説明

フィルム折り部材及び前記フィルム折り部材を備えた包装装置

【課題】被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができるフィルム折り部材及び前記フィルム折り部材を備えた包装装置を提供する。
【解決手段】フィルム帯状体101の両側部を折り返し、フィルム帯状体101の両側縁を重ね合わせて、折り合わせ部101eを形成する、フィルム折り部材21であって、フィルム帯状体101の一方側の側部を折り返す第1部分22と、フィルム帯状体101の他方側の側部を折り返す第2部分23と、第1部分22及び第2部分23によって形成された折り合わせ部101eを支持するフィルム支持部材27と、を備え、フィルム支持部材27は、フィルム支持部材27と折り合わせ部101eを溶着する溶着部材31とによって折り合わせ部101eを挟むように、設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム帯状体の両側部を折り返し、前記フィルム帯状体の両側縁を重ね合わせて、折り合わせ部を形成する、フィルム折り部材及び前記フィルム折り部材を備えた包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙や冊子等の被包装物の左右両側部の周りに、1枚のフィルム帯状体を折り返し、この被包装物の一方の面においてフィルム帯状体の側端同士が重ねられた、折り合わせ部を熱溶着し、さらにこの被包装物の前後においてフィルム帯状体を熱溶断して閉塞した包装体が、物流や郵送等に広く用いられている。
【0003】
図8は、このような包装体の一例を示す図である。図8に示されるように、包装体900は、平坦形状の被包装物91がフィルム帯状体92によって包まれている。フィルム帯状体92は、熱溶着された、前端封止部92a及び後端封止部92bを有し、さらに、その一方側の側端92c付近及び他方側の側端92d付近が重ねられた、折り合わせ部92eを有している。そして折り合わせ部92eの縦シール部92fにおいて、フィルム帯状体92の側端同士が熱溶着されている。
【0004】
ここで、特許文献1では、被包装物がフィルム帯状体によって包まれた状態で、溶着手段を前記フィルム帯状体に押し当てて溶着する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−68886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、溶着手段は、被包装物がフィルム帯状体を支持している状態でフィルム帯状体を押圧しているが、このような溶着の場合、被包装物の厚さや表面形状によって、溶着手段がフィルム帯状体を適切に押圧できず、溶着不良となる場合が考えられる。
【0007】
そこで本発明の目的は、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができるフィルム折り部材及び前記フィルム折り部材を備えた包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1発明は、フィルム帯状体の両側部を折り返し、前記フィルム帯状体の両側縁を重ね合わせて、折り合わせ部を形成する、フィルム折り部材であって、前記フィルム帯状体の一方側の側部を折り返す第1部分と、前記フィルム帯状体の他方側の側部を折り返す第2部分と、前記第1部分及び前記第2部分によって形成された前記折り合わせ部を支持するフィルム支持部材と、を備え、前記フィルム支持部材は、前記フィルム支持部材と前記折り合わせ部を溶着する溶着部材とによって前記折り合わせ部を挟むように、設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記第1発明によれば、溶着部材がフィルム帯状体を押圧して溶着する際、フィルム支持部材がフィルム帯状体を支持するので、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができる。
【0010】
前記第1発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記第1部分と前記第2部分とは別体となっており、前記フィルム支持部材は、前記第1部分又は前記第2部分に取り付けられており、前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記折り合わせ部の搬送方向に対して直交する方向に移動可能となっている。
(2)前記第1部分は、前記フィルム帯状体を折り返すために支持する第1支持部と、前記フィルム帯状体を折り返す第1折り返し部と、を備え、前記第2部分は、前記フィルム帯状体を折り返すために支持する第2支持部と、前記フィルム帯状体を折り返す第2折り返し部と、を備え、前記フィルム支持部材は、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部の前記折り合わせ部の搬送方向の下流側に位置し、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部に対して、少なくとも前記フィルム帯状体の厚さだけ前記搬送方向に隙間を有している。
(3)前記構成(2)において、前記第1折り返し部は、前記第2折り返し部より外方に位置するようになっており、前記フィルム支持部材のフィルム支持面は、前記第2折り返し部の内面と同一平面上に位置している。
(4)前記構成(2)において、前記第1折り返し部は、前記第2折り返し部より外方に位置するようになっており、前記第1部分に受け入れられてから前記フィルム支持部材のフィルム支持面に到達するまでのフィルム帯状体の側部の第1搬送距離と、前記第2部分に受け入れられてから前記フィルム支持面に到達するまでのフィルム帯状体の側部の第2搬送距離とが等しくなるよう、前記フィルム支持部材の位置が設定されている。
【0011】
前記構成(1)によれば、折り合わせ部の搬送方向に対して直交する方向の被包装物の長さに応じて、第1部分及び第2部分をそれぞれ移動させることができる。その結果、折り合わせ部の搬送方向に対して直交する方向の被包装物の長さが変化する場合であっても、複数種類のフィルム折り部材を用意する必要はなく、1種類のフィルム折り部材で対応することができる。また、フィルム支持部材が第1部分又は第2部分に取り付けられているので、第1部分及び第2部分をそれぞれ移動させた場合には、フィルム支持部材も同様に移動することになり、フィルム支持部材を、折り合わせ部を溶着するために適した位置へ、容易に移動させることができる。
【0012】
前記構成(2)によれば、フィルム支持部材が第1部分及び第2部分の近傍に位置するので、フィルム帯状体の円滑な搬送を維持しながら、折り合わせ部搬送方向の長さをコンパクトにしたフィルム折り部材を得ることができる。
【0013】
前記構成(3)によれば、被包装物に対する折り合わせ部の位置を一定にできる、すなわち、被包装物と折り合わせ部との隙間を一定にできるので、被包装物の厚さによらず、一定の余裕をもって被包装物をフィルム帯状体で包装できる。
【0014】
前記構成(4)によれば、第1搬送距離と第2搬送距離とが異なることによって生じるフィルム帯状体の弛みやシワを防止できる。
【0015】
本願の第2発明は、前記第1発明のフィルム折り部材を備える包装装置である。
【0016】
前記第2発明によれば、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができる包装装置を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
要するに本発明によると、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができる、フィルム折り部材及び包装装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る包装装置の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3A】包装部の作動を説明する概略図である。
【図3B】包装部の作動を説明する図3Aの状態に続く概略図である。
【図3C】包装部の作動を説明する図3Bの状態に続く概略図である。
【図3D】包装部の作動を説明する図3Cの状態に続く概略図である。
【図3E】包装部の作動を説明する図3Dの状態に続く概略図である。
【図3F】包装部の作動を説明する図3Eの状態に続く概略図である。
【図3G】包装部の作動を説明する図3Fの状態に続く概略図である。
【図3H】包装部の作動を説明する図3Gの状態に続く概略図である。
【図3I】包装部の作動を説明する図3Hの状態に続く概略図である。
【図3J】包装部の作動を説明する図3Iの状態に続く概略図である。
【図3K】包装部の作動を説明する図3Jの状態に続く概略図である。
【図3L】包装部の作動を説明する図3Kの状態に続く概略図である。
【図3M】包装部の作動を説明する図3Lの状態に続く概略図である。
【図3N】包装部の作動を説明する図3Mの状態に続く概略図である。
【図3O】包装部の作動を説明する図3Nの状態に続く概略図である。
【図4】図1の包装装置の前方から見た斜視図である。
【図5】図2のフィルム折り部材部分の拡大図である。
【図6】フィルム折り部材によってフィルム帯状体の側端部同士が重ねられ折り合わせ部が形成される状態を示す図である。
【図7】第1部分の第1折り返し部、第2部分の第2折り返し部、及びフィルム支持部材の位置関係を示す概略図である。
【図8】包装体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る包装装置10の斜視図である。説明の都合上、被包装物の搬送方向Xの上流側を「前方」、下流側を「後方」として、以下、説明する。
【0020】
図1に示されるように、包装装置10の下部には、被包装物を包装する樹脂製のフィルム帯状体101が巻回されたシートロール100が載置される、ロール載置部11が配置されている。包装装置10の上部には、前方から後方に向かって順に、被包装物が載置される供給部12、被包装物がフィルム帯状体で包装される包装部13、被包装物が包装された包装体が排出される排出部14が配置されている。また、包装装置10内には、包装装置10を構成する各ユニットの動作を制御する、制御手段(図示せず)が配置されている。
【0021】
すなわち、制御手段としてのCPU(中央処理演算装置)は、入力操作部や出力表示部が配置された操作パネルや、各ユニットの動作を制御する制御プログラム等を記憶したROM(リード・オンリー・メモリ:フラッシュROM)や、種々のデータを一時的に記憶するRAM(ランダム・アクセス・メモリやハードディスク)や、各種の入出力装置等の動作を制御する。
【0022】
ロール載置部11は、支持ローラ111と支持ローラ112とを備えている。支持ローラ111及び支持ローラ112は、それぞれ、円柱形状であって、包装装置10のフレーム10aに回転可能に支持されている。支持ローラ111は、駆動ローラとしての支持ローラ112にタイミングベルトで連動連結されており、支持ローラ112の回転に連動して同じ方向に回転するよう、フレーム10aに支持されている。シートロール100は、支持ローラ111及び支持ローラ112によって回転自在に支持されており、支持ローラ112の後上方から1枚の帯状のフィルム帯状体101が上方に引き出されるようになっている。
【0023】
供給部12は、被包装物が載置される供給台121と、被包装物の両側縁を規制する側板122と、を備えている。供給台121に載置された被包装物は、側板122によって両側縁が規制され、包装部13に送られる。本実施形態では、被包装物は手動で包装部13に送られるようになっているが、自動供給機構を備えていても良い。供給部12は、包装装置10のフレーム10aに対して、着脱可能に構成されている。
【0024】
排出部14は、包装部13において形成された包装体が載置される排出台141と、排出台141を水平に保持する保持部材142と、を備えている。保持部材142は、排紙台141を保持する状態と保持しない状態とに変更可能となっており、保持部材142が排紙台141を保持しない状態においては、排紙台141は、その下面がフレーム10aに接するように、フレーム10aに折り畳まれるようになっている。
【0025】
図2は、図1のII−II断面図である。包装部13は、前方から後方に向かって順に、フィルム折り部材21と、溶着ユニット30と、第1搬送ユニット40と、溶断ユニット50と、第2搬送ユニット60と、を備えている。フィルム折り部材21は、フィルム帯状体101の左右の側端部を折り返し、側端部同士が重ねられた折り合わせ部を形成するようになっている。溶着ユニット30は、フィルム帯状体101の折り合わせ部に加熱された溶着ローラ(溶着部材)31を押し付け、折り合わせ部のフィルム帯状体101を溶かすことによって、X方向に接着するようになっている。第1搬送ユニット40は、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101を後方に搬送し、溶断ユニット50に送るようになっている。溶断ユニット50は、加熱された溶断部材51によって、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101をX方向に対して直交する方向(Y方向)に破断、溶着し、後端部及び前端部が封止された包装体を形成するようになっている。第2搬送ユニット60は、封止された包装体を排出部14に送るようになっている。
【0026】
図3A〜図3Oは、フィルム折り部材21を除く包装部13の作動を説明する概略図である。以下、図3A〜図3Oを用いて、包装部13の作動の概要を説明する。図3A〜図3Fは、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する前の準備作動を示す図面であり、図3G〜図3Oは、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する包装作動を示す図面である。
【0027】
図3Aに示されるように、フィルム折り部材21によって側端部同士が重ねられ折り合わせ部が形成されたフィルム帯状体101は、包装部13の搬送面131に配置される。
【0028】
次に、図3Bに示されるように、第1搬送ユニット40の第1従動ローラ41が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持される。その後、折り合わせ部の溶着を行うために、溶着ユニット30の溶着ローラ31が下方に移動し、フィルム帯状体101に接する。そして、溶着ローラ31が折り合わせ部を溶着すると同時に、折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持されて後方に搬送される。
【0029】
フィルム帯状体101が一定量だけ後方に搬送されると、図3Cに示されるように、第2搬送ユニット60の従動ローラ61が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持され、その後、第1従動ローラ41が上方に移動する。そして、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。
【0030】
次に、折り合わせ部の溶着が完了すると、図3Dに示されるように、溶着ローラ31が上方に移動し、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62は、フィルム帯状体101の搬送を停止する。そして、溶断ユニット50の溶断部材51が下方に移動し、フィルム帯状体101を溶断して、フィルム帯状体101の後端封止部が形成される。
【0031】
次に、図3Eに示されるように溶断部材51が上方に移動し、その後、図3Fに示されるように、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62が溶断されたフィルム帯状体101の後側の部分(不要フィルム帯状体)を後方に搬送して除去し、第2従動ローラ61が上方に移動する。これで、フィルム帯状体101によって被包装物を包装する前の準備が完了する。
【0032】
次に、図3Gに示されるように、被包装物110が、フィルム帯状体101内に挿入される。そして、センサ52が被包装物110を検知すると、図3Hに示されるように、第1従動ローラ41が下方に移動し、被包装物110が挿入された状態のフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持される。
【0033】
次に、図3Iに示されるように、溶着ローラ31が下方に移動し、フィルム帯状体101に接する。そして、溶着ローラ31が折り合わせ部を溶着すると同時に、包装体110が挿入され折り合わせ部が溶着されたフィルム帯状体101は、第1従動ローラ41及び第1駆動ローラ42によって挟持されて後方に搬送される。
【0034】
図3Jに示されるように、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101が一定量だけ後方に送られると、図3Kに示されるように、第2従動ローラ61が下方に移動し、フィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持され、その後、第1従動ローラ41が上方に移動する。そして、包装体110が挿入されたフィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。
【0035】
次に、センサ52が被包装物110の前端部を検知すると、図3Lに示されるように、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によってさらに一定距離だけ後方に搬送され、被包装物110の前端部が溶断部材51の後方に位置する。それと同時に、溶着ローラ31が上方に移動する。
【0036】
次に、図3Mに示されるように、溶断部材51が下方に移動し、被包装物110が挿入されたフィルム帯状体101を溶断して、フィルム帯状体101の前端封止部が形成される。その結果、被包装物110がフィルム帯状体101で包装された包装体が形成される。それと同時に、被包装物110が挿入されていないフィルム帯状体101の後端封止部も形成される。
【0037】
次に、図3Nに示されるように、包装体は、第2従動ローラ61及び第2駆動ローラ62によって挟持されて後方に搬送される。そして、図3Oに示されるように、第2従動ローラ61が上方に移動する。
【0038】
以後、図3G〜図3Oの動作を繰り返すことによって、包装体が形成される。
【0039】
以下、フィルム折り部材21について、その構成をより具体的に説明する。
【0040】
図4は、図1の包装装置10の前方から見た斜視図である。図4では、包装装置10から供給部12を除いた状態が示されている。フィルム折り部材21は、全体として、平行となる短辺が前端に位置し、平行となる長辺が後端に位置する、略台形形状を有している。フィルム折り部材21は、Y方向に2つに分割されており、互いに別体となっている、フィルム帯状体101の一方側の側部を折り返す第1部分22と、フィルム帯状体101の他方側の側部を折り返す第2部分23と、を備えている。
【0041】
第1部分22は、フィルム帯状体101を折り返すために支持する第1支持部22aと、フィルム帯状体101を折り返す第1折り返し部22bと、を備えている。第1支持部22aは、平行となる短辺が前端に位置し、平行となる長辺が後端に位置する、略台形形状を有している。第1折り返し部22bは、頂点の1つが前端に位置し、辺の1つが後端に位置する、略三角形状を有している。第1支持部22aと第1折り返し部22bとは、フィルム折り部材21の側縁で連続となるように形成されている。
【0042】
第2部分23も、第1部分と同様の形状を有している。すなわち、フィルム帯状体101を折り返すために支持する第2支持部23aと、フィルム帯状体101を折り返す第2折り返し部23bと、を備えている。第2支持部23aは、平行となる短辺が前端に位置し、平行となる長辺が後端に位置する、略台形形状を有している。第2折り返し部23bは、頂点の1つが前端に位置し、辺の1つが後端に位置する、略三角形状を有している。第2支持部23aと第2折り返し部23bとは、フィルム折り部材21の側縁で連続となるよう形成されている。
【0043】
第1部分22の第1支持部22aの前端と、第2部分23の第2支持部23aの前端とは、X方向において並ぶように位置しており、第1支持部22aの後端位置と、第2支持部23aの後端位置とは、X方向に並ぶように位置している。また、第1部分22の第1折り返し部22bの後端と、第2部分23の第2折り返し部23bの後端とは、X方向において並ぶように位置している。
【0044】
第1部分22の第1支持部22aの外面(下面)22a2と、第2部分23の第2支持部23aの外面(下面)23a2とは同一平面上に位置しており、第1支持部22aの内面(上面)22a1と、第2支持部23aの内面(上面)23a1とは同一平面上に位置している。そして、第1部分22の厚さ(上下方向長さ)は、第2部分23の厚さ(上下方向長さ)より大きくなっているので、第1部分22の第1折り返し部22bは、第2部分23の第2折り返し部23bより上方(溶着ローラ31に近接する方向)に位置するようになっており、また、第1折り返し部22bの一部は、第2折り返し部23bに上下方向に重なって位置している。
【0045】
上述したように、第1部分22と第2部分23とは、別体となっている。第1部分22の第1支持部22aの後部には、Y方向に並び、Y方向に延びている2つの長孔22cが形成されている。第1支持部22aは、長孔22cを上下に挿通するネジ24によって、包装装置10のフレーム10aに固定されるようになっている。ネジ24を緩め、ネジ24に対する長孔22cの位置をY方向に変化させることによって、第1支持部22aはY方向に移動可能となっている。その結果、第1部分22は、第2部分23とは別に、単独で、Y方向に移動可能となっている。
【0046】
第2部分23の第2支持部23aの後部には、Y方向に並び、Y方向に延びている2つの長孔23cが形成されている。第2支持部23aは、長孔23cを上下に挿通するネジ25によって、包装装置10のフレーム10aに固定されるようになっている。ネジ25を緩め、ネジ25に対する長孔22cの位置をY方向に変化させることによって、第2支持部23aはY方向に移動可能となっている。その結果、第2部分23は、第1部分22とは別に、単独で、Y方向に移動可能となっている。
【0047】
第2部分23の第2折り返し部23bには、取付部材26を介して、フィルム支持部材27が取り付けられている。フィルム支持部材27は、溶着ローラ31が下方に移動しフィルム帯状体101と接する部分の下方に位置するよう設けられている。フィルム支持部材27は、Y方向に長辺を有する長方形の板状部材であり、第1部分22の第1折り返し部22b及び第2部分23の第2折り返し部23bの後端とフィルム支持部材27の前端との間には、隙間Dが形成されている。隙間Dは、少なくともフィルム帯状体101の厚さ以上を有している。ここで、フィルム帯状体101の厚さは、20〜60μmであり、好ましくは30〜50μmである。その結果、隙間Dは60μm以上であり、フィルム帯状体101の屈曲により生じる搬送負荷をほとんど無い状態とするために、隙間Dは10mm以上であることが好ましい。また、フィルム支持部材27のフィルム支持面(上面)27aと第2折り返し部23bの下面23b2とは同一平面上に位置している。
【0048】
図5は、図2のフィルム折り部材21部分の拡大図である。図2に示されるように、シートロール100から上方に引き出されたフィルム帯状体101は、複数の支持ローラ113、114、115を介して、フィルム折り部材21に送られる。そして、図5に示されるように、フィルム帯状体101は、フィルム折り部材21によって前方から後方に向かって折り返され、且つ、フィルム帯状体101の側端部同士が重ねられ折り合わせ部が形成される、ようになっている。
【0049】
図6は、フィルム折り部材21によってフィルム帯状体101の側端部同士が重ねられ折り合わせ部101eが形成される状態を示す図である。フィルム帯状体101のY方向中央部は、矢印A1に示されるように、第1支持部22aの下面22a2及び第2支持部23aの下面23a2に沿って、前方に向かって搬送され、矢印A2に示されるように、第1支持部22aの前端及び第2支持部23aの前端において前方から後方に折り返され、第1支持部22aの上面22a1及び第2支持部23aの上面23a1に沿って、後方に向かって搬送される。そして、矢印A3に示されるように、折り合わせ部101eの下方を後方に向かって搬送される。
【0050】
フィルム帯状体101のY方向の一方側の側部は、矢印B1に示されるように、第1支持部22aの下面22a2に沿って前方に向かって搬送され、矢印B2に示されるように、第1支持部22aの側端において側方外方から側方内方に折り返され、第1折り返し部22bの上面22b1に沿って側方内方に向かって搬送され、矢印B3に示されるように、第1折り返し部22bの側端において後方に折り返される。そして、矢印B4に示されるように、第1折り返し部22bの下面22b2に沿って後方に向かって搬送される。すなわち、フィルム帯状体101のY方向の一方側の側部は、フィルム帯状体101のY方向中央部の上方に折り畳まれて後方に搬送される。
【0051】
フィルム帯状体101のY方向の他方側の側部は、矢印C1に示されるように、第2支持部23aの下面23a2に沿って前方に向かって搬送され、矢印C2に示されるように、第2支持部23aの側端において側方外方から側方内方に折り返され、第2折り返し部23bの上面23b1に沿って側方内方に向かって搬送され、矢印C3に示されるように、第2折り返し部23bの側端において後方に折り返される。そして、矢印C4に示されるように、第2折り返し部23bの下面23b2に沿って後方に向かって搬送される。すなわち、フィルム帯状体101のY方向の他方側の側部は、フィルム帯状体101のY方向中央部の上方に折り畳まれて後方に搬送される。
【0052】
なお、第1部分22の第1折り返し部22bは、第2部分23の第2折り返し部23bよりも上方に位置しているので、フィルム帯状体101のY方向の一方側の側部は、フィルム帯状体101のY方向の他方側の側部の上方に位置するようになっており、一方側の側端101c付近が他方側の側端101d付近の上方に重ねられた、折り合わせ部101eが形成される。
【0053】
フィルム支持部材27は、後方に向かって搬送されるフィルム帯状体101のY方向中央部より上方に位置しており、且つ、後方に向かって搬送されるフィルム帯状体101のY方向の一方側の側部及び他方側の側部より下方に位置するようになっている。そして、フィルム支持部材27のY方向長さは、折り合わせ部101eのY方向長さより大きくなるよう形成されている。したがって、フィルム支持部材27は、溶着ローラ31が折り合わせ部101eをX方向に溶着する際において、溶着ローラ31が折り合わせ部101eを押圧するための支持板の役割を果たすようになっている。
【0054】
上記構成の包装装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0055】
(1)溶着ローラ31がフィルム帯状体101を押圧する際、フィルム支持部材27がフィルム帯状体101を支持するので、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができる。
【0056】
(2)第1部分22と第2部分23とは別体となっており、第1部分22及び第2部分23は、それぞれ、Y方向に移動可能となっているので、被包装物のY方向長さに応じて、第1部分22及び第2部分23を移動させることができる。その結果、被包装物のY方向長さが変化する場合であっても、複数種類のフィルム折り部材を用意する必要はなく、1種類のフィルム折り部材で対応することができる。
【0057】
(3)フィルム支持部材27が第2部分23の第2折り返し部23bに取り付けられているので、第2部分23をY方向に移動させた場合には、フィルム支持部材27も同様にY方向に移動することになり、フィルム支持部材27を、折り合わせ部101eを溶着するために適した位置へ、容易に移動させることができる。
【0058】
(4)フィルム支持部材27は、第1部分22の第1折り返し部22b及び第2部分23の第2折り返し部23bの後方に位置し、第1折り返し部22bの後端及び第2折り返し部23bの後端と、フィルム支持部材27の前端との間には、隙間Dが形成されており、隙間Dは、少なくともフィルム帯状体101の厚さ以上を有している。その結果、フィルム支持部材27は、第1部分22及び第2部分23の後方近傍に位置するので、フィルム帯状体101の円滑な搬送を維持しながら、前後方向長さをコンパクトにしたフィルム折り部材21を得ることができる。
【0059】
(5)フィルム支持部材27の上面27aと第2部分23の第2折り返し部23bの下面23b2とは同一平面上に位置している。その結果、被包装物に対する折り合わせ部101eの位置を一定にできる、すなわち、被包装物と折り合わせ部101eとの間隔を一定にできるので、被包装物の厚さによらず、一定の間隔を有した状態で、被包装物をフィルム帯状体101に安定して挿入できる。
【0060】
(別の実施形態)
上記実施形態では、フィルム支持部材27のフィルム支持面(上面)27aと第2折り返し部23bの下面23b2とは同一平面上に位置しているが、以下のとおり、フィルム支持部材27の上下方向位置を変更しても良い。
【0061】
図6に示されるように、フィルム帯状体101が第1部分22に受け入れられてからフィルム支持部材27のフィルム支持面27aに到達するまでのフィルム帯状体101の側部の搬送距離(第1搬送距離)Lは、距離L1、距離L2、距離L3、距離L4及び距離L5の合計で規定される。一方、フィルム帯状体101が第2部分23に受け入れられてからフィルム支持部材27に到達するまでのフィルム帯状体101の側部の搬送距離(第2搬送距離)Mは、距離M1、距離M2、距離M3、距離M4及び距離M5の合計で規定される。ここで、第1部分22の厚さ(上下方向長さ)は、第2部分23の厚さ(上下方向長さ)より大きくなっているので、距離L2は距離M2より大きくなっている。また、距離L1と距離M1は等しく、距離L3と距離M3は等しく、距離L4と距離M4は等しくなっている。
【0062】
図7は、第1部分22の第1折り返し部22b、第2部分23の第2折り返し部23b、及びフィルム支持部材27の位置関係を示す概略図である。図7に示されるように、フィルム支持部材27の上下方向位置を変化させる、具体的には、フィルム支持部材27を上方に移動させることによって、距離M5を距離L5より大きくし、距離L2と距離L5との合計が、距離M2と距離M5との合計に等しくすることによって、第1搬送距離Lと第2搬送距離Mとを等しくすることができる。
【0063】
上記構成によれば、第1搬送距離Lと第2搬送距離Mとが等しくなるようフィルム支持部材27を配置することによって、フィルム帯状体101の両側部の搬送距離が互いに異なることによって生じるフィルム帯状体101の弛みやシワを防止できる。
【0064】
上記実施形態では、フィルム折り部材21の第1部分22と第2部分23とは、それぞれ、単独で、手動により、Y方向に移動可能となっているが、連動して移動可能となっていても良く、また、自動で移動可能となっていても良い。第1部分22と第2部分23とが連動して移動可能となる場合には、第1部分22及び第2部分23の一方をY方向外方に向かって所定距離だけ移動させると、第1部分22及び第2部分23の他方はY方向外方に向かって自動で同じ所定距離だけ移動し、第1部分22及び第2部分23の一方をY方向内方に向かって所定距離だけ移動させると、第1部分22及び第2部分23の他方はY方向内方に向かって自動で同じ所定距離だけ移動することが好ましい。
【0065】
上記実施形態では、フィルム支持部材27は、取付部材26を介して第2部分23の第2折り返し部23bに取り付けられているが、直接、第2折り返し部23bに取り付けられても良い。また、フィルム支持部材27は、第2折り返し部23bに限定されず、第2部分23のその他の部分や第1部分22に取り付けられても良く、また、フィルム折り部材21のいずれの部分に取り付けられても良く、また、フィルム折り部材21以外の部材に取り付けられても良い。ただし、フィルム支持部材27は、後方に向かって搬送されるフィルム帯状体101のY方向中央部より上方に位置しており、且つ、後方に向かって搬送されるフィルム帯状体101のY方向の一方側の側部及び他方側の側部より下方に位置している必要がある。
【0066】
上記実施形態では、折り合わせ部101eが水平方向に形成され、折り合わせ部101eに対して上方から下方に向かって溶着ローラ31を押圧する構成となっているが、本発明は、折り合わせ部が鉛直方向に形成され、折り合わせ部に対して側方から溶着ローラを押圧する構成に適用することも可能である。
【0067】
本発明は、上記実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種変形例を含むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明では、被包装物の厚さや表面形状等に影響を受けず、適切に溶着を行うことができるフィルム折り部材及び前記フィルム折り部材を備えた包装装置を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0069】
10 包装装置 10a フレーム
11 ロール載置部 111 支持棒 112 支持ローラ
12 供給部 121 供給台 122 側板
13 包装部 131 搬送面
14 排出部 141 排出台 142 保持部材
21 フィルム折り部材
22 第1部分 22a 第1支持部 22b 第1折り返し部 22c 長孔
23 第2部分 23a 第2支持部 23b 第2折り返し部 23c 長孔
24 ネジ 25 ネジ 26 取付部材
27 フィルム支持部材
30 溶着ユニット 31 溶着ローラ
40 第1搬送ユニット 41 第1従動ローラ 42 第1駆動ローラ
50 溶断ユニット 51 溶断部材
60 第2搬送ユニット 61 第2従動ローラ 62 第2駆動ローラ
101 フィルム帯状体 101c 一方側の側端 101d 他方側の側端
101e 折り合わせ部 110 被包装物
900 包装体
91 被包装物
92 フィルム帯状体 92a 前端封止部 92b 後端封止部
92c 一方側の側端 92d 他方側の側端 92e 折り合わせ部
92f 縦シール部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム帯状体の両側部を折り返し、前記フィルム帯状体の両側縁を重ね合わせて、折り合わせ部を形成する、フィルム折り部材であって、
前記フィルム帯状体の一方側の側部を折り返す第1部分と、
前記フィルム帯状体の他方側の側部を折り返す第2部分と、
前記第1部分及び前記第2部分によって形成された前記折り合わせ部を支持するフィルム支持部材と、を備え、
前記フィルム支持部材は、前記フィルム支持部材と前記折り合わせ部を溶着する溶着部材とによって前記折り合わせ部を挟むように、設けられていることを特徴とする、フィルム折り部材。
【請求項2】
前記第1部分と前記第2部分とは別体となっており、
前記フィルム支持部材は、前記第1部分又は前記第2部分に取り付けられており、
前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、前記折り合わせ部の搬送方向に対して直交する方向に移動可能となっている、請求項1記載のフィルム折り部材。
【請求項3】
前記第1部分は、前記フィルム帯状体を折り返すために支持する第1支持部と、前記フィルム帯状体を折り返す第1折り返し部と、を備え、
前記第2部分は、前記フィルム帯状体を折り返すために支持する第2支持部と、前記フィルム帯状体を折り返す第2折り返し部と、を備え、
前記フィルム支持部材は、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部の前記折り合わせ部の搬送方向の下流側に位置し、前記第1折り返し部及び前記第2折り返し部に対して、少なくとも前記フィルム帯状体の厚さだけ前記搬送方向に隙間を有している、請求項1又は2に記載のフィルム折り部材。
【請求項4】
前記第1折り返し部は、前記第2折り返し部より外方に位置するようになっており、
前記フィルム支持部材のフィルム支持面は、前記第2折り返し部の内面と同一平面上に位置している、請求項3記載のフィルム折り部材。
【請求項5】
前記第1折り返し部は、前記第2折り返し部より外方に位置するようになっており、
前記第1部分に受け入れられてから前記フィルム支持部材のフィルム支持面に到達するまでのフィルム帯状体の側部の第1搬送距離と、前記第2部分に受け入れられてから前記フィルム支持面に到達するまでのフィルム帯状体の側部の第2搬送距離とが等しくなるよう、前記フィルム支持部材の位置が設定されている、請求項3記載のフィルム折り部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルム折り部材を備える、包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図3H】
image rotate

【図3I】
image rotate

【図3J】
image rotate

【図3K】
image rotate

【図3L】
image rotate

【図3M】
image rotate

【図3N】
image rotate

【図3O】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−103726(P2013−103726A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247202(P2011−247202)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】