フィルムロール
【課題】 フィルムを傷つけることなく、フィルムの終端の仮固定と引き剥がし易さとを両立させることが可能なフィルムロールを提供する。
【解決手段】 フィルムロール9は、紙管9aに長尺のフィルムFを巻回して構成され、製袋包装機3に対して自動的に装填されるフィルムロールにおいて、フィルムFの終端F1から内側に10数ミリの位置であって、終端F1の部分の裏面側と上記終端F1部分が上に重なるフィルムFの部分の表面側との間に、フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bを設けている。粘着性部材9bは、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて、厚みが大きくなるように形成されている。
【解決手段】 フィルムロール9は、紙管9aに長尺のフィルムFを巻回して構成され、製袋包装機3に対して自動的に装填されるフィルムロールにおいて、フィルムFの終端F1から内側に10数ミリの位置であって、終端F1の部分の裏面側と上記終端F1部分が上に重なるフィルムFの部分の表面側との間に、フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bを設けている。粘着性部材9bは、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて、厚みが大きくなるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の包装に使用されるプラスチックフィルム等の包装材が巻回されたロール体として包装機に装填されるフィルムロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製の長尺のフィルムを巻き付けたフィルムロールからフィルムを引き出して食品等の商品の包装を行う包装機が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィルムロールの最も外側にくるフィルムFの終端(図11(a)のF101参照)を非固定の自由端としたフィルムロールを装填して包装を行う包装機が開示されている(特許文献1の図3参照)。ここでは、装填したフィルムロールから垂れ下がるフィルムの自由端を、ガイド板によって所定の位置へ誘導する機構について記載されている。しかし、このようにフィルムの終端を自由端とすると、フィルムロールを自動的に包装機に装填する際にトラブル発生の要因となる。
【0004】
これに対して、フィルムロールのフィルムの終端をロール側に仮固定する方法として、粘着テープ等を用いて終端をロール側へ固定する方法が採用されている(図11(b)の109b参照)。しかし、粘着テープ等を用いて終端を仮固定した場合には、使用時まで(自動装填時等)は自由端にならない点では問題ない一方、フィルムロールから終端を引き出して使用する際に粘着テープを剥がす作業を包装機によって機械的に行うことが非常に困難であった。このため、人の手によって粘着テープを剥がす必要があり、フィルムロールの自動装填、フィルムの自動継ぎ等のような包装機の完全自動化を図る上での障害となるおそれがある。
【0005】
特許文献2には、このようなフィルムの終端の仮固定と使用時における剥がし易さとを考慮したフィルムロールが開示されている(特許文献2の第2図、第3図参照)。このフィルムロールは、フィルムの終端から所定の距離をあけた位置に開口穴を形成し、その開口穴を覆うようにテープ等を貼り付けている。これにより、フィルムの終端は仮固定されていない状態であるため、フィルムの終端が粘着テープ等で固定されているフィルムロールと比較してフィルムの終端をフィルムロールから引き剥がし易くすることができる。
【特許文献1】特公平8−9441号公報(平成8年1月31日公告)
【特許文献2】特公昭58−43295号公報(昭和58年9月26日公告)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のフィルムロールでは、以下に示すような問題点を有している。
【0007】
すなわち、上述した特許文献2に開示されたフィルムロールでは、フィルムの終端を固定するために終端の近傍に開口穴を形成する必要があり、フィルムの一部に開口穴を加工する際にフィルムを傷つけてしまうおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、フィルムを傷つけることなく、フィルムの終端の仮固定と引き剥がし易さとを両立させることが可能なフィルムロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係るフィルムロールは、商品を包装するための包装材として包装機に装填されるフィルムロールであって、商品を包装する長尺のフィルムと、長尺のフィルムを巻きつける芯材と、粘着性部材とを備えている。粘着性部材は、フィルムの終端部分と終端部分が上に重なるフィルムの部分との間に設けられて終端を仮固定するとともに、終端側に近づくにつれて厚みが大きくなる。
【0010】
ここでは、包装機に装填される長尺フィルムを巻きつけて構成されるフィルムロールにおいて、包装機によってフィルムロールから最初に引き出されるフィルムロールの最も外側のフィルムの端部であるフィルムの終端を、終端部分が上に重なるフィルムの部分と終端部分との間に粘着性部材を配置して仮固定している。さらに、本発明のフィルムロールでは、この粘着性部材がフィルムの終端側に近づくにつれて厚みが大きくなるように形成されている。
【0011】
これにより、フィルムの終端は、終端側に近づくにつれて厚みのある粘着性部材によって、ロール体から数mm程度浮き上がった状態となる。よって、フィルムロールを交換する際には、包装機がロール体から浮き上がっているフィルムの終端を自動的にロール体から引き剥がしてオートスプライサ等のフィルム継ぎ装置まで搬送することができる。この結果、従来のフィルムロールと比較して、フィルムロールに加工を施すこともなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易いフィルムロールを提供することができる。このため、本発明をフィルムの継ぎはぎを自動的に行う包装機に対して採用することは運転効率を向上させる面で特に有効である。
【0012】
また、粘着性部材が終端側に近づくにつれて厚みが増すように形成されているため、フィルムロールの終端以外の部分がフィルムロールから浮き上がることを最小限にとどめることができる。このため、フィルムロールの搬送中等におけるフィルムのたるみや損傷といった問題の発生を回避することができる。
【0013】
なお、ここでいうフィルムの終端部分とは、フィルムの端に平行な数cm幅の帯状の部分を示すものであり、フィルムの終端とは芯材に巻かれた長尺のフィルムの最も外側のフィルムの端部を示すものである。
【0014】
第2の発明に係るフィルムロールは、第1の発明に係るフィルムロールであって、粘着性部材は、両面テープである。
【0015】
ここでは、フィルムの終端を仮固定する粘着性部材として、両面テープを用いている。
【0016】
これにより、簡易かつ安価な手段によってフィルムの終端の仮固定を行うことができる。なお、粘着性部材は、仮固定するための粘着力が通常の両面テープほど強くない、いわゆる弱粘性のものであることが好ましい。これにより、フィルムの終端の仮固定を確実に行うとともに、包装機にフィルムロールを装填した後には終端を容易に引き出すことができる。
【0017】
第3の発明に係るフィルムロールは、第1の発明に係るフィルムロールであって、粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している。
【0018】
ここでは、フィルムの終端を仮固定する粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している。
【0019】
これにより、フィルム終端の仮固定を適度な接着力により容易に行うことができるとともに、フィルムに対して粘着性を残さずにフィルムの終端を容易に引き出すことができる。
【0020】
第4の発明に係るフィルムロールは、第1から第3の発明のいずれか1つに係るフィルムロールであって、粘着性部材は、フィルムの終端に近づくにつれてフィルムとの接触面積が小さくなるように形成されている。
【0021】
ここでは、粘着性部材の形状が、フィルムの終端に近づくにつれてフィルムとの接触面積が狭くなるような形状になっている。
【0022】
これにより、フィルムの終端を引き出す際に終端側の粘着力が弱くなるために、より容易にフィルムの終端を引き出すことができる。
【0023】
第5の発明に係るフィルムロールは、第1から第4の発明のいずれか1つに係るフィルムロールであって、粘着性部材は、フィルムの終端部分側に接触する面と終端部分が上に重なるフィルムの一部に接触する面のいずれか一方の面は、他方の面よりも粘着力が小さい。
【0024】
ここでは、粘着性部材のフィルムとの接触面において、フィルムの終端部分側とフィルムロール側(終端部分が上に重なるフィルムの一部側)とで粘着力に差をつけている。
【0025】
このように、フィルムに接触する一方の面の粘着力を弱くすることで、フィルム終端の仮固定を解除して終端を引き出しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフィルムロールによれば、従来のフィルムロールと比較して、フィルムロールに加工を施すこともなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易いフィルムロールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係るフィルムロールを搭載した製袋包装機について、図1〜図8(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
【0028】
なお、以下の説明では、後段にて詳述するフィルムロール9に関し、紙管(芯材)9aに最初に巻回されるフィルムFの端部を始端F0、長尺のフィルムFを紙管9aに全て巻回してフィルムロール9の最も外側にくるフィルムFの端部を終端F1と示すものとする。
【0029】
[製袋包装機3の構成]
本発明の一実施形態に係る縦型の製袋包装機3は、図1に示すように、被包装物となるポテトチップス等の食品をフィルムで覆い、筒状となったフィルムを縦および横にシールして袋を製造する機械である。
【0030】
被包装物は、製袋包装機3の上方に設けられた計量機2から、原則として所定量ずつ落下してくる。計量機2は、フィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25、集合排出シュート26などから構成される組み合わせ計量装置である。
【0031】
製袋包装機3は、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装ユニット5(図3参照)と、この製袋包装ユニット5に袋となるフィルムFを供給するフィルム供給ユニット6と、両ユニット5,6の駆動部分の動きを制御する制御装置90(図2参照)とから構成されている。
【0032】
[フィルム供給ユニット6]
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形機構13(図3参照)に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。このフィルム供給ユニット6では、フィルムFが巻かれたフィルムロール9が図示しない搬送装置によってストック場所から搬送された後、自動的に装填され、フィルムロール9からフィルムFが繰り出される。
【0033】
フィルムロール9から繰り出されるフィルムFは、フィルムロール9を回転させる送出モータ6a(図2参照)の作動により送り出され、後述する搬送ベルト対6cおよび製袋包装ユニット5のプルダウンベルト機構14の作動により製袋包装ユニット5側に引っ張られて搬送される。
【0034】
また、フィルム供給ユニット6は、図6および図7に示すように、自動的に装填されたフィルムロール9からその先端であるフィルムFの終端F1を自動的にフィルムロール9から引き出すための爪部材6bと、爪部材6bによってフィルムロール9から引き出されたフィルムFの終端F1をオートスプライサ6dまで搬送する搬送ベルト対6cと、直前に装填されていたフィルムFの始端F0と交換したフィルムロール9の終端F1とを継ぎ合わせるオートスプライサ(フィルム継ぎ装置)6dと、を備えている。
【0035】
爪部材6bは、図7に示すように、その先端部分がフィルムロール9のフィルム面から近接する位置に移動可能な状態で配置されており、フィルムロール9を新たに装填するとフィルムロール9のフィルム面に近接する位置まで先端部分を移動させる。この状態で、送出モータ6aによってフィルムロール9を回転させることで、後述する粘着性部材9bによってフィルムロール9のフィルム面から0.5〜1.0mm程度浮き上がったフィルムFの終端F1をフィルムロール9から自動的に引き出すことができる。
【0036】
搬送ベルト対6cは、駆動ローラと従動ローラと無端状ベルトからなる搬送ベルトを2個組み合わせてフィルムFを間に挟みこんで搬送するものであり、爪部材6bによってフィルムロール9から引き出されたフィルムの終端F1を挟み込んで、オートスプライサ6dまで搬送する(図6に示す一点鎖線矢印の方向)。
【0037】
オートスプライサ6dは、フィルムロール9から全てのフィルムFが送出されると、フィルムFの最後の端部(始端F0)を図6に示す実線矢印方向へ吸引して密着させる。そして、新たに装填したフィルムロール9から引き出されたフィルムFを、同じく図6に示す実線矢印方向に吸引して密着させた状態とする。そして、前にセットされていたフィルムロール9のフィルムFの始端F0と、新たに装填したフィルムロール9のフィルムFの終端F1とを自動的に継ぎ合わせる。このように、直前に装填されていたフィルムロール9の最後の端部(始端F0)と、今回新たに装填したフィルムロール9の終端F1とを継ぎ合わせることで、フィルムロール9を交換した場合でも、継続して製袋包装機3へフィルムFを供給することが可能になる。
【0038】
なお、フィルムロール9の構成については、後段にて詳述する。
【0039】
[製袋包装ユニット5]
製袋包装ユニット5は、図3に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構14と、筒状フィルムFmの重なり部分を縦にシールする縦シール機構15と、筒状フィルムFmを横にシールすることで袋Bの上下の端部を封止する横シール機構17とを有している。
【0040】
<成形機構13>
成形機構13は、チューブ13bと、フォーマー13aとを有している。チューブ13bは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、計量機2で計量された被包装物Cが投入される。フォーマー13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。このフォーマー13aの形状は、フィルムロール9から繰り出されてきたシート状のフィルムFがフォーマー13aとチューブ13bとの間を通るときに筒状に成形されるような形状となっている(図3参照)。また、成形機構13のチューブ13bやフォーマー13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0041】
<プルダウンベルト機構14>
プルダウンベルト機構14は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmを吸着して下方に搬送する機構であり、図3に示すように、チューブ13bを挟んで左右両側にそれぞれベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回して筒状フィルムFmを下方に運ぶ。なお、図3においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
【0042】
<縦シール機構15>
縦シール機構15は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、チューブ13bの正面側に位置しており、ヒーターや、そのヒーターにより加熱され筒状フィルムFmの重なり部分に接触するヒータベルトを有している。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
【0043】
<横シール機構17>
横シール機構17は、成形機構13、プルダウンベルト機構14および縦シール機構15の下方に配置されている。横シール機構17は、ヒーターを内蔵する一対のシールジョー51を含む機構である(図3参照)。
【0044】
図3では図示を省略しているが、横シール機構17は、図4および図5に示すように、一対のシールジョー51同士を接近・離反させるシールジョー移動機構160と、そのシールジョー移動機構160やシールジョー51を搭載する揺動キャリッジ110と、回動軸O−Oを中心に揺動キャリッジ110を回動(揺動)させる揺動機構170とをさらに備えている。
【0045】
一対のシールジョー51は、前側シールジョー51aおよび後側シールジョー51bであり、それぞれが筒状フィルムFmの前側および後側に位置するように、揺動キャリッジ110の前端部110aにおいて支持されている。一対のシールジョー51は、後述するように、互いに押しつけ合う状態で筒状フィルムFmを挟持し、袋の上下の端部となる筒状フィルムFmの一部分に圧力および熱を加えてシールを施す。
【0046】
また、シールジョー51の片方の内部には、図示しないカッターが内蔵されている。このカッターは、シールジョー51による横シール部分の高さ方向の中心位置において、袋Bと後続の筒状フィルムFmとを切り離す役割を果たす。
【0047】
揺動キャリッジ110は、回動軸O−Oを中心に回動するように、軸受158,159によって軸支持されている(図5参照)。具体的には、揺動キャリッジ110から左右に延びる左側揺動軸部材158a,右側揺動軸部材159aが、軸受158,159に軸支持されている。揺動キャリッジ110は、回動軸O−Oから前後それぞれに略水平に延びており、前端部110aにシールジョー51が配置され、後端部110bに揺動機構170のロッド175からの力の入力を受ける入力部115が配置されている。
【0048】
揺動キャリッジ110は、主として、左右フレーム111,112と、それらを中央および後部において結ぶ連結部材113,114とから構成されている。入力部115は、連結部材114の左右中央部に固定されている(図4参照)。また、左側揺動軸部材158a,右側揺動軸部材159aは、左右フレーム111,112の前後方向の中央部の外面に固定されている。
【0049】
シールジョー移動機構160は、一対のシールジョー51が筒状フィルムFmに当接および離反するように移動させる機構であり、揺動キャリッジ110に組み込まれている。シールジョー移動機構160は、主として、駆動ユニット161と、駆動ユニット161からの回転出力を前側シールジョー51aおよび後側シールジョー51bの前後往復運動に変換するリンク機構とから構成されている。このリンク機構は、主として、回動板162と、前連結部材163と、後連結部材164と、後側シールジョー固定部材165と、左右連結バー166と、左右連結バー166の左右両端から前側に延びる前後バー168と、前後バー168の先端同士を結ぶ前側シールジョー固定部材169とから構成されている。
【0050】
駆動ユニット161は、ジョー押圧用モータ161aと、減速機161bとから構成されており、回転軸が鉛直になるように上下に長く配置されている。そして、駆動ユニット161は、ジョー押圧用モータ161aの上側に配置される減速機161bの上部取り付け板が、揺動キャリッジ110の連結部材113の中央部分にボルトで締結固定されている。すなわち、駆動ユニット161は、揺動キャリッジ110の概ね中央部分から吊り下げられるように固定されている。また、図5から明らかなように、駆動ユニット161のジョー押圧用モータ161aおよび減速機161bは、回動軸O−Oの真下に位置している。すなわち、駆動ユニット161のジョー押圧用モータ161aおよび減速機161bは、平面視において回動軸O−Oと重なっている。
【0051】
回動板162は、駆動ユニット161の減速機161bの上部に突出する出力回転軸に固定されている。前連結部材163は、回動板162の一端にピン部材163aにより軸支時されており、後連結部材164は、回動板162の他端にピン部材164aにより軸支時されている。後側シールジョー固定部材165は、その左右方向の中央部が、前連結部材163の前端にピン部材163bにより軸支時されており、その左右方向の両端部が、前後バー168に対して前後スライド移動が可能なスライド部材167に固定されている。そして、後側シールジョー固定部材165には、後側シールジョー51bが固定される。左右連結バー166は、その左右方向の中央部が、後連結部材164の後端にピン部材164bにより軸支時されている。左右連結バー166の左右方向の両端部から前方に向けては、それぞれ前後バー168が延びている。これらの前後バー168は、揺動キャリッジ110の左右フレーム111,112の中央部および前部に固定されている4つのスライド支持部材168aによって、揺動キャリッジ110に対して前後スライド自在に支持されている。そして、前側シールジョー固定部材169は、左右の両前後バー168の先端同士を結ぶように左右に延びており、前側シールジョー51aを固定している。
【0052】
揺動機構170は、揺動キャリッジ110に上下往復の力を加えて、図4の矢印A3に示すように、回動軸O−Oを中心に揺動キャリッジ110を回動(揺動)させる。この揺動機構170は、主として、揺動駆動ユニット172と、揺動駆動ユニット172の回転出力を上下往復運動に変換するクランク機構とから構成されている。クランク機構は、主として、偏芯支持板173と、ロッド175とから構成される。
【0053】
揺動駆動ユニット172は、揺動用モータ172aと、減速機172bとから構成されている。揺動駆動ユニット172の回転軸が左右に延びるように、揺動駆動ユニット172は固定部材154に吊り下げられるように固定されている。固定部材154の左右両端は梁部材151,152に固定されており、梁部材151,152は、さらに別の梁部材153,155などを介して製袋包装機3の固定フレームと一体化されている。
【0054】
揺動駆動ユニット172の減速機172bの出力回転軸には、図4に示す偏芯支持板173が固定されている。偏芯支持板173は、片面の中央部分が減速機172bの出力回転軸に固定されている一方、反対側の面では回転中心となる中央部分から偏芯した位置においてピン部材174を介してロッド175の上端を軸支持している。したがって、偏芯支持板173が回転すると、ロッド175の上端は、水平な揺動駆動ユニット172の回転中心の周りを旋回する動きを行うことになる。一方、ロッド175の下端は、ピン部材176を介して揺動キャリッジ110の入力部115にピン支持されている。この入力部115は、揺動キャリッジ110の回動軸O−Oに対して旋回自在である。したがって、揺動用モータ172aが作動し、偏芯支持板173が回転すると、ロッド175が入力部115を上下方向に移動させ、揺動キャリッジ110が回動軸O−Oを中心に回動する。
【0055】
なお、ロッド175は手動で伸び縮みするロッドとなっており、ロッド175の長さを調整することで揺動キャリッジ110の回動角度を変えることができる。このようにして揺動キャリッジ110の回動角度を変えれば、最終的には揺動キャリッジ110の前端部110aに配置されているシールジョー51の上下方向の移動量を変えることができる。
【0056】
[制御装置90]
制御装置90は、計量機2の制御および製袋包装機3の制御を行うものであって、CPU、ROM、RAMなどから構成されている。制御装置90は、図1および図2に示す操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8から入力された操作や設定に従って、フィルム供給ユニット6においてフィルムロール9を回転させてフィルムFを繰り出させる送出モータ6aや、製袋包装ユニット5の各機構の駆動部分などを制御する。また、制御装置90は、計量機2のフィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25などの駆動を制御する。さらに、制御装置90は、計量機2および製袋包装機3にある各種センサから必要な情報を取り込み、その情報を各種制御において利用する。
【0057】
また、制御装置90は、連続的に計量および製袋包装を行う連続運転制御に加え、間欠的に計量および製袋包装を行う間欠運転制御を行うことができる。間欠運転制御では、製袋包装機3において、フィルム供給ユニット6から間欠的にフィルムFが製袋包装ユニット5へと供給され、製袋包装ユニット5において袋が間欠的に製造される。
【0058】
そして、制御装置90は、揺動機構170の揺動用モータ172aの制御において、原則として、揺動用モータ172aを正転させる第1制御モードと揺動用モータ172aを逆転させる第2制御モードとを繰り返す。しかし、第1制御モードあるいは第2制御モードだけにより適切な揺動制御が可能な場合には、揺動用モータ172aを同じ方向に回転させ続ける揺動制御が行われる。
【0059】
[フィルムロール9]
本実施形態では、製袋包装機3に搭載されるフィルムロールとして、図8(a)および図8(b)に示すようなフィルムロール9を用いている。
【0060】
すなわち、本実施形態のフィルムロール9は、紙管9aに巻回された長尺のフィルムFと、ミクロ吸盤を表裏面に有しておりフィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bと、によって構成されている。このように、フィルムFの終端F1をフィルムロール9に対して仮固定することで、フィルムロール9の搬送中等において、フィルムFの終端F1がフィルムロール9から離間してトラブル発生の原因となることを回避することができる。
【0061】
フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bは、図8(a)および図8(b)に示すように、フィルムFの終端F1から10数ミリ内側(フィルムFの搬送方向から見て上流側、フィルムFの始端F0側)の部分の裏面側(フィルムFとの接触側)と、終端F1の部分が上に重なるフィルムロール9の部分の表面側(終端F1部分との接触側)と、の間に配置されている。そして、粘着性部材9bは、図8(b)に示すように、フィルムロール9の内側から終端F1側に近づくにつれて厚みが大きくなるように形成されている。このため、本実施形態のフィルムロール9では、フィルムロール9からフィルムFの終端F1をその下のフィルム面から0.5〜1.0mm程度浮き上がらせることができる。また、粘着性部材9bは、均一の厚さではなく、終端F1側に近づくにつれて厚みが大きくなっているため、粘着性部材9bが接着されている位置よりも内側のフィルムFの部分がフィルムロール9から浮き上がってフィルムFが損傷したりトラブルが発生したりすることを回避できる。よって、フィルムロール9から終端F1だけを必要最小限だけフィルム面から浮き上がらせることで、フィルムロール9のフィルムFが損傷することなく、引き出し易いフィルムロール9を得ることができる。
【0062】
粘着性部材9bは、アクリルエマルジョン等の樹脂に無数の細かい気泡を含ませて形成される厚さ100〜500μmのミクロ吸盤シートを用いることができる。そして、このようなミクロ吸盤を有する粘着性部材9bは、通常の粘着テープ等の接着力よりも接着力が小さい、いわゆる弱粘性の接着力によってフィルムFの終端F1を仮固定する。これにより、通常時にはフィルムロール9からフィルムFの終端F1が剥がれないようにすることができるとともに、フィルムロール9を自動装填した後には爪部材6bによってフィルムロール9からフィルムFの終端F1を剥がし易い程度の接着力により、終端F1をフィルムロール9側で保持することができる。
【0063】
なお、このようなミクロ吸盤シートは、通常の両面テープ等の粘着材と比較して、何度も繰り返し適度な接着力でフィルムFの終端F1を仮固定できる点、粘着成分がフィルムFに残らない点で有利である。
【0064】
[本フィルムロール9の特徴]
(1)
本実施形態のフィルムロール9では、紙管9aに長尺のフィルムFを巻回して構成され、製袋包装機3に対して自動的に装填されるフィルムロールにおいて、フィルムFの終端F1から内側に10数ミリの位置であって、終端F1の部分の裏面側と上記終端F1部分が上に重なるフィルムFの部分の表面側との間に、フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bを設けている。そして、粘着性部材9bは、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて、厚みが大きくなるように形成されている。
【0065】
これにより、フィルムロール9のフィルムFの面から終端F1が0.5〜1.0mm程度浮かせることができる。よって、従来の粘着テープによってフィルムの終端を仮固定したフィルムロールと比較して、製袋包装機3において爪部材6b等を用いて自動的に終端F1をフィルムロール9から引き出し易くすることができる。また、フィルムロール9の終端F1部分の裏面側に粘着性部材9bが入り込んでいても、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて粘着性部材9bの厚みが大きくなるように形成されているため、フィルムFにおける終端F1以外の部分がフィルムFの面から浮き上がることを防止できる。よって、フィルムFにおける終端F1の浮き上がりを必要最小限として、フィルムFのたるみ等の発生を回避できる。さらに、フィルムFの終端に加工等を必要としないため、フィルムFを損傷することなく、フィルムロール9を自動装填してから運転の開始までが自動化された製袋包装機3に適したフィルムロールを提供することができる。
【0066】
(2)
本実施形態のフィルムロール9では、粘着性部材9bとして、アクリルエマルジョン系の樹脂に微細な気泡を内包させて形成されたミクロ吸盤シートを用いている。
【0067】
これにより、フィルムFの終端F1を繰り返し適度な接着力によりフィルムFの表面に仮固定することができる。さらに、吸盤の部分によって接着力を出すため、粘着性部材として両面テープ等を用いた場合と比較して、フィルムFの表面に粘着成分を残さないようにすることもできる。
【0068】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
(A)
上記実施形態では、フィルムロール9のフィルムFの終端F1の仮固定を、粘着性部材9bのミクロ吸盤によって行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、ミクロ吸盤の替わりに弱粘性の両面テープを用いることも可能である。これにより、ミクロ吸盤と比較して比較的安価な粘着性部材を用いてフィルムロール9の終端の仮固定を行うことができる。なお、粘着性部材として両面テープを用いる場合には、テープの接着力は通常の接着力よりも小さい、いわゆる弱粘性の両面テープであることが望ましい。これにより、フィルムロール9からフィルムFの終端F1を引き出し易くすることができる。
【0071】
ただし、上記実施形態1のように、ミクロ吸盤を用いてフィルムロール9の終端F1の仮固定を行うことは、繰り返し適度な接着力での仮固定を行うことができる面、フィルムFの表面に粘着成分が残らないという面等で特に好ましい。
【0072】
(B)
上記実施形態では、粘着性部材9bが平面視において長方形である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、図9に示すように、平面視において三角形の粘着性部材9dを採用してもよい。図9に示す粘着性部材9dは、フィルムFの終端F1側に三角形の頂点が向くように形成されている。このように、フィルムFの終端F1側に向かって接着面積が小さくなるように粘着性部材9dを配置することで、終端F1側の接着力が下流側の接着力よりも弱くなるため、フィルムロール9から終端F1を引き出すことがより容易になる。
【0074】
(C)
上記実施形態では、粘着性部材9bとして用いたミクロ吸盤シートの表裏面における接着強度については特に説明していないが、終端F1の部分に接着する側とフィルムF側に接触する側とで接着強度に差をつけるようにしてもよい。
【0075】
この場合には、片方の接着面が他方の接着面よりも接着強度が小さいために、爪部材6bによって容易に終端F1をフィルムロール9から引き出し易くすることができる。
【0076】
(D)
上記実施形態では、フィルムFの終端F1が直線状であるフィルムロールを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
例えば、フィルムロールから引き出し易くするために、図10に示すように、フィルムの終端F1の形状を、両側を切り取って終端の中心部分だけを残すように加工したフィルムロールを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のフィルムロールは、フィルムロールに加工を施すことなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易くすることができるという効果を奏することから、特に、フィルムロールの装填からセッティングまでを自動化した包装機に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機および計量機の概略斜視図。
【図2】製袋包装機の制御ブロック図。
【図3】製袋包装機の製袋包装ユニットの概略を示す斜視構成図。
【図4】横シール機構の一部透視側面図。
【図5】横シール機構の平面図。
【図6】図1の製袋包装機が備えているフィルム供給ユニットの内部の構成を示す側断面図。
【図7】図6のA部分の拡大図。
【図8】(a)は本実施形態の製袋包装機に搭載されるフィルムロールの構成を示す斜視図。
【0080】
(b)は図8(a)示すフィルムロールの側断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るフィルムロールの他の例を示す斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るフィルムロールのさらに他の例を示す斜視図。
【図11】(a),(b)は従来のフィルムロールを示す斜視図。
【符号の説明】
【0081】
3 製袋包装機(包装機)
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
6a 送出モータ
6b 爪部材
6c オートスプライサ
6d 搬送ベルト対
9 フィルムロール
9a 紙管(芯材)
9b 粘着性部材
9d 粘着性部材
13 成形機構
15 縦シール機構
17 横シール機構
90 制御装置
F フィルム
F1 始端
F2 終端
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の包装に使用されるプラスチックフィルム等の包装材が巻回されたロール体として包装機に装填されるフィルムロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂製の長尺のフィルムを巻き付けたフィルムロールからフィルムを引き出して食品等の商品の包装を行う包装機が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィルムロールの最も外側にくるフィルムFの終端(図11(a)のF101参照)を非固定の自由端としたフィルムロールを装填して包装を行う包装機が開示されている(特許文献1の図3参照)。ここでは、装填したフィルムロールから垂れ下がるフィルムの自由端を、ガイド板によって所定の位置へ誘導する機構について記載されている。しかし、このようにフィルムの終端を自由端とすると、フィルムロールを自動的に包装機に装填する際にトラブル発生の要因となる。
【0004】
これに対して、フィルムロールのフィルムの終端をロール側に仮固定する方法として、粘着テープ等を用いて終端をロール側へ固定する方法が採用されている(図11(b)の109b参照)。しかし、粘着テープ等を用いて終端を仮固定した場合には、使用時まで(自動装填時等)は自由端にならない点では問題ない一方、フィルムロールから終端を引き出して使用する際に粘着テープを剥がす作業を包装機によって機械的に行うことが非常に困難であった。このため、人の手によって粘着テープを剥がす必要があり、フィルムロールの自動装填、フィルムの自動継ぎ等のような包装機の完全自動化を図る上での障害となるおそれがある。
【0005】
特許文献2には、このようなフィルムの終端の仮固定と使用時における剥がし易さとを考慮したフィルムロールが開示されている(特許文献2の第2図、第3図参照)。このフィルムロールは、フィルムの終端から所定の距離をあけた位置に開口穴を形成し、その開口穴を覆うようにテープ等を貼り付けている。これにより、フィルムの終端は仮固定されていない状態であるため、フィルムの終端が粘着テープ等で固定されているフィルムロールと比較してフィルムの終端をフィルムロールから引き剥がし易くすることができる。
【特許文献1】特公平8−9441号公報(平成8年1月31日公告)
【特許文献2】特公昭58−43295号公報(昭和58年9月26日公告)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のフィルムロールでは、以下に示すような問題点を有している。
【0007】
すなわち、上述した特許文献2に開示されたフィルムロールでは、フィルムの終端を固定するために終端の近傍に開口穴を形成する必要があり、フィルムの一部に開口穴を加工する際にフィルムを傷つけてしまうおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、フィルムを傷つけることなく、フィルムの終端の仮固定と引き剥がし易さとを両立させることが可能なフィルムロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係るフィルムロールは、商品を包装するための包装材として包装機に装填されるフィルムロールであって、商品を包装する長尺のフィルムと、長尺のフィルムを巻きつける芯材と、粘着性部材とを備えている。粘着性部材は、フィルムの終端部分と終端部分が上に重なるフィルムの部分との間に設けられて終端を仮固定するとともに、終端側に近づくにつれて厚みが大きくなる。
【0010】
ここでは、包装機に装填される長尺フィルムを巻きつけて構成されるフィルムロールにおいて、包装機によってフィルムロールから最初に引き出されるフィルムロールの最も外側のフィルムの端部であるフィルムの終端を、終端部分が上に重なるフィルムの部分と終端部分との間に粘着性部材を配置して仮固定している。さらに、本発明のフィルムロールでは、この粘着性部材がフィルムの終端側に近づくにつれて厚みが大きくなるように形成されている。
【0011】
これにより、フィルムの終端は、終端側に近づくにつれて厚みのある粘着性部材によって、ロール体から数mm程度浮き上がった状態となる。よって、フィルムロールを交換する際には、包装機がロール体から浮き上がっているフィルムの終端を自動的にロール体から引き剥がしてオートスプライサ等のフィルム継ぎ装置まで搬送することができる。この結果、従来のフィルムロールと比較して、フィルムロールに加工を施すこともなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易いフィルムロールを提供することができる。このため、本発明をフィルムの継ぎはぎを自動的に行う包装機に対して採用することは運転効率を向上させる面で特に有効である。
【0012】
また、粘着性部材が終端側に近づくにつれて厚みが増すように形成されているため、フィルムロールの終端以外の部分がフィルムロールから浮き上がることを最小限にとどめることができる。このため、フィルムロールの搬送中等におけるフィルムのたるみや損傷といった問題の発生を回避することができる。
【0013】
なお、ここでいうフィルムの終端部分とは、フィルムの端に平行な数cm幅の帯状の部分を示すものであり、フィルムの終端とは芯材に巻かれた長尺のフィルムの最も外側のフィルムの端部を示すものである。
【0014】
第2の発明に係るフィルムロールは、第1の発明に係るフィルムロールであって、粘着性部材は、両面テープである。
【0015】
ここでは、フィルムの終端を仮固定する粘着性部材として、両面テープを用いている。
【0016】
これにより、簡易かつ安価な手段によってフィルムの終端の仮固定を行うことができる。なお、粘着性部材は、仮固定するための粘着力が通常の両面テープほど強くない、いわゆる弱粘性のものであることが好ましい。これにより、フィルムの終端の仮固定を確実に行うとともに、包装機にフィルムロールを装填した後には終端を容易に引き出すことができる。
【0017】
第3の発明に係るフィルムロールは、第1の発明に係るフィルムロールであって、粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している。
【0018】
ここでは、フィルムの終端を仮固定する粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している。
【0019】
これにより、フィルム終端の仮固定を適度な接着力により容易に行うことができるとともに、フィルムに対して粘着性を残さずにフィルムの終端を容易に引き出すことができる。
【0020】
第4の発明に係るフィルムロールは、第1から第3の発明のいずれか1つに係るフィルムロールであって、粘着性部材は、フィルムの終端に近づくにつれてフィルムとの接触面積が小さくなるように形成されている。
【0021】
ここでは、粘着性部材の形状が、フィルムの終端に近づくにつれてフィルムとの接触面積が狭くなるような形状になっている。
【0022】
これにより、フィルムの終端を引き出す際に終端側の粘着力が弱くなるために、より容易にフィルムの終端を引き出すことができる。
【0023】
第5の発明に係るフィルムロールは、第1から第4の発明のいずれか1つに係るフィルムロールであって、粘着性部材は、フィルムの終端部分側に接触する面と終端部分が上に重なるフィルムの一部に接触する面のいずれか一方の面は、他方の面よりも粘着力が小さい。
【0024】
ここでは、粘着性部材のフィルムとの接触面において、フィルムの終端部分側とフィルムロール側(終端部分が上に重なるフィルムの一部側)とで粘着力に差をつけている。
【0025】
このように、フィルムに接触する一方の面の粘着力を弱くすることで、フィルム終端の仮固定を解除して終端を引き出しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のフィルムロールによれば、従来のフィルムロールと比較して、フィルムロールに加工を施すこともなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易いフィルムロールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係るフィルムロールを搭載した製袋包装機について、図1〜図8(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
【0028】
なお、以下の説明では、後段にて詳述するフィルムロール9に関し、紙管(芯材)9aに最初に巻回されるフィルムFの端部を始端F0、長尺のフィルムFを紙管9aに全て巻回してフィルムロール9の最も外側にくるフィルムFの端部を終端F1と示すものとする。
【0029】
[製袋包装機3の構成]
本発明の一実施形態に係る縦型の製袋包装機3は、図1に示すように、被包装物となるポテトチップス等の食品をフィルムで覆い、筒状となったフィルムを縦および横にシールして袋を製造する機械である。
【0030】
被包装物は、製袋包装機3の上方に設けられた計量機2から、原則として所定量ずつ落下してくる。計量機2は、フィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25、集合排出シュート26などから構成される組み合わせ計量装置である。
【0031】
製袋包装機3は、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装ユニット5(図3参照)と、この製袋包装ユニット5に袋となるフィルムFを供給するフィルム供給ユニット6と、両ユニット5,6の駆動部分の動きを制御する制御装置90(図2参照)とから構成されている。
【0032】
[フィルム供給ユニット6]
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形機構13(図3参照)に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。このフィルム供給ユニット6では、フィルムFが巻かれたフィルムロール9が図示しない搬送装置によってストック場所から搬送された後、自動的に装填され、フィルムロール9からフィルムFが繰り出される。
【0033】
フィルムロール9から繰り出されるフィルムFは、フィルムロール9を回転させる送出モータ6a(図2参照)の作動により送り出され、後述する搬送ベルト対6cおよび製袋包装ユニット5のプルダウンベルト機構14の作動により製袋包装ユニット5側に引っ張られて搬送される。
【0034】
また、フィルム供給ユニット6は、図6および図7に示すように、自動的に装填されたフィルムロール9からその先端であるフィルムFの終端F1を自動的にフィルムロール9から引き出すための爪部材6bと、爪部材6bによってフィルムロール9から引き出されたフィルムFの終端F1をオートスプライサ6dまで搬送する搬送ベルト対6cと、直前に装填されていたフィルムFの始端F0と交換したフィルムロール9の終端F1とを継ぎ合わせるオートスプライサ(フィルム継ぎ装置)6dと、を備えている。
【0035】
爪部材6bは、図7に示すように、その先端部分がフィルムロール9のフィルム面から近接する位置に移動可能な状態で配置されており、フィルムロール9を新たに装填するとフィルムロール9のフィルム面に近接する位置まで先端部分を移動させる。この状態で、送出モータ6aによってフィルムロール9を回転させることで、後述する粘着性部材9bによってフィルムロール9のフィルム面から0.5〜1.0mm程度浮き上がったフィルムFの終端F1をフィルムロール9から自動的に引き出すことができる。
【0036】
搬送ベルト対6cは、駆動ローラと従動ローラと無端状ベルトからなる搬送ベルトを2個組み合わせてフィルムFを間に挟みこんで搬送するものであり、爪部材6bによってフィルムロール9から引き出されたフィルムの終端F1を挟み込んで、オートスプライサ6dまで搬送する(図6に示す一点鎖線矢印の方向)。
【0037】
オートスプライサ6dは、フィルムロール9から全てのフィルムFが送出されると、フィルムFの最後の端部(始端F0)を図6に示す実線矢印方向へ吸引して密着させる。そして、新たに装填したフィルムロール9から引き出されたフィルムFを、同じく図6に示す実線矢印方向に吸引して密着させた状態とする。そして、前にセットされていたフィルムロール9のフィルムFの始端F0と、新たに装填したフィルムロール9のフィルムFの終端F1とを自動的に継ぎ合わせる。このように、直前に装填されていたフィルムロール9の最後の端部(始端F0)と、今回新たに装填したフィルムロール9の終端F1とを継ぎ合わせることで、フィルムロール9を交換した場合でも、継続して製袋包装機3へフィルムFを供給することが可能になる。
【0038】
なお、フィルムロール9の構成については、後段にて詳述する。
【0039】
[製袋包装ユニット5]
製袋包装ユニット5は、図3に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構14と、筒状フィルムFmの重なり部分を縦にシールする縦シール機構15と、筒状フィルムFmを横にシールすることで袋Bの上下の端部を封止する横シール機構17とを有している。
【0040】
<成形機構13>
成形機構13は、チューブ13bと、フォーマー13aとを有している。チューブ13bは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、計量機2で計量された被包装物Cが投入される。フォーマー13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。このフォーマー13aの形状は、フィルムロール9から繰り出されてきたシート状のフィルムFがフォーマー13aとチューブ13bとの間を通るときに筒状に成形されるような形状となっている(図3参照)。また、成形機構13のチューブ13bやフォーマー13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0041】
<プルダウンベルト機構14>
プルダウンベルト機構14は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmを吸着して下方に搬送する機構であり、図3に示すように、チューブ13bを挟んで左右両側にそれぞれベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回して筒状フィルムFmを下方に運ぶ。なお、図3においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
【0042】
<縦シール機構15>
縦シール機構15は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、チューブ13bの正面側に位置しており、ヒーターや、そのヒーターにより加熱され筒状フィルムFmの重なり部分に接触するヒータベルトを有している。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
【0043】
<横シール機構17>
横シール機構17は、成形機構13、プルダウンベルト機構14および縦シール機構15の下方に配置されている。横シール機構17は、ヒーターを内蔵する一対のシールジョー51を含む機構である(図3参照)。
【0044】
図3では図示を省略しているが、横シール機構17は、図4および図5に示すように、一対のシールジョー51同士を接近・離反させるシールジョー移動機構160と、そのシールジョー移動機構160やシールジョー51を搭載する揺動キャリッジ110と、回動軸O−Oを中心に揺動キャリッジ110を回動(揺動)させる揺動機構170とをさらに備えている。
【0045】
一対のシールジョー51は、前側シールジョー51aおよび後側シールジョー51bであり、それぞれが筒状フィルムFmの前側および後側に位置するように、揺動キャリッジ110の前端部110aにおいて支持されている。一対のシールジョー51は、後述するように、互いに押しつけ合う状態で筒状フィルムFmを挟持し、袋の上下の端部となる筒状フィルムFmの一部分に圧力および熱を加えてシールを施す。
【0046】
また、シールジョー51の片方の内部には、図示しないカッターが内蔵されている。このカッターは、シールジョー51による横シール部分の高さ方向の中心位置において、袋Bと後続の筒状フィルムFmとを切り離す役割を果たす。
【0047】
揺動キャリッジ110は、回動軸O−Oを中心に回動するように、軸受158,159によって軸支持されている(図5参照)。具体的には、揺動キャリッジ110から左右に延びる左側揺動軸部材158a,右側揺動軸部材159aが、軸受158,159に軸支持されている。揺動キャリッジ110は、回動軸O−Oから前後それぞれに略水平に延びており、前端部110aにシールジョー51が配置され、後端部110bに揺動機構170のロッド175からの力の入力を受ける入力部115が配置されている。
【0048】
揺動キャリッジ110は、主として、左右フレーム111,112と、それらを中央および後部において結ぶ連結部材113,114とから構成されている。入力部115は、連結部材114の左右中央部に固定されている(図4参照)。また、左側揺動軸部材158a,右側揺動軸部材159aは、左右フレーム111,112の前後方向の中央部の外面に固定されている。
【0049】
シールジョー移動機構160は、一対のシールジョー51が筒状フィルムFmに当接および離反するように移動させる機構であり、揺動キャリッジ110に組み込まれている。シールジョー移動機構160は、主として、駆動ユニット161と、駆動ユニット161からの回転出力を前側シールジョー51aおよび後側シールジョー51bの前後往復運動に変換するリンク機構とから構成されている。このリンク機構は、主として、回動板162と、前連結部材163と、後連結部材164と、後側シールジョー固定部材165と、左右連結バー166と、左右連結バー166の左右両端から前側に延びる前後バー168と、前後バー168の先端同士を結ぶ前側シールジョー固定部材169とから構成されている。
【0050】
駆動ユニット161は、ジョー押圧用モータ161aと、減速機161bとから構成されており、回転軸が鉛直になるように上下に長く配置されている。そして、駆動ユニット161は、ジョー押圧用モータ161aの上側に配置される減速機161bの上部取り付け板が、揺動キャリッジ110の連結部材113の中央部分にボルトで締結固定されている。すなわち、駆動ユニット161は、揺動キャリッジ110の概ね中央部分から吊り下げられるように固定されている。また、図5から明らかなように、駆動ユニット161のジョー押圧用モータ161aおよび減速機161bは、回動軸O−Oの真下に位置している。すなわち、駆動ユニット161のジョー押圧用モータ161aおよび減速機161bは、平面視において回動軸O−Oと重なっている。
【0051】
回動板162は、駆動ユニット161の減速機161bの上部に突出する出力回転軸に固定されている。前連結部材163は、回動板162の一端にピン部材163aにより軸支時されており、後連結部材164は、回動板162の他端にピン部材164aにより軸支時されている。後側シールジョー固定部材165は、その左右方向の中央部が、前連結部材163の前端にピン部材163bにより軸支時されており、その左右方向の両端部が、前後バー168に対して前後スライド移動が可能なスライド部材167に固定されている。そして、後側シールジョー固定部材165には、後側シールジョー51bが固定される。左右連結バー166は、その左右方向の中央部が、後連結部材164の後端にピン部材164bにより軸支時されている。左右連結バー166の左右方向の両端部から前方に向けては、それぞれ前後バー168が延びている。これらの前後バー168は、揺動キャリッジ110の左右フレーム111,112の中央部および前部に固定されている4つのスライド支持部材168aによって、揺動キャリッジ110に対して前後スライド自在に支持されている。そして、前側シールジョー固定部材169は、左右の両前後バー168の先端同士を結ぶように左右に延びており、前側シールジョー51aを固定している。
【0052】
揺動機構170は、揺動キャリッジ110に上下往復の力を加えて、図4の矢印A3に示すように、回動軸O−Oを中心に揺動キャリッジ110を回動(揺動)させる。この揺動機構170は、主として、揺動駆動ユニット172と、揺動駆動ユニット172の回転出力を上下往復運動に変換するクランク機構とから構成されている。クランク機構は、主として、偏芯支持板173と、ロッド175とから構成される。
【0053】
揺動駆動ユニット172は、揺動用モータ172aと、減速機172bとから構成されている。揺動駆動ユニット172の回転軸が左右に延びるように、揺動駆動ユニット172は固定部材154に吊り下げられるように固定されている。固定部材154の左右両端は梁部材151,152に固定されており、梁部材151,152は、さらに別の梁部材153,155などを介して製袋包装機3の固定フレームと一体化されている。
【0054】
揺動駆動ユニット172の減速機172bの出力回転軸には、図4に示す偏芯支持板173が固定されている。偏芯支持板173は、片面の中央部分が減速機172bの出力回転軸に固定されている一方、反対側の面では回転中心となる中央部分から偏芯した位置においてピン部材174を介してロッド175の上端を軸支持している。したがって、偏芯支持板173が回転すると、ロッド175の上端は、水平な揺動駆動ユニット172の回転中心の周りを旋回する動きを行うことになる。一方、ロッド175の下端は、ピン部材176を介して揺動キャリッジ110の入力部115にピン支持されている。この入力部115は、揺動キャリッジ110の回動軸O−Oに対して旋回自在である。したがって、揺動用モータ172aが作動し、偏芯支持板173が回転すると、ロッド175が入力部115を上下方向に移動させ、揺動キャリッジ110が回動軸O−Oを中心に回動する。
【0055】
なお、ロッド175は手動で伸び縮みするロッドとなっており、ロッド175の長さを調整することで揺動キャリッジ110の回動角度を変えることができる。このようにして揺動キャリッジ110の回動角度を変えれば、最終的には揺動キャリッジ110の前端部110aに配置されているシールジョー51の上下方向の移動量を変えることができる。
【0056】
[制御装置90]
制御装置90は、計量機2の制御および製袋包装機3の制御を行うものであって、CPU、ROM、RAMなどから構成されている。制御装置90は、図1および図2に示す操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8から入力された操作や設定に従って、フィルム供給ユニット6においてフィルムロール9を回転させてフィルムFを繰り出させる送出モータ6aや、製袋包装ユニット5の各機構の駆動部分などを制御する。また、制御装置90は、計量機2のフィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25などの駆動を制御する。さらに、制御装置90は、計量機2および製袋包装機3にある各種センサから必要な情報を取り込み、その情報を各種制御において利用する。
【0057】
また、制御装置90は、連続的に計量および製袋包装を行う連続運転制御に加え、間欠的に計量および製袋包装を行う間欠運転制御を行うことができる。間欠運転制御では、製袋包装機3において、フィルム供給ユニット6から間欠的にフィルムFが製袋包装ユニット5へと供給され、製袋包装ユニット5において袋が間欠的に製造される。
【0058】
そして、制御装置90は、揺動機構170の揺動用モータ172aの制御において、原則として、揺動用モータ172aを正転させる第1制御モードと揺動用モータ172aを逆転させる第2制御モードとを繰り返す。しかし、第1制御モードあるいは第2制御モードだけにより適切な揺動制御が可能な場合には、揺動用モータ172aを同じ方向に回転させ続ける揺動制御が行われる。
【0059】
[フィルムロール9]
本実施形態では、製袋包装機3に搭載されるフィルムロールとして、図8(a)および図8(b)に示すようなフィルムロール9を用いている。
【0060】
すなわち、本実施形態のフィルムロール9は、紙管9aに巻回された長尺のフィルムFと、ミクロ吸盤を表裏面に有しておりフィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bと、によって構成されている。このように、フィルムFの終端F1をフィルムロール9に対して仮固定することで、フィルムロール9の搬送中等において、フィルムFの終端F1がフィルムロール9から離間してトラブル発生の原因となることを回避することができる。
【0061】
フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bは、図8(a)および図8(b)に示すように、フィルムFの終端F1から10数ミリ内側(フィルムFの搬送方向から見て上流側、フィルムFの始端F0側)の部分の裏面側(フィルムFとの接触側)と、終端F1の部分が上に重なるフィルムロール9の部分の表面側(終端F1部分との接触側)と、の間に配置されている。そして、粘着性部材9bは、図8(b)に示すように、フィルムロール9の内側から終端F1側に近づくにつれて厚みが大きくなるように形成されている。このため、本実施形態のフィルムロール9では、フィルムロール9からフィルムFの終端F1をその下のフィルム面から0.5〜1.0mm程度浮き上がらせることができる。また、粘着性部材9bは、均一の厚さではなく、終端F1側に近づくにつれて厚みが大きくなっているため、粘着性部材9bが接着されている位置よりも内側のフィルムFの部分がフィルムロール9から浮き上がってフィルムFが損傷したりトラブルが発生したりすることを回避できる。よって、フィルムロール9から終端F1だけを必要最小限だけフィルム面から浮き上がらせることで、フィルムロール9のフィルムFが損傷することなく、引き出し易いフィルムロール9を得ることができる。
【0062】
粘着性部材9bは、アクリルエマルジョン等の樹脂に無数の細かい気泡を含ませて形成される厚さ100〜500μmのミクロ吸盤シートを用いることができる。そして、このようなミクロ吸盤を有する粘着性部材9bは、通常の粘着テープ等の接着力よりも接着力が小さい、いわゆる弱粘性の接着力によってフィルムFの終端F1を仮固定する。これにより、通常時にはフィルムロール9からフィルムFの終端F1が剥がれないようにすることができるとともに、フィルムロール9を自動装填した後には爪部材6bによってフィルムロール9からフィルムFの終端F1を剥がし易い程度の接着力により、終端F1をフィルムロール9側で保持することができる。
【0063】
なお、このようなミクロ吸盤シートは、通常の両面テープ等の粘着材と比較して、何度も繰り返し適度な接着力でフィルムFの終端F1を仮固定できる点、粘着成分がフィルムFに残らない点で有利である。
【0064】
[本フィルムロール9の特徴]
(1)
本実施形態のフィルムロール9では、紙管9aに長尺のフィルムFを巻回して構成され、製袋包装機3に対して自動的に装填されるフィルムロールにおいて、フィルムFの終端F1から内側に10数ミリの位置であって、終端F1の部分の裏面側と上記終端F1部分が上に重なるフィルムFの部分の表面側との間に、フィルムFの終端F1を仮固定する粘着性部材9bを設けている。そして、粘着性部材9bは、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて、厚みが大きくなるように形成されている。
【0065】
これにより、フィルムロール9のフィルムFの面から終端F1が0.5〜1.0mm程度浮かせることができる。よって、従来の粘着テープによってフィルムの終端を仮固定したフィルムロールと比較して、製袋包装機3において爪部材6b等を用いて自動的に終端F1をフィルムロール9から引き出し易くすることができる。また、フィルムロール9の終端F1部分の裏面側に粘着性部材9bが入り込んでいても、フィルムFの内側から終端F1に近づくにつれて粘着性部材9bの厚みが大きくなるように形成されているため、フィルムFにおける終端F1以外の部分がフィルムFの面から浮き上がることを防止できる。よって、フィルムFにおける終端F1の浮き上がりを必要最小限として、フィルムFのたるみ等の発生を回避できる。さらに、フィルムFの終端に加工等を必要としないため、フィルムFを損傷することなく、フィルムロール9を自動装填してから運転の開始までが自動化された製袋包装機3に適したフィルムロールを提供することができる。
【0066】
(2)
本実施形態のフィルムロール9では、粘着性部材9bとして、アクリルエマルジョン系の樹脂に微細な気泡を内包させて形成されたミクロ吸盤シートを用いている。
【0067】
これにより、フィルムFの終端F1を繰り返し適度な接着力によりフィルムFの表面に仮固定することができる。さらに、吸盤の部分によって接着力を出すため、粘着性部材として両面テープ等を用いた場合と比較して、フィルムFの表面に粘着成分を残さないようにすることもできる。
【0068】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
(A)
上記実施形態では、フィルムロール9のフィルムFの終端F1の仮固定を、粘着性部材9bのミクロ吸盤によって行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、ミクロ吸盤の替わりに弱粘性の両面テープを用いることも可能である。これにより、ミクロ吸盤と比較して比較的安価な粘着性部材を用いてフィルムロール9の終端の仮固定を行うことができる。なお、粘着性部材として両面テープを用いる場合には、テープの接着力は通常の接着力よりも小さい、いわゆる弱粘性の両面テープであることが望ましい。これにより、フィルムロール9からフィルムFの終端F1を引き出し易くすることができる。
【0071】
ただし、上記実施形態1のように、ミクロ吸盤を用いてフィルムロール9の終端F1の仮固定を行うことは、繰り返し適度な接着力での仮固定を行うことができる面、フィルムFの表面に粘着成分が残らないという面等で特に好ましい。
【0072】
(B)
上記実施形態では、粘着性部材9bが平面視において長方形である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、図9に示すように、平面視において三角形の粘着性部材9dを採用してもよい。図9に示す粘着性部材9dは、フィルムFの終端F1側に三角形の頂点が向くように形成されている。このように、フィルムFの終端F1側に向かって接着面積が小さくなるように粘着性部材9dを配置することで、終端F1側の接着力が下流側の接着力よりも弱くなるため、フィルムロール9から終端F1を引き出すことがより容易になる。
【0074】
(C)
上記実施形態では、粘着性部材9bとして用いたミクロ吸盤シートの表裏面における接着強度については特に説明していないが、終端F1の部分に接着する側とフィルムF側に接触する側とで接着強度に差をつけるようにしてもよい。
【0075】
この場合には、片方の接着面が他方の接着面よりも接着強度が小さいために、爪部材6bによって容易に終端F1をフィルムロール9から引き出し易くすることができる。
【0076】
(D)
上記実施形態では、フィルムFの終端F1が直線状であるフィルムロールを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
例えば、フィルムロールから引き出し易くするために、図10に示すように、フィルムの終端F1の形状を、両側を切り取って終端の中心部分だけを残すように加工したフィルムロールを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のフィルムロールは、フィルムロールに加工を施すことなく、フィルムの終端を包装機において機械的に引き剥がし易くすることができるという効果を奏することから、特に、フィルムロールの装填からセッティングまでを自動化した包装機に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機および計量機の概略斜視図。
【図2】製袋包装機の制御ブロック図。
【図3】製袋包装機の製袋包装ユニットの概略を示す斜視構成図。
【図4】横シール機構の一部透視側面図。
【図5】横シール機構の平面図。
【図6】図1の製袋包装機が備えているフィルム供給ユニットの内部の構成を示す側断面図。
【図7】図6のA部分の拡大図。
【図8】(a)は本実施形態の製袋包装機に搭載されるフィルムロールの構成を示す斜視図。
【0080】
(b)は図8(a)示すフィルムロールの側断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るフィルムロールの他の例を示す斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るフィルムロールのさらに他の例を示す斜視図。
【図11】(a),(b)は従来のフィルムロールを示す斜視図。
【符号の説明】
【0081】
3 製袋包装機(包装機)
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
6a 送出モータ
6b 爪部材
6c オートスプライサ
6d 搬送ベルト対
9 フィルムロール
9a 紙管(芯材)
9b 粘着性部材
9d 粘着性部材
13 成形機構
15 縦シール機構
17 横シール機構
90 制御装置
F フィルム
F1 始端
F2 終端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装するための包装材として包装機に装填されるフィルムロールであって、
前記商品を包装する長尺のフィルムと、
長尺の前記フィルムを巻きつける芯材と、
前記フィルムの終端部分と前記終端部分が上に重なる前記フィルムの部分との間に設けられて前記終端を仮固定するとともに、前記終端側に近づくにつれて厚みが大きくなる粘着性部材と、
を備えたフィルムロール。
【請求項2】
前記粘着性部材は、両面テープである、
請求項1に記載のフィルムロール。
【請求項3】
前記粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している、
請求項1に記載のフィルムロール。
【請求項4】
前記粘着性部材は、前記フィルムの終端に近づくにつれて前記フィルムとの接触面積が小さくなるように形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルムロール。
【請求項5】
前記粘着性部材は、前記フィルムの終端部分側に接触する面と前記終端部分が上に重なるフィルムの一部に接触する面のいずれか一方の面は、他方の面よりも粘着力が小さい、
請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルムロール。
【請求項1】
商品を包装するための包装材として包装機に装填されるフィルムロールであって、
前記商品を包装する長尺のフィルムと、
長尺の前記フィルムを巻きつける芯材と、
前記フィルムの終端部分と前記終端部分が上に重なる前記フィルムの部分との間に設けられて前記終端を仮固定するとともに、前記終端側に近づくにつれて厚みが大きくなる粘着性部材と、
を備えたフィルムロール。
【請求項2】
前記粘着性部材は、両面テープである、
請求項1に記載のフィルムロール。
【請求項3】
前記粘着性部材は、ミクロ吸盤を有している、
請求項1に記載のフィルムロール。
【請求項4】
前記粘着性部材は、前記フィルムの終端に近づくにつれて前記フィルムとの接触面積が小さくなるように形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルムロール。
【請求項5】
前記粘着性部材は、前記フィルムの終端部分側に接触する面と前記終端部分が上に重なるフィルムの一部に接触する面のいずれか一方の面は、他方の面よりも粘着力が小さい、
請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルムロール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−193310(P2006−193310A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8560(P2005−8560)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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