説明

フィルムコーティングおよびポリビニルアルコールをベースとするフィルムコーティング組成物

【課題】医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物を被覆するのに使用するための乾燥フィルムコーティング組成物の提供。
【解決手段】ポリビニルアルコール、可塑剤(たとえば、ポリエチレングリコールやグリセリン)、タルク、および好ましくは顔料/不透明剤とレシチンを含む。医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物等の基体をフィルムコーティングで被覆する方法は、ポリビニルアルコール、可塑剤(たとえば、ポリエチレングリコールやグリセリン)、タルク、および好ましくは顔料/不透明剤とレシチンを水中に混合して水性コーティング分散液を形成する工程;前記基体に有効量の前記コーティング分散液を施して、前記基体上にフィルムコーティングを形成する工程;および前記基体上のフィルムコーティングを乾燥する工程;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、これらの類似物等の基体に対する水性フィルムコーティングの分野に関し、さらに詳細には、ポリビニルアルコールをベースとするコーティングで基体を被覆することに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコール(PVA)をフィルムコーティングとして使用することは、従来から知られていることである。しかしながら、冷水に対する高い溶解性は、現行の水性フィルム被覆プロセスでの使用にとって経済的なものとなるものの、こうした高い溶解性を有するグレードのポリマーには粘着性があるために、実際の使用が阻害されている。
【0003】
Colorconによる米国特許出願第08/466,939号(現在は米国特許第5,885,617号(特許文献1))(該特許を参照により本明細書に含める)は、医薬錠剤用の防湿フィルムコーティングを形成するための防湿フィルムコーティング組成物を開示しており、前記組成物は、ポリビニルアルコール、レシチン、ならびに必要に応じて、流動性向上剤、および/または着色剤、および/または懸濁化剤を含む。このコーティング組成物は、ペンシルバニア州ウエストポイントのColorcon社からOPADRY AMBの商標で市販されている。
【0004】
OPADRY AMBコーティング組成物を使用すると、優れた防湿特性を有するフィルムコーティングが得られる。しかしながら、PVAがもつ固有の粘着性のために、OPADRY AMBコーティング組成物から形成される水性フィルムコーティング用の溶液/分散液を使用して、12kgの錠剤を収容する24"パンを取り付けたO'Hara Lab Coat Iコーターにて医薬錠剤を被覆するための噴霧速度が遅い(50〜70g/分にて噴霧できる他のタイプのコーティングシステムに比べて約25〜30g/分)。噴霧速度が遅いのは欠点であるが、医薬基体を被覆するのに防湿フィルムコーティングが必要とされるという特殊な用途では、OPADRY AMBコーティング組成物から得られる防湿特性がこうした欠点を補ってあまりある。
【0005】
汎用向けの用途(たとえば、防湿特性が必要とされない場合)に対しては、噴霧速度が遅いことは、その遅い噴霧速度に関連した追加の処理コストがかかるために受け入れられない。
【0006】
ポリエチレングリコールは、フィルム形成ポリマーのガラス転移温度を低下させるために、且つポリマーの脆性を向上させるためにフィルムコーティング中に使用される公知の可塑剤である。コーティングシステム中にポリエチレングリコールを組み込むと、ウィリアムズ-ランデル-フェリー(Williams-Landel-Ferry)の式によって予測されるように、コーティングシステムの粘着性がより高くなる。したがって、すでに粘着性であるPVAにポリエチレングリコールを加えると、コーティングシステムはより一層粘着性になり、これによってPVAの粘着性の問題はより一層悪化すると考えられる。
【0007】
さらに、当業者にとっては周知のことであるが、フィルムコーティングシステムにポリエチレングリコールを加えると、一般には、フィルムコーティングの引張強さが低下する。引張強さが低いということはフィルムが弱いということを意味しており、このことは欠点である。
【0008】
当業者にはさらに、ポリエチレングリコールを組み込むと、PVAフィルムコーティングの防湿特性が低下すると考えられている。
【0009】
フィルムコーティング組成物中には一般に、顔料、グライダント(glidant)、および流動性向上剤等の不溶性物質が使用される。たとえば、顔料は、フィルムコーティングに色を与えるのに使用され、タルクはグライデントとして使用され、そして充填剤は、フィルムコーティング組成物中における他のより高価な成分の割合を少なくするために使用される。不溶性物質をフィルムコーティング組成物中に漫然と使用してはならない。なぜなら、当業者には公知のことであるが、フィルムコーティング組成物に不溶性物質を加えると、一般にはフィルムコーティングの引張強さが低下する。このことは、フィルムコーティング中の不溶性物質の量が増大するにつれて、より強度の低いフィルムが得られることを意味している。
【0010】
Keithらによる米国特許第4,432,965号(特許文献2)は、薬学的に有効な量のキニジンを含有する錠剤コア(約5重量%〜約20重量%のポリエチレングリコールと約80重量%〜約95重量%のポリビニルアルコールとを含有する徐放性ポリマーコーティングで被覆されている)を含んだ徐放性経口剤形を開示している。Keithらによる米国特許第4,432,965号は、PVAとポリエチレングリコールの徐放性コーティングが胃液や腸液中で徐々に溶解する、ということを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,885,617号
【特許文献2】米国特許第4,432,965号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、滑らかな表面、優れたフィルム密着性、および優れた引張強さを有する、ポリビニルアルコールをベースとするコーティングを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物等の基体に、約55g/分〜約60g/分のコーティング溶液噴霧速度にて噴霧できる、ポリビニルアルコールをベースとするフィルムコーティングを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、速やかに溶解するフィルムコーティングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的および他の目的は、下記にて説明する我々の発明によって果たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によれば、医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物を被覆するのに使用するための、本発明の乾燥フィルムコーティング組成物は、1)ポリビニルアルコール;2)可塑剤(たとえば、ポリエチレングリコールやグリセリン);および3)タルク;を含む。
【0017】
本発明の乾燥フィルムコーティング組成物は、顔料/不透明剤とレシチンのいずれか又は両方を含むのが好ましい。
【0018】
本発明によれば、基体(たとえば医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物)をフィルムコーティングで被覆する方法は、1)ポリビニルアルコール、2)可塑剤(たとえば、ポリエチレングリコールやグリセリン)、および3)タルクを水中に混合して水性コーティング分散液を形成する工程;前記コーティング分散液の有効量を前記基体に施して、基体上にフィルムコーティングを形成する工程;および基体上の前記フィルムコーティングを乾燥する工程;を含む。しかしながら、所望により、顔料/不透明剤とレシチンのいずれか又は両方を、ポリビニルアルコール、可塑剤、およびタルクと共に水中に混合して本発明のコーティング分散液を形成するのが好ましい。
【0019】
本発明はさらに、水性コーティング分散液、被覆された基体(たとえば、被覆された医薬錠剤、被覆された栄養補給剤、被覆された食品、被覆された糖菓形態物、被覆された農芸用種子、およびこれらの類似物)、本発明の乾燥フィルムコーティング組成物を製造する方法、および本発明のコーティング分散液を製造する方法を含む。
【0020】
ポリビニルアルコール(PVA)は、コーティングのフィルム形成剤である。本発明において有用なグレードのポリビニルルコールは、約86.5モル%より大きい加水分解率(好ましくは約86.5モル%〜約89.0モル%の範囲の加水分解率)を有する部分加水分解処理されたポリ酢酸ビニルを含むポリビニルアルコールに相当する。
【0021】
ポリビニルアルコールを微粉状にして、水性コーティング溶液を形成するときの、水中へのポリビニルアルコールの溶解を容易にするのが好ましい。微粉状ポリビニルアルコールの粒度は、下記のような量とメッシュサイズに分類される:47.8%が200ミクロンより大きく;28.7%が200〜145ミクロンであり;22.9%が145〜100ミクロンであり;0.5%が100〜80ミクロンであり;そして0.1%が80ミクロン〜である。
【0022】
ポリエチレングリコールは、本発明のコーティングの脆性を少なくし、且つ亀裂を生じにくくするための可塑剤である。1000より大きい公称分子量を有するポリエチレングリコールが有用であることが明らかになっており、分子量が3000のポリエチレングリコールが好ましい。
【0023】
別の可塑剤であるグリセリンを、ポリエチレングリコールの代わりに使用することができる。予想外のことに、グリセリンを本発明のコーティング組成物中に使用すると、予想されるようなフィルムコーティングの粘着性増大よりむしろ、驚くべきことにグリセリンがマイルドな粘着防止剤として作用することによって、得られるフィルムコーティングの粘着性が低下する、ということを我々は見出した。
【0024】
タルクはグライダントであり、最終的に得られるコーティングの平滑性を向上させるのに役立つ。なぜなら、タルクを使用すると、コーティング時での互いに対するタンブリングが容易になるからである。予想外のことに、コーティング組成物を基準として、タルクを約9重量%〜約45重量%(好ましくは約9重量%〜約20重量%、さらに好ましくは約10重量%)の量にて使用すると、フィルムコーティングの引張強さが増大し、したがってより高強度のフィルムが得られる。このことは極めて予想外のことである。なぜなら、フィルムコーティングの引張強さは、フィルムコーティング組成物中の不溶性成分(たとえばタルク)の量が増大するにつれて低下すると考えられるからである。
【0025】
顔料/不透明剤は、食用として認可されているいかなる着色剤、不透明剤、または色素であってもよい。たとえば顔料/不透明剤は、アルミニウム・レーキ、酸化鉄、二酸化チタン、または天然色素であってよい。このような顔料/不透明剤の例が、1985年9月24日付け取得のColorconによる米国特許第4,543,570号(該特許を参照により本明細書に含める)に記載されている。
【0026】
レシチンは粘着防止剤である。レシチンは、水性コーティング分散液の成分の湿潤を起こしやすくすることによって界面活性剤としても作用する;レシチンは、ポリビニルアルコールの溶媒和を促進する;および、レシチンは水分をコーティング中に閉じ込めることによって可塑化効果をもち、したがってコーティングは柔軟性を保持して脆くならない;ということを我々は見出した。
【0027】
本発明の乾燥コーティング組成物中の各成分の範囲は、重量%表示にて下記の通りである。
【表1】

【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を例示する。実施例中の単位とパーセントは全て重量基準である。
【0029】
実施例1
下記処方の乾燥成分を乾燥粉末ミル(たとえばPKブレンダー)中で25分、または均一な混合物が得られるまでブレンドし、本発明の乾燥フィルムコーティング組成物が得られる。
【0030】
本発明の乾燥フィルムコーティング組成物は、所望により、遊星形ミキサー(たとえばホバート遊星形ミキサー)を使用して粒状化することができる。乾燥フィルムコーティング組成物をミキサー中に装入した後、ミキサーのスイッチを入れ、組成物が幾分粘着性の顆粒を形成するようになるまで、充分な量の水を徐々に加える。次いでこれらの顆粒を1〜2mmのスクリーンに通し、30℃のオーブン中にて含水率が5%未満になるまで乾燥する。この組成物を再び1〜2mmのスクリーンに通して篩にかけ、ノンダストの顆粒形態にて使用できるようにする。所望により粒状化しない場合は、たとえばハンマーミル(アペックス・マシナリー、英国ダートフォード)にて組成物を粉砕することができる。使用できる他の粒状化法は、噴霧粒状化法とローラー圧縮法である。
【0031】
得られるフィルムコーティング組成物300gを1200gの蒸留水中に分散して本発明のコーティング分散液(固形分20%)を形成し、この分散液1500gをコーターを使用して10kgの錠剤に噴霧して、3%の理論重量増加率を有する本発明のコーティングを錠剤上に形成する。錠剤をコーター中にて12〜14rpmの回転速度で回転させる。60℃〜70℃の高温空気を使用して、噴霧されたコーティング分散液中の水を蒸発除去し、錠剤の温度を38℃〜42℃に保持する。コーティングプロセス時におけるコーティング分散液の噴霧速度は60g/分である。
【0032】
コーティングプロセスが完了すると、錠剤は滑らかな表面を示し、ロゴは極めて鮮明である。錠剤上のフィルムコーティングは、長期にわたって優れた光沢を保持し、粘着性が極めて低く、フィルムの密着性が良好であり、また引張強さも優れている(約10〜15MPa)。
【表2】

【0033】
以下の実施例においては、各処方の成分を混合し、コーティング溶液とし、そして実施例1のように錠剤に施して、滑らかな表面、長期にわたって持続する優れた光沢、極めて低い粘着性、優れたフィルム密着性、および通常は約10MPa〜約16MPaの良好な引張強さ、を有するフィルムコーティングを得る。
【0034】
実施例2
【表3】

【0035】
実施例3
【表4】

【0036】
実施例4
【表5】

【0037】
実施例5
【表6】

【0038】
実施例6
【表7】

【0039】
実施例7
【表8】

【0040】
実施例8
【表9】

【0041】
実施例9
【表10】

【0042】
実施例10
【表11】

【0043】
実施例11
【表12】

【0044】
実施例12
【表13】

【0045】
実施例13
【表14】

【0046】
実施例14
【表15】

【0047】
実施例15
【表16】

【0048】
実施例16
【表17】

【0049】
上記処方の乾燥成分を適切な大きさのフードプロセッサに装入し、均一になるまで5分間激しくブレンドする。5分後、処方の液体部分(可塑剤としてのグリセリン)をプロセッサに加え、ブレンディングをさらに3分間続けて本発明の乾燥コーティング組成物を得る。本配合物90gを360gの精製水中に分散し、45分間撹拌して固形分20.0%の水性コーティング分散液(このまま噴霧コーティングに使用可能)を形成する。
【0050】
3/8"の標準凹形プラシーボ2.0kgと、同程度の直径を有する5グレインのアスピリンコア1.0kgとからなる3.0kgの混合錠剤を、4個のミキシングバッフルと6個の滑り防止バーとを備えた15"のO'Hara Labcoat Iコーティングパン中に装入する。スプレイイング・システム・ガン(Spraying System Gun)(1/8 VAU SS)と、1 7518-02ポンプヘッドを備えたマスターフレックス(Masterflex)デジタルコンソール蠕動ポンプとを使用して、錠剤ベッド(tablet bed)上に水性コーティング分散液を噴霧する。コーティング操作時において、噴霧用エアの圧力は25psiであり、パターン・エア(pattern air)の圧力は35psiであり、インレット・エア(inlet air)の温度は70℃であり、アウトレット・エアの温度は48℃であり、錠剤ベッドの温度は41℃のままであり、パンの速度は16rpmであり、コーティング液の供給速度は20g/分(これは、24"のパンを取り付けたO'Hara Lab Coat Iコーターにおける50〜60g/分に相当する)であり、そしてトータルのコーティング時間は22分である。3%という理論的な乾燥コーティング重量増加率が観察され、錠剤上のフィルムコーティングは、長期にわたる優れた光沢、極めて低い粘着性、優れた密着性、および良好な引張強さ(約10〜15MPa)を有する。
【0051】
本発明の水性コーティング分散液の製造に関しては、本発明のコーティング組成物の個々の成分を直接水中に加え、次いで混合してコーティング分散液を形成することによって製造することもできる。
【0052】
コーティング分散液は、10%〜30%の固形分レベルにて製造するのが好ましい。
【0053】
ウィリアムズ-ランデル-フェリーの式から予測されることに反して、我々の発明は極めて粘着性の低いフィルムコーティングをもたらす、ということを我々は見出した。
【0054】
本発明の水性コーティング分散液を使用すると、約60g/分のコーティング溶液噴霧速度(12kgの錠剤を含んだ24"パンにおいて)が得られる、ということを我々は見出した。これは予想外のことである。なぜなら、当業者にとっては、粘着性の高いポリマーは、その粘着性のゆえに遅い噴霧速度を必要とする、ということが公知だからである。したがって、粘着性のかなり高いポリマーであるPVAは、遅い噴霧速度を必要とすると考えられる。たとえば、Colorcon社のPVAベースのOPADRY AMBコーティング組成物は、コーティング溶液中のPVAの粘着性により遅い噴霧速度(たとえば、12kgの錠剤を含んだ24"パンにて25〜30g/分)を必要とする。
【0055】
当業者にとっては周知のことであるが、顔料、グライダント、および流動性向上剤等の不溶性物質を、たとえばフィルムコーティング組成物に加えると、一般にはフィルムコーティングの引張強さが低下する。驚くべきことに、グライダント且つ充填剤として使用される不溶性物質のタルクを本発明のフィルムコーティング組成物中に、コーティング組成物の重量を基準として約9重量%〜約45重量%の量にて、好ましくは約9重量%〜約20重量%の量にて、そしてさらに好ましくは約10重量%の量にて組み込むと、また本発明のフィルムコーティング分散液中に、フィルムコーティング分散液中の非水成分の重量を基準として約9重量%〜約45重量%の量にて、好ましくは約9重量%〜約20重量%の量にて、そしてさらに好ましくは約10重量%の量にて組み込むと、フィルムコーティングの引張強さは低下するよりむしろ増大する、ということを我々は見出した。
【0056】
従って本発明によれば、タルクを、フィルムコーティング中のPVAの量を減らせるような量にて使用することができ、これによりフィルムコーティング組成物のコストを下げることができ、このときフィルムコーティングの引張強さが低下することはない。
【0057】
我々はさらに、本発明のコーティングが優れた防湿特性を有する、ということを見出した。この点も予想外であって驚くべきことである。なぜなら、ポリエチレングリコールやこれに類似の可塑剤は親水性であり、PVAの防湿特性を低下させると考えられるからである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレングリコールとを含んだOPADRYフィルムコーティング組成物から製造されるフィルムコーティングに対する水蒸気透過度は約40であるが、ポリエチレングリコールを全く含まないOPADRY AMBコーティング組成物から製造されるフィルムコーティングに対する水蒸気透過度は約6であり、そして本発明に従って製造されるフィルムコーティングに対する水蒸気透過度は約10である。
【0058】
さらに、Keithらによる米国特許第4,432,965号の開示内容とは対照的に、本発明のフィルムコーティングで被覆した錠剤は速やかに溶解する、ということも我々は見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、および農芸用種子を被覆するのに使用するための乾燥フィルムコーティング組成物であって、
ポリビニルアルコール、前記ポリビニルアルコールが、約86.5モル%〜89.0モル%の範囲の加水分解率を有する部分加水分解処理されたポリ酢酸ビニルを含み、前記ポリビニルアルコールが前記組成物の重量の約25重量%〜約55重量%を構成する;
可塑剤、前記可塑剤がポリエチレングリコールまたはグリセリンである; および
前記組成物の重量の約9重量%〜約45重量%を構成するタルク;
を含む前記コーティング組成物。
【請求項2】
請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記微粉状ポリビニルアルコールの47.8%が200ミクロンより大きい、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記微粉状ポリビニルアルコールの28.7%が200〜145ミクロンである、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記微粉状ポリビニルアルコールの22.9%が145〜100ミクロンである、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記微粉状ポリビニルアルコールの0.5%が100〜80ミクロンである、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記微粉状ポリビニルアルコールの0.1%が約80ミクロンである、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記微粉状ポリビニルアルコールが以下の量及びメッシュサイズの粒子を含む、請求項2記載のコーティング組成物:該微粉状ポリビニルアルコールの47.8%が200ミクロンより大きく;28.7%が200〜145ミクロンであり;22.9%が145〜100ミクロンであり;0.5%が100〜80ミクロンであり;そして0.1%が約80ミクロンである。
【請求項9】
前記ポリビニルアルコールがコーティング組成物の約38重量%〜約46重量%を構成する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記可塑剤がポリエチレングリコールまたはグリセリンである、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールが400〜20,000の分子量を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記可塑剤がコーティング組成物の約5重量%〜約30重量%を構成する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記タルクがコーティング組成物の約9重量%〜約20重量%を構成する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項14】
コーティング組成物の約0重量%〜約40重量%を構成する顔料/不透明剤をさらに含む、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項15】
コーティング組成物の約0重量%〜約10重量%を構成するレシチンをさらに含む、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記レシチンがコーティング組成物の非水成分の約0重量%〜約4重量%を構成する、請求項15記載のコーティング組成物。
【請求項17】
顔料/不透明剤とレシチンとをさらに含み、
前記ポリビニルアルコールが、約86.5モル%〜89.0モル%の範囲の加水分解率を有する部分加水分解処理されたポリ酢酸ビニルを含み、
前記ポリビニルアルコールがコーティング組成物の約38重量%〜約46重量%を構成し、
前記ポリエチレングリコールが3000の分子量を有し、
前記のポリエチレングリコールまたはグリセリンがコーティング組成物の約10重量%〜約25重量%を構成し、
前記タルクがコーティング組成物の約9重量%〜約20重量%を構成し、
前記顔料/不透明剤がコーティング組成物の約20重量%〜約30重量%を構成し、そして
前記レシチンがコーティング組成物の約0重量%〜約4重量%を構成する、
請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項18】
医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、および農芸用種子を被覆するのに使用するための液状フィルムコーティング分散液であって、
ポリビニルアルコール、前記ポリビニルアルコールが、約86.5モル%〜89.0モル%の範囲の加水分解率を有する部分加水分解処理されたポリ酢酸ビニルを含み、前記ポリビニルアルコールが前記液状フィルムコーティング分散液中の非水成分の約25重量%〜約55重量%を構成する;
可塑剤、前記可塑剤がポリエチレングリコールまたはグリセリンである;
タルク、前記タルクが前記液状フィルムコーティング分散液中の非水成分の約9重量%〜約45重量%を構成する; および
水;
を含む前記分散液。
【請求項19】
前記ポリビニルアルコールが微粉状である、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項20】
前記微粉状ポリビニルアルコールが以下の量及びメッシュサイズの粒子を含む、請求項19記載の液状フィルムコーティング分散液:該微粉状ポリビニルアルコールの47.8%が200ミクロンより大きく;28.7%が200〜145ミクロンであり;22.9%が145〜100ミクロンであり;0.5%が100〜80ミクロンであり;そして0.1%が約80ミクロンである。
【請求項21】
前記ポリビニルアルコールが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約38重量%〜約46重量%を構成する、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項22】
前記ポリエチレングリコールが400〜20,000の分子量を有する、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項23】
前記のポリエチレングリコールまたはグリセリンが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約5重量%〜約30重量%を構成する、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項24】
前記タルクが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約9重量%〜約20重量%を構成する、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項25】
液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約0重量%〜約40重量%を構成する顔料/不透明剤を液状フィルムコーティング分散液中に分散させることをさらに含む、請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項26】
液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約0重量%〜約10重量%を構成するレシチンを水性コーティング分散液中に分散させることをさらに含む、請求項19記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項27】
顔料/不透明剤とレシチンとを液状フィルムコーティング分散液中に分散させることをさらに含み、
前記ポリビニルアルコールが、約86.5モル%〜89.0モル%の範囲の加水分解率を有する部分加水分解処理されたポリ酢酸ビニルを含み、
前記ポリビニルアルコールが水性コーティング分散液の非水成分の約38重量%〜約46重量%を構成し、
前記ポリエチレングリコールが3000の分子量を有し、
前記ポリエチレングリコールまたはグリセリンが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約10重量%〜約25重量%を構成し、
前記タルクが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約9重量%〜約20重量%を構成し、
前記顔料/不透明剤が液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約20重量%〜約30重量%を構成し、そして
前記レシチンが液状フィルムコーティング分散液の非水成分の約0重量%〜約4重量%を構成する、
請求項18記載の液状フィルムコーティング分散液。
【請求項28】
医薬錠剤、栄養補給剤、食品、糖菓形態物、農芸用種子、およびこれらの類似物等の基体をフィルムコーティングで被覆する方法であって、
前記基体に有効量の請求項21〜27のいずれか1項に記載の液状フィルムコーティング分散液を施して、前記基体上にフィルムコーティングを形成する工程; および
前記基体上のフィルムコーティングを乾燥する工程;
を含む前記方法。

【公開番号】特開2011−225576(P2011−225576A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118152(P2011−118152)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【分割の表示】特願2001−509406(P2001−509406)の分割
【原出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(302053102)ビーピーエスアイ ホールディングス エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】