説明

フィルムコーティング用組成物

【課題】製剤表面に優れた艶を付与可能なフィルムコーティング用組成物及び該組成物でコーティングされたフィルムコーティング製剤の提供。
【解決手段】(A)水溶性多糖類及び(B)タルクを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕が、1:4〜1:30であるフィルムコーティング用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムコーティング用組成物及び該組成物でコーティングされたフィルムコーティング製剤に関する。より詳細には、固形製剤のコーティング剤として用いられるフィルムコーティング用組成物、及び該組成物でコーティングされた固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムコーティングや糖衣は、光や湿度に対する原薬の安定性や製品としての美観の向上、ウィスカーの発生の防止、にがみ、臭い、刺激の防止等の目的で錠剤に施されている。
上記糖衣は、商品としての美観の向上、特に製剤表面への光沢や艶の付与の点で、フィルムコーティングに比べて優れているものの、糖衣を施すことにより製剤が大きく、重くなるため、携帯性に劣るという問題があった。さらに、糖衣を施す工程は、多大な時間を必要とするため製造コストが上昇するばかりでなく、高温多湿の状態が長い時間にわたり続くため活性成分の安定性に影響を及ぼすこともあった。
【0003】
上述のような背景の下、フィルムコーティング錠の表面に糖衣錠のような光沢や艶を付与することが試みられており、例えば、甘味成分と艶出しワックスの混合物で艶出しされたフィルム錠(特許文献1);アカシアガムを用いたドライパウダー組成物(特許文献2);ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合したフィルムコーティング組成物(特許文献3)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−89361号公報
【特許文献2】国際公開第2002/019987号パンフレット
【特許文献3】特表2002−534373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のような従来のフィルムコーティング用組成物では、十分な艶を製剤表面に付与できなかった。
したがって、本発明の課題は、製剤表面に優れた艶を付与可能なフィルムコーティング用組成物及び該組成物でコーティングされたフィルムコーティング製剤の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、意外にも、水溶性多糖類とタルクとを特定の質量比で組み合わせて用いることにより、製剤表面に優れた艶を付与可能なフィルムコーティング用組成物が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)水溶性多糖類及び(B)タルクを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕が、1:4〜1:30であるフィルムコーティング用組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記組成物でコーティングされたフィルムコーティング製剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィルムコーティング用組成物を用いることにより、製剤表面に優れた艶を付与できる。したがって、本発明によれば、表面に優れた艶を有するフィルムコーティング製剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のフィルムコーティング用組成物は、上記成分(A)及び(B)を含有する。まず、これら成分について詳細に説明する。
【0011】
<(A)水溶性多糖類>
本発明において、成分(A)の水溶性多糖類としては、特に限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストリン;アルギン酸ナトリウム等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、セルロース誘導体が好ましく、25℃で固体のものがより好ましく、操作性・作業性の観点から、ヒプロメロースが特に好ましい。
【0012】
上記ヒプロメロースとしては、特に限定されないが、製剤表面に艶を付与する観点から、メトキシ基の置換度が16.5〜30のものが好ましく、28〜30のものがより好ましい。一方、ヒドロキシプロポキシ基の置換度としては、4〜32が好ましく、7〜12がより好ましい。
また、ヒプロメロースの表示粘度としては、操作性・作業性の観点から、3〜100,000mPa・sが好ましく、3〜5000mPa・sがより好ましく、3〜15mPa・sがさらに好ましく、5〜10mPa・sが特に好ましい。なお、上記粘度は、日本薬局方に規定の20℃における2%水溶液の粘度を意味する。
【0013】
上記水溶性多糖類の含有量の下限としては、皮膜の強度、コーティング時の付着性及び製剤表面の艶の観点から、組成物中の固形分全量に対して、0.1質量%が好ましく、1質量%が好ましく、1.7質量%が特に好ましい。一方、上限としては、上記の下限と同様の観点及び服用時のぬめり感を抑える観点から、組成物中の固形分全量に対して、20質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、6.7質量%が特に好ましい。
【0014】
なお、水溶性多糖類として市販のものを用いることもできる。斯様な市販品としては、例えば、ヒプロメロース2208、ヒプロメロース2906、ヒプロメロース2910等が挙げられる。
【0015】
<(B)タルク>
成分(B)のタルクの平均粒径としては、0.1〜20μmが好ましく、1〜12μmがより好ましく、2〜8μmが特に好ましい。平均粒径を斯様な範囲とすることによって、製剤表面が滑らかとなり、製剤表面に優れた艶を付与できる。
なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折法・JIS M8016に準拠する測定法等により測定可能である。
【0016】
また、上記タルクの粒度としては、粒径45μmを超えるもの(目開き45μmのふるいを通過しないもの)が0.3質量%以下である粒度が好ましい。
【0017】
また、タルクの白色度としては、製剤表面に艶を付与する観点から、90〜100が好ましく、93〜100が特に好ましい。斯かる白色度は、製剤表面への艶の付与に大きく寄与する。
なお、上記白色度は、JIS M8016に準拠する測定法等により測定可能である。
【0018】
また、上記成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕は、1:4〜1:30であるが、製剤表面への艶の付与と、コーティング装置中のダストの製剤表面への付着防止、或いは皮膜の強度の向上とを両立させる観点、並びに不快なぬめりの抑制及び甘味の観点から、1:5〜1:25が好ましく、1:14〜1:23がより好ましく、1:15〜1:23がさらに好ましく、1:16〜1:20が特に好ましい。
【0019】
本発明のフィルムコーティング用組成物としては、上記成分(A)及び(B)に加えて、(C)糖アルコール及び/又は(D)ポリエチレングリコールを含有するものが好ましい。成分(C)を用いることにより、甘味が強くなり、不快なぬめり感が抑制され、服用感が向上する。
<(C)糖アルコール>
成分(C)の糖アルコールとしては、エリスリトール、水素添加デンプン加水分解物(Hydrogenated Starch Hydrolysate)、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の他、トウモロコシデンプン由来糖アルコール液等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。この中でも、25℃で固体のものが好ましく、エリスリトール、水素添加デンプン加水分解物、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトールがより好ましく、ぬめり感の抑制、良好な甘味及び艶の観点から、エリスリトール、イソマルト、マンニトールが特に好ましい。
【0020】
また、製剤表面に安定な艶を付与する観点から、上記糖アルコールの臨界相対湿度としては、25℃で80〜100%が好ましく、85〜100%がより好ましく、90〜99.99%が特に好ましい。なお、水溶性物質において、一定の温度で相対湿度を上げてゆくと、ある相対湿度で急激に重量が増加し始める。このときの相対湿度を一般に臨界相対湿度という。
【0021】
また、成分(C)を使用する場合、上記成分(A)と成分(C)との質量比〔(A):(C)〕としては、製剤表面の艶と良好な甘味とを両立する観点から、1:0.5〜1:50が好ましく、1:1〜1:38がより好ましく、1:1.5〜1:24がさらに好ましく、1:2〜1:18がさらに好ましく、1:2〜1:16がさらに好ましく、1:2〜1:10が特に好ましい。
【0022】
<(D)ポリエチレングリコール>
成分(D)のポリエチレングリコールとしては、特に限定されないが、25℃で固体のものが好ましい。また、その平均分子量としては、190〜42,000が好ましく、7,300〜9,300がより好ましい。なお、上記平均分子量は、日本薬局方15局の平均分子量試験にて測定可能である。
【0023】
また、ポリエチレングリコールの市販品としては、マクロゴール200、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、マクロゴール35000等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0024】
また、成分(D)を使用する場合、上記成分(A)と成分(D)との質量比〔(A):(D)〕としては、1:0.01〜1:8が好ましく、1:0.1〜1:8がより好ましく、1:0.3〜1:7がさらに好ましく、1:1〜1:4が特に好ましい。質量比〔(A):(D)〕を斯様な範囲とすることにより、製剤表面の艶と、コーティング時の付着性、或いは表面の滑らかさとを両立できる。また、フィルムコーティング時の操作性の向上や乾燥温度の短縮にも寄与する。
【0025】
また、本発明のフィルムコーティング用組成物は、上記成分(A)〜(D)に加えて、(E)着色剤を含有していてもよい。
【0026】
<(E)着色剤>
成分(E)の着色剤としては、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、黄色三二酸化鉄、オパスプレーK−1−24904、オレンジエッセンス、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、β−カロテン、カンゾウエキス、金箔、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、水酸化ナトリウム、銅クロロフィンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉抽出エキス、d−ボルネオロール、ミリスチン酸オクチルドデシル、薬用炭、酪酸リボフラビン、リボフラビン、緑茶末、リン酸リボフラビンナトリウム、ローズ油等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、好まれる色調の観点から、酸化チタンが好ましい。
【0027】
また、成分(E)として酸化チタンを使用する場合、上記成分(A)と成分(E)との質量比〔(A):(E)〕としては、1:0.5〜1:5が好ましく、1:1〜1:4.5がより好ましく、1:2〜1:4が特に好ましい。一方、成分(E)として酸化チタン以外のものを使用する場合、組成物中の着色剤の含有量としては、成分(A)1質量部に対して、5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましい。
【0028】
また、本発明のフィルムコーティング用組成物には、上記成分(A)〜(E)の他に、例えば、可塑剤、他のコーティング剤、分散剤、消泡剤等の通常経口投与医薬品のコーティングフィルムに用いる医薬品添加物を必要に応じて更に添加することができる。なお、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
可塑剤の具体例としては、カリオン83、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ゴマ油、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、濃グリセリン、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、プロピレングリコール、ポリソルベート80、綿実油・ダイズ油混合物、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。可塑剤を使用する場合、組成物中の可塑剤の含有量は40質量%以下が好ましい。
【0030】
他のコーティング剤の具体例としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、オクチルデシルトリデリセリド、オパドライAMB、オパドライOY−6950、オパドライOY−S−7135、オパドライOY−S−8471、オパドライOY−S−9607、オパドライOY−S−22829、オパドライOY−S−22835、オパドライOY−S−22961、オリブ油、カオリン、カカオ脂、カゴソウ、カスターワックス、カルナウバロウ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルスターチナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥乳状白ラック、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、寒梅粉、魚鱗箔、銀箔、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質流動パラフィン、鯨ロウ、結晶セルロース、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、合成ワックス、高ブドウ糖水アメ、硬ロウ、コハク化ゼラチン、小麦粉、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸セルロース、酢酸ビニル樹脂、酢酸フタル酸セルロース、サランミツロウサラシミツロウ、酸化マグネシウム、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ジメチルポリシロキサン(内服用)、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、ジンコウ末、水酸化アルミニウムゲル、水素添加ロジングリセリンエステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、ゼイン、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、セッコウ、ゼラチン、セラック、ソルビタン脂肪酸エステル、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、単シロップ、中金箔、沈降炭酸カルシウム、テルペン樹脂、デンプン(溶性)、トウモロコシシロップ、トウモロコシ油、トリアセチン、乳酸カルシウム、乳糖、濃グリセリン、白色セラック、白糖、ハチミツ、パラフィン、パール末、バレイショデンプン、ピペロニルブトキシド、ヒマシ油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブドウ糖、プルラン、プロピレングリコール、ベントナイト、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、水アメ、ミツロウ、ミリスチルアルコール、無水ケイ酸水加物、無水フタル酸、無水リン酸水素カルシウム、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン、モンタン酸エステルワックス、ラウロマクロゴール、硫酸カルシウム、流動パラフィン、DL−リンゴ酸、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、ロジン等が挙げられる。これらのコーティング剤を使用する場合、組成物中の該コーティング剤の含有量は40質量%以下が好ましい。
【0031】
分散剤の具体例としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アルギン酸プロピレングリコールエステル、オレイン酸、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、カンテン末、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、結晶セルロース、硬化油、合成ケイ酸アルミニウム、コリンリン酸塩、サフラワー油、サラシミツロウ、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、精製オレイン酸、精製大豆レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、大豆レシチン、トウモロコシデンプン、トラガント末、トリオレイン酸ソルビタン、乳糖、濃グリセリン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ベントナイト、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマン油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリリン酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、モクロウ、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、流動パラフィン、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。分散剤を使用する場合、組成物中の分散剤の含有量は25質量%以下が好ましい。
【0032】
消泡剤の具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン(内服用)、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル、シリコン樹脂エマルジョン、シリコン消泡剤、ステアリン酸ポリオキシル40、ソルビタン脂肪酸エステル、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80等が挙げられる。消泡剤を使用する場合、組成物中の消泡剤の含有量は10質量%以下が好ましい。
【0033】
また、本発明によれば、前述のフィルムコーティング用組成物と、成分(F)水及び低級アルコールから選ばれる1種以上とを含むフィルムコーティング液を提供できる。上記低級アルコールの炭素数としては、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。このような低級アルコールとしては、エタノールが挙げられる。また、成分(F)としては、水が特に好ましい。
【0034】
上記フィルムコーティング液において、上記成分(A)と成分(F)との質量比〔(A):(F)〕としては、製剤表面への艶の付与の観点から、1:30〜1:500が好ましく、1:50〜1:300がより好ましく、1:100〜1:250がさらに好ましく、1:165〜1:200が特に好ましい。
また、上記フィルムコーティング液は、例えば、フィルムコーティング用組成物を、成分(F)に溶解・懸濁させることにより製造できる。
【0035】
次に、本発明のフィルムコーティング製剤について説明する。
本発明のフィルムコーティング製剤は、前述のフィルムコーティング組成物でコーティングされていることを特徴とする。また、上記フィルムコーティング製剤としては、固形製剤が好ましい。また、斯かる製剤の剤形としては、錠剤が好ましい。
【0036】
また、フィルムコーティング製剤には、種々の薬効成分を適宜配合することができる。斯様な薬効成分としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等のビタミンC類;パントテン酸カルシウム、チアミン硝化物、チアミン塩化物塩酸塩、ビスチアミン硝酸塩、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、フルスルチアミン塩酸塩、ジセチアミン塩酸塩水和物、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン塩酸塩、ヒドロキソコバラミン酢酸塩、メコバラミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ビオチン、葉酸等のビタミンB類;ガンマーオリザノール等の自律神経調節剤;チオクト酸アミド、オロチン酸等のビタミン様作用物質;リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウム等のミネラル;d−α−トコフェロール酢酸エステル、dl−α−トコフェロール酢酸エステル、d−α−トコフェロールコハク酸エステル、dl−α−トコフェロールコハク酸エステルカルシウム等のビタミンE類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;L−システイン、メチオニン、グリシン、アルギニン塩酸塩等のアミノ酸:アミノエチルスルホン酸、グルクロン酸アミド、グルクロノラクトン、グリチルリチン酸、ウルソデオキシコール酸等の肝臓障害用薬;カシュウエキス、セイヨウサンザシエキス、エゾウコギ乾燥エキス、インヨウカクエキス、ヨクイニンエキス、肝臓加水分解物、胆汁エキス末、サイコ乾燥エキス、センキュウ乾燥エキス、クラテグス乾燥エキス、ブクリョウ乾燥エキス等の生薬エキス等が挙げられる。
【0037】
また、フィルムコーティング組成物によるコーティングフィルム(製剤に形成されるフィルム層)の厚さとしては、製剤表面の艶及びコーティング時間の観点から、20μm〜200μmが好ましく、30μm〜100μmがより好ましく、30μm〜80μmが特に好ましい。また、直径9mm、質量200mg前後の錠剤でこのようなコーティングフィルムの厚さを得るには、通常、約3〜30mg/錠コーティング程度(好ましくは、約3〜15mg/錠コーティング、より好ましくは6〜12mg/錠コーティング)すればよい。なお、上記フィルムコーティング製剤は、フィルムコーティング用組成物を用いることにより施されるフィルム層の下に、アンダーコーティングが更に施されていてもよい。
【0038】
本発明のフィルムコーティング製剤は、前記フィルムコーティング用組成物を用いて常法に従い製造できる。例えば、素錠やフィルムコーティング錠等の固形製剤の表面に、前述のフィルムコーティング液をスプレーコーティングすることにより製造できる。斯かるコーティングの方法は特に限定されるものでなく、例えば、パンコーティング法、流動層コーティング法、転動コーティング法、乾式コーティング法、これらの組み合せた方法等が挙げられる。
【0039】
なお、上記素錠等は、例えば、通常行われている一般的な製剤化方法(津田恭介・上野寿著、「医薬品開発基礎講座XI 薬剤製造法(上),(下)」、地人書館、1971年発行;仲井由宣著、「製剤工学ハンドブック」、地人書館、1983年発行;仲井由宣著、「最新粉体の材料設計」、テクノシステム、1988年発行;荒川正文著、「医薬品の開発11製剤の単位操作と機械」、廣川書店、1989年発行;橋田充著、「経口投与製剤の設計と評価」、薬業時報杜、1995年発行;橋田充著、「経口投与製剤の処方設計」、薬業時報杜、1995年発行)により調製できる。例えば、斯様な製剤化方法としては、一般に利用される造粒法(水や有機溶媒を含む溶液又は分散液を用いる噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等の湿式造粒法、粉粒状の結合剤を用いる圧密造粒法等の乾式造粒法等)により製造した原末・粉末剤・細粒剤・顆粒剤等と製剤添加剤とを混合し、圧縮成型する方法が挙げられる。前記製剤添加剤としては、薬学的に許容される担体、例えば、安定(化)剤、界面活性剤、滑沢化剤、滑沢剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、光沢化剤、香料、コーティング剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、着香剤・香料、着色剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠(化)剤、発泡剤、pH調整剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤等が挙げられる。これら製剤添加剤の具体例としては、例えば、「医薬品添加物事典2005」(日本医薬品添加剤協会、薬事日報杜、2005年発行)に記載されたものが挙げられる。
【0040】
そして、後記の実施例に記載のとおり、本発明のフィルムコーティング用組成物及びフィルムコーティング液を用いることにより、製剤表面に優れた滑らかさを付与でき、また、製剤を投与したときの不快なぬめり感が抑制されるにも拘わらず、製剤に良好な甘味を与えることができる。さらに、製剤表面に優れた艶を付与できる。
したがって、本発明のフィルムコーティング製剤は、表面が非常に滑らかであり、また、投与したときの不快なぬめり感が抑制されているにも拘わらず、良好な甘味を有する。さらに、糖衣を施さなかったとしても、表面に優れた艶を有するため、美的外観品質に優れる。また、本発明によれば、糖衣工程をせずに製剤を得ることが可能であるため、製造コストが低減され、さらに、製剤の水分コントロールも容易なため、活性成分の安定性を維持でき、且つ製剤の変色が抑制できるだけでなく、製剤の軽量化や小型化が可能になる。斯様に、本発明のフィルムコーティング製剤は、軽量・小型でありながら、優れた美的外観品質を有するため、服薬コンプライアンスに寄与する。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
製造例1
L−システイン(協和醗酵製)960g、アスコルビン酸(直打用アスコルビン酸、BASFジャパン製)1237.2g、パントテン酸カルシウム(パントテン酸カルシウムタイプS、BASFジャパン製)147.6g、結晶セルロース(VIVAPUR12、レッテンマイヤー製)567.2g、結晶セルロース(セオラスKG802、旭化成ケミカルズ製)200g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH−11、信越化学製)200g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101、フロイント産業製)16g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学製)32gを用いて打錠用混合末を製し、ロータリー式打錠機(VIRGO−0512型打錠機、菊水製作所製)で8.5mmφの臼杵にて、1錠当たりの質量220mgとなるように打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))30g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)90g、マクロゴール6000(日本油脂製)10g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で44.6μm)を得た。
【0043】
製造例2
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))75g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)25g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.3μm)を得た。
【0044】
製造例3
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))45g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)80g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で44.2μm)を得た。
【0045】
製造例4
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)15g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で43.9μm)を得た。
【0046】
製造例5
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))60g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)50g、マクロゴール6000(日本油脂製)20g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.6μm)を得た。
【0047】
製造例6
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))60g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で45.2μm)を得た。
【0048】
製造例7
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))35g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)25g及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.4μm)を得た。
【0049】
製造例8
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)2.5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))42.5g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)95g、マクロゴール6000(日本油脂製)2.5g、及び酸化チタン(石原産業製)7.5gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.1μm)を得た。
【0050】
製造例9
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)140g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水750gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で44.8μm)を得た。
【0051】
製造例10
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)10g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))56g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)48g、マクロゴール6000(日本油脂製)17g、及び酸化チタン(石原産業製)19gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で43.8μm)を得た。
【0052】
製造例11
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))55g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.2μm)を得た。
【0053】
製造例12
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))45g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)15g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.6μm)を得た。
【0054】
製造例13
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))25g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)35g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.9μm)を得た。
【0055】
製造例14
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))65g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)60g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.7μm)を得た。
【0056】
製造例15
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)90g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水800gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.1μm)を得た。
【0057】
製造例16
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)3g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))51g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)84g、マクロゴール6000(日本油脂製)3g、及び酸化チタン(石原産業製)9gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.4μm)を得た。
【0058】
製造例17
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))75g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)50g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.0μm)を得た。
【0059】
製造例18
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)3.75g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))63.75g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)67.5g、マクロゴール6000(日本油脂製)3.75g、及び酸化チタン(石原産業製)11.25gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.4μm)を得た。
【0060】
製造例19
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))115g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)10g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.6μm)を得た。
【0061】
製造例20
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))105g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)20g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で45.1μm)を得た。
【0062】
製造例21
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))95g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.3μm)を得た。
【0063】
製造例22
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)40g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で44.4μm)を得た。
【0064】
製造例23
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水890gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.2μm)を得た。
【0065】
比較例1
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)36g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))69g、マクロゴール6000(日本油脂製)21g、及び酸化チタン(石原産業製)24gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.9μm)を得た。
【0066】
比較例2
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))15g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)45g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.2μm)を得た。
【0067】
比較例3
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))5g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)70g、マクロゴール6000(日本油脂製)55g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.8μm)を得た。
【0068】
比較例4
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)25g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)20g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.3μm)を得た。
【0069】
比較例5
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))15g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)110g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.7μm)を得た。
【0070】
比較例6
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))5g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)120g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.5μm)を得た。
【0071】
比較例7
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)35g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)10g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で47.2μm)を得た。
【0072】
比較例8
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)45g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))85g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で48.6μm)を得た。
【0073】
試験例1
製造例1〜23及び比較例1〜8のフィルムコーティング錠の表面の艶を目視により試験し、以下の6段階で評価した。その結果(3名による評価)を表1〜3に示す。
表1〜3から明らかなように、製造例1〜23のフィルムコーティング錠は比較例1〜8のものに比べて優れた艶を有する。
【0074】
(表面の艶の評価基準)
艶なし:−
僅かに艶がある:±
艶がある:+
非常に艶がある:++
非常に強い艶がある:+++
最も強い艶がある:++++
【0075】
試験例2
製造例1〜23及び比較例1〜8のフィルムコーティング錠の服用時の甘味・ぬめり感を試験し、以下の4段階で評価した。その結果(3名による評価)を表1〜3に示す。
【0076】
(甘味・ぬめり感の評価基準)
不快なぬめりを感じる:−
不快なぬめりを感じない:±
甘味を感じ、且つ不快なぬめりを感じない:+
強い甘味を感じ、且つ不快なぬめりを感じない:++
【0077】
試験例3
製造例1〜23及び比較例1〜8のフィルムコーティング錠の表面の滑らかさを目視により試験し、以下の2段階で評価した。その結果(3名による評価)を表1〜3に示す。
【0078】
(表面の滑らかさの評価基準)
表面が滑らかでない:−
表面が滑らかである:+
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
製造例24
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC−L、日本曹達製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))95g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で45.4μm)を得た。得られたフィルムコーティング錠の表面には艶があった。
【0083】
製造例25
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、メチルセルロース(METOLOSE SM−4、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))95g、D−マンニトール(PEARLITOL、ロケット社製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で44.7μm)を得た。得られたフィルムコーティング錠の表面には艶があった。
【0084】
製造例26
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R、信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))95g、エリスリトール(三菱化学フーズ製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で46.6μm)を得た。得られたフィルムコーティング錠の表面には艶があった。
【0085】
製造例27
製造例1と同様にして打錠用混合末を製し、打錠して素錠を得た。
次に、ヒプロメロース2910(TC−5R:信越化学工業製)5g、タルク(松村産業株式会社製(平均粒径:7μm、粒度45μmのもののふるい残分:0.1%以下、白色度:97.0%))95g、イソマルト(galenIQ−801:樋口商会製)30g、マクロゴール6000(日本油脂製)5g、及び酸化チタン(石原産業製)15gを精製水850gに溶解・懸濁し、フィルムコーティング液を得た。
次いで、素錠3000gをコーティング機(ハイコーターHCT−48、フロイント産業)に入れ、素錠1錠当りの質量増が10mgとなるようにコーティングを行ない、1錠当りの質量230mgのフィルムコーティング錠(皮膜厚さ:画像解析法によるn=10の平均値で45.9μm)を得た。得られたフィルムコーティング錠の表面には艶があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性多糖類及び(B)タルクを含有し、成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕が、1:4〜1:30であるフィルムコーティング用組成物。
【請求項2】
成分(A)が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、アラビアゴム、デキストリン及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)が、ヒプロメロースである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
成分(A)の含有量が、組成物中の固形分全量に対して0.1〜20質量%である請求項3記載の組成物。
【請求項5】
成分(A)のメトキシ基の置換度が16.5〜30であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が4〜32である請求項3又は4記載の組成物。
【請求項6】
さらに、(C)糖アルコールを含有し、成分(A)と成分(C)との質量比〔(A):(C)〕が、1:0.5〜1:50である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
成分(C)の臨界相対湿度が、80〜100%である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
成分(C)が、エリスリトール、水素添加デンプン加水分解物(Hydrogenated Starch Hydrolysate)、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールから選ばれる1種又は2種以上である請求項6又は7記載の組成物。
【請求項9】
さらに、(D)ポリエチレングリコールを含有し、成分(A)と(D)との質量比〔(A):(D)〕が1:0.01〜1:8である請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
成分(D)の平均分子量が、190〜42,000である請求項9記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物でコーティングされたフィルムコーティング製剤。
【請求項12】
コーティングフィルムの厚さが、20〜200μmである請求項11記載の製剤。

【公開番号】特開2012−211101(P2012−211101A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77387(P2011−77387)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000102496)エスエス製薬株式会社 (50)
【Fターム(参考)】