることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか一項に記載の方法において、濾過ケーキの除去が、液体および/または気体の洗浄媒体(62)により行われることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項23から26のいずれか一項に記載の方法において、洗浄媒体(62)の供給の前に、フィルタ装置(10)のハウジング(12)内の残留した洗浄されるべき媒体(58)が、予洗浄媒体(64)により流されることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項23から26のいずれか一項に記載の方法において、洗浄工程の後に、フィルタ装置(10)のハウジング(12)内に残留した、洗浄工程の残りの汚れた媒体(58)が、後洗浄媒体により流されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項23から28のいずれか一項に記載の方法において、洗浄媒体(62)が気体および/または気体混合物の形で使用されることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項23から29のいずれか一項に記載の方法において、洗浄媒体(62)が、少なくとも1つのノズル(22)を介して、少なくとも約3barの圧力で排出されることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項23から30のいずれか一項に記載の方法において、糸状のフィルタ材料(16)を使用する際に、洗浄媒体(62)が糸の巻き方向に平行に出されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項23から31のいずれか一項に記載の方法において、跳ね返り効果および/または跳ね返り部材(18)による洗浄媒体(62)の流れが、この表面(46)の構造化により向上されることを特徴とする方法。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2010−507474(P2010−507474A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533710(P2009−533710)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009123
【国際公開番号】WO2008/049555
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509117078)
【氏名又は名称原語表記】ETS TRADE S.A.R.L.
【Fターム(参考)】