説明

フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルム

【課題】優れた耐熱性を得ることができ、フィルムキャパシタの小型化や高容量化を実現し、フィルムの薄膜化や高い耐電圧性を満足させることのできるフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルムを提供する。
【解決手段】成形材料1を押出機10に投入してTダイス20からフィルムキャパシタ用フィルム2を押し出し、この押し出したフィルムキャパシタ用フィルム2を引取機30の複数のロール間に挟んで冷却し、この冷却したフィルムキャパシタ用フィルム2を巻取機40の巻取管42に巻き取る製造方法で、成形材料1を、ポリエーテルイミド樹脂100質量部にフッ素樹脂1〜10質量部を配合することにより調製し、押出機10とTダイス20との間に、フィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの0.5〜6倍以下の開口51を有するフィルタ50を介在し、フィルムキャパシタ用フィルム2を10μm以下の厚さとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電損失で耐電圧性と耐熱性とを要求されるフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルムキャパシタは、図示しないが、ポリエステル製のフィルムを誘電層としてその表面に金属蒸着層が電極として形成されることにより構成され、電子部品等に利用されている(特許文献1、2、3参照)。
ところで近年、環境負荷の低いハイブリッド車が開発・製造され、普及し始めているが、このハイブリッド車にフィルムキャパシタが電子部品として使用される場合には、高温の環境下(例えば150℃以上)で使用されるので、優れた耐熱性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009‐152590号公報
【特許文献2】特開2007‐300126号公報
【特許文献3】特開2002‐141246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来におけるフィルムキャパシタは、以上のように構成され、ハイブリッド車に電子部品として使用される場合には、優れた耐熱性を有することが要求される。また、フィルムキャパシタ自体の小型化や高容量化の要求も増大しており、しかも、誘電層として機能するフィルムのさらなる薄膜化や高い耐電圧性も強く求められてきている。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、優れた耐熱性を得ることができ、フィルムキャパシタの小型化や高容量化を実現し、しかも、フィルムの薄膜化や高い耐電圧性を満足させることのできるフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、成形材料を押出機に投入して押出ダイスからフィルムキャパシタ用フィルムを押し出し、この押し出したフィルムキャパシタ用フィルムを複数のロールの間に挟んで冷却するフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法であって、
成形材料を、少なくともポリエーテルイミド樹脂100質量部にフッ素樹脂1〜10質量部を配合することにより調製し、押出機と押出ダイスとの間に、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの0.5〜6倍以下の開口を有するフィルタを介在し、フィルムキャパシタ用フィルムを10μm以下の厚さとすることを特徴としている。
【0007】
なお、少なくともポリエーテルイミド樹脂100質量部にフッ素樹脂1〜10質量部を配合した成形材料を押出機に投入して押出ダイスからフィルムキャパシタ用フィルムを押し出すフィルムキャパシタ用フィルムの製造装置で、押出機と押出ダイスとの間に、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの0.5〜6倍以下の開口を有するフィルタを介在することができる。
【0008】
ここで、特許請求の範囲における成形材料は、優れた耐熱性を得る観点から、好ましくはポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂のみを配合することにより調製されるが、特に支障を来たさなければ、これらにシリカ等の各種フィラーを適宜添加することができる。押出機は、単軸タイプでも良いし、二軸タイプでも良い。さらに、本発明に係るフィルムキャパシタ用フィルムは、少なくともハイブリッド車、風力発電や太陽光発電のインバータ等に利用することができる。
【0009】
本発明によれば、成形材料としてポリエステル、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレートではなく、耐熱性に優れるポリエーテルイミド樹脂を使用するので、高温の環境下でも耐え得る耐熱性を得ることができる。また、フィルムキャパシタ用フィルムを10μm以下の薄さに成形するので、フィルムキャパシタ自体の小型化や高容量化の要求を満たしたり、フィルムキャパシタ用フィルムの薄膜化が可能となる。さらに、フィルタがフィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの0.5〜6倍以下の開口を有するので、成形材料中の異物を除去できる他、成形材料中のフッ素樹脂が良好に分散して耐電圧性等を向上させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた耐熱性を得ることができ、フィルムキャパシタの小型化や高容量化を実現することができるという効果がある。また、フィルムキャパシタ用フィルムの薄膜化や高い耐電圧性を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルムの実施形態を模式的に示す全体説明図である。
【図2】本発明に係るフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法の実施形態におけるフィルタを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態におけるフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法は、図1や図2に示すように、成形材料1を押出機10に投入してTダイス20からフィルムキャパシタ用フィルム2を押し出し、この押し出したフィルムキャパシタ用フィルム2を引取機30に挟んで冷却し、この冷却したフィルムキャパシタ用フィルム2を巻取機40に巻き取る製造方法で、成形材料1を、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を配合することにより調製し、押出機10とTダイス20との間に、フィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの6倍以下の開口51を有するフィルタ50を介在し、フィルムキャパシタ用フィルム2を10μm以下の厚さとするようにしている。
【0013】
成形材料1は、150℃以上の耐熱性に優れるポリエーテルイミド樹脂100質量部に摺動性を付与するフッ素樹脂1〜10質量部、好ましくは5質量部が配合されることで調製される。この成形材料1のポリエーテルイミド樹脂とフッ素樹脂とは、攪拌混合されるとともに、押出混練機で混練され、乾燥処理された後、押出機10に投入される。フッ素樹脂は、摺動性や滑り性を付与してフィルムキャパシタ用フィルムの製造に資するものの、耐電圧特性の低下を招く要因となる。
【0014】
押出機10は、例えば加熱される横長のシリンダ11に螺旋溝を備えたスクリュが回転可能に内蔵軸支され、このスクリュが駆動装置の駆動で回転して投入された成形材料1を溶融混練し、先端部側のTダイス20に供給するよう機能する。シリンダ11の末端部上方には、成形材料1用の投入ホッパ12が連通して装着され、この投入ホッパ12の少なくともシリンダ11に連通する下部には、成形材料1の酸化劣化防止の観点から、矢印で示す窒素ガス等の不活性ガスを連続的に供給する不活性ガス供給管13が接続される。
【0015】
シリンダ11の開口した先端部には、加熱される接続管14が接続され、この接続管14には、ろ過用のフィルタ50が嵌着されるとともに、このフィルタ50の下流に位置して成形材料1を一定速度で押し出すギアポンプ15が装着される。
【0016】
Tダイス20は、接続管14の下方に屈曲した先端部に接続され、押出機10のギアポンプ15から供給されてきた成形材料1を幅方向に分流し、この成形材料1を細長い隙間から押し出してフィルムキャパシタ用フィルム2を押出成形するよう機能する。
【0017】
引取機30は、Tダイス20から下方に押し出されたフィルムキャパシタ用フィルム2を絞りながら挟持する回転可能な小さな圧着ロール31と大きな冷却ロール32とを対向させて備え、この冷却ロール32の下流には、フィルムキャパシタ用フィルム2を挟持冷却しつつカールを調整する上下一対の搬送ロール33が回転可能に軸支されており、この一対の搬送ロール33の下流に、フィルムキャパシタ用フィルム2の厚さを測定する厚み測定器34が配設される。
【0018】
巻取機40は、引取機30から供給されてきたフィルムキャパシタ用フィルム2を巻架する複数のロール41を所定の間隔で回転可能に備え、この複数のロール41の下流に、フィルムキャパシタ用フィルム2を巻き取る巻取管42が回転可能に軸支される。
【0019】
フィルタ50は、図1や図2に示すように、例えば多数の孔を同心円に備えた円板、多数の孔を有する焼結金属、あるいは金網製のメッシュ等からなり、フィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの0.5〜6倍以下、好ましくは0.5〜4倍以下、より好ましくは0.5〜3.8倍以下の小さい開口51を複数有しており、押出機10とギアポンプ15との間に介在される。
【0020】
フィルタ50の開口51がフィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの0.5倍以上であるのは、0.5倍未満の場合には、成形材料1の押出圧量が高くなるので、フィルタ51が破損し易くなり、耐電圧性が低下する懸念が生じるからである。また、生産性が著しく低下するからである。
【0021】
フィルタ50の円板やメッシュ等は、必要に応じて複数が選択的に積層使用される。また、フィルタ50の開口51の形状は、円形、楕円形、矩形、多角形を特に問うものではない。このようなフィルタ50は、接続管14を流通する成形材料1のフッ素樹脂を高分散させたり、溶融した成形材料1中の異物やゲル状物等を除去したり、あるいはシリンダ11内の背圧を向上させ、成形材料1の混練効果を増大させる。
【0022】
上記において、フィルムキャパシタ用フィルム2を製造する場合には、先ず、計量したやや粘性のポリエーテルイミド樹脂とフッ素樹脂とを攪拌混合して混合物を調製し、この混合物を押出混練機で混練してペレット形の樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を乾燥処理して含水率を低下させることにより、成形材料1を調製する。
【0023】
こうして成形材料1を調製したら、不活性ガスを供給しつつ成形材料1を図1に示す押出機10の投入ホッパ12に投入し、この押出機10が成形材料を押し出してフィルタ50にろ過させ、加熱されたTダイス20からフィルムキャパシタ用フィルム2を連続的に押出成形し、このフィルムキャパシタ用フィルム2を引取機30の圧着ロール31と冷却ロール32との間に挟んで冷却固化することにより10μm以下、好ましくは5〜7μm程度の厚さとし、このフィルムキャパシタ用フィルム2を下流に位置する巻取機40の巻取管42に順次巻き取れば、フィルムキャパシタ用フィルム2を製造することができる。
【0024】
この際、フィルタ50の開口51がフィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの0.5〜6倍以下の大きさに予め設定され、従来よりも異物を効果的に除去できるので、フィルムキャパシタ用フィルム2に摺動性を付与するフッ素樹脂が成形材料1中で適切に分散し、生産性が向上する。また、巻き取られたフィルムキャパシタ用フィルム2は、後に図示しない蒸着装置にセットされて金属蒸着層がスリット部を介しストライプ状にパターン形成される。
【0025】
上記によれば、成形材料1としてポリエステルではなく、耐熱性に優れるポリエーテルイミド樹脂を使用するので、例えハイブリッド車にフィルムキャパシタが電子部品として使用される場合にも、例えば150℃以上の優れた耐熱性を容易に確保することができる。また、成形材料1の特定により延伸機を使用せずとも、フィルムキャパシタ用フィルム2を10μm以下の薄さに成形することができるので、フィルムキャパシタ自体の小型化や高容量化の要求を満たしたり、フィルムキャパシタ用の周辺の冷却装置を省略したり、フィルムキャパシタ用フィルム2のさらなる薄膜化が可能となる。
【0026】
さらに、フィルタ50がフィルムキャパシタ用フィルム2の平均厚さの0.5〜6倍以下の狭い開口51を有するので、耐電圧性の低下を招くと考えられるフッ素樹脂が異物化せず、好適に分散して耐電圧性を著しく向上させることができる。特に、フィルムキャパシタ用フィルム2の絶縁破壊電圧値が極端に低い部分の減少が大いに期待できる。
【0027】
なお、上記実施形態では投入ホッパ12のシリンダ11に連通する下部に不活性ガス供給管13を接続したが、投入ホッパ12の上下部に不活性ガス供給管13をそれぞれ接続してダイラインの発生や酸化等を確実に防止するようにしても良い。また、押出機10の接続管14に単一のフィルタ50を接続したが、複数のフィルタ50を装着しても良い。さらに、フィルムキャパシタ用フィルム2を単に巻き取ったが、滑り性等に支障を生じなければ、巻き取った後で二軸延伸処理しても良い。
【0028】
次に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、計量したポリエーテルイミド樹脂100質量部にフッ素樹脂5質量部を攪拌混合して混合物を調製し、この混合物を二軸押出混練機で混練してペレット形の樹脂組成物を調製した。
【0029】
ポリエーテルイミド樹脂としては、Ultem1010(イノベーティブプラスチックスジャパン社製:商品名)を使用し、フッ素樹脂としては、フルオンPFA P‐62XP(旭硝子社製:商品名)を使用した。また、二軸押出混練機は、PCM30(池貝社製:商品名)を用い、シリンダ温度320〜350℃、接続管温度360℃、ダイス温度360℃の条件で混練した。
【0030】
樹脂組成物を調製したら、この樹脂組成物を160℃に加熱した排気口付きの熱風乾燥機中に12時間放置して乾燥処理し、樹脂組成物の含水率が300ppm以下であるのを確認して成形材料を調製した。
【0031】
次いで、成形材料を図1に示すφ40mmの単軸押出機の投入ホッパに投入し、この押出機により成形材料を押し出してフィルタにろ過させ、加熱したTダイスからフィルムキャパシタ用フィルムを連続的に押出成形し、このフィルムキャパシタ用フィルムを引取機の圧着ロールと冷却ロールとの間に挟んで冷却固化することにより、4.86μmの平均厚さに製造した。
【0032】
単軸押出機は、MVS40‐25(アイ・ケー・ジー社製:商品名)を用い、シリンダ温度330〜350℃、スクリュ回転数30rpm、接続管温度360℃、Tダイス温度360℃の条件で押し出した。また、フィルタは、開口が26μmで仕様が500♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの5.3倍の開口とした。
【0033】
平均厚さ4.86μmのフィルムキャパシタ用フィルムを帯形に製造したら、このフィルムキャパシタ用フィルムの耐電圧性を確認するため、フィルムキャパシタ用フィルムの縦横の95点(5×19)について所定の電圧を順次印加することにより耐電圧性をテストし、そのテスト結果を表1にまとめた。
【0034】
〔実施例2〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを6.72μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口が26μmで仕様が500♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの3.9倍の開口とした。
【0035】
〔実施例3〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを3.44μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口(ろ過精度)が20μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの5.8倍の開口とした。
【0036】
〔実施例4〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを4.98μmの平均厚さで製造した。また、フィルタは、開口が20μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの4.0倍の開口とした。
【0037】
〔実施例5〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを6.85μmの平均厚さで製造した。また、フィルタは、開口が20μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの2.9倍の開口とした。
【0038】
〔実施例6〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを3.07μmの平均厚さで製造した。また、フィルタは、開口(ろ過精度)が5μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの1.6倍の開口とした。
【0039】
〔実施例7〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを4.94μmの平均厚さで製造した。また、フィルタは、開口が5μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの1.0倍の開口とした。
【0040】
〔実施例8〕
基本的には実施例1と同様にフィルムキャパシタ用フィルムを製造したが、フィルムキャパシタ用フィルムを5.91μmの平均厚さで製造した。また、フィルタは、開口が5μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの0.8倍の開口とした。
【0041】
〔比較例1〕
基本的には実施例1と同様ではあるが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを4.88μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口が65μmで仕様が200♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの6倍以上の13.3倍の開口に変更した。
【0042】
〔比較例2〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを4.89μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口が26μmで仕様が500♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの5.3倍の開口に変更した。
【0043】
〔比較例3〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを4.91μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口(ろ過精度)が20μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの4.1倍の開口に変更した。
【0044】
〔比較例4〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを4.95μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口(ろ過精度)が5μmのデナフィルタ(長瀬産業社製:商品名)を用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの1.0倍の開口に変更した。
【0045】
〔比較例5〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを5.01μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口が65μmで仕様が200♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの13.0倍の開口に変更した。
【0046】
〔比較例6〕
基本的には実施例1と同様だが、ポリエーテルイミド樹脂にフッ素樹脂を攪拌混合することなく、フィルムキャパシタ用フィルムを2.89μmの平均厚さで製造した。また、フィルタについては、開口が65μmで仕様が200♯の金属メッシュを用い、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの9.0倍の開口に変更した。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例1〜4のフィルムキャパシタ用フィルムの場合には、比較例と異なり、欠点数の少ない良好なテスト結果を得ることができ、フィルムキャパシタ用フィルムの絶縁破壊電圧値が極端に低い部分が減少した。
【符号の説明】
【0049】
1 成形材料
2 フィルムキャパシタ用フィルム
10 押出機
14 接続管
15 ギアポンプ
20 Tダイス
30 引取機
31 圧着ロール(ロール)
32 冷却ロール(ロール)
33 搬送ロール(ロール)
40 巻取機
42 巻取管
50 フィルタ
51 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を押出機に投入して押出ダイスからフィルムキャパシタ用フィルムを押し出し、この押し出したフィルムキャパシタ用フィルムを複数のロールの間に挟んで冷却するフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法であって、
成形材料を、少なくともポリエーテルイミド樹脂100質量部にフッ素樹脂1〜10質量部を配合することにより調製し、押出機と押出ダイスとの間に、フィルムキャパシタ用フィルムの平均厚さの0.5〜6倍以下の開口を有するフィルタを介在し、フィルムキャパシタ用フィルムを10μm以下の厚さとすることを特徴とするフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のフィルムキャパシタ用フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とするフィルムキャパシタ用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−183645(P2011−183645A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50624(P2010−50624)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】