説明

フィルタ部材およびフィルタエレメント

【課題】本発明は、濾過性能の低下が抑制されるフィルタ部材を提供する。
【解決手段】フィルタ部材33は、主濾過部36と、副濾過部37とを備える。主濾過部36は、濾過すべき液L1が流入する外面36eを有する。外面36eにおいて、主流れ流入部36gに、凹部39を形成する。副濾過部37は、外面36eに設けられて凹部39の開口39aを遮る。副濾過部37は、主濾過部36よりも濾過性能が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧機械の作動油循環系に設けられ、作動油などの濾過すべき液を濾過するフィルタ部材およびフィルタ部材を備えるフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧機械では、作動油などの濾過すべき液の循環系に、フィルタエレメントが設けられている。フィルタエレメントは、フィルタ部材を備えている。フィルタ部材は、濾過すべき液を濾過する。濾過すべき液は、フィルタ部材を通過する際に濾過される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−170422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、フィルタエレメントが設けられる油圧機械によっては、濾過すべき液の流速が速い場合がある。このような油圧機械では、濾過すべき液の一部がフィルタ部材に突き当たる。そして、フィルタ部材において濾過すべき液が突き当たった部位に、強い衝撃が入力される。この衝撃は、フィルタ部材を破損することが考えられる。
【0004】
フィルタ部材は、破損すると、濾過すべき液を充分に濾過することができなくなる。つまり、フィルタ部材の濾過性能は、低下する。それゆえ、フィルタ部材の破損は、フィルタエレメントが設けられる油圧機械に不具合を生じる原因になることが考えられる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、濾過性能の低下が抑制されるフィルタ部材を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記フィルタ部材を備えるフィルタエレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフィルタ部材は、主濾過部と、副濾過部とを備える。主濾過部は、濾過すべき液が流入する流入部を有する。流入部において、少なくとも濾過すべき液の主流れが流入する部位に、凹部を形成する。副濾過部は、流入部に設けられて凹部の開口を遮る。副濾過部は、主濾過部よりも濾過性能が低い。
【0008】
なお、濾過すべき液の主流れとは、濾過すべき液の流れのうち、フィルタ部材に突き当たる流れである。
【0009】
このように構成されるフィルタ部材では、主流れは、副濾過部を通過する際に拡散される。副濾過部によって拡散された主流れは、凹部内を進む過程でさらに拡散される。主流れの勢いは、主流れが主濾過部に到達する時点では、充分に弱まる。このため、主濾過部は、濾過すべき液の主流れによって破損することが抑制される。
【0010】
この発明の好ましい形態では、流入部を主濾過部の外面に形成する。
【0011】
この発明の好ましい形態では、主濾過部は、筒状である。流入部を主濾過部の内面に形成する。
【0012】
この発明の好ましい形態では、副濾過部は、透視性を有する。
【0013】
この発明の好ましい形態では、副濾過部を樹脂で形成する。
【0014】
本発明のフィルタエレメントは、濾過すべき液を濾過するフィルタ部材を備え、濾過すべき液の流路中に設けられる。
【0015】
フィルタ部材は、主濾過部と、副濾過部とを備える。主濾過部は、濾過すべき液が流入する流入部を有する。流入部において少なくとも濾過すべき液の主流れが流入する部位に、凹部を形成する。
【0016】
副濾過部は、流入部に設けられて凹部の開口を遮る。副濾過部は、主濾過部よりも濾過性能が低い。
【0017】
このように構成されるフィルタ部材を備えるフィルタエレメントでは、主流れは、副濾過部を通過する際に拡散される。副濾過部によって拡散された主流れは、凹部内を進む過程でさらに拡散される。主流れの勢いは、主流れが主濾過部に到達する時点では、充分に弱まる。このため、主濾過部は、濾過すべき液の主流れによって破損することが抑制される。
【0018】
この発明の好ましい形態では、流入部を主濾過部の外面に形成する。
【0019】
この発明の好ましい形態では、主濾過部は、筒状である。流入部を主濾過部の内面に形成する。
【0020】
この発明の好ましい形態では、フィルタエレメントは、さらに、ハウジングを備える。ハウジングは、内側にフィルタ部材を収容する。ハウジングの外壁に、濾過すべき液が通過可能な孔を形成する。
【0021】
この発明の好ましい形態では、副濾過部を最も外側に位置させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のフィルタ部材によれば、濾過すべき液の主流れの勢いは、主濾過部に到達する時点では、充分に弱まる。それゆえ、濾過すべき液の主流れによって、主濾過部が破損することが抑制される。このため、フィルタ部材の濾過性能は、低下することが抑制される。
【0023】
本発明のフィルタエレメントによれば、濾過すべき液の主流れの勢いは、主濾過部に到達する時点では、充分に弱まる。それゆえ、濾過すべき液の主流れによって、主濾過部が破損することが抑制される。このため、フィルタ部材の濾過性能は、低下することが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係るフィルタエレメントを、図1から図4を参照して説明する。
【0025】
図1は、濾過装置10が循環回路20に組み込まれている状態を示している。循環回路20は、例えば油圧アクチュエータに用いられる作動油などの濾過すべき液L1が循環している。循環回路20は、本発明で言う、濾過すべき液L1の流路の一例である。濾過装置10は、濾過すべき液L1を濾過する。濾過装置10は、フィルタエレメント30と、第1の蓋50とを備えている。
【0026】
図2は、フィルタエレメント30を、一部切り欠いて示している。図2に示すように、フィルタエレメント30は、外側筒部材31と、内側筒部材32と、フィルタ部材33と、第1のプレート34と、第2のプレート35とを備えている。
【0027】
外側筒部材31は、例えば円筒形状である。外側筒部材31の側壁31aの略全域には、複数の第1の孔31bが形成されている。第1の孔31bは、外側筒部材31の外側と内側とを連通している。側壁31aは、本発明で言う、外壁の一例である。
【0028】
なお、図2中では、第1の孔31bは、側壁31aの一部にしか示されていないが、実際は、側壁31aの略全域に形成されている。外側筒部材31は、本発明で言う、ハウジングの一例である。第1の孔31bは、本発明で言う、孔の一例である。
【0029】
内側筒部材32は、外側筒部材31の内側に収容されている。内側筒部材32は、例えば外側筒部材31よりも小さい径を有する略円筒状である。内側筒部材32の高さは、外側筒部材31の高さと略同じである。
【0030】
内側筒部材32の側壁32aの略全域には、複数の第2の孔32bが形成されている。第2の孔32bは、内側筒部材32の外側と内側とを連通している。なお、図2中では、第2の孔32bは、側壁32aの一部にしか示されていないが、実際は、側壁32aの略全域に形成されている。
【0031】
フィルタ部材33は、主濾過部36と、副濾過部37とを備えている。
【0032】
主濾過部36は、シート状の主濾材36aから形成されている。具体的に説明すると、主濾過部36は、主濾材36aをひだ折りにした後に、該主濾材36aを円筒状に丸めることによって、形成されている。
【0033】
これにより、主濾過部36の形状は、略円筒プリーツ状である。主濾過部36の高さは、外側筒部材31と略同じである。主濾材36aには、例えば合成樹脂や紙パルプなどが用いられる。
【0034】
主濾過部36の外周には、複数のバンド部材38が巻き付けられている。主濾過部36は、バンド部材38が巻き付けられることによって、外側に広がることが抑制されている。つまり、バンド部材38は、主濾過部36の形状を、略円筒プリーツ状に維持している。
【0035】
主濾過部36は、主濾材36aがひだ折りにされることによって形成されているため、複数の山部36bと複数の谷部36cとを有している。図3は、図1中に示したF3−F3線に沿って示す断面図である。
【0036】
図3に示すように、山部36bは、主濾過部36の外側の折り目である。谷部36cは、主濾過部36の内側の折り目である。
【0037】
図4は、図3中に示されるF4を拡大して示している。図4に示すように、隣接する一対の山部36bと、それら一対の山部36bの間に位置する谷部36cとによって、凹部39が規定されている。
【0038】
凹部39は、開口39aを有している。開口39aは、隣接する山部36b間に規定される。それゆえ、凹部39は、主濾過部36の全周に形成されている。そして、各開口39aは、主濾過部36の外側に向かって開口している。
【0039】
図2に示すように、副濾過部37は、シート状の副濾材37aによって形成されている。具体的に説明すると、副濾過部37は、副濾材37aが主濾過部36の外周の略全域に巻き付けられることによって、主濾過部36の外側に設けられている。副濾材37aは、樹脂製のメッシュ材である。副濾材37aは、透明である。それゆえ、副濾過部37は、透明である。図3に示すように、副濾過部37は、主濾過部36の各凹部39の開口39aを遮っている。
【0040】
前記した構成により、図2に示すように、フィルタ部材33は、略円筒状に形成される。フィルタ部材33は、外側筒部材31と内側筒部材32とに略同軸に、かつ側壁部33aが外側筒部材31の側壁31aと内側筒部材32の側壁32aとの間に介在するように配置される。フィルタ部材33の側壁部33aとは、主濾過部36の側壁36dと副濾過部37の側壁37bとから構成される。
【0041】
フィルタ部材33は、濾過機能を有している。後述するように、濾過すべき液L1は、フィルタ部材33の側壁部33aを外側から内側へ通過する。その際、濾過すべき液L1中の不純物は、副濾過部37と主濾過部36とによって除去される。
【0042】
なお、副濾材37aは、メッシュ状であるので、濾過すべき液L1が通過すると、濾過すべき液L1中の不純物は、除去される。副濾過部37の濾過性能は、主濾過部36の濾過性能よりも低く設定されている。
【0043】
第1のプレート34は、例えば円板状である。図1に示すように、第1のプレート34は、外側筒部材31と、内側筒部材32と、フィルタ部材33とのそれぞれの一端が固定されている。
【0044】
第1のプレート34において、内側筒部材32の内側に対応する部位には、第3の孔34aが形成されている。第3の孔34aは、第1のプレート34を貫通している。
【0045】
第2のプレート35は、例えば円板状である。第2のプレート35は、外側筒部材31と、内側筒部材32と、フィルタ部材33とのそれぞれの他端が固定されている。第2のプレート35において、内側筒部材32の内側と対向する部位には、第4の孔35aが形成されている。第4の孔35aは、第2のプレート35を貫通している。
【0046】
前記した構成により、外側筒部材31と、内側筒部材32と、フィルタ部材33と、第1のプレート34と、第2のプレート35とが一体化されている。
【0047】
つぎに、第1の蓋50の一例を説明する。第1の蓋50は、本体部51と、取手部52と、嵌合部53とを有している。本体部51は、板状である。本体部51は、第2のプレート35の第4の孔35aを覆う大きさを有している。取手部52は、本体部51の一端面51aに設けられている。取手部52は、例えば作業員が濾過装置10を持つ際に、作業員が握る部位である。
【0048】
嵌合部53は、本体部51の他端面51bに設けられている。嵌合部53は、第4の孔35aと嵌合する大きさを有している。嵌合部53は、本体部51が第4の孔35aを覆った状態で第4の孔35aに嵌合する。
【0049】
第1の蓋50は、第2のプレート35の外面35bに取り付けられる。その際、嵌合部53が第4の孔35aに嵌合する。嵌合部53は、第4の孔35aに嵌合することによって、第4の孔35aの縁に締め付けられる。これにより、第1の蓋50は、第2のプレート35に固定される。そして、第1の蓋50は、第4の孔35aを液密に塞ぐ。
【0050】
つぎに、循環回路20の一例を説明する。図1に示すように、循環回路20は、収容部21を備えている。収容部21は、例えば上方が開口する凹状である。収容部21の開口は、第2の蓋22によって液密に塞がれる。第2の蓋22は、例えばボルト23などによって、収容部21に固定されている。
【0051】
収容部21内には、濾過装置10が収容される。収容部21内に濾過装置10が収容された状態において、第1の蓋50と第2の蓋22との間には、ばね24が設けられる。濾過装置10は、収容部21に収容されると、ばね24によって下方に付勢される。濾過装置10は、付勢されることによって、収容部21の底壁21aに押付けられる。それゆえ、濾過装置10は、収容部21内での姿勢が維持される。
【0052】
収容部21の底壁21aにおいて、第4の孔35aと対向する部位には、出口部25が設けられている。第1のプレート34の外面34bにおいて、第3の孔34aの周囲には、シール部26が設けられている。濾過装置10が収容部21内に収容されると、シール部26は、収容部21の底壁21aに押付けられることによって、出口部25と第3の孔34aとを液密にシールしている。
【0053】
収容部21の側壁28には、入口部27が設けられている。入口部27は、収容部21内に開口している。濾過すべき液L1は、入口部27から収容部21内へ流入する。濾過装置10によって濾過された濾過後の液L2は、出口部25から流出する。
【0054】
つぎに、濾過装置10の動作を説明する。
【0055】
図1に示すように、濾過すべき液L1は、入口部27から収容部21の内側へ流入する。このとき、入口部27から流入した濾過すべき液L1の主流れ1は、矢印で示すように、外側筒部材31の外面31cのうち、対向部31dに突き当たる。
【0056】
対向部31dは、外側筒部材31の外面31cにおいて、主流れ1が突き当たる部位である。本実施の形態では、対向部31dは、入口部27と対向している。
【0057】
主流れ1は、入口部27から流入する濾過すべき液L1の流れのうち、流入するときの勢いによって、フィルタ部材33に突き当たる流れである。
【0058】
主流れ1の一部1aは、対向部31d近傍の第1の孔31bを通って、外側筒部材31の内側へ流入する。図4に示すように、第1の孔31bを通過した濾過すべき液L1の主流れ1の一部1aは、副濾過部37の外面37cに突き当たる。
【0059】
副濾過部37は、メッシュ状の副濾材37aから形成されている。このため、副濾過部37の外面37cに突き当たった主流れ1の一部1aは、側壁37bを通過する過程で、濾過される。また、副濾過部37の外面37cに突き当たった主流れ1の一部1aは、副濾過部37の網目によって流れる方向が拡散される。
【0060】
副濾過部37を通過した主流れ1の一部1aは、凹部39内に進入する。主流れ1の一部1aは、凹部39内を進む過程でより拡散される。それゆえ、主流れ1の一部1aの勢いは、主濾過部36の側壁36dの外面36eにおいて、主流れ流入部36gに到達するころには、充分に弱まる。
【0061】
主流れ流入部36gは、主濾過部36において、主流れ1が流入する部位である。図3に示すように、主流れ流入部36gは、主流れ1が流入する部位の全体を示している。主流れ流入部36gは、対向部31dと、略向かい合う部位である。主流れ流入部36gは、本発明で言う、濾過すべき液の主流れが流入する部位である。
【0062】
主濾過部36の外面36eに到達した濾過すべき液L1は、外面36eから内側に向かって進入する。主濾過部36の外面36eは、本発明で言う、流入部として機能する。濾過すべき液L1は、主濾過部36の側壁36dを通過することによって、さらに濾過される。
【0063】
一方、濾過すべき液L1のうち、例えば外側筒部材31の外面31cに突き当たった後、跳ね返された液などは、収容部21内を満たす。収容部21に溜まった濾過すべき液L1は、濾過装置10の内側へ侵入する。収容部21に溜まった濾過すべき液L1の勢いは、充分弱まっている。それゆえ、収容部21に溜まった濾過すべき液L1は、外側筒部材31および副濾過部37に突き当たることはない。
【0064】
収容部21に溜まった濾過すべき液L1は、副濾過部37を通過する過程で濾過された後、主濾過部36に到達する。収容部21を満たした液も、前記したように、主濾過部36を通過する過程でさらに濾過される。
【0065】
図1に示すように、主濾過部36によって濾過された濾過後の液L2は、内側筒部材32の内側に出る。濾過後の液L2は、出口部25から出る。濾過後の液L2は、循環回路20を循環する。そして、濾後の液L2は、循環回路20を循環する過程で不純物を含むようになり、再び収容部21に戻される。
【0066】
外側筒部材31は、フィルタエレメント30が搭載される機器の振動によって、フィルタ部材33が収容部21の側壁28に接触することを防ぐ。
【0067】
このように構成される濾過装置10では、主濾過部36において主流れ流入部36gには、凹部39が形成されている。そして、副濾過部37は、副濾材37aが主濾過部36に巻き付けられことによって、主濾過部36の外側に設けられている。副濾過部37は、凹部39の開口39aを遮る。
【0068】
主流れ1は、副濾過部37に突き当たり、かつ副濾過部37を通過することによって拡散される。そして、副濾過部37を通過した主流れ1は、凹部39内を進むことによって、さらに拡散される。それゆえ、主濾過部36に到達した主流れ1の勢いは、充分に弱まる。
【0069】
このため、主濾過部36が主流れ37の勢いによって破損することが抑制される。つまり、フィルタ部材33の濾過性能が低下することが抑制される。
【0070】
また、主濾過部36は、略円筒プリーツ状に形成されている。そして、濾過すべき液L1は、主濾過部36の外面36eから流入する。それゆえ、濾過すべき液L1中の不純物は、主に副濾過部37の外面37cと、主濾過部36の外面36eとに付着する。それゆえ、フィルタ部材33の汚れ具合を確認しやすい。
【0071】
また、副濾過部37は、透明である。つまり、副濾過部37越しに主濾過部36を見ることができる。それゆえ、主濾過部36の汚れ具合を一層確認しやすい。
【0072】
また、副濾材37aは、樹脂製である。それゆえ、副濾過部37を透明にしやすい。
【0073】
また、フィルタエレメント30は、外側筒部材31を備えている。外側筒部材31は、フィルタ部材33が収容部21の側壁28に接触することを防いでいる。つまり、外側筒部材31は、側壁28と接触することによってフィルタ部材33が破損することを防いでいる。このため、濾過装置10が搭載される機器の振動が大きい場合であっても、濾過装置10を搭載することができる。このように、外側筒部材31がある場合にも、本発明は有効である。
【0074】
また、本実施形態では、主濾過部36は、略円筒プリーツ状である。そして、副濾過部37は、主濾過部36の外面36eの略全域に副濾材37aが巻き付けられることによって、主濾過部36の外側に設けられている。
【0075】
それゆえ、濾過装置10を、収容部21内に収容した場合、凹部39は、主流れ1と必ず対向する。つまり、濾過装置10を収容部21内に収容する際に、濾過装置10の姿勢を調整する必要がない。このため、濾過装置10の収容作業の効率が向上する。
【0076】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメント30を、図5を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様な機能を有する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態は、濾過装置10が搭載される機器の振動が比較的小さい場合である。
【0077】
第2の実施形態に係るフィルタエレメント30では、濾過装置10が搭載される機器の振動が比較的小さいため、フィルタ部材33が収容部21の側壁28に接触することがない。
【0078】
このため、第2の実施形態に係るフィルタエレメント30の構成は、第1の実施形態に示されたフィルタエレメント30から外側筒部材31を除いた構成である。それゆえ、図5に示すように、第2の実施形態に係るフィルタエレメント30は、副濾過部37が最も外側に位置する。
【0079】
このような構成のフィルタエレメント30であっても、主流れ1は、副濾過部37に突き当たり、かつ副濾過部37を通過することによって拡散される。つまり、主流れ1によって主濾過部36が破損することが抑制される。
【0080】
このため、第2の実施形態の濾過装置10は、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。このように、外側筒部材31がない場合にも、本発明は有効である。
【0081】
また、本実施形態のように、濾過装置10が搭載される機器の振動が比較的小さい場合では、振動によってフィルタ部材33が収容部21の側壁28に接触することがないので、外側筒部材31を除くことができる。このため、フィルタエレメント30の部品点数が削減される。つまり、フィルタエレメント30のコストは、削減される。
【0082】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係るフィルタエレメント30を、図6から図8を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様な機能を有する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図6に示すように、第3の実施形態の濾過装置10では、濾過すべき液L1は、フィルタエレメント30を内側から外側に向かって通過する。それゆえ、第3の実施形態では、主濾過部36の内面36fが、本発明で言う、流入部として機能する。
【0084】
図8は、第3の実施形態のフィルタ部材33を、フィルタ部材33の長手方向を垂直に横切る線で断面にした断面を示している。図7と図8とに示すように、第3の実施形態のフィルタエレメント30では、凹部39は、隣接する一対の谷部36cと、それら谷部36c間の山部36bとによって規定されている。開口39aは、隣り合う谷部36cどうしによって規定されている。
【0085】
図7に示すように、第3の実施形態のフィルタエレメント30の構成は、第1の実施形態で示されたフィルタエレメント30から内側筒部材32が除かれた構成である。副濾過部37は、主濾過部36の内側において、各谷部36cに接するように副濾材37aが敷き詰められることによって、主濾過部36の内側に設けられている。
【0086】
第3の実施形態の循環回路20を説明する。第3の実施形態の循環回路20は、収容部21の底壁21aに、入口部27が設けられている。濾過装置10が収容部21に収容された状態において、第4の孔35aは、入口部27と連通している。シール部26は、第4の孔35aと入口部27とをシールしている。収容部21の側壁28には、出口部25が設けられている。
【0087】
第3の実施形態の濾過装置10の動作を説明する。図6に示すように、濾過すべき液L1は、入口部27から内側筒部材32の内側へ流入する。濾過すべき液L1の主流れ1は、副濾過部37の内面37dに突き当たる。主流れ1は、例えば副濾過部37の内面37dに略均等に突き当たる。このため、第3の実施形態では、主濾過部36の内面36fdは、濾過すべき液の主流れが流入する部位となる。
【0088】
図8に示すように、副濾過部37の内面37dに突き当たった主流れ1は、副濾過部37を通過する過程で濾過される。そして、主流れ1の流れ方向は、副濾過部37によって拡散される。副濾過部37を通過した主流れ1は、凹部39内に進入する。
【0089】
主流れ1は、凹部39内を進むことによって、さらに拡散される。それゆえ、主流れ1の勢いは、主濾過部36の内面36fに到達する時点では、充分に弱められる。
【0090】
主濾過部36の内面36fに到達した濾過すべき液L1は、主濾過部36を通過する過程で、さらに濾過される。図6に示すように、主濾過部36によって濾過された濾過後の液L2は、出口部25から出る。
【0091】
本実施形態のように構成される濾過装置10のように、濾過すべき液L1が主濾過部36の内面36fから外面36eへ向かって通過する場合であっても、濾過すべき液L1の勢いは、主濾過部36の内面36fに到達する時点では、充分に弱められる。
【0092】
このため、第3の実施形態の濾過装置10では、主流れ1によって主濾過部36が破損することが抑制される。つまり、フィルタエレメント30の濾過性能が低下することが抑制される。
【0093】
なお、第3の実施形態では、内側筒部材32を備えていな。しかし、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施形態に示したように、内側筒部材32を備えていてもよい。
【0094】
第1〜3の実施形態において、副濾材37aは、樹脂性である。しかし、これに限定されるものではない。例えば、副濾材37aは、金属製であってもよい。
【0095】
また、第1,2の実施形態では、凹部39は、主濾過部36の外面36eの全面に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、凹部39は、主流れ流入部36gの近傍に形成されるようにしてもよい。つまり、主濾過部36は、主濾材36aが部分的にひだ折りにされることによって設けられてもよい。この場合、濾過装置10は、ひだ折りにされた部分が主流れ流入部36gとなるように、収容部21内に収容される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る濾過装置を一部切り欠いて示す断面図。
【図2】図1に示されたフィルタエレメントを一部切り欠いて示す斜視図。
【図3】図1に示されたF3−F3線に沿って示す断面図。
【図4】図3に示されたF4を拡大して示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るフィルタエレメントを一部切り欠いて示す斜視図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る濾過装置を一部切り欠いて示す断面図。
【図7】図6に示されたフィルタエレメントを一部切り欠いて示す斜視図。
【図8】図6に示されたフィルタ部材の長手方向を横切る断面図。
【符号の説明】
【0097】
10…濾過装置、20…循環回路(濾過すべき液の流路)、30…フィルタエレメント、31…外側筒部材(ハウジング)、31a…側壁(外壁)、31b…第1の孔(孔)、33…フィルタ部材、36…主濾過部、36e…外面(流入部)、36g…主流れ流入部(濾過すべき液の主流れが流入する部位)、36f…内面(流入部、濾過すべき液の主流れが流入する部位)、37…副濾過部、39…凹部、39a…開口、L1…濾過すべき液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過すべき液が流入する流入部を有し、前記流入部において少なくとも前記濾過すべき液の主流れが流入する部位に凹部が形成される主濾過部と、
前記流入部に設けられて前記凹部の開口を遮る副濾過部であって、前記主濾過部よりも濾過性能が低い副濾過部と、
を具備するフィルタ部材。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記流入部は、前記主濾過部の外面に形成されることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項3】
請求項1の記載において、
前記主濾過部は、筒状であって、内面に前記流入部が形成されることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項の記載において、
前記副濾過部は、透視性を有することを特徴とするフィルタ部材。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記副濾過部は、樹脂で形成されることを特徴とするフィルタ部材。
【請求項6】
濾過すべき液を濾過するフィルタ部材を具備し、前記濾過すべき液の流路中に設けられるフィルタエレメントであって、
前記フィルタ部材は、
濾過すべき液が流入する流入部を有し、前記流入部において少なくとも前記濾過すべき液の主流れが流入する部位に凹部が形成される主濾過部と、
前記流入部に設けられて前記凹部の開口を遮る副濾過部であって、前記主濾過部よりも濾過性能が低い副濾過部と、
を具備することを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項7】
請求項6の記載において、
前記流入部は、前記主濾過部の外面に形成されることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項8】
請求項6の記載において、
前記主濾過部は、筒状であって、前記流入部は、前記主濾過部の内面に形成されることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項9】
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項の記載において、
前記フィルタ部材を内側に収容するハウジングであって、前記濾過すべき液が通過可能な孔が外壁に形成されるハウジングを具備することを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項10】
請求項7の記載において、
前記副濾過部が最も外側に位置することを特徴とするフィルタエレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−136769(P2006−136769A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326733(P2004−326733)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000178675)ヤマシンフィルタ株式会社 (18)