フィルム包装体及びその製造方法
【課題】複数の被包装物を個別包装しながら結束できるフィルム包装体であって、個別包装部同士の結束力が高く、1枚の熱収縮性フィルムを用いて簡便なプロセスで製造可能なフィルム包装体を提供することである。
【解決手段】フィルム包装体10は、6つ以上の容器50と、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、容器50の全体を覆って装着されたフィルム包材11とを備え、フィルム包材11は、各容器50の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部12と、隔壁シール部12により形成された複数の個別包装部13とを有する。各個別包装部13は、複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がっていると共に、当該個別包装部13の列が、各個別包装部13の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部13同士が互いに接した状態で結束されている。
【解決手段】フィルム包装体10は、6つ以上の容器50と、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、容器50の全体を覆って装着されたフィルム包材11とを備え、フィルム包材11は、各容器50の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部12と、隔壁シール部12により形成された複数の個別包装部13とを有する。各個別包装部13は、複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がっていると共に、当該個別包装部13の列が、各個別包装部13の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部13同士が互いに接した状態で結束されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種飲料製品や各種トイレタリー製品等の物品を複数個一まとめにして結束包装するフィルム包装体が知られている。フィルム包装体を構成する樹脂フィルムには、例えば、被包装物の形状に追従して密着包装できる熱収縮性フィルムが好適に用いられる。これらフィルム包装体の幾つかは、複数の被包装物を個別包装可能な形態を有しており、当該形態のフィルム包装体は、特許文献にも開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、チューブ状熱収縮性フィルムの内面同士が、少なくとも1箇所でチューブの軸方向に接着されて、チューブの軸方向に並列する複数の円筒部が形成された被包装物包装用筒状チューブが開示されている。また、特許文献2には、熱収縮性フィルムの筒状体からなり、その上端部が複数の物品形状に対応させて溶断シールにより封止され、結束する複数の物品を分離して収容するように筒状体を区画するためのヒートシール部が設けられた複数物品結束包装材が開示されている。また、特許文献3には、2枚の熱収縮性フィルムからなり、一方のフィルムを折り返して複数の空間を形成した後、他方のフィルムを接着してなる包装用フィルム構造体が開示されている。また、特許文献4には、少なくとも2枚の熱収縮性フィルムからなり、例えば、ヒートシールにより各被包装物を個別に収容する複数の開口部が形成された熱収縮ホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61‐8560号公報
【特許文献2】実用新案登録第3025920号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110823号公報
【特許文献4】特表2010‐508217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に開示された包装体には、次のような課題がある。
まず、特許文献1,2の包装体は、1つの筒状熱収縮性フィルムを軸方向に沿ってシールすることで、単純に複数の収容部に分割した構造であるため、特に被包装物の重量が大きい場合や被包装物の数が多い場合には強度面で不安がある。一方、特許文献3の包装体は、構造が特殊であるため、製造プロセスが煩雑になると共に、包装できる被包装物が限定されるという問題がある。また、特許文献4の包装体は、複数のフィルムを用いて煩雑なプロセスで製造されるため、特にコスト面で問題がある。
【0006】
即ち、本発明の目的は、複数の被包装物を個別包装しながら結束できるフィルム包装体であって、個別包装部同士の結束力が高く、1枚の熱収縮性フィルムを用いて簡便なプロセスで所望形状に製造可能なフィルム包装体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィルム包装体は、3つ以上の被包装物と、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び各被包装物の側部を覆って装着されたフィルム包材とを備え、フィルム包材は、各被包装物の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部と、隔壁シール部により形成された複数の個別包装部とを有し、各個別包装部は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がっていると共に、当該個別包装部の列が、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、隔壁シール部によりフィルム包材が区分けされているので、複数の被包装物を個別包装することができる。また、上記構成では、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列が各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されているので、個別包装部同士の結束力が高い。さらに、上記構成のフィルム包装体は、1枚の熱収縮性フィルムを用いて簡便なプロセスで製造可能である。さらにまた、上記構成によれば、一列に繋がった個別包装部の列を各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折り曲げることで、所望形状のフィルム包装体が容易に得られる。
【0009】
また、互いに接する個別包装部のうち少なくとも一方に接着部が設けられ、当該接着部により互いに接する個別包装部同士が接着されていることが好ましい。当該構成によれば、個別包装部の列の折れ曲がり形状を維持し易く、個別包装部間の結束力をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係るフィルム包装体は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列を折り曲げて形成された第1及び第2の連続体を有し、各連続体は、それぞれ同数の個別包装部が直線状に並び、互いに対向して平行に配置されていると共に、対向する個別包装部同士が接した状態で互いに結束させた構成とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るフィルム包装体は、複数の連続体の並び方向の両側に跨って取り付けられた把手を備える構成とすることができる。当該構成によれば、例えば、把手を使用したときに、複数の連続体を並び方向の両側から狭持する力が作用するため、個別包装部同士の結束力がさらに向上する。
【0012】
また、本発明に係るフィルム包装体において、各個別包装部は、外周面に形成された開封手段を有することが好ましい。当該構成によれば、開封手段を使用して、被包装物を容易に個別開封できる。
【0013】
本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、所定の個別包装部に接着部を形成する工程と、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が接着部を介して互いに接着するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させる工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記製造方法によれば、個別包装部同士の結束力が高いフィルム包装体を1枚の熱収縮性フィルムを用いて容易に製造することができる。
【0015】
また、本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、第2中間生産物の作製後、複数の隔壁シール部を隔てた個別包装部同士が互いに接触するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させて、第3中間生産物を作製する工程と、第3中間生産物の折れ曲がり形状を維持する挟持部材を取り付ける工程と、を含む方法とすることができる。
【0016】
また、本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、被包装物に長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程において、被包装物の全体が被覆されるように筒状に形成した長尺状熱収縮性フィルムを被せ、隔壁シール部の形成前に、筒状に形成した複数の被包装物を包み込んだ長尺状熱収縮性フィルムの長手方向に沿って、センターシール部を形成する工程をさらに含むことが好ましい。当該製造方法によれば、1枚の熱収縮性フィルムを用いて、被包装物の全体を被覆し密封した状態で個別包装可能なフィルム包装体を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るフィルム包装体によれば、複数の被包装物を個別包装しながら結束できる。そして、本発明に係るフィルム包装体は、個別包装部同士の結束力が高く、1枚の熱収縮性フィルムから簡便なプロセスで所望形状に製造可能である。
また、各個別包装部に開封手段を形成して、被包装物の個別開封が容易な構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態であるフィルム包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態であるフィルム包装体の底面図である。
【図3】本発明の実施形態であるフィルム包装体の製造過程を示す図であって、一列に並んだ被包装物をピロー包装して第1中間生産物を作製する工程を示す図である。
【図4】図3の第1中間生産物を所定のサイズにカットして得られた第2中間生産物を示す図である。
【図5】図4の第2中間生産物を折り曲げる様子を示す図である。
【図6】図3〜図5の工程を経て得られたフィルム包装体を示す図である。
【図7】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第1の変形例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第2の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第3の変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第4の変形例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第5の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明に係るフィルム包装体の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
実施形態では、被包装物として、略円柱形状の胴部、胴部よりも縮径した首部、及び胴部から首部に向かって次第に縮径した肩部を有する容器本体と、首部に取り付けられたキャップとで構成された容器50(図1及び図2)を例示する。また、図3〜図6では、被包装物として、上方に向かってやや縮径した略円柱形状の容器本体と、容器本体と等しい直径を有し、下方に向かってやや縮径した略円柱形状のキャップとで構成された容器60を例示する。ただし、被包装物の形態は特に限定されるものではない。
【0021】
なお、本明細書では、説明の便宜上、「上下」、「左右」等の方向を示す用語を使用するが、各構成要素と方向との関係が限定されるものではない。以下では、個別包装部13が繋がる方向を「左右方向(横方向)」、左右方向に直交する方向であって、隔壁シール部12が延びる方向に沿った方向を「上下方向」とする。
【0022】
まず初めに、図1及び図2を参照して、フィルム包装体10の構成を詳細に説明する。
【0023】
図1はフィルム包装体10の斜視図、図2はフィルム包装体10の底面図である。
図1及び図2に示すように、フィルム包装体10は、6つの容器50と、各容器50の全体、即ち容器50の上端部51、下端部52、及び側部53を覆って装着されたフィルム包材11とを備える。ここで、容器50では、キャップ側が上側、容器本体側が下側であり、容器50の上端に位置する部分を上端部51、下端に位置する部分を下端部52、上下方向に沿った部分を側部53として説明する(容器60についても同様)。
【0024】
フィルム包装体10は、6つの容器50を個別包装する包装体である。フィルム包材11は、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各容器50の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部12と、隔壁シール部12により形成された個別包装部13とを有する。また、フィルム包材11は、センターシール部14と、側端シール部15,16とを有し、6つの個別包装部13で各容器50の全体をそれぞれ覆って個別包装している。
【0025】
また、フィルム包装体10は、6つの個別包装部13が複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がった形状を有している。そして、隔壁シール部12を介して繋がった個別包装部13の列が、各個別包装部13の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部13を隔てて繋がった個別包装部13同士が互いに接した状態で結束された形状を有する。
【0026】
具体的に、フィルム包装体10は、個別包装部13の列を2箇所で折り曲げて形成された第1及び第2の連続体17,18を有する。連続体17,18は、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並んで繋がった形状を有し、互いに対向して平行に配置されている。そして、連続体17,18は、対向する個別包装部13同士が接触した状態で互いに結束されている。
【0027】
以下では、6つの個別包装部13を区別して説明するときには、連続体17の左から順に、符号に「a〜f」を付して説明する。
【0028】
隔壁シール部12は、フィルム包材11を区分けするためのシール部であって、各容器50の間に上下方向に沿って形成されている。隔壁シール部12は、通常、熱収縮性フィルムの内面同士をヒートシールすることで形成される。センターシール部14、及び側端シール部15,16も、隔壁シール部12と同様に、ヒートシールによって形成される。センターシール部14は、フィルム包材11の下端を塞ぐためのシール部であって、個別包装部13aから個別包装部13fまで連続して形成されている。一方、側端シール部15,16は、フィルム包材11の両側端を塞ぐためのシール部であって、個別包装部13の列の端に位置する個別包装部13a,13fにそれぞれ設けられている。
【0029】
個別包装部13b,13c,13d,13eの4つは、両側に隔壁シール部12が形成され、下端にセンターシール部14が形成されて密封された容器50の収容空間を含む。一方、個別包装部13a,13fの2つは、側端シール部15,16、隔壁シール部12、及びセンターシール部14により密封された容器50の収容空間を含む。なお、各個別包装部13の収容空間は、互いに同一サイズである。
【0030】
連続体17,18は、複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がった個別包装部13の列を、図2に示すように、個別包装部13cと個別包装部13dとの間で折り曲げ、個別包装部13dと個別包装部13eとの間で同じ方向にさらに折り曲げて形成される。つまり、個別包装部13の列は2箇所で折り曲げられている。そして、フィルム包装体10は、個別包装部13の列がコの字状に折り曲げられた形状、即ち個別包装部13の列が中間部で180°折り返された形状を有する。
【0031】
連続体17,18は、連続体17の個別包装部13cと連続体18の個別包装部13dとが隔壁シール部12を介して連結されていると共に、個別包装部13aと個別包装部13f、及び個別包装部13bと個別包装部13eが互いに接した状態で結束されている。なお、個別包装部13aと個別包装部13fは、5つの隔壁シール部12を隔てて繋がっており、個別包装部13bと個別包装部13eは、3つの隔壁シール部12を隔てて繋がっている。
【0032】
具体的に、連続体17,18は、接着部19により互いに結束されている。接着部19は、例えば、個別包装部13a,13bの内周面に、接着剤(例えば、反応性ホットメルト接着剤、感圧接着剤等)を塗工する、又は粘着テープを貼着することで設けられる。ここで、個別包装部13の「内周面」とは、他の個別包装部13に接触可能な面、即ちフィルム包装体10の内側を向く面である。
【0033】
さらに、連続体17,18は、把手20により互いに結束される。把手20は、例えば、帯状の樹脂フィルムや紙材から構成され、その両端が個別包装部13b,13eの外周面にそれぞれ固定されている。つまり、把手20は、連続体17,18の並び方向の両側に跨って取り付けられている。ゆえに、把手20を使用してフィルム包装体10が上方に持ち上げられたときには、連続体17,18の並び方向の両側から力が作用する。ここで、個別包装部13の「外周面」とは、他の個別包装部13に接触しない面、即ちフィルム包装体10の外側を向く面である。
【0034】
以下、フィルム包装体10の上記各構成要素について補足説明する。
【0035】
フィルム包材11は、上記のように、1枚の熱収縮性フィルムから構成される。熱収縮性フィルムとしては、公知の樹脂フィルムを使用できる。例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂からなるフィルム、複数の樹脂の混合物からなるフィルム、複数のフィルムを積層した積層フィルム(異種積層フィルムを含む)が例示できる。熱収縮性フィルムの厚みとしては、10〜100μm程度であることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
【0036】
熱収縮性フィルムは、優れた熱収縮特性を発現するために、一軸延伸又は二軸延伸されることが好ましく、二軸延伸されることが特に好ましい。熱収縮性フィルムの熱収縮率としては、一軸延伸フィルムの場合、主延伸方向の熱収縮率が、20〜90%(90℃の温水に10秒間浸漬)であることが好ましく、40〜80%であることが特に好ましい。二軸延伸フィルムの場合、延伸方向の収縮率が、20〜90%(90℃の温水に10秒間浸漬)であることが好ましく、40〜80%であることが特に好ましい。また、熱収縮性フィルムには、商品名や商品イメージ等を表す文字や模様など所望の色相に調整した印刷層を形成することができる。印刷層は、所望のインキを用いて、グラビア印刷等の公知の方法により形成できる。
【0037】
また、個別包装部13は、開封手段として、外周面に形成された2本のミシン目線21と、各ミシン目線21の間に形成された指掛け孔22とを有する。ミシン目線21は、個別包装部13を開封する際に使用される切断補助線であって、例えば、個別包装部13の上下方向に沿って形成される。ミシン目線21の形態は、特に限定されず、例えば、切断部と非切断部とが直線状に交互に並んだ形態とすることができる。指掛け孔22は、ミシン目線21に沿って個別包装部13を切断するときに使用される貫通孔であって、ミシン目線21の上端位置に形成されている。当該構成によれば、2本のミシン目線21を使用して、被包装物を容易に個別開封できる。なお、指掛け孔22を有することで、例えば、フィルム包材11が被包装物の全体を被覆する形態であっても、ミシン目線を使用して個別包装部13を容易に開封できる。
【0038】
なお、隔壁シール部12に、ミシン目線21やハーフカット線等の切断補助線、或いは切れ込み(ノッチ)を形成して、容器50の個別包装形態を維持した状態で、各個別包装部13を分離可能な構成とすることもできる。
【0039】
次に、図3〜図6を参照して、フィルム包装体10の製造方法を例示する。
【0040】
図3は、一列に並んだ複数の容器60をピロー包装して、第1中間生産物31を作製する工程を示す図である。図4は、第1中間生産物31をカットして得られる第2中間生産物32を示す図であり、図5は、第2中間生産物32を折り曲げる様子を示す図である。
そして、図6は、図3〜図5の工程を経て得られたフィルム包装体10を示す図である。
なお、ここでは、被包装物として容器60を例示するが、被包装物以外の構成要素については、図1及び図2に例示する形態と同一の符号を使用する。また、製造途中においても、隔壁シール部12や個別包装部13の用語を使用する。
【0041】
図6に示すフィルム包装体10は、図3に示す第1中間生産物31から製造される。第1中間生産物31は、一列に並んだ複数の容器60の全体、即ち容器60の上端部61、下端部62、及び側部63を、長尺状熱収縮性フィルム30で包み込み、センターシール部14及び隔壁シール部12を形成して容器60を個別包装した所謂ピロー包装体である。第1中間生産物31を所定のサイズにカットして、図4に示す第2中間生産物32を作製し、第2中間生産物32を折り曲げて(図5参照)、熱収縮させることにより図6に示すフィルム包装体10が得られる。
【0042】
図3に示す第1中間生産物31は、以下のようにして得られる。
まず、一列に並んで連続搬送される複数の容器60に、長尺状熱収縮性フィルム30を被せる。長尺状熱収縮性フィルム30は、その長手方向と容器60の並び方向とを一致させた状態で、容器60の搬送速度に合わせて送り出され、複数の容器60を包むように被せられる。具体的には、長尺状熱収縮性フィルム30を、容器60の上方から被せて下端部62に回り込ませ、複数の容器60の全体を包み込む略円筒形状に形成する。そして、略円筒形状に形成した長尺状熱収縮性フィルム30の下端を、ヒートシールして長手方向に沿ったセンターシール部14を形成する。センターシール部14が形成されることで、複数の容器60が長尺状熱収縮性フィルム30の筒状体で包まれた形態が得られる。
【0043】
続いて、長尺状熱収縮性フィルム30の筒状体を、各容器60の間で、その径方向に沿ってヒートシールすることにより、該筒状体を区分けする隔壁シール部12が形成されると共に、各容器60を収容する個別包装部13が形成される。このようにして、複数の隔壁シール部12を介して個別包装部13が直線状に繋がった第1中間生産物31(ピロー包装体)が得られる。
【0044】
第1中間生産物31では、隔壁シール部12と容器60との間に所定の隙間が設けられていることが好ましい。つまり、第1中間生産物31の個別包装部13では、容器60が転倒しない範囲で、容器60が左右に動けるスペースを有することが好ましい。このように、個別包装部13のスペースに余裕を持たせることで、個別包装部13の列を容易に折り曲げることが可能になる。
【0045】
図4に示す第2中間生産物32は、所定の隔壁シール部12で第1中間生産物31を切断することにより得られる。図4では、6つの個別包装部13が一列に繋がった第2中間生産物32を例示しているが、第2中間生産物32のサイズは、第1中間生産物31の切断位置を調整することで適宜変更できる。第1中間生産物31は、所定の隔壁シール部12の左右方向中央部が上下方向に沿って切断されることで、複数の第2中間生産物32に分割され、このとき、第2中間生産物32の両側端に、側端シール部15,16が形成される。
【0046】
続いて、個別包装部13の内周面、例えば、個別包装部13a,13bの内周面に、反応性ホットメルト接着剤を塗工して接着部19を形成する。より詳しくは、接着部19は、第2中間生産物32を折り曲げたときに、個別包装部13e,13fにそれぞれ接触する個別包装部13a,13bの内周面に設けられる。
【0047】
次に、図5に示すように、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった個別包装部13同士が接着部19を介して互いに接着するように、各個別包装部13の間の2箇所で第2中間生産物32を折り曲げる。図5では、個別包装部13cと個別包装部13dとの間で折り曲げて、個別包装部13dと個別包装部13eとの間でさらに同じ方向に折り曲げて、個別包装部13aと個別包装部13fが接触するように折り返す様子を例示するが、フィルム包装体10の形状は、第2中間生産物32の折り曲げ方を調整することで適宜変更できる。このようにして、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並び、互いに対向して平行に配置された連続体17,18が形成される。
【0048】
なお、第2中間生成物32の折り曲げをさらに容易にするため、折り曲げ位置に対応する容器60同士の間隔を広く設定してもよい。つまり、折り曲げ位置に対応する個別包装部13(図5においては、個別包装部13c,13d,13e)の幅を、他の個別包装部13の幅よりも広く設定できる。
【0049】
次に、折り曲げられた第2中間生産物32を熱収縮させる。熱収縮処理は、例えば、第2中間生産物32をスチーム式や熱風式のシュリンクトンネルに通すことで行われる。つまり、個別包装部13同士が接着部19を介して互いに接着して、連続体17,18が結束された状態で熱収縮処理が行われる。最後に、連続体17,18の並び方向の両側に跨るように把手20を取り付けて、図6に示すフィルム包装体10が得られる。
【0050】
なお、2本のミシン目線21及び指掛け孔22を形成する場合には、長尺状熱収縮性フィルム30の段階で形成しておくことが好ましい。例えば、ミシン目線21は、切断線と非切断部とを交互に形成しておき、指掛け孔22は、各ミシン目線21を接続するように切断線を形成しておくことで、熱収縮性フィルムが熱収縮したときに切断線が広がって孔となる。
【0051】
以上のように、フィルム包装体10は、1枚の熱収縮性フィルムを用いて、被包装物をピロー包装し、ピロー包装体を折り曲げて熱収縮させるという簡便な方法で製造できる。フィルム包装体10によれば、複数の被包装物を個別包装しながら結束できる。そして、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった個別包装部13同士が接着部19により互いに接着されていると共に、個別包装部13が結束する方向に力が加わるように把手20が取り付けられているので、個別包装部13同士の高い結束力が得られる。また、フィルム包材11が熱収縮することで、個別包装部13間の結束力がさらに高まっている。
【0052】
フィルム包装体10によれば、個別包装部13のミシン目線21を使用して、各個別包装部13を容易に個別開封することができる。また、個別包装部13を個別開封した場合でも、連続体17,18の結束状態を維持することができる。
【0053】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で設計変更することができる。
【0054】
以下、図7〜図11を参照して、設計変更の例(変形例)を幾つか説明する。なお、図7〜図11では、フィルム包装体の各種形態を模式的に示しており(模式的な底面図)、アルファベットを用いて各個別包装部を区別する。また、斜線ハッチング部分が接着部100を、黒塗り部分が隔壁シール部を介して連結される部分101(以下、連結部101とする)をそれぞれ示す。
【0055】
例えば、上記実施形態では、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並んだ連続体17,18を有するものとして説明したが、図7に示すように、フィルム包装体70は、それぞれ4つの個別包装部73が直線状に並び、互いに対向して平行に配置された3列の連続体74,75,76を有する形態であってもよい。図7に例示する形態では、個別包装部73aと個別包装部73hとが接するように、個別包装部73の列が180°折り返されて連続体74,75が形成され、個別包装部73eと個別包装部73lとが接するように、個別包装部73の列が再び180°折り返されて連続体76が形成されている。そして、個別包装部73aと個別包装部73h、及び個別包装部73eと個別包装部73lが接着部100により接着されている。
【0056】
図8に示すように、さらに1列の連続体77を加え、4列の連続体74,75,76,77を有する形態とすることもできる。また、図8に例示する形態では、互いに接触する全ての個別包装部73が接着部100により接着されている。
なお、図2、図7、及び図8に示すように、個別包装部の全体の数、個別包装部の列の折り曲げ位置等を調整することで、連続体に含まれる個別包装部の数や連続体の列数を適宜変更することができる。
【0057】
また、上記では、被包装物として略円柱形状の容器50,60を例示したが、図9に示すように、被包装物の形状は、四角柱形状の容器81であってもよく、他の角柱形状(例えば、三角柱形状、六角柱形状)であってもよい。被包装物の形状が角柱形状であっても、図9に模式的に示すように、フィルム包材82が被包装物の形状に密着して装着される。また、図9に例示する形態では、複数の連結部101により一列に繋がった個別包装部83の列の一端を構成する個別包装部83iが、フィルム包装体80の中心に位置する。具体的に、フィルム包装体80は、個別包装部83cと個別包装部83dとの間、個別包装部83eと個別包装部83fとの間、個別包装部83gと個別包装部83hとの間、個別包装部83hと個別包装部83iとの間で、それぞれ同じ方向に折り曲げられた形状を有する。そして、個別包装部83aと個別包装部83h、及び個別包装部83dと個別包装部83iが接着部100により接着されている。
【0058】
また、上記では、フィルム包装体を底面から見たときに、全体として略四角形状を呈するように折り曲げられた形状を例示したが、図10に示すように、底面から見たときに略六角形状を呈するフィルム包装体90であってもよい。図10に例示する形態では、複数の連結部101により一列に繋がった個別包装部93の列が、全ての個別包装部93の間で折り曲げられた形状を有する。そして、図9に例示する形態と同様に、個別包装部93の列の一端を構成する個別包装部93gが、フィルム包装体90の中心に位置する。
なお、フィルム包装体を底面から見たときの形状は、特に限定されず、例えば、略円形状や略三角形状であってもよい。
【0059】
また、上記では、開封手段として、2本のミシン目線21と、各ミシン目線21の間に形成された指掛け孔22とを有する例を説明したが、開封手段は、これに限定されない。例えば、図11(図4に対応する図)に示すように、個別包装部13の繋がっている横方向に沿って1本又は複数本のミシン目線21x(例えば、2本)を設けてもよい。ミシン目線21xは、図3に示す工程において、長尺状熱収縮性フィルム30の長手方向(流れ方向)に沿って連続的に形成できる。このミシン目線21xに沿ってフィルム包材を切断することで、各個別包装部13の一部又は全部を開封することができる。
【0060】
また、上記では、接着部及び把手により各個別包装部を結束するものとして説明したが、接着部又は把手のいずれか一方により各個別包装部を結束する形態であってもよい。或いは、フィルム包装体の外周面にタックシールを貼着する等、その他の方法で各個別包装部を結束してもよい。ただし、熱収縮工程で結束力が存在しない場合には、所定の器具や設備で折り曲げ形状が崩れないように押さえた状態として熱収縮処理することが好ましい。
【0061】
また、各連続体の間に、例えば、吊り下げ用の台紙を挟んだ形態としてもよい。この形態では、例えば、台紙の表裏面に接着剤が塗工され、台紙を介して各連続体が互いに接着される。台紙は、吊り下げ用の貫通孔を有する台紙とすることができ、その表裏面に印刷が施されていてもよい。なお、台紙の形状や材質は、特に限定されない。例えば、フィルム包材と同様の樹脂等からなる樹脂製シートや紙材を主基材とするシートを用いることができる。
【0062】
また、上記では、被包装物の全体がフィルム包材によって覆われるものとして説明したが、被包装物の上端部又は下端部が被覆されない形態であってもよい。なお、当該形態では、センターシール工程が省略できる。また、熱収縮性フィルムとして、左右方向に熱収縮する一軸延伸フィルムを使用して良好な装着形態を得ることができる。
【0063】
また、上記では、フィルム包材11の上縁から下縁にかけて隔壁シール部12を設けたが、個別包装部の収納空間が損なわれない範囲内で、隔壁シール部をフィルム包材の上下方向に沿って部分的に(断続的に)設けてもよい。
【0064】
また、上記では、各個別包装部13の収納空間は互いに同一サイズとして説明したが、被包装物の形状に合わせて各個別収納部で収納空間のサイズを変更することもできる。
【0065】
また、上記では、センターシール部14は、フィルム包材11の下端を塞ぐためのシール部として説明したが、フィルム包材11の上端部(即ち、個別包装部の上端)又は側部に設けてもよい。この場合、フィルム包装体の底面側にフィルム包材の繋ぎ目がこないので、フィルム包装体を把持した際の強度がさらに向上する。
【符号の説明】
【0066】
10 フィルム包装体、11 フィルム包材、12 隔壁シール部、13(13a〜13f) 個別包装部、14 センターシール部、15,16 側端シール部、17,18 連続体、19 接着部、20 把手、21 ミシン目線、22 指掛け孔、30 長尺状熱収縮性フィルム、31 第1中間生産物、32 第2中間生産物、50,60 容器、51,61 上端部、52,62 下端部、53,63 側部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種飲料製品や各種トイレタリー製品等の物品を複数個一まとめにして結束包装するフィルム包装体が知られている。フィルム包装体を構成する樹脂フィルムには、例えば、被包装物の形状に追従して密着包装できる熱収縮性フィルムが好適に用いられる。これらフィルム包装体の幾つかは、複数の被包装物を個別包装可能な形態を有しており、当該形態のフィルム包装体は、特許文献にも開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、チューブ状熱収縮性フィルムの内面同士が、少なくとも1箇所でチューブの軸方向に接着されて、チューブの軸方向に並列する複数の円筒部が形成された被包装物包装用筒状チューブが開示されている。また、特許文献2には、熱収縮性フィルムの筒状体からなり、その上端部が複数の物品形状に対応させて溶断シールにより封止され、結束する複数の物品を分離して収容するように筒状体を区画するためのヒートシール部が設けられた複数物品結束包装材が開示されている。また、特許文献3には、2枚の熱収縮性フィルムからなり、一方のフィルムを折り返して複数の空間を形成した後、他方のフィルムを接着してなる包装用フィルム構造体が開示されている。また、特許文献4には、少なくとも2枚の熱収縮性フィルムからなり、例えば、ヒートシールにより各被包装物を個別に収容する複数の開口部が形成された熱収縮ホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61‐8560号公報
【特許文献2】実用新案登録第3025920号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110823号公報
【特許文献4】特表2010‐508217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に開示された包装体には、次のような課題がある。
まず、特許文献1,2の包装体は、1つの筒状熱収縮性フィルムを軸方向に沿ってシールすることで、単純に複数の収容部に分割した構造であるため、特に被包装物の重量が大きい場合や被包装物の数が多い場合には強度面で不安がある。一方、特許文献3の包装体は、構造が特殊であるため、製造プロセスが煩雑になると共に、包装できる被包装物が限定されるという問題がある。また、特許文献4の包装体は、複数のフィルムを用いて煩雑なプロセスで製造されるため、特にコスト面で問題がある。
【0006】
即ち、本発明の目的は、複数の被包装物を個別包装しながら結束できるフィルム包装体であって、個別包装部同士の結束力が高く、1枚の熱収縮性フィルムを用いて簡便なプロセスで所望形状に製造可能なフィルム包装体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィルム包装体は、3つ以上の被包装物と、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び各被包装物の側部を覆って装着されたフィルム包材とを備え、フィルム包材は、各被包装物の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部と、隔壁シール部により形成された複数の個別包装部とを有し、各個別包装部は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がっていると共に、当該個別包装部の列が、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、隔壁シール部によりフィルム包材が区分けされているので、複数の被包装物を個別包装することができる。また、上記構成では、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列が各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されているので、個別包装部同士の結束力が高い。さらに、上記構成のフィルム包装体は、1枚の熱収縮性フィルムを用いて簡便なプロセスで製造可能である。さらにまた、上記構成によれば、一列に繋がった個別包装部の列を各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折り曲げることで、所望形状のフィルム包装体が容易に得られる。
【0009】
また、互いに接する個別包装部のうち少なくとも一方に接着部が設けられ、当該接着部により互いに接する個別包装部同士が接着されていることが好ましい。当該構成によれば、個別包装部の列の折れ曲がり形状を維持し易く、個別包装部間の結束力をさらに向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係るフィルム包装体は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列を折り曲げて形成された第1及び第2の連続体を有し、各連続体は、それぞれ同数の個別包装部が直線状に並び、互いに対向して平行に配置されていると共に、対向する個別包装部同士が接した状態で互いに結束させた構成とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るフィルム包装体は、複数の連続体の並び方向の両側に跨って取り付けられた把手を備える構成とすることができる。当該構成によれば、例えば、把手を使用したときに、複数の連続体を並び方向の両側から狭持する力が作用するため、個別包装部同士の結束力がさらに向上する。
【0012】
また、本発明に係るフィルム包装体において、各個別包装部は、外周面に形成された開封手段を有することが好ましい。当該構成によれば、開封手段を使用して、被包装物を容易に個別開封できる。
【0013】
本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、所定の個別包装部に接着部を形成する工程と、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が接着部を介して互いに接着するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させる工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記製造方法によれば、個別包装部同士の結束力が高いフィルム包装体を1枚の熱収縮性フィルムを用いて容易に製造することができる。
【0015】
また、本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、第2中間生産物の作製後、複数の隔壁シール部を隔てた個別包装部同士が互いに接触するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させて、第3中間生産物を作製する工程と、第3中間生産物の折れ曲がり形状を維持する挟持部材を取り付ける工程と、を含む方法とすることができる。
【0016】
また、本発明に係るフィルム包装体の製造方法は、被包装物に長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程において、被包装物の全体が被覆されるように筒状に形成した長尺状熱収縮性フィルムを被せ、隔壁シール部の形成前に、筒状に形成した複数の被包装物を包み込んだ長尺状熱収縮性フィルムの長手方向に沿って、センターシール部を形成する工程をさらに含むことが好ましい。当該製造方法によれば、1枚の熱収縮性フィルムを用いて、被包装物の全体を被覆し密封した状態で個別包装可能なフィルム包装体を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るフィルム包装体によれば、複数の被包装物を個別包装しながら結束できる。そして、本発明に係るフィルム包装体は、個別包装部同士の結束力が高く、1枚の熱収縮性フィルムから簡便なプロセスで所望形状に製造可能である。
また、各個別包装部に開封手段を形成して、被包装物の個別開封が容易な構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態であるフィルム包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態であるフィルム包装体の底面図である。
【図3】本発明の実施形態であるフィルム包装体の製造過程を示す図であって、一列に並んだ被包装物をピロー包装して第1中間生産物を作製する工程を示す図である。
【図4】図3の第1中間生産物を所定のサイズにカットして得られた第2中間生産物を示す図である。
【図5】図4の第2中間生産物を折り曲げる様子を示す図である。
【図6】図3〜図5の工程を経て得られたフィルム包装体を示す図である。
【図7】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第1の変形例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第2の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第3の変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第4の変形例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態であるフィルム包装体の第5の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明に係るフィルム包装体の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
実施形態では、被包装物として、略円柱形状の胴部、胴部よりも縮径した首部、及び胴部から首部に向かって次第に縮径した肩部を有する容器本体と、首部に取り付けられたキャップとで構成された容器50(図1及び図2)を例示する。また、図3〜図6では、被包装物として、上方に向かってやや縮径した略円柱形状の容器本体と、容器本体と等しい直径を有し、下方に向かってやや縮径した略円柱形状のキャップとで構成された容器60を例示する。ただし、被包装物の形態は特に限定されるものではない。
【0021】
なお、本明細書では、説明の便宜上、「上下」、「左右」等の方向を示す用語を使用するが、各構成要素と方向との関係が限定されるものではない。以下では、個別包装部13が繋がる方向を「左右方向(横方向)」、左右方向に直交する方向であって、隔壁シール部12が延びる方向に沿った方向を「上下方向」とする。
【0022】
まず初めに、図1及び図2を参照して、フィルム包装体10の構成を詳細に説明する。
【0023】
図1はフィルム包装体10の斜視図、図2はフィルム包装体10の底面図である。
図1及び図2に示すように、フィルム包装体10は、6つの容器50と、各容器50の全体、即ち容器50の上端部51、下端部52、及び側部53を覆って装着されたフィルム包材11とを備える。ここで、容器50では、キャップ側が上側、容器本体側が下側であり、容器50の上端に位置する部分を上端部51、下端に位置する部分を下端部52、上下方向に沿った部分を側部53として説明する(容器60についても同様)。
【0024】
フィルム包装体10は、6つの容器50を個別包装する包装体である。フィルム包材11は、1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各容器50の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部12と、隔壁シール部12により形成された個別包装部13とを有する。また、フィルム包材11は、センターシール部14と、側端シール部15,16とを有し、6つの個別包装部13で各容器50の全体をそれぞれ覆って個別包装している。
【0025】
また、フィルム包装体10は、6つの個別包装部13が複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がった形状を有している。そして、隔壁シール部12を介して繋がった個別包装部13の列が、各個別包装部13の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部13を隔てて繋がった個別包装部13同士が互いに接した状態で結束された形状を有する。
【0026】
具体的に、フィルム包装体10は、個別包装部13の列を2箇所で折り曲げて形成された第1及び第2の連続体17,18を有する。連続体17,18は、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並んで繋がった形状を有し、互いに対向して平行に配置されている。そして、連続体17,18は、対向する個別包装部13同士が接触した状態で互いに結束されている。
【0027】
以下では、6つの個別包装部13を区別して説明するときには、連続体17の左から順に、符号に「a〜f」を付して説明する。
【0028】
隔壁シール部12は、フィルム包材11を区分けするためのシール部であって、各容器50の間に上下方向に沿って形成されている。隔壁シール部12は、通常、熱収縮性フィルムの内面同士をヒートシールすることで形成される。センターシール部14、及び側端シール部15,16も、隔壁シール部12と同様に、ヒートシールによって形成される。センターシール部14は、フィルム包材11の下端を塞ぐためのシール部であって、個別包装部13aから個別包装部13fまで連続して形成されている。一方、側端シール部15,16は、フィルム包材11の両側端を塞ぐためのシール部であって、個別包装部13の列の端に位置する個別包装部13a,13fにそれぞれ設けられている。
【0029】
個別包装部13b,13c,13d,13eの4つは、両側に隔壁シール部12が形成され、下端にセンターシール部14が形成されて密封された容器50の収容空間を含む。一方、個別包装部13a,13fの2つは、側端シール部15,16、隔壁シール部12、及びセンターシール部14により密封された容器50の収容空間を含む。なお、各個別包装部13の収容空間は、互いに同一サイズである。
【0030】
連続体17,18は、複数の隔壁シール部12を介して一列に繋がった個別包装部13の列を、図2に示すように、個別包装部13cと個別包装部13dとの間で折り曲げ、個別包装部13dと個別包装部13eとの間で同じ方向にさらに折り曲げて形成される。つまり、個別包装部13の列は2箇所で折り曲げられている。そして、フィルム包装体10は、個別包装部13の列がコの字状に折り曲げられた形状、即ち個別包装部13の列が中間部で180°折り返された形状を有する。
【0031】
連続体17,18は、連続体17の個別包装部13cと連続体18の個別包装部13dとが隔壁シール部12を介して連結されていると共に、個別包装部13aと個別包装部13f、及び個別包装部13bと個別包装部13eが互いに接した状態で結束されている。なお、個別包装部13aと個別包装部13fは、5つの隔壁シール部12を隔てて繋がっており、個別包装部13bと個別包装部13eは、3つの隔壁シール部12を隔てて繋がっている。
【0032】
具体的に、連続体17,18は、接着部19により互いに結束されている。接着部19は、例えば、個別包装部13a,13bの内周面に、接着剤(例えば、反応性ホットメルト接着剤、感圧接着剤等)を塗工する、又は粘着テープを貼着することで設けられる。ここで、個別包装部13の「内周面」とは、他の個別包装部13に接触可能な面、即ちフィルム包装体10の内側を向く面である。
【0033】
さらに、連続体17,18は、把手20により互いに結束される。把手20は、例えば、帯状の樹脂フィルムや紙材から構成され、その両端が個別包装部13b,13eの外周面にそれぞれ固定されている。つまり、把手20は、連続体17,18の並び方向の両側に跨って取り付けられている。ゆえに、把手20を使用してフィルム包装体10が上方に持ち上げられたときには、連続体17,18の並び方向の両側から力が作用する。ここで、個別包装部13の「外周面」とは、他の個別包装部13に接触しない面、即ちフィルム包装体10の外側を向く面である。
【0034】
以下、フィルム包装体10の上記各構成要素について補足説明する。
【0035】
フィルム包材11は、上記のように、1枚の熱収縮性フィルムから構成される。熱収縮性フィルムとしては、公知の樹脂フィルムを使用できる。例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂からなるフィルム、複数の樹脂の混合物からなるフィルム、複数のフィルムを積層した積層フィルム(異種積層フィルムを含む)が例示できる。熱収縮性フィルムの厚みとしては、10〜100μm程度であることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
【0036】
熱収縮性フィルムは、優れた熱収縮特性を発現するために、一軸延伸又は二軸延伸されることが好ましく、二軸延伸されることが特に好ましい。熱収縮性フィルムの熱収縮率としては、一軸延伸フィルムの場合、主延伸方向の熱収縮率が、20〜90%(90℃の温水に10秒間浸漬)であることが好ましく、40〜80%であることが特に好ましい。二軸延伸フィルムの場合、延伸方向の収縮率が、20〜90%(90℃の温水に10秒間浸漬)であることが好ましく、40〜80%であることが特に好ましい。また、熱収縮性フィルムには、商品名や商品イメージ等を表す文字や模様など所望の色相に調整した印刷層を形成することができる。印刷層は、所望のインキを用いて、グラビア印刷等の公知の方法により形成できる。
【0037】
また、個別包装部13は、開封手段として、外周面に形成された2本のミシン目線21と、各ミシン目線21の間に形成された指掛け孔22とを有する。ミシン目線21は、個別包装部13を開封する際に使用される切断補助線であって、例えば、個別包装部13の上下方向に沿って形成される。ミシン目線21の形態は、特に限定されず、例えば、切断部と非切断部とが直線状に交互に並んだ形態とすることができる。指掛け孔22は、ミシン目線21に沿って個別包装部13を切断するときに使用される貫通孔であって、ミシン目線21の上端位置に形成されている。当該構成によれば、2本のミシン目線21を使用して、被包装物を容易に個別開封できる。なお、指掛け孔22を有することで、例えば、フィルム包材11が被包装物の全体を被覆する形態であっても、ミシン目線を使用して個別包装部13を容易に開封できる。
【0038】
なお、隔壁シール部12に、ミシン目線21やハーフカット線等の切断補助線、或いは切れ込み(ノッチ)を形成して、容器50の個別包装形態を維持した状態で、各個別包装部13を分離可能な構成とすることもできる。
【0039】
次に、図3〜図6を参照して、フィルム包装体10の製造方法を例示する。
【0040】
図3は、一列に並んだ複数の容器60をピロー包装して、第1中間生産物31を作製する工程を示す図である。図4は、第1中間生産物31をカットして得られる第2中間生産物32を示す図であり、図5は、第2中間生産物32を折り曲げる様子を示す図である。
そして、図6は、図3〜図5の工程を経て得られたフィルム包装体10を示す図である。
なお、ここでは、被包装物として容器60を例示するが、被包装物以外の構成要素については、図1及び図2に例示する形態と同一の符号を使用する。また、製造途中においても、隔壁シール部12や個別包装部13の用語を使用する。
【0041】
図6に示すフィルム包装体10は、図3に示す第1中間生産物31から製造される。第1中間生産物31は、一列に並んだ複数の容器60の全体、即ち容器60の上端部61、下端部62、及び側部63を、長尺状熱収縮性フィルム30で包み込み、センターシール部14及び隔壁シール部12を形成して容器60を個別包装した所謂ピロー包装体である。第1中間生産物31を所定のサイズにカットして、図4に示す第2中間生産物32を作製し、第2中間生産物32を折り曲げて(図5参照)、熱収縮させることにより図6に示すフィルム包装体10が得られる。
【0042】
図3に示す第1中間生産物31は、以下のようにして得られる。
まず、一列に並んで連続搬送される複数の容器60に、長尺状熱収縮性フィルム30を被せる。長尺状熱収縮性フィルム30は、その長手方向と容器60の並び方向とを一致させた状態で、容器60の搬送速度に合わせて送り出され、複数の容器60を包むように被せられる。具体的には、長尺状熱収縮性フィルム30を、容器60の上方から被せて下端部62に回り込ませ、複数の容器60の全体を包み込む略円筒形状に形成する。そして、略円筒形状に形成した長尺状熱収縮性フィルム30の下端を、ヒートシールして長手方向に沿ったセンターシール部14を形成する。センターシール部14が形成されることで、複数の容器60が長尺状熱収縮性フィルム30の筒状体で包まれた形態が得られる。
【0043】
続いて、長尺状熱収縮性フィルム30の筒状体を、各容器60の間で、その径方向に沿ってヒートシールすることにより、該筒状体を区分けする隔壁シール部12が形成されると共に、各容器60を収容する個別包装部13が形成される。このようにして、複数の隔壁シール部12を介して個別包装部13が直線状に繋がった第1中間生産物31(ピロー包装体)が得られる。
【0044】
第1中間生産物31では、隔壁シール部12と容器60との間に所定の隙間が設けられていることが好ましい。つまり、第1中間生産物31の個別包装部13では、容器60が転倒しない範囲で、容器60が左右に動けるスペースを有することが好ましい。このように、個別包装部13のスペースに余裕を持たせることで、個別包装部13の列を容易に折り曲げることが可能になる。
【0045】
図4に示す第2中間生産物32は、所定の隔壁シール部12で第1中間生産物31を切断することにより得られる。図4では、6つの個別包装部13が一列に繋がった第2中間生産物32を例示しているが、第2中間生産物32のサイズは、第1中間生産物31の切断位置を調整することで適宜変更できる。第1中間生産物31は、所定の隔壁シール部12の左右方向中央部が上下方向に沿って切断されることで、複数の第2中間生産物32に分割され、このとき、第2中間生産物32の両側端に、側端シール部15,16が形成される。
【0046】
続いて、個別包装部13の内周面、例えば、個別包装部13a,13bの内周面に、反応性ホットメルト接着剤を塗工して接着部19を形成する。より詳しくは、接着部19は、第2中間生産物32を折り曲げたときに、個別包装部13e,13fにそれぞれ接触する個別包装部13a,13bの内周面に設けられる。
【0047】
次に、図5に示すように、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった個別包装部13同士が接着部19を介して互いに接着するように、各個別包装部13の間の2箇所で第2中間生産物32を折り曲げる。図5では、個別包装部13cと個別包装部13dとの間で折り曲げて、個別包装部13dと個別包装部13eとの間でさらに同じ方向に折り曲げて、個別包装部13aと個別包装部13fが接触するように折り返す様子を例示するが、フィルム包装体10の形状は、第2中間生産物32の折り曲げ方を調整することで適宜変更できる。このようにして、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並び、互いに対向して平行に配置された連続体17,18が形成される。
【0048】
なお、第2中間生成物32の折り曲げをさらに容易にするため、折り曲げ位置に対応する容器60同士の間隔を広く設定してもよい。つまり、折り曲げ位置に対応する個別包装部13(図5においては、個別包装部13c,13d,13e)の幅を、他の個別包装部13の幅よりも広く設定できる。
【0049】
次に、折り曲げられた第2中間生産物32を熱収縮させる。熱収縮処理は、例えば、第2中間生産物32をスチーム式や熱風式のシュリンクトンネルに通すことで行われる。つまり、個別包装部13同士が接着部19を介して互いに接着して、連続体17,18が結束された状態で熱収縮処理が行われる。最後に、連続体17,18の並び方向の両側に跨るように把手20を取り付けて、図6に示すフィルム包装体10が得られる。
【0050】
なお、2本のミシン目線21及び指掛け孔22を形成する場合には、長尺状熱収縮性フィルム30の段階で形成しておくことが好ましい。例えば、ミシン目線21は、切断線と非切断部とを交互に形成しておき、指掛け孔22は、各ミシン目線21を接続するように切断線を形成しておくことで、熱収縮性フィルムが熱収縮したときに切断線が広がって孔となる。
【0051】
以上のように、フィルム包装体10は、1枚の熱収縮性フィルムを用いて、被包装物をピロー包装し、ピロー包装体を折り曲げて熱収縮させるという簡便な方法で製造できる。フィルム包装体10によれば、複数の被包装物を個別包装しながら結束できる。そして、複数の隔壁シール部12を隔てて繋がった個別包装部13同士が接着部19により互いに接着されていると共に、個別包装部13が結束する方向に力が加わるように把手20が取り付けられているので、個別包装部13同士の高い結束力が得られる。また、フィルム包材11が熱収縮することで、個別包装部13間の結束力がさらに高まっている。
【0052】
フィルム包装体10によれば、個別包装部13のミシン目線21を使用して、各個別包装部13を容易に個別開封することができる。また、個別包装部13を個別開封した場合でも、連続体17,18の結束状態を維持することができる。
【0053】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で設計変更することができる。
【0054】
以下、図7〜図11を参照して、設計変更の例(変形例)を幾つか説明する。なお、図7〜図11では、フィルム包装体の各種形態を模式的に示しており(模式的な底面図)、アルファベットを用いて各個別包装部を区別する。また、斜線ハッチング部分が接着部100を、黒塗り部分が隔壁シール部を介して連結される部分101(以下、連結部101とする)をそれぞれ示す。
【0055】
例えば、上記実施形態では、それぞれ3つの個別包装部13が直線状に並んだ連続体17,18を有するものとして説明したが、図7に示すように、フィルム包装体70は、それぞれ4つの個別包装部73が直線状に並び、互いに対向して平行に配置された3列の連続体74,75,76を有する形態であってもよい。図7に例示する形態では、個別包装部73aと個別包装部73hとが接するように、個別包装部73の列が180°折り返されて連続体74,75が形成され、個別包装部73eと個別包装部73lとが接するように、個別包装部73の列が再び180°折り返されて連続体76が形成されている。そして、個別包装部73aと個別包装部73h、及び個別包装部73eと個別包装部73lが接着部100により接着されている。
【0056】
図8に示すように、さらに1列の連続体77を加え、4列の連続体74,75,76,77を有する形態とすることもできる。また、図8に例示する形態では、互いに接触する全ての個別包装部73が接着部100により接着されている。
なお、図2、図7、及び図8に示すように、個別包装部の全体の数、個別包装部の列の折り曲げ位置等を調整することで、連続体に含まれる個別包装部の数や連続体の列数を適宜変更することができる。
【0057】
また、上記では、被包装物として略円柱形状の容器50,60を例示したが、図9に示すように、被包装物の形状は、四角柱形状の容器81であってもよく、他の角柱形状(例えば、三角柱形状、六角柱形状)であってもよい。被包装物の形状が角柱形状であっても、図9に模式的に示すように、フィルム包材82が被包装物の形状に密着して装着される。また、図9に例示する形態では、複数の連結部101により一列に繋がった個別包装部83の列の一端を構成する個別包装部83iが、フィルム包装体80の中心に位置する。具体的に、フィルム包装体80は、個別包装部83cと個別包装部83dとの間、個別包装部83eと個別包装部83fとの間、個別包装部83gと個別包装部83hとの間、個別包装部83hと個別包装部83iとの間で、それぞれ同じ方向に折り曲げられた形状を有する。そして、個別包装部83aと個別包装部83h、及び個別包装部83dと個別包装部83iが接着部100により接着されている。
【0058】
また、上記では、フィルム包装体を底面から見たときに、全体として略四角形状を呈するように折り曲げられた形状を例示したが、図10に示すように、底面から見たときに略六角形状を呈するフィルム包装体90であってもよい。図10に例示する形態では、複数の連結部101により一列に繋がった個別包装部93の列が、全ての個別包装部93の間で折り曲げられた形状を有する。そして、図9に例示する形態と同様に、個別包装部93の列の一端を構成する個別包装部93gが、フィルム包装体90の中心に位置する。
なお、フィルム包装体を底面から見たときの形状は、特に限定されず、例えば、略円形状や略三角形状であってもよい。
【0059】
また、上記では、開封手段として、2本のミシン目線21と、各ミシン目線21の間に形成された指掛け孔22とを有する例を説明したが、開封手段は、これに限定されない。例えば、図11(図4に対応する図)に示すように、個別包装部13の繋がっている横方向に沿って1本又は複数本のミシン目線21x(例えば、2本)を設けてもよい。ミシン目線21xは、図3に示す工程において、長尺状熱収縮性フィルム30の長手方向(流れ方向)に沿って連続的に形成できる。このミシン目線21xに沿ってフィルム包材を切断することで、各個別包装部13の一部又は全部を開封することができる。
【0060】
また、上記では、接着部及び把手により各個別包装部を結束するものとして説明したが、接着部又は把手のいずれか一方により各個別包装部を結束する形態であってもよい。或いは、フィルム包装体の外周面にタックシールを貼着する等、その他の方法で各個別包装部を結束してもよい。ただし、熱収縮工程で結束力が存在しない場合には、所定の器具や設備で折り曲げ形状が崩れないように押さえた状態として熱収縮処理することが好ましい。
【0061】
また、各連続体の間に、例えば、吊り下げ用の台紙を挟んだ形態としてもよい。この形態では、例えば、台紙の表裏面に接着剤が塗工され、台紙を介して各連続体が互いに接着される。台紙は、吊り下げ用の貫通孔を有する台紙とすることができ、その表裏面に印刷が施されていてもよい。なお、台紙の形状や材質は、特に限定されない。例えば、フィルム包材と同様の樹脂等からなる樹脂製シートや紙材を主基材とするシートを用いることができる。
【0062】
また、上記では、被包装物の全体がフィルム包材によって覆われるものとして説明したが、被包装物の上端部又は下端部が被覆されない形態であってもよい。なお、当該形態では、センターシール工程が省略できる。また、熱収縮性フィルムとして、左右方向に熱収縮する一軸延伸フィルムを使用して良好な装着形態を得ることができる。
【0063】
また、上記では、フィルム包材11の上縁から下縁にかけて隔壁シール部12を設けたが、個別包装部の収納空間が損なわれない範囲内で、隔壁シール部をフィルム包材の上下方向に沿って部分的に(断続的に)設けてもよい。
【0064】
また、上記では、各個別包装部13の収納空間は互いに同一サイズとして説明したが、被包装物の形状に合わせて各個別収納部で収納空間のサイズを変更することもできる。
【0065】
また、上記では、センターシール部14は、フィルム包材11の下端を塞ぐためのシール部として説明したが、フィルム包材11の上端部(即ち、個別包装部の上端)又は側部に設けてもよい。この場合、フィルム包装体の底面側にフィルム包材の繋ぎ目がこないので、フィルム包装体を把持した際の強度がさらに向上する。
【符号の説明】
【0066】
10 フィルム包装体、11 フィルム包材、12 隔壁シール部、13(13a〜13f) 個別包装部、14 センターシール部、15,16 側端シール部、17,18 連続体、19 接着部、20 把手、21 ミシン目線、22 指掛け孔、30 長尺状熱収縮性フィルム、31 第1中間生産物、32 第2中間生産物、50,60 容器、51,61 上端部、52,62 下端部、53,63 側部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の被包装物と、
1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び各被包装物の側部を覆って装着されたフィルム包材と、
を備え、
フィルム包材は、各被包装物の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部と、隔壁シール部により形成された複数の個別包装部とを有し、
各個別包装部は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がっていると共に、
当該個別包装部の列が、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム包装体において、
互いに接する個別包装部のうち少なくとも一方に接着部が設けられ、
当該接着部により互いに接する個別包装部同士が接着されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルム包装体において、
複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列を折り曲げて形成された第1及び第2の連続体を有し、
各連続体は、それぞれ同数の個別包装部が直線状に並び、互いに対向して平行に配置されていると共に、対向する個別包装部同士が接した状態で互いに結束されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルム包装体において、
複数の連続体の並び方向の両側に跨って取り付けられた把手を備えることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のフィルム包装体において、
各個別包装部は、
外周面に形成された開封手段を有することを特徴とするフィルム包装体。
【請求項6】
一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、
各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、
所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、
所定の個別包装部に接着部を形成する工程と、
複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が接着部を介して互いに接着するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、
折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させる工程と、
を含むフィルム包装体の製造方法。
【請求項7】
一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、
各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、
所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、
複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が互いに接触するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、
折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させて、第3中間生産物を作製する工程と、
第3中間生産物の折れ曲がり形状を維持する挟持部材を取り付ける工程と、
を含むフィルム包装体の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のフィルム包装体の製造方法において、
被包装物に長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程では、被包装物の全体が被覆されるように筒状に形成した長尺状熱収縮性フィルムを被せ、
隔壁シール部の形成前に、筒状に形成した複数の被包装物を包み込んだ長尺状熱収縮性フィルムの長手方向に沿って、センターシール部を形成する工程をさらに含むフィルム包装体の製造方法。
【請求項1】
3つ以上の被包装物と、
1枚の熱収縮性フィルムから構成され、各被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び各被包装物の側部を覆って装着されたフィルム包材と、
を備え、
フィルム包材は、各被包装物の間でフィルムの内面同士を接合する隔壁シール部と、隔壁シール部により形成された複数の個別包装部とを有し、
各個別包装部は、複数の隔壁シール部を介して一列に繋がっていると共に、
当該個別包装部の列が、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で折れ曲がり、複数の隔壁シール部を隔てて繋がった少なくとも1組の個別包装部同士が互いに接した状態で結束されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム包装体において、
互いに接する個別包装部のうち少なくとも一方に接着部が設けられ、
当該接着部により互いに接する個別包装部同士が接着されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルム包装体において、
複数の隔壁シール部を介して一列に繋がった個別包装部の列を折り曲げて形成された第1及び第2の連続体を有し、
各連続体は、それぞれ同数の個別包装部が直線状に並び、互いに対向して平行に配置されていると共に、対向する個別包装部同士が接した状態で互いに結束されていることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルム包装体において、
複数の連続体の並び方向の両側に跨って取り付けられた把手を備えることを特徴とするフィルム包装体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のフィルム包装体において、
各個別包装部は、
外周面に形成された開封手段を有することを特徴とするフィルム包装体。
【請求項6】
一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、
各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、
所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、
所定の個別包装部に接着部を形成する工程と、
複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が接着部を介して互いに接着するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、
折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させる工程と、
を含むフィルム包装体の製造方法。
【請求項7】
一列に並んだ3つ以上の被包装物に、1枚の長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程であって、被包装物の少なくとも上端部又は下端部、及び被包装物の側部が被覆されるように長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程と、
各被包装物の間で長尺状熱収縮性フィルムの内面同士を接合して隔壁シール部を形成すると共に、各被包装物の個別包装部を形成して、第1中間生産物を作製する工程と、
所定の隔壁シール部で第1中間生産物を切断して、第2中間生産物を作製する工程と、
複数の隔壁シール部を隔てて繋がった個別包装部同士が互いに接触するように、各個別包装部の間の少なくとも1箇所で第2中間生産物を折り曲げる工程と、
折り曲げられた第2中間生産物を熱収縮させて、第3中間生産物を作製する工程と、
第3中間生産物の折れ曲がり形状を維持する挟持部材を取り付ける工程と、
を含むフィルム包装体の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のフィルム包装体の製造方法において、
被包装物に長尺状熱収縮性フィルムを被せる工程では、被包装物の全体が被覆されるように筒状に形成した長尺状熱収縮性フィルムを被せ、
隔壁シール部の形成前に、筒状に形成した複数の被包装物を包み込んだ長尺状熱収縮性フィルムの長手方向に沿って、センターシール部を形成する工程をさらに含むフィルム包装体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−192931(P2012−192931A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56140(P2011−56140)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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