説明

フィルタ装置

【課題】濾体の目詰まりに起因するオーバーフローを簡便な構成で正確に検出することができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】濾布12aを長円筒袋状に形成したバグフィルタ12を垂直姿勢で保持して収容する容器(メッシュケース11、透明ケース14)において、バグフィルタ12からの液体の溢流を検出するために設定されたオーバーフロー検出高さ位置Haに、溢流した液体と電気的に導通可能に第1電極21を配設し、さらにフィルタ装置2が用いられる液循環系において液体と接する接液部に液体と電気的に導通可能に第2電極23を配設し、フィルタ装置2の作動過程において第1電極21と第2電極23との電気的な導通を導通検出部26によって検出した検出結果に基づいてバグフィルタ12からの液体の溢流の有無を判定部27によって判定し、その旨を報知部28によって報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環使用される液体に含まれる固形異物を濾体により濾過して分離するフィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械などの設備機器において冷却や潤滑を目的として用いられるクーラントなどの液体は一般に循環使用され、この液循環系には使用過程で混入した切り粉などの固形異物を分離除去するフィルタ装置が用いられる。このようなフィルタ装置の構成として、濾過対象に応じた所定のメッシュの濾布を袋状に形成した濾体を容器内に収納したものが知られている(たとえば特許文献1参照)。この特許文献に示す先行技術では、濾体内に濾過対象液を加圧しながら供給し濾過対象液が濾体の外側に滲出する際に固形異物が濾布によって捕捉され濾過対象液から分離される。
【0003】
このような構成のフィルタ装置では、同一の濾体を継続使用する過程で濾布の目詰まりが徐々に進行すると、液体の濾体の外側への滲出が妨げられて処理流量が減少するため、目詰まり時の濾体の交換などの対処を必要とする。このため圧力濾過式のフィルタ装置では、濾布を隔てた2つの領域における液体の差圧を検出することによって目詰まり状態を検出し、この検出結果を承けて濾体の交換作業が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでフィルタ装置には、上述の圧力濾過式ではなく濾体内に供給された濾過対象液を重力によって濾布を通過させる簡便な構成が用いられる場合がある。このような重力濾過式のフィルタ装置では、濾布の目詰まりの進行に伴って処理流量が濾過対象液の供給流量を下回るようになると、濾体内の液位が上昇して、未濾過の液体がそのまま外側に溢れ出すオーバーフローが発生する。このようなオーバーフロー状態では、固形異物を含む未処理の液体が工作機械に送られて、種々の不具合の原因となることから、フィルタ装置においては、このようなオーバーフローの発生を正確に検出することが求められる。しかしながら従来技術の重力濾過式のフィルタ装置では、濾布の目詰まりに起因するオーバーフローを、簡便な構成で正確に検出することができなかった。
【0006】
そこで本発明は、濾体の目詰まりに起因するオーバーフローを簡便な構成で正確に検出することができるフィルター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ装置は、循環使用される液体に含まれる固形異物を濾過して分離するフィルタ装置であって、前記固形異物を捕捉可能なメッシュの濾布を下端部が閉じられ上部に開口部を有する長円筒袋状に形成した濾体と、前記濾体を垂直姿勢で保持して収容する容器と、前記開口部から濾過対象の液体を前記濾体の内部に供給する給液部と、前記濾体によって濾過された液体を排出する排液部と、前記容器において前記濾体からの液体の溢流を検出するために設定されたオーバーフロー検出高さ位置に配設され、前記溢流した液体と電気的に導通可能に設けられた第1電極と、前記フィルタ装置が用いられる液循環系において液体と接する接液部に配設され、前記液体と電気的に導通可能に設けられた第2電極と、前記第1電極と第2電極との電気的な導通を検出する導通検出部と、前記導通検出部の検出結果に基づいて前記濾体からの液体の溢流の有無を判定する判定部と、前記判定部によって液体の溢流が検出されたことを報知する報知部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、濾布を長円筒袋状に形成した濾体を垂直姿勢で保持して収容する容器において、濾体からの液体の溢流を検出するために設定されたオーバーフロー検出高さ位置に、溢流した液体と電気的に導通可能に第1電極を配設し、さらにフィルタ装置が用いられる液循環系において液体と接する接液部に液体と電気的に導通可能に設けられた第2電極を配設し、フィルタ装置の作動過程において第1電極と第2電極との電気的な導通を検出した検出結果に基づいて濾体からの液体の溢流の有無を判定することにより、濾体の目詰まりに起因するオーバーフローを簡便な構成で正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態のフィルター装置を用いた液循環系の構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態のフィルター装置の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態のフィルター装置の側面図
【図4】本発明の一実施の形態のフィルター装置の断面図
【図5】本発明の一実施の形態のフィルター装置におけるオーバーフロー検出機構の構成説明図(第1実施例)
【図6】本発明の一実施の形態のフィルター装置におけるオーバーフロー検出の動作説明図(第1実施例)
【図7】本発明の一実施の形態のフィルター装置におけるオーバーフロー検出機構の構成説明図(第2実施例)
【図8】本発明の一実施の形態のフィルター装置におけるオーバーフロー検出機構の構成説明図(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本発明のフィルター装置を用いた液循環系1の構成を説明する。図1に示すフィルタ装置2は、工作機械などの設備機器において冷却や潤滑を目的として用いられるクーラントなどの液体を循環使用するために、使用後の液体に含まれる固形異物を濾過して分離除去する機能を有するものである。
【0011】
本実施の形態に示すフィルタ装置2においては、未処理液送給配管10を経由して給液部3から供給される濾過対象液を重力濾過方式によって処理するようにしており、濾過処理された処理済み液体6aは排液部4を介して処理済み液槽5内に流下して(矢印a)貯溜される。貯溜された処理済み液体6aは、第1液送ポンプP1によって処理済液送給配管7を経由して設備機器8に送給され、設備機器8において冷却や潤滑などの所定目的で使用される。使用過程において固形異物が混入した未処理液体6bは設備機器8から排出されて(矢印b)、未処理液槽9内に貯溜される。そして貯溜された未処理液体6bは、第2液送ポンプP2によって未処理液送給配管10を経由してフィルタ装置2の給液部3に送給される。
【0012】
次に図2,図3,図4を参照して、フィルタ装置2の構成および機能について説明する。図2に示すように、フィルタ装置2は、濾体であるバグフィルタ12をフィルタ装着リング13を介して保持したメッシュケース11と、メッシュケース11を外周側から覆う円筒状の透明樹脂より成る透明ケース14とを外側ケース15によって保持させ、さらに外側ケース15の上部、下部にそれぞれ給液部3、排液部4を配設した構成となっている。
【0013】
図3は、図2に示す各部を一体に組み立ててフィルタ装置2を完成させた状態を示している。外側ケース15は、外周に鍔状部17aが設けられメッシュケース11および透明ケース14の下端部を支持する底部材17と、透明ケース14の上端部を外周側から覆う円筒状の頂部材16とを、複数本の連結部材18によって連結した構成となっている。頂部材16の上端部には、円筒形状の側壁部3aを頂部材16の外周側に嵌合させることにより、給液部3が装着される。給液部3の上面には接続孔3bが設けられており、接続孔3bには図1に示す未処理液送給配管10が接続される。この完成状態において、透明な透明ケース14および金網製のメッシュケース11を介して、バグフィルタ12の状態を外部から視認することが可能となっている。
【0014】
バグフィルタ12は未処理液体6bに含まれる切り粉などの固形異物を濾過して分離する機能を有しており、図4に示すように、分離対象となる固形異物を捕捉可能なメッシュの濾布12aを、下端部12cが閉じられて上部に開口部12bを有する長円筒袋状に形成したものである。濾布12aとしては、ソックスなどに用いられる弾性繊維と合成繊維を組み合わせて形成されて伸縮自在なものが用いられる。
【0015】
このような濾布12aを用いることにより、バグフィルタ12の使用過程において内部の固形異物の堆積状態に応じて長さ方向および径方向に伸張させることができる。バグフィルタ12の自由状態における長さは、メッシュケース11の長さの略2/3程度に設定されており、バグフィルタ12が濾布12aの目詰まりにより内部に異物が堆積した状態において、メッシュケース11の内部を占有する大きさとなる。
【0016】
メッシュケース11は、ステンレスなどの材質の金網を上下端が開放された円筒状に成形して製作され、ケース上端部11aにはバグフィルタ12の上部がフィルタ装着リング13を介して保持される。フィルタ装着リング13は内面にテーパ状の開口を有し、外径がメッシュケース11のケース上端部11aに嵌合する形状のリング状部材である。バグフィルタ12をメッシュケース11に保持させる際には、バグフィルタ12の上端部の濾布12aをケース上端部11aの内周との間に挟み込んだ状態で、フィルタ装着リング13をケース上端部11aに嵌合させる(図5も参照)。
【0017】
そしてバグフィルタ12を保持したメッシュケース11を、底部材17の内底面に設けられた円筒状のケース嵌合部17bの内側に嵌合させることにより、メッシュケース11およびバグフィルタ12が底部材17によって保持され、これにより、バグフィルタ12は上部の開口部12bを上方に向けた垂直姿勢で保持される。また透明ケース14の下端部を底部材17の内周面に嵌合させることにより、透明ケース14はメッシュケース11およびバグフィルタ12を内部に収容した状態で底部材17によって保持される。したがって、メッシュケース11およびメッシュケース11を収容する透明ケース14は、濾体であるバグフィルタ12を垂直姿勢で保持して収容する容器を構成する。
【0018】
図1に示す未処理液送給配管10を接続孔3bに接続して、未処理液体6bを送給することにより、未処理液体6bは接続孔3bを介して下方に流下し(矢印c)、開口部12bからバグフィルタ12の内部へ流入する。すなわち接続孔3bが設けられ未処理液送給配管10と接続された給液部3は、開口部12bから濾過対象の液体をバグフィルタ12の内部に供給する機能を有している。バグフィルタ12の内部に供給された未処理液体6bは一旦バグフィルタ12内に滞留し、所定サイズの固形異物が濾布12aによって捕捉されて濾過された処理済み液体6aは、濾布12aの外面から流出してメッシュケース11内またはメッシュケース11と透明ケース14との隙間内を重力により落下する(矢印d)。そしてバグフィルタ12によって濾過されて落下した処理済み液体6aは、排液部4の底部材17に設けられた排液孔17cから下方に落下して処理済み液槽5内に貯溜される(図1参照)。
【0019】
次に図5、図6を参照して、フィルタ装置2に備えられたオーバーフロー検出機能(第1実施例)について説明する。重力濾過方式のフィルタ装置2では、濾布12aの目詰まりの進行に伴ってバグフィルタ12による濾過流量が未処理液体6bの供給流量を下回るようになると、バグフィルタ12の液位が上昇して、未濾過の液体がそのまま外側に溢れ出すオーバーフローが発生する。本実施の形態においては、このようなオーバーフローを以下に説明する構成によって検出し、バグフィルタ12の清掃や交換などの適切な対処を速やかに実行できるようにしている。
【0020】
図5において、未処理液送給配管10を介して送給される未処理液体6bは接続孔3bから下方へ流下し(矢印e)、開口部12bを介してバグフィルタ12内に流入する。バグフィルタ12を囲む透明ケース14の上部には、オーバーフロー検出高さ位置Haが設定されている。オーバーフロー検出高さ位置Haは、バグフィルタ12からの未処理液体6bの溢流を検出するために設定された高さ位置であり、作業現場の実情に即して経験的に適宜設定される。
【0021】
オーバーフロー検出高さ位置Haには、第1電極21がホルダ22を介して配設されており、未処理液送給配管10には第2電極23がホルダ24を介して配設されている。第1電極21は開口部12bからオーバーフローする未処理液体6b(図6(d)参照)と電気的に導通可能な位置に配設されている。さらに第2電極23は未処理液送給配管10内を流れる未処理液体6bと電気的に導通可能に配設されている。
【0022】
第1電極21および第2電極23は、コントローラ25の導通検出部26に接続されている。導通検出部26は、第1電極21と第2電極23との電気的な導通を検出する。すなわちフィルタ装置2が作動して導電性を有する未処理液体6bが連続して流動している状態において、未処理液体6bが開口部12bからオーバーフローすると、未処理液体6bがオーバーフロー検出高さ位置Haに配設された第1電極21と導通し、これにより第1電極21と第2電極23とが未処理液体6bを介して導通していることが導通検出部26によって検出される。
【0023】
導通検出部26の検出結果を判定部27が受信することにより、判定部27はこの検出結果、すなわち第1電極21と第2電極23との導通度合いに基づいて、バグフィルタ12からの未処理液体6bのオーバーフローの有無を判定する。報知部28は、表示灯、表示画面、音響による警報などによって所定の報知を行う報知装置であり、判定部27によって未処理液体6bの溢流が検出されたこと報知する。そしてこの報知を承けることにより、オペレータはバグフィルタ12の交換などの必要な処置を行う。
【0024】
なお、図5では第2電極23を未処理液送給配管10に配設した例を示しているが、第2電極23の配設位置は未処理液送給配管10には限定されない。すなわちフィルタ装置2が用いられる液循環系1において未処理液体6b、または処理済み液体6aのいずれかと接する接液部であって、未処理液体6bまたは処理済み液体6aと電気的に導通可能な部位であれば、第2電極23の配設位置として選択することができる。
【0025】
例えば未処理液送給配管10のほか、図1に示す処理済み液槽5、処理済液送給配管7、未処理液槽9などにおいて未処理液体6bまたは処理済み液体6aと電気的に導通可能な部位、さらにはフィルタ装置2内であって流下する処理済み液体6aと常に電気的に導通する位置を、第2電極23の配設位置として適宜選定することができる。
【0026】
次に、フィルタ装置2におけるオーバフロー検出の動作例を図6を参照して説明する。図6(a)は、フィルタ装置2において未使用のバグフィルタ12がメッシュケース11に装着された後、未だ作動が開始していない状態を示している。この状態では、バグフィルタ12は未だ伸張せず自然状態の形状を保持している。この後フィルタ装置2の作動が開始されると、図6(b)に示すように、接続孔3bから未処理液体6bが送給されて(矢印f)バグフィルタ12内に流入する。
【0027】
流入した未処理液体6bはバグフィルタ12の下部に滞留し、濾布12aによって固形異物が捕集された濾過後の処理済み液体6aが濾布12aから側方に流出して(矢印g)透明ケース14内を流下し(矢印h)、さらに排液部4を構成する底部材17に設けられた排液孔17cを介して下方に流出する(矢印i)。この濾過処理を継続する過程では、濾布12aにおいて固形異物を捕捉することによって目詰まり状態となった目詰まり部12a*の範囲が拡大し、これによりバグフィルタ12内における未処理液体6bの液位が次第に上昇する。そしてこの液位の上昇とともに、伸縮自在のバグフィルタ12は固形異物などの堆積物や未処理液体6bの重さによって下方に伸張するとともに径方向に膨張し、最終的にはメッシュケース11の内面に倣った形状となる。
【0028】
次いでフィルタ装置2の作動が継続すると、図6(c)に示すように目詰まり部12a*の範囲が拡大し、バグフィルタ12内における未処理液体6bの液位が次第に上昇する。そして図6(d)は、目詰まり部12a*の範囲がさらに拡大し、バグフィルタ12内における未処理液体6bの液位が開口部12bに到達した状態を示している。この状態では、開口部12bから溢流した未処理液体6b(矢印k)が第1電極21に接触し、第1電極21と第2電極23(図5参照)との電気的な導通が導通検出部26によって検出される。これにより前述のように、報知部28はバグフィルタ12からのオーバーフローが検出されたことを報知する。
【0029】
次に、図7、図8を参照して、フィルタ装置2に備えられたオーバーフロー検出機能の第2実施例について説明する。この第2実施例は、図5に示す第1実施例の構成にオーバーフローを予報する機能を付加したものである。図7において、オーバーフロー検出高さ位置Haから所定距離だけ下方には、バグフィルタ12からの未処理液体6bの溢流を予報するためのオーバーフロー予報高さ位置Hbが設定されている。
【0030】
オーバーフロー検出高さ位置Ha、オーバーフロー予報高さ位置Hbには、それぞれ上部第1電極21a、下部第1電極21bが、ホルダ22を介して配設されており、未処理液送給配管10には第2電極23がホルダ24を介して配設されている。上部第1電極21aは開口部12bからオーバーフローする未処理液体6b(図8(d)参照)と、また下部第1電極21bは濾布12aによって濾過されて側方に流出する未処理液体6b(図8(c)参照)と、それぞれ電気的に導通可能な位置に配設されている。さらに第2電極23は未処理液送給配管10内を流れる未処理液体6bと電気的に導通可能に配設されている。
【0031】
上部第1電極21a、下部第1電極21bおよび第2電極23は、コントローラ25の導通検出部26に接続されている。導通検出部26は、上部第1電極21aまたは下部第1電極21bと第2電極23との電気的な導通を検出する。すなわちフィルタ装置2が作動して導電性を有する未処理液体6bが連続して流動している状態において、未処理液体6bが開口部12bからオーバーフローすると、未処理液体6bがオーバーフロー検出高さ位置Haに配設された上部第1電極21aと導通し、これにより第1実施例と同様に、上部第1電極21aと第2電極23とが未処理液体6bを介して導通していることが導通検出部26によって検出される。
【0032】
導通検出部26の検出結果を判定部27が受信することにより、第1実施例にて説明した未処理液体6bのオーバーフローの有無の判定に加えて、オーバーフローの予報が行われる。すなわち未処理液体6bがバグフィルタ12内においてオーバーフロー予報高さ位置Hbを超えて上昇し、濾布12aから流出して下部第1電極21bと導通すると、下部第1電極21bと第2電極23との導通が導通検出部26によって検出される。そして導通検出部26の検出結果を判定部27が受信することにより、判定部27はこの検出結果に基づいてバグフィルタ12から未処理液体6bがオーバーフローする時期が近づいていることを予測し、報知部28は判定部27による予測を報知する。
【0033】
次に、フィルタ装置2におけるオーバフロー予測の動作例を図8を参照して説明する。図8(a)、(b)に示す動作工程は、図6(a)、(b)に示す動作工程と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0034】
図8(c)は、図8(b)に示す目詰まり部12a*の範囲が拡大し、バグフィルタ12内における未処理液体6bの液位が次第に上昇して、オーバーフロー予報高さ位置Hb(図7参照)に到達した状態を示している。この状態では、濾布12aから側方に流出した処理済み液体6a(矢印j)が下部第1電極21bに接触し、下部第1電極21bと第2電極23(図7参照)との電気的な導通が導通検出部26によって検出される。これにより前述のように、報知部28はバグフィルタ12からのオーバーフローの時期が近づいている旨を報知する。
【0035】
そしてこの後、さらにバグフィルタ12内における未処理液体6bの液位が開口部12bに到達すると、開口部12bから溢流した未処理液体6b(矢印k)が上部第1電極21aに接触し、これにより、上部第1電極21aと第2電極23(図7参照)との電気的な導通が導通検出部26によって検出される。これにより前述のように、報知部28はバグフィルタ12からのオーバーフローが検出されたことを報知する。
【0036】
上記説明したように本実施の形態に示すフィルタ装置2では、濾布12aを長円筒袋状に形成したバグフィルタ12を垂直姿勢で保持して収容する容器であるメッシュケース11、透明ケース14において、バグフィルタ12からの液体の溢流を検出するために設定されたオーバーフロー検出高さ位置Haに、溢流した液体と電気的に導通可能に第1電極21を配設し、さらにフィルタ装置2が用いられる液循環系1において液体と接する接液部に液体と電気的に導通可能に設けられた第2電極23を配設し、フィルタ装置2の作動過程において第1電極21と第2電極23との電気的な導通を検出した検出結果に基づいて、バグフィルタ12からの液体の溢流の有無を判定するようにしている。これにより、従来技術においては目詰まり検出が困難であった重力濾過方式のフィルタ装置2において、バグフィルタ12の目詰まりに起因するオーバーフローを簡便な構成で正確に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のフィルタ装置は、濾体の目詰まりに起因するオーバーフローを簡便な構成で正確に検出することができるという特徴を有し、工作機械などの設備機器において循環使用される液体に含まれる固形異物を濾過して分離する用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 液循環系
2 フィルタ装置
3 給液部
3b 接続孔
4 排液部
5 処理済み液槽
6a 処理済み液体
6b 未処理液体
7 処理済液送給配管
8 設備機器
9 未処理液槽
10 未処理液送給配管
11 メッシュケース
12 バグフィルタ
12a 濾布
12b 開口部
14 透明ケース
15 外側ケース
16 頂部材
17 底部材
17c 排液孔
21 第1電極
21a 上部第1電極
21b 下部第1電極
23 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環使用される液体に含まれる固形異物を濾過して分離するフィルタ装置であって、
前記固形異物を捕捉可能なメッシュの濾布を下端部が閉じられ上部に開口部を有する長円筒袋状に形成した濾体と、
前記濾体を垂直姿勢で保持して収容する容器と、
前記開口部から濾過対象の液体を前記濾体の内部に供給する給液部と、
前記濾体によって濾過された液体を排出する排液部と、
前記容器において前記濾体からの液体の溢流を検出するために設定されたオーバーフロー検出高さ位置に配設され、前記溢流した液体と電気的に導通可能に設けられた第1電極と、
前記フィルタ装置が使用される液循環系において液体と接する接液部に配設され、前記液体と電気的に導通可能に設けられた第2電極と、
前記第1電極と第2電極との電気的な導通を検出する導通検出部と、
前記導通検出部の検出結果に基づいて前記濾体からの液体の溢流の有無を判定する判定部と、
前記判定部によって液体の溢流が検出されたことを報知する報知部とを備えたことを特徴とするフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103150(P2013−103150A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247075(P2011−247075)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】