説明

フィルムを含む組成物を作製する方法

本発明は、活性成分を有するフィルムを作製する方法に関する。活性成分を実質的に含まないフィルムを、活性成分を含む媒体内に導入する。活性成分の少なくとも一部が、媒体からフィルムに移動する。該フィルムは、口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物を含む、多様な適用で使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
[0001]本出願は、米国特許出願第11/457,610号、2006年7月14日出願に優先権を請求し、その内容は本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002]機能性物質または活性物質を含有するフィルムは、口腔ケア、パーソナルケア、ホームケアおよびクレンジング製品を含む、多様な適用に有用である。こうしたフィルムは、典型的には、製品のキャリアーまたはビヒクル中に保存される。使用に際して、フィルムは、典型的には、化学的または物理的破壊によって分解され、それによって周囲環境内に、活性物質または機能性物質を放出する。この方式で、フィルムは、ターゲット表面近傍に高濃度の活性物質を限局して放出する機会を提供する。
【0003】
[0003]これらの物質を形成する慣用法は、製造中に、機能性物質または活性物質をフィルム内に取り込む。次いで、フィルムはしばしば、薄片または片に切断され、これが製品キャリアー中に導入され、そして分散される。しかし、フィルムからキャリアー内に移動し、そして/またはフィルム中の活性物質が、キャリアー中の適合しない構成要素と負に相互作用する潜在的可能性があるため、保存中に、フィルム中の活性物質が不安定になる潜在的可能性がある。さらに、フィルム製造プロセス内に、活性物質を添加するさらなる工程があり、これに付随する製造コストがかかる。
【0004】
[0004]したがって、多様な消費者製品用に、こうした活性物質を含有するフィルムを製造する、代替法および改善された方法が望ましい。さらに、保存中に安定である組成物を開発することもまた、望ましい。
【発明の概要】
【0005】
発明の簡単な概要
[0005]多様な態様において、本発明は、フィルムを作製する方法であって、活性成分を含む媒体内に、活性成分を実質的に含まないフィルムを導入する工程を含む、前記方法に関する。フィルムは、活性成分が適切に該フィルムに移動しうるようなものである。特定の態様において、フィルムは多孔性である。好ましくは、媒体中に存在する活性成分の少なくとも一部を、フィルムに移動させる。
【0006】
[0006]他の態様において、口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物を作製するための方法を提供する。該方法は、活性成分を含む媒体内にフィルムを導入する工程を含む。好ましくは、フィルムは、活性成分を実質的に含まないが、活性成分が適切に該フィルムに移動しうるようなものである。いくつかの態様において、該方法は、活性成分の少なくとも一部を、媒体からフィルムに移動させる、ここで、フィルムが口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物の少なくとも1つとして使用するのに適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムが含むまで、移動が起こる工程を含む。移動した活性成分を含むフィルムをキャリアー内に導入することによって、こうした組成物を調製してもよく、ここで、移動した活性成分を含むフィルムは、組成物の保存中、安定である。
【0007】
[0007]さらに他の態様において、口腔ケア組成物を作製する方法は、口腔活性成分を含む媒体内に、フィルムを導入する工程を含む。口腔活性成分は、ホワイトニング剤を含む。フィルムは、活性成分を実質的に含まず、そして活性成分が適切に該フィルムに移動しうるようなものである。口腔活性成分の少なくとも一部を、媒体からフィルムに移動させる。フィルムが口腔ケア組成物中で使用するのに適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムが含むまで、移動が起こる。移動した口腔活性成分の有効量を含むフィルムをキャリアー内に導入することによって、口腔ケア組成物を調製する。さらに、移動した活性成分を含むフィルムは、口腔ケア組成物の保存中、安定である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
[0001]本開示全体で、範囲は、該範囲内のありとあらゆる値を記載するための簡単な表現として用いられる。範囲内のいかなる値を範囲の終点として選択してもよい。さらに、開示全体で引用されるすべての参考文献は、その全体が、明確に本明細書に援用される。本明細書において、成分の濃度に対するすべての言及は、別に示さない限り、重量に基づく。
【0009】
[0008]多様な態様において、本発明は、活性成分を含むフィルムを作製する方法を提供する。特に、本発明の態様は、フィルム内に活性成分を導入する方法に関する。
[0009]活性成分を含むフィルムは、多様なタイプの組成物、特に消費者製品、例えば口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物に有用である。こうした組成物は、典型的には、フィルムが導入されそして分布する、キャリアーを含む。慣用的には、活性成分は、フィルム製造中、すなわち溶媒鋳造、押し出し、ブロー成形中等に、他の前駆体とともにフィルム内に取り込まれる。次いで、活性成分を含むフィルムを、組成物のキャリアーに添加する。
【0010】
[0010]しかし、フィルム内に活性剤を導入するこの方法は、非常に高価になりうる。典型的には、該方法は、製造中にさらなるプロセシング工程を付加し、そしてさらに、プロセシング内に非効率性を導入しうる。さらに、該方法は、活性成分が、熱、圧力、過剰な物理的力、厳しい(harsh)溶媒、または硬化剤などの要因によって、脱活性化されるかまたは破壊されることから保護するために、フィルム製造のためのプロセシング条件を限定しうる。活性剤が組成物のキャリアー内に導入されると、キャリアー中のフィルムの不安定性が潜在的に増加する可能性がある。例えば、活性剤は、時々、フィルムからキャリアー内に拡散し、こうしてフィルム中の活性剤の局部濃度が減少し、そして組成物の有効性が減少することが観察されてきている。
【0011】
[0011]対照的に、本発明の多様な態様において、優れた方法が提供される。好ましい方法は、活性成分を含む媒体内にフィルムを導入する工程を含み、ここでフィルムは活性成分を実質的に含まず、そして活性成分が適切に該フィルムに移動しうるものである。本明細書において、「実質的に含まない」は、有効レベルで存在せず、そして/または検出不能である度合いまで、活性成分がフィルムに存在しないことを意味する。次いで、媒体中に存在する活性成分の少なくとも一部が、フィルムに移動する。
【0012】
[0012]本明細書において、用語「移動」は、活性成分を媒体からフィルム内に動かすかまたは輸送することを指す。この用語は活性成分分子のフィルム内への受動的および能動的動きの両方を含む。受動的移動は、典型的には、活性成分の動きを達成する外部因子(例えば機械的力、化学的および/または熱エネルギー)を必要としない。受動的移動は、典型的には、拡散を含む物質輸送現象を含み、ここで、活性成分分子は、濃度勾配を横断して物理的に輸送され、熱力学的平衡に近づく。さらに、受動的移動には、電気化学的相互作用、吸収、吸着、および/またはフィルム内への活性成分のウィッキング運動が含まれてもよく、ここで、外部因子の適用は、フィルム内への活性成分の十分な動きを達成するのに必要ではない。能動的輸送は、媒体からフィルム内への活性成分の動きを達成するための、温度、圧力、電気および/または機械的力などの外部の力または因子の適用を指す。例えば、外部の力または因子の適用は、電気的勾配または物理的輸送バリアに対する、活性成分分子の動きを促進しうる。
【0013】
[0013]特定の態様において、口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物を作製する方法を提供する。該方法は、活性成分を含む媒体内にフィルムを導入する工程を含む。フィルムは、活性成分を実質的に含まず、そして活性成分が該フィルムに移動しうるようなものである。いくつかの態様において、フィルムは多孔性である。媒体中に存在する活性成分の少なくとも一部が、フィルムに移動する。フィルムが口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物の少なくとも1つとして使用するのに適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムが含むまで、移動が起こる。移動した活性成分を含むフィルムをキャリアー内に導入することによって、組成物を調製し、ここで移動した活性成分を含むフィルムは、組成物の保存中、安定である。
【0014】
[0014]活性成分の「有効」量は、意図される目的および/または使用に寄与し、そして/または、こうした目的および/または使用に関して、検出可能な効果を有する量である。好ましくは、有効量は、フィルムを含む組成物を投与する被験者または被験体に対して、ターゲット(例えばヒトまたはより低次の動物被験体、家庭用品の表面等)に関する所望の療法的、クレンジングおよび/または予防的効果を有するにの十分である。好ましくは、活性成分は、妥当なリスク/利益比と釣り合って、不都合な副作用(毒性、過敏、アレルギー反応など)を課さない。活性剤の特異的有効量は、治療される特定の状態または被験体、身体状態、同時療法(あるとすれば)の性質、用いた特定の活性剤、特定の投薬型、使用したキャリアー、および所望の投薬措置などの要因にしたがって多様であろう。
【0015】
[0015]したがって、活性成分選択は、組成物を用いようとする適用、すなわち意図される目的のための適用に応じる。したがって、本明細書において、「活性成分」は、組成物中で所望の有用性を有する物質である。多様な態様において、こうした有用性は、クレンジング、防御、療法、美容的、麻酔性、装飾性(decorative)、および感覚的、またはその組み合わせであってもよい。上述のように、本発明の組成物は、産業用、家庭用、ヒトおよび動物体表面、特に口腔、皮膚、および角質表面を含む、多様なターゲット表面上で使用可能である。ターゲット表面の限定されない例には、歯のエナメル質などの口腔表面、表皮などの皮膚表面;爪および毛髪などの角質組織表面;金属製品、作り付け備品、繊維、織物、食卓用食器、家財、タイル、床、陶磁器、金属等の家庭用品表面が含まれる。活性成分には、キャリアー中に別個に維持され、そしてフィルムを通じて独立に送達されそして放出されるように選択されるものが含まれ、そしてキャリアー成分と見なされる化合物または構成要素が含まれてもよいし、そして逆であってもよい。
【0016】
[0016]活性物質を含むフィルムを、例えば口腔ケア組成物中で提供してもよく、該組成物は、歯磨剤(練り歯磨き、歯磨きジェル、うがい薬、歯磨き粉、および予防ペーストを含む)、菓子類(ガム、ビーズおよびチューズ(chews)を含む)、フィルム、塗装製品、専門的研磨配合物の形、または当業者に知られる任意の他の形であってもよい。フィルムはまた、例えば石鹸、浴槽ジェル、ボディーソープ、剥離スクラブ、シャンプー、ローション、日焼け止め剤、セルフ・タンニング製品、発汗抑制剤および脱臭製品、ネイルケア製品等のパーソナルケア組成物でも使用可能である。同様に、また、フィルムを、例えば粉末、ペースト、食器用液体洗剤および自動食器洗い機用洗剤、織物洗剤および柔軟剤、ならびに硬表面クレンザーを含む、クレンザーおよび/またはホームケア組成物でも用いてもよい。
【0017】
[0017]活性成分の以下の議論は、単に例示であり、そしてこれらの多様なタイプの組成物に関して、当業者に知られる適切な活性成分すべてが意図されるため、本発明の方法にしたがったフィルム内に導入可能な活性成分の範囲を限定すると見なされてはならない。活性成分の上記カテゴリーの各々の一般的な特性は、活性が異なる可能性もある一方;何らかの共通の特性がある可能性もあり、そして任意の所定の物質が、こうしたカテゴリーの2以上で多数の目的を果たす可能性もあり、そして多様なタイプの組成物で使用するのに適している可能性もあることが理解される。
【0018】
[0018]口腔ケア組成物用の口腔ケア活性成分の限定されない例には、例えば、歯のホワイトニング剤、抗微生物剤、虫歯予防剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗接着剤、脱感作剤、抗炎症剤、悪臭制御剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液刺激剤、歯周活性剤、コンディショニング剤、モイスチャライジング剤、皮膚軟化剤、天然抽出物および精油、栄養素、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、抗生物質、およびその混合物が含まれる。本明細書において有用なものの中の例示的な活性剤が、Nabiらに対する米国特許第4,894,220号、どちらもGaffarらに対する第5,288,480号および第5,776,435号、Espositoらに対する第5,681,548号、どちらもStringerらに対する第5,912,274号および第5,723,500号、Durgaらに対する第6,290,933号、およびLawlorに対する第6,685,921号、ならびにDoyleらに対する米国特許出願公報第2003/0206874号に開示される。さらに、同じ分類内にあるものであっても、口腔ケア活性成分の混合物が、本発明に意図される。
【0019】
[0019]適切な口腔活性成分の例には、歯などの口腔表面用のホワイトニング剤が含まれる。多様な態様において、本発明のフィルム組成物は、フィルム中に1以上のホワイトニング剤を含む。以下にさらに論じるように、「ホワイトニング剤」は、適用した硬組織口腔表面(すなわちエナメルまたは他の歯表面)を白くするのに有効な物質である。本発明の1つの態様において、ホワイトニング剤は、過酸化物化合物を含む。本明細書において、「過酸化物化合物」は、二価酸素−酸素基を含む酸化化合物である。
【0020】
[0020]特定の態様において、活性成分は、好ましくは、検出可能なホワイトニング効果を生じるのに十分な任意の量で、口腔ケア組成物全体に存在する、過酸化物化合物を含む。所定の過酸化物化合物に関する「過酸化水素同等濃度」は、同じ条件下で、純粋な過酸化水素によって送達される過酸化水素イオンと同等の量の、過酸化水素イオンまたは有機過酸化物イオンを生じる過酸化物活性化合物の量を指す。
【0021】
[0021]好ましくは、過酸化物化合物は、組成物重量の約1〜約15%;場合によって約1〜約10%;場合によって約3〜約10%で、口腔ケア組成物の過酸化水素同等濃度の量で、口腔ケア組成物中に存在する。特定の好ましい態様において、過酸化水素同等濃度は、約2%〜約8%の間であり;いくつかの態様において、約6%である。
【0022】
[0022]適切な過酸化物化合物(単数または複数)は、過酸化水素イオンまたは有機過酸化物イオンを送達する、過酸化物に基づく任意のホワイトニング剤であってもよい。こうした過酸化物化合物には、過酸化物およびヒドロペルオキシド、例えば過酸化水素、アルカリおよびアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸、その薬学的に許容されうる塩および混合物が含まれる。
【0023】
[0023]本発明の特定の態様において、ホワイトニング剤は、無機過酸化水素生成化合物、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類の過硫酸塩、二過硫酸塩(dipersulfate)、過炭酸塩、過リン酸塩、過ホウ酸塩、および過ケイ酸塩、例えば過硫酸ナトリウム、二過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過リン酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ケイ酸ナトリウム、過硫酸カリウム、二過硫酸カリウム、過炭酸カリウム、過リン酸カリウム、過ホウ酸カリウム、過ケイ酸カリウム、二過硫酸リチウム、過炭酸リチウム、過リン酸リチウム、過ホウ酸リチウム、過ケイ酸リチウム、過硫酸カルシウム、二過硫酸カルシウム、過炭酸カルシウム、過リン酸カルシウム、過ホウ酸カルシウム、過ケイ酸カルシウム、過硫酸バリウム、二過硫酸バリウム、過炭酸バリウム、過リン酸バリウム、過ホウ酸バリウム、過ケイ酸バリウム、過硫酸マグネシウム、二過硫酸マグネシウム、過炭酸マグネシウム、過リン酸マグネシウム、過ホウ酸マグネシウム、および過ケイ酸マグネシウム塩、ならびに過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化リチウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、および過酸化マグネシウム、ならびに上記の任意のものの組み合わせを含む。
【0024】
[0024]特定の態様において、ホワイトニング剤は、有機ペルオキシ化合物を含み、これには、過酸化カルバミド(尿素過酸化水素としてもまた知られる)、グリセリル過酸化水素、アルキル過酸化水素、過酸化ジアルキル、アルキルペルオキシ酸、ペルオキシエステル、過酸化ジアシル、過酸化ベンゾイル、およびモノペルオキシフタレート、およびその混合物が含まれる。ペルオキシ酸およびその塩には、有機ペルオキシ酸、例えばアルキルペルオキシ酸、およびモノペルオキシフタレート、およびその混合物、ならびに無機ペルオキシ酸塩、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属の過硫酸塩、二過硫酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ホウ酸塩および過ケイ酸塩、およびその混合物が含まれる。多様な態様において、過酸化物化合物は、過酸化水素、過酸化尿素、過炭酸ナトリウムおよびその混合物を含む。
【0025】
[0025]本発明の口腔ケア組成物中の活性成分ホワイトニング剤として特に有用な過酸化物放出化合物には、過酸化物含有化合物、例えば過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、およびポリビニルピロリドン−H複合体(本明細書において以後、「PVP−H」)が含まれる。PVPまたはポリビニルピロリドンはまた、ポリ−N−ビニル−ポリ−2−ピロリドンとしても知られる。PVP−Hの直鎖および架橋複合体の両方が、当該技術分野に知られ、そしてどちらもShiraeffらに対する米国特許第3,376,110号および第3,480,557号;ならびにMerianosらに対する第5,122,370号に開示される。PVP−Hは、無水環境中で安定である。口腔中などの非常に水性の環境に曝露されると、PVP−Hは、個々の種に解離する(PVPポリマーおよびH)。1つの態様において、PVP−H複合体は、約80%のポリビニルピロリドンおよび20%のHである。PVP−H複合体中のPVP濃度は、PVPがフィルムを形成するためのポリマーとして用いられる場合の潜在的なPVP濃度とは無関係である。
【0026】
[0026]多様な態様において、ホワイトニング剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、またはその混合物などの過酸化物化合物を含む。ホワイトニング剤は、選択したホワイトニング剤の過酸化水素同等濃度に応じて、好ましくは、口腔ケア組成物全体の約0.1%〜約50%、より好ましくは、約0.1%〜約5%、最も好ましくは、約0.1%〜約2%を含む。フィルム中、ホワイトニング剤は、好ましくは、フィルムの約0.01%〜約50%、最も好ましくは、約0.1%〜約5%を構成する。
【0027】
[0027]多様な態様において、活性成分は、非イオン性化合物を含む口腔活性成分である。例えば、非イオン性抗細菌剤には、フェノール性および/またはビスフェノール性化合物、例えばハロゲン化ジフェニルエーテルが含まれ、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル、トリクロカルバン(3,4,4−トリクロロカルバニリド)、2−フェノキシエタノール、安息香酸エステル、カルバニリド、フェノール、チモール、ユージノール、ヘキシルレゾルシノールおよび2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)が含まれる。こうした抗細菌剤は、多様な量で、例えば口腔ケア組成物全体の重量約0.001〜約5%で存在してもよい。
【0028】
[0028]口腔ケア剤はまた、場合によって、陽イオン性口腔ケア活性成分も含んでもよい。口腔ケア組成物中で使用するための適切な陽イオン性活性成分には、例えば:
(i)四級アンモニウム化合物であって、例えば四級窒素上の1つまたは2つの置換基が、8〜20、好ましくは10〜18の炭素原子を有し、そして好ましくはアルキル基であり、該アルキル基が場合によってアミド、エステル、酸素、イオウ、または複素環によって中断されていてもよく、一方、残りの置換基がより少数の炭素原子、例えば1〜7の炭素原子を有し、そして好ましくはアルキル、例えばメチルまたはエチル、あるいはベンジルである、前記四級アンモニウム化合物。こうした化合物の例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム(塩化ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム)および塩化メチルベンゼトニウムが含まれる;
(ii)塩化ヘキサデシルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム;塩化テトラデシルピリジニウム、およびN−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリドを含む、ピリジニウムおよびイソキノリニウム化合物;
(iii)ヘキセチジン(5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチル−ヘキサヒドロピリミジン)などのピリミジン誘導体;
(iv)イセチオン酸ヘキサミジン(4,4’−ジアミジノ−αω−ジフェノキシ−ヘキサンイセチオネート)などのアミジン誘導体;
(v)オクテニジン二塩酸塩(N,N’[1,10−デカンジイルジ−1(4H)−ピリジニル−4−イリデン]−ビス(1−オクタンアミン)二塩酸塩)などのビスピリジン誘導体;
(vi)グアニド、例えばモノ−ビグアニド、例えばp−クロロベンジル−ビグアニドおよびN’(4−クロロベンジル)−N”−(2,4−ジクロロベンジル)ビグアニド、ポリ(ビグアニド)、例えばポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、および一般式(1):
【0029】
【化1】

【0030】
のビス−ビグアニド;
(vii)式中、AおよびAは各々、(i)(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ニトロ、またはハロゲンによって場合によって置換されているフェニル基、(ii)(C1−12)アルキル基、または(iii)(C4−12)非環基を表し;XおよびXは各々、(C1−3)アルキレンを表し;RおよびRは各々、水素、(C1−12)アルキル、またはアリール(C1−6)アルキルを表し;ZおよびZ1は各々、0または1であり;nは2〜12の整数であり;そしてポリメチレン鎖(CHは、酸素またはイオウまたは芳香族(例えばフェニルまたはナフチル)核によって場合によって中断されていてもよい;およびその口腔的に許容されうる酸付加塩;こうしたビス−ビグアニドの例には、クロルヘキシジンおよびアレキシジンが含まれる。一般式(1)のビス−ビグアニドの適切な酸付加塩には、二酢酸塩、二塩酸塩、および二グルコン酸塩が含まれる。クロルヘキシジンの適切な酸付加塩には、二グルコン酸塩、二ギ酸塩、二酢酸塩、二プロピオン酸塩、二塩酸塩、二ヨウ化水素酸塩、二乳酸塩、二硝酸塩、硫酸塩、および酒石酸塩が含まれる。アレキシジンの適切な酸付加塩には、二フッ化水素塩および二塩酸塩が含まれる;ならびに
[0029]陽イオン化合物である、他の場合による口腔ケア剤には、以下の式(2)によって一般的に示される、Nα−アシルアミノ酸アルキルエステルおよび塩が含まれる:
【0031】
【化2】

【0032】
式中、Rは、1〜8の炭素原子、好ましくは1〜3の炭素原子、そして最も好ましくは3つの炭素原子のアルキル鎖であり;Rは、6〜30の炭素原子、好ましくは10〜12の炭素原子のアルキル鎖、およびその混合物であり;そしてXは陰イオンである。多様な態様において、RCO部分は、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸残基からなる群より選択される天然脂肪酸などの天然脂肪酸残基、またはラウロイル(C12)、ミリスチル(C14)、ステアロイル(C18)脂肪酸残基、およびその混合物からなる群より選択される、モノ脂肪酸残基を含む。特定の態様において、RCO部分は、ラウロイル脂肪酸残基を含む。
【0033】
[0030]Xは、水中で妥当な度合いの可溶性(好ましくは、1Lの水中、少なくとも約1g)を提供するいかなる対陰イオンであってもよい。Xの例には、上に同定する式のエステル塩を形成する対陰イオン、ハロゲン原子を含むもの(例えば塩化物または臭化物)またはリン酸二水素などの無機酸塩、あるいは酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、またはピロリドン−カルボキシレート(PCA)などの有機塩が含まれる。塩化物塩が好ましい。
【0034】
[0031]本発明の口腔ケア組成物に有用である、式中のnが3に等しい、上に同定する式のエステルの例には、Nα−ココイル−L−アルギニンメチルエステル、Nα−ココイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−ココイル−L−アルギニンプロピルエステル、Nα−ステアロイル−L−アルギニンメチルエステル、Nα−ステアロイル−L−アルギニンエチルエステル塩、例えば塩酸塩が含まれる。1つの態様において、陽イオン性口腔ケア剤は、エチルラウロイルアルギニン(ELAH)の塩酸塩を含む。
【0035】
[0032]いくつかの態様において、好ましい陽イオン活性成分は、塩化ベンゼトニウム、オクテニジン、ヘキセチジン、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、アレキシジン、Nα−アシルアミノ酸アルキルエステル塩、およびその混合物からなる群より選択される。いくつかの態様において、陽イオン性口腔ケア活性成分は、塩化セチルピリジニウム(CPC)を含む。いくつかの態様において、口腔ケア活性成分は、Nα−アシルアミノ酸アルキルエステル塩、例えばエチルラウロイルアルギニンエステル塩酸塩(ELAH)を含む。
【0036】
[0033]特定の態様において、口腔ケア活性剤は、抗付着剤である。本発明に関して限定されるわけではないが、抗付着剤である口腔ケア活性成分は、細菌およびバイオフィルム構成要素が接着不能であるように口腔表面と相互作用するか、あるいは細菌自体と相互作用して、細菌が口腔表面に付着することを不可能にする、おそらく口腔表面の受容体もしくは他の部分との連結を、通常、促進するであろう、細菌表面上の接着因子、リガンド、または他の部分と相互作用することによるかのいずれかであると、一般的に考えられる。本発明に関して限定されるわけではないが、いくつかの態様において、上述のNα−アシルアミノ酸アルキルエステル塩、例えばエチルラウロイルアルギネート塩酸塩(ELAH)は、抗付着活性成分として機能すると考えられる。
【0037】
[0034]いくつかの態様において、口腔活性成分は、バイオフィルム破壊剤である口腔ケア活性成分を含む。「バイオフィルム破壊剤」は、一般的に、バイオフィルム(または菌膜)の形成を予防し、そして/または口腔表面上にすでに形成されたバイオフィルム(または菌膜)を攻撃する化合物であり、そしてこれには、バイオフィルムマトリックスの一部を形成するタンパク質、デンプンおよび脂質を加水分解可能な酵素が含まれる。いくつかの態様において、こうした活性成分は、例えばプロテアーゼ酵素、例えばシステインプロテアーゼまたはセリンプロテアーゼを含む酵素である。最も好ましい酵素には:パパイン(例えばパパイヤ(Carica papaya)の熟していない果実および葉のラテックスから単離されるもの)、フィシン(例えば熱帯イチジク樹木、フィカス・グラブラタ(Ficus glabrata)のラテックスから単離されるもの)、クリラーゼ(krillase)(例えばナンキョクオキアミ(Antarctic krill)から単離されるもの)、他のシステインおよびセリンプロテアーゼ、グルコアミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、植物リパーゼ、胃リパーゼ、膵臓リパーゼ、タンナーゼ、ブロメライン、キモトリプシン、アルカラーゼ、アマリセックス(amalysecs)、ラクトフェリン、ジンジパイン、グルコース酸化酵素、エラスターゼおよび/またはセルラーゼ、ペクチナーゼ、およびその混合物が含まれる。口腔用の他の有用なバイオフィルム破壊剤には、合成ヒスタチン、フラノン、フラノン誘導体、および上述の任意のものの混合物が含まれる。
【0038】
[0035]本発明の口腔ケア組成物は、上述のものに加えて、他の抗歯垢/歯垢破壊剤を場合によって含み、これには、限定されるわけではないが:典型的には塩の形で提供される、銅、マグネシウム、およびストロンチウムイオン供給源;セチルジメチコン・コポリオールなどのジメチコン・コポリオール;尿素;乳酸カルシウム;グリセロリン酸カルシウム;ポリアクリル酸ストロンチウム;およびその混合物が含まれる。
【0039】
[0036]特定の態様において、口腔ケア剤は、抗炎症剤である口腔ケア活性化合物を含む。有用な抗炎症性化合物には、フラボノイド、フラバン、パルテノライド、例えばセスキテルペンラクトンパルテノライド、アンドロステンジオール(AED)およびデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が含まれる。他の有用な抗炎症剤には、非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)、例えばインドメタシン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、メクロフェナム酸、およびその混合物が含まれる。口腔ケア活性剤に有用な他の適切な抗炎症剤には、2005年10月24日出願のWorrellらに対する米国特許出願第11/256,788号に論じられるようなオレガノ抽出物(例えば、一般的に「オレガノ」、「野生オレガノ」または「野生マージョラム」として知られるオリガナム・ブルガレ(Origanum vulgare)由来の抽出物)、2005年11月23日出願のGaffarらに対する米国特許出願第11/285,809号に記載されるような、マグノリア・オフィシナリス(Magnolia Officinalis)などのマグノリア科(Magnoliaceae family)の植物由来のマグノリア抽出物が含まれる。
【0040】
[0037]好ましい口腔ケア活性成分は、少なくとも1つのフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの組み合わせ、例えばUnigen Pharmaceuticals, Inc.(米国コロラド州スーペリア)によって製造されそして販売されているUNIVESTIN(登録商標)を含む。UNIVESTIN(登録商標)の完全な説明は、Jiaに対する米国特許出願公報第2003/0216481号に見いだされうる。
【0041】
[0038]口腔活性成分として有用な酸化防止剤の例には、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンA、カロテノイド、トコフェロール(ビタミンE)、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸(ビタミンC)、ハーブ性酸化防止剤、クロロフィル、メラトニン、塩化物、カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、ユビキノン二ナトリウム(コエンザイムQ10)、没食子酸エチルヘキシル、過酸化水素、ヨウ素、リコペン、アスコルビン酸マグネシウム、亜硫酸カリウム、二亜硫酸ナトリウム、チオ乳酸、およびその混合物が含まれる。特定の態様において、口腔ケア組成物は、抗生物質、例えばオーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシンおよびクリンダマイシン;ならびにその混合物である口腔ケア活性成分を含む。
【0042】
[0039]他の有用な口腔活性成分には、フッ化物イオン供給源、好ましくは約25ppm〜約5,000ppmのフッ化物イオン、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、およびオラフルール(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−二フッ化水素塩)を含むフッ化アミンが含まれる。適切なスズイオン供給源には、限定なしに:フッ化スズ、塩化スズ二水和物などの他のハロゲン化スズ、ピロリン酸スズ、ギ酸スズ、酢酸スズ、グルコン酸スズ、乳酸スズ、酒石酸スズ、シュウ酸スズ、マロン酸スズおよびクエン酸スズなどの有機スズカルボン酸塩、スズエチレングリオキシドなどが含まれる。1以上のスズイオン供給源が、約0.01%〜約10%の総量で、場合によって、そして例示的に存在する。亜鉛イオン供給源、例えば酢酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸ナトリウム亜鉛などが、約0.05%〜約3%の総量で、例示的に存在する。
【0043】
[0040]有用な抗歯石活性成分の特定のタイプは、直鎖分子的脱水ポリリン酸塩である。ポリリン酸塩は、一般的に、完全にまたは部分的に中和された水溶性アルカリ金属(例えばカリウム、ナトリウムまたはアンモニウム塩、およびその任意の混合物)の形で使用される。したがって、抗歯石剤として有用な直鎖分子的脱水ポリリン酸化合物には、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ピロリン酸ナトリウム、二アルカリまたは四アルカリ金属ピロリン酸塩、例えばNa、K、Na、NaおよびK、ならびに環状リン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、またはその混合物が含まれる。多様な態様において、本発明の口腔ケア組成物全体におけるこうした抗歯石活性成分は、約0.001〜約10%、より好ましくは約1〜約5%の濃度で存在する。
【0044】
[0041]合成陰イオン性直鎖ポリカルボキシレートもまた、口腔ケア組成物内の抗細菌、抗歯石または他の活性剤を含む、特定の口腔ケア活性成分のための効能増進剤として知られる。さらに、こうした化合物はまた、以下に記載するように、フィルムを形成するためにも使用可能である。こうした陰イオン性ポリカルボキシレートは、一般的に、遊離酸の形で、あるいは好ましくは、部分的に中和されたまたはより好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えばカリウムおよび好ましくはナトリウム)またはアンモニウム塩の形で使用される。好ましいコポリマーは、約30,000〜約5,000,000の分子量(M.W.)を有する、無水マレイン酸またはマレイン酸と、別の重合可能エチレン性不飽和単量体、好ましくはメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)の1:4〜4:1のコポリマーである。好ましいコポリマーは、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸である。有用なコポリマーの例は、商標名GANTREZ(登録商標)のもとに、ISP社から入手可能であり、例えばAN 139(M.W. 1,100,000)、AN 119(M.W. 200,000); S−97薬剤等級(M.W. 1,500,000)、AN 169(M.W. 2,000,000)、およびAN 179(M.W. 2,400,000)があり;好ましいコポリマーは、S−97薬剤等級(M.W. 1,500,000)である。合成陰イオン性ポリカルボキシレートが口腔ケア組成物中に含まれる多様な態様において、好ましくは、重量約0.001%〜約5%で存在する。
【0045】
[0042]クエン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸および酒石酸、ならびにその混合物などの、食品の酸を含む、唾液刺激剤が存在してもよい。Hヒスタミン受容体アンタゴニストが、他の有用な活性成分である。本明細書で有用なHアンタゴニストには、シメチジン、エチンチジン、ラニチジン、ICIA−5165、チオチジン、ORF−17578、ルピチチジン(lupititidine)、ドネチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン、ラムチジン、BL−6548、BMY−25271、ザルチジン、ニザチジン、ミフェンチジン、BMY−52368、SKF−94482、BL−6341A、ICI−162846、ラミキソチジン、Wy−45727、SR−58042、BMY−25405、ロクスチジン、DA−4634、ビスフェンチジン、スフォチジン、エブロチジン、HE−30−256、D−16637、FRG−8813、FRG−8701、イムプロミジン、L−643728、HB−408.4、およびその混合物が含まれる。本明細書において有用な脱感作剤には、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、ストロンチウム塩、およびその混合物が含まれる。あるいはまたはさらに、1以上の局部または全身性鎮痛剤、例えばアスピリン、コデイン、アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウムまたはサリチル酸トリエタノールアミンを用いてもよい。
【0046】
[0043]適切な栄養素には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、およびその混合物が含まれる。好ましいビタミンには、ビタミンCおよびD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、ビオフラボノイド、およびその混合物が含まれる。栄養補助剤には、アミノ酸(L−トリプトファン、L−リジン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチンおよびL−カルニチンなど)、脂肪作用剤(コリン、イノシトール、ベタイン、およびリノレン酸など)、魚油(オメガ−3(N−3)ポリ不飽和脂肪酸、エイコサペンタン酸およびドコサヘキサエン酸などの魚油の構成要素を含む)、およびその混合物が含まれる。
【0047】
[0044]パーソナルケア活性成分の限定されない例には、表面活性剤、皮膚、毛髪および爪のコンディショニング剤(例えばシリコンオイル、陽イオン性シリコン、シリコンゴム、高屈折性シリコン、およびシリコン樹脂、ならびに炭化水素油、ポリオレフィンおよび脂肪酸エステルなどの有機コンディショニングオイル)、皮膚および頭皮知覚剤(sensate)、収斂剤、皮膚および頭皮鎮痛剤、皮膚治癒剤、モイスチャライジング剤、皮膚軟化剤、皮膚ホワイトニング剤、抗微生物剤、抗炎症剤、悪臭制御剤、抗加齢剤、抗ニキビ剤、抗乾癬剤、抗フケ剤、皮膚脂質流動化剤、保湿剤、脱臭活性剤、抗発汗活性剤、天然抽出物および精油、栄養素、密封剤(occlusive agent)、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、日焼け止め剤およびUV吸収剤(例えば、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄)、酸化防止剤、抗生物質、剥離剤(exfoliant)、キレート剤、着色剤(「直接作用色素」、金属性色素、金属キレート色素、繊維反応性色素、ならびに他の合成および天然色素を含む、非酸化性色素などの適切な着色剤を含む)、乳白剤、日焼け剤、殺生物剤、鎮痛剤(外部)が含まれる。これらの活性成分の多くは、口腔ケアの文脈で上述したものと同じである。当業者に知られる他の成分が意図される。
【0048】
[0045]四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤は、多様なシリコン、ならびにワックス、グリースおよび油を含む他の水不溶性コンディショニング剤と同様、毛髪リンスおよびシャンプー中でコンディショニング剤として使用されてきている。繊維コンディショニング剤の限定されない例には、有機シリコン化合物、例えば不揮発性シリコン(特にアミノシリコン);ポリエチレン;パラフィン;ワセリン;微結晶性ワックス;脂肪酸およびトリグリセリド、例えば、C18−36(混合)脂肪酸、ステアリン酸ステアリル;ならびに四級アンモニウムおよびアミン塩(これもまた界面活性剤として働く)が含まれる。例示的なパーソナルケア組成物および活性成分が、Patelらに対する米国特許第5,213,716号、McAteeらに対する第6,955,817号、Kolodzikらに対する第6,835,373号、およびLintnerに対する第6,974,799号に記載される。
【0049】
[0046]液体クレンザー組成物には、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性および両性石鹸界面活性剤、洗剤ビルダー(例えば硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)、リン酸塩(例えばリン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム)、複合リン酸塩(例えばピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、四リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム、コロイド状ケイ酸塩)、炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム))、ポリマー性コビルダー、漂白性化合物(例えば次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム)、活性化剤、pH緩衝剤、酵素、コンディショニング剤、希釈剤、キレート剤(chelant)、酵素、抗再堆積ポリマー、汚れ遊離(soil−release)ポリマー、ポリマー性汚れ分散および/または汚れ懸濁剤、転染阻害剤、織物完全化剤(fabric−integrity agent)、泡抑制剤(suds suppressor)、織物柔軟剤、凝集剤、香水、ホワイトニング剤、およびその組み合わせを含む、洗剤性表面活性剤などの活性成分が含まれる。家庭用品組成物中で有用な活性成分には、例えば、洗剤表面活性成分、洗剤ビルダー、コンディショニング剤、天然抽出物および精油、酵素、タンパク質、アミノ酸、汚れ遊離剤、ホワイトニング剤、抗微生物剤、悪臭制御剤、および織物柔軟剤が含まれる。例示的なクレンザーおよびホームケア製品は、Hokkirigawaらに対する米国特許第6,670,318号、Thomasらに対する第5,294,364号、Denisらに対する第4,869,842号、Lanczに対する第3,965,026号、Drapierに対する米国特許公報第2003/0082131号およびMeliらに対する第2005/0272628号、ならびにPCT公報第WO 97/11151号に記載される。
【0050】
[0047]本発明に有用なフィルムは、硬くてもまたは柔軟でもよく、フィルム形成性物質、粘土、ワックス、およびその混合物を含む、任意の多様な物質を含んでもよい。いくつかの態様において、フィルムは、少なくとも1つのフィルム形成性物質を含み、好ましくはポリマーを含む。有用なポリマーには、親水性および疎水性ポリマーが含まれる。いくつかの態様において、ポリマーは、水などの溶媒中で可溶性である。水への曝露および使用中の物理的な力の適用中(例えばブラシまたはパッドでの歯磨きまたはスクラブ中)に溶解する水溶性ポリマーが望ましい。いくつかの態様において、ポリマーは不溶性であるが、分散性であることによって水中で分解可能であり、すなわちポリマーは、機械的力または剪断力の適用の結果として小さい断片に分解される。いくつかの態様において、ポリマーは不溶性であるが膨潤性である。ポリマーが使用中に完全に分解されない場合、これは撥水性ポリマーであるか、または水安定性親水性ポリマー、例えば特定のタイプのセルロース、例えば紙であってもよい。有用なものの例は、Schiraldiら、米国特許第4,713,243号、すべてXuに対する第6,419,903号、第6,419,906号、第6,514,483号、およびBoydらに対する第6,669,929号;すべてBoydらに対する米国特許公報第2004/0126332号、第2004/0136924号、および第2004/0042976号、ならびにMoroらに対する第2004/0062724号に記載される。
【0051】
[0048]好ましくは、以下の少なくとも1つを提供するようにポリマーを選択し、そしてフィルム中に配分する:(1)キャリアー中の活性成分を含むフィルムの所望の安定性、(2)組成物使用中のフィルムの所望の分解速度、または(3)組成物使用中の活性成分の所望の曝露速度。
【0052】
[0049]好ましい態様において、フィルムは水溶性であり、例えば水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、または場合によって水溶性充填剤を伴う水不溶性ポリマーを含む。水性組成物の使用中のブラッシング、スクラビング、または他の機械的作用によって、どのくらい激しくまたはどのくらい長く組成物を用いるかに比例した量で、活性成分が放出されるように、水不溶性ポリマー、水溶性ポリマー、または場合による水溶性充填剤の相対量を選択してもよい。
【0053】
[0050]本発明の多様な態様が、複数の断片、リボン、シート等で提供されるフィルムに関連することに注目しなければならず;活性成分を含むフィルムはまた、多様な構成要素用の被包物質としても適切でありうる。被包フィルムは、本開示に示す原理と一致して、同等に、媒体からの活性成分の移動を経る傾向を有してもよい。
【0054】
[0051]特定の態様において、ポリマーは水溶性ポリマーである。1つの例は、セルロースエーテルポリマー、例えばヒドロキシアルキルアルキルセルロースであり、これには例えば、METHOCEL(登録商標)E5、METHOCEL(登録商標)E5 LV、METHOCEL(登録商標)E50、METHOCEL(登録商標)E15、およびMETHOCEL(登録商標)K100を含む、METHOCEL(登録商標)製品として、米国ミシガン州ミッドランドのDow Chemical社より商業的に入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびその混合物が含まれる。他の有用なポリマーには、約100,000以上でそして最大約150万の重量平均分子量であってもよい、ポリビニルピロリドン(PVP)、酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル・コポリマー、例えばKOLLIDON(登録商標)VA64(BASFより入手可能、ビニルピロリドン、重量60:40)およびPLASDONE(登録商標)S630 PVP(International Specialty Products、米国ニュージャージー州ウェインより入手可能、ビニルピロリドン:酢酸ビニル、重量60:40)、PVAの酸化エチレン・グラフトコポリマー、例えばKOLLICOAT(登録商標)IR(BASFより入手可能、重量75%のPVA、重量25%のポリエチレングリコール・グラフト、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレートポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、架橋ポリアクリル酸(例えばCARBOPOL(登録商標))、ビニルカプロラクタム/アクリル酸ナトリウムポリマーを含む、アクリレートおよびポリアクリル酸、メタクリレート、マレイン酸ポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー(例えば、GANTREZ(登録商標))、酢酸ビニルおよびクロトン酸コポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)、アクリロメチルプロピルスルホン酸/メチルアクリレート/スチレン単量体のターポリマー、ホスホネートスチレンポリマー、ポリエチレンホスホネート、ポリブリテンホスホネート、ポリスチレン、ポリビニルホスホネート、ポリアルキレン、ポリエチレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド、すなわちポリエチレングリコール、およびカルボキシビニルポリマーが含まれる。当業者に認識されるように、フィルムは、こうしたポリマーの誘導体、コポリマー、およびさらなる混合物もまた含んでもよい。
【0055】
[0052]有用な水不溶性ポリマーには、少なくとも1つの有機溶媒に可溶性であるポリマーが含まれ;例えば、アクリル性コポリマー(カルボン酸官能性が中和されていないもの)、架橋ポリ(ビニルピロリドン)、例えばBASFから入手可能なKOLLIDON(登録商標)CLまたはCL−M、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、酢酸セルロース、硝酸セルロース、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、ブチルセルロース、およびイソプロピルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどの特定のセルロース誘導体、セラック、エチレン−酢酸ビニル・コポリマー、酢酸ビニル・ホモポリマー、シリコンポリマー(例えばジメチルシリコン)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、有機溶媒中で不溶性のポリマー、例えばセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンおよびナイロン、天然または合成ゴム、ならびにその混合物が含まれる。適切なフィルム形成性アクリル性コポリマーの例は、LUVIMER(登録商標)30Eであり、これは、BASF(米国ニュージャージー州フローラムパーク)から商業的に入手可能なアクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸・コポリマーのエタノール中の重量30%溶液である。水不溶性ポリマーは、分散物として調製してもよく(例えばエマルジョン重合によって)、そして適切な乳化剤で安定化させてもよい。1つの有用なPVAcエマルジョンは、例えば、KOLLICOAT(登録商標)SR 30Dであり、これは2.7重量パーセントPVPおよび0.3%ラウリル硫酸ナトリウムで安定化された、水中のPVAcの重量30%分散物である。アクリル性コポリマー分散物の例は、KOLLICOAT(登録商標)EMM 30Dであり、これはBASFより入手可能な、約800,000の平均分子量と報告される、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル・コポリマー(アクリル酸エチル対メタクリル酸メチルの重量比はおよそ2対1)の重量30%水性分散物である。
【0056】
[0053]他の有用なポリマーまたは水溶性充填剤には、限定なしに、天然ゴム、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギナン、キサンタンゴム、ゴムアカシア、アラビアゴム、グアーゴム、プルラン、寒天、キチン、キトサン、ペクチン、カラヤゴム、ゼイン、ホルデイン、グリアジン、ローカストビーンガム、トラガカントおよび他の多糖;デンプン、例えばマルトデキストリン、アミロース、高アミロースデンプン、コーンスターチ、ジャガイモ(potato)デンプン、コメ(rice)デンプン、タピオカ(tapioca)デンプン、エンドウ豆(pea)デンプン、サツマイモ(sweetpotato)デンプン、オオムギ(barley)デンプン、コムギ(wheat)デンプン、モチトウモロコシ(waxy corn)デンプン、修飾デンプン(例えばヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン)、デキストリン、レバン、エルシナンおよびグルテン;ならびにタンパク質、例えばコラーゲン、乳清タンパク質単離体、カゼイン、乳タンパク質、大豆(soy)タンパク質、ケラチン、およびゼラチンが含まれる。フィルムにはさらに、分散性または膨潤性充填剤、例えば修飾デンプン、アルギン酸エステル、アルギン酸の二価または多価イオン塩が含まれてもよい。
【0057】
[0054]水不溶性ポリマーのさらなる限定されない例には、酢酸セルロース、硝酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル・コポリマー、酢酸ビニル・ホモポリマー、エチルセルロース、ブチルセルロース、イソプロピルセルロース、セラック、疎水性シリコンポリマー(例えばジメチルシリコン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、酢酸フタル酸セルロース、および天然または合成ゴム;有機溶媒中で不溶性のポリマー、例えばセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンおよびナイロンが含まれる。
【0058】
[0055]水性組成物中で、フィルム中の水溶性ポリマーおよび水不溶性および/または部分的水溶性ポリマーの相対量は、好ましくは、フィルムが水性組成物中で保存安定性であるが、組成物の使用中に分解されるような量である。多様な態様において、フィルムには、フィルム重量の約0.1%〜約90%、約1%〜約80%、約5%〜約70%、約9%〜約50%または約10%〜約40%の量の水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマー(単数または複数)に加えて、またはその代わりに、フィルムには、フィルム重量の約0.1%〜約50%、好ましくは重量約1%〜約10%の量の、部分的に水不溶性のまたは水膨潤性のポリマーが含まれてもよい。多様な態様において、水性キャリアー環境中で親水性フィルムを安定化させる方法は、製品キャリアー中で保存する間、安定であるために平衡化されているが、使用に際して分解されて、含有される活性成分を放出する、水溶性および水不溶性物質を、フィルム中で用いる。
【0059】
[0056]好ましくは、本発明のフィルムは、1以上の以下のさらなる構成要素:表面活性剤、粘性修飾剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、充填剤(上述のものに加えて)、pH修飾剤、可塑剤、充填剤、ワックス、質感修飾剤(texture modifier)、油、フレーバー剤および/または甘味剤、保存剤、溶媒、およびその混合物を、場合によって含む。物質の上記カテゴリーの各々の一般的な特性は、異なる可能性もある一方;何らかの共通の特性がある可能性もあり、そして任意の所定の物質が、物質の2以上のカテゴリーで多数の目的を果たす可能性もあることが理解される。
【0060】
[0057]フィルム中の1以上の表面活性剤は、界面活性剤、乳化剤、および/または泡修飾剤として機能する可能性もある。表面活性剤、または界面活性剤は、存在する他の成分、特にフレーバー油の可溶化、分散、乳化、および湿潤化を提供するため、多様な口腔ケア配合物中で慣用的に使用される。多様な態様において、表面活性剤は、活性成分剤をフィルム全体に、そして特定の例では、フィルムが溶解するにつれて、周囲環境全体に、完全に分散させることによって、予防作用の増加を達成する。さらに、多様な態様において、表面活性成分は、フィルム組成物の美容的外見を改善しうる。適切な表面活性剤および乳化剤は、好ましくは、非石鹸性陰イオン性、非イオン性、双性イオン性および両性有機合成洗剤を含めて、広いpH範囲を通じて、妥当に安定であるものである。特定の態様において、フィルム組成物中には、フィルム重量の約0.001%〜約5%、より好ましくは約0.5%〜約5%;そして最も好ましくは約1%〜約3%の範囲で、1以上の界面活性剤が存在する。
【0061】
[0058]本発明の組成物中で有用な非イオン性界面活性剤には、脂肪族性またはアルキル芳香族性であってもよい、有機疎水性化合物と酸化アルキレン(特に酸化エチレン)の縮合によって生じる化合物が含まれる。界面活性剤の1つの群は、「エトキサマー(ethoxamer)」として知られ、これは、酸化エチレンと脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミド、多価アルコール(例えばモノステアリン酸ソルビタン)等との縮合産物である。「ポリソルベート」は、ソルビタン−脂肪酸エステルの未結合(free)ヒドロキシルをエトキシル化することによって調製された種類の非イオン性界面活性剤を表す。これらは例えば、ICI America, Inc.(米国ニュージャージー州ブリッジウォーター)のTWEEN(登録商標)界面活性剤として商業的に入手可能である。限定されない例には、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、TWEEN(登録商標)20)およびポリソルベート80(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、TWEEN(登録商標)80)が含まれる。好ましいポリソルベートには、ソルビタンエステル1モルあたり、約20〜60モルの酸化エチレンを含むものが含まれる。
【0062】
[0059]他の適切な非イオン性界面活性剤には、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー、特に2ブロックのポリ(オキシエチレン)および1ブロックのポリ(オキシプロピレン)を含む、このタイプの3ブロックのポリマーが含まれる。こうしたコポリマーは、ポロキサマーの一般名によって商業的に知られ、この名称は、各コポリマーの個々の同定を示すため、数字の接尾語と組み合わせて用いられる。ポロキサマーは、多様な含量の酸化エチレンおよび酸化プロピレンを有してもよく、これによって、広い範囲の化学構造および分子量を有する。好ましいポロキサマーは、ポロキサマー407であり、これは、例えば、BASF社(米国ニュージャージー州フローラムパーク)の商標名Pluronic(登録商標)F127のもとに広く入手可能である。
【0063】
[0060]適切な非イオン性界面活性剤の他の限定されない例には、酸化プロピレンおよびエチレンジアミン、長鎖三級酸化アミン、長鎖三級酸化ホスフィン、長鎖ジアルキルスルホキシド等の反応産物と、酸化エチレンの縮合によって得られる産物が含まれる。
【0064】
[0061]双性イオン性合成界面活性剤もまた、本発明の態様で有用でありうる。これらの特定のものは、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されることも可能であり、ここで、脂肪族ラジカルは直鎖または分枝鎖であってもよく、そして脂肪族置換基の1つが8〜18の炭素原子を含有し、そして1つは陰イオン性水可溶化基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを含有する。適切な双性イオン性界面活性剤の一例は、4−(N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ)−ブタン−1−カルボキシレートである。
【0065】
[0062]他の適切な双性イオン性界面活性剤には、ベタイン界面活性剤、例えばPolefkaらに対する米国特許第5,180,577号に開示されるものが含まれる。典型的なアルキルジメチルベタインには、デシルベタイン2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等が含まれる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等に例示される。特に有用なベタイン界面活性剤には、ココアミドプロピルベタインおよびラウラミドプロピルベタインが含まれる。
【0066】
[0063]適切な陰イオン性界面活性剤の例は、高脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸の水溶性塩、例えば水素化ヤシ油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)などのより高次の硫酸アルキル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸アルキルアリール、より高次のスルホ酢酸アルキル、スルホン酸1,2−ジヒドロキシプロパンのより高次の脂肪酸エステル、および脂肪酸、アルキルまたはアシルラジカル中に12〜16の炭素を有するものなどの、より低次の脂肪族アミノカルボン酸化合物の、実質的に飽和したより高次の脂肪族アシルアミド等である。最後に言及したアミドの例は、N−ラウロイルザルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パルミトイルザルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩であり、これらは好ましくは、石鹸または類似のより高次の脂肪酸物質を実質的に含まない。
【0067】
[0064]フィルムは、フィルムの強度および柔軟性の調整を可能にする1以上の可塑剤を場合によって含有する。典型的には、可塑剤は、フィルムの剛性を減少させる。可塑剤化合物には、プロピレングリコールまたは低分子量ポリマーなどのグリコール、例えばDow Chemicalから入手可能な約200〜約600の分子量のCARBOWAXESTMのいずれかなどのポリエチレングリコールが含まれていてもよい。グリセリンまたはプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトールなどの多価アルコール、三酢酸グリセロール(トリアセチン)などのグリセロールエステル、クエン酸トリエチル、ならびにミネラルオイル、ヒマシ油および植物油などの天然油もまた使用可能である。こうした可塑剤は、場合によって、フィルム重量の約1%〜約50%、約5%〜約30%、または約10%〜約25%を構成する。
【0068】
[0065]増量剤、充填剤成分、または粘性修飾剤は、フィルムの特性を修飾可能であり、そしてまた、フィルム中に含まれていてもよい。こうした増量剤には、例えば二酸化ケイ素(シリカ)、リン酸三カルシウム、オルトリン酸二カルシウム(リン酸一水素カルシウム)、炭酸カルシウム、真珠層、および粘土など、粒子の形であってもよい、水不溶性無機物質も含まれてもよい。水不溶性有機増量剤には、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ならびにジャガイモ、トウモロコシ、オーツムギ(oat)、コメ、コムギまたはタピオカ由来の多様なデンプン、および例えばマルトデキストリンなどの修飾食品デンプンが含まれてもよい。増量剤は、場合によって、フィルム重量の約1%〜約50%、約5%〜約30%、または約10%〜約25%の量で存在する。
【0069】
[0066]適切なさらなる構成要素の限定されない例には、粘土、疎水性有機非ポリマー性物質を含む化合物、例えばワックス(例えば蜜蝋またはパラフィン)、冷水膨潤性、物理的修飾およびプレゼラチン化デンプンなどの質感修飾剤、および着色剤が含まれる。いくつかの態様において、フィルムはグラファイトを含む。
【0070】
[0067]多様な態様において、フィルムは、フィルム、組成物または両方に色を与える、配合物着色剤を含む。いくつかの態様において、フィルム断片は、キャリアーと対をなし、そして白、黒、またはキャリアーバックグラウンドに対して可視であるか、または対をなす任意の色である。有用な配合物着色剤には、例えば酸化金属「レーキ」などの、非毒性水溶性色素またはピグメントが含まれる。特定の態様において、着色剤は、監督官庁によって、食品または薬剤中への取り込みに関して認可されており、例えば、米国での使用に関して、FDAによって認可されたFD&CまたはD&Cピグメントおよび色素がある。有用な着色剤には、FD&C赤色3号(テトラヨードフルオレセインのナトリウム塩)、食品赤色17号、6−ヒドロキシ−5{(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ}−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩、食品黄色13号、キノフタロンまたは2−(2−キノリル)インダンジオンのモノおよびジスルホン酸の混合物のナトリウム塩、FD&C黄色5号(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシ−ピラゾール−3カルボン酸のナトリウム塩)、FD&C黄色6号(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&C緑色3号(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウム−フェニル)−メチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−A−3,5−シクロヘキサジエンイミン]の二ナトリウム塩)、FD&C青色1号(ジベンジルジエチル−ジアミノトリフェニルカルビノ−1トリスルホン酸無水物の二ナトリウム塩)、FD&C青色2号(インディゴチンの二スルホン酸のナトリウム塩)、および多様な比率でのその混合物が含まれる。1つの態様において、着色剤は、水不溶性無機ピグメント、例えば二酸化チタン、酸化クロムグリーン、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、酸化第二鉄、または水不溶性色素レーキを含む。いくつかの態様において、色素レーキには、FD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、D&C赤色30号レーキまたはFD&C黄色15号レーキなどのFD&C色素のカルシウムまたはアルミニウム塩が含まれる。特定の態様において、例えばFD&C青色1号などの水溶性色素は、例えばポリエチレンビーズ(例えばMicropowders, Inc.によって販売されるMicroblue Spectrabeads)で見られるものなどのポリエチレンなどの水不溶性ポリマー内に含有される。特定の態様において、フィルムは、D&C赤色30号などの色素を含む。特定の態様において、例えば二酸化チタン(TiO)、二酸化チタンコーティング雲母(例えばTimiron)、雲母、ミネラル、または粘土などの白色着色剤を用いる。特定の態様において、着色剤はにじまない(non−bleeding)色素である。多様な態様において、フィルムは、フィルム重量の約0.5%〜約20%、またはフィルム重量の約1%〜約15%、またはフィルム重量の約3%〜約12%のレベルの着色剤を含む。
【0071】
[0068]本発明の特定の態様において、口腔ケア組成物中で使用するためのフィルムは、天然および人工的フレーバーなどの、当業者に知られる任意のものを含んでもよい、1以上のフレーバー剤を含む。これらのフレーバー剤は、合成フレーバー油およびフレーバー芳香族、および/または油、含油樹脂、および植物、葉、花、果実等由来の抽出物、ならびにその混合物であってもよい。特定の態様において、フレーバー剤は、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マージョラム、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ、リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、サクランボ、アプリコット、スイカ、バナナ、コーヒー、ココア、メントール、カルボン、アネトールおよびその混合物からなる群より選択されるフレーバーを与える、精油、抽出物またはフレーバーアルデヒド、ケトン、エステルまたはアルコールを含む。代表的なフレーバー油には:スペアミント油、シナモン油、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、および苦扁桃油が含まれる。やはり有用なのは、個々のまたは組み合わせた人工、天然または合成フレーバー、例えばバニラ、チョコレート、コーラ、コーヒー、ココア、ならびにレモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツを含む柑橘油、ならびにリンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パインアップル、アプリコット等を含む果実精である。多様な態様において、フレーバー剤は、フィルム重量の約0.01%〜約10%の量でフィルム中に取り込まれる。
【0072】
[0069]特定の態様において、組成物は、甘味物質がフレーバー剤の代替物または補充物として用いられる口腔ケア組成物である。適切な甘味剤は、水溶性であり、そしてフィルムの0.01〜約1%の濃度のサッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、ペリラルチン(perillartien)、D−トリプトファン、アスパルテーム、スクラロース、ジヒドロカルコン等を含む。最も好ましくは、甘味物質はサッカリンナトリウムである。
【0073】
[0070]本発明の特定の態様において、フィルムは多孔性である。本明細書において、「多孔性」は、本体全体に分散する複数の孔を有することを意味する。好ましくは、特定の態様内で、孔がフィルム本体全体に分散して互いに開放し、フィルム本体全体で、連続した経路またはチャネルを形成しているという点で、孔は開放セル性である。孔は、マクロ孔(例えば約50nmより大きい平均孔サイズ)、メソ孔(例えば約2〜約50nmの平均孔サイズを持つ)またはミクロ孔(例えば約2nmまたは20オングストローム未満の平均孔サイズ)であってもよい。
【0074】
[0071]上述のように、本発明の好ましい態様は、活性成分を含む媒体中に存在する活性成分の少なくとも一部を移動させることによって、フィルム内に活性成分を導入する方法を提供する。先に論じるように、フィルムは、最初には、移動させようとする活性成分を実質的に含まない。複数の活性成分を有し、そして選択した活性成分のみが、媒体を介してフィルムに移動するようにフィルムを調製してもよい。活性成分の濃度勾配が、媒体およびフィルムの間に生じる。好ましくは、媒体は液相または半固相であるが、気相または固相などの他の相が意図される。媒体中に存在する活性成分の少なくとも一部をフィルムに移動させる。これは、周囲条件で、フィルム内に活性成分が移動する、濃度勾配を横断する活性成分の拡散などの、受動的物質輸送によって起こってもよい。あるいは、移動には、例えば熱力学的平衡を促進し、活性成分の移動速度を加速させ、エネルギーまたは物質輸送バリアを克服するなどのため、系に適用される外部エネルギーの何らかの形が含まれてもよい。外部剤の能動的適用には、例えば、電気的力、熱、および圧力などの適用が含まれる。
【0075】
[0072]好ましい態様において、移動プロセス中、フィルムを媒体と接触させる。好ましくは、フィルムを部分的にまたは完全に媒体内に浸して、曝露される表面積を最大にし、媒体と接触する量、そしてしたがって活性化合物の移動が最大になるように促進する。任意の型の接触が意図される:例えば、場合によって媒体をフィルム上にコーティングしてもよく、またはフィルムを媒体内に沈めてもよい。場合によって、フィルムを含有する媒体を、連続してまたは断続的に混合してもよい。移動プロセスを、バッチプロセスまたは連続プロセスとして行ってもよい。
【0076】
[0073]好ましい態様において、媒体は液相または半固相(例えばゲル、ペースト)である。媒体は、活性成分を含み、そして好ましくは、活性成分が分散している少なくとも1つの相を有する。媒体中の少なくとも1つの相中に、活性成分を懸濁し、そして/または溶媒和してもよい。活性成分は媒体中の不連続相中に含有されていてもよい。当業者に認識されるであろうように、媒体は、エマルジョンまたは他の多相系など、多数の相を含んでもよい。例えば、活性成分が親油性である場合、親油相内に分散させてもよい。同様に、親水性活性成分を、好ましくは、適合する親水性相内に分散させる。媒体は、1以上の溶媒(極性または非極性)または懸濁(水性または非水性)のためのビヒクルを含んでもよい。
【0077】
[0074]特定の態様において、以下により詳細に記載するように、口腔ケア組成物、パーソナルケア組成物、クレンザー、および/またはホームケア組成物のためのキャリアーは、活性成分の少なくとも一部の移動に続いて、活性成分を含有する媒体を含む。こうした態様において、意図される使用に適合した構成要素を含むように媒体を選択し、これには、特定の組成にしたがったキャリアー成分の選択が含まれてもよい。特定の態様において、媒体は、重量5%〜約95%の水などの、ある量の極性溶媒を含む。他の限定されない構成要素には、さらなる溶媒、多価アルコール、保湿剤、増粘剤、表面活性剤、および当業者に周知の他の構成要素が含まれる。いくつかの態様において、媒体は、水などの他の溶媒と組み合わせ可能な、多価アルコール、例えばグリセリンを含む。
【0078】
[0075]多様な態様において、活性成分は、約0.01%より多い、場合によって約1%より多い、場合によって約5%より多い、場合によって約10%より多い、場合によって約20%より多い、場合によって約30%より多い、場合によって約50%より多い、そして場合によって約75%より多い濃度で移動する。
【0079】
[0076]好ましくは、媒体からの活性成分の少なくとも一部がフィルムに移動する。当業者に認識されるように、移動期間は、媒体中に存在する活性成分の量、フィルム中の活性成分の所望の濃度、および製造プロセスに応じて多様でありうる。いくつかの態様において、媒体は、最終組成物または産物のキャリアーとして用いられる。したがって、組成物のキャリアーは、場合によって媒体を含む。さらに、いくつかの態様において、媒体は、組成物のキャリアーを形成する。キャリアーは、フィルム内に移動させようとするものとは独立に、1以上のさらなる活性成分をさらに含んでもよい。他の態様において、媒体は、活性成分をフィルムに移動させるための移動媒体であるが、媒体は、生じる組成物/産物では続いて用いられない。
【0080】
[0077]当業者に認識されるように、媒体濃度は、最終使用に応じる。例えば、媒体がキャリアー内に取り込まれる場合、有効でそしてなおかつ非毒性であり、したがって活性成分の有効量に近づく、所望の濃度内に含まれるように、活性成分濃度が最適化される。さらに、こうした状況において、移動期間が比較的長く、したがって濃度勾配が平衡に近づくことを可能にする(またはフィルムによる活性剤の不可逆的取り込みを可能にする)ように、媒体は組成物保存中にキャリアーと接触するであろう。キャリアー中の媒体の希釈量は、媒体中の活性成分の必要な濃度をさらに決定づけるであろう(さらにフィルム中の活性剤の所望の濃度の主原因となる)。他の態様において、例えば媒体が単に移動媒体である場合、活性成分濃度は、より大きい濃度勾配およびフィルムへの活性成分のより迅速な移動を促進するため、比較的高いことも可能である。
【0081】
[0078]特定の態様において、移動は、周囲条件で起こる。いくつかの態様において、移動は、約25℃以上で起こる。さらに、いくつかの態様において、移動は、約10時間未満で、場合によって約5時間未満で、場合によって約3時間未満で、場合によって約1時間未満で、そして場合によって約30分未満で起こる。いくつかの態様において、移動は、約20分未満で、場合によって約15分未満で、そして場合によって約10分未満で起こる。他の態様において、移動は、約10〜72時間、またはそれより長時間で起こる。1つの態様において、移動は、約48時間未満で、例えば約24時間で起こる。1つの態様において、媒体は、水性溶液中で過酸化水素活性成分を含み、過酸化水素濃度は、重量約1%〜約50%、重量約1%〜約10%、場合によって約1〜約5%である。最初に、フィルムは過酸化物ホワイトニング剤をまったく含有しない。24時間後、フィルムは、フィルム重量の約0.01%〜約10%、場合によって約1%〜約5%の過酸化水素を含む。
【0082】
[0079]したがって、特定の態様において、移動に続いて、フィルム中に存在する、移動した活性成分の部分は、約0.01%より多いことが好ましい。他の態様において、フィルム中に存在する、移動した活性成分の量は、約1%より多く、場合によって約5%より多く、場合によって約10%より多く、場合によって約20%より多く、場合によって約30%より多く、場合によって約40%より多く、場合によって約50%より多く、場合によって約60%より多く、場合によって約75%より多い。しかし、当業者に認識されるであろうように、フィルム中の活性剤の濃度は、例えば、香水、甘味料、着色剤または強力な活性剤を用いた場合、非常に低い可能性もある。さらに、フィルム中の活性成分の濃度は、活性剤の有効量、ならびにフィルムが活性成分を受け入れ、そして保持する性向を含む、多様な要因に応じ;これは次に、限定されるわけではないが、フィルムの多孔性、フィルムおよび活性剤の間の化学的適合性を含む多様な要因に応じうる。
【0083】
[0080]本発明のフィルムは、好ましくは、実質的に層状構造を有する。「層状」構造は、第三の次元(例えばz次元)の構造の厚さより実質的に大きい、一次元または二次元(例えばx次元またはy次元)のサイズを有し、そして一般的に、例えば、実質的に平面、層、または薄板の形状を含む。1つの態様において、層状構造は、x次元およびy次元の両方で、z次元より実質的に大きいサイズを有する、実質的な平面である。他の態様において、層状構造は、非平面である。
【0084】
[0081]別の方式で表すと、フィルムは、好ましくは、約5:1以上の縦横比を有する。一般的に、縦横比(AR)は、AR=L/Dとして定義され、式中、Lは最長次元の長さであり、そしてDは最短次元の長さである。いくつかの態様において、フィルム断片は、少なくとも約10:1の縦横比を有する。多様な態様において、フィルム断片は、約5:1〜約10,000:1の縦横比を有する。1つの態様において、フィルムは、実質的に平らな表面として現れうる、実質的に連続した表面を含むが、いくつかの態様において、フィルムは変形していてもよい。こうした態様において、フィルムは、いくつかの形状のいずれを有してもよく、平滑面、曲面を有するものが含まれる。さらに、用語「フィルム」は、単一構造ならびに複数のフィルム断片の両方を含む。特定の態様において、フィルムは、約0.1ミル〜約10ミル、好ましくは約0.5ミル〜9ミル、そしてより好ましくは約1.2ミル〜約3ミルの厚さを独立に有する、複数の断片を含む。断片の好ましい長さは少なくとも約0.2mmである。
【0085】
[0082]多様な態様において、フィルムは、複数の断片または片を含む。こうした断片は、半固形または固形の分離された部分、断片、粒子、薄片、またはその混合物を含む、多様な形状または形のいずれであってもよい。多様な態様において、フィルム断片は、認識可能な形状を有する。いくつかの態様において、フィルム断片は、ランダムでない形状を含む。こうした形状には、多角形、楕円形、三角形、四辺形(正方形、長方形、菱形など)、五角形、六角形、卵形、円などの単純な幾何学的形状、あるいは図、生命のあるものまたは無生物、例えば星、ハート、宝石、花、樹木、シャムロック、文字、数字、動物、キャラクター等を示す形状が含まれる。
【0086】
[0083]さらに、複数のフィルム断片が、異なる組成を有してもよく、例えば、第一の色および第二の色が互いに異なる、第一の色を含む第一の複数のフィルム断片、および第二の色を含む第二の複数のフィルム断片を有してもよい。異なる組成の任意の順列が意図され、例えば、組成物中の任意の数の異なる活性成分または異なるフィルム組成が意図される。
【0087】
[0084]特定の態様において、すべて当業者に周知の、慣用的押し出し、ブロー成形、または溶媒鋳造プロセス、あるいは他の類似のプロセスを用いて、本発明にしたがったフィルムを調製してもよい。例えば、溶媒鋳造によってフィルムを調製するには、フィルム形成性ポリマーは可溶性であるか、またはポリマーと適合する十分量の溶媒中に溶解されている。適切な溶媒の例には、水、アルコール、アセトン、酢酸エチルまたはその混合物が含まれる。
【0088】
[0085]いくつかの態様において、フィルムは溶液鋳造される。適切な溶媒の例には、水、アルコール、アセトン、酢酸エチルまたはその混合物が含まれる。1つの態様において、溶液は、低分子量アルコール溶媒、例えばエタノールである。スラリー鋳造後、約0.5ミル(13μm)〜約2ミル(50μm)の好ましい厚さまで層を乾燥させるが、より広い範囲の厚さが実現可能であり、そして本発明によって意図される。
【0089】
[0086]溶液が形成された後、透明でそして均質な溶液が形成されるまで、攪拌しながら可塑剤を添加してもよく、そして必要であれば、溶解を補助するために熱を適用してもよく、その後、研磨剤、および任意のさらなる成分、例えば増量剤、可塑剤、表面活性剤、フレーバー剤および/または甘味剤を添加してもよい。溶液を適切なキャリアー支持体物質上にコーティングし、そして乾燥させてフィルムを形成してもよい。支持体は、好ましくは、溶液に浸して、2つの支持体間に許容しえないほど強い結合が形成されることなく、ポリマー溶液が、意図される支持体の幅全体に均一に広がることを可能にする、表面張力を有する。適切なキャリアー支持体物質の例には、ガラス、ステンレス鋼、TEFLON(登録商標)(DuPont、デラウェア州ウィルミントン)として商業的に入手可能なPTFE、ポリエチレンを含浸させたKraft紙またはポリエステルプラスチックライナーが含まれる。
【0090】
[0087]乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空ドライヤー、またはフィルムの活性成分(単数または複数)もしくはフレーバーに不都合に影響を及ぼさない任意の他の適切な乾燥装置を用いて、中程度から高温の空気バス中で、フィルムを乾燥させてもよい。乾燥中、フィルムは、優先的な伸展または他の整列プロセス、例えばフィルムのあらかじめ決定された軸に沿って吹き出される定方向空気などを経て、研磨剤粒子がフィルム内で望ましい整列を有するように整列させてもよい。刃物での単純な切断、回転またはパンチプレス型抜き機を通じて、最終的な型において、乾燥したフィルムを断片または形状に成形することが可能である。場合によって、キャリアー支持体は、そこに形成された鋳型を有してもよく、そしてスラリーは鋳型中で乾燥されて、鋳型によって定義されるあらかじめ決定された形状になるであろう。本発明の特定の態様において、フィルム製造の特定の側面に影響を及ぼすかまたはこれを無効にすることなく、もろい活性成分をフィルム組成物内に取り込んで、こうしてより容易で、より経済的で、そしてより頑強なフィルム製造を可能にしてもよい。
【0091】
[0088]当業者に知られる慣用的な成分を用いて、上に列挙する組成物のキャリアーを形成してもよい。キャリアーの特定の組成は、好ましくは、組成物の意図される使用に応じる。キャリアーは、液相、半固相、または固相中にあってもよい。組成物が口腔ケアまたはパーソナルケア組成物である場合、これらは好ましくは、口腔的にまたは皮膚科学的に(すなわち美容的に)許容されうるキャリアーまたはビヒクル中で提供される。口腔ケア組成物は、歯磨剤(練り歯磨き、歯磨きジェル、うがい薬、歯磨き粉、および予防ペーストを含む)、菓子類(ガム、ビーズおよびチューズを含む)、フィルム、塗装製品、専門的研磨配合物の形、または研磨剤を使用する際に、当業者に知られる任意の他の形であってもよい。パーソナルケア組成物には:石鹸、浴槽ジェル、ボディーソープ、剥離スクラブ、ローション、発汗抑制剤および脱臭製品、ネイルケア製品等が含まれる。ホームケア組成物には、粉末、ペースト、洗剤、織物柔軟剤、クレンザー等が含まれる。特定のキャリアー構成要素の選択は、所望の製品型に応じる。
【0092】
[0089]いくつかの態様において、キャリアーは水性であり、この場合、キャリアーは、好ましくは、約5%〜約95%の水を含む。他の態様において、キャリアーは、実質的に非水性である。
【0093】
[0090]当業者に認識されるように、組成物のキャリアーには、場合によって、例えば、表面活性剤、例えば界面活性剤、乳化剤、および泡調節剤、粘性修飾剤および増粘剤、保湿剤、希釈剤、充填剤、pH修飾剤、着色剤、保存剤、溶媒、およびその混合物を含む、他の物質が含まれる。物質の上記カテゴリーの各々の一般的な特性は、異なる可能性もある一方;何らかの共通の特性がある可能性もあり、そして任意の所定の物質が、物質のこうしたカテゴリーの2以上で多数の目的を果たす可能性もあることが理解される。
【0094】
[0091]適切な表面活性剤は、本明細書で有用なフィルム組成物の文脈で上述したものを含めて、陰イオン性、非イオン性または両性界面活性剤を含めて、広いpH範囲を通じて、妥当に安定であり、そして当該技術分野において周知であるものである。
【0095】
[0092]歯磨剤の形の口腔ケア組成物に向けられる態様において、例示的なキャリアーは、実質的に半固形または固形である。歯磨剤は、典型的には、表面活性剤、保湿剤、粘性修飾剤および/または増粘剤、研磨剤、水などの溶媒、フレーバー剤および甘味剤を含有する。当業者に認識されるように、口腔ケア組成物には、場合によって、先に記載した構成要素に加えて、例えば皮膚軟化剤、モイスチャライザー、口腔感触剤(mouth feel agent)等を含む、他の物質が含まれる。口腔ケア組成物に適したキャリアーの例は、Boydらに対する米国特許第6,669,929号、Gebreselassieらに対する第6,379,654号、およびNabiらに対する第4,894,220号に開示される。
【0096】
[0093]多様な態様において、口腔ケア組成物は、単一の構成要素または相内で提供される。他の態様において、組成物には、別個に維持される、第一および第二の構成要素両方が含まれる。構成要素を別個に維持するには、組成物の1つの構成要素と、組成物の別の構成要素の相互作用を実質的に防止するような方式で、構成要素が維持されていることのみが必要である。典型的には、1以上の適合しない成分が組成物中に含まれる、二重構成要素口腔ケア組成物が使用される。例えば、キャリアーが2つの適合しない活性成分を含む場合、これらを別個に維持することが好都合である。活性成分を含むフィルムは、一般的に、ある程度の分離を提供するが、フィルムからキャリアー内への活性成分のある程度の移動、およびその逆がある可能性もあり、そしてこうしたものとして、いくつかの場合、完全に別個の相を提供することが望ましい可能性もある。当該技術分野に知られるかまたは発見されるはずのいかなる手段を通じて構成要素の分離を達成してもよく、そしてこれには、分離の化学的、物理的、および機械的手段、またはこれらの組み合わせが含まれる。例えば、第一および第二の適合しない構成要素を組み合わせてもよいが、保護性のフィルム、コーティング、カプセル、ミセル等に一方または両方をラッピングするかまたは被包することによって、特定の構成要素が別個に維持される。
【0097】
[0094]菓子類の形の口腔ケア組成物に向けられる態様において、例示的なキャリアーは、実質的に固形または半固形である。菓子類キャリアーが当該技術分野に知られ、そしてこれには好ましくは、チューインガムベース、1以上の可塑剤、甘味剤、およびフレーバー剤を一般的に有する、チューインガムキャリアーが含まれる。適切な菓子類キャリアーの例は、どちらもChowらに対する米国特許第5,833,954号および第5,933,786号、ならびにStierらに対する第6,770,264号に見出される。
【0098】
[0095]特定の態様において、口腔ケア組成物は、フィルムキャリアー内に分散した活性成分の移動した部分を含有する断片中の、口腔消費可能フィルムの形である。フィルム組成物は、先に記載したもののいずれであってもよい:しかし、いくつかの態様において、フィルム断片は、好ましくは、フィルム断片が物理的および/または化学的にフィルムキャリアーと区別できるように、フィルムキャリアーと異なる組成を有する。好ましいフィルムキャリアーには、溶解可能フィルム、または当業者に知られるような取り外し可能な裏打ちを有するフィルムが含まれる。適切なフィルムの限定されない例は、Schiraldiらに対する米国特許第4,713,243号、すべてXuらに対する第6,419,903号、第6,419,906号、および第6,514,483号、ならびにMoroらに対する米国特許公報第2004/0062724号に見いだされうる。
【0099】
[0096]フィルムキャリアーは、選択したポリマーに基づいて、あらかじめ決定された治療期間に対応した溶解速度を有するように設計可能である。好ましくは、フィルムキャリアーの溶解速度は、フィルムキャリアーが、活性成分を含むフィルムより速い速度で分解するかまたは溶解され、したがって、キャリアーフィルム中に存在する活性成分(フィルム中に移動した活性成分を除く)および移動した活性成分を含むフィルムの制御放出を可能にするようなものである。キャリアーフィルムは、移動した活性成分を含むフィルムの文脈で上述したものと同じフィルム形成物質で形成されていてもよい。
【0100】
[0097]キャリアーフィルムは、先に記載するものなどの、任意の慣用的なフィルム形成プロセスによって作製可能である。好ましくは、溶液鋳造後または押し出し前に、活性成分を含むフィルムを、該フィルム内に混合する。キャリアーフィルムの厚さは、好ましくは、活性成分を含むフィルム断片より大きい。好ましい厚さは、約0.5ミル〜約20ミルであるが、より広い範囲の厚さが実現可能である。
【0101】
[0098]特定の態様において、組成物は、非水性のキャリアーを含む塗装口腔またはネイル組成物の形である。塗装キャリアーは、柔らかいアプリケーターを用いた手動の適用によって、歯または爪などの表面に適用される、流動性の粘性非水性液体懸濁物である。いくつかの態様において、塗装口腔ケア組成物は、液体でそして親水性である接着増進性フィルム形成ポリマー剤、例えばポリアルキレングリコールポリマー、例えば酸化エチレンの非イオン性ポリマー、または酸化エチレンおよび酸化プロピレンの非イオン性ブロックコポリマー(例えばポロキサマー・コポリマー)を含む。塗装キャリアーはまた、場合によって、溶媒、可塑剤、増量剤、充填剤、または粘性修飾剤を含む。適切な塗装キャリアーは、Santarpiaらに対する米国特許第6,770,266号、およびHoicらに対する第6,669,930号に論じられる。
【0102】
[0099]パーソナルケア製品キャリアーは、非常に多様な型、例えば限定されるわけではないが、水中油、油中水、水中油中水、およびシリコン中水中油を含む、エマルジョンなどであってもよい。エマルジョンは、広い範囲の粘度、例えば約100cps〜約200,000cpsを含んでもよい。他の適切なキャリアーには、無水液体溶媒、例えば油(例えば植物油およびミネラルオイル)、アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール)およびシリコン(例えばジメチコン、シクロメチコン);水に基づく単一相液体溶媒(例えば含水アルコール溶媒系);ならびにこれらの無水および水に基づく単一相溶媒の増粘型(例えば、適切なゴム、樹脂、ワックス、ポリマー、塩等の添加によって、溶媒の粘性が増加して、固体または半固体を形成しているもの)が含まれる。上に論じるように、パーソナルケア組成物キャリアーは、キャリアーの溶媒の一部もまた形成可能な、皮膚軟化剤、モイスチャライザー、またはコンディショニング剤をしばしば含む。石鹸、ジェル、ボディーソープ等は、好ましくは、表面活性剤洗剤(単数または複数)を含有する。こうしたキャリアーの例は、Simonらに対する米国特許第5,480,633号に論じられる。
【0103】
[00100]ホームケアまたは家庭用クリーニング組成物キャリアーは、好ましくは、1以上の表面活性洗剤、洗剤ビルダー、例えば硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)、リン酸塩(例えばリン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム)、複合リン酸塩(例えばピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、四リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム、コロイド状ケイ酸塩)、炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム)、漂白性化合物(例えば次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム)、ならびに場合による活性化剤、pH緩衝剤、酵素、コンディショニング剤、希釈剤等を含む。例示的なクレンザーは、Hokkirigawaらに対する米国特許第6,670,318号、Thomasらに対する第5,294,364号、Denisらに対する第4,869,842号、Lanczに対する第3,965,026号に記載される。
【実施例】
【0104】
[00101]本発明は、以下の限定されない実施例(単数または複数)を通じて、さらに例示される。
実施例1
[00102]以下の表1に列挙する成分を用いてフィルム組成物を調製される。
【0105】
表I
【0106】
【表1】

【0107】
[00103]フィルムは、固形物の量が5%〜60%で多様であってもよい水溶液から鋳造される。特に、表Iの例において、フィルムは、およそ70%の水を含有するスラリーから鋳造される。フィルムは、ポリエチレンをコーティングした取り外し可能なペーパーウェブ上に9ミルで湿性鋳造され、そして80℃に設定されたオーブン中で約10分間乾燥される。フィルムはメントールを含有する(息のリフレッシュおよびクーリングのため)。フィルムはホワイトニング剤を含まない。刃物での単純な切断、回転またはパンチプレス型抜き機を通じて、最終型へのフィルムの成形が可能である。
【0108】
実施例2
[00104]以下の表IIに列挙する成分を用いて、実施例1に記載するのと同じ方式で、フィルム組成物を調製する。フィルムはメントールを含有し、そしてホワイトニング剤を含まない。
【0109】
表II
【0110】
【表2】

【0111】
実施例3
[00105]実施例2にしたがって、上記表IIに列挙する成分を用いて、フィルム組成物を調製する。小さい正方形(1/16インチ幅)を鋳造フィルムから切断する。実施例2にしたがったフィルム組成物とともに、表III由来の成分を有する二重相歯磨剤組成物を調製する。歯磨剤は、第一の部分(A部分)および第二の部分(B部分)を含み、そして各々を、表IIIに準拠して、以下の方法で別個に調製する:
フィルムに移動させようとする活性成分はホワイトニング剤(過酸化水素)である。サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム(TSPP)、グルコン酸マグネシウム、および他の塩を水中に分散させ、そして攪拌しながら慣用的なミキサー中で混合する。保湿剤、例えばグリセリンおよびソルビトールを、攪拌しながら水混合物に添加する。次いで、有機増粘剤、例えばカラギナン、カルボキシメチルセルロース、GANTREZ(登録商標)および任意のポリマーを添加する。過酸化水素産物をB部分に添加する。均質なゲル相が形成されるまで、生じた混合物を攪拌する。混合物を高速真空ミキサーに移し:ここで研磨剤および無機増粘剤を添加する。約20〜50mmHgの真空下で、混合物を高速で5〜30分間混合する。フレーバー油を検量し、次いで混合物に添加する。最後に、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはポリエチレングリコール(PEG)を、別個のミキサー中、それぞれの部分に装填する。実施例2由来のフィルム薄片を、B部分配合物内に添加し、そして混合する。生じた部分は均質で、半固形の押し出し可能ペーストまたはゲル製品である。
【0112】
[00106]A部分およびB部分を、ポリエチレンバリアを有する二重チャンバーチューブ容器などの、パーティションを有する二重相容器中で提供してもよい。
表III
【0113】
【表3−1】

【0114】
【表3−2】

【0115】
[00107]実施例3のB部分から取り外したストリップ中の過酸化水素レベルの測定を、商業的に入手可能なホワイトニングストリップ、Procter and Gamble Co.(米国オハイオ州シンシナティ)のCrest WHITESTRIPS(登録商標)である比較例Aと比較して、表IVに提供する。さらに、シェードにおける変化の試験は、10〜15回の処置の経過に渡って、実施例3のホワイトストリップが、SPECTROSHADETM分析を用いて、予防処置をしていない(unprophied)染みが付いた臼歯で、比較例と類似のΔE測定値を示すことを示す。こうしたものとして、本発明の方法にしたがった活性成分の移動は、フィルムが口腔ホワイトニング組成物中での使用に適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムに提供する。
【0116】
表IV
【0117】
【表4】

【0118】
実施例4
[00108]単一相のみを調製し、そしてフィルムに移動させようとする活性成分が、抗細菌性非イオン性ハロゲン化ジフェニルエーテル(トリクロサン)であることを除いて、実施例3に記載するのと同じ方式で、以下の表Vの成分を用いて、フィルム組成物を調製する。
【0119】
表V
【0120】
【表5】

【0121】
実施例5
[00109]活性成分としてグリセリンおよび過酸化物を含む媒体(例えば、水性35%過酸化水素溶液)を用いて、活性成分をフィルムに移動させてもよい。多様な活性成分濃度を選択してもよい。
【0122】
[00110]実施例2にしたがって調製したフィルム組成物断片を用い、上記実施例3のB部分の一部として用いたグリセリンおよび過酸化水素を用いて、媒体を調製する。重量0.5%でフィルムを提供し、そして1〜5分間、グリセリン/過酸化水素媒体と混合する。次いで、フィルムを含む媒体を口腔ケア組成物キャリアー内に再度取り込み、すなわち、上述のようなB部分配合物の他の構成要素と混合し、次いで、ここに他の成分を添加する。
【0123】
実施例6
[00111]実施例2で調製したフィルム組成物を用いて、表VIにしたがって、多様な異なる濃度の媒体を調製する。例A、B、およびCのフィルムに関して、移動時間を示す。フィルムストリップを媒体中に浸し、そして混合する。媒体から多様な移動時間で取り外したストリップにおいて測定した過酸化物レベルは、表VIに示すとおりである。結果としてフィルム中に移動した過酸化物の量は、フィルムに移動する過酸化物部分を、媒体中の過酸化物濃度、ならびに移動時間の長さに基づいて、選択可能であることを示す。媒体中の過酸化物濃度が比較的高い場合、移動する過酸化物の量は、同様に比較的高く、そしてフィルム中で同じ濃度を達成するために必要な移動時間の長さを短くすることも可能である。
【0124】
表VI
【0125】
【表6】

【0126】
[00112]多様な態様において、本発明は、フィルム内に活性成分を移動させる迅速でそして有効な方法を提供する。さらに、フィルム組成物をあらかじめ形成し、そして活性成分を後に導入することによって、該方法は、活性成分が壊れやすいか、またはフィルム製造に望ましい条件への曝露によって影響を受ける態様に、特によく適している。フィルム内に移動する活性成分は、例えば適合しない成分および界面活性剤を含むキャリアー中の保存に際して安定である。さらに、本発明の方法は、製造工場における容易でそして経済的なプロセシングを提供する。
【0127】
[00113]開示中の説明および特定の実施例は、例示のみの目的のために意図され、そして本開示の範囲を限定することを意図されないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを作製する方法であって:
活性成分を含む媒体内にフィルムを導入し、ここでフィルムは活性成分を実質的に含まず;そして
活性成分の少なくとも一部を、媒体からフィルムに移動させる
工程を含む、前記方法。
【請求項2】
フィルムが多孔性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フィルムが口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物中で使用するのに適しているように、フィルムがフィルム中に活性成分の有効量を含むまで、移動が起こる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
フィルム中に移動した活性成分の量が、フィルム重量の約0.5%より多い、請求項1記載の方法。
【請求項5】
フィルム中に移動した活性成分の量が、フィルム重量の約1%〜約5%である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
約25℃以上で、約48時間未満、移動が起こる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
フィルムが、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、および水不溶性ポリマーからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、セルロースエーテル、アクリレート、メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホスホネート、ポリシロキサン、その誘導体、コポリマー、および混合物からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
移動が、媒体からフィルムへの活性成分の拡散、および媒体からフィルム内への活性成分の吸収の少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
活性成分が:歯のホワイトニング剤、皮膚のホワイトニング剤、抗微生物剤、虫歯予防剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗接着剤、脱感作剤、抗炎症剤、悪臭制御剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液刺激剤、歯周活性剤、コンディショニング剤、抗ニキビ剤、抗乾癬剤、モイスチャライジング剤、皮膚軟化剤、皮膚脂質流動化剤、保湿剤、脱臭活性剤、抗発汗活性剤、天然抽出物および精油、栄養素、密封剤(occlusive agent)、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、酸化防止剤、抗生物質、剥離剤(exfoliant)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
フィルムが、表面活性剤、粘性修飾剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、充填剤、pH修飾剤、可塑剤、充填剤、ワックス、質感修飾剤(texture modifier)、フレーバー剤および/または甘味剤、保存剤、溶媒、およびその混合物の1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物を作製する方法であって:
活性成分を含む媒体内にフィルムを導入し、ここでフィルムは活性成分を実質的に含まず;
活性成分の少なくとも一部を、媒体からフィルムに移動させ、ここで、フィルムが口腔ケア、パーソナルケア、クレンジングおよび/またはホームケア組成物の少なくとも1つとして使用するのに適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムが含むまで、移動が起こり;そして
移動した活性成分を含むフィルムをキャリアー内に導入することによって組成物を調製する、ここで、移動した活性成分を含むフィルムは、組成物の保存中、安定である
工程を含む、前記方法。
【請求項13】
組成物のキャリアーが媒体をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
キャリアーが、研磨剤、表面活性剤、洗剤ブースター、粘性修飾剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、pH修飾剤、皮膚軟化剤、モイスチャライザー、口腔感触剤(mouth feel agent)、甘味剤、フレーバー剤、溶媒、水、着色剤、および保存剤からなる群より選択される、1以上の成分を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
組成物が、歯磨剤、菓子類、フィルム、塗装(paint−on)製品、リンス、液体、ペースト、ジェル、石鹸、ボディーソープ、スクラブ製品、ローション、ネイルケア製品、洗い粉、液体クレンザー、および半固体クレンザーからなる群より選択される形である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
フィルムが、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、および水不溶性ポリマーからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
活性成分が:歯のホワイトニング剤、皮膚のホワイトニング剤、抗微生物剤、虫歯予防剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗接着剤、脱感作剤、抗炎症剤、悪臭制御剤、フレーバー剤、着色剤、抗加齢剤、唾液刺激剤、歯周活性剤、皮膚コンディショニング剤、毛髪コンディショニング剤、抗ニキビ剤、抗乾癬剤、モイスチャライジング剤、皮膚軟化剤、皮膚脂質流動化剤、保湿剤、脱臭活性剤、抗発汗活性剤、天然抽出物および精油、栄養素、密封剤、酵素、タンパク質、アミノ酸、ビタミン、鎮痛剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、酸化防止剤、抗生物質、剥離剤、およびその混合物からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項18】
活性成分が:過酸化物、亜塩素酸金属、PVP−過酸化水素複合体、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、ペルオキシ酸、四級アンモニウム化合物、ピリジニウム、イソキノリニウム、ピリミジン、アミジン、ビスピリジン、ピペリジン、グアニド、Nα−アシルアミノ酸アルキルエステル、非イオン性ハロゲン化ジフェニルエーテル、フタル酸、クロルヘキシジン、サンギナリン、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、亜鉛イオン供給源、スズイオン供給源、亜塩素酸イオン供給源、その塩、誘導体、および混合物からなる群より選択される1以上の化合物を含む、請求項12記載の方法。
【請求項19】
移動後、フィルム中の活性成分の量が、フィルム重量の約0.5%より多い、請求項12記載の方法。
【請求項20】
移動後、フィルム中に存在する活性成分の量が、フィルム重量の約1%〜約5%である、請求項12記載の方法。
【請求項21】
フィルムが、1以上の表面活性剤、粘性修飾剤、増粘剤、保湿剤、希釈剤、充填剤、pH修飾剤、可塑剤、充填剤、ワックス、質感修飾剤、フレーバー剤および/または甘味剤、保存剤、溶媒、およびその混合物の1以上を含む、請求項12記載の方法。
【請求項22】
移動した活性成分を含むフィルムが多孔性である、請求項12記載の方法。
【請求項23】
口腔ケア組成物を作製する方法であって:
ホワイトニング剤を含む口腔活性成分を含む媒体内にフィルムを導入し、ここでフィルムは活性成分を実質的に含まず;そして
口腔活性成分の少なくとも一部を、媒体からフィルムに移動させ、ここで、フィルムが口腔ケア組成物中で使用するのに適しているように、移動した活性成分の有効量をフィルムが含むまで、移動が起こり;そして
移動した口腔活性成分を含むフィルムをキャリアー内に導入することによって口腔ケア組成物を調製する、ここで、移動した活性成分を含むフィルムは、口腔ケア組成物の保存中、安定である
工程を含む、前記方法。
【請求項24】
ホワイトニング剤が:過酸化物、亜塩素酸金属、PVP−過酸化水素複合体、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、およびペルオキシ酸からなる群より選択される1以上の化合物を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
口腔ケア組成物と口腔表面を接触させることをさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
移動後、フィルム中の活性成分の量が、フィルム重量の約0.5%より多い、請求項23記載の方法。
【請求項27】
移動後、フィルム中に存在する活性成分の量が、フィルム重量の約1%〜約5%である、請求項23記載の方法。

【公表番号】特表2009−543900(P2009−543900A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519576(P2009−519576)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/072081
【国際公開番号】WO2008/008617
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】