説明

フィルム搬送システム

【課題】 フィルムをより長い区間搬送可能なフィルム搬送システムを提供すること。
【解決手段】 フィルムFを搬送するフィルム搬送システムAであって、全体形状がフィルムFの搬送方向Tに延びているとともに、フィルムFに対してz方向下方に位置し、かつ搬送方向TにおいてフィルムFに追従動可能である支持面72aを有するベルトコンベア7と、ベルトコンベア7に対して搬送方向Tにおける下流側に位置し、搬送方向Tに離間配置された1対のローラ4a、およびこれらのローラ4aの間においてフィルムFが迂回する迂回経路を形成する吸引ブロア4cを有し、この迂回経路のいずれかの部位の位置を検出することにより、1対のローラ4aの前後におけるフィルムFの送り速度の差を検出する、エアダンサ4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばフィルムロールに巻かれた長尺の袋状のフィルムを、飲料などのボトルにこのフィルムを切断することにより形成したラベルを装着するラベル装着システムへと搬送するフィルム搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のラベル装着システムおよびフィルム搬送システムの一例を示している(たとえば、特許文献1)。同図に示されたラベル装着システムXは、ボトル供給装置91、ラベル装着装置92、ラベル受渡装置94、およびボトル搬送装置95によって構成されている。ボトル供給装置91は、ボトルBを順次ラベル装着装置92に供給する。ラベル装着装置92は、ボトルBにラベルLを装着する。ラベル受渡装置94は、図示しないラベル生成装置からラベルLを受け取り、これをラベル装着装置92へと渡す。ボトル搬送装置95は、ラベルLが装着されたボトルBを、下流工程へと搬送する。
【0003】
図示されたフィルム搬送システム93は、フィルム繰出装置96から繰り出されたフィルムFを上記ラベル生成装置へと搬送する。このフィルムFは、長尺の袋状であり、フィルム繰出装置96からは、折りたたまれた帯状の状態で繰り出される。上記ラベル生成装置では、このフィルムFが長手方向に分割されることにより、ラベルLが生成される。
【0004】
ボトルBは、たとえば飲料が充填される容器である。このため、ラベル装着システムXは、塵埃などの侵入が抑制された比較的清潔な場に置かれる。一方、フィルム繰出装置96には、フィルムFがたとえばフィルムロールに巻かれた状態で供給される。フィルムFをこのフィルムロールに巻く作業は、ラベル装着システムXが置かれた工場とは別の、フィルム工場で行われることが一般的である。このフィルム工場から搬送された上記フィルムロールには、意図しない塵埃が付着してしまうことがある。このため、フィルム繰出装置96にも塵埃が侵入するおそれがある。この塵埃によってラベル装着システムXが汚染されることを防ぐには、ラベル装着システムXとフィルム繰出装置96とを十分に遠ざけることが望ましい。しかしながら、薄い帯状のフィルムFを長い区間搬送することは容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3437077号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、フィルムをより長い区間(たとえば、10m以上)搬送可能なフィルム搬送システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるフィルム搬送システムは、長尺帯状のフィルムを搬送するフィルム搬送システムであって、全体形状が上記フィルムの搬送方向に延びているとともに、上記フィルムに対して鉛直方向下方に位置し、かつ上記搬送方向において上記フィルムに追従動可能である支持面を有するフィルム支持手段と、上記フィルム支持手段に対して上記搬送方向における下流側に位置し、上記搬送方向に離間配置された1対のローラ、およびこれらのローラの間において上記フィルムが迂回する迂回経路を形成する迂回経路生成手段を有し、この迂回経路のいずれかの部位の位置を検出することにより、上記1対のローラの前後における上記フィルムの送り速度の差を検出する、送り速度差検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フィルム支持手段に対して上記搬送方向上流側に位置し、鉛直方向周りに揺動自在とされたローラを有する蛇行修正手段をさらに備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フィルムを搬送する駆動力を付与する送り手段をさらに備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記送り手段と上記フィルム支持手段とが同期制御されている。
【0011】
このような構成によれば、上記フィルムが上記支持面によって支持される。このため、上記フィルムが下方に垂れ下がることがほとんど無く、垂れ下がりによる張力のばらつきや不当な絡まりなどを防止することが可能である。これにより、上記フィルムの搬送距離を比較的長くすることが可能である。したがって、たとえば塵埃が侵入するおそれがあるロールフィーダと上記フィルム搬送システムの下流工程にあるたとえばラベル装着システムとの距離を格段に長くすることができる。これは、上記ロールフィーダを飲料工場のうちトラックなどが停車しやすい、外部に面した位置に設ける一方、上記ラベル装着システムを飲料工場のうち塵埃の侵入を遮断した内部に設けることを可能とする。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るフィルム搬送システムの一例を示す全体斜視図である。
【図2】本発明に係るフィルム搬送システムの一例を示す要部斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う要部断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】本発明に係るフィルム搬送システムの変形例を示す要部断面図である。
【図6】従来のラベル装着システムおよびフィルム搬送システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
図1〜図4は、本発明に係るフィルム搬送システムの一例を示している。本実施形態のフィルム搬送システムAは、ロールフィーダ1、上流側方向転換ローラ31、下流側方向転換ローラ32、複数のエアダンサ4、複数の駆動ローラ5、複数の蛇行修正手段6、および複数のベルトコンベア7を備えており、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるボトル(図示略)に飲料などを充填する飲料工場に設置される。フィルム搬送システムAは、フィルムFを下流工程にあるたとえばラベル生成装置(図示略)へと搬送方向Tに沿って搬送する。フィルムFは、長尺の袋状であり、折りたたまれた帯状の状態(長尺帯状)で搬送される。上記ラベル生成装置では、このフィルムFが長手方向に分割されることにより、複数のラベル(図示略)が生成される。
【0016】
ロールフィーダ1は、フィルムFを繰り出す装置であり、台車12に積載された複数のフィルムロール11が装填される。各フィルムロール11には、フィルムFが所定量巻かれている。本実施形態においては、フィルムFをフィルムロール11に巻き取る作業は、フィルムFを製造するフィルム工場で行われる。このフィルム工場は、たいていの場合フィルム搬送システムAが設置されているたとえば飲料工場とは別の場所にある。複数のフィルムロール11は、上記フィルム工場から上記飲料工場へとトラックなどによって搬送される。そして、複数のフィルムロール11が台車12に積載された状態で、ロールフィーダ1へと供給される。ロールフィーダ1に装填された複数のフィルムロール11からすべてのフィルムFが繰り出されると、繰り出し済みのフィルムロール11を台車12とともに排出し、未使用のフィルムロール11を台車12とともにロールフィーダ1に装填する。
【0017】
ロールフィーダ1から繰り出されたフィルムFは、従動ローラ81,82を経て、図1における図中左方から図中右方に向けて屈曲した経路を搬送される。経路中には、上流側方向転換ローラ31および下流側方向転換ローラ32が配置されている。上流側方向転換ローラ31は、フィルムFの搬送方向Tをx方向からy方向へと転換する。下流側方向転換ローラ32は、搬送方向Tをy方向からx方向へと転換する。
【0018】
従動ローラ82と上流側方向転換ローラ31との間には、搬送方向Tにおける上流側から順に駆動ローラ5、蛇行修正手段6、ベルトコンベア7、およびエアダンサ4が配置されている。上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間には、搬送方向Tにおける上流側から順に駆動ローラ5、蛇行修正手段6、3つのベルトコンベア7、およびエアダンサ4が配置されている。下流側方向転換ローラ32に対して搬送方向Tにおける下流側には、搬送方向Tにおける上流側から順に駆動ローラ5、蛇行修正手段6、ベルトコンベア7、およびエアダンサ4が配置されている。このように、本実施形態のフィルム搬送システムAは、それぞれが駆動ローラ5、蛇行修正手段6、1以上のベルトコンベア7、およびエアダンサ4からなる3つのユニットが設けられている。それぞれのユニットの機能は共通しており、以下においては上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間に配置されたユニットについて主に説明するが、特に区別しない限りいずれのユニットにも該当する。
【0019】
図2に示すように、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間の区間には、上流側から順に、駆動ローラ5、従動ローラ83、蛇行修正手段6、従動ローラ84、3つのベルトコンベア7、およびエアダンサ4が設けられている。図2および図3に示すように、駆動ローラ5は、1対のローラを備えている。これらのローラの少なくとも一方は、モータ(図示略)などの駆動源によって回転駆動され、フィルムFに駆動力を付与する。これらの1対のローラに挟まれたフィルムFは、搬送方向Tに送られる。駆動ローラ5は、本発明で言う送り手段の一例に相当する。なお、この送り手段としては、駆動ローラ5に代えて、たとえば駆動ベルトによって構成してもよい。駆動ローラ5によって送り出されたフィルムFは、従動ローラ83を経由して蛇行修正手段6へと送られる。
【0020】
蛇行修正手段6は、フィルムFが搬送方向Tから逸脱した方向に搬送されることを抑制するためのものであり、ケース61および1対のローラ62を備えている。1対のローラ62は、搬送方向Tにおいて互いに離間しており、平行に配置されている。1対のローラ62は、ケース61によって支持されている。従動ローラ83,84に対して、1対のローラ62はz方向上方に設けられている。このため、フィルムFは、1対のローラ62に対して比較的高い接触圧で接する。ケース61は、1対のローラ62とともに、z方向周りに揺動自在とされている。すなわち、ケース61は、水平方向に揺動する。蛇行修正手段6には、図示しないエッジセンサが備えられている。このエッジセンサは、搬送されるフィルムFのエッジの幅方向位置を検出する。このエッジセンサの検出結果に従って、フィルムFのエッジ位置が所定位置となるように、ケース61が適宜揺動制御される。これにより、フィルムFを搬送方向Tに適切に向かわせる。蛇行修正手段6から送り出されたフィルムFは、従動ローラ84を経由してベルトコンベア7へと送られる。
【0021】
ベルトコンベア7は、本発明で言うフィルム支持手段の一例に相当する。ベルトコンベア7は、フィルムFの鉛直方向下方に位置している。上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間においては、3つのベルトコンベア7が搬送方向Tに沿って直列に配置されている。各ベルトコンベア7は、全体として搬送方向Tを長手方向とする細長状であり、1対のローラ71、および無端ベルト72を備えている。
【0022】
1対のローラ71は、搬送方向Tにおいて離間配置されており、互いに平行である。無端ベルト72は、たとえば樹脂またはゴムからなる環状帯材であり、1対のローラ71に掛け回されている。本実施形態においては、1対のローラ71は少なくともいずれかが、駆動ローラ5との同期制御がなされる駆動式のローラとされている。同期制御がなされるローラ71の送り速度は、駆動ローラ5の送り速度と同速か、もしくは若干速くなるように設定される。すなわち、ベルトコンベア7は、フィルムFに追従動可能に構成されている。これにより、フィルムFがベルトコンベア7上でたるんでしまうなどの不具合を回避することができる。無端ベルト72のうちz方向上方に位置する部分は、搬送方向Tに搬送されるフィルムFを支持する。この部分の上面が支持面72aとされており、ベルトコンベア7の全長にわたってフィルムFを支持する格好となる。
【0023】
図2および図4に示すように、エアダンサ4は、フィルム支持手段(ベルトコンベア7)の下流側に位置し、1対のローラ4a、フード4b、吸引ブロア4c、および1対のセンサ4dを備えており、本発明で言う送り速度差検出手段の一例である。迂回経路生成手段の一例である吸引ブロア4cは、フード4b内の空気を図中下方へと吸引する。これにより、フィルムFのうち1対のローラ4aの間にある部分が、フード4b内へと引き込まれる。すなわち、吸引ブロア4cは、フィルムFが鉛直方向に迂回する迂回経路を生成する。1対のセンサ4dは、上下方向に互いに離間して設けられている。各センサ4dは、たとえばフード4bを挟んで水平方向に離間して設けられた発光モジュールと受光モジュールとからなり、フィルムFの下端位置(迂回経路先端)を検出する。1対のセンサ4dの検出位置は、フード4b内におけるフィルムFの上限位置および下限位置とされている。フィルムFの下端位置が、上限位置に到達することは、エアダンサ4の下流側におけるフィルムFの送り速度が、エアダンサ4の上流側におけるフィルムFの送り速度よりも相対的に速い状態であることを意味する。一方、下端位置が、下限位置に到達することは、エアダンサ4の下流側におけるフィルムFの送り速度が、エアダンサ4の上流側におけるフィルムFの送り速度よりも相対的に遅い状態であることを意味する。このように、エアダンサ4は、1対のローラ4aよりも搬送方向Tの上流側におけるフィルムFの送り速度と1対のローラ4aよりも搬送方向Tの下流側におけるフィルムFの送り速度との速度差を検出する。この検出された速度差に基づいて、フィルムFの下端位置がこれらの上限位置および下限位置の間に位置するように、駆動ローラ5の速度制御がなされる。なお、送り速度差検出手段は、エアダンサ4に限定されない。たとえば、迂回経路生成手段として、吸引ブロア4cに代えてダンサローラを具備する構成であってもよい。このダンサローラは、1対のローラ4aの間に配置され、フィルムFを迂回させるべく鉛直方向において1対のローラ4aよりも下方に位置する。ダンサローラによって一定の力をフィルムFに付与するための機構としては、ばね、錘などが用いられる。また、本発明で言う送り速度差検出手段において、迂回経路の一部の位置を検出する態様としては、本実施形態のように迂回経路先端(下端)の位置を検出する態様のほか、たとえば2本の直線経路を有するV字状に形成された迂回経路のうち片側の直線経路の開き具合を検出する態様であってもよい。また、迂回経路を送られるフィルムF自体の位置を直接検出する態様に限定されず、迂回経路生成手段の構成要素のうち、迂回経路の一部の位置変化に伴い移動するものの位置を検出する態様であってもよい。
【0024】
図1に示すように、上述した3つのユニットを経た後は、フィルムFは下流工程へと送られる。この下流工程には、たとえばフィルムFを長手方向に切断することによって複数のラベル(図示略)を生成し、これらのラベルを複数のボトル(図示略)に順次装着するラベル装着システムが挙げられる。このラベル装着システムは、上記ボトルにたとえば飲料が充填されているため、極力清潔な場に設置されている。
【0025】
次に、フィルム搬送システムAの作用について説明する。
【0026】
本実施形態によれば、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間の区間では、その大部分においてフィルムFがベルトコンベア7の支持面72aによって支持される。このため、フィルムFが下方に垂れ下がることがほとんど無く、垂れ下がりによる張力のばらつきや不当な絡まりなどを防止することが可能である。これにより、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間隔を比較的長く(たとえば、5m以上、好ましくは10m以上、より好ましくは30m以上)することが可能である。したがって、塵埃が侵入するおそれがあるロールフィーダ1とフィルム搬送システムAの下流工程にある上記ラベル装着システムとの距離を格段に長くすることができる。これは、ロールフィーダ1を飲料工場のうちトラックなどが停車しやすい、外部に面した位置に設ける一方、上記ラベル装着システムを飲料工場のうち塵埃の侵入を遮断した内部に設けることを可能とする。なお、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との間隔を比較的長く設定できることと同様に、従動ローラ82と上流側方向転換ローラ31との間隔や、下流側方向転換ローラ32の下流側区間の長さを比較的長く設定できることはもちろんである。フィルム搬送システムAの全長は、10m以上、好ましくは30m以上、より好ましくは60m以上とすることができる。ここで、全長とは、ロールフィーダ1から上記ラベル装着システムまでの長さである。
【0027】
ベルトコンベア7を用いることにより、支持面72aは、搬送方向Tに延びた一様な面として構成される。これは、フィルムFを安定して支持するのに適している。また、設置するベルトコンベア7の個数を増加させることにより、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との距離がより長い場合にも対応可能である。なお、本実施形態とは異なり、フィルム支持手段をたとえば搬送方向Tに沿って配置された複数の駆動ローラを備える構成としてもよい。このような構成の場合、複数の駆動ローラのうちフィルムFを支持する部分が本発明で言う支持面を構成する。
【0028】
ベルトコンベア7の上流側に蛇行修正手段6を設置することにより、ベルトコンベア7において、フィルムFが蛇行してしまうことを防止することができる。また、ベルトコンベア7の下流側にエアダンサ4を設置することにより、上流側方向転換ローラ31と下流側方向転換ローラ32との距離が比較的長いにもかかわらず、駆動ローラ5による送り出し速度を適切に制御することができる。
【0029】
図5は、フィルム搬送システムAの変形例を示している。同図は、本変形例のベルトコンベア7、駆動ローラ5および蛇行修正手段6を示している。本変形例におけるその他の構成要件は、上述したフィルム搬送システムAと同様、あるいは適宜変更設定されたものであり、たとえば、図示されたベルトコンベア7の搬送方向Tにおける下流側には、上述した送り速度差検出手段としてのエアダンサ4が配置されている。本変形例においては、ベルトコンベア7、駆動ローラ5および蛇行修正手段6の相対的な配置と、蛇行修正手段6の具体的構成が、上述したフィルム搬送システムAと異なっている。なお、同図における上下方向はz方向であり、左右方向は、上述したx方向、y方向などz方向に対して垂直な任意の方向である。
【0030】
本変形例においては、駆動ローラ5は、ベルトコンベア7の1対のローラ71のうち搬送方向Tにおける上流側に位置するものの直上に配置されている。駆動ローラ5は、その直下に位置するローラ71との間に挟まれたフィルムFを搬送方向Tに沿って送り出す。このため、フィルムFは、蛇行修正手段6から駆動ローラ5によって引き出される格好となっている。
【0031】
蛇行修正手段6は、ベルトコンベア7の搬送方向Tにおける上流側に隣接して配置されている。より具体的には、ベルトコンベア7の搬送方向Tにおける上流側に配置された従動ローラ85とベルトコンベア7との間に蛇行修正手段6が配置されている。本変形例の蛇行修正手段6の1対のローラ62は、ベルトコンベア7のローラ71および従動ローラ85に対してz方向下方に配置されている。ケース61は、1対のローラ62の上方に配置されており、1対のローラ62を支持している。フィルムFは、従動ローラ85とベルトコンベア7の間において、1対のローラ62によってz方向下方に迂回した経路で搬送される。この迂回した区間において水平方向におけるずれが生じた場合、上述した蛇行修正手段6の修正機能によってこのずれが修正される。
【0032】
このような変形例によっても、比較的長い区間においてフィルムFを不当に蛇行することなく搬送することができる。また、駆動ローラ5をローラ71の直上に配置することにより、駆動ローラ5とベルトコンベア7とが搬送方向Tにおいて重なりあった配置となっている。これは、フィルム搬送システムAの省スペース化に好ましい。
【0033】
図3〜図5を参照して説明した通り、本発明で言う送り手段に相当する駆動ローラ5は、図3に示すように、蛇行修正手段6に対して搬送方向Tにおける上流側に配置してもよいし、図5に示すように、フィルム支持手段に相当するベルトコンベア7と搬送方向Tにおいて重なる配置としてもよい。駆動ローラ5についてのこれらの配置は、エアダンサ4に対して搬送方向Tにおける上流側に配置されていると総括できる。
【0034】
また、本発明においては、蛇行修正手段6は、ベルトコンベア7に対して搬送方向Tにおける上流側に配置されることが意図されている。蛇行修正手段6と駆動ローラ5との位置関係については、図3および図5に示すように、蛇行修正手段6に対して駆動ローラ5が搬送方向Tにおける上流側あるいは下流側に位置する構成を適宜採用しうる。
【0035】
本発明に係るフィルム搬送システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るフィルム搬送システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0036】
駆動ローラ5に代表される送り手段の配置は、上述した実施形態に限定されず、たとえば、送り速度差検出手段としてのエアダンサ4よりも搬送方向Tにおける下流側に配置されていてもよい。また、たとえばベルトコンベア7の無端ベルト72の支持面72aによるフィルムFの保持力が、送り速度差検出手段としてのエアダンサ4によって付与される張力よりも大きい場合は、駆動ローラ5を省略してもよい。この場合、ベルトコンベア7が、本発明で言うフィルム支持手段と送り手段とを兼ねているといえる。
【符号の説明】
【0037】
A フィルム搬送システム
F フィルム
T 搬送方向
1 ロールフィーダ
11 フィルムロール
12 台車
31 上流側方向転換ローラ
32 下流側方向転換ローラ
4 エアダンサ(送り速度差検出手段)
4a ローラ
4b フード
4c 吸引ブロア(迂回経路生成手段)
4d センサ
5 駆動ローラ(送り手段)
6 蛇行修正手段
61 ケース
62 ローラ
7 ベルトコンベア(フィルム支持手段)
71 ローラ
72 無端ベルト
72a 支持面
81,82,83,84,85 従動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状のフィルムを搬送するフィルム搬送システムであって、
全体形状が上記フィルムの搬送方向に延びているとともに、上記フィルムに対して鉛直方向下方に位置し、かつ上記搬送方向において上記フィルムに追従動可能である支持面を有するフィルム支持手段と、
上記フィルム支持手段に対して上記搬送方向における下流側に位置し、上記搬送方向に離間配置された1対のローラ、およびこれらのローラの間において上記フィルムが迂回する迂回経路を形成する迂回経路生成手段を有し、この迂回経路のいずれかの部位の位置を検出することにより、上記1対のローラの前後における上記フィルムの送り速度の差を検出する、送り速度差検出手段と、
を備えることを特徴とする、フィルム搬送システム。
【請求項2】
上記フィルム支持手段に対して上記搬送方向上流側に位置し、鉛直方向周りに揺動自在とされたローラを有する蛇行修正手段をさらに備える、請求項1に記載のフィルム搬送システム。
【請求項3】
上記フィルムを搬送する駆動力を付与する送り手段をさらに備える、請求項1または2に記載のフィルム搬送システム。
【請求項4】
上記送り手段と上記フィルム支持手段とが同期制御されている、請求項3に記載のフィルム搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250848(P2012−250848A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105633(P2012−105633)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(593205831)東邦商事株式会社 (14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】