フィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型
【課題】フィルムの不要部分を切断する必要がなく、低コストにて高精度のフィルム付き樹脂成形体を提供する。
【解決手段】樹脂成形体6の表面の一部にフィルム2を付けたフィルム付き樹脂成形体1であって、樹脂成形体6は、内方に凹部を有し、フィルム2は凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも凹部の開口周端面9まで到り、フィルム2の端部11は、側面から凹部の開口周端面9または凹部の内壁面に存在するフィルム付き樹脂成形体1とする。
【解決手段】樹脂成形体6の表面の一部にフィルム2を付けたフィルム付き樹脂成形体1であって、樹脂成形体6は、内方に凹部を有し、フィルム2は凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも凹部の開口周端面9まで到り、フィルム2の端部11は、側面から凹部の開口周端面9または凹部の内壁面に存在するフィルム付き樹脂成形体1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インサート用のフィルムを射出成形用金型内に配置し、そこに溶融樹脂を射出することにより、樹脂成形品とフィルムとを溶着させて一体化するフィルムインサート成形法は、例えば、次のような方法で行われている。
【0003】
予めプリフォームされたインサート用のフィルムを用意すると共に、凹部を有する雌型と凸部を有する雄型とからなる射出成形用金型を用意する。次に、雌型の凹部にフィルムを配置し、射出成形用金型を型閉めする際に、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とを交叉させ、フィルムの不要部分を切断する。その後、雌型の凹部と雄型の凸部により形成される空間(キャビティ)内に溶融樹脂を射出し、フィルムと、溶融樹脂からなる樹脂成形体とを一体化する。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0004】
また、インサート用のフィルムの不要部分を切断しないまま、フィルムを射出成形用金型内に配置し、キャビティに溶融樹脂を射出し、溶融樹脂の固化後に金型を開けて、一体化した成形品からフィルムの不要部分を切断するという方法も知られている。 (例えば、特許文献3を参照)。
【0005】
また、予めインサート用のフィルムの不要部分をレーザーあるいはカッター等の切断手段により切断し、そのフィルムを射出成形用金型内に配置し、そこに溶融樹脂を射出する方法も知られている。
【特許文献1】特開昭57−102328号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開平9−234769号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開昭60−097816号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の製造方法には、次のような問題がある。射出成形用金型の雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とを交叉させることによって、インサート用のフィルムの不要部分を切断する方法では、射出成形用金型の雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁の各寸法に高い精度が要求される。しかし、溶融樹脂を射出することにより、射出成形用金型の雄型と雌型との間に温度差が発生し、各金型の膨張率に差が生じる。このため、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とが交叉する際に、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とが衝突し、周縁部に傷がつく。また、逆に、交叉する場所に、隙間が生じることもある。したがって、高精度な成形体製品が得られないという問題がある。
【0007】
また、インサート用のフィルムの不要部分を切断することによって発生したフィルムのかすが射出成形用金型の周縁部に付着することもある。このため、金型の周縁部が損傷する可能性が高くなる。したがって、頻繁に金型を交換する必要が生じ、金型の費用と金型交換の手間を要するという問題もある。さらに、フィルムのかすが射出される樹脂に付着し、成形品の不良率が高くなる危険性もある。
【0008】
また、成形体の完成後に、インサート用のフィルムの不要部分を切断する場合、成形体を傷付けないように切断する必要がある。このため、非常に高い切断精度が要求され、高度な技術および設備が必要となるという問題がある。
【0009】
また、レーザーあるいはカッター等の切断手段を利用する製造方法では、高価な設備が必要となり、工程も煩雑となるので、コスト高となるという問題がある。また、非常に高い切断精度が要求されるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、インサート用のフィルムの不要部分を切断する必要がなく、低コストにて高精度のフィルム付き樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体であって、樹脂成形体は、内方に凹部を有し、フィルムは凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも凹部の開口周端面まで到り、フィルムの端部は、側面から凹部の開口周端面または凹部の内壁面に存在するフィルム付き樹脂成形体としている。
【0012】
このように、フィルムの端部は、フィルム付き樹脂成形体の側面から凹部の開口周端面または凹部の内壁面に存在しているので、インサート用のフィルムの不要部分は生じない。このため、インサート用のフィルムの不要部分を切断する必要がない。したがって、高精度なフィルム付き樹脂成形体を得ることができる。フィルム付き樹脂成形体の凹部は、4方向の側面を有する空間でも、それら側面の一部を欠くものでも良い。
【0013】
また、別の本発明は、少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行うための射出成形用金型を用いて、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体を製造するフィルム付き樹脂成形体の製造方法であって、射出成形用金型のうち、凹部を有する一方の金型の当該凹部に、フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げてフィルムを配置するフィルム配置工程と、フィルムの配置の後に、射出成形用金型のうち、他方の金型を凹部に対向して配置する金型配置工程と、他方の金型とフィルムとから形成される空間に溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給工程と、溶融樹脂の硬化後にフィルム付き樹脂成形体を取り出す成形体取り出し工程とを備えるフィルム付き樹脂成形体の製造方法としている。
【0014】
このように、フィルムの切断工程を採用していないので、インサート用のフィルムの不要部分を切断することによって発生するフィルムのかすが、生じない。このため、フィルムのかすが、射出される樹脂に付着することによって、成形体の不良率が高くなるというような問題は生じない。また、レーザーやカッター等の切断手段を利用しないため、工程が煩雑、またはコストが高くなるという問題も生じない。したがって、製造工程を簡略化でき、かつ、効率よく高精度のフィルム付き樹脂成形体を製造することができる。
【0015】
また、別の本発明は、先の発明におけるフィルム配置工程を、フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げる折り曲げ工程を含む工程とするフィルム付き樹脂成形体の製造方法としている。このため、筒状にプリフォームされたフィルムを用いた場合でも、当該フィルムを凹部に入れて、凹部開口面を狭くしてフィルムの開口側の端部を内側に折り曲げるようにすることで、フィルム付き樹脂成形体を製造することができる。したがって、プリフォームの段階で端部を折り曲げる必要がなく、射出成形の直前に折り曲げるようにするだけでフィルム付き樹脂成形体を製造することができるので、製造が容易になる。
【0016】
また、別の本発明は、少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行う射出成形用金型であって、凹部を有する一方の金型と、凹部の開口面を狭くするための部材であって、射出成形時に一方の金型の開口端面の一部または全部に配置される狭口部材と、射出成形時に、一方の金型および狭口部材に対向配置される他方の金型とを備える射出成形用金型としている。
【0017】
このように、狭口部材を設けることによって、フィルム付き樹脂成形体の側面より延長されるフィルム部分が凹部の側に折り曲げられている。このため、インサート用のフィルムの不要部分は生じない。また、頻繁に金型を交換する必要がなく、金型の費用と金型交換の手間がかかるという問題も生じない。
【0018】
射出成形用金型へのフィルムの配置は、フィルムを射出成形用金型の凹部の形成面形状にほぼ合致するようにプリフォームしてから射出成形用金型に配置する方法の他、プリフォームせずにフィルムを射出成形用金型の凹部に配置するようにしても良い。また、前者の方法の場合、折り曲げ部分をプリフォームしておく方法と、金型にプリフォームされたフィルムを配置してから折り曲げ部を形成する方法とがある。
【0019】
本発明において、樹脂成形体を形成する材料は、本発明の樹脂成形体として利用可能な限り特に限定されるものではない。本発明の樹脂成形体を形成する材料としては、特に、熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル樹脂(E/VAC)、エチレン/ビニルアルコール樹脂(E/VAL)、ポリメチルペンテン(PMP)、環状オレフィン共重合体(COC)、塩素化ポリエチレン(PE−C)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、エチレン/塩化ビニル樹脂(VC/E)、塩素化ポリ塩化ビニル(PVC−C)等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、スチレン/N−フェニルマレイミド樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミドMXD6(PA MXD6)、変性ポリアミド6T、モノマーキャスティングポリアミド等のポリアミド(PA)類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の熱可塑性ポリエステル類、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロポレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂類、液晶ポリエステル(LCP)等の液晶ポリマー、ポリアクリレート(PAR)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等の熱可塑性イミド系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールケトン(PAEK)、脂肪族ポリケトン(APK)等のケトン系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾール(PBI);ポリパラバン酸(PPA)レーヨン、セロファン、セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、エチルセルロース等の多糖類、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)類を挙げることができる。
【0020】
また、本発明の樹脂成形体を構成するその他の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を採用することもできる。具体的には、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、アルキド樹脂、シリコーン樹脂(SI)、エポキシ樹脂(EP)、ウレタン樹脂(PUR)、ポリビニルエステル、ポリフタル酸ジアリル(PDAP)、ポリイミド(PI)、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)、フラン樹脂(FF)、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、マレイン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)、熱硬化性強化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。
【0021】
また、本発明において、フィルムを構成する材料としては、上記樹脂成形体に使用される各種樹脂材料のみならず、アルミニウム等の金属、アルミニウム合金等の合金あるいは布皮を使用しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フィルムの不要部分を切断する必要がなく、低コストにて高精度のフィルム付き樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の好適な各実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの各実施の形態により何ら限定されるものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の斜視図である。また、図2は、図1に示すフィルム付き樹脂成形体1をA−A線で切断した際の断面図である。なお、図2を含めた以後に示す断面図において、適宜、見やすさを考慮して断面の一部領域のみを斜線で示すことにする。
【0025】
図2に示すように、フィルム付き樹脂成形体1は、一方の面(図2で示す下側の面)から内部へとへこむ凹部を有する成形体である。フィルム付き樹脂成形体1は、フィルム2と樹脂成形体6により構成される。フィルム2はフィルム付き樹脂成形体1の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体1の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体1の凹部の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と備えている。当該周縁層11は、このフィルム2の端部となっている。樹脂成形体6は、フィルム付き樹脂成形体1とほぼ同じ形状に射出成形されたものである。樹脂成形体6の凹部の周囲に形成される開口周端面9は、フィルム2の周縁層11と面一となり一つの略水平な開口周端面10を形成している。
【0026】
すなわち、周縁層11は、樹脂成形体6の開口周端面9からはみ出さずに、当該開口周端面9にまわり込んだ状態で開口周端面10の一部を形成する。なお、フィルム付き樹脂成形体1は、フィルム付き樹脂成形体1の天面に対して垂直でない側面を有する形態であっても良い。また、フィルム2が樹脂成形体6の開口周端面9を全面的に覆ったり、樹脂成形体6の凹部に入り込んだりするフィルム付き樹脂成形体1を製造しても良い。
【0027】
図3は、図2に示すフィルム2のB部分の拡大図である。
【0028】
図3に示すように、フィルム2は、基材シート3と、その直下の図柄層4と、さらに図柄層4の直下の接着層5とからなる。
【0029】
基材シート3は、好適には、アクリル系、ポリカーボン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ウレタン系等の樹脂からなっている。但し、基材シート3の材料を他の樹脂としたり、アルミニウム等としても良い。
【0030】
図柄層4は、フィルム付き樹脂成形体1の表面に模様または文字等の加飾を形成するために設けられている。図柄層4の形成方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、グラビアコート法、真空蒸着法、スパッタ−リング法等の各種加飾方法を採用することができる。ただし、上述の加飾方法は一例に過ぎず、他の加飾方法を採用しても良い。
【0031】
接着層5は、溶融樹脂を射出成形する際に、樹脂成形体6とフィルム2とを強固に接着させるためのものであり、樹脂成形体6に適した感熱性あるいは感圧性の材料を用いることができる。また、図柄層4を射出成形時の熱または圧力から保護するための保護層を、接着層5の外側に別途配置した構造、すなわち基材シート3から順に、図柄層4、接着層5、保護層と積層させた構造を採用しても良い。
【0032】
また、樹脂成形体6の材料には、ポリカーボネート系、スチレン共重合体系、ポリスチレン系等の樹脂を好適に使用することができる。なお、樹脂成形体6の材料が基材シート3または図柄層4との親和性が高い場合には、必ずしも接着層5を採用しなくても良い。
【0033】
図4は、第1の実施の形態に係る射出成形用金型15の概略構成図である。図5は、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の製造工程を示すフローチャートである。また、図6および図7は、フィルム付き樹脂成形体1の製造工程を段階的に示す図である。
【0034】
図4に示すように、射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、モーター等によって駆動可能な折り曲げ機構部25とから構成されている。雌型20と雄型30とは、型閉めされることによって、前記フィルム付き樹脂成形体1の形状に合わせた空間(キャビティ)を形成する。折り曲げ機構部25は、レール(不図示)を介して雌型20と接合している。折り曲げ機構部25は、図4中の実線と一点鎖線で示すように、モーター等によってレールに沿って凹部21の開口面を狭めるように移動し、その逆方向にも移動できる狭口部材である。
【0035】
フィルム付き樹脂成形体1を製造する場合、図6(A)および図6(B)に示すように、まず、雌型20の凹部21に、凹部21の形状に対してほぼ合致するようにプリフォーム又は打ち抜き加工された状態のフィルム2を配置する(図5中のステップS101:フィルム配置工程の一部)。次に、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を狭める方向(図6(C)の矢印Aの方向)に移動させる(図5中のステップS102:折り曲げ工程(フィルム配置工程の一部))。この結果、図6(C)に示すように、凹部21から突出しているフィルム2の周縁層11が、折り曲げ機構部25によって、凹部21の開口面内方に向かって折り曲げられる。
【0036】
次に、雄型30の凸部31を、フィルム2を配置した凹部21に挿入するように雌型20にセッティングする(図5中のステップS103:金型配置工程)。この結果、図7(A)に示すように、雄型30の凸部31とフィルム2との間に空間(キャビティ)32が形成される。次に、雄型30の凸部31に貫通する溶融樹脂射出口35から空間(キャビティ)32に溶融樹脂を供給する(図5中のステップS104:溶融樹脂供給工程)。その後、溶融樹脂を硬化させる(図5中のステップS105)。図7(B)に示すように、溶融樹脂が硬化すると、その部分が樹脂成形体6となる。その後、図7(C)に示すように、型開きを行い、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を元の状態まで広くする方向(図7(C)の矢印Bの方向)に移動させ、樹脂成形体6の表面にフィルム2が形成されたフィルム付き樹脂成形体1を取り出す(図5中のステップS106:成形体取り出し工程)。
【0037】
第1の実施の形態の製造方法によって、フィルム付き樹脂成形体1の周縁層11は、折り曲げ機構部25にて内方に折り曲げられた状態で成形されるので、インサート用のフィルム2の不要部分は生じない。フィルム2のプリフォームは、型押し成形や真空成形等の任意の加工方法により行われる。また、フィルム2のプリフォームは、周縁層11を凹部21の内方に折り曲げていない形状に成形する他、周縁層11を折り曲げた形状に成形するようにしても良い。なお、プリフォームしないインサート用のフィルム2を採用しても良い。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の第2の実施の形態について説明する。
【0039】
第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体およびフィルム付き樹脂成形体の製造方法は、先に説明した第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体およびフィルム付き樹脂成形体の製造方法とそれぞれ同一である。また、第2の実施の形態に係る射出成形用金型は、第1の実施の形態に係る射出成形用金型と多くの共通部分を有する。このため、以後、第2の実施の形態以降の実施の形態の説明において、フィルム付き樹脂成形体、フィルム付き樹脂成形体の製造方法および射出成形用金型の各共通の部分については、第1の実施の形態と同じ符号で示すと共に、異なる部分については異なる符号で示す。また、共通部分については、重複する説明を省略する。
【0040】
図8は、第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の製造に用いられる射出成形用金型15の型開き時(A)および折り曲げ機構部25を雌型20から外すエジェクタ時(B)の状態を示す図である。
【0041】
図8(A)に示すように、第2の実施の形態に係る射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、折り曲げ機構部(狭口部材)25により主に構成されている。雌型20は、凹部21と反対側に延びる2つの柱状部26、26と、これら柱状部26、26をつないで、雌型20の凹部21と反対側に空間40を形成するための連接部27とを備えている。また、凹部21の周縁部に配置される折り曲げ機構部25,25にそれぞれ連接され、雌型20の内部を可動に挿入される可動軸28,28が設けられている。これら可動軸28,28の端部は、空間40において連接部29に連接されている。
【0042】
射出成形用金型15を用いてフィルム付き樹脂成形体1を製造する場合、図8(A)に示す雄型30の凸部31と、雌型20の凹部21に配置されるフィルム2との間に形成される空間に、雄型30の凸部31を貫通する溶融樹脂射出口35から溶融樹脂を供給する。その後、溶融樹脂を硬化させ、図8(A)に示すように、雌型20と雄型30とを互いに反対方向に引き離し、型開きを行う。その後、図8(B)に示すように、可動軸28,28をつなぐ連接部29を凹部21の方向に移動させることにより、可動軸28,28とつながる折り曲げ機構部25,25を雌型20から外す。かかる状態において、樹脂成形体6の表面にフィルム2が形成されたフィルム付き樹脂成形体1を取り出す。なお、溶融樹脂射出口35は、雌型20の凹部21に貫通する形態で設けられていても良い。
【0043】
このように第2の実施の形態に係る射出成形用金型15を用いることによって、特別な切断手段を採用する必要がなく、品質が優れ、歩留まりも良く、高精度のフィルム付き樹脂成形体1を製造することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の第3の実施の形態について説明する。
【0045】
図9は、第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体16の斜視図である。また、図10は、図9に示すフィルム付き樹脂成形体16をA−A線で切断した際の断面図である。
【0046】
図9に示すように、フィルム付き樹脂成形体16は、円柱形状であり、フィルム2と樹脂成形体6からなる。フィルム2は、フィルム付き樹脂成形体16の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体16の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体16の凹部21の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と備えている。当該周縁層11は、このフィルム2の端部となっている。樹脂成形体6は、フィルム付き樹脂成形体16とほぼ同じ形状に射出成形されたものである。フィルム付き樹脂成形体16は、樹脂成形体6の開口周端面9がフィルム2の周縁層11に全面的に覆われた形態の開口周端面10を有する。なお、フィルム付き樹脂成形体16の形態は、かかる形態に限られない。フィルム付き樹脂成形体16は、例えば、長方形、ひょうたん形、多角形等の任意の形態とすることができる。
【0047】
図11は、第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の型開き時(A)および折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を元の状態に広げる方向(図11(B)の矢印Bの方向)に移動させるエジェクタ時(B)の状態を示す図である。
【0048】
図11(A)に示すように、第3の実施の形態に係る射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、折り曲げ機構部(狭口部材)25とから構成されている。折り曲げ機構部25は、雄型30から雌型20に向かう方向に貫通する穴25aを有している。穴25aは、折り曲げ機構部25における雄型30側から雌型20側に向かって広がる向きに、斜めに形成されている。また、雌型20における折り曲げ機構部25との接触面から内部には、凹部20aが設けられている。
【0049】
一方、雄型30の凸部31の側方には、穴25aに挿入可能なアンギュラーピン17が設けられている。アンギュラーピン17が穴25aを貫通し、凹部20aに挿入された状態では、雄型30は、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を狭くする方向に移動させてキャビティを形成する。また、雄型30を雌型20から離していくと、アンギュラーピン17は、凹部20aから抜け、折り曲げ機構部25を図11(B)に示す矢印Bの方向に移動させながら穴25aから抜ける。そして、アンギュラーピン17が穴25aから抜けた時点で、折り曲げ機構部25は、凹部21の開口周端面のレール上の動きを止める。この状態で、フィルム付き樹脂成形体16が取り出される。なお、溶融樹脂射出口35は、雌型20の凹部21に貫通するものであっても良い。
【0050】
以上、本発明の好適な各実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、種々変形を施した形態にて実施可能である。
【0051】
例えば、フィルム2の端部は、樹脂成形体6の凹部の内壁面まで延出されていても良い。
【0052】
図12は、かかる形態のフィルム付き樹脂成形体19を、図1に示すA−A線と同様の線で切断した際の断面図である。
【0053】
図12に示すように、フィルム付き樹脂成形体19は、フィルム2と樹脂成形体6からなる。フィルム2は、フィルム付き樹脂成形体19の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体19の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体19の凹部の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と、周縁層11から樹脂成形体19の凹部に入り込む内壁層12とを備えている。当該内壁層12は、このフィルム2の端部となっている。
【0054】
また、本発明に係る射出成形用金型は、上述の各射出成形金型15に限定されない。折り曲げ機構部25を雌型20の凹部21の開口面を狭める方向にセットでき、フィルム付き樹脂成形体1等の取り出し時に当該セットした状態を解除できる金型であれば、その形態は特に限定されない。したがって、折り曲げ機構部25は雄型30に付いていても良い。また、折り曲げ機構部25の解除は、雌型20または雄型30の任意の面をスライドするスライド式にて駆動されるものであっても、雌型20または雄型30から分離する分離式にて駆動されるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、フィルム付き樹脂成形体を製造あるいは使用する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の斜視図である。
【図2】図1に示すフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【図3】図2に示すフィルムのB部分の拡大図である。
【図4】第1の実施の形態に係る射出成形用金型の概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程を段階的に示す図である。
【図7】図6に続いて、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程を段階的に示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の成形後の各段階における変化を示す図である。
【図9】第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の斜視図である。
【図10】図9に示すフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の成形後の各段階における変化を示す図である。
【図12】その他の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線と同様の線で切断した際の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 フィルム付き樹脂成形体
2 フィルム
3 基体シート
4 図柄層
5 接着層
6 樹脂成形体
7 天面層
8 側面層
9 開口周端面
10 開口周端面
11 周縁層(端部)
12 内壁層(端部)
15 射出成形用金型
16 フィルム付き樹脂成形体
17 アンギュラーピン
19 フィルム付き樹脂成形体
20 雌型(一方の金型)
20a 凹部
21 凹部
25 折り曲げ機構部(狭口部材)
25a 穴
26 柱状部
27 連接部
28 可動軸
29 連接部
30 雄型(他方の金型)
31 凸部
32 空間
35 溶融樹脂射出口
40 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インサート用のフィルムを射出成形用金型内に配置し、そこに溶融樹脂を射出することにより、樹脂成形品とフィルムとを溶着させて一体化するフィルムインサート成形法は、例えば、次のような方法で行われている。
【0003】
予めプリフォームされたインサート用のフィルムを用意すると共に、凹部を有する雌型と凸部を有する雄型とからなる射出成形用金型を用意する。次に、雌型の凹部にフィルムを配置し、射出成形用金型を型閉めする際に、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とを交叉させ、フィルムの不要部分を切断する。その後、雌型の凹部と雄型の凸部により形成される空間(キャビティ)内に溶融樹脂を射出し、フィルムと、溶融樹脂からなる樹脂成形体とを一体化する。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0004】
また、インサート用のフィルムの不要部分を切断しないまま、フィルムを射出成形用金型内に配置し、キャビティに溶融樹脂を射出し、溶融樹脂の固化後に金型を開けて、一体化した成形品からフィルムの不要部分を切断するという方法も知られている。 (例えば、特許文献3を参照)。
【0005】
また、予めインサート用のフィルムの不要部分をレーザーあるいはカッター等の切断手段により切断し、そのフィルムを射出成形用金型内に配置し、そこに溶融樹脂を射出する方法も知られている。
【特許文献1】特開昭57−102328号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開平9−234769号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開昭60−097816号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の製造方法には、次のような問題がある。射出成形用金型の雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とを交叉させることによって、インサート用のフィルムの不要部分を切断する方法では、射出成形用金型の雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁の各寸法に高い精度が要求される。しかし、溶融樹脂を射出することにより、射出成形用金型の雄型と雌型との間に温度差が発生し、各金型の膨張率に差が生じる。このため、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とが交叉する際に、雄型の凸部周縁と雌型の凹部周縁とが衝突し、周縁部に傷がつく。また、逆に、交叉する場所に、隙間が生じることもある。したがって、高精度な成形体製品が得られないという問題がある。
【0007】
また、インサート用のフィルムの不要部分を切断することによって発生したフィルムのかすが射出成形用金型の周縁部に付着することもある。このため、金型の周縁部が損傷する可能性が高くなる。したがって、頻繁に金型を交換する必要が生じ、金型の費用と金型交換の手間を要するという問題もある。さらに、フィルムのかすが射出される樹脂に付着し、成形品の不良率が高くなる危険性もある。
【0008】
また、成形体の完成後に、インサート用のフィルムの不要部分を切断する場合、成形体を傷付けないように切断する必要がある。このため、非常に高い切断精度が要求され、高度な技術および設備が必要となるという問題がある。
【0009】
また、レーザーあるいはカッター等の切断手段を利用する製造方法では、高価な設備が必要となり、工程も煩雑となるので、コスト高となるという問題がある。また、非常に高い切断精度が要求されるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、インサート用のフィルムの不要部分を切断する必要がなく、低コストにて高精度のフィルム付き樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体であって、樹脂成形体は、内方に凹部を有し、フィルムは凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも凹部の開口周端面まで到り、フィルムの端部は、側面から凹部の開口周端面または凹部の内壁面に存在するフィルム付き樹脂成形体としている。
【0012】
このように、フィルムの端部は、フィルム付き樹脂成形体の側面から凹部の開口周端面または凹部の内壁面に存在しているので、インサート用のフィルムの不要部分は生じない。このため、インサート用のフィルムの不要部分を切断する必要がない。したがって、高精度なフィルム付き樹脂成形体を得ることができる。フィルム付き樹脂成形体の凹部は、4方向の側面を有する空間でも、それら側面の一部を欠くものでも良い。
【0013】
また、別の本発明は、少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行うための射出成形用金型を用いて、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体を製造するフィルム付き樹脂成形体の製造方法であって、射出成形用金型のうち、凹部を有する一方の金型の当該凹部に、フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げてフィルムを配置するフィルム配置工程と、フィルムの配置の後に、射出成形用金型のうち、他方の金型を凹部に対向して配置する金型配置工程と、他方の金型とフィルムとから形成される空間に溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給工程と、溶融樹脂の硬化後にフィルム付き樹脂成形体を取り出す成形体取り出し工程とを備えるフィルム付き樹脂成形体の製造方法としている。
【0014】
このように、フィルムの切断工程を採用していないので、インサート用のフィルムの不要部分を切断することによって発生するフィルムのかすが、生じない。このため、フィルムのかすが、射出される樹脂に付着することによって、成形体の不良率が高くなるというような問題は生じない。また、レーザーやカッター等の切断手段を利用しないため、工程が煩雑、またはコストが高くなるという問題も生じない。したがって、製造工程を簡略化でき、かつ、効率よく高精度のフィルム付き樹脂成形体を製造することができる。
【0015】
また、別の本発明は、先の発明におけるフィルム配置工程を、フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げる折り曲げ工程を含む工程とするフィルム付き樹脂成形体の製造方法としている。このため、筒状にプリフォームされたフィルムを用いた場合でも、当該フィルムを凹部に入れて、凹部開口面を狭くしてフィルムの開口側の端部を内側に折り曲げるようにすることで、フィルム付き樹脂成形体を製造することができる。したがって、プリフォームの段階で端部を折り曲げる必要がなく、射出成形の直前に折り曲げるようにするだけでフィルム付き樹脂成形体を製造することができるので、製造が容易になる。
【0016】
また、別の本発明は、少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行う射出成形用金型であって、凹部を有する一方の金型と、凹部の開口面を狭くするための部材であって、射出成形時に一方の金型の開口端面の一部または全部に配置される狭口部材と、射出成形時に、一方の金型および狭口部材に対向配置される他方の金型とを備える射出成形用金型としている。
【0017】
このように、狭口部材を設けることによって、フィルム付き樹脂成形体の側面より延長されるフィルム部分が凹部の側に折り曲げられている。このため、インサート用のフィルムの不要部分は生じない。また、頻繁に金型を交換する必要がなく、金型の費用と金型交換の手間がかかるという問題も生じない。
【0018】
射出成形用金型へのフィルムの配置は、フィルムを射出成形用金型の凹部の形成面形状にほぼ合致するようにプリフォームしてから射出成形用金型に配置する方法の他、プリフォームせずにフィルムを射出成形用金型の凹部に配置するようにしても良い。また、前者の方法の場合、折り曲げ部分をプリフォームしておく方法と、金型にプリフォームされたフィルムを配置してから折り曲げ部を形成する方法とがある。
【0019】
本発明において、樹脂成形体を形成する材料は、本発明の樹脂成形体として利用可能な限り特に限定されるものではない。本発明の樹脂成形体を形成する材料としては、特に、熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル樹脂(E/VAC)、エチレン/ビニルアルコール樹脂(E/VAL)、ポリメチルペンテン(PMP)、環状オレフィン共重合体(COC)、塩素化ポリエチレン(PE−C)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、エチレン/塩化ビニル樹脂(VC/E)、塩素化ポリ塩化ビニル(PVC−C)等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、スチレン/N−フェニルマレイミド樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミドMXD6(PA MXD6)、変性ポリアミド6T、モノマーキャスティングポリアミド等のポリアミド(PA)類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の熱可塑性ポリエステル類、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロポレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂類、液晶ポリエステル(LCP)等の液晶ポリマー、ポリアクリレート(PAR)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等の熱可塑性イミド系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールケトン(PAEK)、脂肪族ポリケトン(APK)等のケトン系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾール(PBI);ポリパラバン酸(PPA)レーヨン、セロファン、セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、エチルセルロース等の多糖類、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)類を挙げることができる。
【0020】
また、本発明の樹脂成形体を構成するその他の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を採用することもできる。具体的には、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、アルキド樹脂、シリコーン樹脂(SI)、エポキシ樹脂(EP)、ウレタン樹脂(PUR)、ポリビニルエステル、ポリフタル酸ジアリル(PDAP)、ポリイミド(PI)、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)、フラン樹脂(FF)、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、マレイン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)、熱硬化性強化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。
【0021】
また、本発明において、フィルムを構成する材料としては、上記樹脂成形体に使用される各種樹脂材料のみならず、アルミニウム等の金属、アルミニウム合金等の合金あるいは布皮を使用しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フィルムの不要部分を切断する必要がなく、低コストにて高精度のフィルム付き樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の好適な各実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの各実施の形態により何ら限定されるものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の斜視図である。また、図2は、図1に示すフィルム付き樹脂成形体1をA−A線で切断した際の断面図である。なお、図2を含めた以後に示す断面図において、適宜、見やすさを考慮して断面の一部領域のみを斜線で示すことにする。
【0025】
図2に示すように、フィルム付き樹脂成形体1は、一方の面(図2で示す下側の面)から内部へとへこむ凹部を有する成形体である。フィルム付き樹脂成形体1は、フィルム2と樹脂成形体6により構成される。フィルム2はフィルム付き樹脂成形体1の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体1の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体1の凹部の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と備えている。当該周縁層11は、このフィルム2の端部となっている。樹脂成形体6は、フィルム付き樹脂成形体1とほぼ同じ形状に射出成形されたものである。樹脂成形体6の凹部の周囲に形成される開口周端面9は、フィルム2の周縁層11と面一となり一つの略水平な開口周端面10を形成している。
【0026】
すなわち、周縁層11は、樹脂成形体6の開口周端面9からはみ出さずに、当該開口周端面9にまわり込んだ状態で開口周端面10の一部を形成する。なお、フィルム付き樹脂成形体1は、フィルム付き樹脂成形体1の天面に対して垂直でない側面を有する形態であっても良い。また、フィルム2が樹脂成形体6の開口周端面9を全面的に覆ったり、樹脂成形体6の凹部に入り込んだりするフィルム付き樹脂成形体1を製造しても良い。
【0027】
図3は、図2に示すフィルム2のB部分の拡大図である。
【0028】
図3に示すように、フィルム2は、基材シート3と、その直下の図柄層4と、さらに図柄層4の直下の接着層5とからなる。
【0029】
基材シート3は、好適には、アクリル系、ポリカーボン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ウレタン系等の樹脂からなっている。但し、基材シート3の材料を他の樹脂としたり、アルミニウム等としても良い。
【0030】
図柄層4は、フィルム付き樹脂成形体1の表面に模様または文字等の加飾を形成するために設けられている。図柄層4の形成方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、グラビアコート法、真空蒸着法、スパッタ−リング法等の各種加飾方法を採用することができる。ただし、上述の加飾方法は一例に過ぎず、他の加飾方法を採用しても良い。
【0031】
接着層5は、溶融樹脂を射出成形する際に、樹脂成形体6とフィルム2とを強固に接着させるためのものであり、樹脂成形体6に適した感熱性あるいは感圧性の材料を用いることができる。また、図柄層4を射出成形時の熱または圧力から保護するための保護層を、接着層5の外側に別途配置した構造、すなわち基材シート3から順に、図柄層4、接着層5、保護層と積層させた構造を採用しても良い。
【0032】
また、樹脂成形体6の材料には、ポリカーボネート系、スチレン共重合体系、ポリスチレン系等の樹脂を好適に使用することができる。なお、樹脂成形体6の材料が基材シート3または図柄層4との親和性が高い場合には、必ずしも接着層5を採用しなくても良い。
【0033】
図4は、第1の実施の形態に係る射出成形用金型15の概略構成図である。図5は、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の製造工程を示すフローチャートである。また、図6および図7は、フィルム付き樹脂成形体1の製造工程を段階的に示す図である。
【0034】
図4に示すように、射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、モーター等によって駆動可能な折り曲げ機構部25とから構成されている。雌型20と雄型30とは、型閉めされることによって、前記フィルム付き樹脂成形体1の形状に合わせた空間(キャビティ)を形成する。折り曲げ機構部25は、レール(不図示)を介して雌型20と接合している。折り曲げ機構部25は、図4中の実線と一点鎖線で示すように、モーター等によってレールに沿って凹部21の開口面を狭めるように移動し、その逆方向にも移動できる狭口部材である。
【0035】
フィルム付き樹脂成形体1を製造する場合、図6(A)および図6(B)に示すように、まず、雌型20の凹部21に、凹部21の形状に対してほぼ合致するようにプリフォーム又は打ち抜き加工された状態のフィルム2を配置する(図5中のステップS101:フィルム配置工程の一部)。次に、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を狭める方向(図6(C)の矢印Aの方向)に移動させる(図5中のステップS102:折り曲げ工程(フィルム配置工程の一部))。この結果、図6(C)に示すように、凹部21から突出しているフィルム2の周縁層11が、折り曲げ機構部25によって、凹部21の開口面内方に向かって折り曲げられる。
【0036】
次に、雄型30の凸部31を、フィルム2を配置した凹部21に挿入するように雌型20にセッティングする(図5中のステップS103:金型配置工程)。この結果、図7(A)に示すように、雄型30の凸部31とフィルム2との間に空間(キャビティ)32が形成される。次に、雄型30の凸部31に貫通する溶融樹脂射出口35から空間(キャビティ)32に溶融樹脂を供給する(図5中のステップS104:溶融樹脂供給工程)。その後、溶融樹脂を硬化させる(図5中のステップS105)。図7(B)に示すように、溶融樹脂が硬化すると、その部分が樹脂成形体6となる。その後、図7(C)に示すように、型開きを行い、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を元の状態まで広くする方向(図7(C)の矢印Bの方向)に移動させ、樹脂成形体6の表面にフィルム2が形成されたフィルム付き樹脂成形体1を取り出す(図5中のステップS106:成形体取り出し工程)。
【0037】
第1の実施の形態の製造方法によって、フィルム付き樹脂成形体1の周縁層11は、折り曲げ機構部25にて内方に折り曲げられた状態で成形されるので、インサート用のフィルム2の不要部分は生じない。フィルム2のプリフォームは、型押し成形や真空成形等の任意の加工方法により行われる。また、フィルム2のプリフォームは、周縁層11を凹部21の内方に折り曲げていない形状に成形する他、周縁層11を折り曲げた形状に成形するようにしても良い。なお、プリフォームしないインサート用のフィルム2を採用しても良い。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の第2の実施の形態について説明する。
【0039】
第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体およびフィルム付き樹脂成形体の製造方法は、先に説明した第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体およびフィルム付き樹脂成形体の製造方法とそれぞれ同一である。また、第2の実施の形態に係る射出成形用金型は、第1の実施の形態に係る射出成形用金型と多くの共通部分を有する。このため、以後、第2の実施の形態以降の実施の形態の説明において、フィルム付き樹脂成形体、フィルム付き樹脂成形体の製造方法および射出成形用金型の各共通の部分については、第1の実施の形態と同じ符号で示すと共に、異なる部分については異なる符号で示す。また、共通部分については、重複する説明を省略する。
【0040】
図8は、第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体1の製造に用いられる射出成形用金型15の型開き時(A)および折り曲げ機構部25を雌型20から外すエジェクタ時(B)の状態を示す図である。
【0041】
図8(A)に示すように、第2の実施の形態に係る射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、折り曲げ機構部(狭口部材)25により主に構成されている。雌型20は、凹部21と反対側に延びる2つの柱状部26、26と、これら柱状部26、26をつないで、雌型20の凹部21と反対側に空間40を形成するための連接部27とを備えている。また、凹部21の周縁部に配置される折り曲げ機構部25,25にそれぞれ連接され、雌型20の内部を可動に挿入される可動軸28,28が設けられている。これら可動軸28,28の端部は、空間40において連接部29に連接されている。
【0042】
射出成形用金型15を用いてフィルム付き樹脂成形体1を製造する場合、図8(A)に示す雄型30の凸部31と、雌型20の凹部21に配置されるフィルム2との間に形成される空間に、雄型30の凸部31を貫通する溶融樹脂射出口35から溶融樹脂を供給する。その後、溶融樹脂を硬化させ、図8(A)に示すように、雌型20と雄型30とを互いに反対方向に引き離し、型開きを行う。その後、図8(B)に示すように、可動軸28,28をつなぐ連接部29を凹部21の方向に移動させることにより、可動軸28,28とつながる折り曲げ機構部25,25を雌型20から外す。かかる状態において、樹脂成形体6の表面にフィルム2が形成されたフィルム付き樹脂成形体1を取り出す。なお、溶融樹脂射出口35は、雌型20の凹部21に貫通する形態で設けられていても良い。
【0043】
このように第2の実施の形態に係る射出成形用金型15を用いることによって、特別な切断手段を採用する必要がなく、品質が優れ、歩留まりも良く、高精度のフィルム付き樹脂成形体1を製造することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係るフィルム付き樹脂成形体およびその製造方法ならびに射出成形用金型の第3の実施の形態について説明する。
【0045】
図9は、第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体16の斜視図である。また、図10は、図9に示すフィルム付き樹脂成形体16をA−A線で切断した際の断面図である。
【0046】
図9に示すように、フィルム付き樹脂成形体16は、円柱形状であり、フィルム2と樹脂成形体6からなる。フィルム2は、フィルム付き樹脂成形体16の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体16の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体16の凹部21の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と備えている。当該周縁層11は、このフィルム2の端部となっている。樹脂成形体6は、フィルム付き樹脂成形体16とほぼ同じ形状に射出成形されたものである。フィルム付き樹脂成形体16は、樹脂成形体6の開口周端面9がフィルム2の周縁層11に全面的に覆われた形態の開口周端面10を有する。なお、フィルム付き樹脂成形体16の形態は、かかる形態に限られない。フィルム付き樹脂成形体16は、例えば、長方形、ひょうたん形、多角形等の任意の形態とすることができる。
【0047】
図11は、第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の型開き時(A)および折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を元の状態に広げる方向(図11(B)の矢印Bの方向)に移動させるエジェクタ時(B)の状態を示す図である。
【0048】
図11(A)に示すように、第3の実施の形態に係る射出成形用金型15は、凹部21を有する雌型(一方の金型)20と、凸部31を有する雄型(他方の金型)30と、折り曲げ機構部(狭口部材)25とから構成されている。折り曲げ機構部25は、雄型30から雌型20に向かう方向に貫通する穴25aを有している。穴25aは、折り曲げ機構部25における雄型30側から雌型20側に向かって広がる向きに、斜めに形成されている。また、雌型20における折り曲げ機構部25との接触面から内部には、凹部20aが設けられている。
【0049】
一方、雄型30の凸部31の側方には、穴25aに挿入可能なアンギュラーピン17が設けられている。アンギュラーピン17が穴25aを貫通し、凹部20aに挿入された状態では、雄型30は、折り曲げ機構部25を凹部21の開口面を狭くする方向に移動させてキャビティを形成する。また、雄型30を雌型20から離していくと、アンギュラーピン17は、凹部20aから抜け、折り曲げ機構部25を図11(B)に示す矢印Bの方向に移動させながら穴25aから抜ける。そして、アンギュラーピン17が穴25aから抜けた時点で、折り曲げ機構部25は、凹部21の開口周端面のレール上の動きを止める。この状態で、フィルム付き樹脂成形体16が取り出される。なお、溶融樹脂射出口35は、雌型20の凹部21に貫通するものであっても良い。
【0050】
以上、本発明の好適な各実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、種々変形を施した形態にて実施可能である。
【0051】
例えば、フィルム2の端部は、樹脂成形体6の凹部の内壁面まで延出されていても良い。
【0052】
図12は、かかる形態のフィルム付き樹脂成形体19を、図1に示すA−A線と同様の線で切断した際の断面図である。
【0053】
図12に示すように、フィルム付き樹脂成形体19は、フィルム2と樹脂成形体6からなる。フィルム2は、フィルム付き樹脂成形体19の天面を覆う天面層7と、当該天面層7から連接してフィルム付き樹脂成形体19の側面を覆う側面層8と、当該側面層8からフィルム付き樹脂成形体19の凹部の開口面に向かって水平方向に延びる周縁層11と、周縁層11から樹脂成形体19の凹部に入り込む内壁層12とを備えている。当該内壁層12は、このフィルム2の端部となっている。
【0054】
また、本発明に係る射出成形用金型は、上述の各射出成形金型15に限定されない。折り曲げ機構部25を雌型20の凹部21の開口面を狭める方向にセットでき、フィルム付き樹脂成形体1等の取り出し時に当該セットした状態を解除できる金型であれば、その形態は特に限定されない。したがって、折り曲げ機構部25は雄型30に付いていても良い。また、折り曲げ機構部25の解除は、雌型20または雄型30の任意の面をスライドするスライド式にて駆動されるものであっても、雌型20または雄型30から分離する分離式にて駆動されるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、フィルム付き樹脂成形体を製造あるいは使用する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の斜視図である。
【図2】図1に示すフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【図3】図2に示すフィルムのB部分の拡大図である。
【図4】第1の実施の形態に係る射出成形用金型の概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程を段階的に示す図である。
【図7】図6に続いて、第1の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造方法の各工程を段階的に示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の成形後の各段階における変化を示す図である。
【図9】第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の斜視図である。
【図10】図9に示すフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線で切断した際の断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体の製造に用いられる射出成形用金型の成形後の各段階における変化を示す図である。
【図12】その他の実施の形態に係るフィルム付き樹脂成形体を、図1に示すA−A線と同様の線で切断した際の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 フィルム付き樹脂成形体
2 フィルム
3 基体シート
4 図柄層
5 接着層
6 樹脂成形体
7 天面層
8 側面層
9 開口周端面
10 開口周端面
11 周縁層(端部)
12 内壁層(端部)
15 射出成形用金型
16 フィルム付き樹脂成形体
17 アンギュラーピン
19 フィルム付き樹脂成形体
20 雌型(一方の金型)
20a 凹部
21 凹部
25 折り曲げ機構部(狭口部材)
25a 穴
26 柱状部
27 連接部
28 可動軸
29 連接部
30 雄型(他方の金型)
31 凸部
32 空間
35 溶融樹脂射出口
40 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体であって、
上記樹脂成形体は、内方に凹部を有し、
上記フィルムは上記凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも上記凹部の開口周端面まで到り、
上記フィルムの端部は、上記側面から上記凹部の開口周端面または上記凹部の内壁面に存在することを特徴とするフィルム付き樹脂成形体。
【請求項2】
少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行うための射出成形用金型を用いて、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体を製造するフィルム付き樹脂成形体の製造方法であって、
上記射出成形用金型のうち、凹部を有する一方の金型の当該凹部に、上記フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げて上記フィルムを配置するフィルム配置工程と、
上記フィルムの配置の後に、上記射出成形用金型のうち、他方の金型を上記凹部に対向して配置する金型配置工程と、
上記他方の金型と上記フィルムとから形成される空間に溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給工程と、
上記溶融樹脂の硬化後に上記フィルム付き樹脂成形体を取り出す成形体取り出し工程と、
を有することを特徴とするフィルム付き樹脂成形体の製造方法。
【請求項3】
前記フィルム配置工程は、前記フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げる折り曲げ工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルム付き樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行う射出成形用金型であって、
凹部を有する一方の金型と、
上記凹部の開口面を狭くするための部材であって、射出成形時に上記一方の金型の開口端面の一部または全部に配置される狭口部材と、
射出成形時に、上記一方の金型および上記狭口部材に対向配置される他方の金型と、
を備えることを特徴とする射出成形用金型。
【請求項1】
樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体であって、
上記樹脂成形体は、内方に凹部を有し、
上記フィルムは上記凹部と反対側の天面から側面を覆って、少なくとも上記凹部の開口周端面まで到り、
上記フィルムの端部は、上記側面から上記凹部の開口周端面または上記凹部の内壁面に存在することを特徴とするフィルム付き樹脂成形体。
【請求項2】
少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行うための射出成形用金型を用いて、樹脂成形体の表面の一部にフィルムを付けたフィルム付き樹脂成形体を製造するフィルム付き樹脂成形体の製造方法であって、
上記射出成形用金型のうち、凹部を有する一方の金型の当該凹部に、上記フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げて上記フィルムを配置するフィルム配置工程と、
上記フィルムの配置の後に、上記射出成形用金型のうち、他方の金型を上記凹部に対向して配置する金型配置工程と、
上記他方の金型と上記フィルムとから形成される空間に溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給工程と、
上記溶融樹脂の硬化後に上記フィルム付き樹脂成形体を取り出す成形体取り出し工程と、
を有することを特徴とするフィルム付き樹脂成形体の製造方法。
【請求項3】
前記フィルム配置工程は、前記フィルムの端部の一部または全部を内側に曲げる折り曲げ工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のフィルム付き樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
少なくとも2つの金型を対向配置させて射出成形を行う射出成形用金型であって、
凹部を有する一方の金型と、
上記凹部の開口面を狭くするための部材であって、射出成形時に上記一方の金型の開口端面の一部または全部に配置される狭口部材と、
射出成形時に、上記一方の金型および上記狭口部材に対向配置される他方の金型と、
を備えることを特徴とする射出成形用金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−136841(P2007−136841A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333643(P2005−333643)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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