説明

フィルムクランプ装置及び該装置を備えた包装装置

【課題】消費電力を抑えることができるフィルムクランプ装置、及び該フィルムクランプ装置を備えたフィルム包装装置を提供する。
【解決手段】回転可能に支持したフィルムロール12から引き出したフィルム12a先端が待機部7に待機し、フィルム挟持部8が初期位置から前記待機部へ移動し、待機部に待機するフィルムの先端を掴んで引き出すフィルムクランプ装置であって、前記フィルム挟持部8は開閉可能な上下部材8a,8bで構成され、そのフィルム挟持部に開閉を制御する作動部24を設け、他方、前記待機部位置近傍に前記作動部24と当接して前記フィルム挟持部8を開閉させる案内部25を設け、前記フィルム挟持部8が待機部7に接近移動すると上下部材を開き、前記フィルム挟持部8が待機部に達するとフィルムを挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムロールから引き出されて所定位置に待機するフィルム先端を挟持してフィルムを所定長さフィードするフィルムクランプ装置、及び該フィルムクランプ装置を備えたフィルム包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム包装装置は、回転可能に支持したフィルムロールから引き出したフィルム先端を所定位置に待機させ、その待機するフィルム先端をフィルム供給装置のクランプで挟持してフィルムを包装に必要な所定長さフィードし、その引き出したフィルムで被包装物を包装している。
そして、前記フィルム供給装置のクランプを閉状態に維持する為に電気で動作する部材、例えば、電磁ソレノイドが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、フィルムがフィードされている間、フィルムを保持する為にソレノイドが作用している為、消費電力が多くなるので、昨今のエコロジー、環境保護の点から消費電力を抑えることができるフィルムクランプ装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−119711号公報(段落番号0034〜段 落番号0040、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、より消費電力を抑えることができるフィルムクランプ装置、及び該フィルムクランプ装置を備えたフィルム包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する為に本発明のフィルムクランプ装置は、回転可能に支持したフィルムロールから引き出したフィルム先端が待機部に待機し、フィルム挟持部が初期位置から前記待機部へ移動し、待機部に待機するフィルムの先端を掴んでフィルムを引き出すフィルムクランプ装置であって、前記フィルム挟持部は開閉可能な上下部材で構成され、そのフィルム挟持部に開閉を制御する作動部を設け、他方、前記待機部位置近傍に前記作動部と当接して前記フィルム挟持部を開閉させる案内部を設け、前記フィルム挟持部が待機部に接近移動すると上下部材を開き、前記フィルム挟持部が待機部に達するとフィルムを挟持することを特徴とする(請求項1)。
前記フィルム挟持部は、開閉可能な上下部材によって構成されるが、その上下部材は両方とも平板部材、或いは上下部材の一方が硬質部材、他方が弾性部材等、何れでもよい。
前記案内部は、初期位置におけるフィルム挟持部の状態により異なり、初期位置で閉じているフィルム挟持部に対してはフィルムを挟持するために開いてから閉じる案内部を、初期位置で開いているフィルム挟持部に対してはフィルムを挟持するために閉じる案内部を配置する。
即ち、フィルム挟持部の作動部と、待機部近傍の案内部とによるフィルム挟持部の開閉は、初期位置で閉じていて、案内部で強制的に開き待機部のフィルム先端を挟持する、或いは初期位置で開いていて、案内部で強制的に閉じて待機部のフィルム先端を挟持する、両方の形態を含むものである。
【0007】
上記手段によれば、開閉可能な上下部材からなるフィルム挟持部は、該挟持部に設けた作動部と、待機部位置近傍に設けた案内部との働きで強制的に開閉され、待機部に支持されたフィルムを挟むことができる。即ち、フィルム挟持部は従来のようにフィルムフィード中、フィルムを挟持するためにソレノイドが作用し続けることがないので、消費電力を抑えることができる。
【0008】
前記作動部と案内部による開閉動作は、例えば、作動部がローラで、前記フィルム挟持部が前記待機部に向けて移動することで案内部により前記ローラが接触案内され、フィルム挟持部が開状態となり、前記ローラが案内部を越えた時前記フィルム挟持部が閉状態となり、フィルムを挟持するようにする(請求項2)。
その具体的構成としては、前記フィルム挟持部を構成する開閉可能な上下部材は、常時閉じ方向に付勢され、且つ、前記案内部は、前記作動部を介しフィルム挟持部を少なくともフィルム待機部の位置において開状態から閉状態に切り替え案内する傾斜面を有した構成とする(請求項3)。
【0009】
上記手段によれば、フィルム挟持部は初期位置で閉じられており、初期位置から待機部に向けて移動し、待機部位置近傍に設けられた案内部にフィルム挟持部側に設けたローラ(作動部)が接触することで閉じられていたフィルム挟持部は開かれ、待機部のフィルムを挟持し得る状態になる。そして、フィルム挟持部が更に移動し、ローラが前記案内部の終端を通過すると、開かれていたフィルム挟持部は閉じ方向への付勢力で自動的に閉じられフィルムを挟持する。しかも、作動部がローラであるため、案内部との接触時、ローラは回転して案内され、摩擦抵抗は減少される。従って、フィルム挟持部の移動を軽快に行うことができる。
【0010】
又、前記フィルム挟持部を、常時開方向に付勢される上下部材で構成し、且つ、前記案内部近傍から初期位置に向けて、前記案内部で切り替わったフィルム挟持部の閉状態を維持して初期位置へ案内するガイド板を設けてもよい(請求項4)。
【0011】
上記手段によれば、フィルム挟持部は初期位置で開いており、初期位置から待機部に向けて開いた状態のまま移動し、待機部位置近傍に設けられた案内部にフィルム挟持部側に設けたローラ(作動部)が接触することで強制的に閉じられ、待機部のフィルムを挟持する。そして、フィルムを挟持したフィルム挟持部は作動部がガイド板によって閉じ状態を維持するよう規制されたまま初期位置に向けて案内される為、フィルム挟持部はフィルムを引き出すことができる。
【0012】
上記構成のフィルムクランプ装置を、フィルム包装装置に装備することで、少なくともフィルムフィードにおけるフィルムの挟持を、電磁ソレノイド等の電力により駆動する部材を用いることなく実行できる。従って、省電力に貢献できる包装装置を実現できる。尚、包装装置の包装形態は、下地材に載せた被包装物に引き出し展張したフィルムを被せ、該フィルムの周縁を下地材に熱溶着するシール包装装置、或いは引き出し展張したフィルムに対して被包装物を収容したトレイを突き上げて包装する突き上げ方式のストレッチ包装装置等、問わない。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフィルムクランプ装置は請求項1記載の構成により、開閉可能な上下部材からなるフィルム挟持部は、該挟持部に設けた作動部と、待機部位置近傍設けた案内部との働きで強制的に開閉され、待機部に支持されたフィルムを挟むことができる。即ち、フィルム挟持部は従来のようにフィルムフィード中、フィルムを挟持するためにソレノイドが作用し続けることがないので、消費電力を抑えることができる。
又、請求項2記載の構成により、案内部との接触時、ローラは回転して案内され、摩擦抵抗は減少される。従って、フィルム挟持部の開閉制御を軽快に行うことができる。
また、請求項3記載の構成により、フィルム挟持部の開閉及びフィルム挟持状態の維持を、ソレノイド等の電力で駆動する部材を必要とすることなく確実に行うことができる。
【0014】
又、請求項4記載の構成により、初期位置で開いているフィルム挟持部でも作動部と案内部の作用により、待機部に位置するフィルムを確実に挟持して引き出すことができる。
又、請求項5記載の構成により、少なくともフィルムを引き出す際、フィルム挟持部によりフィルムをクランプし続けることがないので、消費電力を抑えた包装装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るフィルムクランプ装置を備えた包装装置の実施の形態の一例を示し、フィルムを引き出す前の状態を示す斜視図。
【図2】引き出したフィルムを被包装物に被せてシールしている状態を示す同斜視図。
【図3】図1の状態の平面図。
【図4】フィルムクランプ装置によって引き出したフィルムを下地材載せ部上の被包装物に被せる状態を示す側面図。
【図5】フィルムクランプ装置によって引き出したフィルムを被包装物に被せた状態の同側面図。
【図6】フィルムクランプ装置のフィルム挟持部によるフィルム先端の挾着動作を示し、(a)は可動下板が開く状態、(b)はフィルム先端を固定上板と可動下板の閉動で挾着する状態、(c)はフィルムを引き出す状態。
【図7】フィルムを切断するカッター手段を示し、(a)は平面図、(b)は縦断側面図。
【図8】下地材載せ部と、シール手段及び保持部を備えた枠体との相対関係を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図9】フィルムクランプ装置の他の例を示し、初期位置におけるフィルム挟持部の状態を示す。
【図10】フィルムクランプ装置の他の例を示し、(a)はフィルム挟持部が初期位置から案内部近傍まで移動する時の状態(開状態)、(b)はフィルム挟持部のガイドローラが案内傾斜板に載った状態、(c)はフィルム挟持部のガイドローラが案内傾斜板の傾斜部に載り閉動が開始された状態を示す。
【図11】(a)はフィルム挟持部が案内傾斜板によって強制的に閉じられ、フィルム待機部のフィルム先端を挟持した状態、(b)はフィルム挟持部がフィルム先端を挟持してガイド板上を初期位置に向けて移動し、フィルムを引き出している状態を示す。
【図12】フィルム挟持部のクランプ状態を解除する他の構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフィルムクランプ装置の実施の形態の一例を、シール包装装置に装備した例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図3に示す包装装置Aは、平板状の下地材上に被包装物Wを載せ、その被包装物Wにストレッチフィルムを被せ、被包装物Wより外側のフィルム縁を前記下地材表面に熱溶着してシール包装する装置で、被包装物Wに被せるフィルムの引き出し、シール加工の上下動作を手動操作によって行う手動式のシール包装装置を示す。
その包装装置Aは、基台1上に下地材載せ部2が一対の支持脚3で所定高さ位置に水平に支持され、更にその下地材載せ部2の側方(図面では右側方)には一対の取付板4が所定間隔をおいて平行に起立固定され、その取付板4,4間の上部にフィルムロール配置部5が、下方に、前記フィルムロール配置部5に支持したフィルムロールからフィルムを引き出すフィルムクランプ装置B、前記フィルムクランプ装置Bが引き出したフィルムを展張保持する保持部28、及びシール手段31の発熱体(ヒータ)31aを備えた枠体6が前記下地材載せ部2に対して上下回動可能に取り付けられて構成されている。
【0018】
前記下地材載せ部2は、金属板等を用いて平面視矩形状に構成され、下地材aの外周縁を載承支持する所定幅の周縁枠2aはスプリングによって弾発上下可能に支持されている。そして、その周縁枠2aにはシール手段31の発熱体31aと対応するヒータ受け部31bが取り付けられている。
前記ヒータ受け部31bは耐熱性を有した弾性体、例えばゴム材等で構成され、発熱体を介して圧接されるフィルム及び下地材を弾性的に支持し得るようになっている。
又、前記下地材載せ部2は、サイズの異なる二種類の下地材aを載承し得るように、奥行き方向内部に仕切枠39を設け、その仕切枠39の上部に上記と同様、周縁枠2aを弾発上下可能に支持し、その周縁枠にヒータ受け部が取り付けられている。
【0019】
前記フィルムロール配置部5は、基台1上に起立固定した一対の取付板4,4間に架設した支杆10aに回転可能に装着した2個の回転ローラ11a,11bと、前記取付板4に片支持構造で取り付けた支杆10b,10cにそれぞれ取り付けた回転ローラ11c,11dの合計4個の回転ローラ11a〜11dでフィルムロール12を転動可能に載承するように構成されている。
そして、フィルムロール12の後側を載承支持する回転ローラ11c,11dが取り付けられている支杆10b,10cは支杆10aとの間隔を広げる方向に向けて傾斜取り付けられている。それにより、フィルムロール12から引き出されるフィルム12aをフィルムロール12の外周面から引き離すように作用し、且つ該フィルムロール12が軸方向に横移動するのを防止し、常に所定位置で転動するように構成されている。尚、フィルムロール配置部5におけるフィルムロールの支持構造は、回転ローラ11a〜11dによる4点支持構造に限らず、フィルムロール12の中心孔に軸を通して支持する一般的な支持構造でもよい。
【0020】
又、前記取付板4,4間には、図4に示すように、前記フィルムロール配置部5より下方に位置して平面視略矩形状の枠体6の一側後部が軸13で上下回動可能に支持され、更に、前記枠体6における軸13の軸支部より後方位置にはバランスウエート14が連結固定され、そのバランスウエート14の左右の連結部にガススプリング15の一端15aが連結され、ガススプリング15の他端15bが前記取付板4の上部に軸15cで連結されている。
前記バランスウエート14及びガススプリング15は、枠体6の前部(軸13より前方部分)を下地材載せ部2に対して開いた状態(下地材載せ部に下地材及び被包装物を載せる状態)に付勢し、且つ枠体6を、軸13を中心として下方に回動する時、前記バランスウエート14とガススプリング15の弾発力が抵抗となり、枠体6の閉じ(下降)動作に衝撃が生じないようにしてある。
【0021】
前記軸13には、図3に示すように、フィルムロール12に繋がるフィルム12aを引き出し方向に案内する案内ローラ16がワンウエイクラッチ(図示省略)を介して取り付けられている。即ち、案内ローラ16は軸13の時計回り方向の回転には一緒に回転し、軸13の反時計回り方向の回転に対してはワンウエイクラッチが切れて回転しないようになっている。
又、図4に示すように、前記軸13の軸端と該枠体6の後部(手前側)に回転可能に横架した軸17の軸端にはそれぞれ歯付プーリ18,19が固着され、その歯付プーリ18,19に亘って歯付ベルト20が巻回され、歯付ベルト20の移動により前記軸13が回転するようになっている。
更に、前記歯付ベルト20には、後述するフィルムクランプ装置Bのフィルム挟持部8が連結され、該フィルム挟持部8が前記枠体6に沿って復動することで前記案内ローラ16が駆動回転するようになっている。
【0022】
前記枠体6は金属製帯板を用いて平面視略矩形状に構成され、その枠体6の前記軸13より下方手前位置にはフィルムクランプ装置Bが配置されている。以下、フィルムクランプ装置Bについて説明する。
フィルムクランプ装置Bは、図4に示すように、前記フィルムロール12から引き出されてフィルム待機部7に略水平に支持されるフィルム12aの先端をフィルム待機部7毎挟み、フィルム12aをフィードするフィルム挟持部8と、前記フィルム挟持部8を所定区間、往復移動可能とする移動部9とで構成されている。
【0023】
前記フィルム待機部7は、金属製帯状薄板を用いて平面視略櫛歯状に形成され、基部側が前記枠体6に横架した案内板21に固着され、先端側(櫛歯形状側)は案内板21より前方に向けて水平に突出されている。それにより、案内板21より前方に突出するフィルム待機部7の先端側は上下方向に自由に撓むので、後述するフィルム挟持部8の可動下板8bがフィルム挟持の為閉じる際、フィルム待機部7も可動下板8bの閉動によって一緒に撓むので、フィルムが固定上板8aに押し付けられるようになるので、フィルム挟持部8によるフィルム先端の挟持が確実に行われるようになっている。
このように、フィルム挟持部8がフィルム待機部7ごとフィルム12aの先端を挟むようになっているので、確実にフィルム12aの先端をフィードすることができる。
又、前記フィルム待機部7の横幅は、フィルム12aの幅方向の全幅(フィルム幅)を下方から支えて略水平に支持し得る長さを有している。
【0024】
更に、前記フィルム待機部7は、フィルム12aを載承支持する面(表面)に、フィルム12aが滑り易くなる滑性処理、例えばシリコーン加工が施されている。これにより、フィルム待機部7上に待機するフィルム12aの先端を、フィルム挟持部8がフィルム待機部7毎挟持し、フィードする時、フィルム12aはフィルム待機部8表面からスムーズに離れ、フィルムのフィードを安定して行うことが可能となる。尚、前記滑性処理(シリコーン加工)は、フィルム12aが接触する面(表面)に限らず全体に施しても良く、その場合はフィルム待機部7を挟持するフィルム挟持部8がフィルムをフィードする方向に移動する時、フィルム待機部7との摩擦抵抗が少なく、スムーズな移動が確保される。
又、前記フィルム待機部7の先端下方で且つフィルムを切断するカッター35と摺接する位置にフィルム保持板48が鉛直且つ前後方向に弾発回動可能に起立支持されている。このフィルム保持板48の存在により、フィルム挟持部8で挟持されて引き出されるフィルム12aの切断時、カッター下方のフィルム12aを略水平に支えて切断がスムーズに行われるのを確保する。そして、開動したフィルム挟持部8がフィルム待機部7に向けて前進する時、前記フィルム保持板48はフィルム挟持部8との接触で後方(フィルム待機部側)に回動され、フィルム挟持部8がフィルム12aを挟持してフィルム待機部7から離れるとバネ部材等の弾発力で元の状態(鉛直状態)に復帰される。
【0025】
前記フィルム待機部7上面に水平に支持されたフィルム12aの先端を挟持(クランプ)して該フィルム12aを枠体6の下面に沿って引き出すフィルム挟持部8は、図6に示すように、固定上板(一方)8aの下側に可動下板(他方)8bが軸22で上下回動可能に軸支され、且つ軸22より後方位置に固定上板8aと可動下板8bとに亘ってスプリング23が弾圧装着されている。それにより、可動下板8bの先端側は固定上板8aの下面に圧接され、フィルム12aを挾着し得るように構成されている。そして、固定上板8aと可動下板8bによるフィルム挾着をより確実に行えるように、可動下板8bの上面に弾性体(例えば発泡ウレタン)8cが接着固定されている。尚、弾性体8c、固定上板8aはフィルム12aの幅方向全幅を挾着し得るように幅方向全幅に亘って取り付けられている。弾性体8cによりフィルムが挟持されるようになるので、前記のように櫛歯状の待機部の場合、弾性体8cが歯間に食い込むようになるので、フィルムをより確実に挟持することができる。また、固定上板8aと弾性体8cがフィルム12aの幅方向全幅を挾着するので、フィルム幅全域にわたってフィルムが挟持され、フィルムが挟持されない部分がないので、フィードした際に皺が生じることがない。又、フィルム幅全域に亘って挟持されるので、フィルム端部までを有効に利用することができ、例えば、本実施形態のようにフィルムの幅方向左右に位置する保持部28でフィルム12aの左右端部をクランプすることができる。
【0026】
又、前記可動下板8bの先端側(弾性体8cが取り付けられた側)の側面には、スプリング23の弾発力で閉じられている可動下板8bを強制的に開動させるためのガイドローラ(作動部)24が取り付けられている。そして、このガイドローラ24を水平線に対して下方に案内する案内傾斜板(案内部)25が、前記フィルム待機部7の先端近傍が位置する枠体6の側面に配置されている。
【0027】
前記案内傾斜板25は、前記フィルム挟持部8がフィルム12aの先端を挟持するために枠体6に沿って往動し、その往動の終端手前位置で閉鎖している可動下板8bをスプリング23の弾発力に抗して強制的に開動させるもので、閉鎖状態の可動下板8bの外側面に取り付けられたガイドローラ24が通る線上の水平線前方位置に、前方下向きに配置され、この案内傾斜板25にガイドローラ24が当接して前進を続行することで、可動下板8bの先端側(フィルムを挾着する側)は軸22を中心として下方に開動してフィルム待機部7の下側に位置し、案内傾斜板25を通過後はスプリング23の弾発力で閉動され、フィルム待機部7の上側に位置する固定上板8aとでフィルム12a及びフィルム待機部7の先部を挾着する。
【0028】
また、案内傾斜板25は、図6に示すように、ガイドローラ24が前進当接する方向には傾斜状態が固定され、ガイドローラ24が案内傾斜板25の下面に沿って案内されて通過後(フィルムの先端を挾着後)、フィルム挟持部8が復動(後退)に切り替わって案内傾斜板25の上面側を通過する時、該傾斜板25はガイドローラ24の移動を阻害しないよう下向きに倒伏可能に取り付けられており、且つ、ガイドローラ24の通過後、倒伏した案内傾斜板25が初期状態(ガイドローラ24を進行方向下向きに案内する傾斜状態)に復帰するよう引張りコイルバネのスプリング26で引っ張られている。
【0029】
前記フィルム挟持部8を枠体6に沿って往復動させる移動部9は、図4に示すように、枠体6の左右側面における先端から後端に向かって配置した案内軸9aと、その案内軸9aに摺動可能に取り付けた摺動体9bと、左右の摺動体9bに亘って取り付けたハンドル9cとで構成され、前記摺動体9bは枠体6の側面に配置した無端回動する歯付ベルト20の下側(復路側)に連結されている。そして、左右の摺動体9bに前記フィルム挟持部8の固定上板8aの両側部が連結固定されている。
それにより、ハンドル9cを持って押動又は引き寄せることで摺動体9bは案内軸9aに沿って摺動し、その摺動体9bに連結したフィルム挟持部8は枠体6に沿って摺動する。そして、往動(前進)時はフィルム挟持部8の開閉動作でフィルム12aの先端を挟持し、復動(後退)時はフィルム挟持部8がフィルム12aの先端を挟持したまま後退するため、包装に必要な量のフィルムを引き出すことができる。
【0030】
又、フィルム挟持部8を連結した摺動体9bの起点位置は、前記枠体6にストッパ27を付設して構成され、更に該ストッパ27に磁石(図示省略)を装備することで前記摺動体9bを吸着して起点位置に係着保持することができる。又、移動部9を操作してフィルム挟持部8を後退させる時、前記ストッパ27より手前位置で後退を止めることで、フィルムの引き出し長さを調整することができる。
【0031】
前記フィルム挟持部8の働きで引き出した所定長さのフィルム12aの幅方向の両側縁(引き出されたフィルムの引き出し方向と平行な左右側縁)は、枠体6の下面に保持部28で展張保持される。
前記保持部28は、図8に示すように、フィルム12aの上面側を支える枠体6の下面に対して、フィルム12aを圧接挟持するもので、前記枠体6の幅方向外側に位置して軸13で上下揺動可能に取り付けた取付腕28aと、その取付腕28aの下面に水平に取り付けた台板28bと、該台板28bの上面における枠体6の側部下面と対応する位置に固着した弾性体28cとで構成されている。
【0032】
そして、図4に示すように、前記取付腕28aは下降動する枠体6に対して圧接する方向にスプリング29で付勢されている。尚、保持部28は、枠体6の初期位置(下地材載せ部に対して上方の離れた位置)に対してやや下方の初期位置(上向き傾斜状)に待機保持する為に、取付腕28aの一側部(台板28bを取り付けた側とは反対側)が基台1上に配置したストッパ30に当接されている。
これにより、フィルムクランプ装置Bによって枠体6の下面に沿って引き出したフィルム12aは、枠体6が軸13を中心として回動下降し、枠体6の下面が初期位置に待機する保持部28の弾性体28cにフィルム12aを介して当接することでフィルム12aの幅方向側部は枠体6と保持部28とで挾着される。そして、枠体6の下降動作が更に進行すると、フィルム12aの下側を支える弾性体28cは取付腕28aを介してスプリング29で枠体6下面側に付勢されているため、枠体6の下降と相俟ってフィルム12aの幅方向の側縁を強固に挾着保持し、フィルム12aは枠体6の下面に展張保持される。
又、前記枠体6の下降動作の終点は、前記保持部28の取付腕28aが略水平となる位置で、その水平なフィルム挾着位置は下地材載せ部2の下地材aを載せる表面より下方の位置とする(図8(b)参照)。
【0033】
又、前記枠体6には該枠体6の回動下降によって下地材aおよび該下地材aに載せた被包装物Wに被せたフィルム12aの周縁を下地材aの表面の外周縁に沿って熱溶着するシール手段31の発熱体(ヒータ)31aが配設されている。
前記シール手段31の発熱体(ヒータ)31aは、ニクロム線などの抵抗線を用い、図8に示すように、前記保持部28によるフィルム挾着位置より水平方向内側で、且つ鉛直方向上方に配置され、前記下地材載せ部2に設けたヒータ受け部31bと対応するように配置構成されている。発熱体(ヒータ)31aの上面側(フィルムに対して接触する面と反対側の面)は断熱材32で被覆され、誤って手指が接触しても火傷等しないように安全対策が施されている。
又、前記シール手段31の発熱体(ヒータ)31aは、平面視略矩形状の下地材aの四辺を熱溶着し得るように配置するが、各辺に対応する発熱体(ヒータ)31aが独立分断されている場合は辺同士が交差する角部は熱溶着されないことになる。この角部の否溶着を無くす為に、発熱体の端部相互を金属製の導体で連結し、前記角部も熱溶着されるようにしてもよい。
【0034】
更に、前記シール手段31の発熱体(ヒータ)31aにおいて下地材載せ部2に載置した下地材aの奥行き方向の手前側辺を熱溶着する発熱体(ヒータ)31aは、下地材aのサイズ(奥行き方向)に対応して前後方向に移動調整可能に構成されている。その移動機構としては、例えば枠体5の幅方向両側にボールネジ機構33が配置され、その左右のボールネジ機構33をベルト34で連結して同期作動するように構成されている。
【0035】
また、図4に示すように、前記枠体6には前記フィルム待機部7の先端より前方上方に位置させてカッター35が上下可能に配置されている。
前記カッター35は、被包装物Wに被せ下地材aの周縁に熱溶着したフィルム12aを、奥行き方向のシール位置より外側位置で切断するもので、該カッター35に操作部36が連結され、且つカッター35はスプリング37でフィルム12aから離反する上方に弾発付勢されている。
【0036】
シール包装に使用する下地材aは、平板状の紙製下地材、樹脂製下地材(例えば、フィルム下地材、発泡樹脂下地材等)、薄い木製下地材、或いは異種素材を貼り合わせた積層下地材等、何れでもよく、フィルムを熱溶着しにくい素材に対しては、熱溶着を可能とする表面処理(樹脂のラミネート、コーティング処理等)が施されている。この表面処理は、フィルム12aよりも融点が若干低い方がよく、更に中央部は表面処理が施されていなくてもよい。つまり、被包装物Wが置かれる部分は前記表面処理がなくともよい。また、下地材の表面は無地(白色)でもよいが、載せる商品に応じて着色、模様を印刷したものを用い、商品を目立つようにしてもよい。
尚、下地材aの上面に多少凹凸があっても良い。例えば、シール手段31の発熱体(ヒータ)31aと対応する下地材aの上面の位置に突部を設け、該突部と発熱体(ヒータ)31aとがフィルム12aを挟んで接することで、フィルム12aのシール性(熱溶着)を高めるようにしてもよい。
【0037】
次に、前記フィルムクランプ装置Bの開閉動作、及び包装動作について説明する。
(1)枠体6が初期位置にあり、且つフィルムクランプ装置Bのフィルム挟持部8が前記枠体6の起点位置(ストッパ27に摺動体9bが当接する位置)に位置する状態で、下地材載せ部2の上に下地材aを載せ、更に下地材aの上に被包装物Wを載せる(図1参照)。
(2)フィルムクランプ装置Bのフィルム挟持部8を、駆動部9のハンドル9cを持って起点位置から枠体6の先端側に向かって往動(前進)させる。そして、終点手前位置でフィルム挟持部8に装備したガイドローラ24は枠体6側に取り付けた案内傾斜板25によって下方に案内され、可動下板8bは固定上板8aに対して開動され、固定上板8aはフィルム待機部7上に支持されているフィルム12aの上方に、可動下板8bはフィルム待機部7の下側に位置する(図6(a)参照)。
(3)フィルム挟持部8のガイドローラ24が案内傾斜板25の下を通過すると、可動下板8bはスプリング23の弾発力で閉動され、フィルム12aの先部及びフィルム待機部7の先部を固定上板8aと可動下板8bで挾着する。この時、可動下板8bの上面には弾性体8cが取り付けてあるため、該弾性体8cがフィルム待機部7の櫛歯に食い込んでフィルム12aを確実に挾着する(図6(b)及び拡大図参照)。即ち、可動下板8bがスプリング23の弾発力で閉動し、弾性体8cが固定上板8aに対してフィルム12aを押し付ける際、可動下板8bは円弧状に移動するため、弾性体8cは先端側から当たる。これにより、フィルム12aに対する押圧力が強くなるので、フィルム12aをより確実に掴むことができる。
(4)フィルム12aの先部及びフィルム待機部7の先部を挾着したフィルム挟持部8を、ハンドル9cを持って枠体6の手前側位置まで復動(後退)させる(図4参照)。該フィルム挟持部8の復動(後退)は、フィルム12aのみを挾着して摺動し、フィルムロール配置部5に支持されたフィルムロール12を転動させてフィルム12aをフィルムロール12から引き出す。尚、フィルム挟持部8の復動(後退)時、ガイドローラ24は案内傾斜板25を略水平状態に倒伏させて上面を通過する。ガイドローラ24が上面を通過後、倒伏された案内傾斜板25はスプリング26の引張り力で傾斜した初期状態に復帰される(図6(c)参照)。
【0038】
(5)フィルム挟持部8を初期位置まで復動(後退)させてフィルム12aを枠体6の下面に沿って引き出した後、ハンドル9cによって枠体6を下方に押動する。それにより、枠体6は軸13を中心として下方に回動し、下降の途中に保持部28の台板28bの上面に取り付けた弾性体28cが枠体6の下面に弾圧接されて、フィルム12aの幅方向の両側縁を挾着保持し、フィルム12aを枠体6の下面に展張保持する。
(6)フィルム12aを展張保持した枠体6を下降させてフィルム12aを下地材載せ部2に載置した下地材a及び該下地材a上に盛った被包装物Wに被せ、更に枠体6の下降動作を続けてシール手段31の発熱体(ヒータ)31aを、下地材載せ部2に載置した下地材aの周縁を覆うフィルム12aの表面に圧接する。この時、フィルム12aの幅方向側縁を挾着する保持部28は下地材載せ部2の下地材載せ部表面より下方に位置するため、フィルム12aを緊張した状態で下地材aにシール(熱溶着)38することができる(シール工程)(図2、図5、図8(b)参照)。
(7)下地材aの周縁にフィルム12aをシールした後、カッター35の操作部36を下方に押し下げてフィルム12aを切断する(図7(b)参照)。フィルムロール12に繋がるフィルム12aの先端はフィルム待機部7によって水平状態に支持され、次の包装のために待機する。
(8)最後にフィルム挟持部8によるフィルム12aの先端の挾着を開放し、シール包装を完了した被包装物を下地材載せ部2から取り除く。フィルム挟持部8のクランプ解除は、スプリング23の弾発力で閉動されている可動下板8bの挾着側(先端側)とは反対側(後端側)を、スプリング23の弾発力に抗して閉じることで挾着側が開動し、クランプ状態が開放される。尚、この挾着側のクランプ状態を開放させるための操作部をフィルム挟持部8に設けるようにした方がより操作性がよくなる。
このように、ストレッチフィルムを使用することで、フィルムは被包装物Wの形態に合わせて密着して包装されるので、真空装置等を利用しなくてもフィルムに弛みがなく、見栄えのよい包装を簡単な構成で実現できる。
そして、フィルムフィード装置は、フィルムの幅方向全幅を挟持してフィードするため、フィルムの幅方向全幅に均一な力が作用し、フィルムに皺が発生することはない。
【実施例2】
【0039】
次に、フィルムクランプ装置Bの他の例を図9〜図11に基づいて説明する。尚、前記実施例1で示した部材と同じ部材は同一の符号を付し、説明を省略する。
図9〜図11に示すフィルムクランプ装置B’は、初期位置で開状態にあるフィルム挟持部40を、該フィルム挟持部40に設けた作動部43とフィルム待機部7近傍に配置した案内部44とによって閉じ、フィルム待機部7に支持されたフィルム12aの先端を挟持し、そのフィルム挟持部40を閉じ状態に保持したまま初期位置に移動(復動)させ、フィルム12aを引き出すものである。
【0040】
フィルムクランプ装置B’のフィルム挟持部40は、図9に示すように、固定上板(一方)40aの下側に可動下板(他方)40bが軸41で上下回動可能に軸支され、且つ軸41と該挟持部40の開閉側との略中間位置に固定上板40aと可動下板40bとに亘って圧縮バネ42が弾圧装着されている。それにより、可動下板40bは固定上板40aの下面から離反する方向、即ち、常時開状態に付勢されている。そして、前記可動下板40bを圧縮バネ42の弾発力に抗して閉動し、固定上板40aと可動下板40bによるフィルム挾着をより確実に行えるように、可動下板40bの上面に弾性体(例えば発泡ウレタン)40cが接着固定されている。
【0041】
又、前記可動下板40bの先端側(弾性体40cが取り付けられた側)の側面には、圧縮バネ42の弾発力で開いている可動下板40bを、後述する案内部44との作用により強制的に閉動させるためのガイドローラ(作動部)43が取り付けられている。そして、このガイドローラ43を水平線に対して上方に案内する案内傾斜板(案内部)44が、前記フィルム待機部7の先端近傍が位置する枠体6の側面に配置されている。
【0042】
前記案内傾斜板44は、前記フィルム挟持部40がフィルム12aの先端を挟持するために枠体6に沿って往動し、その往動の終端手前位置で開状態の可動下板40bを圧縮バネ42の弾発力に抗して強制的に閉動させるもので、開状態の可動下板40bの外側面に取り付けられたガイドローラ43が通る水平線前方位置に配置されている。
その案内傾斜板44は、開状態の可動下板40bをそのまま水平案内する第1水平部44aと、開状態の可動下板40bを閉じ方向(上方)に案内する傾斜部44bと、フィルム待機部7に支持されたフィルム12aを待機部7毎挟持する閉鎖状態を維持する第2水平部44cを有する階段形状に形成されている。
【0043】
そして、前記案内傾斜板44の第2水平部44cで閉鎖状態となったフィルム挟持部40を、閉鎖状態(フィルム12aを挟持した状態)のまま初期位置方向に移動(復動)させる為に、前記案内傾斜板44の第2水平部44cと同じ高さ位置に、ガイド板45が初期位置付近位置まで水平に架設されている。
前記ガイド板45は、初期位置付近から前記案内傾斜板44の傾斜部44bが第2水平部44cに切り替わる屈曲部まで延長架設され、案内傾斜板44寄りの先端部は、ガイドローラ43が傾斜部44bによって上方に案内され第2水平部44cに乗り上げる動作の妨げとならず、ガイドローラ43が第2水平部44cに乗り上げて初期位置に復動する時はガイドローラ43が傾斜部44bに沿って下降するのを防止するよう、該傾斜部44bの略真上範囲部分が跳ね上げ可動式になっている。具体的には、ガイド板本体45aの先部に可動板45bが上方に向けて回動可能に取り付けられ、且つ跳ね上げられた可動板45bは水平状態に戻るようスプリング46で付勢されている。
又、ガイド板45の手前側端部には、該ガイド板45上を初期位置に向けて復動するフィルム挟持部40のガイドローラ43の移動を停止するストッパ47が上下動可能に設けられている。
【0044】
次に、上記フィルムクランプ装置B’の開閉動作を図9乃至図11に基づいて説明する。
(1)フィルムクランプ装置B’のフィルム挟持部40を、前記実施例1と同様、起点位置から枠体6の先端側に向かって往動(前進)させる(図10(a)参照)。この往動時、フィルム挟持部40は圧縮バネ42の弾発力で開状態にあり、可動下板40bに取り付けられたガイドローラ43はガイド板45の下面下方を移動する。
(2)そして、終点手前位置でフィルム挟持部40に装備したガイドローラ43は枠体6側に取り付けた案内傾斜板44の第1水平部44aに載り、案内傾斜板44による閉動案内が開始される(図10(b)参照)
(3)更フィルム挟持部40の往動が続けられると、該フィルム挟持部40の可動下板40bに取り付けられたガイドローラ43は案内傾斜板44の第1水平部44aから傾斜部44bに移行し、可動下板40bは圧縮バネ42の弾発力に抗して上方に押し上げられ、閉動が開始される(図10(c)参照)。この時、ガイド板45の可動板45bはガイドローラ43が傾斜部44bによって上方に押し上げられる力で上方に跳ね上げられ、ガイドローラ43は邪魔されることなく閉動が行われる。そして、開状態のフィルム挟持部40はフィルム待機部7上に支持されているフィルム12aの先端手前に位置し、フィルム挟持部40の前進によりフィルム待機部7とフィルム12aの先端を挟む状態となる。
(4)フィルム挟持部40の可動下板40bに取り付けられたガイドローラ43が傾斜部44bよって上方に案内され、該傾斜部44bの上端位置から第2水平部44cに乗り上がって可動下板40bの閉鎖状態が機械作用によって強制的に確立される。(図11(a)参照)。そして、固定上板40aと可動下板40bはフィルム待機部7とフィルム12aの先端を挟持する。
【0045】
(5)フィルム12aの先部及びフィルム待機部7の先部を挾着したフィルム挟持部40を、ハンドル9cを持ってストッパ47位置まで復動(後退)させる(図11(b)参照)。前記ガイド板45には、ガイドローラ43がガイド板45の後端を通過するのを防止する上下動可能なストッパ47が設けられている。このストッパ47があることで、ハンドル9cを枠体6の手前方向に復動させたときでも、そのストッパ46の位置でガイドローラ43の移動が停止され、可動下板40bを閉鎖方向(上方)へ押圧する状態が維持される為、固定上板40aと可動下板40bとによりフィルム12aを挟持し続けることができる。
尚、該ストッパ47はバネ部材(図示省略)によりガイド板45より上方に突出しているが、該バネ部材に抗する力を加えることでストッパ47をガイド板45より下方に位置させることができ、それにより、ガイドローラ43をガイド板45の後端を乗り越えた手前側位置まで移動させることができる。この場合、フィルム挟持部40は常時開方向に付勢されているため、フィルム12aの先端を挟持するフィルム挟持部40の開放は、図11(b)に示す状態からフィルム挟持部40を矢印方向(図面では左方向)に移動させて可動下板40bに取り付けられているガイドローラ43を前記ガイド板45上から外すと、可動下板40bを閉鎖方向に押圧するガイド板45の外力が除去され、それに伴いフィルム挟持部40は圧縮バネ42の弾発力で開状態となり、フィルム12aの先端の挟持が開放される(図9参照)。
【0046】
該フィルム挟持部40の復動(後退)は、フィルム12aのみを挾着して摺動し、フィルムロール配置部5に支持されたフィルムロール12を転動させてフィルム12aをフィルムロール12から引き出す。尚、フィルム挟持部40の復動(後退)時、ガイドローラ43は案内傾斜板44の第2水平部44cと同じ高さ位置に連続状に配置したガイド板45上を転動して案内されるため、閉鎖状態を維持したまま復動し、フィルム12aを引き出す。
【0047】
又、フィルム挟持部40の復動でフィルム12aを所定位置まで引き出した後、実施例1と同様に、フィルム12aを展張保持した枠体6を下降させてフィルム12aを下地材載せ部2に載置した下地材a及び該下地材a上に盛った被包装物Wに被せ、更に枠体6の下降動作を続けてシール手段31の発熱体(ヒータ)31aを、下地材載せ部2に載置した下地材aの周縁を覆うフィルム12aの表面に圧接し、該フィルム12aを下地材aに熱溶着して包装する。そして、その後、カッター35を駆動させ、フィルムロール12から繋がるフィルム12aを切断する。
また、固定上板40aと可動下板40bとにより挟持されているフィルム12aは、前記ストッパ47をガイド板45より下方へ位置させることにより、ガイドローラ43がストッパ47を越えてガイド板45の後端より手前側(図11(b)の左方向)へ移動され、フィルム12aの先端の挟持が開放される。
【0048】
本発明は前記フィルムクランプ装置を備える包装装置として、図示実施例はヒートシール方式の包装装置を示したがこれに限らず、今日一般的な突き上げ方式の包装装置にも組み込むことができるものである。そして、突き上げ方式の包装装置に前記フィルムクランプ装置を組み込んだ場合、該フィルムクランプ装置で引き出したフィルムは幅方向の両側に弛みが生じることなく包装部にピーンと張設される。従って、綺麗な包装仕上がりが期待できる。
【0049】
本発明のフィルムクランプ装置、及びそのフィルムクランプ装置を備えた包装装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、フィルムクランプ装置のフィルム挟持部を手動操作で摺動し、フィルムのクランプ及びフィルムの引き出しを行う構成を示したが、前記フィルム挟持部の移動はモータや油圧・空気圧アクチュエータ等を用いて自動化してもよい。
(2)実施の形態では、フィルムロール配置部におけるフィルムロールの支持構造を4点支持について説明したが、フィルムロールの中心孔に軸を通して支持する一般的な支持構造でもよい。
(3)実施の形態では、フィルムクランプ装置を備えた包装装置としてシール包装装置を示したが、本発明のフィルムクランプ装置を備える包装装置としてはヒートシール方式の包装装置に限らず、フィルムクランプ装置で引き出したフィルムを包装部に張架保持し、そのフィルムに対して被包装物を下方から突き上げて該被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を包装部に配置した折り込み板で被包装物の底面側に折り込む突き上げ方式の包装装置でもよい。
(4)実施の形態では、フィルム挟持部が引き出したフィルムを、下地材載せ部に載せた下地材及び被包装物に被せる為に固定の下地材載せ部に対して下方向に移動させたが、逆にフィルム挟持部が引き出し展張保持したフィルムを固定し、フィルムの下方より下地材及び被包装物を載せた下地材載せ部を移動させて包装する、或いは両者を相対移動させて包装する等、何れでもよい。又、フィルム挟持部、下地材載せ部の相対的移動は、手動タイプに限らず、モータや油圧・空気圧アクチュエータ等を用いた自動タイプとしてもよい。
(5)実施の形態では、フィルムクランプ装置(フィルム挟持部)で引き出したフィルムの幅方向両側縁のクランプを、枠体の下降動作の途中で行われる構成を示したが、フィルムを引き出した直後にクランプしてもよく、要はフィルムを被包装物Wに被せる時点でフィルムの幅方向の両側縁(引き出されたフィルムの引き出し方向と平行な左右側縁)もクランプされ、展張保持されていればよい。
(6)実施の形態(実施例1)では、常時閉じ方向に付勢されるフィルム挟持部を、可動下板の回動中心より外側に配置した圧縮バネで構成しているが、実施例2で示したフィルム挟持部の圧縮バネに換えて引張りバネを配置し、常時閉じ方向に付勢される構成としてもよい。同様に、実施例2で示した常時開方向に付勢されるフィルム挟持部を、実施例1で示したフィルム挟持部の圧縮バネに換えて引張りバネを配置した構成としてもよい。
(7)実施の形態では、フィルム挟持部の一方が弾性部材であったが、両方とも弾性部材にしてもよい。また、その時、上下の弾性部材の弾性力を変えてもよい。
【0050】
(8)実施の形態(実施例2)では、フィルム挟持部8が手動で移動し、ガイド板45にストッパ47を設けることでガイドローラ43の移動を制御する例を示したが、フィルム挟持部8を例えばステッピングモータにより案内軸9aを移動させるようにした場合、前記ストッパを設けず、フィルム挟持部8の案内軸9aの移動を、前記ストッパの位置に相当する位置で停止するよう制御してもよい。そして、フィルム12aを展張保持した枠体6を下降させてフィルム12aを下地材載せ部2に載置した下地材a及び該下地材a上に盛った被包装物Wに被せ、シーリングが終わった後に、停止していたモータを駆動することで、フィルム12aの先端を開放するようにしてもよい。
(9)実施の形態(実施例1)では、フィルム挟持部8のクランプ解除は、スプリング23の弾発力で閉動されている可動下板8bの挾着側(先端側)とは反対側(後端側)を、スプリング23の弾発力に抗して閉じることで挾着側が開動し、クランプ状態が開放される例を示したが、これに限らず、例えば、図12に示すように、フィルム挟持部8の可動下板8bの挾着側(先端側)におけるガイドローラ43を取り付けた側と反対側の側部にローラ49を取り付け、そのローラ49を下方に押下げる作動板50を、ソレノイド51で上下駆動させる。フィルム挟持部8がフィルムをクランプしている時、作動板50の水平部50’はローラ49より上方に位置し、フィルムフィード終了後、フィルムクランプを開放する時、前記ソレノイド51を作動させて作動板50を軸52を中心として下方に回動させ、水平部50’がローラ49を下方に押下げることで可動下板8bが開動され、フィルム挟持部が開放されるようにしてもよい。この場合、フィルム挟持部のクランプ状態を開放するためにソレノイドを用いるが、フィルムフィード中、続けてソレノイドが作用し続けるのと異なり、僅かな時間ソレノイドが作用すればフィルムが開放されるので、消費電力を抑えることができる。
尚、この機構は手動でフィルムをフィードする装置に限らず、モータ等を用いて自動でフィルムをフィードする装置にも使用できるものである。
又、前記ソレノイドを作動してクランプ解除をする位置は、終点位置に限らず、フィルムフィードを所望の位置(終点より手前の位置)で停止し、その位置でソレノイド作動させてもよい。それにより、フィードするフィルム長を変えることができる。
(10)実施の形態(実施例2)では、固定上板40aと可動下板40bとの間を開くようにスプリング42を設けたが、スプリング42は設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
A…ヒートシール包装装置 B,B’…フィルムクランプ装置
W…被包装物 5…フィルムロール配置部
7…フィルム待機部 8,40…フィルム挟持部
8a,40a…固定上板(上側部材) 8b,40b…可動下板(下側部材)
12…フィルムロール 12a…フィルム
24,43…ガイドローラ(作動部) 25,44…案内傾斜板(案内部)
45…ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持したフィルムロールから引き出したフィルム先端が待機部に待機し、フィルム挟持部が初期位置から前記待機部へ移動し、待機部に待機するフィルムの先端を掴んで引き出すフィルムクランプ装置であって、
前記フィルム挟持部は開閉可能な上下部材で構成され、そのフィルム挟持部に開閉を制御する作動部を設け、他方、前記待機部位置近傍に前記作動部と当接して前記フィルム挟持部を開閉させる案内部を設け、前記フィルム挟持部が待機部に接近移動すると前記上下部材を開き、前記フィルム挟持部が待機部に達するとフィルムを挟持することを特徴とするフィルムクランプ装置。
【請求項2】
前記作動部がローラで、前記フィルム挟持部が前記待機部に向けて移動することで案内部により前記ローラが接触案内され、フィルム挟持部が開状態となり、前記ローラが案内部を越えた時前記フィルム挟持部が閉状態となり、フィルムを挟持することを特徴とする請求項1記載のフィルムクランプ装置。
【請求項3】
前記案内部は、前記作動部を介しフィルム挟持部を少なくともフィルム待機部の位置において開状態から閉状態に切り替え案内する傾斜面を有し、且つ前記フィルム挟持部の上下部材はフィルムを挟持する閉方向に付勢されていることを特徴とする請求項2記載のフィルクランプ装置。
【請求項4】
前記フィルム挟持部が、常時開方向に付勢された上下部材で構成され、且つ、前記案内部近傍から初期位置に向けて、前記案内部で切り替わったフィルム挟持部の閉状態を維持して初期位置へ案内するガイド板が設けられていることを特徴とする請求項1記載のフィルムクランプ装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至4の何れか1項記載のフィルムクランプ装置を備えたことを特徴とするフィルム包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−46417(P2011−46417A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197152(P2009−197152)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】