説明

フィルタ要素と協働するドレンを有するキャニスタフィルタシステム

【課題】キャニスタ内の流体が高圧である用途に、十分に適応させること。
【解決手段】キャニスタフィルタシステム(1)は、基体(10)と、基体(10)に取付け可能なキャニスタ(20)と、キャニスタ(20)の内側に位置付けられたフィルタ媒体(31)を有するフィルタ要素(30)とを含む。ドレン(40)は、閉位置でフィルタ要素(30)と係合して、フィルタ要素とシールを形成する。開位置で、ドレン(40)は、キャニスタ(20)からの流体の取り除きを可能にする。ドレン(40)は、閉位置でフィルタ要素(30)に係合して、フィルタ要素とシールを形成するので、フィルタ要素(30)がキャニスタ(20)の内側に存在しない限り、ドレン(40)を閉鎖できない。これによって、フィルタ要素(30)が適所にない限り、フィルタシステム(1)の偶然又は意図的な使用が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示の分野はフィルタシステムである。より詳しくは、この分野は、キャニスタから液体を排出するためのドレンを有する潤滑油又は液体燃料のような液体用のキャニスタフィルタシステムである。
【背景技術】
【0002】
キャニスタフィルタシステムは、内燃機関のような装置、建設及び採鉱機械、及び多くの他の種類の工業機械に、今日広範囲に使用されている。これらのシステムは、燃料システム、潤滑油システム、油圧流体動力システム、油圧流体制御システム、変速機流体システム、エンジン吸気システム等の流体から汚染物質を濾過するために使用される。
【0003】
キャニスタフィルタシステムは、典型的に、装置に取り付けられることが多い基体と、キャニスタ(時にハウジング、カップ、缶、又はカバーとも呼ばれる)と、キャニスタの内側に取り外し可能に位置付けられるフィルタ要素とを含む。フィルタ要素がキャニスタの内側に位置付けられた後、キャニスタは、ねじ又は他の取付け手段で基体に取り付けられて、フィルタ要素の周りにシール区画を形成する。キャニスタ、基体及びフィルタ要素は協働して、流体がフィルタ要素を通して導かれる流体路を画定する。フィルタ要素は、流体が通過するときに汚染物質を捕捉して、収集するフィルタ媒体を含む。捕捉された汚染物質は、泥、水、すす、灰、金属粒子、及び他の有害な破片を含み得る。
【0004】
場合によっては、これらの汚染物質は、フィルタ媒体を詰まらせ、その有効性を低下させる。あるいは他の状態が時間の経過につれて発展することがあり、これも、汚染物質を取り除くフィルタ媒体の有効性を低下させる。このことが生じたとき、フィルタ要素を交換すべきである(あるいはおそらくは洗浄すべきであるが、このことは、大部分の用途には実用的でない)。しかし、フィルタ要素のみを交換するだけで済み、キャニスタ、基体及び他の構成要素は再利用される。フィルタ要素は、簡便に交換されかつ容易に廃棄処理されるように設計される。フィルタ要素は、特定の用途のために確立された周期的な保守スケジュールの指導に従って、要求に応じて、すなわち、フィルタが詰まり、交換を必要とするときに、あるいは周期的に交換することができる。
【0005】
キャニスタフィルタシステムは、スピンオンフィルタのような他のフィルタシステムに較べ多くの利点を有することができる。例えば、キャニスタフィルタシステムには、比較的安価にドレンを設けることができる。こぼれを回避するために、技術者は、フィルタ要素を交換するためにキャニスタを取り外す前に、制御かつ自制してキャニスタから流体を取り除くことを望むかもしれない。ドレンは、キャニスタの内側にある流体の取り除きを促進する。ある状況では、キャニスタを基体から取り外す前に流体がキャニスタから最初に取り除かれない場合、流体はこぼれる可能性がある。ドレンは、典型的にキャニスタに一体化される。キャニスタフィルタシステムでは、ドレンは、一般に、再利用されまた1度のみ購入されるキャニスタのコストを単に増加させ、また一般に、しばしば交換されまた多くの回数購入されるフィルタ要素のコストを増加させないので、ドレンを含む追加コストは、装置所有者の運転コスト全体を大きく増加させることはない。
【0006】
2004年11月9日に付与された(特許文献1)は、ドレンをキャニスタに組み込んだ従来技術のキャニスタフィルタシステムの例である。(特許文献1)の図1は、ドレンが一体化されたキャニスタ14を示している(ドレンには、参照番号が付与されておらず、図1のキャニスタ14の底部に組み込まれているのが示され、また閉位置で示されている)。
【0007】
(特許文献1)はまた、キャニスタフィルタシステムの重要性を増している他の特徴部の例である。(特許文献1)に記載されたフィルタシステムの構成では、最初にフィルタ要素をキャニスタに適切に取り付けることなしには、キャニスタを基体に取り付けることは不可能である。これによって、例えば、適所のフィルタ要素なしには偶然に又は意図的に機械を運転することが防止される。燃料ポンプ、燃料噴射器、油圧ポンプ、弁、軸受、エンジン等のような構成要素は、より高価、よりハイテクとなり、かつより厳しい許容公差及び仕様で製造されるので、これらの構成要素を汚染から保護することがますます重要である。汚染は、予定より早い摩耗及びさらに故障の原因となり得、また構成要素が部品間で厳しい許容公差を有するか又は非常に高価である場合、問題は大きくなる。したがって、いくつかの用途では、適所に適切なフィルタ要素なしには、技術者が偶然に又は意図的に機械を運転しないことを保証することが非常に有利であり得る。
【0008】
しかし、(特許文献1)のフィルタシステムは、いくつかの用途では十分に機能するが、このシステムには複数の不都合があり得るか、さもなければ他の用途には十分に適していない。例えば、(特許文献1)のフィルタシステムは、キャニスタ内の流体が高圧である用途には十分に適していない可能性がある。基体へのキャニスタの連結はフィルタ要素を介しているので、キャニスタ内の高圧の力はフィルタ要素を通して反応させられる。それは、ある用途の圧力にとっては十分に強くない可能性がある。さらに、キャニスタと基体との間のOリングは、キャニスタの内側の高圧を保持するようには意図されていない。
【0009】
フィルタ要素の中心管内のねじの存在は、ある状況で不都合であり得る。フィルタ要素及びキャニスタを基体に連結するために使用される中心管内のねじは、システムからの清浄な流体路に配置される。清浄な流体路内のねじは、汚染の一因となり得る。
【0010】
さらに、(特許文献1)に記載されたシステムのキャニスタは、ある用途では製造が比較的複雑かつ高価であり得る。キャニスタの底部に組み込まれた連結構造は、ある用途ではあまりに多くのコストを追加する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,814,243号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの不都合のため、取り付けられたフィルタ要素なしには偶然に又は意図的にフィルタシステムを使用することをなお防止するが、同様に、(特許文献1)によって提起される不都合のあるもの又はすべてから解放される他のキャニスタフィルタ構造が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
キャニスタフィルタシステムは、基体と、基体に取付け可能なキャニスタと、キャニスタの内側に位置付けられたフィルタ媒体を有するフィルタ要素とを含む。ドレンは、それが閉位置にあるときにフィルタ要素とシールを形成し、解放可能にフィルタ要素に係合することが可能である。開位置では、ドレンは、キャニスタからの流体の取り除きを可能にする。ドレンは、閉位置でフィルタ要素とシールを形成し、解放可能にフィルタ要素に係合することが可能であるので、フィルタ要素がキャニスタの内側に適切に位置付けられない場合、ドレンを閉鎖することはできない。これによって、適所のフィルタ要素なしには、フィルタシステムの偶然又は意図的な使用が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】基体、キャニスタ、フィルタ要素を含むキャニスタフィルタシステムの切開図である。
【図2】閉位置のドレン40を有する図1の詳細図である。
【図3】開位置のドレン40を有する図1の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次は、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明である。本明細書に記載しかつ図面に示した例示的な実施形態は、本発明の原理を教示するように意図され、当業者が、異なる多くの環境でかつ異なる多くの用途のために本発明を製造して使用することを可能にする。例示的な実施形態は、特許保護の範囲を制限する説明と考えられるべきでない。特許保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、本明細書に記載した特定の実施形態よりも広範囲であるように意図される。
【0016】
図1は、基体10、キャニスタ20、及びフィルタ要素30を有するキャニスタフィルタシステム1を示している。キャニスタフィルタシステムの一般的な構造及び使用は、当業者によって理解される。したがって、キャニスタフィルタシステム1の構造及び使用の詳細のすべてをここで説明する必要はない。キャニスタフィルタシステム1は、ディーゼル燃料又はガソリン燃料あるいは他の液体燃料のような流体、エンジン潤滑オイル、油圧動力システム用の油圧流体、変速機流体、あるいはおそらくはエンジン用の吸気を濾過するために使用し得る。キャニスタフィルタシステム1はまた、燃料/水分離のフィルタとして使用し得る。本明細書に記載した特徴部を有するキャニスタフィルタシステム1は、異なる多くの目的に役立ち、多くの他の用途に合わせるために、当業者によって適合できるであろう。
【0017】
基体10は、キャニスタフィルタシステム1内への流体入口用の入口チャンネル11と、キャニスタフィルタシステム1からの流体出口用の出口チャンネル12とを含む。基体はまた、基体ねじ13を含む。
【0018】
キャニスタ20は、開口端部21及び閉鎖端部22を含む。開口端部21には、基体ねじ13と係合して、キャニスタ20を基体10に保持できるキャニスタねじ23が隣接している。ねじは、解放可能な係合を形成するために基体10及びキャニスタ20に含まれ得る係合構造体の一例である。当業者によって認識されるように、他の係合構造体を使用してもよい。
【0019】
フィルタ要素30は、特定の用途に合わせるために異なる多くの形状をとることが可能である。例示した実施形態では、フィルタ要素30は、燃料又は潤滑油を濾過するのによく適している。フィルタ要素30は、中心管32によって画定された中心リザーバを円周方向に囲む環状に配置されたフィルタ媒体31を含んでもよい。フィルタ媒体31の軸方向端部は、端部板によってシールされる。開口端部板33は、フィルタ要素30の軸方向開口端部を画定する。開口端部板33は、「開口」と呼ばれるが、この理由は、開口端部板が、中心管32によって画定された中心リザーバから出口チャンネル12への流体の通過を可能にするための開口部35を含むからである。開口端部板34は、フィルタ要素30の軸方向閉鎖端部を画定する。閉鎖端部板34は、「閉鎖」と呼ばれるが、この理由は、閉鎖端部板が、フィルタ媒体31の軸方向端部に隣接するフィルタ要素30の外側の流体が濾過されずに中心管32に流入することを防止するからである。開口端部板33及び閉鎖端部板34のそれぞれは、溶接、接着剤等によって中心管32に接合することが可能である。代わりに、中心管32、開口端部板33及び閉鎖端部板34のいくつか又はすべては、一体成形の構成要素として構成してもよい。
【0020】
濾過すべき流体は、入口チャンネル11から入り、キャニスタ20とフィルタ媒体31との間の環状空洞28に流れる。次に、流体は、フィルタ媒体31内をそれを通して、次に図1の中心管32に示した穿孔を通して中心管内を通過する。流体は、開口端部板33及び開口部35を通して中心管32を出て、出口チャンネル12内に入る。開口端部板33及び閉鎖端部板34は、フィルタ媒体31内へのまたそこからの流体チャンネルを画定するのを補助し、流体が出口チャンネル12に直接流れ、フィルタ媒体31を迂回することを防止する。第1及び第2の環状シール38と39は、フィルタ要素30に含めることが有利であり、同様に、フィルタ要素30内へのまたそこからの流体通路を画定しかつシールすることを補助し得る。第1の環状シール38は、開口部35の周りのまたフィルタ要素30の軸方向開口端部に隣接する開口端部板33に含めて、出口チャンネル12から入口チャンネル11をシールすることを補助し得る。第1の環状シール38よりも大きな直径の第2の環状シール39は、開口端部板33の周りに円周方向に形成して、キャニスタ20と基体10との間にシールを提供することが可能であり、あるいは言い換えれば、入口チャンネル11内の流体がキャニスタ20と基体10との間の接合部から漏れることを防止するためのシールを提供する。第1及び第2の環状シール38と39は、開口端部板33と一体形成するか、あるいは当分野で公知のように接着剤又は他の方法で取り付けてもよい。第1及び第2の環状シール38と39が、開口端部板33に一体形成されるか又は含まれる場合、フィルタ要素が適切な間隔で交換されるときに、これらのシールの適切な交換が確実にされる。さもなければ、技術者は、適切な間隔で、適切にシールを交換できない可能性があり、この結果、システムからの漏れを生じるか、あるいはシステム内の漏れにより、濾過されていない流体がフィルタ要素31を迂回して、汚染をもたらす可能性がある。
【0021】
次に、図2と図3を参照すると、ドレン40はキャニスタ20の閉鎖端22を貫通している。ドレン40は、キャニスタ20の内側から流体を取り除くためのドレンチャンネル41を提供する。ドレン40は細長く、ドレンチャンネル41によって互いに連結された入口端部42と出口端43を含む。入口端部42は、キャニスタ20の内側に位置付けられる。出口端部43は、キャニスタ20の外側に位置付けられる。ドレン40は、閉位置と開位置との間で移動可能である。図2の閉位置では、流体は、ドレンチャンネル41を通して流れることはできない。図3の開位置で、流体は、入口端部42から、ドレン通路41を通して、出口端部43から流れることができる。ドレン40は、異なる多くの用途に合うように適合されることができる。図示した実施形態は、ドレン40用の1つのみの例示的な構造を提供する。
【0022】
キャニスタ20は、閉鎖端部22にドレンボス24を含む。ドレンボス24は、閉鎖端部22から外に突出し、この閉鎖端部に、調整可能な開口端のレンチのような工具がドレンボス24に係合して、キャニスタ20を回転させることを可能にするであろう表面を含み得る。ドレンボス24は孔25を形成する。ドレン40は、孔25に位置付けられ、孔25内で軸方向に摺動して、回転することができる。Oリング溝44は、ドレン40の外側の周りに形成され、Oリングはその中に位置付けられる。代わりに、Oリング溝は孔25に形成してもよい。Oリングは、ドレン40とドレンボス24との間から孔25を通したキャニスタ20からの流体漏れを防止する。
【0023】
ドレン40は、フィルタ要素30と協働して、ドレン40がその閉位置にあるときにフィルタ要素30と解放可能な係合と、フィルタ要素30と解放可能なシールとを形成することが可能である。例示した実施形態では、ドレン40は、解放可能なねじ連結部を含む係合構造体によってフィルタ要素30と解放可能な係合を形成する。閉鎖端部板34は、ねじ37が設けられるポケット36を形成し得る。ねじ37は、ポケット36の内面に形成される。相互のねじ45は、ドレン40の入口端部42の近くに形成し得る。ドレン40は、ねじ37と45を共にねじ込むことによってフィルタ要素30と係合し得る。ねじは、解放可能な係合を形成するためにフィルタ要素30及びドレン40に含まれ得る係合構造体の一例である。当業者によって認識されるように、ある用途の特定の利点のために、他の公知の係合構造体を使用してもよい。
【0024】
ドレン40の閉位置にあるとき、ドレンがフィルタ要素30と解放可能に係合することにより、事実上いかなる流体もドレン40の入口端部42に入ることができないように、解放可能なシールがフィルタ要素30により形成される。解放可能なシールは、例示した実施形態では、ドレン通路41と入口端部42の半径方向外側との間に延在する入口開口部46と、ドレン40がシールされるときに入口開口部41を受容するポケット36とを含むシール構造体により形成される。ドレン40をその閉位置に入れることにより、入口開口部46がポケット36の内側に移動され、事実上いかなる流体も入口開口部46に入ることができないように入口開口部をブロックする。さらに、Oリング溝47をドレン40に形成し、その中にOリングを位置付けてもよい。このOリングは、流体がドレン40とポケット36との間から漏れて、入口開口部46に入ることを防止する追加の保護を提供し得る。Oリングをポケット36の内側に位置付ける代わりに、Oリングはまた、ドレン40と閉鎖端部板34の他の部分との間に位置付けることができ、Oリングは、ドレン40の代わりに閉鎖端部板33に形成された溝に位置付けることができるであろう。ドレン40をその閉位置に移動させるとき、ドレンがポケット36内に前進するにつれ、その中に捕捉された流体は逃し通路を必要とし得る。この経路は、ドレン40の軸方向入口端部42を通してドレン通路41の開口を可能にすることによって設けることが可能である。
【0025】
ポケット36は、開口端部36a、平滑部分36bと、ねじ付き部分36cと、閉鎖端部36dとを含む。閉鎖端部36dは、何らの流体も中心管32からポケット36及び入口開口部46に流入しないであろうこと、また逆もまた同様であることを保証する。ねじ37は、ねじ付き部分36cに形成される。平滑部分36bは、ドレン40の表面に密着して、流体が開口端部36aと入口開口部46との間に入って、開口端部36aから入口開口部46に流れることを防止することによってシール構造体の部分として作用し得る。平滑部分36bはまた、流路に対する追加の保護のために、Oリング溝47のOリングがシールし得る表面を提供することが可能である。平滑部分36bの表面の平滑性の維持を補助するために、この部分の直径は、ねじ37の主直径37よりも大きいことが可能であり、平滑部分36bとねじ付き部分36cとの間にリップ部36eを形成する。平滑部分36bのより大きな直径は、シール目的に使用される平滑面のドレン40のねじ45による劣化を回避することを補助する。
【0026】
開位置にあるとき、ドレン40は、フィルタ要素30から少なくとも部分的に係合解除され、流体がドレン通路41に流入するように入口開口部46が開口する。ねじ付き係合による例示した実施形態では、ドレン40を開位置に入れるには、ドレン40を回転させて、ねじ37と45を係合解除することが必要である。ねじ37と45が係合解除するとき、ドレン40の入口端部42がポケット36から前進し、入口開口部46をブロック解除する。共に、これらの特徴により、入口開口部46がポケット36から後退して、平滑部分36b及び開口端部36aをクリアにするときを除いて、何らの流体もドレン40の入口端部42に入らないであろうことが保証される。次に、流体は、キャニスタ20の内部から入口開口部46を通して、ドレン通路41を通して流れ、ドレン40の出口端部43を通して出ることができる。
【0027】
フィルタ要素30のねじ37及びポケット36は、必ずしも閉鎖端部板34に形成される必要はない。ねじ37及びポケット36は、当業者によって理解されるように、中心管32の部分又はフィルタ要素30の何か他の部分としても形成できるであろう。
【0028】
ドレン40が閉位置にあるときに流体がドレン40を流れることができず、またドレン40が開位置にあるときに流体がドレン40を流れることが可能であるように、他の特徴及び構造を使用して、ドレン40とフィルタ要素30との協働を行うことが可能である。例えば、フィルタ要素30及びドレン40は、ドレン40がフィルタ要素30と解放可能なシールを形成して、ドレン40を閉じるが、フィルタ要素及びドレンが解放可能に係合しないであろうように構成できるであろう。その代わりに、一例として、フィルタ要素30及びドレンはキャニスタ20と独立して係合でき、ドレン40を閉位置に移動させることは、ドレン40を上方に移動させて、フィルタ要素30と解放可能なシールを形成するが、フィルタ要素に解放可能に係合しないことを包含するであろう。
【0029】
ドレン40とフィルタ要素30との間の解放可能な係合及び解放可能なシールは、複数の利点を有する。第1に、係合及び/又はシールにより、システムを使用できる前にフィルタ要素30がキャニスタ20の内側に配置されることが保証される。技術者は、フィルタ要素30なしには、偶然に又は意図的にシステムを組み立てないであろうが、この理由は、フィルタ要素なしには、ドレン40を閉鎖できないからである。フィルタ要素30の存在を保証することにより、流体の適切な濾過の保証が補助される。
【0030】
中心管32から出口チャンネル12への清浄な流体経路にねじ連結部がないことにより、汚染の可能性が低減される。清浄な濾過された流体路のねじ連結部は、潜在的な汚染源であると認識されている。金属製構成要素又はプラスチック製構成要素に、他の方法でねじが切断されるか又は形成される場合、少量の破片がねじに残されることが多い。ねじ連結部が作られるとき、破片は、ねじ込み作用によって取り除かれることがあり、次に清浄な流体路に入ることができ、下流の構成要素の汚染をもたらす。したがって、清浄な流体路のねじの回避により、この潜在的な汚染源が排除される。
【0031】
フィルタ要素30にねじを設けることにより、ある仕方でねじが交差される(crossed)か又は損傷を受けた場合、ねじ連結部を修理するための簡便な手段が提供される。ねじ連結部がキャニスタ20とドレン40との間にある場合(従来技術のシステムのように)、他のある方法でねじが交差されるか又は損傷を受けた場合、キャニスタ20又はドレン40、あるいはその両方を交換しなければならない。フィルタ要素30に形成されたねじ37がプラスチックで形成され、一方で、ドレン40のねじ45がより硬い材料(おそらくはアルミニウム又は他の金属)で形成される場合、ねじ37と45が交差した場合、おそらくねじ37のみが損傷を受けるであろう。ねじ37は、フィルタ要素30を交換することによって容易に交換可能である。最後に、ドレン40とフィルタ要素30との間の係合により、フィルタ要素をキャニスタ20の内側に確実に保持するための手段が提供される。
【0032】
フィルタ要素30をキャニスタ20の内側に保持することは、フィルタ要素30の取付け及び交換中にいくつかの利点を有し得る。例えば、キャニスタ20は、フィルタ要素30が抜け落ちることなく、残余の流体を排出するために技術者によって逆さまにすることができる。同様に、フィルタ要素30は、キャニスタ20が基体10に取り付けられるときに、フィルタ要素30が基体10の特徴部と整列するように、キャニスタ20の内側の正しい位置に保持することができる。
【0033】
いくつかの用途で、他の利点も実現することが可能である。ある用途では、ドレン(例えばねじ)に係合するための何らの構造体もキャニスタに必要とされないので、キャニスタ20の製造を単純化し得る。
【0034】
ドレンノブ50は、ドレン40の閉位置と開位置との間で移動するためにドレンの回転を容易にする。ドレンノブ50は、キャニスタ20の外側のドレン40を中心に選択的に位置付けることが可能である。ドレンノブ50は、ドレン40の外側に形成されたスプライン48と噛合するスプラインス51を含む。スプライン51、48は、ドレンノブ50がドレン40に対し軸方向に移動する(ドレン40の回転軸に対し平行の軸に沿って)ことを可能にするが、ドレンノブ及びドレンの2つを回転可能に互いに結ぶ。ドレンノブ50を回転させることにより、ドレン40の対応する回転が引き起こされる。
【0035】
さらに、ドレンノブ50は、ドレンボス24の相互のカム表面26と係合するカム表面52を含む。ばね53は、ドレン40とドレンノブ50との間で作用し、カム表面52をカム表面26と係合するように付勢する。カム表面52と26が互いに係合するとき、それらは、ドレンノブ50がキャニスタ20に対し単一の方向にのみ回転することを許容する。カム表面52と26を形成して、ドレンノブ50及びドレン40のその閉位置の方向の回転(図示した実施形態の時計回りに)を許容するが、カム表面52と26が係合解除されない限り、ドレン40がその開位置に向かって反対方向に回転することを阻止し得る。ばね53のバイアスに対抗してドレンノブ50を引っ張って、2つのカム表面52、26を分離することによって、カム表面を係合解除し得る。カム表面52、26は、カムを設けることによって一方向の相対的な回転を許容し、この場合、カムは一方向に互いに摺動可能である。カム表面52、26は、干渉するか又はぶつかる正の停止表面を設けることによって他方向の相対的な回転を阻止する。
【0036】
ばね27は、ドレン40とキャニスタ20との間に選択的に作用し得る。ばね27は、ドレン40をキャニスタ20内に付勢する。これにより、フィルタ要素30を挿入及び取り除く際に利点が提供される。例えば、ドレンノブ50と協働して、ドレン40を上方に付勢することにより、カム表面に52、26は、ドレン40に係合して、一方向のドレン40の回転を一時的にブロックする。図に示したように位置付けられたばね27により、またカム表面52と26により、技術者は、一方の手でキャニスタ20を保持し、他方の手でフィルタ要素30を回転させて、フィルタ要素30とドレン40とを係合させることによって、交換用フィルタ要素30を簡単に取り付けることができる。
【0037】
キャニスタフィルタシステム1は、フィルタ要素30をキャニスタ20の内側に最初に位置付けることによって組み立てることが可能である。キャニスタ20は、フィルタ要素30が通過し得る開口端部21と、閉鎖端部22とを含む。次に、ドレン40がフィルタ要素30に係合させられる。ドレン40は、キャニスタ20の孔25を通過し、入口端部42はキャニスタ内に突出して、フィルタ要素30と係合する。好ましくは、フィルタ要素30及びドレン40が最初に完全に係合し、これにより、同時にドレンが閉位置に移動され、その後、キャニスタ20が基体10と最後に係合して、組立体を完成する。
【0038】
第1及び第2の環状シール38と39(図1参照)がフィルタ要素30と一体形成されるか又はそれに取り付けられた状態で、フィルタ要素30が交換されるときに、システム1のシール機能を提供する表面及びシールの多くが交換される。これにより、システム1の寿命にわたるシステムの適切な機能の保証が補助される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
キャニスタフィルタシステム1を使用して、ドレン40を使用して流体の簡便な排出を許容しつつ、燃料システム、潤滑油システム、油圧流体動力システム、油圧流体制御システム、変速機流体システム、エンジン吸気システム等を含む流体システムから汚染物質を濾過することが可能である。ドレン40とフィルタ要素30との配置のため、技術者は、フィルタ要素30が適所にない限り、偶然に又は意図的にシステム1を操作することから防止される。この操作性の制限により、汚染に対し敏感な構成要素を保護することが補助される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ要素であって、
中心リザーバを囲む環状フィルタ媒体と、
前記中心リザーバの第1端部にあって、前記中心リザーバから前記フィルタ要素の外側に流体が流れることを可能にする開口部をもつ軸方向開口端部と、
前記第1端部と反対側の前記中心リザーバの第2の端部の軸方向閉鎖端部であって、流体が前記中央リザーバの内側に入りまたは外側に出るようには前記軸方向閉鎖端部を通過しない、前記軸方向閉鎖端部と、
前記軸方向閉鎖端部に隣接して形成されてドレンを受けるポケットであって、前記ポケットは、閉鎖端部、開口端部、および前記開口端部から前記閉鎖端部の閉鎖側壁を有し、前記ポケットの前記閉鎖側壁は、ねじ付き部分、および前記開口端部と前記ねじ付き部分との間に間挿された平滑部分を含み、前記フィルタ要素は外側ハウジング内に配置されるように構成される、前記ポケットと、
を備えるフィルタ要素。
【請求項2】
前記平滑部分は、前記ドレンと実質的に密閉係合するよう構成される請求項1のフィルタ要素。
【請求項3】
前記平滑部分は、前記ドレンのシールと実質的に密閉係合するよう構成される請求項1のフィルタ要素。
【請求項4】
前記平滑部分は、前記ドレンのOリングシールと実質的に密閉係合するよう構成される請求項1のフィルタ要素。
【請求項5】
前記平滑部分は、実質的な円筒部分を含む請求項1のフィルタ要素。
【請求項6】
前記平滑部分は、前記ポケットの前記開口端部から前記ねじ付き部分に延在する請求項1のフィルタ要素。
【請求項7】
前記軸方向開口端部は開口端部板を含み、前記軸方向閉鎖端部は閉鎖端部板を含み、前記中心リザーバは、前記開口端部板と前記閉鎖端部板とを結合する中心管によって形成される請求項1のフィルタ要素。
【請求項8】
フィルタ要素であって、
中心リザーバを囲む環状フィルタ媒体と、
前記中心リザーバの第1端部にあって、前記中心リザーバから前記フィルタ要素の外側に流体が流れることを可能にする開口部をもつ軸方向開口端部と、
前記第1端部と反対側の前記中心リザーバの第2の端部の軸方向閉鎖端部であって、流体が前記中央リザーバの内側に入りまたは外側に出るようには前記軸方向閉鎖端部を通過しない、前記軸方向閉鎖端部と、
前記軸方向閉鎖端部に隣接して形成されてドレンを受けるポケットであって、前記ポケットは、閉鎖端部、開口端部、および前記開口端部から前記閉鎖端部の閉鎖側壁を備え、前記ポケットの前記閉鎖側壁は、ねじ付き部分、および前記開口端部と前記ねじ付き部分との間に間挿された実質的に円筒の平滑部分を含み、前記フィルタ要素は外側ハウジング内に配置されるように構成される、前記ポケットと、
を備えるフィルタ要素。
【請求項9】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記実質的に円筒の平滑部分は、前記ドレンと実質的に密閉係合するよう構成される請求項8のフィルタ要素。
【請求項10】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記実質的に円筒の平滑部分は、前記ドレンのシールと実質的に密閉係合するよう構成される請求項8のフィルタ要素。
【請求項11】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記実質的に円筒の平滑部分は、前記ドレンのOリングシールと実質的に密閉係合するよう構成される請求項8のフィルタ要素。
【請求項12】
前記平滑部分は、前記ポケットの前記開口端部から前記ねじ付き部分に延在する請求項8のフィルタ要素。
【請求項13】
前記軸方向開口端部は開口端部板を含み、前記軸方向閉鎖端部は閉鎖端部板を含み、前記中心リザーバは、前記開口端部板と前記閉鎖端部板とを結合する中心管によって形成される請求項8のフィルタ要素。
【請求項14】
フィルタ要素であって、
中心リザーバを囲む環状フィルタ媒体と、
前記中心リザーバの第1端部にあって、前記中心リザーバから前記フィルタ要素の外側に流体が流れることを可能にする開口部をもつ軸方向開口端部と、
前記第1端部と反対側の前記中心リザーバの第2の端部の軸方向閉鎖端部であって、流体が前記中央リザーバの内側に入りまたは外側に出るようには前記軸方向閉鎖端部を通過しない、前記軸方向閉鎖端部と、
前記軸方向閉鎖端部に隣接して形成されてドレンを受けるポケットであって、前記ポケットは、閉鎖端部、開口端部、および前記開口端部から前記閉鎖端部の閉鎖側壁を備え、前記閉鎖側壁は、ねじ付き部分、および前記開口端部と前記ねじ付き部分との間に間挿された平滑部分を含み、前記平滑部分は、前記ドレンと結合して、それと共にシールを形成するように構成され、前記フィルタ要素は外側ハウジング内に配置されるように構成される、前記ポケットと、
を備えるフィルタ要素。
【請求項15】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記平滑部分は、前記ドレンのシールと係合して、それと共にシールを形成するように構成される請求項14のフィルタ要素。
【請求項16】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記平滑部分は、前記ドレンのOリングシールと係合して、それと共にシールを形成するように構成される請求項14のフィルタ要素。
【請求項17】
前記ポケットの前記閉鎖側壁における前記平滑部分は、実質的な円筒部分を含む請求項14のフィルタ要素。
【請求項18】
前記平滑部分は、前記ポケットの前記開口端部から前記ねじ付き部分に延在する請求項14のフィルタ要素。
【請求項19】
前記軸方向開口端部は開口端部板を含み、前記軸方向閉鎖端部は閉鎖端部板を含み、前記中心リザーバは、前記開口端部板と前記閉鎖端部板とを結合する中心管によって形成される請求項14のフィルタ要素。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−63437(P2013−63437A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268250(P2012−268250)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2010−529914(P2010−529914)の分割
【原出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】