説明

フィルム処理装置

【課題】フィルムプロセッサから排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムの後端が排出部の近傍に滞留していたとしても、次の写真フィルムの排出動作に悪影響を与えないようなフィルム処理装置を提供する。
【解決手段】フィルムプロセッサFPの排出部14から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムストッカー18側へ搬送するための第1搬送経路と、フィルムプロセッサFPの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムスキャナーFS側へ搬送するための第2搬送経路と、フィルムプロセッサFPから排出された写真フィルムを第1搬送経路と第2搬送経路のいずれかに搬送するためのフィルムガイド30と、フィルムストッカー18側へ排出された写真フィルムの後端が排出部14の位置に残っている時に、後続して搬送されてくるフィルムリーダLと写真フィルムFの後端が引っかかることを防止するためのフィルム押え機構80とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの先端側に案内用のフィルムリーダが連結された状態で現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットとを備えたフィルム処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーとを結合して一体化したシステムとしては、下記特許文献1に開示される写真感光材料処理装置が公知である。フィルムプロセッサにおいて写真フィルムの現像処理を行う場合には、写真フィルムの先端にフィルムリーダと呼ばれる案内部材を取り付け、写真フィルムはこのフィルムリーダによりフィルムプロセッサ内の各部を移動する。写真フィルムの現像処理及び乾燥処理が終了すると、フィルムプロセッサの排出部から排出されて搬送ユニットへ送り込まれ、まず写真フィルムとフィルムリーダを分離するために写真フィルムの先端部をカットする。フィルムリーダは所定の場所に回収され、現像済み写真フィルムはフィルムスキャナーに引き続き搬送されて、各コマ画像のスキャニングが行われる。
【0003】
このように、写真フィルムの現像処理が行われた場合は、基本的にはそのままフィルムスキャナーへと送り込まれる。ただし、写真フィルムの現像処理のみを行う場合(例えば、写真プリントの作成依頼がない場合)や、フィルムスキャナー側にトラブルが生じて写真フィルムを送り込めない場合は、現像済み写真フィルムは、搬送ユニットではなく、フィルムストッカーに回収する。フィルムプロセッサの排出部には排出ローラ対が設けられており、この排出ローラ対による搬送力により写真フィルムが搬送される。フィルムストッカーにフィルムリーダ付き写真フィルムが搬送される場合、この排出ローラ対の搬送力のみにより搬送され、フィルムリーダがある程度搬送されると、傾斜面によりフィルムリーダが自重滑走するように構成される。これにより、長さの長い写真フィルムであっても、排出ローラ対の搬送力のみによりフィルムストッカーへと送り込むことができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に長さの長い写真フィルムの場合、フィルム後端が排出ローラ対の近傍位置から完全に脱出しきれず、排出ローラ対の近傍に留まったままの状態になることがある。かかる場合、次のフィルムリーダ付き写真フィルムが排出ローラ対により排出されるとき、フィ−ダーの先端側と上記フィルム後端とが引っかかり、フィルムリーダの搬送不良を発生する可能性がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、フィルムプロセッサから排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムの後端が排出部の近傍に滞留していたとしても、次の搬送物の排出動作に悪影響を与えないようなフィルム処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るフィルム処理装置は、
未現像写真フィルムの先端側に案内用のフィルムリーダが連結された状態で現像処理を行なうフィルムプロセッサと、フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムを回収するフィルムストッカーとを備えたフィルム処理装置であって、
フィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が前記排出部の位置に残っている時に、後続して搬送されてくる搬送物と前記写真フィルムの後端が引っかかることを防止するためのフィルム押え機構を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
かかる構成によるフィルム処理装置の作用・効果を説明する。フィルムプロセッサで未現像写真フィルムの現像処理を行なうと、排出部から排出されフィルムストッカーへ回収される。フィルムプロセッサの排出部の位置にフィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が残っている場合は、フィルム押え機構によりフィルム後端を押圧するような機構が設けられる。このフィルム押え機構により、後続してフィルムリーダなどの搬送物が搬送されてきた時に、搬送物とフィルム後端が引っかからないような位置まで退避させることができる。その結果、フィルムプロセッサから排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムの後端が排出部の近傍に滞留していたとしても、次の搬送物の排出動作に悪影響を与えないようなフィルム処理装置を提供することができる。
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る別のフィルム処理装置は、
未現像写真フィルムの先端側に案内用のフィルムリーダが連結された状態で現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットとを備えたフィルム処理装置であって、
フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムストッカー側へ搬送するための第1搬送経路と、
フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムスキャナー側へ搬送するための第2搬送経路と、
フィルムプロセッサから排出された写真フィルムを第1搬送経路と第2搬送経路のいずれかに搬送するための経路切替機構と、
フィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が前記排出部の位置に残っている時に、後続して搬送されてくるフィルムリーダと前記写真フィルムの後端が引っかかることを防止するためのフィルム押え機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成によるフィルム処理装置の作用・効果を説明する。フィルムプロセッサで未現像写真フィルムの現像処理を行なうと、搬送ユニットを経由してフィルムスキャナーへ送られ、現像済み写真フィルムのコマ画像をスキャニングしてデジタルの画像データを取得する。写真フィルムをフィルムプロセッサ内で搬送するために、写真フィルムの先頭側にはフィルムリーダと呼ばれる案内部材が連結される。通常、フィルムリーダは写真フィルムよりも幅広に設定されており、このフィルムリーダはフィルムスキャナーに写真フィルムを送り込む前に、適宜の方法で写真フィルムから分離される。また、現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーの方向に送り込まない場合もあり、その場合は、フィルムリーダ付きのままでフィルムストッカーへと回収する。すなわち、フィルムプロセッサの排出部から排出された写真フィルムは、フィルムストッカーへ回収する場合には第1搬送経路を用いて搬送し、フィルムスキャナーへ送り込む場合は第2搬送経路を用いて搬送する。そのために、経路切替機構が設けられており、いずれかの経路を選択するように構成されている。
【0011】
フィルムプロセッサの排出部の位置にフィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が残っている場合は、フィルム押え機構によりフィルム後端を押圧するような機構が設けられる。このフィルム押え機構により、後続してフィルムリーダなどの搬送物が搬送されてきた時に、搬送物とフィルム後端が引っかからないような位置まで退避させることができる。その結果、フィルムプロセッサから排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムの後端が排出部の近傍に滞留していたとしても、次の搬送物の排出動作に悪影響を与えないようなフィルム処理装置を提供することができる。
【0012】
本発明に係るフィルム押え機構は、前記排出部に設けられた排出ローラ対の排出側に所定軸芯周りに回動可能な押えローラユニットを備え、この押えローラユニットに設けられている押えローラにより、フィルムリーダの通過予定経路外にフィルム後端を退避させることが好ましい。
【0013】
排出部には排出ローラ対が設けられており、この排出ローラ対によりフィルムリーダ付の現像済み写真フィルムが排出される。また、排出部の排出側に押えローラユニットが設けられており、押えローラによりフィルム後端を押え付け、フィルムリーダの通過予定経路外に退避させることができる。これにより、確実にフィルムリーダとフィルム後端の引っかかりを防止することができる。
【0014】
本発明に係る押えローラユニットは、自重により、フィルム後端を押圧することが好ましい。
【0015】
自重により押圧力を作用させるようにしているので、押えスプリングなどの部材を取り付ける必要がなく、フィルム押え機構の構成を簡素化することができる。
【0016】
本発明に係る押えローラユニットは、排出ローラ対の駆動側ローラもしくは圧着側ローラの軸芯周りに回動自在に軸支されていることが好ましい。
【0017】
排出ローラ対は、駆動側ローラと圧着側ローラにより構成され、これらローラ対によりフィルムリーダ付き写真フィルムを挟持しながら排出する。また、押えローラユニットを回動自在に軸支する場合、これらローラ対のいずれか一方の軸芯を用いて軸支するようにすれば、部品点数を削減し、構成を簡素化することができる。
【0018】
本発明に係る押えローラユニットは、押えローラと排出ローラ対の間に位置する案内ローラを備えており、この案内ローラは、前記所定軸芯周りに回動可能に軸支され、押えローラは、この案内ローラの軸芯に対して回動可能に軸支され、フィルムリーダが排出ローラ対により排出されてきた時に、押えローラによりフィルム後端を押圧した状態で、案内ローラがフィルムリーダの先端部により持ち上げられるように構成したことが好ましい。
【0019】
この構成によると、押えローラユニットは案内ローラと押えローラを備えている。案内ローラは、排出ローラ対のいずれかの軸芯に対して回動可能であり、共通の軸芯を用いることで、構成を簡素化することができる。また、押えローラは案内ローラに対して軸支されている。この構成によると、排出ローラ対からフィルムリーダが排出されると、フィルムリーダの先端部により案内ローラが持ち上げられる。持ち上げの最初の時点では、押えローラが案内ローラに対して軸支されているため、押えローラによりしばらくの間は、フィルム後端を押圧することができる。これにより、フィルム後端にフィルムリーダの先端部が引っかからない状態で排出させることができる。
【0020】
本発明において、排出ローラ対によりフィルムリーダの排出動作を行なっていない時、押えローラは、案内ローラよりも下方に位置していることが好ましい。
【0021】
かかる配置構成とすることで、フィルム後端を押えローラにより確実に押圧させることができ、フィルムリーダが排出されてきた時に、フィルムリーダにより案内ローラの部分を持ち上げさせることができ、フィルムリーダとフィルム後端が引っかからないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係るフィルム処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受け付け可能なPC端末等)を有するものであってもよい。
【0023】
<システムの全体構成>
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサFPと、このフィルムプロセッサFPにより現像処理された現像済み写真フィルムのコマ画像を光電変換によりデジタルの画像データとして取得するためのフィルムスキャナーFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSの供給部へ搬送するための搬送ユニットFCを備えている。
【0024】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダー管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにより印画紙等のプリント媒体に画像がプリントされる。オーダー管理・制御は、画像データをオーダー単位で管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0025】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を使用するものに限定されず、インクジェット型、昇華型のプリント作成装置を用いてもよい。
【0026】
本発明において、フィルムプロセッサFPにより現像処理される前の写真フィルム(コマ画像が潜像状態のもの)を特に未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPにより現像処理された後の写真フィルム(コマ画像が顕在化したもの)を特に現像済み写真フィルムと称することがある。
【0027】
<フィルムプロセッサ>
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16aと複数の操作ボタン16bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済み写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18が形成されている。
【0028】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11aを備え、フィルムカートリッジCa(もしくはパトローネ)に収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、写真フィルムの後端を切断する切断ユニット11bを備える。
【0029】
また、写真フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送される写真フィルムの先端及び後端の通過を検出するローディングセンサー11cを備える。ローディングセンサー11cは、一対の光学式センサー(受光式、投光式)で構成される。このローディングセンサー11cは、フィルム先端位置(もしくはフィルムリーダの先端位置)とフィルム後端位置を検出することができる。これら検出された先端位置と後端位置情報に基づいて、写真フィルムの長さ情報を演算する。
【0030】
APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出した写真フィルムの先端にフィルムリーダLを取り付け、蓋体11aを開放して、このフィルムリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。写真フィルムFとフィルムリーダLとを接続した状態を図3に示す。フィルムリーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状部材であり、写真フィルムFよりも大きな幅寸法を有する。フィルムリーダLには、多数のパーフォレーションLaが形成されており、このパーフォレーションLaと噛み合うスプロケットにより、写真フィルムFはフィルムプロセッサFP内を搬送される。かかるパーフォレーションLaを設けることで、フィルムプロセッサFP内をすべりが生じることなく確実に写真フィルムを案内することができる。
【0031】
パーフォレーションLaは、図示のようにフィルムリーダLの中央ではなく、幅方向の片側端部(図3(b)参照)あるいは両端部に形成されていてもよい。写真フィルムFとフィルムリーダLとの連結は、図3(a)に示すように、フィルムリーダLに形成された係合突起を写真フィルムFに形成された孔に挿入することで連結してもよいし、図3(b)に示すように、粘着テープTにより写真フィルムFの先端部とフィルムリーダLとを連結してもよい。使用されるフィルムリーダLの形状・大きさは予め決まっている。また、フィルムリーダLと写真フィルムFの連結は治具を用いて行なうため、フィルムリーダLに対する写真フィルムFの連結位置(貼り付け位置)も予め決まっている。
【0032】
フィルムリーダL付きの写真フィルムFをセットして、蓋体11aを閉じた後、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からフィルムリーダLを先頭にして写真フィルムが排出される。この場合、カートリッジ検出手段11dがカートリッジCaを検出して、次いで、蓋体11aを閉じると、ローディングが開始され、写真フィルムFが搬送開始される。
【0033】
制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。フィルム駆動機構11eが、フィルムリーダL及び写真フィルムFを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディングセンサー11cが搬送されてきたフィルムリーダL及び写真フィルムの先端を検出すると、現像処理部12及び乾燥処理部13の搬送機構15が駆動され、フィルムリーダL及び写真フィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。なお、フィルムプロセッサFPでの「ローディング」とは、フィルムカートリッジCaから写真フィルムがフィルム駆動機構11eによって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。
【0034】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、フィルムリーダL及び写真フィルムを搬送するためフィルムリーダLのパーフォレーションLaと係合する複数のスプロケット機構と圧着ローラ機構15aを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきた写真フィルムを乾燥するブロワ13aを備える。同様に、乾燥処理部13にも上記スプロケット機構と圧着ローラ機構が備えられている。搬送機構15は、スプロケット機構と圧着ローラ機構15aと、これらを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備えている。
【0035】
排出部14には、現像済み写真フィルムをフィルムプロセッサFPから排出するための排出ローラ対15bが設けられている。排出ローラ対15bにより排出された写真フィルムは、搬送ユニットFCに受け渡されフィルムスキャナーFSへと搬送されることになる。
【0036】
フィルムスキャナーFSは、図1,2に示すように、スキャナー本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナー本体の内部にスキャナー制御部25(制御ユニット)を配置している。フィルムスキャナーFSは、フィルムプロセッサFPに固定されており、排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0037】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済み写真フィルムの供給部21aを形成し、この供給部21aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21に写真フィルムを送り出す前に、搬送ユニットFCにおいて写真フィルムからフィルムリーダLを切り離す処理がなされる。また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21bを駆動する搬送モータ(不図示)を備える。
【0038】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、写真フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0039】
<搬送ユニットの構成>
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSへ搬送するための搬送ユニットFCの構成を図4により説明する。図4に示すように、フィルムプロセッサFPの排出部14には、排出ローラ対15bが設けられている。
【0040】
搬送ユニットFCは、フレームに固定された搬送ブロックBと、所定の軸芯周りに回転可能に取り付けられたチャッカーCとを備えている。搬送ブロックBの下側のブロック部の上流側端部には、フィルムガイド30が設けられており、軸芯30a周りに回転可能に軸支されている。フィルムガイド30は、搬送すべき写真フィルムの幅寸法に対応したガイド部を備えており、図4に示す第1位置と想像線で示す第2位置との間をガイド切替ソレノイド31によりいずれかの位置に切り替えられる。これらフィルムガイド30及び切替ソレノイド31は、経路切替機構に相当する。第1位置にセットされているときは、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの方向に導くことができる。この場合の経路は、第2搬送経路に相当する。第2位置にセットしているときは、写真フィルムはフィルムストッカー18に排出される。この場合の経路は、第1搬送経路に相当する。
【0041】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、第1搬送経路を経由して、そのままフィルムスキャナーFSへと送り込むことができる。ただし、写真フィルムの現像処理のみを行う場合(例えば、写真プリントの作成依頼がない場合)や、フィルムスキャナー側にトラブルが生じて写真フィルムを送り込めない場合などは、現像済み写真フィルムは、フィルムスキャナーFSへ送り込まず、フィルムストッカー18に回収する。この場合、フィルムリーダ付き写真フィルムは、第2搬送経路に沿って搬送される。
【0042】
フィルムリーダ付き写真フィルムが排出部14から排出され、フィルムスキャナーFS側に自動挿入されずに、フィルムストッカー18に排出される機構について説明する。
【0043】
フィルムストッカー18は、図4A及び図4Bに示すように、プロセッサ本体の上部に位置する。ガイド部18Gは、排出部14から排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムを案内するものであり、フィルムリーダLの幅方向の両端部分に接触して案内する。図番18GSは、排出部14から排出されたフィルムリーダ付き写真フィルムの先端(すなわち、フィルムリーダL)を上方向に案内する傾斜面を形成している。ガイド部18Gの搬送方向に沿って、写真フィルムが上下方向に通過するようにスリットが形成され、フィルムリーダLは通過できないように形成されている。
【0044】
図4に示すように、フィルムリーダLの先端がガイド部18Gの傾斜面18GSで案内されることで上方に持ち上げられ、ガイド部18Gの最大頂点部18GTを越えるとフィルムリーダLの自重と、排出ローラ対15bの押し出し力によって、ガイド部18Gを滑り落ち、保持部18Kに送り込まれる。このフィルムリーダLに連結された写真フィルムは、上述したスリット空間から収納空間に落とし込まれる。
【0045】
ガイド部18Gの形状は、フィルム処理装置FAの全体的構成により設定されており、写真フィルムの長さが所定長さ以上であれば、排出ローラ対15bの押し出し力によって、ガイド部18Gの最大頂点部18GTを乗り越え、フィルムリーダLの自重によって、ガイド部18Gを滑り落ちるように構成されている。
【0046】
排出部14の排出ローラ対15bには、フィルム押え機構80(押えローラユニット)が設けられており、フィルムストッカー18側に排出された写真フィルムの後端部を押圧し、その後に搬送されてくるフィルムリーダLの先端部が引っかかることを防止する。このフィルム押え機構80の詳細については後述する。
【0047】
搬送経路に沿って、上流側の搬送ローラ対32aと下流側の搬送ローラ対32bとからなるローラ搬送機構32が設けられている。各搬送ローラ対32a,32bは、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1(図5参照)により同期駆動される。下流側の搬送ローラ対32bの上流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサーは、発光素子と受光素子からなる光センサーであり、写真フィルムやフィルムリーダがセンサー位置を通過すると、透光状態から遮光状態に切り換わることで検出を行なう。第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34は、図4の紙面に直交する方向から見ると同じ位置に配置されているが、幅方向において異なる位置に配置されており、写真フィルムとフィルムリーダを別々に検出することができる。
【0048】
下流側搬送ローラ対32bの更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ36により駆動される。カットされたフィルムリーダはリーダーストッカー19に回収される。カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサー37が設けられており、フィルムリーダの先端や写真フィルムの先端を検出する。第2フィルムセンサー37も第1フィルムセンサー33と同様の光センサーで構成することができる。
【0049】
チャッカーCはフィルムリーダが切り離された写真フィルムの先端部を挟持ローラ対40により挟持し、フィルムスキャナーFSの供給部21aへと搬送する。チャッカーCは、チャッカー駆動モータ(不図示)により軸芯41回りに回転可能に設けられている。チャッカーCは、図4に示すような写真フィルムを受け取る受け取り位置と、写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡し可能な受け渡し位置の間を回転可能であり、更に、ループボックス50内にループを形成するためにループ形成位置において中間停止することができる。
【0050】
搬送ユニットFCの右側の空間はループボックス50であり、写真フィルムがループを形成するための空間部が形成されている。搬送ユニットFCの上部には、第1ガイド部60と第2ガイド部61が設けられており、夫々写真フィルムを搬送するための搬送経路60a,61aが形成されている。チャッカーCが受け渡し位置に回転してきたときは、第2ガイド部61は経路外に退避するように移動し、第1ガイド部60の搬送経路60aに写真フィルムが受け渡される。
【0051】
ループボックス50の上方には第1排出経路51と第2排出経路52が設けられている。フィルムスキャナーFSによるコマ画像の読み取りが終了した写真フィルムは、第1ガイド部60と第2ガイド部61を逆方向に搬送され、第1排出経路51へと導かれる。第1排出経路51の終端はフィルムストッカー18へと連結されており、スキャニングを終了した写真フィルムはフィルムストッカー18に回収される。
【0052】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、搬送ユニットFCを介して自動的にフィルムスキャナーFSに送り込まれるが、手動でフィルムスキャナーFSに写真フィルムを供給することもできる。この場合は、第2ガイド部61を開いて、手動で写真フィルムを第1ガイド部60を介して供給部21aから供給する。例えば、焼き増しプリントの依頼で写真フィルムの現像処理を行わない場合は、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに供給する。手動で挿入された写真フィルムは、第2排出経路52から排出されるように構成されている。
【0053】
フィルムスキャナーFSには、搬送経路に沿って搬送ローラ21bが配置されており、その途中に読み取り用の開口部21cが設けられる。この開口部21cの位置に読み取り光軸SLが設定される。供給部21aには、ローディングセンサー26が設けられており、写真フィルムの先端が搬送されてきたことを検出する。この検出に基づいて、各搬送ローラ21bを回転させるための駆動モータを駆動する。また、ローディングセンサー26とは別にレディセンサー27が設けられており、このレディセンサー27による検出タイミングを基準として、写真フィルムの画像スキャニング開始が制御される。
【0054】
<制御ブロック構成>
次に、図5の制御ブロック図によりフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。まず、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17の主要な機能を説明する。フィルム端部検出部17aは、ローディングセンサー11cによる検出信号に基づいて、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端位置及び後端位置を検出する。フィルム長さ演算部17bは、フィルム端部検出部17aにより検出された先端位置と後端位置の情報に基づいて、写真フィルムの長さを演算する。実際にローディングセンサー11cにより検出されるのはフィルムリーダの先端であるが、フィルムリーダの大きさは予め分かっているため、その分を差し引くことで写真フィルムの長さを演算することができる。通信制御部17cは、搬送ユニットFCやフィルムスキャナーFSとの通信を行う機能を有する。
【0055】
フィルム位置演算部17dは、写真フィルムの先端位置情報に基づいて、現像済み写真フィルムが搬送ユニットFC内に送り込まれてくるタイミングを演算する。具体的には、排出ローラ対15bから所定距離の位置に写真フィルム先端が到達したことを検出する。カウント部17eは、ローディングセンサー11cにより先端が検出された時点から予め設定された所定時間をカウントする。所定時間をカウント終了した時点で、写真フィルムの先端が排出ローラ対15bから所定距離の位置に到達していることになる。なお、時間をカウントするのではなく、搬送機構15による搬送量をカウントするように構成してもよい。
【0056】
搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止を含む駆動制御を統括的に行なう。また、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17及びフィルムスキャナーFSのスキャナー制御部25との通信を行なう。写真フィルムの位置情報や長さ情報は、制御ユニット17からの通信によりデータを受信することができる。
【0057】
搬送量演算部71は、写真フィルムの搬送量を演算する。搬送ユニットFCにおいて写真フィルムの搬送・停止の制御を行うためには、写真フィルムの搬送量を監視することが必要である。搬送量の演算は、各モータ(パルスモータ)を駆動するために供給される駆動パルスの数や、搬送ローラに連動して回転するエンコーダからの信号に基づいて、搬送量を演算することができる。あるいはタイマーによる時間カウントを行なって搬送量を演算してもよい。また、搬送量演算部71は、搬送される写真フィルムの長さをカウントする機能を有し、これに基づいて、搬送制御を行う。
【0058】
搬送制御部70は、ガイド切替ソレノイド31、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、チャッカーモータCM、カットモータ36に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、ローラ搬送機構32を駆動し、第2駆動モータM2と第3駆動モータM3はチャッカーCの挟持ローラ対40を駆動する。チャッカーC自身には駆動源は搭載されておらず、チャッカーCが受け取り位置にあるときは、第2駆動モータM2と挟持ローラ対40とが機械的に連結し、チャッカーCが受け渡し位置にあるときは、第3駆動モータM3と挟持ローラ対40とが機械的に連結可能に構成されている。第2駆動モータM2と第3駆動モータM3は、搬送ユニットFCのフレームに対して固定されている。
【0059】
第1・第2フィルムセンサー33,37については既に説明した通り、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端・後端の検出を行なう。ホームリミットスイッチ35aは、カッター35がホーム位置にあるか否かを検出する。ホームリミットスイッチ35aは機械的にカッター35を検出するものであるが、光センサーなど他のタイプのセンサーを用いてもよい。
【0060】
ホームセンサー38は、チャッカーCが受け取り位置(ホーム位置)にいることを検出するためのセンサーである。ガイド検出センサー62は、第1ガイド部60が閉じているか否かを検出するためのセンサーである。第1ガイド部60が閉じているときに、チャッカーCにより写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡すことができる。以上の各センサー信号は、搬送制御部70に送信され、これらの検出結果に基づいて、ソレノイドやモータの駆動制御が行なわれる。
【0061】
<フィルム押え機構の構成>
次に、フィルム押え機構80の構成について説明する。フィルムストッカー18に写真フィルムが排出される場合、排出ローラ対15bの搬送力によりフィルムリーダ付き写真フィルムが搬送される。写真フィルムは、前述のようにスリットの間に収容されることになるが、フィルム後端が排出部14、特に、排出ローラ対15bの排出側近傍に残ったままの状態になると、次に搬送されてきたフィルムリーダLの先端部が、フィルム後端を引っ掛けてしまい搬送不良(詰まり)が発生する可能性がある。図6は、本発明によるフィルム押え機構が設けられていない場合であり、図示のF’のような状態で写真フィルムが残っていると、後続するフィルムリーダLにより引っ掛けてしまう。かかる課題を解決するために、フィルム押え機構80が設けられている。
【0062】
図7はフィルム押え機構80の構成を示す側面図であり、図8は正面図である。図7にも示すように、排出ローラ対15bは、下方側に位置する駆動ローラ150と上方側に位置する圧着ローラ151により構成され、これらローラ対に挟持される形でフィルムリーダLに連結された現像済み写真フィルムが排出される。フィルム押え機構80は、フィルム後端を押圧する押えローラ81と、フィルムリーダLにより押し上げられる案内ローラ82を備えている。
【0063】
図8に示すように、案内ローラ82は略コの字状の支持部材83により支軸84回りに回転自在に軸支されている。また、支持部材83は、圧着ローラ151の支軸152回りに回転自在に支持されている。更に、押えローラ81は、幅方向を一対の支持部材85により支軸86回りに回転自在に支持され、更に、支持部材85は、案内ローラ82の支軸84回りに回転自在に支持される。従って、フィルム押え機構80の全体及び案内ローラ82は、支軸152回りに回動可能であると共に、押えローラ81の全体は支軸84回りに回動可能に軸支される。また、押えローラ81に対向する位置にも押え補助ローラ87が設けられており、押えローラ81と押え補助ローラ87によりフィルム後端を挟持可能に構成されている。押え補助ローラ87は、フレーム部材88に対して回転自在に軸支されている。
【0064】
図7において、フィルム押え機構80はその自重により、支軸152回りに時計方向に回転しようとしており、そのため、フィルムリーダ付き写真フィルムの排出動作を行なっていない状態では、押えローラ81は、押え補助ローラ87に対して圧着する方向に移動しようとする。従って、この排出部14の近傍にフィルム後端が残ったままであると、フィルム後端が押えローラ81と押え補助ローラ87により圧着挟持される。また、案内ローラ84の外周は駆動ローラ150の外周と接触した状態となる。案内ローラ84は、圧着ローラ151と押えローラ81の中間的な位置に設けられており、これらの軸芯はほぼ45゜の傾斜線をなしている。また、高さ関係については、圧着ローラ151の軸芯152が最も高い位置にあり、ついで、案内ローラ82、押えローラ81となる。更に、案内ローラ82の支軸84は、駆動ローラ150と圧着ローラ151の接点よりも僅かに下方位置にある。
【0065】
図8に示すフィルム押え機構80の幅方向の長さは、写真フィルムの幅寸法に対応していればよい。すなわち、写真フィルムの幅とほぼ同一寸法とすることができる。排出ローラ対15bは、写真フィルムよりも幅広のフィルムリーダLを搬送するため、その幅方向寸法は、フィルム押え機構80の案内ローラ82や押えローラ81よりも長くなっている。
【0066】
次に、図9により、フィルム押え機構80の動作について説明する。図9Aは、フィルムリーダLの先端が排出ローラ対15bから排出されようとする状態を示している。また、フィルム後端が、押えローラ81と押え補助ローラ87により挟持されている。図9Bは、フィルムリーダLの先端が、排出ローラ対15bから排出され、案内ローラ82が持ち上げられ始めた状態を示す。最初に案内ローラ82が持ち上げられても、押えローラ81はフィルム後端を押圧したままである。従って、フィルム後端は、フィルムリーダLの通過予定経路外に退避させられていることになり、フィルムリーダLの先端がフィルム後端に引っかかることはない。
【0067】
図9Cは、更にフィルムリーダLが排出された状態を示す図である。この時、フィルムリーダLにより押えローラ81も持ち上げられているが、フィルム後端を抑えていた効果により、押えローラ81が持ち上げられた後も抑えられていたときの状態を保持している。また、押えローラ81が持ち上げられるときには、フィルムリーダLの先端が通過しており、仮に写真フィルムが浮き上がってきたとしても引っ掛かりが生じることはない。
【0068】
<フィルム処理装置の動作>
次に、フィルム処理装置FAの動作について簡単に説明する。図11は、フィルム処理装置FAの動作を説明するフローチャートである。図10A,10B,10Cは、搬送ユニットにおける動作を示す作動図である。
【0069】
フィルムプロセッサFPにおいて写真フィルムの現像処理が行われると(S1)、写真フィルムFはフィルムプロセッサFSの排出ローラ対15bにより排出され(S2)、搬送ユニットFC内へと送り込まれてくる。写真フィルムFをフィルムスキャナーFSへ搬送する場合は、フィルムガイド30は、図10に示すように、フィルムリーダLを案内可能な位置にセットされており、排出ローラ対15bの駆動により、搬送ブロックBへとフィルムリーダLが案内される(S3)。また、フィルム押え機構80を設けていることにより、フィルムストッカー18側の写真フィルムを引っ掛けることなく、フィルムリーダLの搬送が行なわれる。
【0070】
搬送ブロックBにおいては、フィルムリーダLと写真フィルムFは、ローラ搬送機構32により駆動され、所定の位置までフィルムリーダL及び写真フィルムFを搬送させて写真フィルムFを停止させる(S4)。フィルムリーダLを写真フィルムFと分離するため、カッター35を動作させて、フィルムリーダLを切り離す(S5)。分離されたフィルムリーダLは挟持ローラ対40により排出されて、リーダーストッカー19に回収される(S6)。
【0071】
引き続いて写真フィルムFのみを搬送する状態になり、チャッカーCの挟持ローラ対40により写真フィルムFの先端部を挟持する位置まで搬送する(S7)。次に、写真フィルムFを挟持した状態でチャッカー40を軸芯41周りに回転させる(S8)。チャッカーCは、まず図10に示すような中間位置に停止し、ループボックス50内に写真フィルムFのループを形成させる(S9,S10)。十分な量のループが形成されると、チャッカーCを再び回転させて、図11の状態にし、写真フィルムFを第1ガイド部60の搬送経路60aへと受け渡す(S11)。受け渡された写真フィルムFは、フィルムスキャナーFSへと搬送されて、コマ画像の読み取りが行なわれる(S12)。
【0072】
写真フィルムFの搬送動作を行なわせるにあたり、搬送ユニット内に設けられた各アクチュエータと各種センサーの出力に基づいて、各部の作動制御が行なわれる。
【0073】
<別実施形態>
本発明において処理対象となる写真フィルムは、ネガフィルムかポジフィルムか限定されるものではなく、また、135タイプやAPSタイプなどの適宜の種類の写真フィルムに対して応用することができる。
【0074】
フィルム押え機構の具体的な構成については、種々の変形例が可能である。例えば、支持部材85の回転支軸は案内ローラ82と同じでなくてもよい。また、支持部材83の回転支持も圧着ローラ151の支軸152と同じでなくてもよい。本実施形態では、フィルム押え機構80は、自重により回転するようにしているが、付勢用のスプリングを設けてもよい。
【0075】
本実施形態では、フィルムスキャナーFS、搬送ユニットFC、フィルムプロセッサFPが一体となったフィルム処理装置を説明したが、フィルムスキャナーFSが組み込まれていないフィルム処理装置の場合にも本発明は適用できる。この場合、フィルムプロセッサFPから排出されるフィルムリーダ付き写真フィルムは、フィルムストッカー18へと必ず回収されるが、この場合にも、排出部14の近傍にフィルム後端が残っていると、次に搬送されてくるフィルムリーダ付き写真フィルムと引っ掛かりが生じる可能性がある。従って、かかる構造を有するフィルム処理装置の場合にも、フィルム押え機構80を設けることで、現像済み写真フィルムの回収を支障なく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】フィルム処理装置を有するプリント処理システム全体の外観構成を示す図
【図2】フィルム処理装置の全体構成を示す断面図
【図3】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図4A】搬送ユニットの構成を示す断面図
【図4B】フィルムストッカーへの搬送経路を示す図
【図5】フィルム処理装置の制御機能を示すブロック図
【図6】フィルムリーダとフィルム後端が引っかかった状態を示す図
【図7】フィルム押え機構の構成を示す側面図
【図8】フィルム押え機構の構成を示す正面図
【図9A】フィルム押え機構の動作を説明する図(1)
【図9B】フィルム押え機構の動作を説明する図(2)
【図9C】フィルム押え機構の動作を説明する図(3)
【図10A】フィルム処理装置の動作を示す図(1)
【図10B】フィルム処理装置の動作を示す図(2)
【図10C】フィルム処理装置の動作を示す図(3)
【図11】フィルム処理装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0077】
1 プリント処理システム
14 排出部
15b 排出ローラ対
30 フィルムガイド
32 ローラ搬送機構
80 フィルム押え機構
81 押えローラ
82 案内ローラ
83 支持部材
84 支軸
85 支持部材
86 支軸
87 押え補助ローラ
F 写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FA フィルム処理装置
FC 搬送ユニット
FS フィルムスキャナー
L フィルムリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの先端側に案内用のフィルムリーダが連結された状態で現像処理を行なうフィルムプロセッサと、フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムを回収するフィルムストッカーとを備えたフィルム処理装置であって、
フィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が前記排出部の位置に残っている時に、後続して搬送されてくる搬送物と前記写真フィルムの後端が引っかかることを防止するためのフィルム押え機構を備えたことを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項2】
未現像写真フィルムの先端側に案内用のフィルムリーダが連結された状態で現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットとを備えたフィルム処理装置であって、
フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムストッカー側へ搬送するための第1搬送経路と、
フィルムプロセッサの排出部から排出されたフィルムリーダ付の写真フィルムをフィルムスキャナー側へ搬送するための第2搬送経路と、
フィルムプロセッサから排出された写真フィルムを第1搬送経路と第2搬送経路のいずれかに搬送するための経路切替機構と、
フィルムストッカー側へ排出された写真フィルムの後端が前記排出部の位置に残っている時に、後続して搬送されてくる搬送物と前記写真フィルムの後端が引っかかることを防止するためのフィルム押え機構と、を備えたことを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項3】
前記フィルム押え機構は、前記排出部に設けられた排出ローラ対の排出側に所定軸芯周りに回動可能な押えローラユニットを備え、この押えローラユニットに設けられている押えローラにより、フィルムリーダの通過予定経路外にフィルム後端を退避させることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム処理装置。
【請求項4】
前記押えローラユニットは、自重により、フィルム後端を押圧することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。
【請求項5】
前記押えローラユニットは、排出ローラ対の駆動側ローラもしくは圧着側ローラの軸芯周りに回動自在に軸支されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のフィルム処理装置。
【請求項6】
前記押えローラユニットは、押えローラと排出ローラ対の間に位置する案内ローラを備えており、この案内ローラは、前記所定軸芯周りに回動可能に軸支され、押えローラは、この案内ローラの軸芯に対して回動可能に軸支され、フィルムリーダが排出ローラ対により排出されてきた時に、押えローラによりフィルム後端を押圧した状態で、案内ローラがフィルムリーダの先端部により持ち上げられるように構成したことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。
【請求項7】
排出ローラ対によりフィルムリーダの排出動作を行なっていない時、押えローラは、案内ローラよりも下方に位置していることを特徴とする請求項6に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−233174(P2007−233174A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56584(P2006−56584)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】